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日本工業規格

JIS

 G

1235-

1981

鉄及び鋼中のアンチモン定量方法

Methods for Determination of Antimony in Iron and Steel

1.

適用範囲  この規格は,鉄及び鋼中のアンチモン定量方法について規定する。

引用規格:

JIS G 1201

  鉄及び鋼の分析方法通則

2.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201(鉄及び鋼の分析方法通則)による。

3.

方法の区分  鉄及び鋼中のアンチモン定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

イソプロピルエーテル抽出−ローダミン B 吸光光度法  この方法は,アンチモン含有率 0.02%未満の

試料に適用する。

(2)

ブリリアントグリーン−トルエン抽出吸光光度法  この方法は,アンチモン含有率 0.02%未満の試料

に適用する。

4.

イソプロピルエーテル抽出−ローダミン 吸光光度法

4.1

要旨  試料を王水で分解し,硫酸白煙処理をした後,塩酸に溶解してイソプロピルエーテルでアン

チモンを抽出し,ローダミン B と反応させたアンチモン錯体の吸光度を測定する。

4.2

適用分野  試料が銑鉄又は鋳鉄の場合,タングステンを含む場合は,試料溶液の調製をそれぞれ別

操作による。

4.3

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸(1+9, 2+100)

(3)

硝酸

(4)

硫酸(1+1)

(5)

王水(塩酸 3,硝酸 1)

(6)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,アンチモンを含有しないか,又はアンチモン含有率ができるだけ少

なく既知であるもの。

(7)

塩酸ヒドロキシルアミン溶液  塩酸ヒドロキシルアミン 1g を塩酸 (1+9) 100ml に溶解したもの。

(8)

ローダミン B 溶液  ローダミン B (C

28

H

31

O

3

N

2

Cl) 0.02g

を塩酸 10ml に溶解した後,水で 100ml に薄め

たもの。この溶液は使用の都度調製する。

(9)

イソプロピルエーテル〔(CH

3

)

2

CH

2

O

(10)

標準アンチモン溶液 (1

µgSb/ml)    酒石酸アンチモニルカリウム (KSbOC

4

H

4

O

6

1

/

2

H

2

O) 0.2743g

を水

に溶解して 1000ml のメスフラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて標準原液 (100

µgSb/ml)  とする。


2

G 1235-1981

必要の都度,これを水で正しく 100 倍に薄めたもの。

4.4

試料はかり取り量  試料は原則として,表 に従ってはかり取る。

表 1

アンチモン含有率%

試料はかり取り量 g

0.005

未満 0.20

0.005

以上 0.01 未満 0.10

0.01

以上 0.02 未満 0.050

4.5

操作

4.5.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次による。

(1)

銑鉄,鋳鉄以外及びタングステンを含まない試料

(1.1) 

はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水〔4.3(5)〕10ml を加え加熱分

解する。これに硫酸 (1+1) 5ml を加えて加熱を続け,硫酸白煙を 1∼2 分間発生させた後(

1

)

,室温

まで冷却する。

(1.2)

塩酸 10ml を加え,煮沸しないようにゆるやかに加熱して硫酸塩を溶解する。ビーカーを流水中に

浸せきして室温まで冷却し,5℃以下の冷水(

2

)

を用いて分液漏斗 (200ml) に移し入れ,5℃以下の冷

水で液量を約 60ml とする。

(2)

銑鉄又は鋳鉄試料  はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水〔4.3(5)

20ml

を加え加熱分解する。これに硫酸 (1+1) 5ml を加えて加熱を続け,硫酸白煙が発生し始めるま

で加熱した後,室温まで放冷する。王水 10ml を加え,ゆるやかに加熱して塩類を溶解した後約 2 分

間煮沸し,これに温水約 30ml を加えてろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,塩酸 (2+100)  で洗浄し残さ

は捨てる。ろ液と洗液はビーカー (100ml) に集め,加熱して濃縮し,硫酸白煙を 1∼2 分間発生させ

た後(

1

)

,室温まで放冷する。以下,(1.2)の手順に従って操作する。

(3)

タングステンを含む試料  はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水 10ml

を加えて加熱分解し,乾固近くまで濃縮する。塩酸 10ml を加え加熱して塩類を溶解し,温水約 30ml

を加えて約 1 分間煮沸した後,ろ紙(5 種 B)を用いてろ過し,塩酸 (2+100)  で洗浄し,残さは捨て

る。ろ液と洗液はビーカー (100ml) に集め,硝酸 3ml 及び硫酸 (1+1) 5ml を加えて加熱濃縮し,硫酸

白煙を 1∼2 分間発生させた後(

1

)

,室温まで放冷する。以下,(1.2)の手順に従って操作する。

(

1

)

王水が除去できればよいので,加熱による硫酸白煙の発生は,1∼2分間以上続ける必要はない。

(

2

)

アンチモンの抽出時及び呈色時の液温は 24℃以下にする必要があるので,ここで使用する冷水

は 5℃以下に氷冷しておく。

4.5.2

アンチモンの抽出  4.5.1 で得た試料溶液にイソプロピルエーテル 10ml を正確に加え,約 1 分間激

しく振り混ぜて,アンチモンをイソプロピルエーテル相に抽出する。

静置して 2 層に分離したら下層の水溶液相を捨て,イソプロピルエーテル相に,5℃以下に冷却した塩酸

ヒドロキシルアミン溶液〔4.3(7)〕2ml を加え約 5 秒間振り混ぜて静置し,2 層に分離したら下層の水溶液

相は捨てる。次に 5℃以下に冷却した塩酸 (1+9) 2ml を加え約 10 秒間振り混ぜて静置し,2 層に分離した

ら下層の水溶液相は捨てる。

4.5.3

呈色  4.5.2 で得たイソプロピルエーテル相に,ローダミン B 溶液〔4.3(8)〕5ml を正確に加え約 30

秒間振り混ぜて呈色させた後静置する。2 層に分離したら下層の水溶液相は捨てる。


3

G 1235-1981

4.5.4

吸光度の測定  4.5.3 で得たイソプロピルエーテル相を乾燥ろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,その一

部を吸収セルに取り,呈色後 3 分間以内にイソプロピルエーテルを対照液として,波長 555nm 付近の吸光

度を測定する。

4.6

検量線の作成  検量線(

3

)(

4

)

は,次のようにして作成する。

数個のビーカー (100ml) を準備して,それぞれにはかり取った鉄〔4.3(6)〕0.200g を移し入れ,更に標

準アンチモン溶液 0∼10ml を段階的に正確に加えて時計ざらで覆う。王水 10ml を加え加熱して鉄を分解

する。これに硫酸 (1+1) 5ml を加えて加熱を続け,硫酸白煙を 1∼2 分間発生させた後,室温まで放冷す

る。以下,4.5.1(1.2)4.5.24.5.4 の手順に従って操作して吸光度を測定し,吸光度と呈色液中のアンチモ

ン量との関係を求めて検量線とする。

(

3

)

試料と組成が類似したアンチモン含有率既知の数個の標準試料を用いて検量線を作成すること

ができる。この場合は,

1に示すそれぞれのアンチモン含有率範囲内で,アンチモン含有率の

異なる3個以上の標準試料を選ばなければならない。これらの標準試料を4.5.14.5.4の手順に従

って操作して吸光度を測定し,吸光度とアンチモン含有率との関係を求めて検量線とする。

(

4

)

検量線の作成に使用した鉄中にアンチモンが含まれる場合は,はかり取った鉄中のアンチモン

量を,標準アンチモン溶液として添加したアンチモン量に加算する。

4.7

計算  4.6 で作成した検量線に 4.5.4 で得た吸光度をそう入してアンチモン量を求め,試料中のアン

チモン含有率を,次の式によって算出する。

100

)

(

×

W

A

アンチアモン

ここに

A

:  試料溶液中のアンチモン量 (g)

W

:  試料はかり取り量 (g)

4.8

分析精度  この方法による分析精度は,表 による。

表 2

単位%

アンチモン含有率

室内標準偏差

室間標準偏差

0.0012(

5

)

以上  0.02 未満 0.0164×〔Sb (%)〕+0.0001

0.0271

×〔Sb (%)〕+0.0001

(

5

)

この数値は,分析精度決定のために用いられた試料のアンチモン含有率の最低値であ

る。

5.

ブリリアントグリーン−トルエン抽出吸光光度法

5.1

要旨  試料を王水で分解し,亜鉛で硝酸根を分解し,硫酸白煙処理をした後塩酸に溶解し,亜硝酸

ナトリウムでアンチモンを酸化し,残った亜硝酸を尿素で分解する。りん酸一ナトリウムで鉄を抑制し,

ブリリアントグリーンと反応させたアンチモン錯体をトルエンで抽出して吸光度を測定する。

5.2

適用分野  試料が銑鉄又は鋳鉄の場合及びタングステンを含む場合は,試料溶液の調製をそれぞれ

別操作による。

5.3

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (2+100)

(3)

硝酸

(4)

硫酸 (1+1)

(5)

王水  (塩酸 3,硝酸 1)


4

G 1235-1981

(6)

亜鉛(無ひ素)  砂状のできるだけ純度の高い亜鉛で,アンチモンを含有しないか,又はアンチモン

含有率が少なく既知であるもの。

(7)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,アンチモンを含有しないか,又はアンチモン含有率が少なく既知で

あるもの。

(8)

尿素溶液 (20

w

/v%)

(9)

亜硝酸ナトリウム溶液 (5

w

/v%)

(10)

りん酸一ナトリウム溶液  りん酸一ナトリウム(2 水塩)160g を水に溶解して 1000ml としたもの。

(11)

ブリリアントグリーン溶液  ブリリアントグリーン (C

27

H

3

N

2

O

4

S) 0.025g

を水 100ml に溶解したもの

で,かっ色びんに保存し,調製後 4 時間以上経過したもの。

(12)

トルエン (CH

3

C

6

H

5

)

(13)

標準アンチモン溶液 (1

µgSb/ml)  酒石酸アンチモニルカリウム (KSbOC

4

H

4

O

5

1

/

2

H

2

O) 0.2743g

を水に

溶解して 1000ml のメスフラスコに移し入れ,水で標線まで薄めて標準原液 (100

µgSb/ml)  とし,これ

を水で正しく 100 倍に薄めたもの。

5.4

試料はかり取り量  試料は,原則として表 に従ってはかり取る。

表 3

アンチモン含有率%

試料はかり取り量 g

0.005

未満 0.20

0.005

以上

0.01

未満 0.10

0.01

以上

0.02

未満 0.050

5.5

操作

5.5.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次による。

(1)

銑鉄,鋳鉄以外及びタングステンを含まない試料

(1.1) 

はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水〔5.3(5)〕10ml を加えて加熱

分解し,引き続き加熱して約 5ml になるまで濃縮する。

(1.2)

これに試料はかり取り量と同量の亜鉛〔5.3(6)〕を添加し,静かに加熱して亜鉛を完全に溶解した後,

硫酸 (1+1) 4ml を加えて加熱を続け,白煙を発生させ(

6

)

,約 10 分間保持する。冷却後,塩酸 12ml

を加え,煮沸しないようにゆるやかに加熱して塩類を溶解し,室温まで冷却する。この溶液を少量

の水を用いて分液漏斗 (200ml) に移し入れ,水で液量を約 30ml とする。液温を 25∼35℃とし,亜

硝酸ナトリウム溶液 2.5ml を加えて振り混ぜた後,直ちに尿素溶液 3ml を加え 10∼15 秒間振り混ぜ

る。

(2)

銑鉄又は鋳鉄試料  はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水 20ml を加

え加熱分解する。これに硫酸 (1+1) 4ml を加え,引き続き加熱して硫酸白煙が発生し始めるまで加熱

し,室温まで放冷する。王水 10ml を加えて静かに加熱して塩類を溶解する。約 2 分間煮沸した後,

温水約 30ml を加え,ろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,塩酸 (2+100)  で洗浄し,残さは捨てる。ろ液

と洗液はビーカー (100ml) に集め,加熱して約 10ml になるまで濃縮する。以下,(1.2)の手順に従っ

て操作する。ただし,硫酸 (1+1) 4ml の添加は省略する。

(3)

タングステンを含む試料  はかり取った試料をビーカー (100ml) に移して時計ざらで覆い,王水 10ml

を加えて加熱分解し,乾固近くまで濃縮する。これに塩酸 10ml を加え,加熱して塩類を溶解し,温

水約 30ml を加えて約 1 分間煮沸した後,ろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,塩酸 (2+100)  で洗浄し,

残さは捨てる。ろ液と洗液はビーカー (100ml) に集め,硝酸 3ml を加え,加熱して約 5ml になるまで


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G 1235-1981

濃縮する。以下,(1.2)の手順に従って操作する。

(

6

)

塩類が析出した後強熱すると飛散するおそれがあるので,急激に加熱しないよう注意が必要で

ある。

5.5.2

呈色  5.5.1 で得た試料溶液に 1 分間以内にりん酸一ナトリウム溶液〔5.3(10)〕70ml 及びブリリア

ントグリーン溶液〔5.3(11)〕5ml を加え,振り混ぜた後トルエン 10ml を正確に加え激しく振り混ぜる。こ

のとき分液漏斗内の圧力が上昇するので 10∼15 秒後に一度止め,

分液漏斗のせんをひねってガス抜きをし

た後,再び約 50 秒間激しく振り混ぜて静置する。2 層に分離したら下層の水溶液相は捨てる。

5.5.3

吸光度の測定  5.5.2 で得たトルエン相を乾燥ろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,その一部を吸収セル

に取り,トルエンを対照液として,波長 640nm 付近の吸光度を測定する。

5.6

検量線の作成  検量線(

4

)(

7

)

は,次のようにして作成する。

数個のビーカー (100ml) を準備して,それぞれにはかり取った鉄〔5.3(7)〕0.200g を移し入れ,更に標

準アンチモン溶液 0∼10ml を段階的に正確に加えて時計ざらで覆う。王水 10ml を加え,静かに加熱して

鉄を分解し,引き続き加熱して約 5ml になるまで濃縮する。以下 5.5.1(1.2)5.5.2 及び 5.5.3 の手順に従っ

て操作して吸光度を測定し,吸光度と呈色溶液中のアンチモン量との関係を求めて検量線とする。

(

7

)

試料と組成が類似した,アンチモン含有率既知の数個の標準試料を用いて検量線を作成するこ

とができる。この場合は,5.4

試料はかり取り量の表3に示すそれぞれのアンチモン含有率の異

なる3個以上の標準試料を選ばなければならない。これらの標準試料を5.5.15.5.3の手順に従っ

て操作して吸光度を測定し,吸光度とアンチモン含有率との関係を求めて検量線とする。

5.7

計算  5.6 で作成した検量線に 5.5.3 で得た吸光度をそう入してアンチモン量を求め,試料中のアン

チモン含有率を,次の式によって算出する。

100

)

(

×

W

A

アンチアモン

ここに

A

:  試料溶液中のアンチモン量 (g)

W

:  試料はかり取り量 (g)

5.8

分析精度  この方法による分析精度は,表 による。

表 4

単位%

アンチモン含有率

室内標準偏差

室間標準偏差

0.0012(

5

)

以上  0.02  未満 0.0141×〔Sb (%)〕+0.0001

0.0258

×〔Sb (%)〕+0.0001


6

G 1235-1981

鉄鋼部会  鉄及び鋼の分析方法専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

後  藤  秀  弘

東北大学

須  藤  恵美子

科学技術庁金属材料技術研究所

林      俊  太

工業技術院標準部

飯  田  芳  男

成蹊大学

神  森  大  彦

社団法人日本化学会

岸  高      寿

社団法人日本鉄鋼協会

榎  並  豊一郎

日産自動車株式会社

永  山      宏

株式会社日立製作所

宮  原  和  男

日立金属株式会社

栗  原  国  勝

日本冶金工業株式会社

鈴  木  孝  範

株式会社日本製鋼所

大  槻      孝

新日本製鉄株式会社

針間矢  宣  一

川崎製鉄株式会社

井樋田      睦

日本鋼管株式会社

藤  野  允  克

住友金属工業株式会社

伊  藤  六  仁

大同特殊鋼株式会社

谷  口  政  行

株式会社神戸製鋼所

加  藤  智  也

愛知製鋼株式会社

(事務局)

吉  田  信  之

工業技術院標準部材料規格課

田  中  利  穂

工業技術院標準部材料規格課