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日本工業規格

JIS

 G

1234

-1981

鋼中のテルル定量方法

Methods for Determination of Tellurium in Steel

1.

適用範囲  この規格は,鋼中のテルル定量方法について規定する。

引用規格: 

JIS G 1201

  鉄及び鋼の分析方法通則

2.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201(鉄及び鋼の分析方法通則)による。

3.

方法の区分  鋼中のテルル定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

塩化第一すず還元吸光光度法  この方法は,テルル含有率 0.3%未満の試料に適用する。

(2)

ビスムチオール II 抽出吸光光度法  この方法は,テルル含有率 0.001%以上 0.06%未満の試料に適用す

る。

4.

塩化第一すず還元吸光光度法

4.1

要旨  試料を硝酸及び過塩素酸で分解して過塩素酸白煙を発生させ,乾固近くまで濃縮後,塩酸溶

液とする。溶液中のテルルを塩化第一すずで還元してアラビアゴムで懸濁させ,吸光度を測定する。

4.2

適用分野  試料がモリブデン 1%以上及びセレンを含む場合には適用できない。

4.3

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (1+1, 1+100)

(3)

硝酸 (1+1)

(4)

過塩素酸

(5)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,テルルを含有しないか,又はテルル含有率ができるだけ少なく既知

であるもの。

(6)

塩化第一すず溶液  塩化第一すず(2 水塩)50g を塩酸 50ml で溶解したもの。この溶液は必要の都度

調製する。

(7)

アラビアゴム溶液  アラビアゴム末 5g に水 100ml を加え十分かき混ぜて溶解し,残さは脱脂綿を用

いてろ過したもの。この溶液は必要の都度調製する。

(8)

標準テルル溶液 (200

µgTe/ml)    金属テルル(99.9%以上)0.500g をはかり取ってビーカー (300ml) に

移し,時計ざらで覆って硝酸 (1+1) 10ml と塩酸 10ml を加えて加熱分解する。常温まで冷却後 500ml

のメスフラスコに移し,水で標線まで薄めて標準原液 (1mg Te/ml) とした後,必要の都度これを水で

正しく 5 倍に薄めたもの。

4.4

試料はかり取り量  試料は,原則として 0.50g をはかり取る。


2

G 1234-1981

4.5

操作

4.5.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次による。

(1)

はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,硝酸 (1+1) 5ml 及び過塩素酸 8ml

を加えて加熱分解し,過塩素酸の濃厚な白煙を発生させてクロムを重クロム酸に酸化する。

(2)

加熱を続け,塩酸 1∼2ml ずつを数回加えてクロムの大部分を塩化クロミルとして揮散させる(

1

)

(3)

更に加熱して乾固近くまで濃縮する。しばらく放冷した後,塩酸 (1+1) 10ml を加え,加熱して塩類

を溶解し,約 5 分間静かに煮沸する。冷却後,水 10ml を加えてから,ろ紙(5 種 A)でろ過し(

2

)

,塩

酸 (1+100)  で洗浄する。ろ液と洗液は 100ml のメスフラスコに集め,液量を約 40ml とする。残さは

捨てる。

(

1

)

クロム含有率1%未満の試料は,4.5.1(2)のクロム揮散操作を省略してもよい。

(

2

)

けい素含有率 1%未満の試料は,ろ過操作を省略してもよい。

4.5.2

呈色  4.5.1 で得た試料溶液の液温を約 30℃とし,塩化第一すず溶液〔4.3(6)〕5ml を加え,直ちに

アラビアゴム溶液〔4.3(7)〕2ml を加え,軽く振り混ぜ水で標線まで薄める。

4.5.3

吸光度の測定  4.5.2 で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,波長 420nm 付近の吸光度

を測定する。

4.6

検量線の作成  検量線(

3

)(

4

)

は,次のようにして作成する。

数個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれにはかり取った鉄〔4.3(5)〕0.500g を移して,標準テルル

溶液 0∼8ml を段階的に正確に加えて時計ざらで覆う。これらに硝酸 (1+1) 5ml 及び過塩素酸 8ml を加え

て加熱分解し,過塩素酸の濃厚な白煙を発生させる。以下 4.5.1(3)4.5.3 の手順に従って操作し,吸光度

と呈色溶液中のテルル量との関係を求めて検量線とする。

(

3

)

試料と組成が類似し,テルル含有率既知の数個の標準試料を用いて検量線を作成することがで

きる。この場合は,テルル含有率の異なる3個以上の標準試料を選ばなければならない。これら

の標準試料を4.5.14.5.3の手順に従って操作し,吸光度を測定して,吸光度とテルル含有率と

の関係を求めて検量線とする。

(

4

)

検量線の作成に使用した鉄中にテルルが含まれる場合は,はかり取った鉄中のテルル量を,標

準テルル溶液として添加したテルル量に加算する。

4.7

計算  4.6 で作成した検量線に 4.5.3 で得た呈色溶液の吸光度をそう入して,テルル量 (g) を求め,

試料中のテルル含有率を,次の式によって算出する。

100

(%)

×

=

W

A

テルル

ここに

A

:  試料溶液中のテルル量 (g)

W

:  試料はかり取り量 (g)

4.8

分析精度

  この方法による分析精度は,

表 1

による。

表 1

単位

%

テルル含有率

室内標準偏差

室間標準偏差

0.023(

5

)

以上 0.3 未満 0.0245×〔Te (%)〕+0.0003

0.0743

×〔Te (%)〕+0.0016

(

5

)

この数値は,分析精度の決定のために用いられた試料のテルル含有率の最低
値である。


3

G 1234-1981

5.

ビスムチオール II 抽出吸光光度法

5.1

要旨

  試料を硫酸と過酸化水素で分解して過マンガン酸カリウムでテルルを酸化する。溶液中の鉄

を MIBK で抽出分離した後,テルルを塩酸で還元して MIBK に抽出し,更に水で逆抽出する。ピロりん酸

ナトリウムを共存させてビスムチオール II を反応させ,テルルとビスムチオール II との錯体を形成させて

四塩化炭素に抽出し,吸光度を測定する。

5.2

試薬

  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (4+3, 1+1)

(3)

硝酸

(4)

硝酸 (1+1)

(5)

硫酸 (1+1, 1+9)

(6)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,テルルを含有しないか,又はテルル含有率ができるだけ少なく既知

であるもの。

(7)

過酸化水素水 (1+1)

(8)

ピロりん酸ナトリウム

(9)

過マンガン酸カリウム溶液 (1w/v%)

(10)

メチルイソブチルケトン(MIBK と略記する)

(11)

ビスムチオール II 溶液

ビスムチオール II (C

8

H

5

N

2

S

3

K) 0.1g

を水に溶解して 100ml とし,かっ色びん

に保存する。

(12)

四塩化炭素

(13)

洗浄溶液

りん酸一カリウム(2 水塩)6.8g,ほう酸ナトリウム(十水塩)5g 及びエチレンジアミン

四酢酸二ナトリウム二水塩 (EDTA) (C

10

H

14

N

2

Na

2

O

8

・2H

2

O) 7.8g

を水に溶解して 1000ml としたもの。

(14)

標準テルル溶液 (50

µgTe/ml)

  標準テルル溶液の調製は,次による。

金属テルル(99.9%以上)0.500g をはかり取ってビーカー (300ml) に移し,時計ざらで覆って硝酸 (1

+1) 20ml を加えて加熱分解し,硫酸 (1+1) 50ml を加える。常温まで冷却後,500ml のメスフラスコ

に移して水で標線まで薄め,

標準原液 (1mgTe/ml) とする。

この溶液 25ml を分取してビーカー (300ml)

に移し入れ,硫酸 (1+1) 5ml を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させた後放冷する。硫酸 (1+1) 50ml

を加えて常温まで冷却後,500ml のメスフラスコに移し,水で標線まで薄める。

5.3

試料はかり取り量

  試料は,原則として 1.0g をはかり取る。

5.4

操作

5.4.1

試料溶液の調製

  はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,硫酸 (1+9)

50ml

を加えて加熱分解し,過酸化水素水 (1+1) 20ml を加えて酸化する。更に加熱を続け,1∼2 分間煮沸

して過剰の過酸化水素を分解する。常温まで冷却後,水で 100ml のメスフラスコに洗い移して標線まで薄

める。

5.4.2

鉄の分離

  鉄の分離は,次による。

(1)

5.4.1

で得た試料溶液

(

6

)

表 2

に従って分取し,分液漏斗 (100ml) に入れる。過マンガン酸カリウム溶

液 (1

w

/v%)

を滴加して振り混ぜ,過マンガン酸カリウムの赤紫色が消えなくなってから更にその

0.5ml

を過剰に加え,振り混ぜて 5 分間放置する。


4

G 1234-1981

表 2

テルル含有率%

分取量 ml

0.001

以上  0.01 未満 20

0.01

  以上  0.04 未満 10

0.04

  以上  0.06 未満

5

(2)

次に

表 2

に従って分取量と同量の塩酸を加えて室温まで冷却後,MIBK30ml を加え,約 1 分間激しく

振り混ぜる。静置後有機相を水流ポンプにつないだ毛細管で吸い上げる

(

7

)(

8

)

。再び MIBK20ml を加え

て約 1 分間激しく振り混ぜる。

静置後水溶液相をビーカー (300ml) に移す。

分液漏斗に塩酸 (4+3) 5ml

を加えて,約 30 秒間軽く振り混ぜ静置後,水溶液相を元のビーカー (300ml) に合わせる。

(

6

)

この溶液中に残さを認めた場合は,乾燥ろ紙(5種 B)を用いてろ過する。最初のろ液は捨て,

次のろ液を用いる。

(

7

)

水流ポンプと毛細管の間に,有機相を捕集するための空びんを入れる必要がある。

(

8

)

鉄は MIBK を用いて再抽出するとほとんど除去されるので,1 回目の吸い上げ時にあまり無理

をしてテルルを含んでいる水溶液相を吸い上げないように注意する。

5.4.3

テルルの抽出

5.4.2

で得た試料溶液を約 10 分間以上加熱し,液量が約 10ml 以下となるまで濃縮

してテルルを還元した後,常温まで冷却する。塩酸 (1+1)  で分液漏斗 (100ml) に移し,液量を 30ml とす

る。MIBK10ml を加えて約 1 分間振り混ぜる。静置後水溶液相を捨てる。有機相に塩酸 (4+3) 10ml を加

えて約 30 秒間軽く振り混ぜる。静置後水溶液相を捨てる。次に有機相に水 10ml を加えて約 1 分間激しく

振り混ぜる。静置後水溶液相をビーカー (100ml) に移す。再び有機相に水 5ml を加えて約 1 分間激しく振

り混ぜる。静置後水溶液相を主液の入ったビーカー (100ml) に移し,塩酸 1ml を加えて煮沸して MIBK を

追い出し,液量が約 10ml となるまで濃縮し冷却する。

5.4.4

呈色

5.4.3

で得た試料溶液にピロりん酸ナトリウム 0.5g を加え振り混ぜて溶かした後,水で分液

漏斗 (100ml) に移し,液量を約 20ml とする。ビスムチオール II 溶液〔

5.2(11)

〕0.7ml をメスピペットを用

いて加えて振り混ぜ,1∼2 分間放置する

(

9

)

。四塩化炭素 10ml を正確に加えて 1 分間激しく振り混ぜる。

静置後,有機相を別の分液漏斗に移し,直ちに洗浄溶液〔

5.2(13)

〕20ml を加え,約 30 秒間振り混ぜて静

置する。

(

9

)

呈色後から有機相を洗浄するまでは直射日光があたらない所で操作する。

5.4.5

吸光度の測定

5.4.4

で得た下層の有機相を直ちに乾燥ろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,最初のろ液

を捨てる。次のろ液の一部を光度計の吸収セル

(

10

)

に取り,四塩化炭素を対照液として,波長 330nm

(

11

)

は 372nm 付近における吸光度を測定する。

(

10

)

 330nm

で測定するときは石英セルを用いる。

(

11

)

テルル含有率が 0.01%未満のときは,原則として光源に重水素放電管を用い,330nm の波長で

吸光度を測定する。

5.5

検量線の作成

  検量線

(

12

)(

13

)

は,次のようにして作成する。

数個のビーカー (300ml) を用意し,それぞれにはかり取った鉄〔

5.2(6)

〕1.000g を移して,標準テルル

溶液を

表 3

に従って段階的に正確に加えて時計ざらで覆う。

これらに硫酸 (1+9) 50ml を加え加熱分解し,

過酸化水素水 (1+1) 20ml を加えて酸化する。更に加熱を続けて 1∼2 分間煮沸して過剰の過酸化水素を分

解する。熱源から降ろし,常温まで冷却する。次に水で 100ml のメスフラスコに洗い移し,標線まで薄め

る。以下,

5.4.2

5.4.5

の手順に従って操作し

(

14

)

,吸光度とテルル含有量との関係を求めて検量線とする。


5

G 1234-1981

表 3

テルル含有率  %

標準テルル溶液分取量  ml

測定波長  nm

0.001

以上  0.01 未満

0

∼ 3

330

0.01

  以上  0.06 未満

0

∼10 372

(

12

)

試料と組成が類似したテルル含有率既知の標準試料を用いて検量線を作成することができる。

この場合,

3

に示すそれぞれのテルル含有率範囲内で,テルル含有率の異なる3個以上の標準

試料を選ばなければならない。これらの標準試料を

5.4.1

5.4.5

の手順に従って,操作し,吸光

度を測定して,吸光度と呈色溶液中のテルル含有率との関係を求めて検量線とする。

(

13

)

検量線の作成に使用した鉄中にテルルが含まれる場合は,はかり取った鉄中のテルル量を,標

準テルル溶液として添加したテルル量に加算する。

(

14

)

分取量は 10ml とする。

5.6

計算

5.5

で作成した検量線に

5.4.5

で得た呈色溶液の吸光度をそう入して,テルル量 (g) を求め,

試料中のテルル含有率を,次の式によって算出する。

100

(%)

×

×

=

B

W

A

テルル

ここに

A

:  試料溶液中のテルル量 (g)

W

:  試料はかり取り量 (g)

B

:  試料溶液の分取比

5.7

分析精度

  この方法による分析精度は,

表 4

のとおりである。

表 4

単位

%

テルル含有率

室内標準偏差

室間標準偏差

0.001

以上 0.06 未満 0.0460×〔Te (%)〕+0.0006

0.0537

×〔Te (%)〕+0.0007

鉄鋼部会  鉄及び鋼の分析方法専門委員会構成表

氏名

所属

(委員会長)

後  藤  秀  弘

東北大学

須  藤  恵美子

科学技術庁金属材料技術研究所

林      俊  太

工業技術院標準部

飯  田  芳  男

成蹊大学

神  森  大  彦

社団法人日本化学会

岸  高      寿

社団法人日本鉄鋼協会

榎  並  豊一郎

日産自動車株式会社

永  山      宏

株式会社日立製作所

宮  原  和  男

日立金属株式会社

栗  原  国  勝

日本冶金工業株式会社

鈴  木  孝  範

株式会社日本製鋼所

大  槻      孝

新日本製鉄株式会社

針間矢  宣  一

川崎製鉄株式会社

井樋田      睦

日本鋼管株式会社

藤  野  允  克

住友金属工業株式会社

伊  藤  六  仁

大同特殊鋼株式会社

谷  口  政  行

株式会社神戸製鋼所

加  藤  智  也

愛知製鋼株式会社

(事務局)

吉  田  信  之

工業技術院標準部材料規格課

田  中  利  穂

工業技術院標準部材料規格課