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日本工業規格

JIS

 G

1220

-1994

鉄及び鋼−タングステン定量方法

Iron and steel

−Methods for

determination of tungsten content

1.

適用範囲  この規格は,鉄及び鋼中のタングステン定量方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS G 1201

  鉄及び鋼の分析方法通則

JIS G 1217

  鉄及び鋼中のクロム定量方法

JIS G 1218

  鉄及び鋼−モリブデン定量方法

JIS G 1221

  鉄及び鋼中のバナジウム定量方法

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS Z 8402

  分析・試験の許容差通則

2.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201 による。

3.

定量方法の区分  タングステンの定量方法は,次のいずれかによる。

(1)

シンコニン沈殿分離酸化タングステン (VI) 重量法  この方法は,タングステン含有率 0.5% (m/m)  以

上 20% (m/m)  以下の試料に適用するもので,

附属書 による。

(2)

タンニン酸ニオブ共沈分離チオシアン酸塩吸光光度法  この方法は,タングステン含有率 0.05% (m/m)

以上 7.0% (m/m)  以下の試料に適用するもので,

附属書 による。ただし,チタン含有率 0.25% (m/m)

以上,ニオブ含有率 1.5% (m/m)  以上及び/又はタンタル含有率 1.5% (m/m)  以上の試料には適用でき

ない。

(3)

モリブデン分離テトラフェニルアルソニウムクロリド・チオシアン酸塩抽出吸光光度法  この方法は,

タングステン含有率 0.01% (m/m)  以上 7.0% (m/m)  の試料に適用するもので,

附属書 による。


2

G 1220-1994

附属書 1  シンコニン沈殿分離酸化タングステン (VI) 重量法

1.

要旨  試料を適切な酸で分解し,タングステンをタングステン酸とし,シンコニンを加えてタングス

テンを完全に沈殿させる。沈殿をこし分け,強熱した後,硫酸とふっ化水素酸とで処理して二酸化けい素

を除去し,再び,強熱して不純酸化タングステン (VI) の質量をはかる。次に,不純酸化タングステンを

炭酸ナトリウムで融解し,温水に溶かしてこし分け,不溶解残さを強熱して質量をはかり,不純酸化タン

グステン (VI) の質量から差し引く。

2.

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (1+1)

(3)

硝酸

(4)

過塩素酸

(5)

ふっ化水素酸

(6)

ふっ化水素酸 (1+10)

(7)

硫酸 (1+1)

(8)

りん酸

(9)

アンモニア水

(10)

水酸化ナトリウム溶液 (500g/l)

(11)

炭酸ナトリウム(無水)

(12)

炭酸カリウム(無水)

(13)

鉄溶液 (10mgFe/ml)   できるだけ純度が高く,モリブデンを含有しないか,又はモリブデン含有率が

できるだけ低く,既知である鉄 1.00g を過塩素酸 10ml で加熱して分解し,さらに,加熱を続けて過塩

素酸の白煙を発生させる。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて塩類を溶解する。常温まで冷却

した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

(14)

硫酸マグネシウム・塩化アンモニウム溶液  硫酸マグネシウム七水和物 20g 及び塩化アンモニウム 20g

をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,アンモニア水 2ml 及び水を加えて溶解し,水で液量を

250ml

とした後,ときどきかき混ぜながら穏やかに加熱して溶解し,室温まで冷却する。この溶液は,

使用の都度調製する。

(15)

硫酸マグネシウム洗浄液  硫酸マグネシウム七水和物 20g 及び塩化アンモニウム 20g をはかり採って

ビーカー (1l)  に移し入れ,水約 300ml とアンモニア水 4ml を加え,穏やかに加熱して溶解する。さ

らに,炭酸カリウム(無水)10g を加え,かき混ぜながら穏やかに加熱して溶解し,室温まで冷却し

た後,水で液量を 1 000ml とする。

(16)

酒石酸溶液 (500g/ml)

(17)

シンコニン溶液  シンコニン (C

19

H

22

N

2

O) 12.5g

を塩酸 (1+1) 100ml に溶解する。

(18)

シンコニン洗浄液  シンコニン溶液  [(17)] 30ml を水で 1 000ml に薄める。

(19)

ローダミン 溶液  ローダミン B (C

28

H

31

O

3

N

2

Cl) 2g

を温水 200ml に溶解する。

この溶液は,使用の都度調製する。


3

G 1220-1994

(20)

ローダミン 洗浄液  ローダミン B 溶液  [(19)] 10ml を水で 1 000ml に薄め,これに塩酸 3ml を加え

る。この溶液は,使用の都度調整する。

(21)

メチルオレンジ溶液  調製方法は,JIS K 8001 の 4.4(指示薬)表 7(中和滴定用)による。

3.

試料はかり採り量  試料はかり採り量は,附属書 表 による。

附属書 表 1  試料はかり採り量及び塩酸 (11)  の添加量

タングステン含有率

% (m/m)

試料はかり採り量

g

塩酸 (1+1)  の添加量

ml

0.5

以上   1.0 未満 5.0

80

1.0

以上  10.0 未満 2.0

60

10.0

以上 20.0 以下 1.0

50

4.

操作

参考  警告  過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険があ

る。 

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次のいずれかによる。

(1)

塩酸・硝酸で分解容易な試料  試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩

酸 (1+1)  を試料はかり採り量に応じて

表 によって加え,加熱して分解する。硝酸 5∼10ml を加え,

煮沸してタングステンをタングステン酸とする。時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,液量

が約 15ml になるまで加熱して蒸発し,再び,時計皿で覆い,さらに,加熱して酸化窒素などを発生

させ,約 10ml になるまで濃縮する(

1

)

。室温まで放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取

り除き,塩酸 (1+1) 10ml 及び温水を加えて液量を約 100ml とする。

(

1

)

工具鋼,高速度鋼など,タングステン含有率が5% (m/m)  以上の試料の場合は,ふっ化水素酸 (1

+10) 5ml を加え,引き続き加熱して液量が約5ml になるまで濃縮する。

(2)

塩酸・硝酸で分解困難な試料  試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩

酸及び硝酸をそれぞれ 30ml ずつ加えて加熱して分解する。過塩素酸を 15ml,更に試料 1g につき 7ml

ずつ加えた後,ふっ化水素酸 1∼3ml を加えて加熱を続け,過塩素酸の白煙を発生させてクロムを酸

化し,引き続き約 5 分間白煙を発生させる。室温まで放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿

を取り除き,温水を加えて液量を約 200ml とする。

4.2

酸化タングステン (VI) の分離とひょう量  酸化タングステン(VI)の分離とひょう量は,次のいずれ

かによる。

(1)

ニオブ及びタンタルを含まない試料

(a)  4.1

(1)又は(2)で得た溶液に,シンコニン溶液  [2.(17)] 5ml を加えて加熱し,ときどき振り混ぜなが

ら,30∼60 分間約 90℃に保持する。室温まで冷却した後(

2

)

,沈殿を少量のろ紙パルプを加えたろ紙

(6 種)を用いてこし分け,温シンコニン洗浄液  [2.(18)]  で洗液に鉄イオンが認められなくなるま

で洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。沈殿は,ろ紙と共に,質量既知の白金るつぼ(30 番)に移し入

れる。ビーカーの内壁に沈殿が付着している場合は,アンモニア水で湿したろ紙(6 種)の小片で

ぬぐい取って,沈殿を入れた白金るつぼに合わせる。るつぼを穏やかに加熱して乾燥し,次第に温

度を高めて,ろ紙などを灰化した後,750∼800℃の範囲で強熱し,室温まで放冷する。硫酸 (1±1)

2

,3 滴及びふっ化水素酸 3∼5ml を加え,加熱して蒸発乾固する。


4

G 1220-1994

(b)

沈殿の入った白金るつぼを 750∼800℃の範囲で強熱し,デシケーター中で常温まで放冷して質量を

はかる。

(c)  (b)

の操作を繰り返して恒量とし,その質量から(a)で用いた質量既知の白金るつぼの質量を差し引く。

(

2

)

タングステン含有率が1% (m/m)  未満の場合は,室温で更に一夜間放置する。

(2)

ニオブ及びタンタルを含む試料

(a)  (1)(a)

の操作を行う。

(b)

沈殿の入った白金るつぼを 750∼800℃の範囲で強熱し,室温まで放冷する。炭酸カリウム(無水)

4g

を加え,加熱して融解する。室温まで放冷した後,温水約 20ml を加え,穏やかに加熱して融成

物を溶解する。

(c)

溶液をビーカー (500ml) に水を用いて移し入れ,水を加えて液量を約 200ml とし,硫酸マグネシウ

ム・塩化アンモニウム溶液  [2.(14)] 25ml を加えてよく振り混ぜ,1∼4 時間放置する。沈殿は,ろ紙

(6 種)を用いてろ過する。硫酸マグネシウム洗浄液  [2.(15)]  で 5,6 回洗浄し,ろ紙と残さは捨て

る。ろ液及び洗液をビーカー (500ml) に集め,メチルオレンジ溶液  [2.(21)]  を指示薬として 1,2

滴加え,溶液の色が黄色から赤に変わるまで塩酸を滴加した後,溶液 100ml につき,塩酸 1ml を加

える。

この溶液を煮沸するまで加熱した後,

かき混ぜながらローダミン B 溶液  [2.(19)] 20ml を加え,

1

∼2 分間煮沸して沈殿を凝集させる。しばらく静置し沈殿を沈降させた後,沈殿を少量のろ紙パル

プを加えたろ紙(6 種)を用いてこし分け,ローダミン B 洗浄液  [2.(20)]  で 5,6 回洗浄する。沈殿

を,ろ紙と共に,質量既知の白金るつぼ(30 番)に移し入れ,ビーカーの内壁に付着した沈殿は,

アンモニア水で湿したろ紙(6 種)の小片でぬぐい取って沈殿を入れたるつぼ内の沈殿に合わせる。

ろ液と洗液は捨てる。るつぼを穏やかに加熱して乾燥し,次第に温度を高め,ろ紙を灰化する。

(d)

るつぼを 750∼800℃の範囲で強熱し,デシケーター中で常温まで放冷した後,質量をはかる。

(e)  (d)

の操作を繰り返して恒量とし,その質量から(c)で用いた質量既知の白金るつぼの質量を差し引く。

4.3

不純酸化タングステン (VI) の分解及び炭酸ナトリウム不溶性不純物の定量  4.2 (1)(c)又は(2)(e)

で得た質量の約 10 倍量(約 1∼3g)の炭酸ナトリウム(無水)を 4.2 (1)(c)又は(2)(e)で恒量とした白金

るつぼに加え,加熱して融解する。室温まで放冷した後,白金るつぼ中に温水約 10ml を加え,穏やかに

加熱して融成物を溶解する。溶液をろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,白金るつぼ及びろ紙を温水でよく洗

浄し,ろ液及び洗液をビーカー (200ml) に集めて保存する。ろ紙上の残さは,ろ紙と共に,元の白金るつ

ぼに移し,穏やかに加熱して乾燥する。次第に温度を高めて,ろ紙を灰化し,以下,4.2(2)(d)及び(e)

手順に従って操作する。

4.4

不純酸化タングステン (VI) 中のクロム,モリブデン及びバナジウムの定量  不純酸化タングステン

(VI)

中のクロム,モリブデン及びバナジウムの定量は,次の手順によって行う。

(1)

定量用溶液の調製  4.3 で保存しておいた溶液を加熱して蒸発し,液量が約 70ml になるまで濃縮する。

常温まで冷却した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

(2)

クロムの定量(

3

)

(a)  (1)

で得た溶液から 20ml(

4

)

を分取してビーカー (200ml) に移し入れる。りん酸で中和し,更に 2ml

を過剰に加え,水で液量を約 60ml とした後,硫酸 (1+1) 1ml を加える。

(b)  (a)

で得た溶液を用いて,JIS G 1217 の 7.(ジフェニルカルバジド吸光光度法)の操作の項の 7.5.3

(呈色)の“ジフェニルカルバジド溶液  [7.3(10)] 3ml を正確に加えて振り混ぜ,約 1 分間静置して

から,ふっ化水素酸 (1+11) 5ml を加え,水で標線まで薄める。

”以降,7.5.4(吸光度の測定)及び

7.6

(検量線の作成)の手順に従って処理し,7.5.4 で得た吸光度と 7.6 で作成した検量線(

5

)

とからク


5

G 1220-1994

ロムの量  (Cr)  を求める。

(c)

次の式によって酸化クロム (III) の量  (Cr

2

O

3

)

を求める。

Cr

2

O

3

Cr×1.462

(

3

)

試料中にクロムが含まれる場合に行う。

(

4

)  (1)

で得た溶液中に含まれるクロムの量によっては,20ml の分取液量を増減する必要がある。

(

5

)

クロム定量用の検量線は,鉄を添加せずに作成する。

(3)

モリブデンの定量(

6

)

  (1)で得た溶液から 20ml(

7

)

を分取してビーカー (100ml) に移し入れる。塩酸を

滴加してわずかに酸性とし,鉄溶液  [2.(13)] 5ml 及び過塩素酸 2ml をそれぞれ正確に加え,時計皿で

覆い,加熱してわずかに過塩素酸の白煙が発生するまで濃縮した後,室温まで放冷し,酒石酸溶液 5ml

を加える。溶液を水酸化ナトリウム溶液で中和して,わずかにアルカリ性として酸化タングステン

(VI)

を溶解する。室温まで冷却した後,時計皿の下面を洗って時計皿を取り除く。過塩素酸を滴加し

て中和した後,更に 8ml を過剰に加え,常温まで冷却した後,溶液を 50ml の全量フラスコに水を用

いて移し入れる。以下,JIS G 1218 

附属書 2(チオシアン酸塩吸光光度法)の 4.3(呈色)∼6.(検

量線の作成)の手順に従って操作し,4.4 で得た吸光度と 6.で作成した検量線とからモリブデンの量

(Mo)

を求め,次の式によって酸化モリブデン (VI) の量  (MoO

3

)

を求める。

MoO

3

Mo×1.500

(

6

)

試料中にモりブデンが含まれる場合に行う。

(

7

)  (1)

で得た溶液中に含まれるモリブデンの量によっては,20ml の分取液量を増減する必要がある。

(4)

バナジウムの定量(

8

)

(1)

で得た溶液から 20ml(

9

)

を分取してビーカー (200ml) に移し入れる。りん酸

5ml

及び過塩素酸 20ml を加え,時計皿で覆い,加熱して過塩素酸の白煙を発生させ,ビーカーの内部

が透明になってから,更に 2∼3 分間加熱を続ける。以下,JIS G 1221 の 5.(N-BPHA 抽出吸光光度法)

における 5.5.2(二クロム酸の還元)∼5.6(検量線の作成)の手順に従って操作し,5.5.5(吸光度の測

定)で測定した吸光度と 5.6 で作成した検量線とからバナジウムの量  (V)  を求め,次の式によって酸

化バナジウム  (V)  の量  (V

2

O

5

)

を求める。

V

2

O

5

V×1.785

(

8

)

試料中にバナジウムが含まれる場合に行う。

(

9

)  (1)

で得た溶液中に含まれるバナジウムの量によっては,20ml の分取液量を増減する必要がある。

5.

空試験  試薬だけを用いて,試料と同じ操作を試料と併行して行う。

6.

計算  試料中のタングステン含有率 [W% (m/m)] を,次の式によって算出する。

100

0

793

.

0

)

100

100

100

(

m/m

%

W

0

3

5

2

4

1

3

2

1

×

×

ú

û

ù

ê

ë

é

+

×

+

×

+

×

+

=

m

m

B

m

B

m

B

m

m

m

ここに,  m

1

:  4.2 (1)(c)又は(2)(e)で得た質量 (g)

m

2

:  4.3 で得た質量 (g)

m

3

:  4.4.(2)(c)で得た酸化クロム (III) の量 (g)

B

1

:  4.4(2)(a)で分取した溶液の量 (ml)

m

4

:  4.4(3)で得た酸化モリブデン (VI) の量 (g)

B

2

:  4.4(3)で分取した溶液の量 (ml)

m

5

:  4.4(4)で得た酸化バナジウム (V) の量 (g)


6

G 1220-1994

B

3

:  4.4(4)で分取した溶液の量 (ml)

m

0

:  5.で得た質量 (g)

m

:  試料はかり採り量 (g)

7.

許容差  許容差(

10

)

は,

附属書 表 による。

附属書 表 2  許容差(

10

)

単位% (m/m)

タングステン含有率

室内再現許容差

室間再現許容差

0.5

以上  6.0 未満

D [0.004 7

× (W) +0.004 4]

D [0.008 3

× (W) +0.009 8]

6.0

以上 20.0 以下

D [0.001 2

× (W) +0.026 3]

D [0.000 1

× (W) +0.074 5]

(

10

)

許容差計算式中の は,D (n, 0.95)  を意味し,その値は,JIS Z 8402

4D (n,

0.95)

の値]による。の値は,室内再現許容差の場合は同一分析室内における

分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である。 
また, (W) は,許容差を求めるタングステン含有率 [% (m/m)] である。

参考  この許容差は,タングステン含有率 1.1% (m/m) 以上 17.1% (m/m) 以下の試料を用い,共同実

験した結果から求めたものである。


7

G 1220-1994

附属書 2  タンニン酸ニオブ共沈分離チオシアン酸塩吸光光度法

1.

要旨  試料に共沈剤としてニオブを加え,王水,過塩素酸及びふっ化水素酸で分解し,過塩素酸の白

煙を発生させてクロムを酸化した後,塩酸,亜硫酸ナトリウム及びタンニン酸を加えてタングステンをニ

オブと共に完全に沈殿させる。沈殿をこし分け,硝酸,過塩素酸,硫酸及びりん酸の混酸で分解した後,

塩化すず (II) でタングステンを還元し,チオシアン酸アンモニウムでタングステンのチオシアン酸錯体を

生成させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸 (1+1)

(2)

硝酸

(3)

過塩素酸

(4)

ふっ化水素酸 (1+3)

(5)

硫酸 (3+7)

(6)

りん酸 (1+1)

(7)

王水(塩酸 3,硝酸 1)

(8)

混酸(過塩素酸 1,硫酸 1,りん酸 1,水 1)

(9)

銅溶液  銅 1.0g を硝酸 20ml で分解し,過塩素酸 20ml を加え,加熱して白煙を発生させる。室温まで

放冷した後,水約 50ml で塩類を溶解し,水で液量を 100ml とする。

(10)

ニオブ溶液 (5mgNb/ml)   ニオブ 5.00g をはかり採って白金皿 (100ml) に移し入れ,硝酸 20ml を加

え,ふっ化水素酸を滴加して分解し,室温まで冷却した後,ふっ化水素酸 (1±10)  で液量を 1 000ml

とする。この溶液は,ポリエチレン製容器に保存する。

(11)

塩化すず (II) 溶液  塩化すず (II) 二水和物 35g を塩酸 100ml に溶解し,塩酸で液量を 500ml とする。

この溶液は,使用の都度調製する。

(12)

亜硫酸ナトリウム溶液  亜硫酸ナトリウム七水和物 100g を水に溶解し,水で液量を 100ml とする。

この溶液は,使用の都度調製する。

(13)

よう化カリウム溶液  (300g/l)    この溶液は,使用の都度調製する。

(14)

過マンガン酸カリウム溶液  (3g/l)

(15)

チオシアン酸アンモニウム溶液  (200g/l)

(16) L (

)  −アスコルビン酸溶液  (10g/l)  この溶液は,使用の都度調製する。

(17)

タンニン酸溶液  (10g/l)  この溶液は,使用の都度調製する。

(18)

タンニン酸洗浄液  塩酸 (1+100) 1 000ml に,タンニン酸溶液  [(17)] 10ml を加える。この溶液は,使

用の都度調製する。

(19)

しゅう酸アンモニウム溶液(飽和,約 50g/l

(20)

標準モリブデン溶液  (1.0mgMo/ml)    モリブデン[99.9% (m/m)  以上]1.00g をはかり採ってビーカー

(300ml)

に移し入れ,時計皿で覆い,混酸(硝酸 1,硫酸 1,水 2)10ml を加え,加熱して分解する。

時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,再び加熱して硫酸の白煙を発生させる。室温まで放冷


8

G 1220-1994

した後,水約 30ml を加えて塩類を溶解し,常温まで冷却する。溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を

用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

(21)

標準バナジウム溶液  (1.0mgV/ml)    バナジン酸アンモニウム (NH

4

VO

3

) 0.229 6g

をはかり採ってビー

カー (100ml) に移し入れ,時計皿で覆い,水約 50ml を加えて加熱して溶解する。常温まで冷却した

後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入

れ,水で標線まで薄める。

(22)

標準タングステン溶液  (1.0mgW/ml)    タングステン酸ナトリウム二水和物 (Na

2

WO

4

・2H

2

O) 1.794g

を水約 300ml に溶解し,溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

3.

試料はかり採り量  試料はかり採り量は,附属書 表 による。

附属書 表 1  試料はかり採り量

タングステン含有率

% (m/m)

試料はかり採り量

g

0.05

以上 2.0 未満 1.0

2.0

以上 4.0 未満 0.50

4.0

以上 7.0 以下 0.20

4.

操作

参考  警告  過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険があ

る。

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,はかり採った試料中のニオブ量が 5mg 以下の場合

には,ニオブ溶液  [2.(10)] 1.0ml を加える。時計皿で覆い,王水 30ml を加え,加熱して分解する。過

塩素酸 20∼30ml 及びふつ化水素酸 1ml を加え,引き続き加熱して過塩素酸の白煙を発生させ,クロ

ムを酸化した後,さらに,5∼10 分間加熱する。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて塩類を溶解

し,塩酸 (1+1) 10ml を加え,水で液量を約 100ml とする。亜硫酸ナトリウム溶液  [2.(12)] 20ml,タン

ニン酸溶液  [2.(17)] 10ml 及びろ紙(6 種)の小片を加え,加熱して約 5 分間煮沸する。約 30 分間放置

した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,沈殿をろ紙(6 種)を水中で細かく砕いたろ

紙パルプを用いてこし分け,タンニン酸洗浄液  [2.(18)]  で 5,6 回洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。

(2)

沈殿をろ紙パルプと共に元のビーカーに移し入れ,時計皿で覆い,混酸 20ml 及び硝酸 30ml を加え,

加熱してろ紙などを分解する(

1

)

。時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,引き続き加熱して硫

酸白煙を発生させ,さらに,1∼2 分間加熱する。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて振り混ぜ,

常温まで冷却する。溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(

2

)

(

1

)

ろ紙の分解が不完全なときは,硝酸を適宜添加して分解する。

なお,ろ紙が未分解の間は,必ず硝酸が溶液中に残存するようにして,過塩素酸と有機物と

の反応による爆発を防止しなければならない。

(

2

)

この溶液は,2 時間以上放置してはならない。

4.2

呈色  呈色は,次のいずれかによる。

(1)

タングステン含有率が 0.25% (m/m)  未満の試料

(a)  4.1(2)

で得た溶液を 20ml 分取してビーカー (100ml) に移し入れ,時計皿で覆い,加熱して液量が 5ml


9

G 1220-1994

以下になるまで濃縮し,常温まで冷却する。

(b)

溶液をあらかじめ乾燥してある 100ml の全量フラスコに塩化すず (II) 溶液  [2.(11)] 40ml を用いて

移し入れ,60℃の水浴中で 10 分間加熱する。

(c)

しゅう酸アンモニウム溶液(飽和)10ml を加え,流水中で常温まで冷却した後,チオシアン酸アン

モニウム溶液 10ml を加え,水で標線まで薄め,15∼20℃の水浴中に 10 分間放置する。

(2)

タングステン含有率が 0.25% (m/m) 以上の試料  4.1(2)で得た溶液 5ml を分取して,あらかじめ乾燥

してある 100ml の全量フラスコに移し入れ,塩化すず (II) 溶液  [2.(11)] 40ml を加え,60℃の水浴中で

10

分間加熱する。以下,(1)(c)の操作を行う。

4.3

吸光度の測定  4.2 (1)(c)又は(2)で得た呈色溶液の一部を,呈色後 20 分以内に光度計の吸収セル (

10mm)

に移し入れ,水を対照液として波長 400nm 付近の吸光度を測定する(

3

)

(

3

)  4.2

(1)(a)又は(2)で分取した溶液中に,モリブデンが0.25mg 以上及び/又はバナジウムが

0.02mg

以上共存する場合には,ここで得た吸光度を7.によって得た補正値で補正する。

5.

空試験  試薬だけを用いて,試料と同じ操作を試料と併行して行う。

6.

検量線の作成  7 個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに標準タングステン溶液  [2.(22)]  を正確

に,0,2,4,8,12,16,20ml(タングステンとして 0∼20mg)取り,混酸 20ml を加え,加熱して硫酸

の白煙を発生させ,さらに,1∼2 分間加熱する。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて振り混ぜる。

常温まで冷却した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。これら

の溶液を 20ml ずつ分取してビーカー (100ml) に移し入れ,時計皿で覆い,加熱して液量が 5ml になるま

で濃縮して常温まで冷却する。以下,4.2(1)(b)及び(c)並びに 4.3 の手順に従って試料と併行して操作し,

得た吸光度と呈色溶液中のタングステン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動

して検量線とする。

7.

妨害元素吸光度補正値の測定

7.1

モリブデン吸光度補正値の測定  モリブデン吸光度補正値の測定は,次の手順によって行う。

(1)

モリブデンの定量

(a)  4.1(2)

で得た溶液 5ml を分取して 100ml の全量プラスコに移し入れ,硫酸 (3+7) 25ml を加えて振り

混ぜ,さらに,チオシアン酸アンモニウム溶液 10ml を加えて振り混ぜる。次に,よう化カリウム

溶液  [2.(13)] 10ml を加えて振り混ぜ,20∼25℃で 5 分間放置した後,L (+)  −アスコルビン酸溶液

[2.(16)] 0.5ml

を加えて振り混ぜ,20∼25℃の水で標線まで薄めて約 10 分間放置する。この呈色溶液

の一部を,光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として波長 460nm 付近における吸光度を

測定する。

(b)  7

個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに標準モリブデン溶液  [2.(20)]  を正確に,0,1,2,4,

6

,8,10ml(モリブデンとして 0∼10mg)取り,混酸 20ml を加え,加熱して硫酸の白煙を発生さ

せ,さらに,2∼5 分間加熱を続ける。室温まで放冷した後,水 50ml を加えて塩類を溶解する。常

温まで冷却した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。こ

れらの溶液から 5ml ずつ分取してそれぞれの 100ml の全量フラスコに移し入れ,硫酸 (3+7) 25ml

を加えて振り混ぜ,さらに,チオシアン酸アンモニウム溶液 10ml を加えて振り混ぜる。次に,よ

う化カリウム溶液  [2.(13)] 10ml を加えて振り混ぜ,20∼25℃で 5 分間放置した後,L (+)  −アスコ


10

G 1220-1994

ルビン酸溶液  [2.(16)] 0.5ml を加えて振り混ぜ,

20

∼25℃の水で標線まで薄めて約 10 分間放置する。

この呈色溶液の一部を,光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として波長 460nm 付近にお

ける吸光度を測定し,得た吸光度と呈色溶液中のモリブデン量との関係線を作成して検量線とする。

(c)  (a)

で得た吸光度と(b)で作成した検量線とからモリブデン量を求める。

(2)

吸光度補正値の読取り

(a)  7

個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに標準モリブデン溶液  [2.(20)]  を正確に,0,1,2,4,

6

,8,10ml(モリブデンとして 0∼10mg)取り,混酸 20ml を加え,加熱して硫酸の白煙を発生さ

せ,更に 1∼2 分間加熱する。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて振り混ぜる。常温まで冷却

した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。これらの溶液

を 5ml ずつ分取して,あらかじめ乾燥してある 100ml の全量フラスコに移し入れ,塩化すず (II) 溶

液  [2.(11)] 40ml を加え,60℃の水浴中で 10 分間加熱する。以下,4.2(1)(c)及び 4.3 の手順に従って

操作し,得た吸光度と呈色溶液中のモリブデン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るよ

うに平行移動してモリブデン吸光度補正線とする。

(b)  (a)

で得た補正線と(c)で求めたモリブデンの量とから(1)(a)で分取した溶液中のモリブデン量に相当

する吸光度を求め,モリブデンによる吸光度補正値とする。

7.2

バナジウム吸光度補正値の測定  バナジウム吸光度補正値の測定は,次の手順によって行う。

(1)

バナジウムの定量

(a)  4.1(2)

で得た溶液 10ml を分取して分液漏斗 (200ml) に移し入れ,りん酸 (1+1) 7m1 及び銅溶液

[2.(9)] 1ml

を加える。溶液を振り混ぜながら過マンガン酸カリウム溶液を滴加してわずかに赤紫を

呈してから,更に 0.05ml を過剰に加えて 5 分間静置する。

(b)

以下,JIS G 1221 の 5.の 5.5.4(呈色)∼5.6 の手順に従って操作し,5.5.5 で得た吸光度と 5.6 で作

成した検量線とからバナジウム量を求める。

(2)

吸光度補正値の読取り

(a)  7

個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに標準バナジウム溶液  [2.(21)]  を正確に,0,1,2,4,

6

,8,10ml(バナジウムとして 0∼10mg)取り,混酸 20ml を加え,加熱して硫酸の白煙を発生さ

せ,更に 1∼2 分間加熱する。室温まで放冷した後,水約 50ml を加えて振り混ぜる。常温まで冷却

した後,溶液を 100ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。これらの溶液

から 10ml ずつ分取してビーカー (100ml) に移し入れ,時計皿で覆い,加熱して液量が 5ml になる

まで濃縮し,常温まで冷却する。以下,4.2(1)(b)及び(c)並びに 4.3 の手順に従って操作し,得た吸

光度と呈色溶液中のバナジウム量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動し

てバナジウム吸光度補正線とする。

(b)  (a)

で得た補正線と(1)(b)で求めたバナジウム量とから 7.2(1)(a)で分取した溶液中のバナジウム量に

相当する吸光度を求め,バナジウムによる吸光度補正値とする。

7.3

吸光度の補正  吸光度の補正は,次のいずれかによる。

(1)

タングステン含有率が 0.25% (m/m)  未満の試料

A

A

1

− [(A

2

×4)  +  (A

3

×2)]

ここに,

A

:  4.2(1)(a)で試料溶液を 20ml 分取した場合のタングステンだけ

の吸光度

A

1

:  4.2(1)(a)で試料溶液を 20ml 分取した場合の 4.3 で得た吸光度

A

2

:  7.1(1)(a)で試料溶液を 5ml 分取した場合の 7.1(2)(b)で得たモ

リブデン吸光度補正値


11

G 1220-1994

A

3

:  7.2(1)(a)で試料溶液を 10ml 分取した場合の 7.2(2)(b)で得たバ

ナジウム吸光度補正値

(2)

タングステン含有率が 0.25% (m/m)  以上の試料

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

2

3

2

1

A

A

A

A

ここに,

A

:  4.2(2)(a)で試料溶液を 5ml 分取した場合のタングステンだけ

の吸光度

A

1

:  4.2(2)(a)で試料溶液を 5ml 分取した場合の 4.3 で得た吸光度

A

2

:  7.1(1)(a)で試料溶液を 5ml 分取した場合の 7.1(2)(b)で得たモ

リブデン吸光度補正値

A

3

:  7.2(1)(a)で試料溶液を 10ml 分取した場合の 7.2(2)(b)で得たバ

ナジウム吸光度補正値

8.

計算  計算は,次のいずれかによる。

(1)

(

3

)

の補正を行わない場合  4.3 及び 5.で得た吸光度と 6.で作成した検量線とからタングステン量を

求め,試料中のタングステン含有率 [W% (m/m)] を次の式によって算出する。

100

/

m/m

W%

0

1

B

m

m

m

×

=

ここに,  m

1

:  分取した試料溶液中のタングステン検出量 (g)

m

0

:  分取した空試験液中のタングステン検出量 (g)

m

:  試料はかり採り量 (g)

B

:  試料溶液及び空試験溶液の分取量 (ml)

(2)

(

3

)

の補正を行った場合  7.3 (1)又は(2)で得たタングステンだけの吸光度及び 5.で得た吸光度と 6.

で作成した検量線とからタングステン量を求め,試料中のタングステン含有率 [W% (m/m)] を次の式

によって算出する。

100

/

m/m

W%

0

1

B

m

m

m

×

=

ここに,  m

1

:  分取した試料溶液中のタングステン検出量 (g)

m

0

:  分取した空試験液中のタングステン検出量 (g)

m

:  試料はかり採り量 (g)

B

:  試料溶液及び空試験溶液の分取量 (ml)

9.

許容差  許容差(

4

)

は,

附属書 表 による。

附属書 表 2  許容差(

4

)

単位% (m/m)

タングステン含有率

室内再現許容差

室間再現許容差

0.05

以上 1.0 未満

D [0.009 3

× (W) +0.001 9]

D [0.013 5

× (W) +0.003 9]

1.0

以上 7.0 以下

D [0.008 7

× (W) +0.004 6]

D [0.014 2

× (W) −0.003 4]

(

4

)

許容差計算式中の は,D (n, 0.95)  を意味し,その値は,JIS Z 8402

4による。

n

の値は,室内再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許

容差の場合は分析に関与した分析室数である。 
また, (W) は,許容差を求めるタングステン含有率 [% (m/m)] である。

参考  この許容差は,タングステン含有率 0.05% (m/m) 以上 7.0% (m/m) 未満の試料を用いて共同実

験した結果から求めたものである。


12

G 1220-1994

附属書 3  モリブデン分離テトラフェニルアルソ 

ニウムクロリド・チオシアン酸塩抽出 

吸光光度法

1.

要旨  試料を王水で分解し,硫酸及びりん酸を加え,硫酸の白煙を発生させた後,塩酸の濃度を調節

し,モリブデンをイソプロピルエーテルで抽出して分離する。塩化すず (II) を加えてタングステンを還元

した後,しゅう酸,テトラアルソニウムクロリド(以下,TPAC という。

)及びチオシアン酸カリウムを加

え,生成する TPAC・チオシアン酸・タングステン錯体をクロロホルムに抽出し,光度計を用いて,その

吸光度を測定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸  (2+1)

(2)

王水(塩酸 3,硝酸 1)

(3)

混酸(硫酸 1,りん酸 1,水 1)

(4)

鉄  できるだけ純度の高い鉄で,タングステンを含有しないか,又はタングステン含有率ができるだ

け低く,既知であるもの。

(5)

鉄溶液  (1mgFe/ml)    鉄  [(4)] 0.100g を王水 10ml で加熱して分解し,混酸 15ml を加え,加熱して 2∼

3

分間硫酸の白煙を発生させる。室温まで放冷した後,塩酸 (2+1)  約 50ml を加えて塩類を溶解する。

常温まで冷却した後,溶液を 100ml の全量フラスコに塩酸 (2+1)  を用いて移し入れ,塩酸 (2+1)  で

標線まで薄める。

(6)

塩化すず (II) 溶液  塩化すず (II) 二水和物 20g を塩酸 (2+1)  約 30ml に溶解し,塩酸 (2+1)  で液

量を 100ml とする。この溶液は,使用の都度調製する。

(7)

チオシアン酸カリウム溶液  (150g/l)

(8)

しゅう酸溶液  しゅう酸 15g を塩酸 (2+1) 500ml に溶解する。

(9)  TPAC

溶液  TPAC [(C

6

H

5

)

4

AsCl] 1g

を水 100ml に溶解する。

(10)

イソプロピルエーテル

(11)

クロロホルム

(12)

標準タングステン溶液  (1.0mgW/ml)    タングステン酸ナトリウム二水和物 (Na

2

WO

4

・2H

2

O) 1.794g

をはかり採り,温水約 100ml に溶解した後,常温まで冷却し,溶液を 1 000ml の全量フラスコに水を

用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

3.

試料はかり採り量  試料はかり採り量は,附属書 表 による。


13

G 1220-1994

附属書 表 1  試料はかり採り量及び試料溶液の分取量

タングステン含有率

% (m/m)

試料はかり採り量

g

試料溶液の分取量

ml

 0.01

以上 0.40 未満 0.50

 0.40

以上 1.0  未満 0.20

 1.0

以上 2.0  未満

10

 2.0

以上 4.0  未満 5

 4.0

以上 7.0  以下

0.10

2

4.

操作

4.1

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

(1)

試料をはかり採ってビーカー (100ml) に移し入れる。

(2)

時計皿で覆い,王水 10ml を加え,加熱して分解する。混酸 15ml を加え,加熱して濃縮する。時計皿

の下面を水で洗って取り除き,

再び加熱して 2∼3 分間硫酸の白煙を発生させた後,

室温まで放冷する。

塩酸 (2+1)  約 30ml を加えてよく振り混ぜ,再び時計皿で覆い,穏やかに加熱して塩類を溶解する。

常温まで冷却した後,時計皿の下面を塩酸 (2+1)  で洗って時計皿を取り除き,溶液を 100ml の全量

フラスコに塩酸 (2+1)  を用いて移し入れ,塩酸 (2+1)  で標線まで薄める。

4.2

モリブデンの分離  モリブデンの分離は,次の手順によって行う。

(1)  4.1 (2)

で得た溶液を

表 に従って分取する(

1

)

(2)

分取した溶液を分液漏斗 (100ml) に移し入れる。

分取量が 5ml の場合は,

鉄溶液  [2.(5)]  を正確に 5ml,

分取量が 2ml の場合は,鉄溶液  [2.(5)]  を正確に 8ml 加える。イソプロピルエーテル 20ml を加え,10

∼15 秒間激しく振り混ぜる。静置して二層に分離した後,下層の水相をビーカー (100ml) に移し入れ,

分液漏斗内を塩酸 (2+1) 5ml で 2 回洗浄し,その都度,水相を先のビーカー (100ml) に合わせる。有

機相は捨てる。

(

1

)

分取した溶液中のモリブデン量が0.4mg 未満の場合には,

附属書31に従って分取した試料溶

液を直接ビーカー (100ml) に移し入れ,次の(2)の操作を省略し,4.3の手順に移る。

4.3

呈色及び抽出  呈色及び抽出は,次の手順によって行う。

(1)  4.2(2)

で得た溶液に塩化すず (II) 溶液  [2.(6)] 10ml を加えて振り混ぜる。

(2)

時計皿で覆い,熱板上で加熱し,煮沸による気泡が出始めたら,直ちに熱板から降ろし,常温まで冷

却する。溶液を分液漏斗 (200ml) に移し入れ,ビーカー内をしゅう酸溶液  [2.(8)] 30ml で洗って洗液

を分液漏斗に合わせた後,TPAC 溶液  [2.(9)]  を正確に 1.6ml 加え,1 分間激しく振り混ぜる。チオシ

アン酸カリウム溶液 3ml を加えて振り混ぜた後,クロロホルムを正確に 20ml 加え,1 分間激しく振り

混ぜた後,静置する。

4.4

吸光度の測定  4.3(2)で得た下層の有機相を乾いたろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,その一部を光度

計の吸収セル (10mm) に移し入れ,クロロホルムを対照液として波長 404nm 付近における吸光度を 4.3(2)

の操作終了後 10 分間以内に測定する。

5.

空試験  4.1(1)ではかり採った試料と同量の鉄  [2.(4)]  をはかり採ってビーカー (100ml) に移し入れ,

以下,4.1(2)4.4 の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。

6.

検量線の作成  検量線の作成は,次の手順によって行う。


14

G 1220-1994

(1)  7

個のビーカー (100ml) を準備し,それぞれに鉄  [2.(4)]  を 0.200g ずつはかり採って移し入れ,標準

タングステン溶液  [2.(12)]  を正確に,0,0.2,0.4,0.8,1.2,1.6,2.0ml(タングステンとして 0∼2.0mg)

加える。時計皿で覆い,王水 10ml を加え,加熱して分解する。さらに,混酸 15ml を加え,加熱して

濃縮する。時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,再び加熱して 2∼3 分間硫酸の白煙を発生さ

せた後,室温まで放冷する。塩酸 (2+1) 30ml を加えてよく振り混ぜ,再び時計皿で覆い,穏やかに

加熱して塩類を溶解し,常温まで冷却した後,時計皿の下面を塩酸 (2+1)  で洗って時計皿を取り除

き,100ml の全量フラスコに塩酸 (2+1)  を用いて移し入れ,塩酸 (2+1)  で標線まで薄める。

(2)  (1)

で得た溶液から 10ml を分取して(

2

)

分液漏斗 (100ml) に移し入れる。イソプロピルエーテル 20ml

を加え,10∼15 秒間激しく振り混ぜる。静置して二層に分離した後,下層の水相をビーカー (100ml) に

移し入れ,分液漏斗内を塩酸 (2+1) 5ml で 2 回洗浄し,その都度,水相を先のビーカー (100ml) に合

わせる。有機相は捨てる。

(3)

塩化すず (II) 溶液  [2.(6)] 10ml を加えて振り混ぜた後,4.3(2)及び 4.4 の手順に従って試料と併行して

操作し,得た吸光度と呈色溶液中の標準タングステン溶液として加えたタングステン量との関係線を

作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

(

2

)

(

1

)

を適用した場合は,直接,ビーカー (100ml) に移し入れて,次の(3)の操作に移る。

7.

計算  4.4 及び 5.で得た吸光度と 6.で作成した検量線とからタングステン量を求め,試料中のタングス

テン含有率 [W% (m/m)] を次の式によって算出する。

2

0

1

100

100

/

m/m

W%

m

B

m

m

m

+

×

×

=

ここに,  m

1

:  分取した試料溶液中のタングステン検出量 (g)

m

0

:  分取した空試験液中のタングステン検出量 (g)

m

:  試料はかり採り量 (g)

B

:  試料溶液及び空試験溶液の分取量 (ml)

m

2

:  鉄  [2.(4)]  中のタングステン含有率 [% (m/m)]

8.

許容差  許容差(

3

)

は,

附属書 表 による。

附属書 表 2  許容差(

3

)

単位% (m/m)

タングステン含有率

室内再現許容差

室間再現許容差

 0.01

以上 1.0 未満

D [0.006 4

× (W) +0.000 9]

D [0.020 9

× (W) −0.000 1]

 1.0

以上 7.0 以下

D [0.008 1

× (W) −0.000 9]

D [0.008 2

× (W) +0.024 7]

(

3

)

許容差計算式中の は,D (n, 0.95)  を意味し,その値は,JIS Z 8402

4による。

n

の値は,室内再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許

容差の場合は分析に関与した分析室数である。

また, (W) は,許容差を求めるタングステン含有率 [% (m/m)] である。

参考  この許容差は,タングステン含有率 0.05% (m/m) 以上 7.0% (m/m) 以下の試料を用いて共同実

験した結果から求めたものである。


15

G 1220-1994

原案作成委員会  構成表

(1)

  社団法人日本鉄鋼協会標準化委員会 JE4 分科会

氏名

所属

(主査)

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社

(委員)

大  磯  義  和

工業技術院標準部

大  野  義  信

新日本製鐵株式会社

土  屋  武  久

新日本製鐵株式会社

船  曳  佳  弘

日本鋼管株式会社

磯  部      健

日本鋼管株式会社

岡  野  輝  雄

川崎製鉄株式会社(編集 WG 兼務)

滝  沢  佳  郎

川鉄テクノリサーチ株式会社

蔵  保  浩  文

住友金属工業株式会社

山  下  良  一

住友金属工業株式会社

金  子  晃  司

株式会社神戸製鋼所

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

伊  藤  清  孝

大同特殊鋼株式会社

藤  田  昇  平

日新製鋼株式会社

余  語  英  俊

愛知製鋼株式会社

永  井  宣太郎

日本冶金工業株式会社

(編集 WG)

稲  本      勇

新日本製鐵株式会社

吉  川  裕  泰

日本鋼管株式会社

(幹事)

小  野  昭  紘

新日本製鐵株式会社(編集 WG 兼務)

柿  田  和  俊

社団法人日本鉄鋼協会(編集 WG 兼務)

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会(編集 WG 兼務)

(2)

  社団法人日本鉄鋼協会鉄鋼 JIS 三者委員会鉄鋼分析 JIS 三者小員会

氏名

所属

(委員長)

大河内  春  乃

科学技術庁金属材料技術研究所

(委員)

青  柳  挂  一

通商産業省基礎産業局

服  部  幹  雄

工業技術院標準部

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

藤  貫      正

社団法人日本分析化学会

広  川  吉之助

東北大学金属材料研究所

永  山      宏

日立マテリアルエンジニア株式会社

束  原      巌

古河電気工業株式会社

橋  本      勝

株式会社日産アーク

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

岡  野  輝  雄

川崎製鉄株式会社

蔵  保  浩  文

住友金属工業株式会社

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

成  田  正  尚

大同特殊鋼株式会社

藤  田  昇  平

日新製鋼株式会社

(幹事)

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社

(事務局)

柿  田  和  俊

社団法人日本鉄鋼協会

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会