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G 1201

:2014

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

2

4

  一般事項  

4

4.1

  共通一般事項  

4

4.2

  個別一般事項  

4

5

  試料の採取,調製及び取扱い  

4

5.1

  分析用試料の採取及び調製  

4

5.2

  分析用試料の取扱い  

4

5.3

  化学分析方法の分析試料のはかりとり  

4

5.4

  機器分析方法の分析試料の調製  

4

6

  分析値のまとめ方  

5

6.1

  空試験  

5

6.2

  分析回数  

5

6.3

  分析値の採択  

5

6.4

  分析値の表示  

5

7

  化学分析方法の許容差の取扱い方  

5

7.1

  化学分析方法の許容差  

5

7.2

  分析値の精確さの検討  

5

7.3

  許容差が規定されていない場合の取扱い方  

7

7.4

  許容差の判定方法  

7

8

  化学分析方法による定量値の計量計測トレーサビリティ  

7

9

  機器分析方法による定量値の計量計測トレーサビリティ  

7

10

  鉄鋼分析法規格群の規格の様式  

8

附属書 A(参考)鉄鋼分析法規格群の規格作成における参考情報  

9

附属書 B(規定)国際一致規格における引用された ISO 規格による規定についての取扱い  

16


G 1201

:2014

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS G 1201:2001 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 G

1201

:2014

鉄及び鋼−分析方法通則

Iron and steel-General rules for analytical methods

適用範囲 

この規格は,日本工業規格(JIS)の鉄及び鋼の各成分定量方法及び分析方法を規定した規格並びにニッ

ケルクロム鉄合金の分析方法を規定した規格(以下,鉄鋼分析法規格群という。

)における鉄,鋼及びニッ

ケルクロム鉄合金の分析方法に関する一般的な事項について規定する。

なお,この規格における鉄とは,せん鉄及び鋳鉄をいい,鋼とは,炭素鋼,低合金鋼,高合金鋼(ステ

ンレス鋼を含む。

)などをいう。純鉄及び軟鉄は,鋼に含まれるものとする。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0203

  鉄鋼用語(製品及び品質)

JIS G 0404

  鋼材の一般受渡し条件

JIS G 0417

  鉄及び鋼−化学成分定量用試料の採取及び調製

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0113

  電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則

JIS K 0115

  吸光光度分析通則

JIS K 0116

  発光分光分析通則

JIS K 0117

  赤外分光分析方法通則

JIS K 0119

  蛍光X線分析通則

JIS K 0121

  原子吸光分析通則

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

JIS K 0970

  ピストン式ピペット

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製体積計

JIS Z 2613

  金属材料の酸素定量方法通則

JIS Z 2615

  金属材料の炭素定量方法通則

JIS Z 2616

  金属材料の硫黄定量方法通則

JIS Z 8101-1

  統計−用語と記号−第 1 部:確率及び一般統計用語

JIS Z 8301

  規格票の様式及び作成方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方


2

G 1201

:2014

JIS Z 8402-1

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定義

JIS Z 8402-2

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法

JIS Z 8402-3

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 3 部:標準測定方法の中間精度

JIS Z 8402-6

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

JIS Z 8801-1

  試験用ふるい−第 1 部:金属製網ふるい

ISO/R 377

,Selection and preparation of samples and test pieces for wrought steel

ISO 377:1985

,Wrought steel−Selection and preparation of samples and test pieces

ISO 377-2:1989

,Selection and preparation of samples and test pieces of wrought steels−Part 2: Samples for

the determination of the chemical composition

ISO 385

,Laboratory glassware−Burettes

ISO 385-1:1984

,Laboratory glassware−Burettes−Part 1: General requirements

ISO 648:1977

,Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042

,Laboratory glassware−One-mark volumetric flasks

ISO 3696

,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods

ISO 4800

,Laboratory glassware−Separating funnels and dropping funnels

ISO 14284

,Steel and iron−Sampling and preparation of samples for the determination of chemical

composition

用語及び定義 

この規格及び鉄鋼分析法規格群で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0203JIS G 0417JIS K 0050JIS 

Z 8101-1

JIS Z 8301 及び JIS Z 8402-1 によるほか,次による。また,鉄鋼分析法規格群での操作に用い

る用語の説明を

附属書 に示す。

注記  JIS K 0050 の箇条 3(用語及び定義)には,JIS K 0211JIS K 0212JIS K 0213JIS K 0214

JIS K 0215

及び JIS K 0216 の分析化学用語の各規格が引用されているので,この規格でもこれ

ら分析化学用語の各規格の定義が適用される。

3.1 

化学分析方法 

試料に化学反応を起こさせ,重量法

1)

,ガス容量法,滴定法

2)

,吸光光度分析法,原子吸光分析法,誘

導結合プラズマ[ICP

3)

]発光分光分析法,赤外線吸収法,熱伝導度法などによって分析対象成分を定量す

る方法の総称。

注記  滴定法,吸光光度分析法,原子吸光分析法及び誘導結合プラズマ発光分光分析法は,JIS K 0211

に定義されている。

1)

  JIS K 0211 には,“重量分析”が定義されているが,鉄鋼分析法規格群では他の分析法の用語と

整合させるため,

“重量分析”の代わりに“重量法”を用いる。

2)

  鉄鋼分析法規格群では,滴定法の種類として,酸塩基滴定法,酸化還元滴定法及び錯滴定法並

びにそれらの逆滴定法,及び電位差滴定法が採用されている。これらの滴定法は,JIS K 0211

に定義されている。

3)

 ICP は,誘導結合プラズマの略称として JIS K 0116 に定義されている。


3

G 1201

:2014

3.2 

機器分析方法 

スパーク放電発光分光分析法又は蛍光 X 線分析法によって分析対象成分を定量する方法の総称。

注記  スパーク放電発光分光分析法は,JIS K 0212 に定義されていて,スパーク放電は,JIS K 0116

に定義されている。蛍光 X 線分析法は,JIS K 0211 に定義されている。

3.3 

ガス容量法 

分析対象成分を気体状の化合物又は単体とし,その生成物の体積量を測定するか,又は反応・吸収させ

て減じた体積量を測定して分析対象成分の定量を行う分析方法。

3.4 

目視滴定法 

指示薬の色の変化を目視して滴定終点を判定する滴定法。通常は,単に滴定法というが,電位差滴定法

との区別を要する場合には目視滴定法という。

3.5 

赤外線吸収法 

試料を分析セルに送り,赤外線光の分析セル通過での吸光量を測定して定量を行う分析方法。

鉄鋼分析法規格群では,試料中の分析対象成分をガス状化合物に変換して分析セルに送り,そのガス状

化合物による吸光量を測定して分析対象成分の定量を行う分析方法。

3.6 

熱伝導度法 

試料から生じたガスを検出器に流し,基準ガスとの熱伝導度の違いによって生じる,検出器中の加熱フ

ィラメントの電気抵抗の変化を測定してガス組成を定量する分析方法。

3.7 

空試験 

一般に試料を用いないで,試料を用いたときと同様の操作をする試験。

鉄鋼分析法規格群では,吸光光度分析法,原子吸光分析法などの検量線を作成する方法においては,試

料の代わりに高純度鉄を用いて試料と同様の操作をする試験をいう。空試験によって調製した液を空試験

液という。

注記  空試験は,JIS K 0211 には第一文だけが定義として示されている。

3.8 

ゼロメンバー 

検量線用溶液において,分析対象成分の標準液を添加していない溶液。

3.9 

(接頭語)熱 

酸などの溶液試薬について,60  ℃以上の温度とした状態に用いる接頭語。

“熱硝酸”などのように用い

る。

3.10 

(接頭語)温 

酸などの溶液試薬について,40  ℃∼60  ℃の温度とした状態に用いる接頭語。

“温塩酸(2+100)

”など

のように用いる。


4

G 1201

:2014

一般事項 

4.1 

共通一般事項 

鉄鋼分析法規格群に共通な一般事項は,JIS K 0050 によるほか,次による。

a)

鉄鋼分析法規格群の中で,国際一致規格として作成された規格において,引用された ISO 規格による

規定についての取扱いは,

附属書 による。

b)

全量ピペット及びビュレット  鉄鋼分析法規格群で用いる全量ピペット及びビュレットは,特に指定

がない場合は,JIS R 3505 のクラス A のものを用いる。

なお,自動ビュレットは,自動ビュレットによる指定滴下量の繰り返し測定(体積換算値)の標準

偏差の 2 倍の値が,JIS R 3505 に規定されている,その指定滴下量(体積)でのクラス A の許容誤差

内であれば,自動ビュレットを全量ピペット及び/又はビュレットの代わりに使用できる。

c) 

全量フラスコ  鉄鋼分析法規格群で用いる全量フラスコは,特に指定がない場合は,JIS R 3505 のク

ラス A の受用のものを用いる。

d) 

はかり  化学分析用の分析試料などのはかりとりに用いるはかりは,特に指定がない場合は,最小読

取値が 0.1 mg 以下で,国家標準とトレーサビリティが得られている分銅によって校正された,化学は

かり又は電子はかりとする。

e) 

ふるい  試料の粒度調節に用いるふるいは,特に指定がない場合は,JIS Z 8801-1 による。

f) 

水  鉄鋼分析法規格群で定量操作に用いる水は,特に指定がない場合は,JIS K 0557 に規定する種別

A3 又は A4 の水を用いる。

4.2 

個別一般事項 

各分析方法における一般事項は,JIS K 0113JIS K 0115JIS K 0116JIS K 0117JIS K 0119JIS K 0121

JIS Z 2613

JIS Z 2615 又は JIS Z 2616 による。

試料の採取,調製及び取扱い 

5.1 

分析用試料の採取及び調製 

分析用試料の採取及び調製は,JIS G 0417 による。

5.2 

分析用試料の取扱い 

調製された分析用試料の表面に油などが付着しているおそれがあるときは,エタノール,アセトンなど

で洗って清浄にする。

5.3 

化学分析方法の分析試料のはかりとり 

化学分析方法の分析試料は,5.1 で採取・調製した分析用試料から,4.1 d) に規定されたはかりを用いて,

はかりとった試料の組成が分析用試料の平均組成となるように,かつ,その質量が化学分析方法を規定し

た鉄鋼分析法規格群の各規格に規定しているはかりとり量の表示桁に丸めたときに規定を満たすようには

かりとり,その質量を 0.1 mg の桁まで読み取る。ただし,熱的分析方法においては,1 mg の桁までの読

取りでよく,この場合に用いるはかりは,4.1 d) の規定を満たさなくてもよい。

注記  熱的分析方法は,JIS G 0417 に定義されている。

5.4 

機器分析方法の分析試料の調製 

機器分析方法の分析試料は,5.1 で採取・調製した塊状の分析用試料を機器分析方法の個別規格に記載す

る方法に従って調製する。


5

G 1201

:2014

分析値のまとめ方 

6.1 

空試験 

化学分析方法による分析においては,鉄鋼分析法規格群の各規格に空試験の規定がなくても,全操作を

通じて空試験を行い,分析値を補正する。

6.2 

分析回数 

分析回数は,分析依頼者からの要求による。要求がない場合は,JIS Z 8402-6 によるのが望ましい。た

だし,7.2 a) の真度の検討を行って分析値の妥当性が確認されれば,1 回の分析でもよい。

6.3 

分析値の採択 

化学分析方法による分析においては,7.2 の分析値の精確さの検討,特に 7.2 a) の真度の検討を行って検

討結果が満足できる場合にだけ分析値を採択することが望ましい。

6.4 

分析値の表示 

分析値は,質量分率で表し,百分率を示す%を用いて表示する。ただし,分析値が非常に小さい場合は,

μg/g で表示してもよい。

分析値の報告桁は,分析依頼者からの要求による。要求がない場合は,分析法の許容差を考慮して決定

する。数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

JIS

の鉄鋼製品規格の規定によって分析値を報告する場合は,JIS G 0404 の箇条 8(化学成分)の d) に

よる。

化学分析方法の許容差の取扱い方 

注記  機器分析方法の許容差の取扱い方は,機器分析方法の個別規格に記載されている。

7.1 

化学分析方法の許容差 

化学分析方法の許容差

4)

 は,鉄鋼分析法規格群の化学分析方法の個別規格に規定する。ただし,個別規

格で“分析精度”を規定している場合は,室内標準偏差及び室間標準偏差に f(n) を乗じて,それぞれ室内

再現許容差及び室間再現許容差とする。f(n) の値は,JIS Z 8402-6 

表 1(許容範囲の係数)による。

値は,室内再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した

分析室数とする。

許容差又は分析精度を規定していない場合は,7.3 による。

4)

  鉄鋼分析法規格群には,許容差式に の符号を用いている規格がある。それらの規格には,“D

は,Dn,0.95)を意味し,その値は JIS Z 8402 

表 による。”と規定しているが,JIS Z 8402

は廃止され,JIS Z 8402 

表 の Dn,0.95)は JIS Z 8402-6 の表 の f(n) に置き換えられて

いる。

7.2 

分析値の精確さの検討 

分析値の精確さの検討は,次によって行う。

a) 

真度の検討  分析試料と化学的特性が近似し,認証値が分析試料予想含有率に近い認証標準物質を一

つ選んで,試料はかりとり量及び定量操作が分析試料と全く同一で,分析試料と併行して分析し,得

られた認証標準物質の分析結果と認証値との差の絶対値が,採用した分析方法の対標準物質許容差以

下であれば,同時に分析して得られた分析試料の分析値の真度は満足できるものと判断する。複数の

試料について,分析操作が同一で,分析試料予想含有率が認証値に近いとみなされる場合は,それら

の試料に対し,一つの認証標準物質によって真度の検討を行ってもよい。

対標準物質許容差は,分析法規格に対標準物質許容差が規定されている場合は,その規定に従う。


6

G 1201

:2014

対標準物質許容差の規定がなく,室間再現許容差式が規定されている場合は,対標準物質許容差 C

(質量分率)は,次のいずれかの方法によって求める。

1)

使用した認証標準物質の認証書に個々のデータが記載され,認証値決定時の分析値の標準偏差が求

められる場合は,式(1)によって求める。

2

R

C

2

C

2

s

N

s

C

+

=

  (1)

ここに,

s

C

試料と併行に分析した認証標準物質の認証値決定時の
分析値の標準偏差(標準偏差を求める個々のデータは,
認証値決定試験参加分析室ごとの平均値)

(質量分率)

N

C

用いた認証標準物質の認証値決定試験参加分析室数

s

R

室間再現標準偏差(質量分率)

[室間再現許容差式にお

いて,f(n)=1 とし,含有率の項に認証値を入れて得た値]

2)

使用した認証標準物質の認証書に個々のデータの記載がなく,不確かさの値だけが記載されている

場合は,式(2)によって求める。

(

)

2

R

2

CRM

/

2

s

k

U

C

+

=

  (2)

ここに,

U

CRM

使用した認証標準物質の認証値の不確かさ

k

包含係数

注記 1

包含係数は,JIS K 0211 に定義され,拡張不確かさを得るために合成標準不確かさに乗ず

る係数。通常は

2

3

の値。

国際一致規格で,室間再現許容差が数値の表で示されている場合は,認証値における室間再現許容

差を補間法によって求め,得た値に

0.357 1

(=

1.0/2.8

)を乗じた値を室間再現標準偏差として式

(1)

又は式

(2)

に代入して

C

を求める。

室間再現許容差が規定されていない場合は,式

(3)

において

m

CRM

に認証値[質量分率(

%

]を入れ

て室間再現標準偏差を求め,その値を式

(1)

又は式

(2)

に代入して

C

を求める。

4

653

.

0

CRM

R

46

032

.

0

m

s

×

=

  (3)

注記 2

補間法とは,例えば,隣り合った

2

点間について一次式を求め,この一次式から許容差を

近似することをいう。

b) 

併行精度の検討  同一分析室において,同一分析用試料を併行条件で

2

回分析して得られた

2

個の分

析結果の範囲が,その分析方法規格に規定している併行許容差(

r

)以下であれば,これら

2

個の分析

結果の間に異常な差はないものと判断する。この場合,併行許容差式の成分含有率の項には,

2

個の

分析値の平均値を代入する。

c) 

室内精度(中間精度)の検討  同一分析室において,同一分析用試料を,時間などの誤差因子を変え

2

回分析して得られた

2

個の分析結果の範囲が,その分析方法規格に規定している室内再現許容差

R

w

)以下であれば,これら

2

個の分析結果の間に異常な差はないものと判断する。この場合,室内

再現許容差式の成分含有率の項には,

2

個の分析値の平均値を代入する。

注記

JIS Z 8402-3

では併行標準偏差と再現標準偏差との間の誤差因子をもつ場合を中間精度と呼

んでいて,この語が正規の用語であるが,鉄鋼分析法規格群では,従来からの呼称に従って,

室内精度の用語を用いる。

d) 

室間精度の検討  二つの異なる分析室において,同一分析用試料をそれぞれ分析して得られた結果の


7

G 1201

:2014

範囲が,その分析方法規格に規定している室間再現許容差(

R

)以下であれば,これら二つの分析室

の分析結果の間に異常な差はないものと判断する。この場合,室間再現許容差計算式の成分含有率の

項には,

2

個の分析値の平均値を代入する。

7.3 

許容差が規定されていない場合の取扱い方 

分析方法規格に許容差又は分析精度が規定されていない場合の許容差,又は分析方法規格の定量範囲に

対して許容差若しくは分析精度の適用範囲が狭い場合の適用範囲外の許容差は,

次の式によって算出する。

a) 

併行許容差 

8

663

.

0

1

8

041

.

0

m

r

×

=

  (4)

ここに,

r

併行許容差[質量分率(

%

m

1

併行許容差を求める二つの分析結果の平均値[質量分率

%

b) 

室内再現許容差 

8

663

.

0

2

w

7

062

.

0

m

R

×

=

  (5)

ここに,

R

w

室内再現許容差[質量分率(

%

m

2

室内再現許容差を求める二つの分析結果の平均値[質量
分率(

%

c) 

室間再現許容差 

4

653

.

0

3

9

090

.

0

m

R

×

=

  (6)

ここに,

R

室間再現許容差[質量分率(

%

m

3

室間再現許容差を求める二つの分析結果の平均値[質量
分率(

%

7.4 

許容差の判定方法 

併行許容差,室内再現許容差及び室間再現許容差の判定は,各々の分析結果の報告桁を報告桁の一番少

ない結果に合わせてその差を求め,許容差も分析結果の報告桁に丸めて比較する。対標準物質許容差の判

定は,分析結果の報告桁を認証値の表示桁に合わせてから認証値との差を求めて比較する。ただし,分析

結果の報告桁が少なく,認証値の表示桁に合わせることができない場合は,認証値及び許容差を分析結果

の報告桁に丸めて比較する。

許容差を分析結果の報告桁に丸めるとゼロとなる場合は,

その報告桁の位が

1

となる値を許容差とする。

化学分析方法による定量値の計量計測トレーサビリティ 

鉄鋼分析法規格群のうちの化学分析方法によって得た定量値(質量分率)は,7.2 a)

に規定された真度

を満足していれば,適用した分析法の国際単位系(

SI

)への計量計測トレーサビリティが得られている。

機器分析方法による定量値の計量計測トレーサビリティ 

機器分析方法によって得た定量値(質量分率)の計量計測トレーサビリティは,鉄鋼分析法規格群の化

学分析方法で分析し,併行して分析した認証標準物質の分析値によって精確さが確認された標準値をもつ

試料と冶金的履歴が同じ標準物質群によって作成された検量線を使って分析することで得られる。機器分

析用の認証標準物質は,分析試料と冶金的履歴が異なる場合があり,その影響で機器用認証標準物質を用

いて作成した検量線が精確でない可能性があるため,精確さが確認された標準値をもつ試料と冶金的履歴

が同じ標準物質(群)を用いて検量線の確認又は修正を行う必要がある。検量線の精確さ確認の方法は,


8

G 1201

:2014

個別規格による。

定量の対象としている元素の化学分析方法の適用範囲が機器分析方法より狭い

5)

ことによって,又は化

学分析方法が規定されていない

6)

ことによって,機器分析方法に使用する標準物質の組成が,鉄鋼分析法

規格群に規定された化学分析方法では計量計測トレーサビリティを確保できない場合の化学分析方法は,

次による。ただし,いずれの方法の場合も 7.2 a)

に規定された対標準物質許容差,並びに,7.3 a)

及び 7.3 b)

に規定された併行許容差及び室内再現許容差を満足しなければならない。

5)

例えば,けい素の質量分率

0.002 %

以上

0.01 %

未満が該当する。

6)

ランタン,セリウム,プラセオジム及びネオジムの定量方法が該当する。

a)

そう書,論文などによって公知となっている,適切な鉄及び鋼の分析方法。

b)

該当する JIS の操作の一部を変更し

7)

,適用範囲を拡大した方法。

7)

例えば,通常,試料はかりとり量,分取比,抽出溶媒の量などが変更される。

10 

鉄鋼分析法規格群の規格の様式 

鉄鋼分析法規格群の規格の様式及び作成方法は,JIS Z 8301 によるが,細部については,

附属書 を参

照して作成することが望ましい。


9

G 1201

:2014

附属書 A

(参考)

鉄鋼分析法規格群の規格作成における参考情報

序文 

この附属書は,鉄鋼分析法規格群の規格の作成において,参考とする情報を示したもので規定の一部で

はない。

A.1 

規格名称 

規格名称は,前書き要素:対象材料,主体要素:

(分析対象成分)の定量方法”

,補完要素:定量方法名

称とすることを推奨する。定量方法が複数ある場合は,部編成とすることが望ましい。ただし,同じ分析

方法で複数元素を分析する場合は,主体要素を“○○分析方法”とし,補完要素に“

(分析対象成分)の定

量方法”−定量方法名称を記す。

注記

規格名称は,JIS Z 8301 に“前書き要素”−“主体要素”−“補完要素”

(必要な場合)で記載

することと規定されている。

化学分析方法の名称は次によることが望ましい。ただし,対応国際規格がある場合は,その規格の題名

と整合させることが望ましい。

a) 

重量法  重量法の名称は,質量をはかる化合物又は単体(以下,化合物という。)の名称の後に“重量

法”を付ける。

沈殿の生成の前に,分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,及

び方法(操作)の原理を表す語句

1)

を先に付ける。ただし,電解だけは化合物の後とする。定量の妨

害成分を分離させる場合は,妨害成分名の後に“分離”と入れる。

1)

方法(操作)の原理を表す語句とは,電解,沈殿,共沈,気化,蒸留,抽出,イオン交換,

クロマトグラフィーなどをいう。

二酸化けい素重量法,燃焼−二酸化炭素重量法,ベンゾイン

-α-

オキシム沈殿分離酸化モリブデ

ン(

VI

)重量法,鉄分離硫酸バリウム重量法,銅電解重量法

b) 

滴定法  滴定法の名称は,滴定試薬の名称の後に“滴定法”を付ける。電位差滴定の場合は,“電位差

滴定法”を付け,目視滴定と併用する場合は,両方の名称を入れる。

分析対象成分をあらかじめ酸化剤(又は還元剤)で酸化(又は還元)した後,滴定する(ただし,

逆滴定ではない。

)場合の名称は,上記滴定法の名称の前に,酸化剤(又は還元剤)の名称及び“酸化”

(又は“還元”

)を付ける。

逆滴定の場合の名称は,滴定において過剰に加える試薬の名称及び滴定試薬の名称を中点“・”で

結び,その後に“逆滴定法”を付ける。

滴定の前に,分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,及び方法

(操作)の原理を表す語句

1)

を先に付ける。妨害成分を分離させる場合は,妨害成分名の後に“分離”

と入れる。

ペルオキソ二硫酸アンモニウム酸化しゅう酸ナトリウム・過マンガン酸カリウム逆滴定法,ア

ンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法

c) 

吸光光度分析法  吸光光度分析法の名称は,水溶液の呈色を測定する場合は,呈色化合物の名称(た


10

G 1201

:2014

だし,呈色化合物が錯体の場合には,錯体を生成させるために加えた錯形成剤の名称)の後に“吸光

光度法”を付ける。

呈色化合物を有機溶媒に抽出した後,その有機相の呈色を測定する場合には,呈色化合物の名称(た

だし,呈色化合物が錯体の場合には,錯体を生成させるために加えた錯形成剤の名称)の後に“抽出

吸光光度法”を付ける(抽出に用いる有機溶媒の名称は書かない。

過マンガン酸吸光光度法,モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法,ジメチルグリオキシム吸光

光度法(ジメチルグリオキシムニッケル吸光光度法とはしない。

複数の錯形成剤を用いて呈色させる場合の名称は,複数の錯形成剤の名称を中点“・”で結び,そ

の後に吸光光度法又は抽出吸光光度法を付ける。

呈色の前に,分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,及び方法

(操作)の原理を表す語句

1)

を先に付ける。妨害成分を分離させる場合は,妨害成分名の後に“分離”

と入れる。

モリブデン分離テトラフェニルアルソニウムクロリド・チオシアン酸塩抽出吸光光度法,モリ

ブドりん酸抽出分離モリブドりん酸青吸光光度法

d) 

原子吸光分析法  原子吸光分析法の名称は,JIS G 1257 規格群にてフレーム原子吸光分析を用いる場

合は,フレーム法とし,電気加熱原子吸光分析を用いる場合は,電気加熱法とする(試料溶液を酸分

解及び残さ処理だけで調製する場合は,酸分解を付け加える。

原子吸光分析の前に,分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,

及び方法(操作)の原理を表す語句

1)

を先に付ける。妨害成分を分離させる場合は,妨害成分名の後

に“分離”と入れる。フレーム法及び電気加熱法の両方で測定する場合は,いずれの名称も付け加え

ない。

分析対象成分と異なる成分を原子吸光分析法で測定してその吸光度から分析対象成分を定量する場

合は,

“(分析対象成分)間接定量法”とする。

JIS G 1257

規格群とは別に原子吸光分析法を規定する場合は,次による。

1)

フレーム原子吸光分析を用いる場合は,単に原子吸光分析法とし,電気加熱原子吸光分析を用いる

場合は,電気加熱原子吸光分析法とする。

2)

原子吸光分析の前に,分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,

及び方法(操作)の原理を表す語句

1)

を先に付ける。妨害成分を分離させる場合は,妨害成分名の

後に“分離”と入れ,1)

によって原子吸光分析法又は電気加熱原子吸光分析法と付け加える。フレ

ーム法及び電気加熱法の両方で測定する場合は,原子吸光分析法と付け加える。

e) ICP

発光分光分析法

ICP

発光分光分析法の名称は,分析対象成分が

3

成分以上ある場合は,分析対

象成分として“多元素定量”としてもよい。規格群に同一の分析対象成分が複数ある場合は,続く補

完要素には,各部の特徴的な内容を示す語句を入れて区別する。

分析対象成分を分離させる場合は,分離させる試薬又は分離される化合物,及び方法(操作)の原

理を表す語句

1)

を付ける。妨害成分を分離させる場合は,妨害成分名の後に“分離”と入れる。

f) 

その他の分析方法  その他の分析方法の名称は,単元素定量法については,吸光光度分析法に準じ,

多元素定量法については,

ICP

発光分光分析法に準じて付ける。

A.2 

適用範囲 

適用範囲は,共同実験によって決定するのが望ましい。適用範囲上限値は,共同実験結果で得た許容差


11

G 1201

:2014

が 7.3 の各許容差を満たす共同実験試料最大含有率を適切に丸めた値とし,下限値は,共同実験で得た室

間精度式から相対精度

20 %

以下の適切に丸めた値とするのが望ましい。

共同実験時に,

共存元素の影響及び影響除去対策を調査し,

影響が除去できない共存元素含有率範囲は,

適用範囲から外す。鉄への適用については,共同実験に適した試料があれば実験を行って適否を判定し,

ない場合は,適用の必要性,鉄試料への適用に対する障害の有無などを考慮して決定する。

A.3 

要旨 

要旨は,次の事項を考慮して規定する。

注記

JIS Z 8301

には,試験方法について原理を書くこととしており,ISO 規格も原理(

Principle

)の

項を書いているが,鉄鋼分析法規格群では,分析法の原理ではなく要旨を書くこととしている。

原理は,可能な限り解説に記載する。

a)

方法の概要がわかるよう簡潔に書く。操作については主として行う内容を書き,非定常の操作は省く。

“溶液を全量フラスコに移し入れて標線まで薄める。

”などの標準操作の記載も省く。

反応式,分離,滴定などにおいて特定元素が反応する原理,理論的背景などは解説に示す。

b)

要旨中の試薬名は,溶液を使う場合でも“○○溶液”とはしない。ただし,滴定液(JIS K 0211 によ

る。

)は,溶液と書く。

c)

要旨中の試薬名,化合物及び元素は,分子式及び元素記号を用いないで書く。

d)

要旨の末尾は,

“その質量をはかる。

“その減量をはかる。

“○○溶液で滴定する。

“吸光度を測

定する。

”などの文とし,その後の定量値の算出,検量線の作成などの手順は省き,

“定量する。

”の文

言も入れない。ただし,標準添加法など特別な方法を採用した場合は,

“○○法によって定量する。

と入れる。

A.4 

試薬 

A.4.1 

一般事項 

試薬は,次の事項を考慮して規定する。

a)

操作で使用する試薬は全て規定する。ただし,試薬調製,例えば,標準液の原液調製だけに用いる試

薬は規定しない。

b)

ニッケルカプセルなど形状を規定するものは,器具とし,試薬とはしない。

c)

分析操作ごとに取り換える必要のない試薬は,装置・器具の箇条に記し,試薬の箇条には記さない。

d)

試薬の名称は,JIS に規定されているものは,その JIS の名称を用い,使用する個々の試薬に JIS 

格名称及び化学式は記載しない。使用する個々の試薬 JIS に規定していない試薬の名称は,

IUPAC

命名法に従い,化学式も記載する。

e)

国際一致規格は,ISO 規格通りの順で記載する。

f)

試薬の記載は,

濃度などの語句による規定は試薬名と同じ行に記し,

調製手順などの文による規定は,

改行して記す。

g)

同一試薬については,濃度の高い順に記載する。ただし,JIS K 0050 

表 1(水との混合比で表すこ

とのできる試薬)に規定された,水との混合比で表すことのできる試薬については,規定濃度の試薬

をそのまま用いる場合は一つの細分箇条とし,水との混合比で表すものについては別の細分箇条とし

て混合比の全てを同じ細分箇条で表示する。

 5.1  塩酸


12

G 1201

:2014

5.2

  塩酸(

1

1

1

4

2

100

h)

JIS K 0050

表 に規定された試薬以外の溶液の濃度の表示は,溶質の質量の無水換算値を溶液の体

積で除した値を基本とする。

i)

混合試薬は,単純混合の場合は,中点“・”を用いて併記する。混酸は,各酸(及び水)について名

称と体積割合を示す。融解合剤は,質量割合を示す。

j)

同じ試薬について

2

種以上の濃度のものを規定し,使用目的を変えて使う場合は,なるべく名称を変

える。

ヘキサメチレン溶液,ヘキサメチレン洗浄溶液

A.4.2 

試薬の記載順序 

試薬は,次の順で記載する。

a) 

水(特殊な水)

b) 

無機酸  一価の酸,二価の酸,三価の酸,混酸の順とする。一価の酸は,塩酸,硝酸,過塩素酸,ハ

ロゲン化水素酸の順とし,ハロゲン化水素酸は塩酸を除き原子番号順とする。

c) 

無機塩基  アンモニア水,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリウムの順とする。

d) 

過酸化水素 

e) 

金属  単体金属,合金の順とし,単体金属は原子番号順とする。

f) 

ハロゲン  原子番号順とする。

g) 

気体  希ガス,単体,化合物,混合ガスの順とし,単体は,原子番号順とする。化合物は分子式の原

子番号順とし,同じ原子番号の並びなら原子数の少ない順とする。

アルゴン,窒素,硫化水素,メタン,プロパン,一酸化炭素,二酸化炭素

h) 

無機塩類  b)

の順による。酸が同じなら c)

の順による。多価の酸の塩は,塩基の数の多い順とする。

i) 

無機化合物  分子式の原子番号順とし,同じ原子番号の並びなら原子数の少ない順とする。

j) 

有機酸,有機塩基,有機塩類  無機酸などと同様の順とする。

k) 

呈色試薬 

l) 

有機溶媒 

m) 

滴定液又は標準液 

n) 

指示薬 

o) 

その他  認証標準物質(

CRM

)など。

A.5 

操作 

操作についての用語は,別途規定をしない場合は,次によって区分して用いることが望ましい。

a) 

加熱・冷却 

1) 

温める又は加温。  溶液温度を室温から

60

℃以下に加熱する操作。

2) 

穏やかに加熱する。  溶液温度を

80

℃以下に保ち,沸騰が生じないように加熱する。

3) 

沸騰直前まで加熱する。  溶液温度を

90

℃以上とし,突沸が生じないように注意して加熱する。

4) 

加熱して液量を○○にする。  溶液温度を

90

℃以上とし,突沸が生じないように注意して加熱す

る。

5) 

加熱して窒素酸化物などを追い出す。  溶液を沸騰状態となるまで加熱する。

6) 

乾固直前まで加熱する。  溶液がほとんど残らない状態まで加熱する。その後,余熱によって液は

ほとんど見えなくなるが,残留物中には液が残り,表面に色がついている状態となる。


13

G 1201

:2014

7) 

乾固する。  液状のものが残らず,残留物の表面が白くなる状態まで加熱する。

8) 

過塩素酸の白煙処理は,次のいずれかを意味する。 

8.1)

過塩素酸の白煙がビーカー内に充満している状態に加熱する操作。

8.2)

ビーカー内が透明になり,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって還流している状態に加熱

する操作。

9) 

硫酸の白煙処理  三酸化硫黄の白煙が発生する状態に加熱する操作。このとき,液温は

300

℃以上

となっている。

10) 

りん酸の白煙処理  メタリン酸などの白煙が発生する状態に加熱する操作。

11) 

放冷  溶液などの温度が室温に下がるまで実験台などに静置しておく操作。温度については,室温

以外を指定する場合がある。

12) 

冷却  温度の高い溶液,蒸気などに対し,水,氷水,冷えた空気など熱媒体で強制的に温度を下げ

る操作。

13) 

強熱

650

℃以上で加熱する操作。

b) 

その他の操作 

1) 

融解  不溶性物質と融剤とを共に強熱して,可溶性物質に変える操作。

2) 

揮散  揮発性成分を大気中に気化放出させる操作又は大気中に気化する現象。

3) 

恒量  同一条件の下で,物質を加熱・放冷・ひょう量などの操作を繰り返したとき,前後の質量の

計量差が規定の値以下となった状態。

4) 

振り混ぜ

2

種以上の物質をなるべく均一にするために,容器ごと振って混ぜる操作。

5) 

対照液  試料液の色調又は吸収の度合いを比較するために用いる標準的な色調又は吸収を示す溶液。

6) 

分取  全体の試料から割合の分かっている分量を正確に分ける操作。

7) 

(溶液を)移し入れる。  試料溶液を別の容器に移す操作。溶液のほとんどを新しい容器に移した

後,元の容器に残る試料溶液を指定された液を用いて薄めて新しい容器に移し,それを

2

3

回繰り

返して元の容器に残る試料溶液の量が無視できるレベルにする。

8)  

標線まで薄める。  指定された溶媒を用いて溶液全体の容量を規定の量とする。標線近くまで溶媒

を入れた後,液温を常温とし,液が均一になるよう混合してから標線まで溶媒を加え,再び液が均

一になるように混合する。標線の合わせ方を含む,ガラス体積計の目盛への液体の合わせ方は,JIS 

R 3505

:1994

図 に示されている。

9) 

洗液  操作に用いた時計皿,ろ紙などへの試料の付着物,又はるつぼなど容器内の試料の残留物を

洗い流すために用いる液。

10) 

正確に  質量においては,指定した量を検定されたはかりによってはかることをいう。液体の容量

においては,全量フラスコ,全量ピペット,ビュレット,ピストン式ピペット(JIS K 0970 による。

によってそれらの体積計の公差内ではかることをいう。

“正しく”は,同じ意味ではあるが,用いな

いのが望ましい。

c) 

時計皿の使用  鉄鋼分析法規格群における時計皿の使用については,使用する容器と同じ材質で,次

の手順で使用することを推奨する。これらの手順によって時計皿は使用されるものとして,各規格に

はこれら手順の詳細を記載しなくてもよい。これらの手順は,各成分の原液及び標準液調製の場合及

び検量線用溶液の調製の場合にも適用される。

1)

時計皿で蓋をしたビーカーを試料分(標準試料及び空試験用も含む。

)準備する。

2)

試料をはかりとったら,

時計皿を外して試料をビーカーに移し入れ,

再び時計皿で覆って蓋とする。


14

G 1201

:2014

3)

ビーカーに分解酸を入れるときは,時計皿をずらして,その隙間から分解酸を注ぐ。分解による発

泡が始まる前に時計皿を元の位置に戻す。

4)

初期操作として,鉄鋼試料を酸で分解する間は,時計皿は蓋として用いる。

5)

試料溶液の濃縮,乾固,白煙処理を行わない場合は,時計皿の下面を水又は温水で洗って時計皿を

取り除く。洗液は,試料溶液に合わせる。

6)

試料溶液を濃縮する場合は,濃縮前の試料溶液量と濃縮後の試料溶液量を考慮して時計皿をずらし

てビーカー上部に適正な開放部を作り,試料溶液を蒸発させる。濃縮後,放冷し,時計皿の下面を

水又は温水で洗って時計皿を取り除く。洗液は,試料溶液に合わせる。

上部を完全に開放して蒸発速度を上げる場合は,あらかじめ時計皿の下面を水又は温水で洗って

時計皿を取り除く。乾固又は乾固寸前の状態まで加熱する場合もあらかじめ時計皿の下面を水又は

温水で洗って時計皿を取り除く。濃縮・乾固などの処理終了後,加熱を止め,時計皿で覆って放冷

する。放冷後,時計皿の下面を水又は温水で洗って時計皿を取り除く。洗液は,試料溶液に合わせ

る。

7)

試料溶液について過塩素酸の白煙処理を行う場合は,時計皿の下面を少量の水又は温水で洗って時

計皿を取り除くか,又は時計皿をずらしてビーカー上部に適正な開放部を作り,過塩素酸を入れて

加熱する。時計皿で覆ったまま加熱してもよい。塩酸,硝酸などが蒸発して過塩素酸の白煙の発生

が始まったら,再び時計皿で覆って加熱を続けて白煙処理を行う。規定時間の白煙処理後,放冷し,

時計皿の下面を水又は温水で洗って時計皿を取り除く。洗液は,試料溶液に合わせる。

8)

試料溶液について硫酸又はりん酸の白煙処理を行う場合は,7)

において過塩素酸の代わりに硫酸又

はりん酸を用い,7)

と同様に操作する。硫酸白煙の場合,析出した塩類で突沸するおそれがあるの

で,その操作については,各分析方法規格の規定に従う。

d) 

用語の区別 

1) 

ろ過とこし分け  分析対象として,分離した液体を主に用いる場合は,ろ過と呼び,分離した固体

を主に用いる場合は,こし分けと呼ぶ。

2) 

溶解と分解  溶解は化学反応による化学種の変化を生じずに溶液化することを呼び,化学反応が生

じる場合は,分解と呼ぶ。

注記

溶解と分解については用語の厳密な使い分けをせず,化学反応が生じても溶解と呼んでい

る場合もある。

3) 

常温と室温  化学分析においては,常温は

20

±

5

℃を,室温は

20

±

15

℃を指す。また,標準温度

とは

20

℃を指す。

注記

上記の温度の規定は,JIS K 0050 による。

A.6 

空試験 

空試験の操作を具体的に書く。空試験の操作の記述が長い場合,空試験の操作の一部について他の項目

を引用する場合などにおいては,定量操作と同様に,手順ごとに区切って記載してもよい。検量線用溶液

を試料と併行して調製する場合は,ゼロメンバーを空試験液としてもよい。

A.7 

検量線の作成 

検量線は,原則として,母材となる純物質に,分析対象元素を段階的に添加し,分析試料と同じ調製方

法で調製して検量線用溶液とし,検量線用溶液の信号量と分析対象元素添加量との関係線を作成し,その


15

G 1201

:2014

関係線について原点を通るよう平行移動して検量線とする。ただし,熱的分析方法で鉄鋼標準物質によっ

て検量線を作成する場合,

ICP

発光分光分析法及び機器分析方法においては,平行移動せずに,得た関係

線をそのまま検量線とする。

検量線用溶液の調製の操作は,具体的に書く。

検量線について,係数を求める場合は,市販の回帰計算ソフトを用いて求めてもよい。

A.8 

許容差 

化学分析方法の許容差は,共同実験によって求める。共同実験試料は,認証標準物質を用い,含有率が

目標適用範囲を含むように選ぶ。共同実験結果は,JIS Z 8402-2 又は JIS Z 8402-3 によって解析する。各

所の実験が併行

2

回分析でなく,日を変えて

2

回分析した場合は,JIS Z 8402-2 によって解析を行い,併

行分析を日間分析と読み替える。


16

G 1201

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附属書 B

(規定)

国際一致規格における引用された ISO 規格による規定についての取扱い

B.1 

引用された ISO 規格による規定の取扱い 

鉄鋼分析法規格群の中で,国際一致規格として作成された規格において,引用された ISO 規格による規

定は,次のように取り扱う。

a)

規格の規定が ISO/R 377ISO 377

:1985

ISO 377-2 又は ISO 14284 を引用している場合は,引用規格

を JIS G 0417 と読み替える。

注記 1

ISO 377

:1985

は,

鉄鋼分析法規格群の個別規格においては,

単に ISO 377 とだけ記載され,

年号が記載されていないものもある。

注記 2

ISO/R 377

ISO 377

:1985

及び ISO 377-2 はいずれも試料の採取及び調製についての規格で,

分析試料の採取及び調製の規定内容は,ISO 14284 に置き換えられているので,ISO 14284

の国際一致規格 JIS G 0417 に対応させた。

b)

ISO 385

又は ISO 385-1 に規定されたビュレットの代わりに,JIS R 3505 に規定するビュレットを用い

てもよい。

c)

ISO 648

に規定された全量ピペットの代わりに,

JIS R 3505

に規定する全量ピペットを用いてもよい。

注記

ISO 648

と JIS R 3505 とでは,全量ピペットの規定内容が完全には一致していない。ISO 648

では容量決定時のピペット内の液の滴下について,ピペットの先端とガラス製受け器の内側

とを接触させるだけで,その他の動きを禁じているが,JIS には明確な規定はなく,慣例と

して,旧計量法(

1992

年改正前の計量法)に示されていた,ピペット内に液が残らないよう

に処置することを前提として標線を付けている。そのため,JIS 規格品と ISO 規格品とでは

標線からピペット先端までの容積の絶対値が異なっているので,使用においてはいずれの規

格品かを確認して各規格の規定通りの操作を行うことが求められる。

d)

ISO 1042

に規定された全量フラスコの代わりに,

JIS R 3505

に規定する全量フラスコを用いてもよい。

e)

ISO 4800

に規定されたギルソン形分液漏斗の代わりに,JIS R 3503 に規定するギルソン形分液漏斗を

用いてもよい。

f)

国際一致規格に規定された呼び容量のビーカーの代わりに,JIS R 3503 に規定する,同じ呼び容量の

ビーカー

R

又は呼び容量と同量以下で最も近い呼び容量のビーカーを用いてもよい。

g)

ISO 3696

に規定された等級

2

の水の代わりに,JIS K 0557 に規定する種別

A3

又は

A4

の水を用いて

もよい。

参考文献  JIS K 0211  分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212

  分析化学用語(光学部門)

JIS K 0213

  分析化学用語(電気化学部門)

JIS K 0214

  分析化学用語(クロマトグラフィー部門)

JIS K 0215

  分析化学用語(分析機器部門)

JIS K 0216

  分析化学用語(環境部門)