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G 0582

:2012

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

2

4

  一般要求事項  

3

4.1

  検査の時期  

3

4.2

  鋼管の性状  

3

4.3

  検査技術者  

3

5

  探傷装置  

3

5.1

  構成  

3

5.2

  探傷器  

3

5.3

  探触子  

3

5.4

  マーキング装置及び自動警報装置 

4

6

  探傷方法  

4

6.1

  一般  

4

6.2

  カバー率及び試験速度  

4

6.3

  探傷方向  

4

7

  人工きず  

4

7.1

  一般  

4

7.2

  人工きずの種類及び寸法許容差  

5

7.3

  人工きずの確認  

7

7.4

  許容レベル及び区分に対応する人工きず寸法  

7

8

  装置の感度調整及び感度の確認  

8

8.1

  一般  

8

8.2

  感度及び警報レベルの調整  

8

8.3

  感度の確認  

8

9

  結果の判定  

9

9.1

  結果の判定  

9

9.2

  嫌疑材の処置  

9

10

  検査報告  

9

附属書 A(規定)規定厚さと規定外径との比(t/D)が 20 %を超える鋼管の管軸方向のきずに対する 

    超音波探傷検査方法  

11

附属書 B(規定)嫌疑部分の手動超音波探傷検査方法  

12

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

13


G 0582

:2012

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS G 0582:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 G

0582

:2012

鋼管の自動超音波探傷検査方法

Automated ultrasonic examination of steel pipes and tubes

序文 

この規格は,2011 年に第 1 版として発行された ISO 10893-10ISO 10893-11 及び 2010 年に第 2 版とし

て発行された ISO 10332 を基に作成した日本工業規格であるが,技術的内容を変更して作成した日本工業

規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,継目無鋼管の管軸方向のきず及び溶接鋼管(サブマージアーク溶接鋼管を除く。

)の溶接部

の管軸方向のきずを検査する自動超音波斜角探傷検査方法(フェーズドアレイ探触子を用いた方法を含

む。

)について規定する。

ただし,製品規格又は受渡当事者間の協定によって,継目無鋼管の検査の場合は,管円周方向のきずの

検査に適用してもよい。また,溶接鋼管の場合に,管体の管軸方向のきず検査に適用してもよい。

この規格は,外径 10 mm 以上で,通常,管の厚さと外径の比が 20 %以下

1)

の鋼管に適用する。

1)

鋼管の厚さと外径の比が 20 %超えの鋼管の管軸方向のきずの検査に適用できる方法を

附属書 A

に示す。

注記 1  ISO 10332ISO 10893-10 及び ISO 10893-11 では,管軸方向のきずの検査にラム波を用いる

ことを許容している。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 10332:2010

,Non-destructive testing of steel tubes−Automated ultrasonic testing of seamless

and welded (except submerged arc-welded) steel tubes for verification of hydraulic

leak-tightness

ISO 10893-10:2011

,Non-destructive testing of steel tubes−Part 10: Automated full peripheral

ultrasonic testing of seamless and welded (except submerged arc-welded) steel tubes for the

detection of longitudinal and/or transverse imperfections

ISO 10893-11:2011

,Non-destructive testing of steel tubes−Part 11: Automated ultrasonic testing of

the weld seam of welded steel tubes for the detection of longitudinal and/or transverse

imperfections

(全体評価:MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。


2

G 0582

:2012

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 0203

  鉄鋼用語(製品及び品質)

JIS G 0431

  鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与

JIS Z 2300

  非破壊試験用語

JIS Z 2305

  非破壊試験−技術者の資格及び認証

JIS Z 2350

  超音波探触子の性能測定方法

JIS Z 2352

  超音波探傷装置の性能測定方法

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0203JIS G 0431 及び JIS Z 2300 によるほか,次による。

3.1 

人工きず(reference standard)

非破壊試験の装置の感度調整,警報レベルの設定及び感度の確認に用いる人工きず。

(ドリル穴,角溝,

やすり溝など)

3.2 

対比試験片(reference sample)

人工きずを含んだ鋼管又はその一部からなる供試材。

注記  ISO 10332ISO 10893-10 及び ISO 10893-11 では,“対比試験鋼管”の用語を対比試験片も含ん

だ意味で用いている。

3.3 

製造業者(manufacturer)

関連する規格に従って製品を製造し,供給する製品が,関連する規格の全ての適用される規定に従って

いることを宣言する組織。

3.4 

デジタル式探傷器 

出力信号をデジタル式に処理するような機能を備えている超音波探傷器。

3.5 

走査装置 

きずを検出するため,鋼管及び/又は探傷探触子を相対的に移動させる装置。鋼管の送り装置,芯だし

装置,鋼管回転装置又は探触子回転装置などを含む。

3.6 

マーキング装置 

信号の高さが判定基準を超えたとき,被検査材の信号発生部分を塗料などで識別する装置。

3.7 

自動警報装置 

信号の高さが判定基準を超えたとき,光又は音で警報を出す装置。


3

G 0582

:2012

一般要求事項 

4.1 

検査の時期 

製品規格の規定又は受渡当事者間の協定のない限り,この規格で規定する超音波探傷検査は,全ての主

要な製造工程(例えば,熱間仕上げ,冷間仕上げ,熱処理など超音波特性又は鋼管の形状を変える工程)

が終わった後に行わなければならない。

4.2 

鋼管の性状 

有効な検査ができるように,鋼管は,探傷に影響を与えるような曲がりがあってはならない。鋼管の表

面は,検査の障害となるような異物などが付着していてはならない。

4.3 

検査技術者 

この検査は,JIS G 0431JIS Z 2305 又はこれらと同等の資格を付与され,訓練された検査技術者によ

って行わなければならない。また,製造業者によって指名された力量のある検査技術者によって監督され

なければならない。

雇用主によって与えられる検査技術者への検査実施の許可は,文書化された手順に従ったものでなけれ

ばならない。非破壊検査手順は,雇用主によって承認された非破壊試験技術者によって承認されなければ

ならない。

非破壊検査手順を承認する非破壊試験技術者は,

レベル 3 の資格を持っていることが望ましい。

注記  JIS G 0431 及び JIS Z 2305 の中では,非破壊試験技術者の資格レベルとしてレベル 1,レベル

2

及びレベル 3 を規定している。

探傷装置 

5.1 

構成 

自動探傷における探傷装置は,探傷器及び探触子のほか,走査装置,マーキング装置(又は選別装置)

自動警報装置又は記録装置などから構成する。

5.2 

探傷器 

空調された室内に格納されている自動探傷用探傷器は,3 年以内に 1 回,その他の自動探傷用探傷器は,

1

年以内に 1 回定期点検を行い,次の性能を備えているものとする。

増幅直線性は,JIS Z 2352 の箇条 6(性能測定方法)によって標準試験片,対比試験片の底面エコー又

は電気的擬似信号を適切なレベルに設定し,理想値を基準とし,理想値と測定値の正負の最大偏差の絶対

値の和から求める。この和の値が,デジタル式自動探傷器の場合は 2.5 dB 以下,アナログ式 A スコープ表

示をもつ自動探傷器の場合は 8 %以下とする。

5.3 

探触子 

5.3.1 

探触子の性能 

探触子の性能は,対比試験片の人工きずが明瞭に検出できるものとする。

5.3.2 

振動子の寸法 

振動子の寸法は,次による。

a)

管軸方向きずの探傷において,斜角探触子又は水浸法を採用する場合の垂直探触子の振動子の公称寸

法は,管軸方向の長さが 25 mm 以下のものとする。鋼管の外径が 50 mm 以下の U1 区分に用いる探触

子の管軸方向の振動子長さは,通常,最大 12.5 mm とする。また,フェーズドアレイ探触子を使用し

て管軸方向にリニア走査する場合のみかけの管軸方向の振動子寸法は,7.2.1.2 に規定する角溝の最大

長さ又は 35 mm のいずれか小さい方以下とする。

b)

管円周方向きずの探傷の場合,斜角探触子又は水浸法を採用する場合の垂直探触子の振動子の公称寸


4

G 0582

:2012

法は,管円周方向の長さが 25 mm 以下とする。

5.3.3 

周波数 

振動子の周波数は,1 MHz∼15 MHz の範囲とし,試験対象の鋼管の超音波特性,厚さ及び表面性状によ

って選択する。

5.3.4 

屈折角 

屈折角は,次による。

a)

斜角探触子を用いる場合は,対比試験片の内外面の人工きずを明瞭に検出するのに適した探触子を使

用する。通常,

表 に示した公称屈折角をもつものが推奨される。

b)

垂直探触子を用いて斜角探傷をする場合は,

表 を参考として,対比試験片の内外面の人工きずを明

瞭に検出するのに適した屈折角が得られるように調整する。

表 1−斜角探触子の公称屈折角 

厚さ対外径比(t/D

公称屈折角

2.3

%

以下 70°60°45°40°

 2.3

%

を超え 5.8

%

以下 60°45°40°

 5.8

%

を超え 13

%

以下 45°40°

 13

%

を超え 20

%

以下 40°35°

斜角探触子の屈折角は,JIS Z 2350 に従って測定する。

5.4 

マーキング装置及び自動警報装置 

装置は,マーキング又は選別機能をもつ自動警報システムを用いて,合格材と嫌疑材とを選別できるも

のでなければならない。

探傷方法 

6.1 

一般 

鋼管は,管軸方向及び/又は管円周方向のきずを検出するために,斜角探傷法を用いて検査を行う。

なお,探傷形式は,水浸法,ギャップ法又は直接接触法とする。また,接触媒質は,通常,水とする。

6.2 

カバー率及び試験速度 

試験中,振動子の寸法に基づいて計算したカバー率で,振動子群が鋼管の全表面を探傷するように走査

しなければならない。溶接鋼管の溶接部だけを探傷する場合は,溶接部を全長にわたって探傷しなければ

ならない。試験中の探触子の相対速度は,±10 %以上変化してはならない。

注記  鋼管の両端については,試験できない短い部分が存在する。

6.3 

探傷方向 

受渡当事者間の協定のない限り,試験中,鋼管は,二つの反対方向の超音波ビームで探傷されなければ

ならない。すなわち,管軸方向のきずに対しては,時計周り及び反時計回りであり,管円周方向のきずに

対しては,管軸 2 方向である。

人工きず 

7.1 

一般 

人工きずの一般事項は,次による。


5

G 0582

:2012

a)

探傷装置の感度調整のための適切な人工きずを規定する。

注記  これらの人工きずの寸法は,装置によって検知できるきずの最小サイズと考えるべきではな

い。

b)

管軸方向きずの探傷の場合,探傷装置は,対比試験片の内外面に加工した管軸方向の角溝人工きずに

よって調整しなければならない。受渡当事者間の協定によって継目無鋼管の管円周方向のきず探傷を

行う場合は,対比試験片の内外面に加工した管円周方向の角溝人工きずによって調整しなければなら

ない。ただし,管軸方向及び管円周方向のきず探傷において,角溝の深さが,0.5 mm 未満の規定溝深

さになる場合には,製造業者の任意で角溝に代えて V 溝を使用してもよい。

鋼管の内径が 15 mm 未満の場合には,内面の人工きずを使用しなくてもよい。

c)

対比試験片は,検査する鋼管と同じ公称寸法及び表面状態並びに同等の材質及び熱処理状態,すなわ

ち同等の音響特性(例えば,音速,減衰係数など)をもつものでなければならない。

d)

明確に識別できる信号を得るために,人工きずは,対比試験片の管端及び他の人工きずから十分離れ

ていなければならない。

e)

角溝及び V 溝に代えて,ドリル穴を用いてもよい。ただし,対応するドリル穴の寸法が規定されてい

ない場合には,ドリル穴の寸法は,受渡当事者間の協定による。

7.2 

人工きずの種類及び寸法許容差 

7.2.1 

角溝 

7.2.1.1 

一般 

角溝の一般事項は,次による。

a)

角溝は,

図 に示す形状とし,管軸方向角溝の場合は,管軸方向に平行に,また管円周方向角溝の場

合は管軸方向に直角に加工しなければならない。角溝の側面は,ほぼ平行で,底部は,側面に対して

ほぼ直角でなければならない。

b)

角溝は,機械加工,放電加工又は他の方法で加工する。

注記  底部及び底部の角は,丸みがあってもよい。

図 1−角溝 

7.2.1.2 

角溝の寸法 

角溝の寸法は,次による。

a) 

幅(図 参照)

角溝の幅は,1.0 mm 以下とする。ただし,角溝の深さが 0.5 mm 以下の場合は,深さの 2 倍以下に

するのが望ましい。ただし,

表 の区分を適用する場合には,1.5 mm 以下としてもよい。

b) 

深さ(図 参照)

それぞれの許容レベルの角溝の深さは,7.4 による。ただし,次の条件を満足しなければならない。


6

G 0582

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−  最小深さは,

表 及び表 の規定による。

−  最大深さは,1.5 mm とする。ただし,厚さ 50 mm を超える鋼管については,受渡当事者間の

協定がない限り,3.0 mm まで深くしてもよい。

深さの許容差は,角溝深さの±15 %(最小値は,±0.03 mm)とする。

なお,深さの許容差の下限(マイナス側)については,製造業者の責任において拡大してもよい。

c) 

長さ 

製品規格の規定又は受渡当事者間の協定のない限り,管軸方向きず探傷の場合の角溝の長さは,一つの

振動子又はフェーズドアレイの一つのみかけの振動子幅より大きくなければならない。

人工きずの最大長さは,探傷方向によらず 50 mm とする。ただし,角溝深さが公称厚さの 10 %以下で,

冷間引抜き,冷間ピルガー圧延又は機械仕上げの鋼管に対しては,最大長さは 25 mm とする。

7.2.2 V

 

7.2.2.1 

一般 

V

溝は,

図 に示す形状とし,管軸方向 V 溝の場合は管軸方向に平行に,また管円周方向 V 溝の場合は

管軸方向に直角に,加工されなければならない。溝底の角度は,ほぼ 60 度とする。

底部の角は,丸みがあってもよい。

図 2 

7.2.2.2 V

溝の寸法 

V

溝の寸法は,次による。

a) 

深さ(図 参照)

V

溝の深さの許容差は,7.2.1.2 b)  の規定による。ただし,角溝を V 溝に置き換える。

b) 

長さ 

V

溝の長さは,7.2.1.2 c)  の規定による。ただし,角溝を V 溝に置き換える。

7.2.3 

ドリル穴 

ドリル穴は,

図 に示す形状とし,それぞれの許容レベルに対応するドリル穴の径は,7.4 に規定する値

を超えてはならない。

ただし,

表 の区分を適用する場合は,ドリル穴の公称径が 1.0 mm 以下に,±0.1 mm,

ドリル穴の公称径が 1.0 mm 超えに,±0.2 mm の許容差を用いてもよい。ドリル穴は,機械加工,放電加

工又は他の方法で加工する。


7

G 0582

:2012

図 3−ドリル穴 

7.3 

人工きずの確認 

人工きずは,7.2 及び 7.4 で規定する値であることを適切な方法によって確認する。

7.4 

許容レベル及び区分に対応する人工きず寸法 

7.4.1 

許容レベル U1U5 に対応する角溝及び  

許容レベル U1∼U5 の人工きずは,角溝又は V 溝とし,そのきず寸法は,

表 による。

表 2−許容レベル及び対応する人工きず深さ 

許容レベル

角溝又は V 溝深さ

b)

公称厚さに対する比

%

最小溝深さ

mm

 U1

a)

 3

0.3

c)

 U2

5

0.3

c)

 U3

10

0.3

c)

 U4

12.5

0.5

 U5

15.0

0.5

注記  ISO 10893-10 では,この表に加えて,最小角溝深さを規定したサブカテゴリ

A

∼D が規定されている。

a)

区分 U1 は,継目無鋼管で表面性状の極めて良好な特殊用途の鋼管で,受渡当

事者間の協定のある場合にだけ適用する。

b)

  V

溝は,人工きず深さが,0.5 mm 以下の場合にだけ適用できる。

c)

冷間加工材(冷間引抜き,又は冷間ピルガー圧延)及び機械仕上げ材は,0.2 mm

とする。

7.4.2 

区分 UOUE に対応する人工きず 

区分 UO∼UE が指定された場合の人工きず寸法は,

表 に示す値とする。


8

G 0582

:2012

表 3−区分 UOUE に対応する人工きず 

区分

使用する人工きずの種類

角溝の最小深さ

角溝深さ

公称厚さに対する比

V

溝深さ

b)

公称厚さに対する比

ドリル穴径

 UO

a)

3 %

3 %

0.3

mm

c)

UA

5 %

5 %

0.3

mm

c)

UB

8 %

8 %

0.3

mm

c)

UC

10 %

10 %

3.2 mm

0.3 mm

c)

UD

12.5 %

12.5 %

3.2 mm

0.5 mm

UE

15 %

15 %

3.2 mm

0.5 mm

a)

区分 UO は,継目無鋼管で表面性状の極めて良好な特殊用途の鋼管で,受渡当事者間の協定のある
場合にだけ適用する。

b)

  V

溝は,人工きず深さが,0.5 mm 以下の場合にだけ適用できる。

c)

冷間加工材(冷間引抜き,又は冷間ピルガー圧延)及び機械仕上げ材は,0.2 mm とする。

注記  表 の区分は,従来から日本工業規格の製品規格に引用されている。

装置の感度調整及び感度の確認 

8.1 

一般 

それぞれの探傷作業の開始時に,装置は,人工きずから常に明瞭な信号が得られるように感度調整しな

ければならない。装置の警報レベルを設定するのに,これらの信号を用いる。

8.2 

感度及び警報レベルの調整 

感度及び警報レベルの調整は,次による。

a)

一つの警報レベルを用いる場合には,内外面の人工きずからの信号レベルが,できる限り同じになる

ように調整し,二つの信号レベルの低い方の信号を装置の警報レベルの設定に用いなければならない。

b)

内外面の人工きずに対して,

別々の警報レベルを用いる場合には,

それぞれの人工きずからの信号を,

装置の警報レベルの設定に用いなければならない。ゲートの位置及び幅は,鋼管の全厚さを試験する

ように設定しなければならない。

c)

外面の人工きずだけを用いる場合には,内面のゲート時間(internal time-period)の直後に発生する外

面人工きずからのエコー高さを,その内面ゲート位置における内面人工きずの信号レベルとして用い

なければならない。

8.3 

感度の確認 

感度の確認は,次による。

a)

感度の確認は,同じ公称外径,公称厚さ及び種類の鋼管のオンライン試験中に,対比試験片を装置に

通過させ,定期的に確認しなければならない。

感度の確認は,少なくとも 8 時間ごとに行い,更に作業(同一設定条件下での作業)ごと及び鋼管

の検査作業の開始及び終了時に行う。

なお,感度の確認は,受渡当事者間の協定によって 4 時間ごと又は 10 本ごとのいずれか長い時間ご

とに行ってもよい。

注記  ISO 10332ISO 10893-10 及び ISO 10893-11 では,感度の確認は,4 時間ごとに行うことを要

求している。

b)

感度の確認は,対比試験片と探傷装置との相対速度が,鋼管試験時と同じ速度でなければならない。


9

G 0582

:2012

鋼管試験時と同じ相対速度で感度の確認を行えない場合には,製造業者は,実施する感度の確認の方

法が,感度調整の要求に満足することを示さなければならない。

c)

装置は,使用中に感度調整時に用いたパラメータが変更された場合には,再感度調整をしなければな

らない。

d)

製造中の感度の確認で,感度調整の要求に満足しない場合には,直前の装置の感度調整以降に試験を

した全ての鋼管は,装置の再感度調整後に,再試験を行わなければならない。

注記  “感度調整の要求に満足する”とは,鋼管試験時と同じ相対速度の状態で,規定の人工きず

からの信号によって正常に警報が作動し,マーキング又は選別ができることをいう。

結果の判定 

9.1 

結果の判定 

結果の判定は,次による。

a)

警報レベル以上の信号を発生しない鋼管は,試験を合格したとみなす。

b)

警報レベル以上の信号を発した鋼管は,嫌疑材とするか,製造業者の判断で再検査をしてもよい。再

検査において,信号が警報レベルより低い場合は,その鋼管を合格したものとみなし,警報レベル以

上の信号を発した鋼管は,嫌疑材とする。

注記  ISO 10332ISO 10893-10 及び ISO 10893-11 では,警報レベルを超える信号を発した鋼管は,

2

回の再検査で合格になった場合だけ,その鋼管を合格とみなすこととしている。

9.2 

嫌疑材の処置 

嫌疑材は,製品規格の規定のない限り,次の一つ又はそれ以上の処置を行わなければならない。

a)

嫌疑部分を適切な方法で,研削又は切削し,鋼管の残厚さが許容値内であることを確認した後,鋼管

の検査で実施した同じ試験方法(

附属書 を含む。)で鋼管を検査しなければならない。警報レベル

以上の信号がなければ,合格とする。

嫌疑部分を,もとの検査と同等以上の他の非破壊試験方法(NDT 方法)

,試験方法(NDT 技法)及

び許容レベルで検査をしてもよい。

b)

嫌疑部分を切り捨てる。

c)

鋼管を不合格とする。

10 

検査報告 

注文者の指定がある場合には,製造業者は,次の中から必要事項を選択し,検査報告書を注文者に提出

しなければならない。

a)

この規格によって検査した旨の表示

b)

検査年月日

c)

検査技術者

d)

鋼管の種類の記号及び寸法

e)

探傷器の形式

f)

公称周波数

g)

探触子の種類の記号

h)

探傷形式(水浸法,ギャップ法,直接接触法の別)

i)

許容レベル又は区分及び使用対比試験片

2)


10

G 0582

:2012

j)

接触媒質

k)

検査結果

l)

協定などによったこと

2)

人工きず種類を表す記号として,次を用いてもよい。

ドリル穴:D,角溝:N,V 溝:V


11

G 0582

:2012

附属書 A

(規定)

規定厚さと規定外径との比(t/D)が 20 %を超える鋼管の管軸方向のきずに

対する超音波探傷検査方法

規定厚さと規定外径

1)

との比(t/D)が 20 %を超える場合には,A.1 又は A.2 を受渡当事者間の協定によ

って適用してもよい。

1)

ここでいう規定厚さとは,肉厚許容差の中央値をいう。規定外径とは,公称外径をいう。

A.1

  t/が 20 %を超え 25 %以下の場合 

t/D

が 20 %を超え,25 %以下の場合には,内面側の長手方向の人工きず深さは,

表 A.1 に示すように,

外面側の人工きず深さに関連させて深く加工するものとする。A.2 に示す,モード変換を適用してもよい。

A.2

  t/が 25 %を超え 33 %以下の場合 

t/D

が,25 %を超え,33 %以下の場合には,モード変換を利用して斜角探傷を行うことが推奨される(

A.1

参照)

。この場合,内外面の人工きず深さの比は,受渡当事者間の協定による。ただし,1.0 未満又は,

表 A.1 に規定された値より大きくなってはならない。

図 A.1−縦波から横波へのモード変換 

表 A.1−内面側/外面側  人工きず深さ比 

厚さ対外径比(t/D

内面側/外面側人工きず深さ比

 20

%

を超え 21

%

以下 1.6

 21

%

を超え 22

%

以下 1.9

 22

%

を超え 23.5

%

以下 2.2

 23.5

%

を超え 25

%

以下 2.5

 25

%

を超え 33

%

以下

2.5


12

G 0582

:2012

附属書 B

(規定)

嫌疑部分の手動超音波探傷検査方法

B.1

  嫌疑部分 

必要に応じて,手動で行う場合は,自動超音波探傷試験において嫌疑ありとみなされた鋼管の嫌疑部分

については,B.2 の制約条件のもと,当初の自動探傷と同じ,探傷感度(人工きず深さ)及び適用した一

般的な探傷条件で,嫌疑部分の全体を探傷しなければならない。

B.2

  手動超音波探傷試験の制約条件 

嫌疑部分の手動超音波探傷の適用時の制約条件を次に示す。

a)

手動超音波探傷で使用される振動子の大きさ及び,鋼中のビーム屈折角は,自動超音波探傷試験に用

いたものと同等程度でなければならない。

b)

走査は,自動超音波探傷試験にて嫌疑材と判断した超音波の方向と同じ方向に伝搬するように行わな

ければならない。

c)

鋼管表面の走査速度は,150 mm/s を超えてはならない。

d)

手動超音波探傷試験で用いる超音波探触子は,直接接触法,ギャップ法又は水浸法のいずれかのもの

とする。探触子が,鋼管表面と適切な間隔を確実に維持するような方法を用いなければならない。例

えば,直接接触法では,探触子の前面にある“保護面(wear face)

”は,試験する鋼管の表面の曲面に

沿うようなものでなければならない。

e)

手動超音波探傷試験に用いる探触子の規定周波数は,自動探傷試験に用いた周波数の±1 MHz を超え

て変えてはならない。


附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS G 0582:2012

  鋼管の自動超音波探傷検査方法

ISO 10332:2010

  Non-destructive testing of steel tubes − Automated ultrasonic

testing of seamless and welded (except submerged arc-welded) steel tubes for

verification of hydraulic leak-tightness

ISO 10893-10:2011

  Non-destructive testing of steel tubes−Part 10: Automated full

peripheral ultrasonic testing of seamless and welded (except submerged arc-welded)

steel tubes for the detection of longitudinal and/or transverse imperfections

ISO 10893-11:2011

  Non-destructive testing of steel tubes−Part 11: Automated

ultrasonic testing of the weld seam of welded steel tubes for the detection of

longitudinal and/or transverse imperfections

(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

1

適 用 範

継 目 無 鋼 管 の 管 軸
方向のきず,溶接鋼

管 の 溶 接 部 の 管 軸

方 向 の き ず 検 査 に
適用。製品規格又は

受 渡 当 事 者 間 協 定

で 管 円 周 方 向 の き
ず検査に適用。

ISO 

10332 

ISO 

10893-10

ISO 

10893-11

1

削除

ISO

規格では,ラム波の適用も

認めているが,国内の実態がほ

とんどないことから,削除し

た。

国内では,ラム波の使用ニーズ及
び実態がない。ISO の次回改正時

に提案する。

2

引 用 規

13

G 0

582


20
12


(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

3

用 語 及

び定義

人工きず 
対比試験片

製造業者

デジタル式探傷器 
走査装置

マーキング装置

自動警報装置

 3

人工きず 
対比試験鋼管

対比試験片

管 
継目無管

溶接管

製造業者 
協定

公称厚さの平均

削除 
追加

JIS

では,対比試験鋼管は,対

比試験片に含めている。JIS 

して,必要な用語を追加した。

JIS

では特に対比試験鋼管と対比

試験片を識別する必要がない。

次回 ISO 規格改正時に提案する。

4

一 般 要

求事項

検査の時期

鋼管の性状 
検査技術者

 4

検査の時期

鋼管の性状 
検査技術者

変更

ISO

規格では,レベル 3 の技術

者が,手順書を承認することが
義務付けられている。

ISO

規格が国際的な傾向であり,

次回 JIS 改正時に再検討する。

5

探 傷 装

自 動 探 傷 装 置 の 装

置構成

探傷器性能 
探 触 子 性 能 及 び 寸

周波数 
屈折角

マ ー キ ン グ 装 置 及

び自動警報装置

 5

周波数

探触子性能及び寸法

マーキング装置及び自動
警報装置

追加

ISO

規格には,装置に関する詳

細な規定がない。

試験法に装置の箇条は必要であ

り,JIS では追加した。次回 ISO

規格改正時に提案する。

6

探 傷 方

一般:斜角探傷法 
カ バ ー 率 及 び 試 験

速度

探傷方向

 5

斜角探傷法 
カバー率及び試験速度

探傷方向

追加 
削除

JIS

では,探傷形式及び接触媒

質の規定を追加した。

ISO

規格では,ラム波の適用も

認めているが,JIS では実態が
ほとんどないことから,削除し

た。

探傷形式及び接触媒質も重要な
規定であり,JIS では追加してい

る。

次回 ISO 規格改正時に提案する。

14

G 0

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12


(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

7

人 工 き

一般 
人 工 き ず の 種 類 及

び寸法許容差

人工きずの確認 
許 容 レ ベ ル 及 び 区

分 に 対 応 す る 人 工

きず寸法

 6

一般 
人工きずの種類

人工きずの寸法

変更 
削除

ISO

規格では,継目無鋼管に対

して管軸方向及び管円周方向

以外の方向の人工きずの適用

を協定で認めている。

JIS

では,角溝及び V 溝に代え

てドリル穴を用いること及び

用いる場合に受渡当事者間の
協定で寸法を規定できること

としている。

JIS

では,従来の区分による人

工きず寸法表を残した。

ISO

規格には,サブカテゴリに

よる最小角溝深さが規定され
ているが,国内では使用されて

いないことから削除した。

管軸方向及び管円周方向以外の
方向の人工きずの適用は,特に国

内では,ニーズを含めまだ十分に

対応できる状況にない。また,人
工きずの選択の方法についても,

ISO

規格方式は,まだ適用されて

いない。 
次回 JIS 改正時に ISO 規格の規定

への移行の可否を再検討する。

8

装 置 の

感 度 調 整
及 び 感 度

の確認

一般

感 度 及 び 警 報 レ ベ
ルの調整

感度の確認

 7

一般

感度及び警報レベルの調

感度の確認及び再感度調

変更

JIS

では,感度の確認を従来の

8

時間とした。

国内実態を JIS は適用した。

次回 JIS 改正時に再検討する。

9

結 果 の

判定

結果の判定 
嫌疑材の処置

 8

結果の判定

変更

ISO

規格では,同じ条件で再検

査を行う場合は,2 回再検査を

行うことを要求しているが,

JIS

では注記とした。

国内の実態と異なる。次回 ISO 
格改正時に再提案する。

10

検査報

9

変更

検査報告事項は,ISO 規格と一
致しているが,JIS では,必要

な項目を選択できることとし

ている。

JIS

では,工場内のデータの授受

のケースも考慮し,自由度を与え

ている。

次回 ISO 改正時に提案する。

附属書 A

附属書 A

追加

JIS

では,t/が 25 %超えの人

工きず比を追加した。

国内の知見を反映した。 
次回 ISO 改正時に提案する。

15

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12


(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

附属書 B

附属書 B

一致

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:

ISO 10332:2010,ISO 10893-10:2011,ISO 10893-11:2011,MOD)

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。 
    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

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