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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 0562-1993 

鉄鋼の窒化層深さ測定方法 

Method of measuring nitrided case depth for iron and steel 

1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼の窒化及び軟窒化加工(以下,加工という。)などによる窒化層深さ(以

下,窒化層深さという。)を測定する方法について規定する。 

備考1. 加工などは,JIS B 6915による。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0601 表面粗さの定義と表示 

JIS B 6915 鉄鋼の窒化及び軟窒化加工 

JIS G 0201 鉄鋼用語(熱処理) 

JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験方法 

JIS Z 2251 ヌープ硬さ試験方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS G 0201のほか次による。 

(1) 化合物層深さ 窒化物・炭化物・炭窒化物などを主体とする層の表面からの深さ。 

(2) 拡散層深さ 化合物層を除いた,窒素・炭素などの拡散が認められる層の深さ。 

(3) 窒化層深さ 窒化層の表面から,窒化層と生地の物理的又は化学的性質の差違が区別できない点に至

るまでの距離。窒化層深さは,化合物層深さと拡散層深さの和。 

(4) 実用窒化層深さ 窒化層の表面から,生地のビッカース硬さ値又はヌープ硬さ値より50高い硬さの点

に至るまでの距離。 

(5) 硬さ推移曲線 窒化層の表面からの垂直距離と硬さとの関係を表す曲線。 

3. 測定方法の種類 

3.1 

硬さ試験による測定方法 試験品の切断面について硬さ試験を行い,窒化層深さを測定する。 

3.2 

金属組織試験による測定方法 試験品の切断面を腐食して金属顕微鏡で観察し,窒化層深さを測定

する。 

4. 試験品 試験品は,製品そのものを用いる。ただし,やむを得ない場合には,製品と同一条件で処理

した同一鋼種の鉄鋼材料を用いてもよい。 

5. 硬さ試験による測定方法 

5.1 

硬さ試験 硬さ試験は,次による。 

(1) 試験品を加工面に垂直に切断し,切断面を研磨仕上げして被検面とする。切断又は研磨の際に,被検

面の硬さに影響を及ぼさないよう,また,端部が欠けたり,丸くならないように十分に注意しなけれ

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G 0562-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ばならない。 

(2) 被検面について,JIS Z 2244のビッカース硬さ試験又はJIS Z 2251のヌープ硬さ試験を行い,硬さ推

移曲線を作成し,その曲線から窒化層深さ又は実用窒化層深さを測定する(附属書付図1参照)。 

なお,硬さ試験の試験荷重は,2.942N以下とする。 

(3) 拡散層深さ測定法は,附属書による。 

5.2 

硬さ推移曲線の作成 硬さ推移曲線の作成は,次による。 

(1) 被検面の測定しようとする位置について,その表面に対して垂直な直線に沿って順次硬さを測定し,

硬さ推移曲線を作る。ただし,必要がある場合には,表面の1.5mm幅の範囲内に2〜5列にそれぞれ

表面に垂直な直線上で硬さを測定して(図1参照)1本の硬さ推移曲線を作る。 

図1 硬さ測定点の配置 

備考 li+1−li≦0.1mmとする。 

備考 li+1−li≦0.1mmとする。 

(2) 硬さ推移曲線における測定点の間隔は,0.1mm以下とする。そのときの隣り合うくぼみの中心の間隔

は,くぼみの対角線長さ(1)の2.5倍以上でなければならない。 

注(1) ヌープ硬さ試験では,長い方の対角線の2倍以上又は短い方の対角線の約4倍以上とする。 

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G 0562-1993  

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6. 金属組織試験による測定方法 金属組織試験による測定は,次による。 

(1) 試験品を加工面に垂直に切断し,切断面を研磨仕上げして被検面とする。切断又は研磨の際に,被検

面の金属組織に影響を及ぼさないように十分に注意する。被検面の表面粗さはJIS B 0601の0.40a程

度とする。 

(2) 被検面は,約3%硝酸アルコール溶液(2)中で,明りょう(瞭)な着色の状態が得られるように適切な

時間腐食する。この腐食面をアルコール又は水で洗浄した後,金属顕微鏡で腐食による着色状況を調

べる。 

注(2) 着色が困難な場合には他の腐食液を使用してもよい。 

(3) 窒化層深さを求めるには,生地と異なった着色をした部分の,表面からの深さを測定する(附属書付

図2参照)。 

(4) 化合物層深さ及び拡散層深さ測定法は,附属書による。 

備考 窒化層深さの測定点は,受渡当事者間の協定による。 

7. 表示 表示は,次による。 

(1) 窒化層深さ及び実用窒化層深さは,mmで表し,小数点以下第2位とする。ただし,これら窒化層深

さの薄い場合には,μmで表してもよいが,この場合には,数値末尾に単位記号を記載する。 

(2) 窒化層深さ及び実用窒化層深さの表示記号は,表1による。 

表1 窒化層深さ及び実用窒化層深さの表示記号 

項目 

測定方法 

硬さ試験による測定方法 

金属組織試験によ
る測定方法 

ビッカース硬さ 

ヌープ硬さ 

窒化層深さ 

ND-HV△-T 

ND-HK△-T 

ND-M-T 

実用窒化層深さ 

ND-HV△-P 

ND-HK△-P 

− 

備考1. NDは,窒化層深さ(参考:nitrided case depth)を示す。 

2. △は,試験荷重に対応する硬さ記号の数字を記入する。 

なお,受渡当事者間の協定によって,△は省略してもよい。 

3. Mは,金属組織(参考:microstructure)を表す。 
4. Tは,窒化層の全深さ(参考:total depth)を表す。 
5. Pは,窒化層の実用深さ(参考:practical depth)を表す。 

例1. ビッカース硬さ試験による測定方法によって,試験荷重2.942Nで測

定し,窒化層深さが0.74mmの場合。 

ND−HV0.3−T0.74 

例2. ビッカ−ス硬さ試験による測定方法によって,試験荷重2.942Nで測

定し,実用窒化層深さが0.23mmの場合。 

ND−HV0.3−P0.23 

例3. ヌ−プ硬さ試験による測定方法によって,試験荷重1.961Nで測定

し,実用窒化層深さが0.35mmの場合。 

ND−HK0.2−P0.35 

例4. 金属組織試験による測定方法で測定し,窒化層深さが50μmの場合。 

ND−M−T50μm 

G 0562-1993  

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附属書 化合物層深さ及び拡散層深さ測定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,鉄鋼の窒化及び軟窒化加工などによる化合物層深さ及び拡散層深さを測定

する方法について規定する。 

2. 測定方法の種類 

2.1 

硬さ試験による測定方法 試験品の切断面について硬さ試験を行い,拡散層深さを測定する。 

2.2 

金属組織試験による測定方法 試験品の切断面を腐食して金属組織を金属顕微鏡で観察し,化合物

層及び拡散層深さを測定する。 

3. 硬さ試験による拡散層深さ測定方法 拡散層深さの測定は,次による。 

(1) 本体5.1(1)及び(2)によって,試験品の被検面について硬さ試験を行う(附属書付図1参照)。 

(2) 硬さ推移曲線の作成は,本体5.2による。 

(3) 硬さ推移曲線によって窒化層深さ (ND) を測定する。 

(4) 拡散層深さ (DD) は,次の式で求める。 

DD=ND−CL 

ここに, 

ND: 窒化層深さ 

CL: 4.1で求めた化合物層深さ 

4. 金属組織試験による測定方法 

4.1 

化合物層深さ 化合物層深さの測定は,次による。 

(1) 本体6.(1)及び(2)によって試験品の被検面を腐食,洗浄する。 

(2) 被検面について,金属顕微鏡で観察して,附属書付図2のように表面近傍における腐食されない化合

物層について,表面からの深さを測定して化合物層深さ (CL) とする。 

4.2 

拡散層深さ 拡散層深さの測定は,次による。 

(1) 4.1(2)の化合物層の境界から,窒化層と生地の金属組織の差違が区別できない点に至るまでの距離を測

定して,拡散層深さ (DD) とする。 

参考 試験品は,受け入れのままで拡散層を観察しにくい場合には,析出熱処理などを施すことによ

って,拡散層を明確に観察することができる場合がある。 

(2) 拡散層深さは,次の式で求めてもよい。 

DD=NDM−CL 

ここに, 

DD: 拡散層深さ 

NDM: 金属組織試験による測定方法で求めた窒化層深

さ 

CL: 化合物層深さ 

5. 表示 表示は,次による。 

(1) 化合物層深さは,μm(1)で表し,小数点以下第1位とする。 

(2) 拡散層深さは,mmで表し,小数点以下第2位とする。ただし,拡散層深さの薄い場合には,μmで表

してもよい。(1)(2) 

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G 0562-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(1) μmで表す場合には,数値末尾に単位記号を記載する。 

(2) 小数点以下第1位とする。 

(3) 化合物層深さ及び拡散層深さの表示記号は,附属書表1による。 

附属書表1 化合物層深さ及び拡散層深さの表示記号 

項目 

測定方法 

硬さ試験による測定方法 

金属組織試験によ
る測定方法 

ビッカース硬さ 

ヌープ硬さ 

化合物層深さ 

− 

− 

CL-M 

拡散層深さ 

DD-HV△ 

DD-HK△ 

DD-M 

備考1. DDは,拡散層深さ(参考:diffusion depth)を示す。 

2. CLは,化合物層深さ(参考:compound layer)を示す。 
3. △は,試験荷重に対応する硬さ記号の数字を記入する。 
なお,受渡当事者間の協定によって,△は省略してもよい。 

例1. ビッカース硬さ試験による測定方法によって,試験荷重0.980 7Nで

測定し,拡散層深さが0.45mmの場合。 

DD−HV0.1−0.45 

例2. ヌ−プ硬さ試験による測定方法によって,試験荷重1.961Nで測定

し,拡散層深さが35.2μmの場合。 

DD−HK0.2−35.2μm 

例3. 金属組織試験による測定方法によって,化合物層深さが10.5μmの場

合。 

CL−M−10.5μm 

例4. 金属組織試験による測定方法によって,拡散層深さが0.51mmの場

合。 

DD−M−0.51 

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G 0562-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書付図1 硬さ推移曲線の一例 

附属書付図2 金属組織試験結果の一例 

関連規格 JIS G 0557 鋼の浸炭硬化層深さ測定方法 

JIS G 0563 鉄鋼の窒化層表面硬さ測定方法 

G 0562-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

鉄鋼の窒化層深さ測定方法等JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 金 武 典 夫 

金属技術研究所 

荻 布 真十郎 

通商産業省機械情報産業局鋳鍛造品課 

服 部 幹 雄 

工業技術院標準部材料規格課 

○ 大 友 清 光 

東京都立工業技術センター 

○ 滝 島 延 雄 

東海大学工学部 

○ 渡 辺   敏 

法政大学工学部 

○ 大和久 重 雄 

技術士(金属) 

○ 並 木 邦 夫 

大同特殊鋼株式会社(社団法人日本鉄鋼協会) 

○ 金 沢   孝 

いすゞ自動車株式会社(社団法人自動車技術会) 

加 藤   宏 

社団法人日本産業機械工業会 

○ 岩 崎 昌 三 

株式会社アカシ(日本試験機工業会) 

太刀川 洗 吉 

日進精機株式会社(日本金型工業会) 

○ 塚 原 和 俊 

東武冶金株式会社(日本金属熱処理工業会) 

○ 米 村 次 男 

パーカー熱処理工業株式会社 

○ 山 方 三 郎 

オリエンタルエンヂニヤリング株式会社 

○ 和 田 昭 三 

前東京熱処理工業株式会社 

○ 長 田 幸 雄 

日本電子工業株式会社 

○ 星   秀 夫 

富士工業株式会社 

(事務局) 

室 谷 信 壽 

社団法人日本熱処理技術協会 

○印 分科会委員を兼ねる