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F 9702 : 1996  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工

業規格である。これによってJIS F 9702-1992は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,JIS Z 8301 : 1996(規格票の様式)がIEC/ISO Directives−Part3 : 1989, Drafting and 

presentation of International Standards(ISO/IEC専門業務用指針−第3部:1989,国際規格の起草及び様式)

を基礎として,全面改定されたのを期に,規格票の様式を国際的に共通なものとすることを主眼とした。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意することを喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査

会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許権,実用新案権又は出願公開後の実用新案

登録出願にかかわる確認について責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 9702 : 1996 

船用圧力式温度スイッチ 

Shipbuilding−Filled system thermostats 

1. 適用範囲 この規格は,船の交流450V以下又は直流250V以下の電路において使用する主機関,補機

などの制御,保護及び警報用として用いる船用圧力式温度スイッチ(以下,スイッチという。)について規

定する。 

備考 圧力温度式スイッチとは,感温部の温度があらかじめ設定された温度になったとき,ガス又は

液体の圧力の変化として検知し,接点機構によって自動的に接点の開閉動作を行う機能をもつ

スイッチをいい,感温部,キャピラリーチューブ,本体,作動部,調整機構,接点機構,目盛

板などで構成する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ

れらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成する

ものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新版

(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0205 メートル並目ねじ 

JIS C 2805 銅線用圧着端子 

JIS F 0807 : 1989 船用自動化機器環境検査通則 

JIS F 8007 : 1989 船用電気器具の外被の保護形式及び検査通則 

JIS F 8801 船用電線貫通金物−箱用 

JIS F 8813 船用圧着端子用端子盤 

JIS H 3300 銅及び銅合金継目無管 

JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法 

JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 設定温度 スイッチの入り・切りに必要な動作温度の設定値。 

b) 調整範囲 設定温度を調整機構で操作し,任意に設定できる範囲。 

c) 入切温度差 スイッチの入り・切りに必要な温度差。 

d) 許容誤差 設定温度に関する動作温度の誤差の許容値。 

e) 最高温度 許容誤差を保持できる感温部の使用最高温度。 

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F 9702 : 1996  

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4. 種類 スイッチの種類は,基本機構,接点形式,調整範囲,入切温度差,及びキャピラリーチューブ

の長さによって区分し,次のとおりとする。 

a) 形名の構成 スイッチの形名は,次の例に示すような配列によって,記号と数字との組合せで構成す

る。 

例 

G1 

− 

Z1 

基本機構 

接点形式 

調整範囲番号 

入切温度差 

キャピラリーチューブ長さ 

(記号・数字)   

(記号・数字) 

(数字) 

(記号) 

(数字) 

b) 基本機構 基本機構は,表1に示す表示記号で表す。 

表1 基本機構 

内容 

表示記号 

単動形 

入切温度差可変形 

1種 

G1 

2種 

G2 

入切温度差固定形 

1種 

H1 

備考 入切温度差可変形の1種は,基準点が上で,

入切方向が下向方向に増えていくもの。2
種は,基準点が下で,入切方向が上向方向
に増えていくものを示す。 

c) 接点形式 接点形式は,表2に示すように記号と数字の組合せで表す。 

表2 接点形式 

備考 接点構成の矢印は,作動方向を示す。 

d) 調整範囲 調整範囲は,表3によって,それぞれ該当する番号で表す。 

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表3 調整範囲 

単位 ℃ 

基本
機構 




式 

番号 

特性 

調整範囲 

入切温度差 

S種 

L種 

許容
誤差 

最高
温度 

最小 最大 最小 最大 

G1 
G2 

Z1 
Z2 
Z3 
Z4 
Z5 
Z6 

1 −50〜 −20 

10 

10 

±2 

55 

2 −30〜 

10 

10 

±2 

55 

3 −10〜 

20 

10 

10 

±2 

55 

4   10〜 

40 

10 

10 

±2 

55 

5   30〜 

60 

15 

20 

±3 

75 

6   50〜 

80 

15 

20 

±3 

95 

7   70〜 100 

15 

20 

±3 

115 

8   90〜 120 

15 

20 

±3 

135 

110〜 

140 

15 

10 

20 

±3 

155 

10 

130〜 160 

15 

10 

20 

±3 

175 

H1 

Z6 

1 −50〜 −20 

2以下 

3以下 

±2 

55 

2 −30〜 

±2 

55 

3 −10〜 

20 

±2 

55 

4   10〜 

40 

±2 

55 

5   30〜 

60  

5以下 

±3 

75 

6   50〜 

80 

±3 

95 

7   70〜 100 

±3 

115 

8   90〜 120 

6以下 

±3 

135 

110〜 

140 

10以下 

±3 

155 

10 

130〜 

160 

±3 

175 

備考 入切温度差は,S種(温度差の小さいもの)及びL種(温度差

の大きいもの)の2種類とする。 

e) 入切温度差 入切温度差は,表3によってS種又はL種のいずれか該当する記号で表す。 

f) 

キャピラリーチューブ長さ キャピラリーチューブ長さは,表4によって一つの数字で表す。 

表4 キャピラリーチューブ長さ 

表示数字 

キャピラリーチューブ長さ m 

5. 性能 スイッチの性能は,次による。 

a) 定格 スイッチの定格電圧及び定格電流は,表5による。 

表5 定格電圧及び定格電流 

定格電流 

(A) 

定格交流電圧 

定格直流電圧 

125 V 250 V 500 V 

24 V  125 V 

抵抗負荷電流 

10 

0.1 

誘導負荷電流 

10 

0.1 

投入電流 

20 

15 

10 

10 

b) 動作特性 感温部を温度試験槽内に浸し,感温部の温度を1℃当たり3〜4分(ただし,ガス封入のも

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F 9702 : 1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

のは1〜2分)の速度で上昇又は下降させ,槽内温度変化による“入り”“切り”の動作を1回として

これを3回繰り返し,3回目の“入り”及び“切り”に動作した時の温度を測定したとき,許容誤差

は,表3の値以内であること。 

なお,装置及び試験は,次による。 

1) 試験槽は,温度分布が一様な液槽とする。 
2) 液槽の温度は,最小目盛101℃の棒状温度計を用いて測定する。 

3) 試験は,図1に例を示すように供試スイッチを設置する。ただし,取付け方向,試験条件などが指

定されたものは,その指定による。 

なお,感温部としての浸せき長さは,指定された値以上とする。 

図1 試験装置(例) 

c) 絶縁抵抗 各極の間及び充電部と非充電金属部との間の絶縁抵抗値は,いずれも100MΩ以上とする。 

d) 耐電圧 充電部と非充電金属部との間に商用周波数で正弦波に近い電圧を加え,表6に示す試験電圧

に達した後,1分間これに耐えること。ただし,低電圧機器(24V以下)では試験電圧を500Vとして

もよい。 

表6 試験電圧 

単位V 

定格電圧 

試験電圧 

65以下 

1 000 

65を超え 125以下 

1 500 

125を超え 250以下 

2 000 

250を超え 500以下 

2 500 

e) 最高温度 スイッチの感温部に表3に示す最高温度を2分間以上加え,動作特性は,設定値に対して

許容誤差内であること。 

f) 

開閉 次の試験を行い,接点の溶着その他の電気的又は機械的な異状がなく,許容誤差は,表3の値

の1.5倍以内であること。 

1) 表5の抵抗負荷電流(力率約1)の1.5倍の電流をスイッチによって閉路し,約1秒間通電後に開路

する操作を,毎分6回以上の割合で連続50回繰り返す。 

なお,開閉操作は,空気圧で行ってもよい。 

2) 表5の抵抗負荷電流又は誘導負荷電流(力率0.4〜0.6)の電流をスイッチによって閉路し,交流は

約1秒間,直流は約2秒間,通電後に開路する操作を毎分6回以上の割合で連続的に10万回繰り返

す。 

なお,開閉操作は,空気圧で行ってもよい。 

F 9702 : 1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) 温度上昇 使用温度において定格電流を連続通電し,各部の温度が一定となったとき,開閉部の温度

上昇値は,65℃以下であること。 

h) 耐振性 スイッチは,振動数2〜100Hz,加速度7m/s2の振動に耐えること。 

i) 

外被の保護性能 外被の保護性能は,JIS F 8007の規定によるIP44以上とする。 

j) 

耐塩性 96時間塩水噴霧にさらした後のスイッチは,著しい腐食がなく,正常に動作すること。ただ

し,この性能は,耐塩性を要求される環境に装備されるものにだけ適用する。 

k) 温湿度性能 スイッチは,温度55℃,相対湿度95%以上において,正常に動作すること。 

l) 

乾燥高温性能 スイッチは,温度70℃において正常に動作すること。 

m) 傾斜性能 スイッチは,22.5°の傾斜に対して正常に動作すること。 

6. 構造 

6.1 

構造一般 スイッチは,船用として適した材料を使い,できるだけ小形で,十分堅ろうで,機械的

振動及び応力に耐える構造とし,動作が円滑で電気的な接触が完全で,外部電線との接続が容易でなけれ

ばならない。各部の構造は,次による。 

a) 感温部 制御対象の温度を封入物(ガス又は液体)の圧力に変換する部分で,熱伝導が良い材質であ

ること。 

b) キャピラリーチューブ 感温部の圧力変化を作動部に伝達するための細管で,JIS H 3300のC1201T

若しくはC1020T又はこれと同等以上の品質のものを用いる。 

c) 作動部 調整機構などをケースに納める。 

d) 調整機構 調整機構は,設定温度及び入切温度差の調整が容易で,調整ねじ,ばね,レバーなどで構

成する。 

e) 接点機構 接点機構は,ベローズなどの受圧部の変位によって接点を入り・切りさせる構造で,接点

及び板ばねなどで構成する。 

f) 

目盛板 目盛板は,調整機構と連動して設定温度及び入切温度差を指示するものであること。 

6.2 

端子及び端子盤 スイッチの端子及び端子盤は,次による。 

a) 電線端子は,JIS C 2805の規定によるか,又はこれと同等以上の性能をもつこと。 

b) 電線接続用に端子盤を使用する場合は,JIS F 8813の規定によるか,又はこれと同等以上の性能をも

つこと。 

c) 端子ねじは,JIS B 0205のM3,M3.5又はM4とする。 

6.3 

外部電線導入部 スイッチの外部電線導入部の構造,寸法は,JIS F 8801の呼び15又は20とする。 

6.4 

塗装 スイッチの外被の材料は,できるだけ耐食性のものとし,腐食のおそれがあるものを用いる

ときは塗装を施し,塗装色は,7.5BG7/2(1)とする。 

なお,アルミニウム合金を使用するときは,原則としてJIS H 8601による陽極処理皮膜を施す。 

注(1) 色の表し方は,JIS Z 8721の規定による。 

7. 検査 

7.1 

検査項目及び順序 スイッチの検査は,次の項目及び順序によって同一品について行う。ただし,*

印の検査項目については,同一製造業者の同一設計による最初の製品についてだけ行い,次回以降のもの

については,省略することができる。 

 a)  外観・構造検査 

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 b)  動作特性検査 

 c)  絶縁抵抗検査 

 d)  耐電圧検査 

*e)  最高温度検査 

*f)  開閉検査 

*g)  温度上昇検査 

*h)  振動検査 

*i)  外被の保護性能検査 

*j)  塩水噴霧検査 

*k)  温湿度検査 

*l)  乾燥高温検査 

*m) 傾斜検査 

7.2 

検査条件 検査条件は特に指定がない限り,JIS Z 8703の常温常湿(温度5〜35℃,湿度45〜85%)

による。ただし,判定に疑義を生じた場合,又は再現性を必要とする場合の検査条件は,20±2℃・(65±

5) %とする。 

7.3 

外観・構造検査 外観,構造について検査し,6.の規定に適合しなければならない。 

7.4 

動作特性検査 動作特性検査は,5.b)の規定によって行い,それに適合しなければならない。 

7.5 

絶縁抵抗検査 絶縁抵抗検査は,JIS F 0807の3.9(絶縁抵抗検査)によって行い,5.c)の規定に適合

しなければならない。 

7.6 

耐電圧検査 耐電圧検査は,JIS F 0807の3.10(耐電圧検査)によって行い,5.d)の規定に適合しな

ければならない。 

7.7 

最高温度検査 最高温度検査は,5.e)の規定によって行い,それに適合しなければならない。 

7.8 

開閉検査 開閉検査は,注文者の規定する表6の電圧により5.f)の規定によって行い,それに適合し

なければならない。 

7.9 

温度上昇検査 温度上昇検査は,JIS Z 8704の熱電対を用いる方法のB級によって測定し,5.g)に適

合しなければならない。ただし,基準周囲温度の限定を55℃とする。 

7.10 振動検査 振動検査は,JIS F 0807の3.5(振動検査)によって行い,5.h)の規定に適合しなければ

ならない。 

7.11 外被の保護性能検査 外被の保護性能検査は,JIS F 8007の4.1(4)(保護等級3に対する検査)及び

4.2(5)(保護等級4に対する検査)の規定に適合しなければならない。 

7.12 塩水噴霧検査 塩水噴霧検査は,JIS F 0807の3.13(塩水噴霧検査)によって検査を行い,5.j)の規

定に適合しなければならない。 

7.13 温湿度検査 温湿度検査は,JIS F 0807の3.4(温湿度検査)によって検査を行い,5.k)の規定に適

合しなければならない。 

7.14 乾燥高温検査 乾燥高温検査は,JIS F 0807の3.3(乾燥高温検査)によって検査を行い,5.1)の規

定に適合しなければならない。 

7.15 傾斜検査 傾斜検査は,JIS F 0807の3.6(傾斜検査)によって検査を行い,5.m)の規定に適合しな

ければならない。 

8. 製品の呼び方 スイッチの呼び方は,規格の名称又は規格番号及び形名による。 

F 9702 : 1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例  船用圧力式温度スイッチG1-Z11S1 

又は,JIS F 9702-G1-Z11S1 

9. 表示 スイッチには,表面の見やすい箇所に銘板によって,次の事項を表示しなければならない。 

a) 規格の名称又は規格番号 

b) 定格電圧及び定格電流 

c) 形名 

d) 外被の保護形式 

e) 最高温度 

f) 

製造業者名又はその略号 

g) 製造年又はその略号