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(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  1 

4 単電池及び電池システム  4 

4.1 安全性要求事項  4 

4.2 周囲温度条件  4 

4.3 表示  5 

5 蓄電池設備  5 

5.1 電路及び材料に関する要求事項  5 

5.2 据付けに関する要求事項  5 

5.3 充放電に関する要求事項  5 

5.4 保護装置  6 

6 設置場所 6 

6.1 設置場所に関する安全性要求事項 6 

6.2 旅客室などへの設置の禁止  7 

6.3 換気・通風  7 

7 消火設備 7 

 

 


 

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まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本船舶技術研究協会(JSTRA)

から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経

て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

  

日本工業規格          JIS 

 

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舟艇−電気機器− 

リチウム二次電池を用いた蓄電池設備 

Small craft-Electrical devices-Electric energy storage equipment using 

secondary lithium cells and batteries 

 

適用範囲 

この規格は,総トン数20 t未満の船舶,又は総トン数20 t以上であってスポーツ若しくはレクリエーシ

ョンの用だけに供する船体の長さが24 m未満の船舶に装備するリチウム二次電池の単電池及び電池シス

テム(以下,それぞれ単電池,電池システムという。)並びにそれらに接続する充放電システムの安全性要

求事項について規定する。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 3312 600 Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル 

JIS C 3401 制御用ケーブル 

JIS C 3410 船用電線 

JIS C 8715-1 産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム−第1部:性能要求事項 

JIS C 8715-2 産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム−第2部:安全性要求事項 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

安全性 

受入れ不可能なリスクがない状態。 

3.2 

リスク 

危害の発生する確率と危害の程度との組合せ。 

3.3 

危害 

人体の受ける物理的障害若しくは健康障害,又は財産若しくは環境が受ける害。 

注記 財産又は環境が受ける害とは,船の航海に影響を与える害,乗船者の居住に著しい影響を与え

る害などが考えられる。 


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3.4 

蓄電池 

充電して繰り返して使うことができるリチウム二次電池。 

3.5 

リチウム二次電池,単電池 

リチウムの酸化・還元で電気的エネルギーを供給する充電式の電池。単電池は,端子配置及び電子制御

装置を備えていないため,すぐに使用できる状態にはない。 

3.6 

モジュール 

直列及び/又は並列接続した単電池群。温度上昇から回路を保護するためのPTC(positive temperature 

coefficient)素子,ヒューズなどの保護素子(保護装置),及び監視回路をもっていてもよい。 

3.7 

電池パック 

一つ以上の単電池又はモジュールを組み込んだユニット。端子構造をもち,保護装置又は保護回路を含

み,かつ,単電池の電圧を元に電池システムに制御情報(信号)の出力機能をもつ。 

3.8 

電池システム 

一つ以上の単電池,モジュール又は電池パックを組み込んだシステム。単電池が使用範囲内となるよう

に監視し制御するバッテリマネジメントユニット(BMU)をもつ。また,電池システムは,冷却装置及び

/又は加温装置をもつ場合もある。複数の電池システムが更に大きな電池システムを構成することもある。 

3.9 

公称電圧 

単電池又は電池システムの電圧を指定又は同定するために使用する適切な電圧値。公称電圧は,単電池

及び電池システム製造業者(以下,製造業者という。)が指定する。 

3.10 

バッテリマネジメントユニット,BMU(battery management unit) 

全ての単電池が使用範囲内となるように,単電池及び電池システムを監視し制御するもの。BMUの機

能は,電池パック内に割り当てるほか,電池システムを使用する機器・装置側に割り当てることもできる

(図1参照)。その場合,電池システムは,機器・装置側にあるBMUの機能を含んでいる。 

3.11 

定格容量 

製造業者が指定する電気容量(アンペア時)。 

3.12 

充放電システム 

充電器並びにコンバータ,インバータなどで構成される電池システムを含まない充放電設備。舶用以外

では,パワーコンディショナ,系統連系装置などと呼ばれている装置類がこれに該当する。 

3.13 

蓄電池設備 

電池システム及び充放電システムを含む設備全体(図2参照)。 


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3.14 

通風 

閉鎖空間内部の設備機器の要求を満たすために,空間の冷却又は換気を目的とする空気の供給。 

3.15 

機械通風装置 

通風機を使用して行う通風装置。 

 

 

図1−BMU機能の割当ての例 

 

 

 


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a) インバータ・コンバータで構成される充放電システムを用いる例 

 

 

b) 充電装置と電力変換装置とを分割した構成例 

図2−蓄電池設備の構成例 

 

単電池及び電池システム 

4.1 

安全性要求事項 

単電池及び電池システムは,次の要件を満たしていなければならない。 

a) 単電池又は電池システムは,JIS C 8715-2で規定された安全性要求事項に適合しなければならない。 

b) 電池システムは,堅固な構造をもつきょう(筐)体(蓄電池箱,ケースなど)に収納しなければなら

ない。ただし,電路についてはこの限りではない。 

c) 電池システムを収納するきょう体の材料は,非吸湿性のものであり,かつ,難燃性でなければならな

い。 

注記 この規格で要求される難燃性材料とは,JIS F 8061又はこれと同等の規格に規定された性能

を満足する材料,又は日本小型船舶検査機構検査事務規程細則に記載されているエボナイト

及び鉄板などである。 

d) 電池システムを使用する際の不適切な温度上昇を防止するため,複数のきょう体を配置する場合は,

機械通風装置を設けるか,又はきょう体の周囲に放熱のための空所を設ける必要がある。 

4.2 

周囲温度条件 

電池システムは,周囲温度0〜45 ℃で安全性に支障なく動作するものでなければならない。この温度を

超える区域又は下回る区域内に設置する場合は,想定される条件に従って,適切な単電池又は電池システ

ムを選定するか,同区域を適切に環境制御しなければならない。 

なお,JIS C 8715-2の附属書A(安全に利用するための単電池又は電池システムの使用範囲の決定手順)


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では,リチウム二次電池の一般的な標準温度範囲は10〜45 ℃であると規定されている。また,ディーゼ

ル機関若しくはその排気管の近く,又は日射の影響を受けやすい甲板部周辺などでは,45 ℃を超える周囲

温度となり得る。標準温度範囲よりも低温側,又は高温側の温度域においてリチウム二次電池を充放電す

る場合,発熱・熱暴走に至る可能性がある。したがって,電池システムは想定される温度域における安全

性の低下に留意した設計をしなければならない。 

4.3 

表示 

単電池又は電池システムの本体,取扱説明書などの表示はJIS C 8715-1の箇条11(表示)による。 

 

蓄電池設備 

5.1 

電路及び材料に関する要求事項 

蓄電池設備に使用する材料は,次の要件を満たしていなければならない。 

a) 電池システムに接続する電路の材料は,JIS C 3312,JIS C 3401及びJIS C 3410で規定しているもの

又はこれと同等以上の性能をもつものでなければならない。ただし,電圧35 V以下の電路の接続に,

JIS C 3406で規定している電線を用いてもよい。 

b) 蓄電池設備に使用する絶縁材料,配線材料などは,使用状況に応じた耐湿性,耐塩性及び耐油性をも

っていなければならない。 

注記1 この規格で要求される耐湿性,耐塩性及び耐油性をもつ材料とは,JIS F 8061又はこれと

同等の規格に規定された性能を満足する材料である。 

c) 蓄電池設備の電路に使用するボルト,ナット,端子などの部品は,耐食材料を用いるか,又は適切な

防食処理を施したものでなければならない。 

d) 蓄電池設備の電路に使用するボルト,ナットなどは,有効な緩み止めが施されていなければならない。

ボルト,ナットなどに有効な緩み止めが施されていない場合,接触不良による火花の発生などの重大

なトラブルの要因となり得る。そのため,蓄電池設備の電路に用いられるボルト,ナットなどには,

プロペラ及び機関によって船体に誘導された振動の影響に耐え得る対策を施しておく必要がある。 

注記2 例えば,緩み止めに関連する規格としては,JIS F 8006及びJIS C 60068-2-6がある。 

e) 蓄電池設備に使用する電路の接続方法及び設置方法は,従来の小型船舶で使われている方法と同等以

上の効力をもっていなければならない。 

注記3 従来の小型船舶で使われている配線材料の要求事項については,小型船舶安全規則及び日

本小型船舶検査機構検査事務規程細則に記載されている。例えば,電圧が100 V以上の電

路の接続は,接続箱,分岐箱,又は端子箱を用いなければならないこと,電路は,帯金な

どを用いて直接船体に,又は導板,ハンガなどに固定しなければならないことなどが規定

されている。 

5.2 

据付けに関する要求事項 

蓄電池設備は,ボルト及びナットで強固な船体構造部材に固定するなど,適切な手段で据え付けなけれ

ばならない。蓄電池設備が適切な手段で据え付けられていない場合,機器の落下,転倒による破損などの

重大なトラブルの要因となり得る。そのため,蓄電池設備は,設置する船舶において想定される傾斜(静

的傾斜及び動揺を含む。)並びに振動に耐え得る対策を施しておく必要がある。 

5.3 

充放電に関する要求事項 

充放電システムは,単電池及び電池システムの製造業者が指定する仕様に従って設計したものであり,

単電池及び電池システムの特性に応じて適正な電流及び電圧を維持できるものでなければならない。また,


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充電器を陸上に設置する場合においても,充電器は適切な仕様に従って設計したものでなければならない。 

5.4 

保護装置 

蓄電池設備は,次の要件を満たしていなければならない。 

a) 単電池及び電池システムの各種設定値のうち,充電終止電圧,最大充電電流,単電池及び電池システ

ムの使用上限温度,使用下限温度などの変更によって危機的な状況を招くおそれのある場合は,使用

者によって容易に変更されないようにパスワードなどで保護しなければならない。 

b) リチウム二次電池は,熱暴走によって発火するおそれがあるため,電池システムの直近又は電池シス

テムの内部にヒューズ,電流ブレーカなどの保護装置を設けるか,又は短絡事故によって発火しない

ための十分な耐性が求められる。 

c) 単電池ごとの電圧,温度などを計測するために,計測用の信号線が単電池に接続される場合にも,信

号線の短絡によって,信号線の発火又は単電池の熱暴走を引き起こすおそれがあるので,例えば,ヒ

ューズ又は電流ブレーカによる保護,信号線及び接続端子の難燃化,信号線の分離配置などを考慮す

る必要がある。 

d) 蓄電池設備には,単電池又は電池システムの温度,電圧,電流などを監視する装置を設けることとし,

重度の損害を生じるおそれがある場合には自動的に充放電を停止する装置を設けなければならない。

また,蓄電池設備の停止が船舶の安全な運航に著しく支障を及ぼす場合には,蓄電池設備を自動的に

停止する前に,操だ(舵)室など通常乗組員のいる場所に警報を発することが望ましい。 

e) 複数の単電池を組み合わせて電池システムを構成する場合は,単電池,電池パック又はモジュール単

位で電池間の充電不均衡を補正する機能を設けなければならない。 

f) 

蓄電池設備,船内発電機などの複数の電力源をもち,かつ,それらの並列運転を行う船舶においては,

安全,かつ,適切な保護装置を備えなければならない。 

注記 この規格で要求される適切な保護装置とは,不慮の電流の増加及び逆電力による機器の破損

及び事故を防ぐ装置である。 

 

設置場所 

6.1 

設置場所に関する安全性要求事項 

蓄電池設備は,定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が1 kW・h以下の電池システムを除き,次

の要件を満たす場所に設置しなければならない。 

a) 蓄電池設備は,操作及び点検が容易な場所に設置しなければならない。 

b) 蓄電池設備は,通常の取扱方法によって操作又は接触したとき,人体に傷害を生じさせないように作

り,設置しなければならない。 

c) 蓄電池設備は,機械的障害の危険及び熱による障害にさらされることなく,かつ,水滴,油,ビルジ

などの落下,はねかえり,海水などの流入又は雨水の浸入によって損傷を受けない場所に設置しなけ

ればならない。やむを得ずこのような危険にさらされる場合には,蓄電池設備を設置場所に適した構

造とするか,又は電池システムの正常な機能を妨害されないように保護しなければならない。 

d) 蓄電池設備は,長期間使用しない場合においても,水分及び結露の蓄積が生じない場所に設置するこ

とが望ましい。 

e) 電池システムは,爆発しやすい物質,若しくは引火しやすい物質が発生し,蓄積し,又は貯蔵される

場所に設置してはならない。このような危険にさらされる場合には,電池システムによって爆発性ガ

スに引火する危険のない構造のものとするか,又は十分な能力をもつ機械通風装置を備え付けるなど


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の安全対策を施さなければならない。 

注記 爆発しやすい物質,若しくは引火しやすい物質が発生し,蓄積し,又は貯蔵される場所とは,

燃料タンクを設置している区画,塗料類などの可燃物を貯蔵する場所である。 

f) 

電池システムは,火災発生時に初期消火の対応が可能な場所に設置しなければならない。 

g) 定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムは,通常,専用区画

に設置しなければならない。 

注記 専用区画とは,電池システムだけを置くために区切られた区画である。 

h) 専用区画は,適切な防火構造をもつことが望ましく,床面は容易に発火しない材質のもの,天井張り

及び壁の露出面は炎の広がりが遅い材質のものを推奨する。 

i) 

定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムを専用区画に設置で

きない場合,適切な防火対策を施したきょう体に電池システムを設置しなければならない。さらに,

電池システムが発火したとき,船体に与える影響を最小に抑える対策(例えば,爆風による船体及び

乗船者への危害を防止するための破裂板又は安全弁の設置)を講じなければならない。 

j) 

定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が10 kW・hを超え100 kW・h以下の電池システムは,専

用区画又は専用スペースに設置しなければならない。専用スペースに設置する電池システムは,上記

a)〜f)の要件を満たしていなければならない。 

注記 専用スペースとは,電池システムを置くことを定めた場所である。専用スペースは,専用区

画のように区切られた区画である必要はない。 

6.2 

旅客室などへの設置の禁止 

コンピュータ又は制御機器の保護に用いるための無停電電源装置(UPS)などに使用される小容量の蓄

電池を除き,電池システムを旅客室内,又は操だ(舵)室内に設置してはならない。 

6.3 

換気・通風 

リチウム二次電池は,通常の充放電で爆発性ガス,可燃性蒸気などを放出しないが,過充電などの異常

状態において,これらのガス,蒸気などを放出するおそれがある。したがって,電池システムを設置する

場所には,周囲温度の適切な管理と異常時に発生するガスの排出を目的として,十分な換気能力をもつ機

械通風装置を設置することが望ましい。排気は安全な場所に排出する必要がある。 

 

消火設備 

電池システムの設置場所に備える消化設備は,次の要件を満たしていなければならない。 

a) 消火設備は,火災発生時の初期消火を目的とし,電池システムの特性に応じた効果的な設備でなけれ

ばならない。 

b) 電池システムを設置する場所には,設置場所の容積,電池システムの配置などを考慮して,十分な数

の自動拡散型消火装置,又は消火器を設置しなければならない。 

 

 

参考文献 JIS C 3406 自動車用低圧電線 

JIS C 60068-2-6 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc) 

JIS C 61000-6-2 電磁両立性−第6-2部:共通規格−工業環境におけるイミュニテイ 

JIS F 8006 船用電気器具の振動検査通則 

JIS F 8061 船用電気設備−第101部:定義及び一般要求事項