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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶標準協会(JMSA)から,工

業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土

交通大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60533:1999,Electrical and electronic 

installations in ships−Electromagnetic compatibilityを基礎として用いた。 

JIS F 8081には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)IMO決議A.813(19):1995 

附属書B(参考)EMC設計一般手順 

附属書C(参考)EMC達成のための対策 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 3 

4. 一般 ······························································································································ 8 

5. EMC試験計画 ················································································································ 8 

6. エミッション要件 ············································································································ 9 

7. イミュニティ要件 ··········································································································· 12 

8. 試験結果及び試験成績表 ·································································································· 14 

附属書A(参考)IMO決議A.813(19):1995 ··············································································· 15 

附属書B(参考)EMC設計一般手順 ······················································································· 16 

附属書C(参考)EMC達成のための対策 ················································································· 25 

解 説 ······························································································································· 39 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 8081:2005 

(IEC 60533:1999) 

船用電気設備及び電子機器−電磁両立性 

Electrical and electronic installations in ships−Electromagnetic compatibility 

序文 この規格は1999年に第2版として発行されたIEC 60533, Electrical and electronic installations in ships

−Electromagnetic compatibilityを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工

業規格である。 

なお,この規格の中で点線の下線を施してある参考は,原国際規格にはない事項である。 

船に装備する電気機器及び/又は電子システムを伴う電気設備は広範囲の環境条件の基で動作しなけれ

ばならない。機器による船上の他の機器への甚だしい影響を与えないように,好ましくない電磁放射を確

実に抑制しなければならない。そのための適切な制限が必要である。 

一方,機器は,通常の電磁環境下において,その機能を低下することなく動作する必要がある。この規

格で規定されるイミュニティに対する制限値は,この考えに基づくものである。この規格に従って試験さ

れ,設置される機器は,関連するIMOの要求に合致する。落雷,遮断器の操作による過渡現象及び無線送

信機からの電磁放射などの特別に危険な影響も考慮されている。 

複雑な電気及び/又は電子システムは,その電磁環境,特殊要件,機器の性能を考慮して,設計から設

置までのすべての段階においてEMCに対する検討が要求される。 

この第2版は,船舶に設置されるすべての電気設備及び電子機器の電磁両立性に適用可能である。 

1. 適用範囲 この規格は,船用の電気及び電子機器の電磁両立性(EMC)に関するエミッション及びイミ

ュニティ並びに性能基準に対する最小要件について規定する。この規格の適用は,IMO決議A.813(附属

書A参照)の要求を満足するために有効である。 

この規格に従って試験され,設置される機器は,関連するIMOの要求に合致する。 

備考1. この規格の規定部分は,幾つかの関連するEMCの規格ファミリーとして策定された。 

2. この規格では,人間に対する影響は対象としない。 

3. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

   なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

  IEC 60533,Electrical and electronic installations in ships−Electromagnetic compatibility (IDT) 

この規格は,次に示す電気設備及び電子機器のグループに対するEMC対策達成のための指針及び推奨

を与えるものである。 

a) グループA 無線通信及び航海機器 

b) グループB 発電及び変換装置 

c) グループC パルス電源で動作する装置 

d) グループD 遮断器及び制御装置 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) グループE 通信機器及び信号処理装置 

f) 

グループF 非電気部分及び機器 

g) グループG 統合システム 

グループA及びCに対する基本的なEMC規格は,IEC 60945である。 

備考 この規格は,危険な操作及び感電に対する保護並びに機器の絶縁試験に対する保護といった基

本的な安全要求について規定するものではない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版,追補は適用しない。発効年又は発行年を付記していない引用規格

は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60050-161 EMCに関するIEV用語 

備考 IEC 60050-161 International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 161:Electromagnetic compatibility

が,この規格と一致している。 

JIS C 61000-4-2 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第2節:静電気放電イミュニティ試験 

備考 IEC 61000-4-2:1995 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4:Testing and measurement 

techniques−Section 2 : Electrostatic discharge immunity test及びAmend 1:1998が,この規格と

一致している。 

JIS C 61000-4-3 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第3節:放射無線周波電磁界イミュニテ

ィ試験 

備考 IEC 61000-4-3:1995 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement 

techniques−Section 3 : Radiated,radio-frequency,electromagnetic field immunity testが,この規

格と一致している。 

JIS C 61000-4-4 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第4節:電気的ファストトランジェント

/バーストイミュニティ試験 

備考 IEC 61000-4-4:1995 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement 

techniques−Section 4 : Electrical fast transient/Burst immunity testからの引用事項は,この規格

の該当事項と同等である。 

JIS C 61000-4-5 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第5節:サージイミュニティ試験 

備考 IEC 61000-4-5:1995 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement 

techniques−Section 5 : Surge immunity testからの引用事項は,この規格の該当事項と同等であ

る。 

JIS C 61000-4-6 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第6節:無線周波電磁界によって誘導さ

れた伝導妨害に対するイミュニティ 

備考 IEC 61000-4-6:1996 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement 

techniques−Section 6 : Immunity to conducted disturbances,induced by radio-frequency fieldsから

の引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 61000-4-11 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第11節:電圧ディップ,短時間停電及

び電圧変化に対するイミュニティ試験 

備考 IEC 61000-4-11:1994 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

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techniques−Section 11 : Voltage dips,short interruptions and voltage variations immunity tests. 

/Amend 1:2000からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS F 8061 船用電気設備−第101部:定義及び一般要求事項 

備考 IEC 60092-101 Electrical installations in ships−Part 101: Definitions and general requirementsが,

この規格と一致している。 

JIS F 8062 船用電気設備−第201部:システム設計−一般 

備考 IEC 60092-201 Electrical installations in ships−Part 201: System design−Generalが,この規格

と一致している。 

JIS F 8076 船用電気設備−第504部:個別規定−制御及び計装 

備考 IEC 60092-504 Electrical installations in ships−Part 504: Special features−Control and instrumentation

が,この規格と一致している。 

IEC Guide 107 Electromagnetic compatibility−Guide to the drafting of electromagnetic compatibility 

publications 

IEC 60945 Maritime navigation and radiocommunication equipment and systems−General requirements−

Methods of testing and required test results  

IEC 61000-1-1 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 1 General−Section : Application and interpretation 

of fundamental definitions and terms   

IEC 61000-4-1 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement techniques−Section1: 

Overview of immunity tests 

IEC 61000-4-16 Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-16 : Testing and measurement techniques−

Test for immunity to conducted,common mode disturbances in the frequency range 0 Hz to 150 kHz 

CISPR 16-1 Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part 1: 

Radio disturbance and immunity measuring apparatus  

CISPR 16-2 Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part 2: 

Methods of measurement of disturbance and immunity  

SOLAS International Convention for the Safety of Life at Sea,1974 (as amended) 

IMO 決議 A.813(19):1995 General requirements for electromagnetic compatibility (EMC) for all electrical 

and electronic ship's equipment 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。一般的な定義は,JIS C 60050-161及びIEC 

61000-1-1にも規定されている。 

JIS C 60050-161には含まれていないが,異なる試験を適用する場合に必要な追加定義は,基本的なEMC

規格に規定されている。 

3.1 

電磁両立性 (electromagnetic compatibility); EMC(略語) 電磁環境内にあるすべてのものに対し,許

容された以上の電磁妨害を発生することなく,機器又はシステムが電磁環境内で満足して機能する能力

[IEV 161-01-07]。 

3.2 

電磁影響 (electromagnetic influence) 電気及び電子回路,機器,システム又は人体に与える電磁量の

影響。 

3.3 

電磁障害 (electromagnetic interference); EMI(略語) 機器,伝送チャンネル又はシステムの電磁妨害

による性能低下。 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考1. 英語では“interference”(障害)と“disturbance”(妨害)とは,しばしば同義語として用いら

れる。 

2. フランス語では“perturbation électromagnétique”(電磁妨害)もまた“brouillage électromagnétique”

(電磁障害)の意味で使われる [IEV 161-01-06]。 

3.3.1 

性能低下 [degradation (of performance)] すべての装置,機器又はシステムの意図された性能からの

好ましくないかい(乖)離。 

備考 用語“degradation”(低下)は,一時的な又は恒久的な不良に使用可能である[IEV 161-01-19]。 

3.3.2 

機能喪失 (loss of function) 技術的対策によってだけその機能を復帰させることができる許容値を

超える装置の機能喪失。機能喪失の特別なケースとして破壊がある。 

備考 機能喪失には,一時的な又は恒久的な喪失がある。 

   − 恒久的な機能喪失を復帰させるための技術的対策とは,工具又は予備品の使用を必要とす 

     る。 

     − 一時的な機能喪失を復帰させるための技術的対策とは,コンピュータにおけるリセット操 

       作,又は電源再投入のような使用者による簡単な復帰行為が必要である。 

3.4 

電磁妨害 (electromagnetic disturbance) ある装置,機器若しくはシステムの性能を低下させる又は生

物,無生物に悪影響を与えるすべての電磁現象。 

備考 電磁ノイズ,好ましくない信号又は伝達媒体自身の変動は,電磁妨害となる場合がある[IEV 

161-01-05]。 

3.5 

妨害発生源 [emitter (of electromagnetic disturbance)] 電磁妨害として作用し,電圧上昇,電流上昇又

は電磁界強度上昇を与える装置,機器又はシステム[IEV 161-01-23]。 

3.6 

被妨害装置 (susceptible device) 電磁妨害を受け性能が低下する可能性をもつ装置,機器又はシステ

ム[IEV 161-01-24]。 

3.7 

エミッション [(electromagnetic) emission] 発生源から電磁エネルギーが放射される現象[IEV 

161-01-08]。 

3.8 

イミュニティ [immunity(to a disturbance)] 電磁妨害が存在しても機能低下なしに動作する装置,機

器又はシステムの能力 [IEV 161-01-20]。 

3.9 

結合 (coupling) エネルギーがある回路から他の回路へ伝達されることが可能な回路間の相互作用。 

3.10 挿入損失 (insertion loss) 電源から負荷に直接給電された場合の負荷における電力と,電源と負荷と

の間に設けられた4極装置(フィルタなど)を介して給電された負荷における電力との対数比。 

3.11 反射損失 (return loss) 反射損失aとは,反射係数rの逆数値に対する対数比である。すなわち, 

            

r

a

1

log

20×

=

           ここに,r:進行波に対する反射波の比率 

備考 保護回路のインピーダンスが,接続ケーブルのインピーダンスと一致している場合r=0,a=

∞とする。 

3.12 EMC解析 (EMC analysis) 電気装置への影響程度を決定するためのEMCデータの編集と判読。 

3.13 電磁障害マトリックス [electromagnetic interference matrix (EMI matrix)] 妨害発生源と被妨害機器と

の組み合わせマトリックス。行と列の交点において電磁障害の大きさを知る。 

3.14 被試験機器 [equipment under test (EUT)] EMC(エミッション及びイミュニティ)適合試験を受けな

ければならない機器(装置,器具及びシステム)。 

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3.15 機器又はサブシステム (equipment or subsystem) 電気的及び機械的に幾つかのサブユニットを組み

合わせ,意図された機能を果たすための技術的装置。 

3.16 統合システム (integrated system) 意図された機能を果たすために相互接続された独立した機器の組

合せ。 

例 異なるゾーンにセンサ及び装置をもつ貨物統合監視システム。 

3.17 システム (system) 設計に従って相互に作用する装置及び/又は構成要素の組合せ。あるシステム

の装置及び/又は構成要素が,他のシステム(サブシステムと呼ばれる)の場合もある。このような装置

及び/又は構成要素(サブシステム)には,次のものがある。 

   − ハードウエア 

    * 制御システム; 

    * 被制御システム; 

   − ソフトウエア; 

   − オペレータ; 

備考 各種の機器が装備される船全体を,一つのシステムとみなす場合がある。 

3.18 接地 [ground (earth)] 船の金属構造及び導電接続するすべてのその他の金属部分。 

備考1. 保護接地(保護アース)に関しては3.19参照。 

2. EMCのためには,金属部間の接続は電位差を均一とし,当該周波数範囲において低インピー

ダンスとすることが要求される。当該周波数範囲には,動作周波数同様妨害周波数が含まれ

る。この周波数範囲と電気装置の物理的大きさが,達成可能な均一電位を決定し,接地の有

効性が決定される。この接地は,すべての場合に保護接地の人身に対する安全に合致してい

るとは限らない。 

3. 非金属構造の船は,すべての金属部の導電性接続(接地板がある場合これを含む。)は共通接

地を形成する。 

3.19 保護接地(保護アース) (protective earth) 人体に危険な電流に対する保護対策として必要な導体で,

この導体は,次に示す機器ケーシングの一つ又はそれ以上の導電部を電気的に接続する。 

   − 外部導電部 

   − 主接地(アース)端子 

   − 分電システムの接地端子(存在する場合) 

   − 他の機器の金属ケーシング 

3.20 基準接地 (reference ground) 他の導体が基準とする電位をもつ導体。 

3.21 形式試験 (type test) この規格に規定された要求事項にその機器の設計が合致していることを確認

するために供試機器に対して実施するEMC試験。 

3.22 ポート (port) 妨害を受けるか又は与える場合がある外部の電磁環境と機器との特定の接続(図1

参照)。 

備考 導電性インタフェースは,ケーブル,接地端子,又は管,据付部品などで構成される場合があ

る。 

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                   外被ポート 

  

図1 ポートの例 

3.23 ゾーン (zones) その場所に位置する被妨害装置及び/又は妨害装置によって特定される場所で,次

に区分される(図2参照)。 

   − 甲板及び船橋ゾーン: 船内通信装置,信号処理装置,無線通信装置,航海機器及びその補機

器並びに金属構造物に設けられた大きな開口部によって特定される制御室及び操舵室並びに送

受信アンテナの近傍区域; 

   − 一般分電ゾーン: 一般負荷によって特定される区域; 

   − 特別分電ゾーン: 表3の制限値を超える妨害を発生する推進システム,バウスラスタなどに

よって特定される区域; 

   − 居住ゾーン: 乗客,乗員などがそこで使用するために船内にもち込む機器によって特定され

る区域; 

3.24 一般負荷 (normal consumer) 機械,制御機器,小形変換器など船の運航用の機器。 

3.25 ケーブルの選択 (cable selection) 選択された類似の信号形式及び信号レベルのケーブルは,同一分

類として扱う。 

交流給電ポート 

直流給電ポート 

入出力信号及び制

御ポート 

接地ポート 

機  器 

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図2 ゾーンの概略系統図 (例) 

3.26 ケーブルの分離 (Cable separation) 異なる分類のケーブルは,クロストークを減少させるために間

に空間を設けて敷設する。 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

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4. 一般 船用機器及びシステムは,電力線,制御線によって伝導される妨害,又は電磁放射環境からの

直接の妨害など,各種の電磁妨害を受ける可能性がある。妨害の形式とそのレベルは,システム,サブシ

ステム又は機器が設置され,動作する環境による。 

船に設置された個々の機器は,広周波数帯域にわたる電磁妨害の発生源となり,それが電力線及び信号

線を通して伝達し,又は直接放射して,他の機器の性能及び外部電磁環境に影響を与える。 

イミュニティ要件のための試験用の許容基準は,動作要件として規定された性能基準に関係する。 

エミッションを制限するこれらの要求の目的は,機器及びシステムによって発生する妨害が,他の機器

及びシステムの意図された動作が確保されるレベルを超えないことを確実とするためのものである。 

備考1. 7.に規定されたイミュニティの最低要件は,代表的な電磁環境を示したもので,船用のイミ

ュニティの適切なレベルを明確にするために選定されたものである。 

2. しかしながら,他の船上機器が受信アンテナから3 m以内の距離で使用される場合,この規

格のエミッションの制限値は,無線受信機障害に対して十分な保護とはいえない(附属書B

参照)。 

3. 妨害に鋭敏な機器が送信アンテナから3 m以内の距離で使用される場合のような特別な場合,

7.で規定した制限値より高くイミュニティ特性を向上させるための追加の対策を採用しなけ

ればならない場合がある。 

5. EMC試験計画 

5.1 

目的 試験を実施する前に,EMC試験計画を制定しなければならない。EMC試験計画は,少なく

とも5.2〜5.5の規定による要素を含まなければならない。 

この規格の試験は,通常,形式試験として実施し,可能な限り,EMC試験所で実施しなければならない。

EMC試験方法については,IEC基本規格を参照するが,形式試験が実施不能な場合(EUTの寸法,機能

的な動作などのため),必要に応じて,試験所で条件に合わせた試験方法で個々の試験を実施して差し支え

ない。 

5.2 

EUTの構成  

5.2.1 

一般 船用システムは,統一された機器構成ではない。単体又は統合設置にかかわらず,形式,数

量,機器の設置方式は,システムごとに異なる場合がある。したがって,すべての構成を試験することは

合理的でなく,形式試験の実施が推奨される。 

EMC状況(エミッションとイミュニティの両方に関する)の現実的なシミュレーションのためにEUT

は,ケーブル,給電などの補機器を含め,実際の設置状況を代表するものとして構成しなければならない。

このEUT構成は,可能な限り通常状態(ソフトウェアを含んで)で試験しなければならない。 

5.2.2 

EUTの機器構成 システム,サブシステム又は分散して設置される場合のある機器の形式試験の

場合,実際的な設置状況を再現するために,EUTのすべての構成要素を含む1種類以上の代表的な構成を

選択しなければならない。選択された構成の根拠を,EMC試験計画に記述しなければならない。 

備考 試験完了後に発行される形式試験証明書は,EMC試験計画に記載されているEUT機器構成に

だけ有効である。 

5.2.3 

EUT接続ケーブル 十分な数量の各種の接続ケーブルを選択しなければならない。各種類ごとの

接続ケーブルの少なくとも一つは,代表された構成での試験に使用しなければならない。 

接続ケーブルは,標準タイプ(表C.1参照)のものを採用しなければならない。 

特殊ケーブルが必要とされる場合,EUTの製造業者は,その仕様書を提供するのが望ましい。 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2.4 補助器材 すべての試験用補助器材のリストを用意しなければならない。リストされた補助器材は,

その実際の動作状態を再現するのに十分なものでなければならず,すべての可能な動作形式が確実に実施

できなければならない。 

5.2.5 

配線と接地 EUTは,製造業者の仕様書及び設置要件に従って,すべての必要な配線及び接地接

続がなされなければならない。追加して接地を行ってはならない。 

5.3 

試験前調整  

5.3.1 

動作条件 最も代表的な機能に対して試験することを考慮し,製造業者はEUTの代表的な動作モ

ードを試験前に決定しなければならない。例えば,アナログ信号は,0 %,50 %及び100 %に相当する値,

又デジタル信号は,代表的な連続パルスデジタル信号列とする。特異点動作モードの選択には特に注意を

払わなければならない。 

5.3.2 

環境条件 EMC試験は,一般的な環境条件下で実施しなければならない。一般的な環境条件とは,

温度が+15 ℃〜+45 ℃の範囲,相対湿度が20 %〜75 %の範囲における任意の組合せ環境としなければな

らない。 

上記の環境下で試験を行うことが実際的でない場合,実際の試験中の環境条件に対する注釈を,試験成

績表に付記しなければならない。 

5.3.3 

試験用ソフトウェア 各種動作モードに使用する試験用ソフトウェアは,識別されていなければな

らない。 

5.4 

合格基準 各ポートの試験及びその合否基準を規定しなければならない。合格基準は,できる限り

定量的な値で規定しなければならない。 

 評価のための性能基準は,次による。 

  性能基準 A EUTは,試験中及び試験後に期待された動作を継続しなければならない。関連機器の

規格及び製造業者発行の技術仕様書で規定される性能低下及び機能喪失は許されない。 

  性能基準 B EUTは試験後に期待された動作を継続しなければならない。関連機器の規格及び製造

業者発行の技術仕様書で規定される性能低下及び機能喪失は許されない。ただし,試

験中の自己復帰可能な性能低下又は機能喪失は許されるが,実際の動作状態の変化又

は記憶されたデータの変化は許されない。 

  性能基準 C 試験中及び試験後の一時的な性能低下又は機能喪失は,機能が自己復帰するか,又は

関連機器の規格及び製造業者発行の技術仕様書で規定される制御動作よりも機能復帰

が可能であることを条件に許される。 

5.5 

EMC試験の適用範囲 適用される個々の試験は,表1の機器試験マトリックスに基づくEMC試験

計画の中に規定しなければならない。試験内容,試験方法,試験の特質及び試験構成は,6.2及び7.2に参

照された基本規格による。これに加えて,試験の実際的な実施のために必要な情報は,この規格に与えら

れている。場合によっては,試験適用の詳細を,EMC試験計画に規定するのが望ましい。 

 個々の試験の性能基準は,表1による。 

備考 通常,この規格で規定された以上に追加のEMC試験は要求されない。 

6. エミッション要件  

6.1 

エミッション試験条件 計測は,調査する周波数帯域における最高のエミッションレベルとなる

EUT動作状態で実施しなければならない(5.参照)。 

備考1. ここで規定される伝導エミッションの制限値は,ポートごとに与えられる。 

10 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. 受信周波数範囲内の放射エミッション要件は,船橋及び甲板ゾーンにおける妨害発生源と受

信アンテナとの間の最小距離を3 mと仮定している。この距離が3 m未満の場合,別に両立

性解析が必要である。 

計測は,エミッションの形式ごとに,明確に定義し,再現可能な状態で実施しなければならない。試験,

試験方法及び試験構成の内容は,表2及び表3に示す基本規格による。計測は,最大値検出器で実施しな

ければならない。 

 CISPR 16-1の計測帯域幅の間隔は,周波数範囲10 kHz〜150 kHzで200 Hz,周波数範囲150 kHz〜30 MHz

で9 kHz,周波数範囲30 MHz〜2 000 MHzで120 kHzである。IEC 60945に従って計測帯域幅の間隔は,

周波数範囲156 MHz〜165 MHzでは,9 kHzとしなければならない。 

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11 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 機器試験マトリックス 

(x:必要試験 ; −:試験不要) 

 
 

グル
ープ 

機器及び設置

グループ 

適応装置の例 

CISPR 

16-2 

CISPR 

16-3 

IEC 

61000- 

4-16 

JIS C 

61000- 

4-11 

JIS C 

61000- 

4-11 

JIS C 

61000- 

4-4 

JIS C 

61000- 

4-5 

JIS C 

61000- 

4-6 

JIS C 

61000- 

4-2 

JIS C 

61000- 

4-3 

導電エ
ミッシ

ョン 

放射エ
ミッシ

ョン 

導電低
周波数

妨害 

電源変

動 

電源フ
ェイラ

ー 

ファスト
トランジ

ェント 

サージ

電圧 

導電高
周波妨

害 

静電気

放電

(ESD) 

電磁界 

無線通信及び
航海機器 

船用無線通信及び航海機
器,システム 

船用無線通信及び航海機
器用送受信機 

発電及び変換
装置 

電気機器 

誘導モータ/発電機 

同期機器 

直流機器 

電気装置によって制御さ
れる電気機器 

特別電気機器 

励磁装置 

AVR:自動電圧調整機 

AVR付加装置 

変換装置 

サイクロコンバーター 

シンクロコンバーター
(DCリンク) 

パルス幅変換装置 

直流変換装置 

トランス 

  

パルス電源で
動作する装置 

航海装置 

レーダ,ソナーシステム及
び音響測深装置 

遮断装置及び
制御装置 

サーキットブレーカ/コ
ンダクター 

電子装置なしのもの 

電気制御装置 

  

リレー制御装置 

  

通信及び信号
処理装置 

電気式警報監視装置 

  

電気式制御装置 

  

自動化システム 

  

コンピュータ,検出器 

  

非電気部分及
び装置 

索具 

二次的広帯域妨害の発生 

不適用 

統合システム 異なる区域にある装置,検

出器をもつ積荷監視装置 

それぞれの装置,システム
における試験 

統合航海システム(INS) 

それぞれの装置,システム
における試験 

統合ブリッジシステム
(IBS) 

それぞれの装置,システム
における試験 

11

F

 8

0

8

1

2

0

0

5

 (I

E

C

 6

0

5

3

3

1

9

9

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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12 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

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6.2 

エミッションの制限  

備考1. 居住ゾーンで使用する恒久的に設置しない装置は,エミッションの限度適用を要求しない。 

2. すべての他のゾーンから居住ゾーンを電磁的に分離する配置とする配慮が望ましい。 

6.2.1 

船橋及び甲板ゾーンに設置される機器のエミッションの限度  

表2 エミッションの限度 

ポート 

周波数範囲 

制限値 

基本規格 

外被(放射エミッション) 150 kHz 〜 300 kHz 

300 kHz 〜 30 MHz 
30 MHz 〜 2 GHz 
ただし, 
156 MHz〜165 MHz 

80 dBμV/m 〜 52 dBμV/m  
52 dBμV/m 〜 34 dBμV/m  
54 dBμV/m  
 
24 dBμV/m 

CISPR 16-1 * 
CISPR 16-2 * 

出力,入出力 
信号及び制御 
(伝導エミッション) 

10 kHz 〜 150 kHz 
150 kHz 〜 350 kHz 
350 kHz 〜 30 MHz 

96 dBμV/m 〜 50 dBμV/m  
60 dBμV/m 〜 50 dBμV/m  
50 dBμV/m  

CISPR 16-1 
CISPR 16-2  

* 距離3 mにて計測 

6.2.2 

一般分電ゾーンに設置される装置のエミッション限度 

表3 エミッションの限度 

ポート 

周波数範囲 

制限値 

基本規格 

外被 
(放射エミッション) 

150 kHz 〜 30 MHz 
30 MHz 〜 100 MHz 
100 MHz 〜 2 000 MHz 
ただし, 
156 MHz 〜 165 MHz 

80 dBμV/m 〜 50 dBμV/m 
60 dBμV/m 〜 54 dBμV/m  
54 dBμV/m  
24 dBμV/m  

CISPR 16-1 * 
CISPR 16-2 * 

電源,入出力 
信号及び制御 
(伝導エミッション) 

10 kHz 〜 150 kHz 
150 kHz 〜 500 kHz 
500 kHz 〜 30 MHz 

120 dBμV/m 〜 69 dBμV/m 
79 dBμV/m 
73 dBμV/m 

CISPR 16-1 
CISPR 16-2  

* 距離3 mにて計測 

備考1. 船橋及び甲板ゾーンと一般分電ゾーンとの間には,給電回路(図2参照)に周波数

範囲10 kHz〜30 MHzにおいて30 dBの分離能力をもつRF1フィルタを設置するのが
望ましい。 

   2. 一般分電ゾーンと特別分電ゾーン間には,一般分電ゾーンの制限値と特別分電ゾー

ンに設置されている機器のエミッションとの差に相当する分離能力をもった分離器
具を,給電回路(図2参照)に設置するのが望ましい。 

6.2.3 特別分電ゾーンに設置される装置のエミッションの制限 全体の定格容量に対してかなりの部分を

占める半導体が接続される特別分電ゾーンは,高周波数高調波と同様に低周波を抑制することができない

場合がある。安全な動作を確保するために分電システムに対するこれらの影響を減少させるために適切な

対策をとるのが望ましい。規定値よりも高い高調波成分を含む給電システムから給電される負荷の選択に

は,注意するのが望ましい。 

備考 使用者と機器製造業者間の合意がなされるのが望ましい。 

 このゾーンに設置する機器に対しては,追加の要求はない。 

7. イミュニティ要件 

7.1 

イミュニティ試験条件 計測は,試験に対する応答が要求性能基準を満足することを確認できるよ

うに動作するEUTで実施しなければならない(5.参照)。 

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13 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 イミュニティ試験中のEUT構成,操作モードは,その詳細を試験成績表に記録しなければならない。 

 試験は,表4に従って関連ポートに実施しなければならない。 

 試験は,基本規格に従って実施しなければならない。 

7.2 

イミュニティ最低要件 イミュニティ最低要件及び試験は,表4による。 

表4 船用装置に対するイミュニティ最低要件 

ポート 

試験項目 

基本規格 

性能基準 

試験値 

交流電源 

伝導低周波妨害 

IEC 61000-4-16 

50 Hz 〜 900 Hz; AC 電源電圧の10 % 
900 Hz 〜 6 000 Hz; 10 % 〜 1 %  
6 kHz 〜 10 kHz; 1 %  

電源変動 

JIS C 61000-4-11 

電圧: ±20 %で 1.5 秒 
周波数: ±10 %で5秒 

電源喪失 

JIS C 61000-4-11 

60 s中断 

ファストトランジェン

ト(バースト) 

JIS C 61000-4-4 

2 kV3) 

サージ電圧 

JIS C 61000-4-5 

0,5 kV1) / 1kV2) 

伝導高周波妨害 

JIS C 61000-4-6 

3 Vrms3); (10 kHz)6) 150 kHz 〜 80 MHz 
スイープレート≦1.5×10−3ディケード/秒7) 
変調 80 % AM (1 kHz) 

直流電源 

伝導低周波妨害 

IEC 61000-4-16 

50 Hz 〜 10 kHz;DC電圧の10 % 

電源変動 

JIS C 61000-4-11 

蓄電池接続でない機器;電圧の+20 %/−25 % 

電源喪失 

JIS C 61000-4-11 

60 s中断 

ファストトランジェン

ト(バースト) 

JIS C 61000-4-4 

2 kV3) 

サージ電圧 

JIS C 61000-4-5 

0,5 kV1) / 1 kV2) 

伝導高周波妨害 

JIS C 61000-4-6 

3 Vrms3); (10 kHz)6) 150 kHz 〜 80 MHz 
スイープレート≦1.5×10−3ディケード/秒7) 
変調 80 % AM (1 kHz) 

入出力ポー

ト 

信号/制御 

ファストトランジェン

ト(バースト) 

JIS C 61000-4-4 

1 kV4) 

伝導高周波妨害 

JIS C 61000-4-6 

3 Vrms3); (10 kHz)6) 150 kHz 〜 80 MHz 
スイープレート≦1.5×10−3 ディケード/秒7) 
変調 80 % AM (1 kHz) 

外被 

静電気放電 (ESD) 

JIS C 61000-4-2 

接触放電 6 kV / 気中放電 8 kV 

高周波放射電磁界 

JIS C 61000-4-3 

10 V/m5) 
80 MHz 〜 2 GHz 
スイープレート≦1.5×10−3 ディケード/秒 
変調 80 % AM (1 kHz) 

備考1. 恒久的に設置しない,乗客居住ゾーンで使用する装置は,いかなるイミュニティ要件も適用しない。 

2. すべての他のゾーンから居住ゾーンを電磁的に分離した配置とする配慮が望ましい。 

1)線と線との間 

2)接地と線との間 

3)容量結合 

4)結合クランプ 

5)解析が必要な特別な状態。 

6)試験手順を試験成績表に明記する。 

7)船橋,甲板ゾーンに設置される機器に対しては,IEC 60945に従いスポット周波数2/3/4/6.2/8.2/12.6/16.5

/18.8/22/25 MHzにおいて10 Vrms に増加しなければならない。シールド線は,そのケーブルシールド線内に
結合を可能とする特殊試験用器材を用いなければならない。 

14 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.3 システムの設置状況 特別なシステムの設置状況(例えば,送信アンテナに非常に近い装置など)に

おいて,更に高度な要求又はその他の現象の確認試験が必要な場合,そのイミュニティを向上させるか,

又はその設置状況における障害を軽減させる対策をとらなければならない。 

8. 試験結果及び試験成績表 試験結果は,分かりやすく試験成績表に記録しなければならない。試験成

績表は,正確,明りょう,明確,客観的に表現し,試験目的,試験結果及び試験に関するすべての情報を

記載しなければならない。 

試験成績表は,ケーブル系統図,ケーブル形式及び使用する試験用補助器材を含め,EUTを明確に定義

しなければならない。EMC試験計画からのすべての相違を,記載しなければならない。 

15 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考)IMO 決議 A.813(19):1995 

 この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

IMO 決議 A.813(19)  

1995年11月23日採択 

すべての船用電気,電子機器に対する電磁両立性(EMC)の一般要求事項 

総会は, 

海上安全のための規則及び指針に関するIMO条約第15条 (j) を想起し, 

更に,SOLAS(1974)* 第4章及び第5章に従い船に搭載される無線通信及び航海機器と対象機器間の電

磁両立性 (EMC) を確保するための対策を要求する決議A.694(j)も又想起し, 

結果的に危険な状態を引き起こす電磁波障害に敏感な機器採用による問題発生数の増加に注意し, 

更に,幾つかの電磁両立性 (EMC) に関する規格が制定されていることに注意し, 

機器の適応性及び信頼性を確保するため,すべての船用電気,電子機器のための電磁両立性 (EMC) 規格

を作成する必要性を認識し, 

海事安全委員会 (MSC) 第65回会議における提案を考慮して, 

すべての船用電気,電子機器に対して,関連EMC規格の適合試験の実施を政府に要請する。 

*IEC Publications 533 and 945. 

16 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考)EMC設計一般手順 

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

B.1 序文 この附属書は,船と船用機器に対するEMC達成のためのガイドラインを含む。EMC達成のた

めの一般手順を記述する。 

 この規格を採用することによって,計画段階,製造段階及び動作段階におけるEMC問題の十分な検討

が達成できる。これによって必要とされる整合を重視しながら,プロジェクトの経過期間中EMC対策を

適切に実現することができる。 

 船が生存する間,EMC性能が保守方法によって低下しないことが重要であり,かつ,改造及び機能の追

加に当たり,保守が最小要件の適用によって達成されることが重要である。 

B.2 一般手順 この附属書の目的は,システムのEMCを達成する際に,船の全体的な性能に対し責任を

もつ製造業者を支援するためのものである。EMCは品質に直接関係するので,一般の品質保証と同様な方

法で扱われなければならない。 

システムの複雑さに従い,EMCの管理がEMCの達成のために次の活動を管理し,監視する必要がある。 

 − EMC解析; 

 − EMC対策の計画と実施; 

 − 機器のEMC対策の確認; 

 − システムにおけるEMC対策の実施と効果確認; 

 − システム生存中におけるEMC対策効果の持続の確認; 

B.3 EMC管理 

B.3.1 一般 ほとんどの商船において,EMC管理は全体を管理する業務であり,通常一人の責任者が任命

される。造船所の電気及び電子部門には相応の技能が要求される。更に複雑な船にあっては,更に広範囲

にわたる技術と知識が必要とされる。この場合,EMC問題に対し,適切な意思決定を支援するためにEMC

諮問グループを構成するのが望ましい。 

B.3.2 EMC諮問グループ EMC諮問グループは,システムの計画段階で構成するのが望ましい。そのグ

ループの議長は,EMC問題の責任者が行う。 

 このグループは,各分野の専門家が一体となり,起こり得るEMC問題の想定,それにかかわる技術的

ノウハウ及びEMC対策の評価によって,必要十分,かつ,経済的であると認められるシステムのEMC要

件を策定する。 

EMC諮問グループには,次のメンバーを含むのが望ましい。 

 − 契約者の代表; 

 − 顧客の代表; 

 − EMC関連機器の供給者の代表; 

 − 船級協会の代表; 

 − 中立の立場のEMC専門家; 

 すべてのメンバーが専任である必要はない。契約者は,取り扱う主題に応じて一時的なメンバーを召集

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する権限をもつ。 

B.3.3 EMC管理業務 

EMC達成のための管理業務の基本手順は,次による。 

 − 簡易EMC解析の実施; 

 − 機器のEMC要件の策定; 

 − 動作条件の決定; 

 − 推奨設置方法の決定; 

 − 品質保証方案の決定; 

 − 上記ステップの結果検討; 

 − 追加EMC対策の実施; 

B.3.4 簡易解析 EMC初期解析において,次の問題事項を明らかにしなければならない。 

a) 送信アンテナによりどの機器が影響を受けるか? 

第1番の影響要素は電磁放射である。したがって,甲板上のすべての機器が影響される場合がある。

甲板下の機器は,金属船体による遮へい効果を得る場合がある。しかしながら,甲板ゾーン及び船橋

ゾーンに設置される電子機器には,十分な考慮をするのが望ましい。 

b) どの機器が受信アンテナに影響をもたらすか? 

影響は電磁放射からもある。甲板ゾーン及び船橋ゾーンの強電磁放射機器だけを考慮するのが望まし

い。 

c) 給電系統及び機器の電磁放射によってどの電子機器が妨害されるのか? 

給電系統及び機器からの電磁放射は,一般的にその距離に従い減衰する。したがって,電磁放射給電

系統及び機器の近くにある機器だけを考慮する必要がある。 

d) 不適切なネットワーク品質からどの電子機器が障害を受けるのか? 

一般的な船のネットワーク品質は,JIS F 8061で規定されている。被妨害電子機器及び妨害電子機器

が同一母線に接続された場合,妨害が発生する場合がある。 

B.3.5 機器のEMC要件 機器は,船に設置する前に基本的にEMC規格に適合していることが要求される。

このことは製造業者の仕様書の中で証明されることが望ましい。非適合品の場合,追加して解析作業を実

施しなければならない。ほとんどの場合,設計上の制限を必要とするか,又は追加のEMC対策を設けな

ければならない。 

 現実的な要求は,その機器が設置された環境で信頼性の高い,障害のない動作を確保することである。

そのため,機器の供給者は,その環境のEMC特性についての情報を与えられることが必要である。 

B.3.6 EMCインタフェース合意書 相互にEM障害を発生する危険のある機器の同時動作を行う場合,

契約者は,機器の供給者に対し正常な動作を確保するための対策に関する合意を取り交わすのが望ましい。

合意書には,対策,責任の所在及び品質保証手順を記載することが望ましい。 

B.3.7 推奨設置方法 EMCを特別に考慮した推奨される設置方法が,この規格の附属書Cに記載されて

いる。 

 機器間の隔離距離が必す(須)である場合の特別な設置に関する要件の例は,簡易解析の結果から決定

して差し支えない。 

B.3.8 EMC規則との適合評価 EMC規則との適合性評価は,総合的な品質保証の一部をなすものである。

適切な対策は,次のレベルのどれかに割り当てることで差し支えない。 

 − 機器レベル; 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 − 製造管理レベル; 

 − システムレベル; 

 総合的な品質保証と同様に,EMC保証は当該公的機関1)と製造業者の品質保証部担当者との協力で実

施しなければならない。 

B.3.8.1 EMC規則に適合する機器レベル 機器の適合性にあっては,該当する証書の提示があればよい。

各システムに対し,このような証書の提示が不能な場合,当該公的機関の協力を得て,合意された試験を

実施するのが望ましい。 

B.3.8.2 EMCのための製造管理 船の建造期間中に,附属書Cで適用すべき対策の実施を確認すること

が望ましい。特に“設計上の対策”の実施状況には,特別な注意を払うことが望ましく,電磁放射機器と

被妨害機器との間に定められた隔離距離を狭めることがあってはならず,また,被妨害機器と接続された

同一母線に,意図せずに妨害機器を接続するというようなことは避けなければならない。 

B.3.8.3 EMC規則に適合するシステムレベル システムのEMC証明の標準的方法は,“スイッチオン/

スイッチオフ試験”である。この試験の間,電気設備及び電子機器を組み合わせたシステムを動作させ,

電磁影響によって励起される影響を観察する。影響が発生したならば,障害を発生させる可能性のある機

器を,順番にオン・オフすることによって原因を見極めるのが望ましい。 

 他に指定のない限り,電磁影響の評価は,この規格に定義される性能基準に従うのが望ましい。 

B.3.9 追加対策 船の複雑さによって,B.3.3に規定された基本作業以上の対策が,当該公的機関によって

追加して要求される場合,B.4に規定されている解析を実施することが望ましい。 

 この解析により追加してEMC対策を必要とする場合,B.5に規定されている計画を実施し,その実現化

を図るのが望ましい。 

 上記のEMC対策の効果確認は,B.6に規定されている試験及び検査によって行う。 

B.4 完全EMC解析 

B.4.1 一般 EMC解析は,システムの各機器及びユニットの限界値を規定するために用いることができ

る。機器解析のためのフローチャートを,図B.1に示す。サブシステムにも同様の手順を適用する。 

 完全EMC解析は,複雑なシステムの場合に,しばしば必要とされる。この解析の一部だけを実施する

ことで十分な場合もある。周波数又はレベルの検証,又は適合レベルの特定などである。 

B.4.2 電磁障害マトリックス(EMIマトリックス) 完全EMC解析の場合,EMIマトリックスを作成す

る。 船の機器のEMI関連データを収集し,EMIシートに記録する。被妨害設備と同様に妨害の可能性の

ある機器は,このマトリックスに記載する。各交点に,各機器が相互に影響しあうかどうかを確認するた

めの解析を行う。結果は,各交点にシンボルで記載し,そのマトリックスを解析する。結論は,機器のEMI

レベル及びシステムのために取るべき対策の解析から得ることができる。 

 図B.2は電磁障害マトリックス(EMIマトリックス)の例を示す。妨害発生源を縦の欄に記録し,被障

害設備は横の欄に記録する。機器は,通常縦横両方の欄に表示する。各機器には,マトリックス番号を付

ける。これに加えて,電磁環境からのデータをこのマトリックスに記録する。 

B.4.3 データ収集 EMC解析の実施のために,各種データを得なければならない。これには次のデータが

含まれる。 

1)政府機関,認証機関,船級協会など 

19 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 − エミッション及びイミュニティレベル; 

 − 機器の外形寸法; 

 − ユニット間の距離; 

 − 電源ケーブル及び信号ケーブルに関するデータ; 

 − 次のような機器の電気及び電子データ; 

   ・電源; 

   ・周波数/周波数レンジ; 

   ・受信器の感度レベル; 

   ・送信器の送信電力 など。 

 また,次のものは,必す(須)データである。 

 − 設置の詳細に関するデータ; 

 − 電磁環境におけるレベル; 

 できる限り試験成績表からのデータを使用しなければならない。これが利用不能な場合,機器の動作の

基準レベルを推定する必要がある。これらのレベルは,更に信頼性のあるレベルのデータが利用可能とな

るまで使用して差し支えない。 

 機器の設置方法及びケーブルの接続方法を知ることが必要である。このことは,機器の構成,ケーブル

敷設及びこれらの間の距離に対して適用する。システムのために既に計画されたEMC対策も知ることが

必要である。 

 これらのデータは,質問状として機器供給者から入手することは有効な方法である。 

B.4.4 データ処理 

B.4.4.1 EMIシート 各機器には,データベースとして,又は各々の“EMIシート”としてデータを収集

する。データを迅速に検索するために,このEMIマトリックスに番号付けをして記録する。このシートは

データに変更がある場合,差し替えることができる。 

B.4.4.2 周波数検証 収集されたデータを基に,周波数検証を動作周波数及びそれらの高調波成分に対し

て実施する。これは,特に機器のエミッション限界値を超える又はイミュニティ限界値未満の周波数を含

むすべての周波数レンジに対して実施する。その一例を,図B.3に示す。 

2種類の検証を行うのが実際的である。一つは伝導障害,もう一方は放射障害である。 

この検証は,システムの幾つかの送信機器部品,受信機器部品に対して特に重要である。この周波数検

証は,送信,受信機器が同一周波数帯において動作しているか否かを見出すために使用することができる。 

B.4.4.3 レベル検証 レベル検証は,その周波数レンジにおけるエミッション及びイミュニティレベルを

示す。図B.4にこの例を示す。検証は,しばしば規格限界値を超えたレベルの記録だけとなる。例えば,

送信機のエミッションレベル又は受信機のイミュニティレベルである。関連するEMC仕様書に含まれた

限界値を含めることによって,これらのレベルがどの程度エミッション限界値を超えているか,又はイミ

ュニティ限界値以下なのかを確認することも可能となる。 

伝導障害のレベル検証は,機器の部品が相互に障害を発生するかどうかを示す。伝導障害の場合,通常,

電線又はケーブル内での減衰はそれほどではない。 

相互干渉による障害にあっては,結合インピーダンスを知らなければならず,計算が完了するまでは結

論を出すことはできない。 

同様の状態を障害に対するレベル検証にも適用する。結論も出す前に,距離,遮へい物(他の機器,金

属部材など)を考慮して,被妨害機器の設置場所におけるレベル計算を考慮することが必要である。 

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20 

F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.1 EMC解析,フローチャート 

yes 

no 

no 

yes 

no 

yes 

no 

EMCデータの編集 

周波数検証 

マトリックス構成作成 

周波数及びレベル検証の調査 

機器両立性の組合せか? 

レベル検証 

改善策に関する結合経路の調査 

改善策記述 

例外は認められるか? 

考え方の変更 

改善策は実施されたか? 

機器両立性のすべての組合せか? 

例外の記述 

満足又は了承された機器組合せ

のEMC 

yes 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 
 
 

機器及び設置グル
ープ 

機器の例 

信号種
類 

(附属書 

B参照)

障害機器 

被障
害機
器 

A1 A2 A3 A4 A5 

B1 B2 B3 B4 B5 

C1 C2 C3 C4 

D1 D2 D3 D4 

E1 E2 E3 E4 

F1 

G1 G2 

H1 H2 

A 無線通信 

無線航海 

GMDSS機器: 
     受信機 
     送信機 
ジャイロコンパス 
操だ装置/オートパイロッ
ト 
統合無線通信システム 

 
超敏感 
超妨害 
敏感 
敏感 
 
敏感 

 
AI 
A2 
A3 
A4 
 
A5 

B 発電及び変換

システム 

電気機器 
励磁装置 
変換装置 
トランス 
照明保護装置 

非敏感 
妨害 
妨害 
非敏感 
非敏感 

B1 
B2 
B3 
B4 
B5 

C パルス電源で

駆動される機
器 

レーダ 
ソナー 
ドップラーログ 
エコーサウンダ 

妨害 
妨害 
妨害 
妨害 

C1 
C2 
C3 
C4 

D 開閉装置及び

制御装置 

サーキットブレーカ/コン
タクタ 
電気制御装置 
リレー制御装置 
保護装置 

非敏感 
 
敏感 
敏感 
敏感 

D1 
 
D2 
D3 
D4 

E  船内通信及び

信号処理装置 

電気式アラーム監視装置 
電気式制御装置 
自動化システム 
コンピュータ,検出器 

敏感 
敏感 
敏感 
敏感 

E1 
E2 
E3 
E4 

F  非電気部分及

び機器 

索具 

非敏感 

F1 

G 統合システム 

統合航海システム (INS) 
統合ブリッジシステム (IBS) 

敏感 
敏感 

G1 
G2 

H 危険区域内機

器 

防爆機器 
本質安全認定機器 

非敏感
非敏感 

H1 
H2 

図B.2 EMC解析,EMIマトリックス 

2

1

F

 8

0

8

1

2

0

0

5

 (I

E

C

 6

0

5

3

3

1

9

9

9

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図B.3 EMC解析,周波数検証 

図B.4 EMC解析,レベル検証 

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B.4.5 マトリックスの完成 妨害発生源と被妨害機器間の障害の可能性に関し,機器の推定を行う。 

 妨害の可能性がない場所は,マトリックスの交点に“−”の記号を記入し,妨害の可能性のある場所は

“+”を記入する。これら“+”の点について,次の計算を行う。解析によって障害が存在しない結果に

なった場合,マトリックスに“  ”の記号で表示する。 障害が存在する結果の場合,“#”で表示する。

必要な場合,“dB”単位も記録する。 

記号 

意味 

− 

障害の可能性なし 

+ 

障害又は障害の可能性あり 

 
 

障害の可能性があるが,解析結果では障害がない 

# 

解析結果によって障害又は障害の可能性あり 

# 

数値(dB) 

障害あり,数値は解析結果による 

B.4.6 計算 マトリックス上で“+”が表示されている各交点に対し,妨害発生源が被妨害機器に対し影

響を与えるかどうかを判定するために計算を行う。 

 この目的のために,被妨害機器の設置場所におけるエミッションレベルを,すべての考えられる伝導経

路について計算し,その機器のイミュニティレベルと比較する。 

 この計算では,レベルに適用する帯域幅及びレベル間にあらかじめ定めた余裕を考慮しなければならな

い。この段階においては,データの多くは評価するので,計算結果は非常に正確なものではなく,選択さ

れた余裕より小さな精度であれば通常,十分である。実際には,常に達成可能であるとは限らず,特に電

磁放射障害の場合には,難しい。 

B.4.7 マトリックスから得られる結論 EMIマトリックスの完成によって,そのマトリックスからどの機

器が障害を発生する可能性があるかが分かる。その結果に基づき対策を決定することができる。対策は,

機器の改良又はシステム内にEMC対策を導入することを含んで差し支えない。 

B.5 追加のEMC対策 

B.5.1 一般 EMC解析の結果,機能喪失が懸念される場合,電磁放射を制限するか,又はイミュニティ性

能を向上する対策を計画し実施しなければならない。通常,機器に対する対策を実施する。例えば,障害

抑制部品の追加設置及び/又はシステム内におけるケーブルの分離又はシールドケーブルの使用などであ

る。附属書Cには,すべての場合に対応する実証された対策のリストが示されている。 

B.5.2 電磁放射制限 多くの電子及び電気機器は,好ましくない高周波電磁波(妨害量)を放射する。一

方,これらは無線受信機器のアンテナに達し,無線障害を発生する場合がある。また,これらは感度の高

い電子機器の信号入力に達し性能を低下させる場合がある。 

 他の機器に関する電磁放射の制限を設けることは,その機器のEMCを確実にするために必要である。 

船用無線通信及び航海機器並びにシステムが国際法規又は国内規則によって規制されていない場合,電磁

放射の限度を,顧客と供給者との間で合意することが必要である。 

B.5.3 電磁影響の制限 船では,発信機器の電磁界強度によるものと同様に,電気システムそれ自体の現

象によって発生する電子機器に対する妨害を考慮することは重要である。 

 その代表的な妨害例を,次に示す。 

 − 電動機の起動時の電圧降下; 

 − その他の例えば制御機器,ヒータ,照明器具などの電気機器を作動した時の電圧降下及び電気機器 

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   を停止したときの電圧上昇; 

 − 設置機器の放射妨害によって発生する低周波及び高周波A.C.成分; 

 − スイッチング動作によって発生する共振しやすい,船内電気システム内の高周波発振; 

 − 電力用電子機器によって発生するパルス形状の妨害電圧; 

 − 帯電した操作者が,機器の外被を含む船体及び/又はすべての金属部分に触れることによって発生 

   する静電気放電; 

 − 無線送信装置及びその他の船内機器によって発生する電磁放射妨害; 

 このような妨害現象の種類及び程度は,船上における計測技術によって判断することができる。計画段

階では,これらは既知となっている機器のエミッション及びイミュニティレベルのデータ,又は過去の事

例検討時のデータで代用しても構わない。 

B.6 EMC試験 

B.6.1 機器試験 EMC要求に適合するための追加のEMC対策が実施されたすべての機器は,システムに

組み込む前に,この規格の規定によって模擬動作状態で計測する必要がある。 

B.6.2 システム試験 

B.6.2.1  外観検査 船の建造期間中のEMC対策実施は,次の手順によって行うのが望ましい。 

 − ケーブル敷設経路の分離の確認; 

 − ケーブルシールド線の接地が,接地導線の最大許容長さに適合していることの確認; 

 − 要求される低インダクタンス値達成のためのEMC対策としての接地の確認; 

 − そのプロジェクトに関連した製造業者文書に従ったEMC仕様書に規定された機器及び設置状態の 

   確認; 

 − EMC対策としての接地に対する腐食防止対策の検査; 

B.6.2.2  システム受入試験 EMC対策の性能確認手順は,確認作業開始前にEMC改善を提案し,実際に

設置したEMC技術者が作成する。 

プログラム作成には,製造業者によって規定されたEMC対策を実施した設置方法及びEMCパラメータ

を考慮する必要がある。その検査は,限界動作状態で実施し,可能性のある影響に対して被妨害機器及び

設置方法を確認する。検査確認は,EMIマトリックス(B.4参照)を参照して実施するのが望ましい。 

B.6.2.3  定期試験 関連文書及び設置要領には,EMCの低下を避けるため機器の保守及び修理時,保守時

及び定期検査時に考慮すべきケーブル敷設方法の詳細を含めるのが望ましい。文書化されたこれらの保守

方法のための適切な間隔を計画することは便利なことであり,その時間的な間隔は船級協会の定期検査と

一致させるのが望ましい。 

関係者は,使用中に発生したすべての障害を,勇気をもって記録として残すのが望ましい。これらの障

害を調査し,保守作業中に修正することが望ましく,更に問題点は,将来の参考として船の設計者にフィ

ードバックするのが望ましい。 

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附属書C(参考)EMC達成のための対策 

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

C.1 適用 この附属書は,船舶及び船用機器のEMC(電磁両立性)達成のため,構成上及び技術上に実

施する対策のガイドライン及び推奨案を示す。これらの予防策は,電気及び電子機器に特別な場合,非電

気機器にも関係するものである。 

これらのガイドライン及び推奨案は,実際の適用でその効果が実証されているものであるが,ある種の

環境下では,期待するEMCレベルを達成するために,追加の対策が必要となる場合もある。 

機器の構成部分で達成されるEMC性能は,設置状態でも維持されることが,これらのガイドライン及

び推奨案を使用することによって明らかになりやすくなる。 

C.2 一般技術対策 EMC達成のために効果的な対策は,乗組員と船の安全性及び電気設備の信頼性にど

のような方法でも危険を与えない状態で採用されるのが望ましい。 

 JIS F 8061及びJIS F 8062の規定も遵守するのが望ましい。 

EMC対策は,次の項目に対しても同様に実施するのが望ましい。 

 − 発生源と影響を受ける機器/システムとの間の障害経路の分離; 

 − 発生源における放射レベルの低減; 

 − 影響を受ける機器/システムの妨害に対するイミュニティ強化; 

次の対策を,個々に又は組み合わせた状態で適用することができる。 

 − 遮へい; 

 − 接地; 

 − ケーブルの適切な経路,分離及び選択; 

 − 適切な機器設置場所の選択; 

 − フィルタリング; 

 − 特殊部品の使用(例 過電圧保護器); 

 − 特殊器具の使用(例 異なる電位を分離するためのもの); 

 − 構成的対策(例 機器の交互運転); 

 これら対策の詳細を,C.2.2,C.2.3,C.2.4及びC.2.5に示す。機器及び設置に関連するその他の対策は,

その詳細をC.3に示す。構成上の対策は,C.4に示す。C.2.1のグループA〜Fには,機器,個々の構成部

分又は個々の設置に関する特別な推奨案又は意見の詳細を示す。 

 色々な機能を集めて意図した性能をもつために,相互接続されたすべての機器,構成部分及び設置の組

合せを“統合システム”と呼ぶ。統合のために,ある技術上の対策を取ることが必要な場合,その対策が

実際の適用に際し実証されたものとして推奨できる場合,又はC.2.1のグループAからFに与えられたも

の以上のものである場合,それらの対策が,グループGにリストとして与えられている。 

C.2.1 機器及び設置グループ 

 グループ A: 無線通信及び航海機器 

特徴: 無線信号で動作。 

     

例 : 船用無線通信及び航海,船上通信装置のための送信機,受信機。 

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 グループ B: 発電及び変換機器 

特徴: 広帯域障害。 

例 : 整流器,インバータ,コンバータ(電力用電子機器),回転変換器,発電機,

甲板機械,船用小形電気機器,蛍光灯,放電ランプ。 

 グループ C: パルス電源で駆動する機器 

特徴: 高エネルギーをもった周期的障害,瞬間的障害。 

     

例 : レーダ及びソナーシステム,音響測深器。 

 グループ D: 遮断装置及び制御装置 

特徴: スイッチング障害。 

     

例 : 配電盤,リレー制御機器,電動機用始動器,電気ヒータ用制御器。 

 グループ E: 船内通信及び信号処理機器 

特徴: アナログ及びデジタル信号で動作。 

     

例 : 自動化システム,コンピュータ,センサ,船内放送,信号及び警報システム。 

 グループ F: 非電気部分及び機器 

特徴: 渦流広帯域障害発生。 

     

例 : 索具装置。 

 グループ G: 統合形システム 

特徴: グループA〜Fの機器及び設備の同時動作から発生する障害。 

     

例 : 船底区域,上甲板区域にセンサをもつ航海機器,異なる区域にセンサ及び機

器をもつ推進システム,貨物監視システム。 

C.2.2 遮へい 機器及び装置は,次に示す例について効果的に遮へいしなければならない。 

 − 金属製外被内への設置。 

 − 適切なケーブルグランド(外被へのケーブル導入部への使用が好ましい)を含む遮へいケーブル。 

 − 遮へいのための金属製隔壁,甲板の利用及び可能な場合,貫通部におけるケーブル遮へいの接地。 

C.2.3 接地 すべての金属製外被及び金属製の機器部分は,効果的に接地する必要がある。機器製造業者

の要求には,注意を払うのが望ましい。 

 すべての接地プロセスの目的は,分散設置された機器部分の基準電位を同一にするためである。 

通常,異なる基準導体の電位差を最小にするために次の二つの方法がある。 

 − スター形の基準導体接地方式; 

 − 接地面への基準導体接地方式; 

 スター形の接地方式の場合,すべての基準導体を一点,すなわち,接地点に接続しなければならない。

この一点の接地点だけが船体に対して一つの導体として接続されるのが望ましい。接地面接地方式の場合,

すべての基準導体を最も近接した船体に,かつ,可能な限り多くの点で接地するのが望ましい。その結果,

接地基準面は,可能である最も小さな接地回路及び最も小さなインダクタンスをもつものとなる。 

適切な接地方法の選択には,次の基準を採用するのが望ましい。 

 − スター形接地方式は,直流回路及び10 kHzまでの交流回路に使用するのが望ましい; 

 − 接地面接地方式は,100 kHzを超える周波数に使用するのが望ましい; 

 − 10 kHz〜100 kHzの間の周波数範囲は,いずれの方式も容認される。接地面接地方式の方が望まし

い; 

すべての接地には,次の特性をもたせるのが望ましい。 

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 − 低HFインピーダンス; 

 − 最小長さの接続(低インダクタンス); 

 − 導体及びコネクターの耐振性; 

 − 耐食性; 

 − 通常の検査に容易に近づける配置; 

 すべての接触面は,塗料,酸化物又はその他の導電を損なう層などがなく,金属的にきれいな面としな

ければならない。各接触点は,最終組立前にスプレー又はペーストで腐食防止を実施することを推奨する。

フレキシブルな編み帯ではなく,最小長さの丈夫な金属帯を使用するのが望ましい。接地回路は最小長さ

とするのが望ましい。 

 この項で規定されない接地方式による障害を避けるために,ばく露甲板上の電気設備以外の長さ1 mを

超える金属部分(例えば,索具)は,船体構造に電気的に良好に接続するのが望ましい。特別な場合には,

電気的に絶縁されていても差し支えない。 

 電気機器の外被は,できる限り船体構造に直接ねじ又は溶接して取り付けるのが望ましい。 

 きれいな金属製のねじによる効果的な接地接続が不可能な場合,別の接地導体を使用するのが望ましい。 

 接地導体と機器又は船体構造との接続は,ねじ止め又は溶接によっても差し支えない。 

 ばく露甲板上の金属部分と船体構造との接続のための接地導体は,耐食性の鋼材(硬質又はフレキシブ

ルなもの)とするのが望ましい。船内の接地導体は,一般的には銅製である。 

 金属製扉,保護カバーなどは,短い,単独の,可能な限りフレキシブルな導体で接続するのが望ましい。 

 電線支持トレー各部及び電線保護管は,相互に,かつ,可能な限り多くの点において船体構造と電気的

接続をもたせるのが望ましい。 

 金属製の電線がい装及びシールド編組は,一般的に機器の金属製外被又は船体構造に可能な限り多くの

点において,少なくとも電線の両端で,接地するのが望ましい(例外については,C.3.5.3参照)。 

 非金属製の船体の船は,導体接続のすべての金属部分(接地板がある場合これも含む。)は,接地部とみ

なせる。 

C.2.4 ケーブルの敷設 ケーブル敷設経路及びケーブル選択を含む機器製造業者の設置要求には,従うの

が望ましい。異なる信号形式に従って分類されたケーブルの分離及びケーブル間隔をあけた敷設は,主要

な防止対策として使用するのが望ましい。 

 基本的に船体構造外部のすべてのケーブルは,金属製被覆,金属製のがい装又はその他の適切な方法で

遮へいするのが望ましい。 

 ケーブル分類1からケーブル分類4までのケーブルは,システムに関係なくそれぞれの分類のケーブル

ごとに束ねても差し支えない。 

 異なる分類の単一ケーブル又は束ねられたケーブルが,長さが1 mを超える距離を並行して敷設される

場合,最小10 cm以上の間隔を設けて敷設するのが望ましい。 

 異なる信号レベルで使用される同一分類のケーブルに対しても,同様の要求とするのが望ましい。 

 ケーブル分類1,4及び5に属するケーブルは,船体の金属部分(甲板,隔壁又はケーブルダクト)に固

定するのが望ましい。金属ケーブルダクトは,隔壁との間を接地接続するのが望ましい。 

 ケーブル分類3と4のケーブルの間に,特別な対策が必要とされる場合(例えば,ケーブル保護管)で,

ケーブルの最小分離間隔を確保できない場合,同様の対策を適用する。 

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表C.1 信号形式及びケーブルの分類 

用途 

レベル 

エミッション
/イミュニテ

ィ評価 

ケー
ブル
分類 

ケーブル形式4) 

適用規格 

無線受信信号2) 
TV受信信号 
ビデオ信号 

0.1 mV  
〜 
500 mV 

超鋭敏 

同軸 

IEC 60096-1 

アナログ及びデジタル信
号 
電話信号 
拡声器信号 
制御信号 
警報信号 

0.1 V 
〜 
115 V 

鋭敏 

ツイスト; 
一層遮へい; 
遮へいツイストペア 

IEC 60092-374 
IEC 60092-375 
IEC 60092-376 

給電1) 
照明 

10 V 
〜 
1 000 V 

潜在的妨害 

甲板下:遮へいなし 
甲板上:ツイスト,遮
へい 

IEC 60092-350 
IEC 60092-353 

高電力伝送信号 
パルス高電力信号3) 
高電力半導体変換器 

10 V 
〜 
1 000 V 

超妨害 

同軸:遮へい付き電源 

特殊ケーブル 

ツイスト,遮へい付き 

IEC 60092-350 
IEC 60092-353 

特殊用途 

特殊 

光ファイバー 

− 

1)無線通信及び無線航法のための機器及びその補助機器は,遮へい給電ケーブルを使用するのが望ましい。 

2)受信アンテナケーブルは,保護管内に二重遮へいケーブル又は同軸ケーブルで敷設するのが望ましい。 

3)レーダ,ソナー機器及び音響測深器用ケーブルは,保護管内に二重遮へいケーブル又は同軸ケーブルで敷設

するのが望ましい。 

4) IECによって要求されるケーブル遮へいの“充てん係数”を,ケーブルに表示するのが望ましく,IEC 60096-1

で規定された10 MHzでの伝達インピーダンスは 30 mΩ/mを超えないのが望ましい。 

 ケーブル遮へいは,接続箱又はケーブル引込箱の中で接続するのが望ましい。ケーブル遮へいは,同軸

ケーブルの外部導体以外は,作動回路の信号導体として使用してはならない。 

 ケーブルの分離敷設要求を満足することが不可能な場合,高シ−ルド効果のあるケーブルを使用するか,

又はケーブルを金属保護管若しくはコンジット内に敷設することが望ましい。 

 その金属管又はコンジットは,特に指定がなければ,厚さ1 mm以上とするのが望ましい。ケーブルが

金属管又はコンジットを使用して敷設される場合,他の分類のケーブルとの更なる分離は必要でない。 

 ケーブルは,金属製船体構造に近く,又は金属ケーブルトレー上に敷設することが推奨される。 

 ケーブルがばく露甲板と船体内部との境界構造を貫通する場合,その貫通部でケーブル遮へい全周を接

地することが推奨される。これらの接地部は,腐食に対する保護を実施しなければならない。 

C.2.5 フィルタリング及び過電圧保護 フィルタ,過電圧保護のための部品及びこれら両方の組合せ適用

によって,製造業者は,希望する信号及び給電源の同時ひずみなしに伝導障害を低減することができる。

適用の範囲は,給電ケーブル及び制御ケーブルからアンテナ(送信機及び受信機の分離能力改善)及びア

ナログ並びにデジタル信号用ケーブルまで可能である。 

C.2.5.1フィルタリング 被妨害装置と同様,フィルタは妨害発生源にも適用して差し支えない。フィルタ

は,妨害発生源に適用することが望ましく,妨害発生源が一つだけの場合,又はそのエミッションレベル

が他の妨害発生源に比べかなり高い場合,適用するのが望ましい。対象とする被妨害装置が,他の被妨害

装置と比べ非常に妨害に鋭敏な場合,又は被妨害装置の数が,フィルタリングされる妨害発生源の数より

も少ない場合,被妨害装置への適用が好ましい。フィルタの採用決定では,その構成費用と効果のバラン

スを考慮しなければならない。 

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 設計段階で,フィルタが容積的に大きく,かつ,高価である場合,例えば,挿入損失が高いか,又は高

電流のための要求される場合,導電障害の影響及びフィルタ費用の低減のために,より低費用のEMC対

策,例えば,ケーブル又は部品の遮へいが望ましいのか否かという対策の決定を検討するのが望ましい。 

C.2.5.1.1  給電フィルタ 給電フィルタは,低域ろ(濾)波フィルタとする。フィルタの一方は機器のイン

ピーダンスに,他方は給電システムのインピーダンスに接続する。これらのインピーダンスは,通常50Ω

と異なるか,又は不明であり,他方発生する挿入損失は負荷に依存しているので,挿入損失に対するある

程度の余裕を考慮するのが望ましい。 

フィルタ選択基準 

 − 挿入損失; 

 − 減衰帯域; 

 − フィルタリングされるチャンネル数; 

 − インピーダンス; 

 − 電流,電圧,許容力率; 

 − コモンモード/ノーマルモード又はデファレンシャルモード; 

 − 漏れ電流; 

 − 耐電圧; 

 すべての動作状態においてフィルタ特性を維持するために,次の要求を設計段階で考慮するのが望まし

い。 

C.2.5.1.1.1 耐電圧 構成部品の損傷を防止するため,給電電圧に加えて,スパイク電圧及び試験電圧を考

慮しなければならない。耐電圧の定格は,JIS F 8061によるのが望ましい。 

C.2.5.1.1.2 電流容量/熱抵抗 給電電流及び特にピーク電流がコア飽和によってコイルのインダクタン

スの減少を発生させる場合がある。更に許容電流は,周囲温度に依存する,すなわち,温度の上昇につれ

許容電流は低くなる(データシートの規定による。)。 

C.2.5.1.1.3 動作周波数 データシートに規定された動作周波数(直流,交流 50/60/400 Hz)を考慮するの

が望ましい。 

C.2.5.1.1.4 環境条件  選択される構成部品は,設置の際に与えられる環境条件に従うのが望ましい。 

C.2.5.1.2 信号フィルタ  インタフェース及び信号伝送特性を定義する際,EMC諮問グループによって規

定されたシステム環境を考慮するのが望ましい。 

 特に長いケーブルをもつシステムでは,誘導障害防止のためにフィルタが必要となる場合がある。挿入

するフィルタは,目的とする信号に対し許容された以上に影響を与えてはならない。RS 232又は20 mAの

ような規格インタフェースに対し利用可能なフィルタがある。 

フィルタ選択基準 

 − 挿入損失; 

 − 保護されるべき信号形式(アナログ,デジタル); 

 − ケーブル,信号源又は受信側のインピーダンス特性に対する整合; 

 − マルチチャンネルフィルタ間の混信; 

 − 目的とする信号による許容静電容量; 

 − 通過域の許容リプル; 

 − 耐電圧,耐パルス; 

 − 許容混変調ひずみ; 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 − 環境両立性; 

C.2.5.2過電圧保護 電圧依存抵抗素子,例えば,サージアレスタ,バリスタ,ツェナダイオードなどを過

電圧制限のために適用するのが望ましい。素子はIEC 60099-1及び/又はIEC 60099-4に適合するのが望ま

しい。 

備考1. 急激なフランキングパルスをもった過電圧の場合,確実な保護を考慮するのが望ましい。 

2. アレスタ動作後に流れる電流を制限することを考慮するのが望ましい。 

C.2.5.2.1 抑止ダイオード,ユニポーラ及びバイポーラ 抑止ダイオードは,サージアレスタ及びバリス

タのような非線形素子に属する。その選択に当たっては,次の事項を考慮するのが望ましい。 

 − 必要とされる過電圧抑制; 

 − ひずみのない目的とする信号の伝送; 

 目的とする信号電圧は,使用するダイオードの破壊電圧より十分低くしなければならない。 

選択基準 

 − 目的とする信号に対する最小挿入損失(一般には1 dB未満); 

 − 最大反射損失(推定値: 20 dB以上); 

 − 十分なピーク電力散逸性; 

 − 相互変調の最小散逸性(高周波で動作する機器に対して); 

C.3 グループA〜Gの機器の特別対策 船上に設置された機器及びシステムは,グループA〜Gに分類さ

れる。個々の機器部分又は個々の設備に対する特別な推奨案若しくは注意事項が,次に示すグループA〜

Fに,統合システムに対するものはグループGに与えられている。 

C.3.1 グループAのための対策 このグループは,世界海上遭難安全制度 (GMDSS) 用の機器及び設備を

含んで無線通信及び無線航法のすべての機器及びそれらの補助機器を含む。 

補助機器としては,次のものがある。 

アンテナ及びアンテナ補助器具,給電装置などと同様に補助操作盤,追加の通信ステーション, 

伝送ライン(2線,4線),プロッター,プリンタなど。 

 主配電盤又は非常配電盤から無線通信及び航海機器への給電ケーブルは,できる限り全長にわたり連続

したケーブルとし,その他のケーブルからと分離して敷設するのが望ましい。 

C.3.1.1機器の選択及び配置 低インピーダンスアンテナとのインタフェースをもつ無線送信機及び受信機

の使用が好ましい。 

 高インピーダンスアンテナとのインタフェースをもつ無線送信機及び受信機は,船体甲板室内でアンテ

ナケーブルの長さを最小に設置とするのが望ましい。 

 機器が操作机内に設置される場合,周辺の機器から十分に分離するのが望ましい。機器本来の外被を使

用するか,又は同等の遮へい対策を採用することが望ましい。 

 内部遮へい巻線をもつ絶縁トランスの使用が望ましい。その遮へい巻線は,接地するのが望ましい。 

 確実に該当するEMC規格に適合した機器を設置するために,すべての合理的,かつ,実際的な対策を

採用するのが望ましい。予期可能なEMCに関連したすべての問題も,関連する機器を適切に分離するか,

又は遮へいする等の例を適用することによって,解決できる場合がある。 

 無線装置が操だ(舵)室内に統合される場合,機器の外被は,適切な十分な遮へいをもつ構造でなけれ

ばならない。 

C.3.1.2ケーブルの敷設 遮へいされた信号用ケーブル及び制御用ケーブルを使用することが望ましい。 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

機器及びコネクターケーブルの引込口は,ケーブル遮へいと機器外被との間が全体の環境に対して常に連

続的に接触しているのが望ましい。 

 特別な場合,特に送信又は受信アンテナの近くでは,ケーブル遮へいは甲板貫通部で接地しなければな

らない。 

C.3.1.3接地 接地は,できるだけ短く,かつ,最大の接地面積を設けるのが望ましい。送信機及び受信機

に対しては,個別の接地接続を採用することが望ましい。 

 取外し可能な接地(ねじ締めによる。)を使用する場合,これらには将来の保守のために容易に近づける

ものでなければならない。 

C.3.1.4アンテナ アンテナは,船体上部構造から適切な距離をとって配置するのが望ましい。 

 受信及び送信アンテナの間には,確実に適切な距離を設けるのが望ましい。 

 送信アンテナに近接する受信アンテナケーブルは,連続的に接地されたケーブル保護管内に敷設するか,

又は外部遮へいが貫通部で接地された二重遮へいケーブルを使用するのが望ましい。 

 高インピーダンスアンテナとのインタフェースは,低静電容量で接続とするのが望ましい。 

 アンテナ周辺の保護構造物となるばく露甲板上の構造部材は,非金属製材料とするのが望ましい。 

 レーダ導波管にあっては,C.3.3参照。 

 アンテナ放射ゾーン内の帆げた(桁),支柱及びマストは接地接続しなければならない。 

C.3.2 グループBのための対策 このグループは,電気エネルギーの発電,変換,定期的開閉及び制御の

ためのすべての機器及び装置を含む。 

 この機器は,給電系統リアクタンスによって発生する電圧高調波を含む交流電源の非線形負荷を含む。

給電圧及び給電流に含まれる高調波成分は,同じ給電系に接続されているその他の負荷に影響を与える場

合がある。特に次の場合である。 

 − 追加の電力消費(高調波による鉄損及び誘電損)による熱的影響を受ける誘導又は容量負荷; 

 − 信号処理に対する障害を受ける電子機器; 

 妨害発生源及び被妨害装置の両方を含むグループBの機器は,グループEの機器に対する推奨案を講じ

ることが望ましい。 

 給電系統は,大きな短絡容量をもち設計するのが望ましい。この要求は,結果的に最も小さな初期過渡

リアクタンスをもった発電機を要求する。 

 通常の設計と比較すると,これらの要求が給電容量(発電機,ブレーカ,ケーブル)の増加をもたらす

場合がある。 

 給電系統を,船体構造から絶縁することが望ましい(IEC 60364-3によるITネットワーク)。 

 フィルタ回路は,変換器に並列に設置し,第5次及び/又は第7次高調波に対し同調させて差し支えな

い。ただし,船用発電機は,陸上電源以上の静的及び動的周波数変動をもつことを認識しなければならな

い。このことは,フィルタ回路の組込位置を難しくする。サイクロコンバーターシステムの場合,高調波

が変化するサイドバンドをもつために妨害をフィルタで除去することは難しい。更に,慎重な計画と設計

によって,ネットワーク共振は避けなければならない。 

 注意深い給電設計によって,例えば,変換器などの非線形負荷が全系統負荷に占める比率を僅少部分と

することができる。又は主船内給電系から適切に分離された独立専用変換器ネットワークをもつ給電設計

とすることができる。 

 1次及び2次巻線間の金属遮へい絶縁変圧器を,接続された電子機器からの障害を除去するために使用

して差し支えない。 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 蛍光灯照明器具のための補償コンデンサが,高調波を多く含む給電によって使用される場合,過負荷を

防止するためにインダクタンスチョークを装備しなければならない。蛍光灯照明器具が,電子始動器なし

で使用される場合,それらは2灯構成,又は照明グループごとにインダクタンスチョークを設けた集中補

償装置とするか,若しくは無補償とすべきである。 

 追加の費用で給電電子回路に低給電妨害電力変換器を採用することもできる。 

C.3.3 グループCのための対策 レーダ及びソナー装置は,パルス化された電気エネルギーを使用する。

このエネルギーパルスは発信時に発生し,その他の機器の障害原因となることがある。 

 レーダ及びソナー装置は,受信時にはその他の機器からの障害を受ける場合がある。 

 大きなパルス電流を伝送するソナー機器は,二重遮へいケーブルとするか又は連続して接地されたケー

ブル保護管内に敷設したケーブルを使用しなければならない。 

 これと同一のケーブルが,受信信号(マイクロボルト領域の非常に低い信号レベルをもつ)伝送のため

にも使用される。これらのケーブルは,高障害レベルのケーブルに近接して敷設してはならない(例えば,

消磁システム用パルスDC,又はサイリスタ制御装置用の動力ケーブル)。 

 レーダ送受信機の高電力信号ケーブルは,極力短くするのが望ましい。これらのケーブルは,無線アン

テナケーブルに近接して敷設することことは望ましくなく,これが不可能な場合,これらのケーブルはケ

ーブル保護管内に敷設するのが望ましい(これには導波管は除外する。導波管の使用又は波形金属管をも

った特別ケーブルの使用が一般的である。)。 

C.3.4 グループDのための対策 このグループは,電流入切による一時的な障害を発生する次の機器及び

装置を含む。 

 − 誘導負荷,例えばリレー,接触子,電磁弁,ソレノイドなど; 

 − モータ駆動負荷,例えば,電動機,ポジショニングモータなど; 

 − 発振又は共振を起こす傾向のあるインダクタンス及びコンデンサの組合せ; 

 これら負荷の入切は,広い周波数帯域の障害を誘導する。グループDの機器は,障害源として考えなけ

ればならない。 

 電圧サージリミッタは,対応するインダクタンスに近接して設置するのが望ましく,高周波吸収素子は,

開閉接点に近接して設置するのが望ましい。このガイドラインは,直流及び交流の両方の負荷に対し適用

するのが望ましい。 

次のパルス制限素子の採用を推奨する。 

直流用: 

 − サプレッサーダイオード; 

 − バリスタ; 

 − RC組合せ; 

 − フリーホイールダイオード; 

交流用: 

 − バリスタ; 

 − VDR付き放電回路; 

 − コンデンサ; 

 − RC組合せ(回路の誘導性とRC組合せによる共振を,避けなければならない。); 

C.3.5 グループEのための対策 このグループは,コンピュータとセンサ,ディスプレイ,オペレーター

パネル間のデジタル及びアナログ伝送システムと同様に,通信及び信号処理機器を含む。 

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 このグループの機器は,しばしばスイッチング電源を装備している。ポジショニングモータ,リレー,

電子リレーなどに接続されるこれらの電源装置は,高レベルの障害を引き起こす場合がある。そのため,

グループB及びDに対する対策も考慮するのが望ましい。 

 このグループに属する機器は,一般に妨害発生源及び被妨害装置となるので,機器に対するイミュニテ

ィ及び妨害の両方を考慮しなければならない。 

C.3.5.1設計検討 長いケーブルによるデータ伝送は,可能な最大信号レベルとするのが望ましい。必要な

場合,プリアンプをセンサ部に設けることが望ましい。低信号レベルで,長いケーブルによるデータ伝送

は,問題のない動作のために,エラー訂正又は伝送信号プロトコルを使用した伝送が必要とされる場合が

ある。 

 システム,特にシステム入力に対し,容量性結合障害(例えば,好ましくないケーブル敷設による。)を

許容レベル未満に収めるために,可能な限り最も低いインピーダンスとするのが望ましい。 

 船舶には,しばしば数百ボルトの重畳されたスパイク電圧をもった1 V〜2 Vの非対称,又はコモンモー

ドの障害レベルが存在する。 

 増幅器,特に低レベル信号用の精密増幅器は,この種の障害に対して十分な抵抗力又は保護をもつこと

が望ましい。 

 対称信号の伝送は,非対称なものとして誘導された低周波障害に対して耐性があり,可能な場合,使用

するのが望ましい。 

 A/D変換器は,積分回路タイプとするのが望ましい。 

 システムの内部0ボルト基準母線は,1点だけで接地するのが望ましい。この唯一の集中接地点は,検

査のために容易に近付き得る配置とし,かつ,望ましくない接地の短絡回路に対する試験が可能な接続と

するのが望ましい。 

 基準電位用単一接地の実施が不可能な場合,光カプラ又は変圧器によって構成機器を電気的に分離する

ことができる。 

 コンピュータシステムは,激しい高周波妨害を発生する場合があり,かつ,無線送信機の例のように,

システム自身がその他の機器からの高周波障害を受ける被障害機器となる場合もある。障害によってコン

ピュータの動作が妨害される場合,必要十分な遮へいを設けなければならない。 

C.3.5.2増幅器 船舶における増幅器の入力線は,給電周波数から高周波数にいたる周波数範囲の電磁気妨

害を受ける。この結果,コモンモード障害が励起される。 

 理想的な対称信号の増幅器への入力は,このようなコモンモードノイズが入力に差動を生じさせること

はなく,その結果何ら影響はない。ただし,システムは,実際は広範囲の周波数において完全に対称とは

なりえない。その結果,望ましくない対称ノイズは,増幅器入力での信号に付加して現れる。この影響は,

例えば,フィルタの設置などの適切な対策によって,最小としなければならない。 

C.3.5.3ケーブルの敷設経路 システムの選択又はシステム設計が妨害受信感度を効果的に減少できない場

合,ケーブルの分離(C.2.4参照)に加えてケーブル敷設経路及びケーブルの選択に特に注意しなければな

らない。 

次の規則に可能な限り従うのが望ましい。 

 周波数レンジが100 kHzまでの周波数範囲で,かつ,低信号レベルにおいて,電線は,その全長にわた

ってしっかりとねん(撚)架され,遮へいするのが望ましい。遮へいは連続的なものとし,C.2.3とは反対

にその一端でだけで接地するのが望ましい。接地は,センサが接地される場合,センサ側で行うのが望ま

しく,そうでない場合,接地は増幅器/コンピュータ側で行うのが望ましい。遮へいは,電気的な接続障

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害を避けるために,ケーブル全長を船体構造から絶縁するのが望ましい。 

C.3.6 グループFのための対策 非電気機器及び非電気設備が金属/導電体物質で構成され,接触点に渦

電流が流れる場合,障害の原因となる。 

 迷走電流は,送信アンテナによって発生する例のように,ばく露甲板の電磁界によって誘導され,一般

的に船体及び上部構造のすべての部分で見られる。 

 その妨害レベルは,それぞれの非電気機器及び非電気設備に伝えられる船の振動レベルに直接比例して

増加し,腐食の例のように接触点における導電率の変化に伴い増加する。 

 ばく露甲板上の注意を要する点が,次に示される。 

 − 索具装置の閉め金具の緩み; 

 − 手すり(摺)柱の鋼索の緩み; 

 − コンテナの不十分な固縛; 

 − デリックなど大きな物体の緩み; 

 これらの項目は,妨害の寄生的要因と呼ばれ,無線受信に対する広い周波数帯域にわたって障害を引き

起こす場合がある。 

 船舶の甲板下の渦電流は,抑止コンデンサからの放電,接地ネットワークの過渡現象及び船体構造を異

なる電気回路用の共通戻り導電体として使用することによって励起される。 

次に示された例が,この形式の妨害源となる。 

 − 接地なしのケーブル保護管の接続; 

 − 金属製壁材の緩み; 

 − ケーブルトレー又は他の機器の緩み部又は絶縁部; 

 これらの項目は,基準電位部分での低レベルアナログ信号に重畳される場合があり,広い周波数帯域に

わたって障害を引き起こす。 

C.3.6.1設計検討及び設置 ある船において選択された機器の形式によって,特に高感度受信機,高感度(ア

ナログ)増幅システム及び制御装置の選択により,EMCの許容レベルを確保するために,対策をとるべき

かどうか,必要な場合,どの対策をとらなければならないかが決定される。 

C.3.6.2接地 次の対策は,実際の適用において実証済みではあるが,これ以外にはないというものではな

い。それぞれの接地の場合,これらの対策がどの程度,どこに実施するのが望ましいかを検討する必要で

ある。 

 送信アンテナ(C.3.1.2参照)に近接してばく露甲板上に設置されるすべての金属機器及び電気機器以外

の金属ぎ装品で,一辺の寸法が1 mを超える機器は,低抵抗又は低インピーダンスな接続で船体構造に接

地しなければならない(アンテナ索具については,C.3.1参照)。 

 索具装置は,船体構造に電気的に接続(接地)するか又は周囲の上部構造から完全に絶縁するのが望ま

しい。 

 溶接で接合する場合,追加の接地対策は不要である。 

 ばく露甲板上の旋回可能なぎ装品は,短いフレキシブル導体でヒンジをまたぐように接続し,低インピ

ーダンスな接続で接地する。ターンバックル,シャックル及びその他の取外し可能な継手類は,良好な導

体接続して接地しなければならない。 

C.3.7 グループGのための対策 統合形システムの特徴は,しばしば異なる製造業者からの機器がネット

ワークケーブルにより接続され,船上で一体となって動作する分散形の機器構成である。 

 個々の機器の設置場所は,広範囲な異なった周囲環境,電磁環境を受ける(例えば,異なるゾーンに設

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置されたセンサ及び機器をもつ統合形貨物監視システム)。 

 障害の危険性は,機器の組合せの考えられる接続数とともに増大する。 

 EMC試験で個々の機器が合格したとしても,機器が全体システム内への統合された後で,かつ,船舶の

EMC環境下での,制限されない動作を必ずしも保証するものではない。 

 大規模な統合形システムで特に問題となる点は,その大きさゆえに船舶に搭載する前に試験場において

EMC試験を実施することが困難となることである。個々の機器は,インタフェースシミュレーション試験

によってEMCの試験をすることが可能であり,かつ,通常実施されている。 

C.3.7.1統合前の検討 EMCに対して重要なシステムの構成機器は,EMC試験場においてインタフェース

シミュレーションを行うことが推奨される。 

 シミュレーションは,接続される信号インタフェース(信号形式,信号レベル)に対する機能特性,及

び船上に設置された状態で予期される障害要因の両方について実施するのが望ましい。異なるゾーンの機

器の設置は,インタフェースに影響を与える,異なった形式,異なった厳しさの障害を同時に引き起こす

可能性があることに注意するのが望ましい。 

 シミュレーションは,伝導及び放射障害の両状態について実施するのが望ましい。問題がある場合,放

射障害がケーブル及び外被内で誘導された妨害要素によって置き換えることが望ましいか否かを検討しな

ければならない。 

 障害によってシステムの性能が低下する場合,フィルタ,遮へい又は電線敷設経路変更例のような特別

な対策をとらなければならず,かつ,システムの性能低下が消滅するまで可能な限り改良しなければなら

ない。 

 シミュレーションした障害状況,及び効果的であると決定された対策は,文書化しなければならない。 

 これらの対策は,後日の船上での機器の統合に適用することが望ましい。 

C.3.7.2コミッショニング期間中の考察 システムの統合は,注意深い計画及び事前の機器試験にもかかわ

らず,個々の機器部分の重大な障害を励起する場合がある。これらの場合,その障害は船上における設置

場所の特殊な事情に起因するものなのか,及び/又は船上の環境における動作の結果なのかを調査するこ

とが望ましい。このため,統合システムに属するすべての個々の機器を,順次投入し,その正しい機能を

確認することが望ましい(順次投入試験)。 

 順次投入試験で機器妨害と船上動作環境との間の相関関係を明確化できない場合,問題の機器に接続さ

れている各インタフェースについて電磁妨害パラメータを調査する必要がある。規定された妨害パラメー

タと計測された妨害パラメータとの間の比較が,妨害発生の原因を示す場合があり,これらの結果を基に

して必要な改良策をとることが可能となる。 

C.4 組織化した対策 

C.4.1 船上動作 EMC解析又は船上動作状況は,通常の技術的対策によっては解決することのできない非

電磁両立性をもたらす場合がある。このような場合,船上のシステム/機器の動作整合を取るために適切

な対策を取ることが必要となる。例えば,次に示す例である。 

 − 複数機器の同時動作中の相互干渉を減少させるための操作上,又は機能上の制限の明確化。 

 (例えば,送信及び受信アンテナ) 

 − 従わなかった場合,安全性が危険な状態となる場合がある操作手順及び/又は操作上の制限の文書 

   化。(船の安全と乗員の安全) 

 − 過大な電磁界強度をもつ船上のある区域への乗員立ち入り制限を示す警告銘板(関連規則/法律に 

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   従って人体に対する放射障害危険が存在することを示す。)。 

C.4.2 保守及び修繕 船の生涯において,次に示す外的な環境,船舶特有の環境及びその他の長期間にわ

たる影響によって,EMCを達成するための技術的対策の効果が低下する場合がある。 

 − 振動と衝撃; 

 − 気候上の影響; 

 − 経年変化; 

 − 腐食; 

 − 過電圧; 

 − 迷走電流; 

 これらの対策が余裕をもって設計され,注意深く実施されたとしても,操作マニュアルには,EMCの望

まれるレベルを達成し,かつ,維持するために必要な対策についての情報を含むのが望ましい。EMC対策

は,次に示す定期的な検査を受けるのが望ましい。 

 − 技術的EMC対策の完全性及び実際の状況を確認するための外観検査,例えば,電気的な接地状態 

   の満足度。 

 − 性能再現試験,例えば,給電線の障害パラメータを計測し,受入試験時の結果と比較し,必要な場 

   合,最初のEMCパラメータへの復帰。 

 保守及び修理作業による,船舶の機器設置に対する変更,追加又は操作条件の変更は,EMC基準の遵守

にもかかわらず,EMC環境を低下させる場合がある。EMCの低下の影響は,前述される変更を実施する

前に解析するのが望ましく,必要な場合,組織化した対策とするのが望ましい。 

 保守及び修理作業の完了後,規定のEMC状態を確認するための試験を実施するのが望ましく,必要な

場合,初期状態に復帰させるのが望ましい。 

C.5 参考資料 

IEC 60068 (all parts),Environmental testing  

IEC 60092-202:1994,Electrical installations in ships−Part 202: System design−Protection  

IEC 60092-203:1985,Electrical installations in ships−Part 203: System design−Acoustic and optical signals 

IEC 60092-204:1987,Electrical installations in ships−Part 204: System design−Electric and electrohydraulic 

steering gear  

IEC 60092-350:1988,Electrical installations in ships−Part 350:Low-voltage shipboard power cables−General 

construction and test requirements Amendment I (1994)  

IEC 60092-351:1983,Electrical installations in ships−Part 351:Insulating materials for shipboard power cables 

Amendment 2 (1997)  

IEC 60092-353:1995,Electrical installations in ships−Part 353: Single and multicore non-radial field power cables 

with extruded solid insulation for rated voltages 1 kV and 3 kV  

IEC 60092-373:1977,Electrical installations in ships−Part 373 : Shipboard telecommunication cables and 

radio-frequency cables. Shipboard flexible coaxial cables  

IEC 60092-374:1977,Electrical installations in ships−Part 374 : Shipboard telecommunication cables and 

radio-frequency cables−Telephone cables for non-essential communication services  

IEC 60092-375:1977,Electrical installations in ships−Part 375 : Shipboard telecommunication cables and 

radio-frequency cables−General instrumentation,control and communication cables  

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IEC 60092-376:1983,Electrical installations in ships−Part 376: Shipboard multicore cables for control circuits  

IEC 60092-401:1980,Electrical installations in ships−Part 401 : Installation and test of completed installation 

Amendment 2 (1997)  

IEC 60092-501:1984,Electrical installations in ships−Part 501 : Special features−Electric propulsion plant 

IEC 60092-502:1994,Electrical installations in ships−Part 502 : Tankers−Special features  

IEC 60092-504:1994,Electrical installations in ships−Part 504 : Special features−Control and instrumentation 

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F 8081:2005 (IEC 60533:1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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