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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 8079-1989 

(IEC92-204-1987) 

船用電気設備 第204部 

システム設計−電動及び 

電動油圧操だ装置 

Electrical Installations in Ships Part 204 

System Design−Electric and Electrohydraulic Steering Gear 

日本工業規格としてのまえがき IEC 92(船用電気設備)は,航洋船の電気設備に関し,現在採用されて

いる優れた実行手段を極力取り入れ,また,現行規則類との調和をできるだけ図りながら,国際規格の一

系列を構成している。 

これらの規格は,SOLAS(海上人命安全条約)の要求に対する具体的な解釈及び補充を行っている規定で

あり,将来制定されるかもしれない規則類に対する指針でもある。 

また,船主,造船所及びその他関係機関が採用する実行手段に対する手引きとなるものである。 

この規格の内容と他の日本工業規格の内容とに相違がある場合には,特にIEC 92によると指定された場

合を除き,相違する内容の適用にあっては,当事者間の協議による。 

1. 適用範囲 この規格は,船舶用の電動及び電動油圧操だ(舵)装置の主要事項に適用する。 

対応国際規格: 

IEC 34-1 Rotating electrical machines. Part 1 : Rating and performance 

IEC 92-204 Electrical installations in ships. Part 204 : System design−Electric and electrohydraulic 

steering gear 

第1節 − 定義 

2. 定義 

2.1 

主操だ装置 通常の航行状態において操船の目的でかじ(舵)を駆動するために必要な機械装置,

ラダーアクチュエータ,操だ装置の動力装置及び附属装置並びにだ頭材(例えば,チラー又はコドラント)

にトルクを与えるための装置。 

2.2 

補助操だ装置 主操だ装置の故障の際に操船するために必要な装置であって,チラー,コドラント

及びこれと同じ目的に使用する部品を除き主操だ装置とは別個の装置。 

2.3 

電動操だ装置 電動機が機械機構だけによってトルクをだ頭材に与える動力操作の操だ装置。 

2.4 

電動油圧操だ装置 電動機駆動の油圧ポンプが,油圧機構及び機械機構によってトルクをだ頭材に

与える動力操作の操だ装置。 

2.5 

操だ装置の動力装置 

F 8079-1989 (IEC92-204-1987) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 電動操だ装置の場合には,電動機及びその附属電気機器。 

b) 電動油圧操だ装置の場合には,電動機及びその附属電気機器並びに電動機によって駆動される油圧ポ

ンプ。 

2.6 

操だ装置制御システム 船橋から操だ装置の動力装置に命令を伝達する装置で,発信器,受信器,

制御用油圧ポンプ及び駆動電動機,電動機制御器,管装置,ケーブルなどによって構成される。 

第2節 − 設計 

3. 動力操作の操だ装置 

3.1 

電動及び電動油圧操だ装置は,1974 SOLASによって要求される動力操作の主操だ装置及び補助操だ

装置に用いてもよい。 

3.2 

主操だ装置及び補助操だ装置に用いる電気系統は,一方の操だ装置における故障が他方の操だ装置

の電気系統の効力を損なわないように装備しなければならない。 

主操だ装置が2台以上の動力装置で構成されていて,かつ,1974 SOLASによって補助操だ装置の設置

が要求されない場合には,各動力装置の電気系統は,一方の系統における故障が他方の動力装置の効力を

損なわないように装備しなければならない。 

第3節 − 電動機及び附属の制御装置 

4. 電動機 

4.1 

動力装置の電動機に要求される特性の決定に当たっては,すべての稼働状態における操だ装置の始

動トルク及び最大使用トルクを考慮しなければならない。 

定格トルクに対する最大トルクの比は,少なくとも1.6でなければならない。 

4.2 

操だ装置の動力装置用電動機は,間欠負荷の定格としてもよい。 

電動機の定格は,その船舶の操だ装置の特性を基本として決定しなければならない。 

また,いかなる場合にも,少なくとも次によらなければならない。 

4.2.1 

電動操だ装置の動力装置用電動機 IEC 34-1 (Rotating electrical machines. Part 1 : Rating and 

performance) に基づくS3−40% 

4.2.2 

電動油圧操だ装置の動力装置用電動機 IEC 34-1に基づくS6-25% 

5. 電動機用始動器 主操だ装置及び補助操だ装置の動力装置用電動機は,操だ装置の区画に配置した専

用独立の電動機用始動器を備えなければならない。この始動器は,主配電盤上又は主機関制御室,及び非

常配電盤上又は非常配電盤室に設置してもよい。 

第4節 − 回路設計 

6. 動力回路への給電 

6.1 

1台以上の動力装置によって構成される電動又は電動油圧操だ装置は,1974 SOLASの規定によって

許される場合を除いて,少なくとも2系統の専用回路によって給電され,主配電盤から直接給電されなけ

ればならない。 

この場合には,1系統は非常配電盤を経由して給電してもよい。 

6.2 

電動又は電動油圧の主操だ装置と関連する電動又は電動油圧の補助操だ装置は,主操だ装置への給

電回路の一つに接続してもよい。 

F 8079-1989 (IEC92-204-1987) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

電動又は電動油圧の操だ装置への給電回路は,これに同時に接続することが可能で,かつ,同時に

運転することが要求される可能性があるすべての電動機及び装置に対して十分な定格をもつものでなけれ

ばならない。 

6.4 

1974 SOLASに規定されるある種の船舶では,非常電源又は操だ装置区画内に設置された独立の動力

源から代替えの動力を供給することが要求される。 

この動力供給は,主電源の故障が発生した際には,45秒以内に自動的に作動し,かつ,1974 SOLASの

要求を満足するものでなければならない。 

7. 制御回路及び制御システムへの給電 

7.1 

動力装置用電動機の始動及び停止を行う各制御は,その動力回路から給電される専用の制御回路に

よってなされなければならない。 

7.2 

電気式の主操だ装置及び補助操だ装置の制御システムは,操だ機室内の操だ装置動力回路からか又

は配電盤内で,その操だ装置動力回路の給電点付近の配電盤母線から専用回路によって直接給電されなけ

ればならない。 

8. 回路保護 

8.1 

電動又は電動油圧の主操だ装置及び補助操だ装置の各制御回路及び各動力回路には,短絡保護装置

を備えなければならない。 

8.2 

操だ装置の制御システムへの給電回路には,短絡保護装置以外の保護装置を設けてはならない。 

8.3 

動力回路に過電流に対する保護装置を設ける場合には,保護は保護すべき電動機又は回路の定格電

流の2倍以上の過電流に対して行わなければならない。 

また,保護装置は,十分な始動電流を流すことができるように装備しなければならない。 

第5節 − 制御装置及び表示装置 

9. 操だ装置の動力装置用電動機の始動及び停止 

9.1 

動力装置用電動機は,船橋及び操だ装置の区画内から始動及び停止を行うことができなければなら

ない。 

すべての遠隔操作の始動及び停止装置を切り離すための手段を電動機用始動器設置場所に設けなければ

ならない。 

9.2 

主操だ装置及び補助操だ装置の動力装置は,電力喪失後の復旧時に自動的に再始動するようにしな

ければならない。 

10. 操だ装置の制御システム 

10.1 主操だ装置の場合には,操だ装置の制御システムは,船橋及び操だ装置の区画の両方に設けなけれ

ばならない。 

10.2 動力操作の補助操だ装置の場合には,操だ装置の制御システムは,操だ装置の区画内に設け,また

船橋からも操作でき,かつ,主操だ装置の制御システムから独立したものでなければならない。 

10.3 1974 SOLASによって補助操だ装置を備えないで,かつ,主操だ装置が2台以上の同一の動力装置で

構成されている場合には,船橋及び操だ装置の区画の両方から操作できる二組の独立した制御システムを

備えなければならない。この場合には,だ輪及び操だレバーを二重にする必要はない。 

F 8079-1989 (IEC92-204-1987) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

制御システムが油圧テレモータを含んでいる場合には,1974 SOLASにおいて特記されている場合を除

き,第2の独立した制御システムを備える必要はない。 

10.4 10.1〜10.3の規定によって備えられた操だ装置の制御システムは,船橋において使用できるものでな

ければならない。 

10.5 操だ装置の区画内には,船橋から操作できる操だ装置の制御システムをその操だ装置から切り離す

ための手段を設けなければならない。 

11. 警報装置及び表示装置 

11.1 電動及び電動油圧操だ装置が運転中であることを表示するための手段を船橋及び適切な主要機械制

御場所に設けなければならない。 

11.2 主操だ装置及び補助操だ装置の動力装置用電動機には,過負荷警報装置を備えなければならない。 

11.3 三相給電方式が採用されている場合には,供給電源のいずれか一相が欠相したことを知らせる警報

装置を備えなければならない。 

11.4 操だ装置の動力装置のいずれか1台の電源が喪失した場合には,警報を発しなければならない。 

11.5 制御システムへの電源が喪失した場合には,警報を発しなければならない。 

11.6 油圧流体の漏えいを可能な限り迅速に知らせるために,油圧流体貯蔵タンクには低液面警報装置を

設けなければならない。 

11.7 11.2〜11.6の規定によって要求される警報装置は,可視可聴のものであって,かつ,1974 SOLASの

規定によって設置されなければならない。 

12. だ角指示装置 かじの変位角は,船橋に指示されなければならない。だ角指示装置の系統は,操だ装

置の動力装置及び制御システムから独立したもので,かつ,非常配電盤又は6・4に規定する代替えの独立

した電源から給電されるものでなければならない。 

備考 かじの変位角は,1974 SOLASの規定によって操だ装置の区画内で認知できなければならない。

この指示は,電気的なものとする必要はない。 

第6節 − 分離 

13. 回路の分離 二重装備の電力供給回路及び操だ装置の制御システムとその附属装置は,できる限り互

いに分離しなければならない。 

そのケーブルは,全長にわたって垂直方向にも水平方向にもできる限り離し,互いに異なった配線経路

に沿って敷設しなければならない。 

第7節 − 通信装置 

14. 船橋と操だ装置がある区画との間の通信装置 船橋と操だ装置がある区画との間には,通信手段を備

えなければならない。 

電気的のものとする場合には,非常配電盤を経由して給電するものとするか,又は音声電力によるもの

としなければならない。 

F 8079-1989 (IEC92-204-1987) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

船舶部会IEC TC18船用ぎ装専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

原   昌 三 

三菱重工業株式会社船舶鉄構事業本部 

勝 亦 二 郎 

財団法人日本海事協会 

佐々木 博 道 

運輸省海上技術安全局 

飛 田   勉 

工業技術院標準部 

福 島   彰 

財団法人日本船舶標準協会 

大須賀   実 

川崎重工業株式会社技術開発本部 

大 山 敏 夫 

三菱重工業株式会社船舶技術統括室 

鬼 頭 博 明 

日本鋼管株式会社艦船技術部 

冨 士 泰 宏 

三井造船株式会社船舶海洋プロジェクト事業本部 

藤 本 正 俊 

住友重機械工業株式会社船舶海洋鉄構事業本部 

日 下 清 彦 

日立造船株式会社船舶事業本部 

加 納 寛 治 

石川島播磨重工業株式会社船舶海洋事業本部 

村 上 嘉 昭 

日本郵船株式会社工務部 

大 石 幸 明 

大石電気工業株式会社 

神 谷 鍵 次 

株式会社三英電機製作所 

森 下 幸 作 

株式会社高工社 

(事務局) 

小 林 秋 穂 

工業技術院標準部機械規格課 

山 形 智 幸 

工業技術院標準部機械規格課