F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
(1)
目 次
ページ
序文
1
1 適用範囲
1
2 引用規格
1
3 ケーブルの種類,構造,敷設及び動作条件
3
3.1 ケーブルの種類
3
3.2 定格電圧
3
3.3 導体の断面積及び電流容量
4
3.4 電圧降下
8
3.5 電灯負荷の計算
8
3.6 ケーブルの並列接続
8
3.7 回路の分離
8
3.8 短絡容量
8
3.9 導体
8
3.10 絶縁体材料
9
3.11 遮へい,線心遮へい又はシールド
9
3.12 シース材料
9
3.13 金属編組又はがい装
9
3.14 火災に対する性能
9
3.15 電路
10
3.16 電磁的障害に対するケーブルの敷設方法
11
3.17 機械的保護
11
3.18 曲げ半径
12
3.19 ケーブルの支持及び固定
13
3.20 隔壁及び甲板を貫通するケーブル
14
3.21 ケーブルの金属管,電線管又はトランク内への敷設
14
3.22 非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシング内への敷設
15
3.23 蓄電池室内への敷設
15
3.24 冷蔵区域内への敷設
15
3.25 引張応力
15
3.26 交流配線に使用する単心ケーブルに対する特別な注意事項
15
3.27 ケーブル端末
16
3.28 接続部及び分岐部(分岐回路)
17
3.29 接続箱
17
附属書 A(参考)電流容量表−標準的な敷設方法
21
附属書 B(参考)電流容量表−一般的な敷設方法
32
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005) 目次
(2)
ページ
附属書 C(参考)延焼防止装置
36
附属書 D(参考)ケーブルのスプライス
37
参考文献
38
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
(3)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本船舶
技術研究協会(JSTRA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS F 8071:2000
は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005) 目次
(4)
白 紙
日本工業規格
JIS
F
8071
:2008
(IEC 60092-352
:2005
)
船用電気設備−
第 352 部:電力系統用ケーブルの選択及び敷設
Electrical installations in ships−
Part 352: Choice and installation of electrical cables
序文
この規格は,2005 年に第 3 版として発行された IEC 60092-352 を基に,技術的内容及び対応国際規格の
構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,電圧が 15 kV 以下の電力系統に用いる船内ケーブルの選択及び敷設に関する基本的要求に
ついて規定する。
この規格は,船舶の航行による振動又は船舶の移動による動きにさらされるケーブルが含まれるが,繰
り返し屈曲されるキャブタイヤケーブルなどは含まれない。継続的な繰り返し屈曲に適したケーブルにつ
いては,IEC 60227,IEC 60245 などの IEC 規格及び日本工業規格がある。これらのケーブルは,船舶上
では海洋環境に直接さらされない移動用設備,家庭用機器などに限定される。
この規格では,次のケーブルの種類及び用途は含まれない。
− 光ファイバケーブル
− 海底ケーブル及びアンビリカル・ケーブル
− データ通信,電気通信及び無線周波ケーブル
− 海洋構造物上で使用するケーブルの選択及び敷設
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60092-352:2005,Electrical installations in ships−Part 352: Choice and installation of electrical
cables (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。
)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS F 8061 船用電気設備−第 101 部:定義及び一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60092-101,Electrical installations in ships−Part 101: Definitions and general
requirements (IDT)
2
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
JIS F 8062 船用電気設備 第 201 部 システム設計−一般
注記 対応国際規格:IEC 60092-201,Electrical installations in ships−Part 201: System design−General
(IDT)
JIS F 8072 船用電気設備−第 401 部:装備基準及び完成試験
注記 対応国際規格:IEC 60092-401,Electrical installations in ships. Part 401: Installation and test of
completed installation (IDT)
JIS F 8078 船用電気設備 第 203 部 システム設計−可聴及び可視信号
注記 対応国際規格:IEC 60092-203,Electrical installations in ships−Part 203: System design−Acoustic
and optical signals (IDT)
JIS F 8081 船用電気設備及び電子機器−電磁両立性
注記 対応国際規格:IEC 60533:1999,Electrical and electronic installations in ships−Electromagnetic
compatibility (IDT)
IEC 60092-350:2001 , Electrical installations in ships − Part 350: Shipboard power cables − General
construction and test requirements
IEC 60092-351,Electrical installations in ships−Part 351: Insulating materials for shipboard and offshore units,
power, control, instrumentation, telecommunication and data cables
IEC 60092-353:1995,Electrical installations in ships−Part 353: Single and multicore non-radial field power
cables with extruded solid insulation for rated voltages 1 kV and 3 kV 及び Amendment 1 (2001)
IEC 60092-354,Electrical installations in ships−Part 354: Single-and three-core power cables with extruded
solid insulation for rated voltages 6 kV (U
m
=7.2 kV) up to 30 kV (U
m
=36 kV)
IEC 60092-359,Electrical installations in ships−Part 359: Sheathing materials for shipboard power and
telecommunication cables
IEC 60092-376,Electrical installations in ships−Part 376: Cables for control and instrumentation circuits
150/250 V (300 V)
IEC 60228:2004,Conductors of insulated cables
IEC 60287 (all parts),Electric cables−Calculation of the current rating
IEC 60331-21:1999,Tests for electric cables under fire conditions−Circuit integrity−Part 21: Procedures and
requirements−Cables of rated voltage up to and including 0.6/1.0 kV
IEC 60331-31:2002,Tests for electric cables under fire conditions−Circuit integrity−Part 31: Procedures and
requirements for fire with shock−Cables of rated voltage up to and including 0.6/1 kV
IEC 60332-1-2:2004,Tests on electric and optical fibre cables under fire conditions−Part 1-2: Test for vertical
flame propagation for a single insulated wire or cable−Procedure for 1 kW pre-mixed flame
IEC 60332-3-22:2000,Tests on electric cables under fire conditions−Part 3-22: Test for vertical flame spread
of vertically-mounted bunched wires or cables−Category A
IEC 60684-2:2003,Flexible insulating sleeving−Part 2: Methods of test 及び Amendment 1 (2003)
IEC 60702-1:2002,Mineral insulated cables and their terminations with a rated voltage not exceeding 750 V−
Part 1: Cables
IEC 60702-2:2002,Mineral insulated cables and their terminations with a rated voltage not exceeding 750 V−
Part 2: Terminations
IEC 60754-1:1994,Test on gases evolved during combustion of materials from cables−Part 1: Determination
3
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
of the amount of halogen acid gas
IEC 60754-2:1991,Test on gases evolved during combustion of electric cables−Part 2: Determination of
degree of acidity of gases evolved during the combustion of materials taken from electric cables by
measuring pH and conductivity 及び Amendment 1 (1997)
IEC 61034-2:2005,Measurement of smoke density of cables burning under defined conditions−Part 2: Test
procedure and requirements
3
ケーブルの種類,構造,敷設及び動作条件
3.1
ケーブルの種類
IEC 60092-350,IEC 60092-353,IEC 60092-354 及び IEC 60092-376 に準拠した構造をもつケーブルは,
船舶で使用するのがよい。
特殊用途に使用されるケーブル
(及びその終端)
で,
IEC 60702-1 及び IEC 60702-2
に準拠した構造をもつものは,海洋環境での用途及び使用状態に対して十分な配慮がなされることを前提
に,使用してもよい。
3.2
定格電圧
3.2.1
電力ケーブル
この規格の電力用ケーブルの最高定格電圧 (U) は,15 kV とする。
ケーブルの電圧名称 U
0
/U/(U
m
) は,
U
0
:ケーブルの導体と対地又は金属遮へい間の定格商用周波電圧
U :ケーブルの導体間の定格商用周波電圧
U
m
:通常運転条件において系統内のあらゆるポイントでいかなる時でも耐えることができる最高
系統電圧の最大値。過渡電圧条件及び急速な負荷遮断時の電圧値は含まない。
U
m
には,三相系統の最高電圧以上の値が選択される。系統公称電圧がケーブルの定格電圧を超える回路
において,ケーブルの使用が許容される場合,系統公称電圧はケーブルの最高系統電圧の最大値 (U
m
) を
超えてはならない。
誘導による電圧サージにさらされるケーブルについては,適切な定格電圧となるように慎重な配慮を払
わなければならない。
系統に使用されるケーブルの定格電圧は,その系統電圧及び接地方法を考慮して決定する。
ケーブルの定格電圧は,そのケーブルが使用される回路の公称電圧以上でなければならない。ケーブル
の選択を容易にするため,
三相系統で使用されるケーブルに推奨される U の値を
表 1 に示す。この表では,
系統を次の三つのカテゴリに分類する。
カテゴリ A このカテゴリは,接地又は接地線と接触するいかなる相導体も系統から自動的に切り離さ
れるシステムで構成される。
カテゴリ B このカテゴリは,故障状態において 1 相が接地された状態で,1 故障当たり 8 時間以内の
短時間の運転が行われるシステムで構成される。例えば,カテゴリ A 又はカテゴリ B の 13.8 kV 系統の場
合には,ケーブルの定格電圧は 8.7/15 kV 以上とする。
注記 地絡が自動的,かつ,迅速に除去されない系統においては,地絡中にケーブルにかかるストレ
スが増大し,これがケーブル寿命になんらかの影響を及ぼす可能性がある。地絡を持続させた
状態で系統をかなり頻繁に運転することが予想される場合には,カテゴリ C に適合するケーブ
ルを使用することが望ましい。いずれにせよ,カテゴリ B の分類については,年間の地絡の予
想合計時間が 125 時間を超えてはならない。
4
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
カテゴリ C このカテゴリは,カテゴリ A 又はカテゴリ B に当てはまらないすべての系統で構成される。
表 1 に示す 1.8/3.0 kV から 8.7/15.0 kV の公称系統電圧は,一般的に IEC 60038 のシリーズ I に準拠して
いる。これらの標準電圧間の中間電圧及び 0.6/1 kV と 1.8/3 kV 間の公称系統電圧については,次の値より
高い標準値以上の定格電圧をもつケーブルを選択する。例えば,1 相を接地した状態での最初の地絡によ
って,各相と接地間とには
3
倍高い電圧が生じる。この地絡の継続時間がカテゴリ
B
に記載される時間
を超える場合,
表 1 に従えば,
6 kV
系統ではケーブルの定格電圧は,
6/10 kV
以上でなければならない。
直流の場合,交流定格商用周波電圧 U
0
の最大
1.5
倍の対地電圧を用いてもよい。ただし,整流器からの
直流系統電圧を求める際にはピーク値を考慮すべきであり,半導体整流器が開放状態の回路で動作した場
合,その平滑化によりピーク値は変わらないことに留意する。
表 1−交流系統用ケーブルの選択
系統電圧
系統のカテゴリ
ケーブルの最低定格電圧 U
0
/U
公称電圧
U
kV
最大電圧
U
m
kV
遮へいなし
kV
単心又は
遮へいあり
kV
0.25 以下 0.3
A,B 又は C 0.15/0.25
−
1.0 1.2
A,B 又は C 0.6/1.0 0.6/1.0
3.0 3.6 A 又は B 1.8/3.0 1.8/3.0
3.0 3.6
C
− 3.6/6.0
6.0 7.2 A 又は B
− 3.6/6.0
6.0 7.2
C
− 6.0/10.0
10.0 12.0 A 又は B
− 6.0/10.0
10.0 12.0
C
− 8.7/15.0
15.0 17.5 A 又は B
− 8.7/15.0
3.2.2
制御及び計装用ケーブル
この規格で対象としている制御及び計装用ケーブルの最高定格電圧
(
U
)
は,
250 V
とする。
場合によっては,
1.5 mm
2
以上の導体サイズ又は回路電源が低インピーダンスの場合,定格
0.6/1 kV
の
ケーブルが制御及び計装用ケーブルとして指定される。
注記
0.6/1
kV
用途での
1.0 mm
2
の使用については,検討中である。
3.3
導体の断面積及び電流容量
3.3.1
導体の断面積
各導体の断面積は,次の条件に適合するよう十分に大きなものを選択しなければならない。
−
ケーブルの最大負荷電流は,負荷需要率及び不等率から計算しなければならない。
−
導体の断面積は, 連続使用の定格電流 に適切な補正係数を適用して算出される 補正定格電流 を
用いて選択し,そのケーブルに通電される最大電流以上でなければならない。適用する補正係数は,
3.3.4,3.3.5 及び 3.3.6 に記載する。
−
回路の電圧降下は,当該回路について規制機関が指定した限度を超えてはならない。詳細なガイダン
スを 3.4 に示す。
−
導体の断面積は,短絡電流(3.8 参照)の機械的影響及び熱影響並びに電動機起動電流(3.4 の
注記 3
参照)の電圧降下の影響に耐えられるものでなければならない。
5
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
−
クラス
5
の導体を使用する場合,最大電流容量に特に注意を払わなければならない。
ほとんどの場合,
クラス
5
の導体は,同一の公称断面をもつクラス
2
の導体に比べて導体抵抗が高い。
−
接地導体の公称断面積は,
表 2 に適合しなければならない。各接地導体の断面積を求める他の方法の
一つとしては,回路保護用のヒューズ又は回路保護装置の定格に基づいて求める方法が挙げられる。
この方法を使用する場合,最終的に選択される公称断面積は,それぞれの方法で求めた断面積の中の
最大面積でなければならない。
表 2−接地導体
a)
のサイズ及び機器の接地接続
接地導体の配置
対応する通電導体の断
面積 Q(1 相又は 1 極)
mm
2
接地導体の最小断面積
Q ≦ 16
Q
1 i)
固定設備用ケーブルの絶縁接地導体
ii) IEC 60092-350 の 8.2 に準拠する固定設備用ケー
ブルの銅線編組
iii) 乾燥した区画内の配管に敷設される固定設備
用の独立した絶縁接地導体で電源ケーブルと同じ
配管に収容される場合。
iv) きょう(筺)体内若しくはカバー又はパネルの
背に敷設する個別の絶縁接地導体で,JIS F 8078 で
指定される開き戸用接地導体を含む。
Q > 16
通電導体の 50 %で
16 mm
2
以上
Q ≦ 2.5
1 mm
2
2.5 < Q ≦ 6
1.5 mm
2
2
固定設備用ケーブルの非絶縁接地導体,がい装又は
銅線編組で,これと金属接触しているもの。
Q > 6
許容されない
Q < 2.5
接地接続(より線)用の最小
1.5 mm
2
又は接地接続(非より
線)用の最小 2.5 mm
2
が適用さ
れる通電導体と同じ。
2.5 < Q ≦ 120
通電導体の 50 %で 4 mm
2
以上
3
別に接地された固定設備用接地導体で,1 iii) 及び
1 iv) で指定する以外のもの。
Q > 120
70 mm
2
Q ≦ 16
通電導体と同じ
4
可とうケーブルの絶縁接地導体
Q > 16
通電導体の 50 %で最小 16 mm
2
注記 ヒューズ定格に基づく方法については,3.3.1 も参照する。
注
a)
接地導体に対する代替用語として,保護導体という用語でもよい。
3.3.2
電流容量
ケーブル選択手順では,各種の周囲温度について,また,他のケーブルと結束した場合の相互熱効果,
敷設方法及び短時間使用を考慮して電流容量を調整するために,補正係数を使用する。これらの係数の使
用についてのガイダンスを次に示す。
3.3.3
連続使用の定格電流
この規格におけるケーブルの
連続使用
とは,一定の負荷での通電時間がケーブルの
熱時定数
の
3
倍,すなわち, 臨界時間 (
図 2 参照)より長い時間持続するものとみなす。
常時導体に通電する電流は,導体最高許容温度を超えない値とする。
その値は,次のいずれかによる。
−
次の附属書の中から,敷設方法に準拠した値を選択する。
附属書 A ケーブルの船舶以外の用途において採用されている方法に基づいて電流容量を求める方法
6
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
この方法は,数多くのケーブル及び敷設方法に関する実験データから確立された技術的根拠
から得られたものであるため,各種の敷設方法においてより広範な選択ができる。詳細は,
IEC 60364-5-52 を参照する。
電流容量は,次の式による。
n
m
S
B
S
A
I
×
−
×
=
ここに,
I: 電流容量
(A)
S: 導体の公称断面積
(mm
2
)
A 及び B: 係数,m と n は,ケーブル種類及び敷設方法に応じた指数
各種の敷設方式について上記の式を用いて計算された値は,選択ガイダンスとともに
附属
書 A に記載されている。
附属書 B IEC 60092-352 の第
2
版(
1997
年)に記載された電流容量を求める方法
1958
年に限定された実験データに基づいて値が確立されて以来,ケーブル構造及び導体最高
許容温度の変化を反映して,値が修正され,その範囲も拡大している。これらの値は,一定
条件における限定された敷設方法についてだけ有効である。この方法の使用に当たっては,
船舶の修繕時又は他のガイダンス情報との併用を推奨する。
電流容量は,次の式による。
625
.
0
A
I
×
=
α
ここに,
I: 電流容量
(A)
A: 導体の公称断面積
(mm
2
)
α: 導体の最高許容温度に対応した係数
附属書 B に記載された上記の式で計算した値は,記載された条件に準拠して使用する場合にだけ適用可
能である。
又は,次の中のいずれかの方法で求める。
−
IEC 60287 の記載に従う。
−
指定された公認の方法によって算出する。また,適宜負荷の特性を考慮しなければならない。
特殊な条件において適用可能な敷設方法の選択は,該当する承認官庁又は管理法規がその責任を負う。
3.3.4
異なった周囲温度に対する補正係数
附属書 A 及び附属書 B の表に示す電流容量は,周囲温度
45
℃を想定している。この温度は,あらゆる
天候での航海及び敷設方法を問わず,すべての種類の船舶に使用される電線及びケーブルに一般的に適用
できる。
電線又はケーブルの敷設場所における周囲温度が基準周囲温度と異なる場合,
表 3 に示す補正係数を附
属書 A 及び附属書 B に記載する電流容量値に適用しなければならない。
注記
例えば,ケーブルの全体又は一部が熱の発生する空間若しくは区画内に敷設される場合,又は
伝熱による場合,ケーブル周囲の大気温度は,
45
℃を上回ることがある。
表 3 の補正係数は,日射又はその他の赤外線のふく射による温度上昇を考慮していない。ケーブル又は
電線がそのようなふく射にさらされる場合には,電流容量は IEC 60287 に記載する方法で導き出さなけれ
ばならない。
α
7
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 3−種々の周囲温度に対する補正係数
(基準周囲温度:
45
度)
周囲温度に対する補正係数
導体最高
許容温度
℃
35 ℃ 40
℃ 45
℃ 50
℃
55 ℃
60 ℃
65 ℃
70 ℃
75 ℃ 80
℃ 85
℃
60
1.29 1.15 1.00 0.82 −
−
−
−
−
−
−
65
1.22 1.12 1.00 0.87 0.71 −
−
−
−
−
−
70
1.18 1.10 1.00 0.89 0.77 0.63 −
−
−
−
−
75
1.15 1.08 1.00 0.91 0.82 0.71 0.58 −
−
−
−
80
1.13 1.07 1.00 0.93 0.85 0.76 0.65 0.53 −
−
−
85
1.12 1.06 1.00 0.94 0.87 0.79 0.71 0.61 0.50 −
−
90
1.10 1.05 1.00 0.94 0.88 0.82 0.74 0.67 0.58 0.47 −
95
1.10 1.05 1.00 0.95 0.89 0.84 0.77 0.71 0.63 0.55 0.45
3.3.5
短時間使用に対する補正係数
1
台の電動機又は機器に,
30
分又は
1
時間給電する場合には,関連する表に記載するその定格電流(
附
属書 A 及び附属書 B 参照)を図 1 によって与えられる補正係数を用いて増加できる。これらの補正係数は,
通電前後の休止時間が
図 2 でケーブルの仕上がり外径の関数として示された 臨界時間 (ケーブルの時定
数の
3
倍に等しい)より長い場合にだけ適用できる。
注記 1
図 1 に示された補正係数は,概略の近似値であり,ケーブルの仕上がり外径によって決定さ
れる。一般に
30
分使用は,係船ウインチ,ウインドラス,重量物荷役ウインチ及びバウスラ
スタに適用できる。ただし,自動張力係船ウインチ及び特殊船のバウスラスタには,
30
分間
定格は適切でない。
注記 2
一般に荷役ウインチ(重量物荷役ウインチを除いて)
,エンジンルームのクレーンなどの装置
で,断続的に運転される電動機などの機器
1
台に対して電流を供給するケーブルについては,
附属書 A 及び附属書 B に示す定格電流を図 3 で得られた補正係数を適用して増大させてもよ
い。
注記 3
図 3 に示す補正係数は,
4
分間一定負荷で,
6
分間無負荷の
10
分周期に対する概略計算値で
ある。
3.3.6
多条敷設補正係数
電線又はケーブルを多条敷設する場合は,表に示す電流容量に対してこの規格の附属書に示されている
多条敷設の補正係数を適用しなければならない。
この多条敷設の補正係数は,同一の最高許容温度をもつ電線又はケーブルを多条敷設する場合に適用可
能である。
最高許容温度の異なるケーブル又は電線を含む多条敷設については,そのすべてのケーブル又は電線の
電流容量は,多条敷設内の最高許容温度の最も低いケーブルの電流容量及び該当する多条敷設補正係数に
基づかなければならない。
使用条件が既知の場合で,あるケーブル又は電線の通電する電流が,算出された多条敷設の定格電流の
30 %
未満と予想される場合,多条敷設内の他のケーブル又は電線の多条敷設補正係数を得る際に,そのケ
ーブル又は電線を無視することができる。また,同時に負荷がかからないケーブルの場合は,実際に負荷
のかかるものだけを考慮してもよい。
注記
多条敷設とは,
2
本以上が一つの電線管,トランク若しくはダクト内に納められる場合,又は
8
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
密閉されない場合であっても,互いに離れていない場合をいう。
3.4
電圧降下
仕様値又は規制機関が設定した値が存在しない場合,通常使用条件下での最大電流を導体に通電する際
に,主配電盤又は非常用配電盤の母線から設備の各ポイントまでの電圧降下が,JIS F 8062 の箇条 36 に示
す限度を超えないように導体の断面積を求めなければならない。
注記 1
50
V
未満の電圧を蓄電池で供給する場合は,電圧降下の最大許容値を
10 %
に増やしてもよ
い。
注記 2
航海灯については,必要な照明出力又は色を維持するため,電圧降下をより低い値に制限し
なければならない場合もある。
注記 3
電圧降下値は,通常の定常状態において適用可能である。電動機の起動時のような短時間の
特殊な状態では,より大きな電圧降下が許容されることがあるが,その場合,設備がそのよ
うな高い一時的な電圧降下又は電圧低下の影響に耐え得ることが,前提となる。
3.5
電灯負荷の計算
電灯回路の導体サイズを求めるには,すべてのランプソケットがそれに接続されるべき最大負荷に相当
する電流を要するものと仮定し,通電電流の評価を行わなければならない。この値は,
100 W
以上と推定
しなければならない。ただし,照明器具が定格
100 W
未満のランプだけを取り付ける構造となっている場
合には,定格電流はそれに応じて評価しなければならない。
各照明用ソケット・コンセントは,
2
か所の電灯負荷とみなされる。
3.6
ケーブルの並列接続
並列接続されたケーブルの電流容量は,すべての並列導体の定格電流の和であるが,ケーブルのインピ
ーダンス,断面積及び導体最高許容温度が等しくなければならず,また,実質的に同一の経路を通すか,
又は接近して敷設しなければならない。並列接続は,断面積が
10 mm
2
以上の場合にだけ適用される。イ
ンピーダンスを等しくできない場合には,電流容量に補正係数
0.9
を適用しなければならない。
3.7
回路の分離
次の場合を除いて,短絡保護又は過電流保護を個別に必要とするすべての回路には,別個のケーブルを
使用しなければならない。
−
(電動機用などの)主回路から分岐した制御回路は,主回路と従属する制御回路が
1
個の共通の断路
器で制御される場合には,主回路と同じケーブルを共用してもよい。
−
JIS F 8061 で定義された 安全電圧 を下回る電圧の重要でない回路も,火災に対する性能及び電磁
干渉(それぞれ 3.14 及び 3.16 を参照)について配慮しなければならない。
3.8
短絡容量
ケーブル及びその絶縁導体は,回路保護装置の時間・電流特性及び最初の半サイクル中の予想短絡電流
のピーク値を考慮し,ケーブル回路に流れる可能性のある最大短絡電流の機械的及び熱影響に耐えなけれ
ばならない。詳細は,IEC 60724 及び IEC 60986 を参照。
3.9
導体
すべての導体構成は,IEC 60228 のリストに示すとおりでなければならない。
固定設備の系統での一般的な使用では,クラス
2
の導体又はクラス
5
の導体を用いるのがよい。クラス
5
の導体の使用は
可とうケーブル
を意味するものではないが,曲げ半径に余裕がないか,又は高い振
動が伴う場所でのケーブル敷設を容易にするためにその使用が許容される。
特定用途のケーブル規格には,導体として単線(クラス
1
)を指定しているものもある。このような導
9
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
体を使用する場合,振動に対する影響を,十分に配慮しなければならない。
注記
ケーブルが連続して屈曲する場合,ケーブル製造業者に助言を求めなければならない。
3.10
絶縁体材料
導体の絶縁に使用する材料は,IEC 60092-351 のリストに示すものから選択しなければならない。選択
する絶縁材料の定格使用温度は,ケーブルの敷設スペースで存在又は発生すると予想される最大周囲温度
に比べ少なくとも
10
℃高い値としなければならない。
注記
ケーブルの構造は,導体の使用温度に大きな影響を与える可能性があるが,導体の温度は絶縁
の定格温度以下でなければならない。
3.11
遮へい,線心遮へい又はシールド
遮へい,線心遮へい又はシールドの構造は,3.1 に示す各部で特定されるケーブルから選択しなければな
らない。
3.12
シース材料
シースとして使用する材料は,IEC 60092-359 のリストに示すものから選択しなければならない。ケー
ブルを敷設する場所に水分の結露,有害な蒸気(オイル蒸気を含む。
)が存在する可能性があるなどの場合
には,耐水性及び耐油性に配慮しなければならない。この場合,ケーブルは,該当する耐水性及び耐油性
を満足しなければならない。
保護被覆として異なった防食層を選択する場合には,敷設時及び使用時に各ケーブルが受ける可能性の
ある機械的作用にも配慮しなければならない。防食層の機械強度が不十分と思われる場合には,ケーブル
を配管,電線管若しくはトランクに収めるか,又は保護を施さなければならない(3.21 参照)
。また,3.14
に示す火災に対する性能にも配慮しなければならない。
3.13
金属編組又はがい装
金属編組又はがい装の構造は,IEC 60092-350 及び該当する製品規格に準拠しなければならない。
3.14
火災に対する性能
すべてのケーブル及び電線は,次の耐延焼性を満足しければならない。
−
IEC 60332-1-2
−
IEC 60332-3-22
−
個別製品規格に別段の指示がない限り,ラダーへの
7 L/m
積載を満足するように,ケーブルは(
300 mm
ラダーを使用し)複数層に構成し,接触した形態において試験を行わなければならない。
注記 1
個々のケーブル又は電線が IEC 60332-1-2 の要求を満たしているからといって,同様のケー
ブル又は電線の群が同様な挙動をする,とみなすことはできない。ケーブル群の延焼性能は,
IEC 60332-3-22 で評価される。要求性能(すなわち,接触状態で垂直に取り付けるというケ
ーブルについて)は,船舶で一般的に見られる敷設状態を最もよく表しているとして選ばれ
たものである。過去の経験によれば,他のすべてのパラメータがおおむね同じな場合には,
垂直敷設したケーブルの延焼性試験は,水平敷設する場合についても適用できる。
注記 2
詳細は,IEC 60332-3-22 に示す。
注記 3
さらに
附属書 C を参照し,延焼防止措置を施してもよい。
火災警報装置,火災探知装置,消火設備,遠隔停止回路,類似の制御回路など,火災状態で電気回路の
健全性を維持する必要のある系統については,ケーブルは該当する個別製品規格に示される IEC 60331-21
又は IEC 60331-31 を満たさなければならない。個別製品規格に特に指示がない限り,火炎を当てる時間は
関連する規格で示される温度において
90
分以上でなければならない。この要件は,系統が自己監視形,フ
10
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
ェールセーフ形又は二重化されている場合,又は火災リスクの高い区域から離れたところにケーブルが敷
設されている場合には適用されない。3.15 の o
)
を参照する。
注記 4
適切な敷設材料を使用することが,火災状態で電気回路の健全性を維持する必要のあるケー
ブルにとって極めて重要である。
居住区及び乗客区域に敷設するケーブルの発煙,発生酸性ガス及びハロゲン含有量の要件に十分に配慮
しなければならない。該当する場合は,ケーブルを次の試験方法で評価しなければならない。
−
IEC 61034-2
−
IEC 60754-1
−
IEC 60754-2
−
IEC 60684-2
個別製品規格に別段の指示がない限り,ケーブルは試験方法に示す要件を満たさなければならない。
3.15
電路
電路要件は,次のとおりである。
a
)
電路は,できる限りまっすぐに,かつ,容易に近づける場所を選定しなければならない。ケーブルを
パネル裏に敷設する場合は,すべての接続箇所に容易に手が届くようにし,また,隠れた接続ボック
スの位置を表示しなければならない。
b
)
電路を選択する際には,有害な害虫及びねずみに対する保護の必要性について考慮しなければならな
い。
c
)
異なる導体最高許容温度をもつ絶縁材料のケーブルは,同一のクリップ,ケーブルトランジット,電
線管,トランク又はダクトによって束ねてはならない。やむを得ず束ねる場合には,いかなるケーブ
ルも,導体許容温度の最も低い絶縁材料の導体許容温度を超えないようにしなければならない。
d
)
ケーブルの保護被覆が他のよりぜい弱なケーブルの被覆を損傷する可能性がある場合には,これらの
ケーブルを同一のクリップ,グランド,電線管,トランク又はダクトで束ねてはならない。
e
)
露出した金属シース,編組又はがい装をもつケーブルは,他の金属との接触による腐食(電食など)
を防止するように敷設しなければならない。
f
)
電路は,結露及び水滴を避けるように選択しなければならない。避けられない場合でも,断熱材の背
面に配置したり,その中へ埋め込んではならない。
g
)
ケーブルは,できる限りボイラ,熱配管,抵抗器バンクなどの熱源から隔離し,機械的損傷の危険性
から保護しなければならない。熱源付近へのケーブルの敷設が避けられない場合で,その結果,熱に
よるケーブルの損傷の危険性が存在する場合は,適切な遮へいを設置するか,又は特殊な換気装置の
使用,断熱材料の設置,特殊な耐熱ケーブルの使用といった他の過熱防止措置を講じなければならな
い。ケーブルは,カーゴタンク,バラストタンク,燃料タンク又は水タンク内に配置してはならない
が,そのような場所専用に機器及び計装機器が設計され,それらの機能をタンク内に設置する必要が
ある場合は除く。そのような機器としては,水中カーゴポンプ及びその制御装置,カーゴ監視システ
ム並びに水中航法システムが挙げられる。
h
)
ケーブルは,伸縮結合部を横切って敷設してはならない。ただし,それが避けられない場合には,結
合部の伸縮に比例する長さのケーブル曲がり部を設けなければならない。使用時の曲がり部の最小内
半径は,ケーブル外径の
12
倍以上でなければならない。
i
)
群で敷設するケーブルの火炎延焼性能は,敷設方法など幾つかの要因によって影響を受ける可能性が
ある(3.14 を参照)
。詳細は,IEC 60332-3-22 に示す。
11
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
j
)
操だ装置などの二重以上の給電回路が義務付けられた重要な電気機器については,電源とそれに伴う
制御ケーブルは異なる経路を通すこととし,これらの経路はできる限り垂直方向並びに水平方向に隔
離しなければならない。二重化された重要な電気機器については,電源とそれに伴う制御ケーブルは
異なる経路を通すこととし,これらの経路は垂直方向並びに水平方向にできる限り隔離されなければ
ならない。
注記 1
機関ブリッジ制御システムに組み込まれたエンジンテレグラフなどの重要な機能を果たす
ために互いの予備として動作するシステムは,
この点で同様に取り扱わなければならない。
注記 2
主配電盤が機関制御室などの分離・密閉された仕切り内に設置されている場合,この細別
はその仕切り内に敷設する機器及びケーブルには適用できない。
k
)
(一般的に旅客船のような)船舶を複数の防火区画に分割する必要がある場合は,いずれかの主とな
る垂直防火区画で火災が発生しても,その他の区域の重要な設備の運転に影響が及ばないように電路
を配置しなければならない。この要件は,いずれかの区域を通る主及び非常ケーブルを垂直方向並び
に水平方向にできる限り離し,また,これらのケーブルを同じ水平方向の区域を通過させてはならな
い。ケーブルは,火災発生時に回路の健全性を維持できなければならない[o
)
を参照]
。
l
)
重要システム又は非常システムに電源を供給するケーブル及び配線は,調理室,洗濯室,機械室及び
その囲壁並びに火災の危険性の高い場所からできる限り離して敷設しなければならないが,それらの
区域の機器に電源を供給する場合は除く。そのようなケーブル及び配線は,隣接した区域で発生した
火災で隔壁が加熱し,その結果,ケーブル及び配線が使用不可となる事態を防止できるように敷設し
なければならない。
m
)
ケーブルが火災時に一定時間機能することが重要である場合で,そのような回路のケーブルをリスク
の高い場所に通さざるを得ない場合には,そのケーブルは 3.14 の要件を満たさなければならない。
n
)
本質安全回路のケーブルは,専用のものとし,電源ケーブル又は制御ケーブルから離して敷設しなけ
ればならない。このようなケーブルの外側シースは,青色又は黒地に青いストライプを施さなければ
ならない。ストライプは,ケーブルを敷設した際にはっきり見えるようにしなければならない。
注記 3
黒地に青いストライプを施したシースは,幾つかの国々の国家当局で承認されている。
o
)
火災によるケーブルの損傷防止に関しては,居住区域の火災リスクを考慮のうえ,機関区域,ナビゲ
ーションブリッジ区域間などの重要な回路の主ケーブル経路の保護について特に注意を払わなければ
ならない。
注記 4
1974
年の SOLAS 条約及びその改定に準拠したカテゴリ
A
の機関区域,そのケーシング,
調理室並びに洗濯室は,高火災区域とみなさなければなければならない。JIS F 8061 を参
照する。
p
)
ケーブルの貫通部は,船舶の防火性能を維持できるように配置しなければならない。詳細は,
附属書
C を参照する。
3.16
電磁的障害に対するケーブルの敷設方法
好ましくない電磁的障害をできる限り避けるため,JIS F 8081 に注意を払わなければならない。これは
無線機器の近くにケーブルを敷設する場合及び高感度の電子制御・監視システムのケーブルを敷設する場
合に,特に重要である。
3.17
機械的保護
機械的損傷の危険性がある場合には,ケーブルの外装(がい装,シースなど)によって適切な保護が得
られない限り,ケーブルは適切な電線管又はケーシング内に敷設されなければならない。
12
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
船倉,貯蔵庫,貨物区域などの機械的損傷の危険性が高い場合で,船舶の構造又は取付部品によるケー
ブルの十分な保護ができない場合には,ケーブルは,がい装付きであっても鋼製ケーシング,トランク又
は電線管で保護しなければならない。
ケーブルの機械的保護に使用する金属ケーシングは,腐食に対して効果的に保護しなければならない。
3.17.1
ケーブルの金属被覆及び機械的保護の接地
ケーブルのすべての金属被覆は,この細別箇条の規定が適用される場合を除いて,その両端を金属船体
に電気的に接続しなければならない。最終支回路(給電端で)
,単心ケーブル,並びに
1
点接地が技術的又
は保安上の理由で必要な設備(制御・計装用ケーブル,無機絶縁ケーブル,本質安全回路,制御回路など)
については,
1
点接地でも差し支えない。
ケーブルの金属被覆は,接地用で,かつ,効果的な接地接続を行えるように設計されたグランドによっ
て接地を行ってもよい。
グランドは,この規格に準拠して接地された金属構造物にしっかりと取り付けられ,それと効果的に電
気的接続をしなければならない。
ケーブルの全長にわたり,特に接続部及び分岐部において,すべての金属被覆の電気的導通を保証しな
ければならない。
金属ケーシング,配管,電線管又はトランクは,有効に接地しなければならない。
機器の接地接続は,通電導体の断面積(
表 A.1〜A.5 参照)に応じた断面積(表 2 参照)をもつ導体又は
金属被覆をつか(掴)んだ金属クランプを金属船体に接続するなどの手段で行わなければならない。
接地ループのインピーダンスが,回路保護装置の効果的動作をする上で十分に低い場合には,ケーブル
の金属シース(被覆)
,がい装又は編組だけを接地手段として用いてもよい。これは,IEC 60092-350 の要
件及び編組の断面積に関する
表 2 を補うものである。
注記 1
一部の国々では,ケーブルのがい装を接地導体として使用することが禁止されている。
注記 2
腐食による悪影響の可能性について慎重な配慮が必要である。3.15 を参照する。
3.18
曲げ半径
ケーブル敷設の際の曲げ半径は,選択したケーブル種類に応じた製造業者の推奨値に従い,
表 4 及び表
4A に示す値以上でなければならない。
13
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 4−定格 1.8/3 kV までのケーブルの曲げ半径
ケーブル構造
絶縁体
外装(カバリング)
ケーブル外径
(D)
最小曲げ半径
≦25 mm
4D
a)
がい装なし又は編組なし
>25 mm
6D
金属編組の遮へい又はがい装
すべて
6D
金属線がい装,金属テープがい装又は金属
シース
すべて
6D
円形銅導体の熱可塑性
又は熱硬化性絶縁体
ポリエステル/金属ラミネートテープ
ユニット又は一括遮へい
すべて
8D
扇形銅導体の熱可塑性
又は熱硬化性絶縁体
すべて
すべて
8D
無機絶縁体
硬質金属シース
すべて
6D
注
a)
より健全性を保ためには 6D とするのがよい。
表 4A−定格 3.6/6.0
(
7.2
)
kV 以上のケーブルの曲げ半径
ケーブル構造
ケーブル外径 (D)
最小曲げ半径
単心ケーブル
すべて 12D
3 心ケーブル
すべて
9D
3.19
ケーブルの支持及び固定
移動用器具に用いるケーブル及び配管,電線管,トランク又は特殊ケーシング内に敷設されるケーブル
を除いて,着火した場合でもケーブル又は電線に沿って延焼しない適切な材料を用いたクリップ,サドル
又はストラップで固定しなければならない。その材料は,被覆を損傷せずにケーブルをしっかりと保持で
きるように十分に大きな面積及び形状をもたなければならない。
支持の間隔は,ケーブルの種類及び振動の可能性に応じて選択しなければならない。トレープレート,
分離した支持ブラケット又はハンガラダー形状の支持上にケーブルを敷設する水平方向の電路については,
支持の距離は
400 mm
を超えてはならない。固定点間の間隔は最大
900 mm
まで許容されるが,これは支
持具が
400 mm
以下で配置されていることを前提とする。この緩和条件は,暴露甲板に沿った電路で,ケ
ーブルが甲板上を洗う水によって力が加わるように配置される電路に適用してはならない。
注記 1
単心ケーブルのケーブル支持を設計する際には,短絡時に発生する電磁力の影響も考慮しな
ければならない(3.8 参照)
。上記のケーブル支持の距離は,このような力に対しては必ずし
も十分とは言えない。
注記 2
クラス
5
の導体を使用するケーブルは,たわみ防止用の追加支持具が必要となることがある。
支持物及びそれらの附属品は頑丈で,また,その材料には耐食性材料又は組立前に耐食処理
を施した材料を使用しなければならない。
注記 3
金属以外の材料のケーブルクリップ又はストラップを用いてもよい。材料特性に関する要件
は,現在検討中である。
ケーブルを非金属のクリップ若しくはストラップで固定する場合,又はケーブルを水平のケーブルトレ
ー又は支持物の上面に敷設しない場合は,適切な金属ケーブルクリップ又はサドルを
1 m
未満の一定の間
隔で追加し,火災時のケーブルの脱落を防止しなければならない。これは,非金属電線管又は配管の固定
にも適用する。
14
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
火災の危険性の高い区域及び避難経路でケーブルを支持するケーブルクリップ又はストラップは,金属
製のものを使用しなければならない。3.15 を参照する。
3.20
隔壁及び甲板を貫通するケーブル
水密の甲板及び隔壁の貫通は,水密処理を行わなければならない。この目的のために,個々に充てんさ
れたグランドか,又は数本のケーブルを収容し,難燃性充てん材料で満たされたボックスを使用しなけれ
ばならない。ケーブルの種類にかかわらず,グランド,トランジット又はボックス並びにその充てん材料
は,それらの組立品が該当する認証又は規制官庁の要求を満たすものでなければならない。
注記
ケーブルへの悪影響(配合材料の注入時の高温,化学反応など)を避けるため,充てん材料の
選択には注意を払わなければならない。
甲板を貫通するケーブルは,甲板上の適切な高さまで保護しなければならない。
非防水の隔壁又は一般的に構造鋼板に開けた穴にケーブルを通す必要がある場合,このような穴には,
適切な材料のグランド又はブッシングを装着しなければならない。
グランド及びブッシングに使用する材料は,ケーブル及び船舶の構造材料に対する腐食並びに損傷の危
険性がないものを選択しなければならない。
電気ケーブル用の垂直トランクは,
甲板又は区画間において火炎が伝ぱしない構造でなければならない。
ある等級の防火性が要求される甲板及び隔壁の貫通は,要求される防火性能を損なわないように施さな
ければならない。
貫通部を通るケーブル構造の種類は,要求されるグランドの密閉性能を損なわないものを選択しなけれ
ばならない。
3.21
ケーブルの金属管,電線管又はトランク内への敷設
ケーブルを金属管,電線管又はトランク内に敷設する場合,次の注意事項に従わなければならない。
配管,電線管又はトランクの内部は適切な滑らかさをもち,腐食に対して保護されていなければならな
い。
配管,電線管又はトランクの両端は,ケーブルの被覆を損傷させない形状とするか,又は損傷防止のた
めのブッシングを取り付けなければならない。
配管,電線管又はトランクは,収容するケーブルの引き入れ・引き出しが容易に行えるような内寸法及
び曲げ半径をもたなければならない。
曲げ半径は,ケーブルの許容曲げ半径(3.18 参照)以上とし,外径が
63 mm
を超える配管については,
配管の外径の
2
倍以上でなければならない。
配管,電線管又はトランクは,
(結露の可能性を考慮し)その内部に水がた(溜)まらないように配置し
なければならない。
占積率(配管,電線管又はトランクの内断面積に対するケーブルの仕上がり外径に対応する断面積の和
の割合)は,
0.4
以下でなければならない。
必要な場合,通風用の開口部をできれば最も高い位置と低い位置に設け,空気を循環させるとともに配
管,電線管又はトランク内のあらゆる箇所において水がた(溜)まらないようにしなければならない。こ
のような通風用の開口部は,火災の危険性が増大する場合には設けてはならない。
管が,その長さのために破断する懸念がある場合,適切な伸縮結合部を備えなければならない。このよ
うな可能性があるのは,ケーブル配管を暴露甲板に沿って取り付ける場合などである。
配管,電線管又はトランクにケーブルを引き込む場合,必要に応じて引き込みボックスを取り付け,敷
設時のケーブルの損傷を防止しなければならない。
15
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
3.22
非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシング内への敷設
天井又はパネルの表面上又はその背面に隠れた非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はケーシ
ング内にケーブルを敷設する場合には,次の注意事項に従わなければならない。
キャッピングをねじで固定する場合,さびにくい材料のねじを使用し,ケーブルを損傷しないように配
置しなければならない。キャッピングは,容易に近づけるように配置する。
非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシングは,着火した場合でも JIS
F 8061 に準拠した耐延焼性でなければならない。また,これらは,適切に固定しなければならない。
ケーブルの耐延焼性は,配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシング,並びにそ
の塗料又はコーティング剤の使用によって著しく損なわれてはならない。
必要な場合,
3.19 に述べられているクリップでケーブルを固定し,更に金属保護のために非金属ケーシ
ング内の敷設についても,3.15 の c
)
及び d
)
の注意事項に示すような要件に従わなければならない。
3.23
蓄電池室内への敷設
蓄電池室内へのケーブル敷設は,できる限り避けなければならない(JIS F 8072 参照)
。そのような敷設
が必要な場合,ケーブルには電解液から発生する気体に耐える保護被覆を施さなければならない。また,
隔壁の貫通部は,気密でなければならない。
3.24
冷蔵区域内への敷設
冷蔵区域内に敷設するケーブルには,機械的損傷に対する保護を施さなければならない。3.12 も参照す
る。ビニルの絶縁又はシースを施したケーブルは,ビニルの配合材料が予想される低温に適したものでな
い限り,冷蔵区域で用いてはならない。
がい装が耐食性でない場合は,耐湿性,かつ,耐寒性のある被覆で防食を施さなければならない。
冷蔵室にアルミニウムの化粧板がある場合は,電解作用の防止対策を講じなければならない。
3.25
引張応力
ケーブルは,自重又は他の原因によってケーブルにかかる引張応力が最小となるように敷設しなければ
ならない。
導体は,敷設及び使用条件に対して,十分な機械強度をもたなければならない。また,導体の断面積は
0.5 mm
2
以上でなければならない。断面積の小さいケーブル,垂直電路又は垂直管路内に敷設されるケー
ブルの場合,上記の注意事項は特に重要である。このようなケーブルは,適切に支持しなければならない。
3.26
交流配線に使用する単心ケーブルに対する特別な注意事項
交流配線には,できる限り
2
心ケーブル又は多心ケーブルを使用しなければならない。ただし,定格
20
A
を超える回路に単心ケーブルを使用する必要がある場合には,次の注意事項に従わなければならない。
a
)
がい装なしケーブル又は非磁性がい装付きケーブルを使用する。電流ループの形成を避けるため,金
属遮へいは,
1
点だけで接地すべきである。金属遮へいの非接地端には,十分な絶縁を施し,短絡電
流で誘導される高電圧に対して保護しなければならない。
b
)
導体を収容する配管,電線管又はトランク若しくは導体を固定するクランプが非磁性体のものでない
限り,同一回路の導体は一括して収容されるか固定されなければならない。
c
)
それぞれが単相回路,三相回路又は三相+中性線回路を構成する
2
本,
3
本又は
4
本の単心ケーブル
を敷設する場合,ケーブルは,できる限り互いに接触させなければならない。いかなる場合も,
2
本
の隣接するケーブルの間隔は,
1
本のケーブルの仕上がり外径
(
D
e
)
以下でなければならない。
d
)
定格電流が
250 A
を超える単心ケーブルを鋼製隔壁付近に敷設する必要がある場合,同一の交流回路
のケーブルがトレフォイル(三つ葉)形状に敷設されない限り,ケーブルと隔壁間との間隔は
50 mm
16
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
以上でなければならない。
e
) 1
群の単心ケーブルの間に磁性材料を用いてはならない。ケーブルが鋼板を貫通する場合,同一回路
のすべての導体は,ケーブル間に磁性材料が介在しないように造られた板又はグランドを貫通しなけ
ればならない。また,ケーブルと磁性材料との間隔は,同一の交流回路のケーブルがトレフォイル(三
つ葉)形状に敷設されない限り,
50 mm
以上でなければならない。
f
)
(著しく長い,又は導体の断面積が
185 mm
2
以上の単心ケーブルで構成される)三相回路のインピー
ダンスを等しくする目的で,
15 m
未満の間隔でねん(捻)架を行わなければならない。ただし,この
注意事項は,ケーブルがトレフォイル(三つ葉)形状に敷設される場合には不要である。
g
)
各相が並列の複数本の単心ケーブルで構成される回路では,すべてのケーブルは同じ経路を通り,ま
た,同じ断面積をもたなければならない。
注記
交流電圧又は電流が重畳された直流系統のケーブルには,交流系統と同じ問題が発生する。
そのような場合にも,特に注意を払う必要がある。
さらに,同相のケーブルは,電流不平衡を避けるためできる限り他相のケーブルと交互に配置しなけれ
ばならない。例えば,各相がケーブル
2
本で構成される場合,正しい配置は,次のとおりとする。
一方,次の配置をしてはならない。
3.27
ケーブル端末
一般的に,導体の接続部及び終端部は,導体の電気特性・機械特性及び耐延焼性と同等の特性をもち,
必要に応じてケーブルの火災に対する性能と同等に回路性能を維持しなければならない。すべての接続部
は,銅より線に適したものでなければならない。
機械的に取り付ける終端部を使用しない場合,ケーブル導体端末には十分なサイズのはんだソケット又
は圧縮形ソケットを装着して導体のすべてのより線を収容しなければならない。はんだ付けを採用する場
合は,腐食性溶剤を用いてはならない。すべての保護被覆は,絶縁端から
13 mm
以上は(剥)がすことと
するが,必要以上は(剥)がしてはならない。無機絶縁ケーブルについては以下を参照する。
ケーブルソケット及び接続端子は,通電される可能性のある最大電流によって絶縁に有害な熱が発生し
ないよう設計され,寸法をもたなければならない。一般的に,その温度は,絶縁体に対する許容温度を超
えてはならない。
接続部及び分岐部において端子(はんだ継手など)内で固定した導体は,短絡電流の熱及び動的影響に
耐えるものでなければならない。
必要な場合,ケーブル端末に識別用のマーキングを施さなければならない。
無機絶縁ケーブル端末は,ケーブル製造業者の指示に従って処理しなければならない。
17
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
注記
多心ケーブルの未使用の導体端末は,特定システム及び敷設の要件を満たすよう,キャップを
施すか,又は接地するなど適切に処理する。
3.28
接続部及び分岐部(分岐回路)
電路には,通常,接続部を含めてはならない。ケーブル接続部は,次の条件で許容される。
−
半組立品内に敷設されるケーブルは,モジュール工法を容易にするために,他の半組立品内に敷設さ
れるケーブルとのスプライスを行ってもよい。
−
変更を加える船舶については,ケーブルのスプライスによって回路を延長してもよい。
−
例外的な長さのケーブルは,敷設を容易にするためにスプライスを行ってもよい。
−
ケーブルは,損傷箇所以外の部分が電気的及び機械的に良好な状態にあると判断すれば,スプライス
によって損傷箇所を取り替えてもよい。
−
スプライス接続箇所は,近づきやすい位置に配置する。
−
スプライス接続の処理方法を,
附属書 D に示す。
−
電気推進用ケーブル又は危険な場所にあるケーブルは,スプライスを行ってはならない。
−
接続箱内で接続したケーブルは,スプライス接続とみなされない。
−
接続部及び分岐部には,明確なマーキングを施し,ケーブル又は心線を識別できるようにしなくては
ならない。
3.29
接続箱
充電部は,永久的に高い絶縁耐力及び絶縁抵抗をもつ,耐久性,難燃性,及び耐湿性の材料に取り付け
なければならない。
極性の異なる導体間又は導体と接地金属間に容易に短絡が発生しないよう,充電部は適切な間隔をもた
せるか,又は難燃性の絶縁材料で遮へいを施して配置しなければならない。
接続箱は,難燃性材料のものを使用しなければならない。接続箱の火炎延焼防止能力は,接続するケー
ブルの同能力以上でなければならない。
接続箱には,その機能及び電圧を示し,明確に識別できるようにする。
18
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
図 1−30 分間及び 1 時間の使用に対する補正係数
t
s
t
t
s
t
ケーブルの仕上がり外径 (mm)
19
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
図 2−ケーブルの時定数
ケーブルの仕上がり外径
d
(mm)
20
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
図 3−断続使用に対する補正係数
ケーブルの仕上がり外径 (mm)
21
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
附属書 A
(
参考)
電流容量表−標準的な敷設方法
A.1
一般
表 A.1〜A.5 の定格電流は,公称周波数
50 Hz
又は
60 Hz
の交流及び直流に適用可能である。これ以上の
周波数については,適切な方法(IEC 60287 など)で定格電流を計算しなければならない。
注記 1
表 A.1〜A.5 の定格電流は,被覆の種類(がい装付き,がい装なしなど)を問わず,かなりの
場合に適用可能である。単心ケーブルのがい装,遮へい又は金属シースをその両端で接地す
る場合,金属層内の循環電流によりケーブルの定格電流は低減する。その低減の程度は,金
属層の抵抗値に依存する。そのような場合,定格電流は,個別のケーブル種類について計算
する。
注記 2
表 A.1〜A.5 の定格電流は,
600/1 000 V
ケーブルの公称寸法に基づいている。
15 kV
以下の高
圧ケーブルの定格電流は,表に示す
600/1 000 V
ケーブル値よりも最大約
5 %
低い。
注記 3
表 A.1〜A.5 の定格電流は,クラス
2
の導体に基づいている。クラス
5
の導体のケーブルを使
用する場合,該当の定格電流は同じ公称断面積をもつクラス
2
の導体のケーブルよりも低い
場合があるため慎重に確認する。導体のクラスについては IEC 60228 を参照する。
A.2
標準的な敷設方法
標準的な敷設方法は,電流容量が試験又は計算によって求められている方法である。
船舶における敷設方法については,IEC 60364-5-52 の次の敷設方法が適用可能と考えられるため,それ
を
表 A.1〜A.5 に示す(これらの表では, D
e
はケーブル外径とする。
)
。
注記
IEC 60364-5-52 に示す敷設方法
A
及び
D
は,現在,この規格では使用していない。
なお,混乱を避けるため,他の敷設方法については,当該仕様の表記をそのまま使っている。
−
敷設方法
B.1
(隔壁上の電線管内の電線)及び
B.2
(隔壁上の電線管内の多心ケーブル)
。これ
らの方法は,電線管と壁面間のすき間が電線管外径の
0.3
倍未満となるように隔壁上に取り付
けた回路に適用する。電線管の材質は,金属でも又はプラスチックでもよい。
−
敷設方法
C
(隔壁上の単心又は多心ケーブル)
。この方法は,ケーブルと壁面間のすき間がケー
ブル外径の
0.3
倍未満となるように隔壁上に取り付けたケーブルに適用する。
−
敷設方法
E
,
F
及び
G
(開放空間の単心又は多心ケーブル)
。これらの方法は,全熱拡散が妨げ
られないように支持されるケーブルに適用する。日射などによる加熱を考慮しなければならな
い。自然な空気対流を妨げないように配慮しなければならない。実際には,ケーブルと隣接す
る表面との間げきは,多心ケーブルの場合ケーブル外径の
0.3
倍以上,また,単心ケーブルの
場合ケーブル外径の
1
倍以上であれば,開放空間の状態に見合った電流容量を使用する上で十
分である。
注記
この規格の電流容量は,金属製又は非金属製の隔壁に適用可能である。
A.3
その他の敷設方法
甲板上又は甲板下のケーブルの敷設方法は,甲板下のケーブル定格電流が自然対流の減少のため隔壁の
22
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
値又は甲板上の値と比べて少し減少する以外,敷設方法
C
と同様である。
ケーブルトレーでの敷設方法 穴あきトレーには,一定パターンで穴が開いているためケーブル固定具の
使用が容易となっている。穴あきトレー上のケーブル定格電流は,穴が底面の面積の
30 %
を占めるトレー
を使用した試験により得られたものであり,敷設方法は
E
又は
F
とする。穴が占める底面の面積が
30 %
未満の場合には,そのトレーは穴あきとはみなされない。これは,敷設方法
C
と類似している。
はし(梯)子ラダー支持具での敷設方法 この種の構造では,ケーブル周囲の空気流動抵抗が最小となる。
すなわち,ケーブル下の支持金属工作物が占める面積は
10 %
未満であり,敷設方法は
E
又は
F
とする。
クリート及びハンガでの敷設方法 この種のケーブル支持具は,ケーブルの長さ方向に間隔を開けてケー
ブルを保持し,ケーブル周囲を実質的に完全な開放空間の状態とし,敷設方法は
E
,
F
又は
G
とする。
甲板(二重床)での敷設方法 甲板又は二重床下に敷設するケーブル:単心ケーブルは敷設方法
B1
,多心
ケーブルは敷設方法
B2
とする。
A.4
多条敷設補正係数
表 A.1〜A.5 に示す電流容量は,電線又はケーブルを多条敷設している場合,多条敷設補正係数を適用し
なければならない。
この多条敷設の補正係数は,同一の最高許容温度をもつ電線又はケーブルを多条敷設する場合に適用可
能である。
最高許容温度の異なるケーブル又は電線を含む多条敷設については,そのすべてのケーブル又は電線の
電流容量は,多条敷設内の最高許容温度の最も低いケーブルの電流容量及び該当する多条敷設補正係数に
基づかなければならない。
使用条件が既知の場合で,あるケーブル又は電線の通電する電流が,算出された多条敷設の定格電流の
30 %
未満と予想される場合,多条敷設内の他のケーブル又は電線の多条敷設補正係数を得るときに,その
ケーブル又は電線を無視することができる。
また,同時に負荷がかからないケーブルの場合は,実際に負荷のかかるものだけを考慮してもよい。
注記 1
多条敷設とは,
2
本以上が一つの電線管,トランク若しくはダクト内に納められる場合又は
密閉されない場合であっても,互いに離れていない場合をいう。
A.4.1 敷設方法
B
及び
C
については,
表 A.1〜A.5 に示す電流容量は次のケーブル本数で構成される単一
回路に対するものである:
−
2
本の電線又は
2
本の単心ケーブル若しくは
1
本の
2
心ケーブル
−
3
本の電線又は
3
本の単心ケーブル若しくは
1
本の
3
心ケーブル
上記以上の本数の導体又はケーブルを同じ群内に敷設する場合,
表 A.6 に示す多条敷設補正係数を適用
しなければならない。
注記 2
多条敷設補正係数は,すべての線路導体について負荷率
100 %
の定常状態での長時間運転に
基づいて計算したものである。設備の運転状態の結果,負荷が
100 %
未満となる場合には,
多条敷設補正係数はこれより高くなることがある。
A.4.2 クリート,クランプなどを使ったトレー上の敷設方法
E
及び
F
については,単一回路並びに群の電
流容量は
表 A.1〜A.5 に示す電流容量(開放空間の状態の電線又はケーブルの当該配置に対する電流容量)
に
表 A.6〜A.8 に示す敷設方法別の多条敷設補正係数を乗じて取得しなければならない。
注記 3
多条敷設補正係数は,考慮対象の導体サイズ,ケーブル種類及び敷設方法についての平均値
として計算している。
23
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
また,各表の
注記にも注意する。場合によっては,より正確な計算が望ましいこともある。
24
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.1−電流容量(アンペア)
導体温度:60 ℃ 周囲温度:45 ℃
敷設方法
敷設方法 B1
隔壁上の電線管内の
電線又は単心ケーブル
敷設方法 B2
隔壁上の電線管内の
多心ケーブル
敷設方法 C
隔壁上の多心ケーブル
敷設方法 E
開放空間の多心ケーブ
ル
敷設方法 F
開放空間の単心ケーブル
(密接)
敷設方法 G
開放空間の単心ケーブ
ル(隔離)
導体数:2
導体数:3 導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
(トレフォ
イル)
導体数:3
水平
垂直
導体
公称
断面積
mm
2
又は
又は
D
e
D
e
1.5
10.5 9.5
10 9 12 10.5
13.5
11.5
2.5
14.5 13 14 12 16.5 14.5 18.5 15.5
4 19.5 17 18.5 16.5 22 19.5 25 21
6
25 22 23 21 28 25 31 26
10
35 31 32 28 38 35 43 37
16
46 41 42 38 52 46 57 49
25
62 54 55 49 68 59 73 62 80 67 70 89 79
35
76 67 68 60 84 73 90 77 99 84 87 110 99
50
92 82 81 72 102 88 110 93 120 102 106 134 120
70
117 104 102 91 130 112 142 120 153 132 137 171 155
95
142 126 123 109 157 136 172 145 185 161 168 208 190
120
164 146 142 126 182 158 200 168 215 188 196 242 221
150
210 182 231 195 248 217 227 278 256
185
239 208 265 222 282 249 260 318 293
240
281 246 314 262 333 296 309 375 347
300
323 283 362 303 384 342 358 432 402
400
460
400
420
520
485
500
529
457
481
599
561
630
613
522
552
694
653
3
F 8071
:
2008 (I
EC
60092
-35
2
:
2005)
25
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.2−電流容量(アンペア)
導体温度:70 ℃ 周囲温度:45 ℃
敷設方法
敷設方法 B1
隔壁上の電線管内の
電線又は単心ケーブル
敷設方法 B2
隔壁上の電線管内の
多心ケーブル
敷設方法 C
隔壁上の多心ケーブル
敷設方法 E
開放空間の多心ケーブ
ル
敷設方法 F
開放空間の単心ケーブル(密接)
敷設方法 G
開放空間の単心ケーブ
ル(隔離)
導体数:2
導体数:3 導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
(トレフォ
イル)
導体数:3
水平
垂直
導体
公称
断面積
mm
2
又は
又は
D
e
D
e
1.5
14 12 13 12 15.5 14 17.5 14.5
2.5
19 16.5 18 16 21 19 24 20
4 25 22 24 21 28 25 32 27
6 32 28 30 27 36 32 40 34
10 45 40 41 36 50 45 55 47
16 60 54 55 49 67 60 74 63
25 80 70 71 63 88 76 94 80 103 87 90 115 103
35
99
87 88 78
109 94
117
100
128
108
113
143
128
50 119 106 105 93 133 114 142 121 155 132 137 173 156
70 152 135 133 118 168 145 183 155 198 171 178 222 201
95 183 164 159 141 204 176 223 188 240 209 217 269 246
120 213 189 183 163 236 205 259 218 278 243 254 313 286
150
272 236 299 252 321 281 294 360 331
185
310 269 343 288 366 323 337 412 379
240
364 318 406 340 431 383 401 486 450
300
419 367 468 393 497 443 464 560 521
400
596
518
544
673
628
500
686
592
623
776
727
630
794
675
715
899
845
3
F 8071
:
2008 (I
EC
60092
-35
2
:
2005)
26
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.3−電流容量(アンペア)
導体温度:85 ℃ 周囲温度:45 ℃
敷設方法
敷設方法 B1
隔壁上の電線管内の
電線又は単心ケーブル
敷設方法 B2
隔壁上の電線管内の
多心ケーブル
敷設方法 C
隔壁上の多心ケーブル
敷設方法 E
開放空間の多心ケーブ
ル
敷設方法 F
開放空間の単心ケーブル(密接)
敷設方法 G
開放空間の単心ケーブ
ル(隔離)
導体数:2
導体数:3 導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
(トレフォ
イル)
導体数:3
水平
垂直
導体
公称
断面積
mm
2
又は
又は
D
e
D
e
1.5
19 16.5 18 16 20 18 21 19
2.5
25 23 25 21 27 25 30 26
4 34 30 33 29 37 33 40 34
6 44 39 42 36 48 43 52 44
10 62 54 57 49 66 58 71 62
16 82 72 75 66 88 79 94 82
25 109 96 98 86 113 98 122 104 132 111 116 149 132
35 134 118 120 105 140 121 152 130 164 139 144 185 165
50 162 144 144 126 171 147 185 157 198 170 177 226 202
70 207 182 181 159 221 188 237 202 254 220 229 289 261
95 251 221 217 191 269 228 289 244 309 269 280 353 319
120 290 256 250 220 313 264 336 284 358 314 328 410 372
150
362 304 388 327 413 364 380 473 432
185
415 348 444 374 472 418 437 542 496
240
491 410 526 441 557 498 520 640 590
300
568 472 608 509 642 576 604 740 683
400
771
675
712
890
827
500
888
776
818
1
027
959
630
1
028
892
944
1
192
1
117
3
F 8071
:
2008 (I
EC
60092
-35
2
:
2005)
27
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.4−電流容量(アンペア)
導体温度:90 ℃ 周囲温度:45 ℃
敷設方法
敷設方法 B1
隔壁上の電線管内の
電線又は単心ケーブル
敷設方法 B2
隔壁上の電線管内の
多心ケーブル
敷設方法 C
隔壁上の多心ケーブル
敷設方法 E
開放空間の多心ケーブ
ル
敷設方法 F
開放空間の単心ケーブル
(密接)
敷設方法 G
開放空間の単心ケーブ
ル
(隔離)
導体数:2
導体数:3 導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
(トレフォ
イル)
導体数:3
水平
垂直
導体
公称
断面積
mm
2
又は
又は
D
e
D
e
1.5
20 17.5 19 17 21 19 23 20
2.5
27 24 26 23 29 26 31 28
4 37 32 35 30 39 35 43 37
6 47 42 44 38 50 45 55 47
10 65 57 60 52 70 62 75 65
16 87 77 79 70 93 84 100 87
25 116 102 104 91 120 104 130 110 140 117 123 158 140
35 143 125 127 111 149 128 161 137 174 147 153 197 175
50 172 152 152 134 182 156 196 167 211 180 188 239 214
70 220 193 192 169 234 199 251 214 270 233 243 307 277
95 266 234 231 203 285 242 306 259 328 285 298 374 338
120 308 271 265 233 332 280 357 301 380 333 348 435 395
150
384 323 412 347 438 386 404 502 458
185
440 369 472 397 500 444 464 575 526
240
521 435 558 468 591 528 552 679 626
300
603 501 645 540 681 612 640 785 725
400
818
716
755
944
877
500
942
823
868
1
090
1
017
630
1
091
947
1
001
1
265
1
185
3
F 8071
:
2008 (I
EC
60092
-35
2
:
2005)
28
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.5−電流容量(アンペア)
導体温度:95 ℃ 周囲温度:45 ℃
敷設方法
敷設方法 B1
隔壁上の電線管内の
電線又は単心ケーブル
敷設方法 B2
隔壁上の電線管内の
多心ケーブル
敷設方法 C
隔壁上の多心ケーブル
敷設方法 E
開放空間の多心ケーブ
ル
敷設方法 F
開放空間の単心ケーブル(密接)
敷設方法 G
開放空間の単心ケーブ
ル(隔離)
導体数:2
導体数:3 導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
導体数:2
導体数:3
(トレフォ
イル)
導体数:3
水平
垂直
導体
公称
断面積
mm
2
又は
又は
D
e
D
e
1.5
21 18 20 18 22 20 24 21
2.5
28 25 27 24 30 27 33 29
4 38 34 36 32 41 36 45 38
6 49 44 46 40 53 47 57 49
10 68 60 63 55 73 65 78 68
16 91 80 83 73 97 87 105 91
25 121 106 108 96 126 108 136 116 147 123 128 166 147
35 149 131 133 116 156 134 168 144 182 154 160 206 183
50 180 159 159 140 190 163 205 175 220 188 197 250 224
70 230 202 201 177 245 208 263 224 282 244 254 321 289
95 278 245 241 212 298 253 320 271 343 298 311 391 354
120 322 284 278 244 348 293 373 315 398 349 364 455 413
150
401 338 430 363 459 404 422 525 480
185
460 386 493 415 523 464 485 602 551
240
545 455 583 490 618 552 577 711 654
300
631 524 674 565 713 640 670 821 758
400
855
749
790
987
917
500
986
861
908
1
140
1
064
630
1
141
990
1
047
1
323
1
239
3
F 8071
:
2008 (I
EC
60092
-35
2
:
2005)
29
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.6−電流容量−表 A.1〜A.5 の電流容量で使用する 2 回路以上の回路群又は
2 本以上の多心ケーブル群の補正係数
回路数又は多心ケーブル本数
項目
配置(ケーブ
ル密接状態)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 12
16 20
電流容量を使
用する標準敷
設方法
1
開放空間の状
態,表面上,
埋込み状態又
は密閉状態で
結束
1.00 0.80 0.70 0.65
0.60
0.57
0.54
0.52
0.50
0.45
0.41 0.38
敷設方法 B,C,
E 及び F
2
隔壁,甲板又
は穴なしトレ
ー上の単層単
相
1.00 0.85 0.79 0.75
0.73
0.72
0.72
0.71
0.70
3
非金属甲板下
面の下に直接
固定の単層単
相
0.95 0.81 0.72 0.68
0.66
0.64
0.63
0.62
0.61
敷設方法 C
4
水平又は垂直
穴あきトレー
上の単層単相
1.00 0.88 0.82 0.77
0.75
0.73
0.73
0.72
0.72
5
はし(梯)子
ラ ダ ー 支 持
具,クリート
など上の単層
単相
1.00 0.87 0.82 0.80
0.80
0.79
0.79
0.78
0.78
10 回路又は 10 多
心ケーブル以上に
ついてはこれ以上
の低減係数なし。
敷設方法 E 及
び F
注記 1 上記係数は,負荷の等しい均一なケーブル群に適用可能である。
注記 2 隣接ケーブル間の水平間隔が外径の 2 倍を超える場合,低減係数の適用は不要とする。
注記 3 次の場合,同一係数を適用する。
− 2 又は 3 本の単心ケーブルの群
− 多心ケーブル
注記 4 システムが 2 心並びに 3 心ケーブルで構成される場合,総ケーブル本数を回路数とし,該当の係数を 2 心ケ
ーブルで負荷のかかる導体数が 2 の表及び 3 心ケーブルで負荷のかかる導体数が 3 の表に適用する。
注記 5 群が n 本の単心ケーブルで構成される場合,回路数は負荷のかかる導体数が 2 の場合は n / 2 回路又は負荷の
かかる導体数が 3 の場合は n / 3 回路とみなしてよい。
注記 6 上記の値は,表 A.1〜A.5 に記載する導体サイズ及び敷設の種類について平均したものである。表に示す値の
総合精度は 5 %以内である。
注記 7 一部の敷設及び上記の表で規定されない他の方法については,個別の場合について計算された係数の使用が
適切なことがある。
表 A.7 及び表 A.8 などを参照する。
30
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.7−開放空間の多心ケーブルの基準定格に適用する 2 本以上の多心ケーブル群の補正係数−
表 A.1〜A.5 の敷設方法 E
トレー又ははし(梯)子ラダー当たりのケーブル数
敷設方法
トレー数
1 2 3 4 6 8
密接状態
≧20 mm
1
2
3
1.00
1.00
1.00
0.88
0.87
0.86
0.82
0.80
0.79
0.79
0.77
0.76
0.76
0.73
0.71
0.73
0.68
0.66
穴あきトレー
(
注記 3)
隔離状態
D
e
≧20 mm
1
2
3
1.00
1.00
1.00
1.00
0.99
0.98
0.98
0.96
0.95
0.95
0.92
0.91
0.91
0.87
0.85
−
−
−
密接状態
≧
225 mm
1
2
1.00
1.00
0.88
0.88
0.82
0.81
0.78
0.76
0.73
0.71
0.72
0.70
垂直穴あきトレー
(
注記 4)
隔離状態
≧
225 mm
D
e
1
2
1.00
1.00
0.91
0.91
0.89
0.88
0.88
0.87
0.87
0.85
−
−
密接状態
≧20 mm
1
2
3
1.00
1.00
1.00
0.87
0.86
0.85
0.82
0.80
0.79
0.80
0.78
0.76
0.79
0.76
0.73
0.78
0.73
0.70
はし(梯)子ラダ
ー支持具,クリー
トなど
(
注記 3)
隔離状態
≧20 mm
D
e
1
2
3
1.00
1.00
1.00
1.00
0.99
0.98
1.00
0.98
0.97
1.00
0.97
0.96
1.00
0.96
0.93
−
−
−
注記 1 表中の値は,表 A.1〜A.5 で考慮するケーブル種類及び導体サイズについての平均値である。一般的に,値の
誤差は 5 %未満である。
注記 2 係数は,上記ケーブルの単層敷設に適用し,ケーブルが 2 層以上の密接状態で敷設される場合には適用しな
い。そのような敷設の値は,著しく低くなることがあるため,適切な方法で求めなければならない。
注記 3 トレー間の垂直間隔が 300 mm,トレーと壁との間隔が 20 mm 以上の場合の値を示す。間隔が,これより近い
場合は係数を減らす。
注記 4 トレー間の水平間隔が 225 mm でトレーを背中合せで取り付けた場合の値を示す。間隔が,これより近い場合
は係数を減らす。
31
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 A.8−開放空間の単心ケーブル構成の回路の基準定格に適用する単心ケーブル構成の 2 回路以上の群の
補正係数−表 A.1〜A.5 の敷設方法F
トレー又ははし(梯)子ラダー当た
りの 3 相回路数(
注記 5)
敷設方法
トレー数
1 2 3
定格の乗数
として使用
穴あきトレー
(
注記 3)
密接状態
≧20 mm
1
2
3
0.98
0.96
0.95
0.91
0.87
0.85
0.87
0.81
0.78
3 本のケーブ
ルの水平配置
垂直穴あきトレー
(
注記 4)
密接状態
≧
225 mm
1
2
0.96
0.95
0.86
0.84
−
−
3 本のケーブ
ルの垂直配置
はし(梯)子ラダ
ー支持具,クリー
トなど
(
注記 3)
密接状態
≧20 mm
1
2
3
1.00
0.98
0.97
0.97
0.93
0.90
0.96
0.89
0.86
3 本のケーブ
ルの水平配置
穴あきトレー
(
注記 3)
≧20 mm
≧2D
e
D
e
1
2
3
1.00
0.97
0.96
0.98
0.93
0.92
0.96
0.89
0.86
垂直穴あきトレー
(
注記 4)
隔離状態
≧
225 mm
≧2D
e
D
e
1
2
1.00
1.00
0.91
0.90
0.89
0.86
梯子ラダー支持
具,クリートなど
(
注記 3)
≧20 mm
≧2D
e
D
e
1
2
3
1.00
0.97
0.96
1.00
0.95
0.94
1.00
0.93
0.90
3 本のケーブ
ルのトレフォ
イル(三つ葉)
配置
注記 1 表中の値は,表 A.1〜A.5 で考慮するケーブル種類及び導体サイズについての平均値である。一般的に,値の
誤差は 5 %未満である。
注記 2 係数は,表に示すケーブルの単層(又はトレフォイル群)敷設の値であり,ケーブルが 2 層以上の密接状態
で敷設される場合には適用しない。そのような敷設の値は,著しく低くなることがあるため,適切な方法で
求めなければならない。
注記 3 トレー間の垂直間隔が 300 mm の場合の値を示す。間隔が,これより近い場合は係数を減らす。
注記 4 トレー間の水平間隔が 225 mm でトレーを背中合せで取り付け,トレーと壁との間隔が 20 mm 以上の場合の
値を示す。間隔が,これより近い場合は係数を減らす。
注記 5 1 相当たり 2 本以上の並列のケーブルで構成される回路については,各三相導体がこの表に関しては 1 回路と
みなす。
32
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
附属書 B
(
参考)
電流容量表−一般的な敷設方法
B.1
一般
この規格の電流容量は,
2003
年以前に出版された IEC 60092-352 の本文に記載の電流容量から得たもの
である。
現在,様々な認可当局から発行されている一般的な場合の連続使用定格電流を
表 B.1〜B.5 に示す。これ
らの定格電流は,開放空間の状態で敷設する
1
群
4
本構成のがい装付き及びがい装なしケーブルに適用可
能なものとして推奨される。
これらの定格は,最大定格容量での同時使用が予想される
7
本以上のケーブルをケーブル周囲に自由な
空気循環がない状態で互いに近接させてケーブル群として敷設しないことを条件に,トレー上若しくは電
線管,
配管又はトランク内に敷設するケーブル群に対して補正係数なしに適用可能とみなすことができる。
このほかの場合は,補正係数
0.85
を適用する。
注記
ケーブル群とは,
2
本以上のケーブルが一つの電線管,トランク又はダクト内に納められてい
る状態若しくは密閉されない場合であっても,互いに分離していない状態をいう。
これらの定格は,周囲温度を
45
℃とし,導体温度は絶縁の最大定格温度と等しく,また,その温度は
継続的に維持されるという前提で,次の根拠に基づき計算したものである。ケーブルの構造は,IEC
60092-351 に示す各種絶縁材料及び IEC 60092-359 に示すシース材料の任意の種類に基づいている。
表 B.1〜B.5 の定格計算の根拠は,次のとおりである。
この規格に含まれる定格電流表には,平均値だけを記載する。これらの値は,実際のすべてのケーブル
構造及びすべての敷設状態には,厳密には適用できない。それにもかかわらず,単一の定格電流評価の国
際規格を確保する利点に比べれば誤差(予想使用温度での摂氏数度の誤差)はとるに足りないことを考慮
し,これらの値を推奨する。しかしながら,特定の場合には,すべての関係者が容認できる実験又は計算
データに基づいたより精度の高い評価を許容しなければならない。
定格電流 I(アンペア)は,各公称断面積 A
(mm
2
)
について次の式で計算した値である。
625
.
0
A
I
×
=
α
ここに,
αは,次に示す導体最高許容温度にかかわる係数とする。
導体最高許容温度 60
℃
70 ℃ 85
℃ 90
℃ 95
℃
≧2.5 mm
2
9.5 12
16 17 18
公称断面積についての
α値
<2.5 mm
2
8 11.5 16 18 20
注記
使用中に銅シースに手が触れる可能性があるような場所へ無機絶縁ケーブルを敷設する場合,
シース温度が
70
℃を超えないように
表 B.5 に示す定格電流に補正係数
0.80
を乗じなければな
らない。
表 B.1〜B.5 の定格電流の基礎である周囲温度
45
℃は,任意の船舶及び任意の天候での航法に適用可能
な標準周囲温度値とみなされている。
しかし,沿岸航行船,フェリー,ハーバクラフトなどの特定使用目的の船舶で,周囲温度が常に
45
℃
α
33
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
未満であることが既知の場合には,表の定格電流より高い値を設定してもよい。ただし,いかなる場合も
周囲温度を
35
℃未満とみなしてはならない。
他方,ケーブル周囲の周囲温度が
45
℃を超えると予想される場合(例えば,ケーブルの全体若しくは
一部が熱の発生する空間又は区画内に敷設される場合,又は伝熱によりケーブルの到達温度が
45
℃を上
回る可能性がある場合)には,
表 B.1〜B.5 の定格電流より低い値を設定しなければならない。
表 B.1−導体最高許容温度 60 ℃での連続使用電流容量
公称断面積
許容電流
mm
2
単心
A
2 心
A
3 心又は 4 心
A
1.5 10
9
7
2.5 17 14 12
4 23 20 16
6 29 25 20
10 40 34 28
16 54 46 38
25 71 60 50
35 88 75 62
50 110 94 77
70 135 115 95
95 164 139 115
120 189 161 132
150 218 185 153
185 248 211 174
240 292 248 204
300 336 286 235
d.c. a.c. d.c. a.c. d.c. a.c.
400
390 380 332 323 273 266
500
450 430 383 366 315 301
630
520 470 442 400 364 329
周囲温度 45 ℃
34
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 B.2−導体最高許容温度 70 ℃での連続使用電流容量
公称断面積
許容電流
mm
2
単心
A
2 心
A
3 心又は 4 心
A
1.5 15 13 11
2.5
21 18 15
4 29 25 20
6 37 31 26
10 51 43 36
16 68 58 48
25 90 77 63
35 111 94 78
50 138 117 97
70 171 145 120
95 207 176 145
120 239 203 167
150 275 234 193
185 313 266 219
240 369 314 258
300 424 360 297
d.c. a.c. d.c. a.c. d.c. a.c.
400
500 490 425 417 350 343
500
580 550 493 468 406 385
630
670 610 570 519 469 427
周囲温度 45 ℃
表 B.3−導体最高許容温度 85 ℃での連続使用電流容量
公称断面積
許容電流
mm
2
単心
A
2 心
A
3 心又は 4 心
A
1.5 21 18 15
2.5 28 24 20
4 38 32 27
6 49 42 34
10 67 57 47
16 91 77 64
25 120 102 84
35 148 126 104
50 184 156 129
70 228 194 160
95 276 235 193
120 319 271 223
150 367 312 257
185 418 355 293
240 492 418 344
300 565 480 396
d.c. a.c. d.c. a.c. d.c. a.c.
400
650 630 553 536 455 441
500
740 680 629 578 518 476
630
840 740 714 629 588 518
周囲温度 45 ℃
35
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
表 B.4−導体最高許容温度 90 ℃での連続使用電流容量
公称断面積
許容電流
mm
2
単心
A
2 心
A
3 心又は 4 心
A
1.5 23 20 16
2.5 30 26 21
4 40 34 28
6 52 44 36
10 72 61 50
16 96 82 67
25 127 108 89
35 157 133 110
50 196 167 137
70 242 206 169
95 293 249 205
120 339 288 237
150 389 331 272
185 444 377 311
240 522 444 365
300 601 511 421
d.c. a.c. d.c. a.c. d.c. a.c.
400
690 670 587 570 483 469
500
780 720 663 612 546 504
630
890 780 757 663 623 546
周囲温度 45 ℃
表 B.5−導体最高許容温度 95 ℃での連続使用電流容量
公称断面積
許容電流
mm
2
単心
A
2 心
A
3 心又は 4 心
A
1.5
26 22 18
2.5
32 27 22
4 43 37 30
6 55 47 39
10 76 65 53
16 102 87 71
25 135 115 95
35 166 141 116
50 208 177 146
70 256 218 179
95 310 264 217
120 359 305 251
150 412 350 288
185 470 400 329
240 553 470 387
300 636 541 445
d.c. a.c. d.c. a.c. d.c. a.c.
400
760 725 646 616 532 508
500
875 810 744 689 612 567
630
1
010 900 859 765 707 630
周囲温度 45 ℃
36
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
附属書 C
(
参考)
延焼防止装置
C.1
一般
密閉又は半密閉空間の垂直電路については,延焼防止装置を次のように配置しなければならない。
a
)
完全密閉のケーブルトランク(ケーブルトレーなど)に敷設しない場合,少なくとも甲板レベル一つ
置きに,また,最大距離は
6 m
を著しく超えてはならない。
b
)
主配電盤及び非常配電盤
c
)
ケーブルのエンジン制御室への入口
d
)
推進機関及び重要な補機の集中制御パネル
e
)
ケーブルトランクの入口
密閉又は半密閉空間の水平電路については,延焼防止装置は上記 a
)
に準拠しなければならない。最大
距離は,
14 m
まで増やしてもよい。
上記項目 a
)
及び b
)
に準拠する火災防止装置は,次のとおりとする。
(
i
)
非完全密閉のトランク又は開放トレー内の垂直電路
−
トランク全断面を覆う厚さ
3 mm
以上の鋼板内にケーブル貫通部を設ける。又は,公認の防火コー
ティングを全電路長にわたって塗る。
(
ii
)
開放垂直電路
−
(
i
)
と同様に鋼板内にケーブル貫通部を設け,その鋼板の寸法は,最大電路周囲寸法の
2
倍とするが,
必ずしも隔壁又は開口部のないトランクの側面を貫通する必要はない。又は,公認の防火コーティ
ングを全電路長にわたって塗る。
(
iii
)
開放水平電路
−
(
i
)
と同様に鋼板内にケーブル貫通部を設け,その鋼板の寸法は,最大電路周囲寸法の
2
倍とするが,
必ずしも天井,甲板,隔壁又は開口部のないトランクの側面を貫通する必要はない。又は,公認の
防火コーティングを電路長の
1 m
以上に塗る。
注記 1
防火コーティングの試験手順は,現在検討中である。
注記 2
ケーブルを防火コーティングで保護する場合,ケーブル使用温度への影響を考慮しなければ
ならない。
貨物区域にある船倉及び甲板下の通路では,区画部分の境界にだけ延焼防止装置を取り付ければよい。
いずれの場合も,
SOLAS
条約の要件にも従わなければならない。
37
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
附属書 D
(
参考)
ケーブルのスプライス
D.1
手順
ケーブルのスプライスは,導体コネクタ,絶縁材,ケーブルシース並びに該当する場合には,がい装及
びシールドから構成される。ケーブルのスプライス部では,導体,がい装又は遮へいにおける電気的導通
を確保しなければならない。スプライスは,次のように行う。
導体は,圧縮形突合せコネクタで接合する。
1
回で圧縮できる工具と適切な金型を使用する。導体サイ
ズが
6 mm
2
以上の場合,導体止め具付きのバレル突合せロングコネクタを使用する。
多心ケーブルのスプライス部は,各導体のコネクタが隣接する導体のコネクタと接触しないように千鳥
に配置する。導体の絶縁は,コネクタの取付けに必要な量以上は(剥)がさない。
絶縁材は,ケーブルの絶縁材と同一又はそれ以上の厚さのもので,ケーブル絶縁体の熱・電気特性と同
一又はより優れたものを使用する。
遮へいケーブルについては,スプライス部にも遮へい材を施す。構成材は,適切な電気的接触の発生に
必要な圧力以上の圧力が加わらないように固定する。遮へいケーブルは,シールド材とケーブル遮へい材
を
13 mm
以上重ね合わせる。
シース材は,ケーブルシースと同一又は同等の物性をもつものを使用する。シースをスプライス部の中
心に置き,既存のケーブルシースに
51 mm
以上重ね合わせる。シース材は既存のケーブルシースと水密性
を確保するよう施す。
ケーブルがい装の電気的導通は,維持されなければならない。素線若しくは編組,又はケーブルと同一
材料のがい装をジャンパとして取り付ける。
がい装上の防食層付きケーブルには,被覆を施す。
38
F 8071:2008 (IEC 60092-352:2005)
参考文献
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Electrical installations of buildings
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U
m
=1.2
kV) up to 30 kV (
U
m
=36 kV)
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Part 1: Cables for rated voltages of 1 kV (
U
m
=1.2 kV) and 3 kV (
U
m
=3.6
kV)
IEC 60502-2,
Power cables with extruded insulation and their accessories for rated voltages from 1 kV (
U
m
=1.2
kV) up to 30 kV (
U
m
=36 kV)
−
Part 2: Cables for rated voltages from 6 kV (
U
m
=7.2 kV) up to 30 kV
(
U
m
=36 kV)
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Short-circuit temperature limits of electric cables with rated voltages of 1 kV (
U
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=1.2 kV) and 3
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=3.6 kV)
IEC 60986,
Short-circuit temperature limits of electric cables with rated voltages from 6 kV (
U
m
=7.2 kV) up to
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U
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IEC 61363-1,
Electrical installations of ships and mobile and fixed offshore units
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Part 1: Procedures for
calculating short-circuit currents in three-phase a.c.