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日本工業規格

JIS

 F

1035

:2002

(ISO 8099

:2000

舟艇―トイレ汚水貯留システム

Small craft

―Toilet waste retention systems

序文  この規格は,2000 年に第 2 版として発行された ISO 8099,Small craft―Toilet waste retention systems

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

  なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

  適用範囲  この規格は,艇長 24 m 以下の舟艇から排出される汚水を排出前に一時的に貯留するシス

テムの設計,構造及び設置に関する要件について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21  に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 8099

  Small craft―Toilet waste retention systems (IDT)

2.

  引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格はその最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0202

  管用平行ねじ

備考  ISO 228-1,Pipe threads where pressure-tight joints are not made on the threads―Part 1:Dimensions,

tolerances and designation

からの引用事項は,この規格の該当部分と同等である。

JIS F 1032

-1

  海水コック及び船体貫通金物―第 1 部:金属製

備考  ISO 9093-1,Small craft―Seacocks and through-hull fittings―Part 1:Metallic からの引用事項は,

この規格の該当部分と同等である。

ISO 10133

  Small craft―Electrical systems―Extra-low voltage d.c. installations

ISO 13297

  Small craft―Electrical systems―Alternating current installations

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

貯留システム(retention system)  汚水の取り込み,貯留,排出及びタンク内のガスの吸排気などをす

るために舟艇内で使うホース,パイプ,貯留タンク,その他関係の部品などを相互に結合させたトイレに

関する装置。

3.2

汚水(sewage)  人体からの排せつ(泄)物。また,これらを受入れ又は保持するためのトイレ及び貯留

タンクから排出される排せつ物を含んだ水。

3.3

近づける(accessible)  舟艇の恒久的な構造物を取り外さずに点検,移設及び整備のために近づけるこ

と。

3.4

容易に近づける(readily accessible)  舟艇のどのような構造物も取り外すことなく,工具を使わずに作


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:2002 (ISO 8099:2000)

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業,点検及び整備のために近づけること。

3.5

携帯式貯留タンク(portable holding tank)  内容物を排出するために取り外せるようにしたタンク。

3.6

貯留タンク(holding tank)  トイレ及び他の箇所からの汚水を取り込み,後で排出できるように貯留す

るためのタンク。

4.

一般要求事項

4.1

  システムの作動温度は,1  ℃∼60  ℃とし,かつ,保管時には放置温度−40  ℃∼+60  ℃までの温度

に耐えなければならない。

4.2

  システムは,有害なガスが艇内に侵入しないように設置しなければならない。

5.

材料  材料は,次の a)∼e)の影響を受けてはならない。

a

)  汚水

b

)  真水,海水又は次のような汚水。

    ―  不純物を含んだ水

    ―  トイレからの排水

    ―  オイルを含んだビルジ水

c

)  装置の製造業者推奨の殺菌剤,防臭剤又は氷結防止剤。

d

)  装置の製造業者推奨の家庭用清浄剤。

e

)  装置の作動中に発生する可能性のある固形,液状又はガス状の化学物質。

6.

設計及び設置

6.1

仕様

6.1.1

概要  トイレ汚水貯留システムは,舟艇に設置された状態で,6.1.26.1.11 の規定に適合しなけれ

ばならない。

6.1.2  

作動  システム本来の作動―例えば,舟艇が少なくとも,両側に 20゜横傾斜,前後に 10゜縦傾斜し

てもトイレ汚水の排出及び貯留ができなければならない。

6.1.3  

逆流  単胴セールボートでは少なくとも,両げん 30゜の傾斜角,それ以外の艇では 20゜の傾斜角又

は前後のトリムは少なくとも 10゜の状態でも,貯留タンクからトイレの設備を通じて,内容物のサイフォ

ン現象による逆流及びガスの漏れが生じてはならない。

6.1.4  

汚水の漏えい  単胴セールボートでは少なくとも両げん 30゜の傾斜角,それ以外の艇では 20゜の傾

斜角まで,タンク容量 90  %の状態で,貯留タンクから,げん外に汚水の漏れがあってはならない。また,

最大に予想される横傾斜及び縦傾斜の状態,例えば単胴セールボートでは 45゜,エンジン駆動艇及び多胴

セールボートでは 30゜の状態で艇内に漏れがあってはならない。

6.1.5

固定  貯留タンクは,タンクと結合する配管と関係なく,しっかりと固定し,設置しなければなら

ない。

6.1.6

位置及び近づきやすさ  デッキ上の口は,ポンプくみ出し時の結合に際し,容易に近づけることが

でき,

その位置は飲用清水注入口と燃料注入口とが間違える可能性のない場所に設置しなければならない。

6.1.7

内容物の(量の)確認  貯留タンクの内容物の量は,容量 3/4 以上については容易に近づけるように

設置したタンクを直視する方法か,又は他の方法によって目視確認  (

例  インジケータによる表示など)

ができなければならない。


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6.1.8

近づける開口  容量 40 リットル以上の貯留タンクには,近づける点検口を一つもたなければならな

い。例えば気密,水密となる最小 75 mm の直径の開口又はタンク内部の清掃,整備するための最小寸法の

点検口をいう。

6.1.9

タンク囲壁  貯留タンクの囲壁,天板,底板は,燃料タンク及び飲用清水タンクのそれらと共通の

ものであってはならない。

6.1.10  

ホース及び配管  結合用のホース及び配管は, 摩擦及び振動によって損傷しないように定位置に

適切に固着しなければならない。

6.1.11  

部品や結合部への近づきやすさ  点検や整備のために, 貯留タンクの各部品や結合部には近づく

ことができなければならない。

6.2

固定式貯留タンクに対するベントシステム

6.2.1  

ガスの吸排気  システム内部のガスは,タンクの内容量 90  %,横傾斜角 20゜まで艇外に排気でき

るようにしなければならない。

6.2.2

硬質タンク

6.2.2.1

  400

リットル未満の容量  ベントパイプの最小内径は,19 mm としなければならない。また,タ

ンクに合計面積 1 100 mm

2

以上の自動(大気圧以下で作動)又は手動の圧力調整弁(

1

)が装着されている場合

には,内径 16 mm 以上のベントパイプを使用してもよい。

注(

1

)  汚水を貯留タンク内から吸い出すとき,タンク内が大気圧以下となったり,ガスがたまった

結果,加圧過度となり,破損するおそれがあるので,リリーフ弁(安全弁)又はエアベントを

設け,タンクの破損を防止するために用いる。

6.2.2.2

  400

リットル以上の容量  ベントパイプの最小内径は,38 mm としなければならない。複数のベ

ントパイプとする場合は,各ベントパイプの内径は少なくとも 19 mm とし,内部断面積の総和は少なくと

も 1 本のベントパイプのものと同等で 1 100 mm

2

以上としなければならない。また,代替の方法としてタ

ンクに合計面積 1 100 mm

2

以上の自動(大気圧以下で作動の)又は手動の圧力調整弁が装着されていれば,

内径 16 mm 以上のベントパイプを使用してもよい。

  6.2.2.1 及び 6.2.2.2 で手動の圧力調整弁が付いている場合には,使われる国で理解することができる図記

号及び言語で,くみ出しデッキ部品の近傍に“

くみ出す前に圧力調整弁を開くこと。”と表示しなければな

らない。

6.2.3

軟質タンク  軟質(つぶれて小さくなる)タンクは,少なくとも 1 本の内径 16 mm のベントパイプ

がなければならない。

6.2.4

部品の内径  ベントパイプが結合されている部品の内径は,ベントパイプ内径の 75  %以上でなけ

ればならない。また,そのベント管の長さは部品の内径の 6 倍未満でなければならない。

6.2.5  

つまりの予防―耐圧性  吸排気システムの設計及び構造は,タンクの内容物によるほか,気候上,

例えば,雪及び氷による詰まりをできる限り排除するようにしなければならない。更に 50 kPa(ゲージ圧)

の大気圧以下の圧力でも破損せず耐えなければならない。

6.2.6

流路面積  吸排気システム内に組み込まれた吸排気スクリーン及びすべてのフィルタの最小流路面

積は,ベント管及び関連部品の流路断面積より小さくしてはならない。

6.3

電気装置  電気装置は,ISO 13297 及び ISO 10133 の規定に適合しなければならない。

6.4  

パイプ及びホースの内面  トイレから貯留タンクまで及び貯留タンクからデッキ上のくみ出し部品

間のパイプ及びホースは,可能な限り長さを短くするとともに内面は,次による。

  ―  汚水が抵抗なく流れるように,スムースとし,ら(螺)旋状になってはならない。


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  ―  トイレ製造業者が指定する内径にしなければならない。又は

  ―  トイレ製造業者の指定がない場合には,38 mm 以上の内径としなければならない。

  6.5 及び 11.  参照。

6.5  

海水コック  汚水を直接艇外の海に排出する可能性のある貯留システムは,船体貫通部に海水コック

を付けなければならない。艇外へ直接排出するためのすべての海水コックは,JIS F 1032-に合致し,閉

の位置で密閉できなければならない。

6.6

くみ出し用デッキ部品  11.  に従い,くみ出し用デッキ部品は,固定式装置に備えなければならない。

備考  代表的なトイレ汚水貯留システムの設置図を附属書 B(参考)の図 B.1 及び図 B.2 に示す。

7.

固定式貯留タンクの要件

7.1

  設計仕様として,タンクは少なくとも内容物の 90  %をポンプくみ取りによって,くみ出し用デッキ

部品から取り出さなければならない。

7.2

  タンク内に制水板がある場合には,汚水及びガスがタンク内を自由に移動できるように,上部及び下

部にすき間を設けなければならない。

7.3

  附属部品は,清掃用開口カバーを含め,気密,水密となるように設計・製造しなければならない。

8.

携帯式貯留タンクの要件

8.1

  携帯式貯留タンクの容量は 20 リットル以下とし,いかなるポンプくみ出し用部品及び他の排出口に

結合してはならない(結合できるようになっていてはならない。)。

8.2

  携帯式貯留タンクの吸排気ラインの内径は,使用する場合 16 mm 以下としてはならない。更にこの

吸排気ラインは,タンク側の吸排気口で直ちに切り離されなければならない。その後タンクに恒久的につ

いているタンクの移送中での水密を保つようなキャップ又は閉鎖部品でベント口を閉鎖できるようにしな

ければならない。

8.3

  上記以外の貯留タンクの開口は,水密又は気密でなければならない。

8.4

  タンク移動用の握り又はへこみをタンクに設けなければならない。また,その場所は安全にタンクを

移動及び内容物を空にできなければならない。

8.5

  着脱,移送,空にするなどの方法を示したラベルをタンク上に明確に表示しなければならない。

9.

固定式貯留タンクの試験  タンク及びそのシステム,全部品を含むパイプ及びチューブ結合は,設置

した状態で試験を行い,+20 kPa(ゲージ圧)で加圧し,5 分間漏れがなく,20 kPa(ゲージ圧)の大気圧以下

の圧力で永久変形を生じてはならない。

10.  

識別及び表示  販売用に供給される外部で製造された貯留タンクは,そのタンクの表面に読みやすく,

次の内容を表示しなければならない。

  ―  製造業者名又はその略号

  ―  システムの名称及び/又はモデル番号

  ―“JIS F 1035”又は“ISO 8099

  ―

図 A.2 に示す図記号又は使用する国で理解できる言語での説明

  ―  リットル表示でのタンク容量


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11.

ポンプくみ出し用デッキ部品

11.1

  ポンプくみ出し用デッキ部品の寸法は,

図 A.1 に示すものでなければならない。

備考  図 A.1 は,全体の設計を規制するものではない。

11.2

  ねじは,JIS B 0202 の規定による。

11.3

  ポンプくみ出し用デッキ部品は,少なくとも

図 A.2 の図記号を,部品本体か又はその付近に表示し

て区別できるようにしなければならない。

12.  

オーナ用マニュアルでの記載  システムの運用及び整備に関するオーナ用マニュアルは,システムと

一緒に付けるか舟艇のオーナ用マニュアルに包含しなければならない。少なくとも次の内容を含んでいな

ければならない。

a

)  運用及び整備

b

)  Y バルブ(切換バルブ)の用法

      ―  密閉

      ―  不注意な排出の回避

c

)  リットル表示での貯留タンク容量

d

)  使用できる化成品

      ―  清浄剤

      ―  消臭剤

      ―  氷結防止剤

e

)  手動の圧力調整弁の操作(ある場合)を含む,ポンプくみ出しの操作。

f

)  氷結温度での艇保管中にシステムを空にしておくことの指示。


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:2002 (ISO 8099:2000)

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附属書 A(規定)  ポンプくみ出し用デッキ部品の通常の仕様

A.1

仕様  主要寸法は,図 A.1 に示すようにしなければならない。特にねじは JIS B 0202 による。密閉

ふたがこの部品には必要であるが,その仕様は製造業者の仕様による。

備考  図 A.1 は,全体の設計を規制するものではない。

単位  mm

図 A.1  ポンプくみ出し用デッキ部品の寸法

A.2  

表示  ポンプくみ出し用デッキ部品にはこの規格に従い,少なくとも図 A.2 に示す表示をしなければ

ならない。この表示は,部品の上に直接するか,又はその付近に容易に視認できるように取り付けなけれ

ばならない。

図 A.2  ポンプくみ出し用デッキ部品の表示


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附属書 B(参考)  トイレ汚水貯留システムの代表的な設置図

1

  ポンプくみ出し用デッキ部品

2

  ベント

3

  海水取入口

4

  貯留タンク

5

  計測管

6

  P-トラップ

図 B.1  デッキくみ出しだけのトイレ汚水貯留システム


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1

  ポンプくみ出し用デッキ部品

2

  システムが水面下にある場合にはサイフォン止めが必要

3

  ベント

4

  Y-バルブ(切換弁)

5

  海水取入口

6

  貯留タンク

7

  粉砕ポンプ

8

  艇外排出パイプ

9

  海水コック

図 B.2  デッキポンプくみ出し及び艇外排出の組合せによるトイレ汚水貯留システム