>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本船舶標準協会(JMSA)から,工

業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土

交通大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 12215-4:2002,Small craft−Hull

construction and scantlings

−Part 4: Workshop and manufacturing を基礎として用いた。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS F 1034

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS F 1034-1

舟艇−船体構造−スカントリング−第 1 部:  材料:  熱硬化性樹脂,ガラス繊維強化材,

基準積層材

JIS F 1034-2

舟艇−船体構造−スカントリング−第 2 部:材料:サンドイッチ構造用心材及び補強材

JIS F 1034-3

舟艇−船体構造−スカントリング−第 3 部:材料:鋼,アルミニウム合金,木材及びそ

の他の材料

JIS F 1034-4

舟艇−船体構造−スカントリング−第 4 部:製造所及び製造


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  FRP 艇の製造

2

3.1

  製造所の条件

2

3.2

  材料の保管方法及び取扱い方法

2

3.3

  型

3

3.4

  樹脂の準備

3

3.5

  積層工程

3

3.6

  表面コーティング

4

3.7

  製造要件,サンドイッチ構造

4

3.8

  積層硬化

4

4.

  金属製舟艇製造,鋼及びアルミニウム

5

4.1

  保管方法及び取扱い方法

5

4.2

  製造所の条件

5

4.3

  建造

5

4.4

  鋼/アルミニウムトランジションジョイント

6

4.5

  構造部の接着接合

6

4.6

  鋼/木材及びアルミニウム/木材の接合

6

4.7

  表面コーティング

6

5.

  アルミニウム艇製造,特殊要件

6

5.1

  建物の環境

7

5.2

  保管

7

5.3

  工具

7

5.4

  異種金属間の電気的作用

7

5.5

  腐食防止

7

6.

  木製ボートの建造

7

6.1

  製造所の条件

7

6.2

  材料

7

6.3

  製造

7

6.4

  表面処理

7

7.

  その他の材料によるボート製造

8

8.

  資格

8

8.1

  人的要件

8

8.2

  責任(義務)

8


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

ページ

9.

  最終検査

8

10.

  品質保証

8

 


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

白      紙


JIS C 0068

:1995

日本工業規格

JIS

 F

1034-4

:2006

(ISO 12215-4

:2002

)

舟艇−船体構造−スカントリング−

第 4 部:製造所及び製造

Small craft

Hull construction and scantlings

Part 4: Workshop and manufacturing

序文  この規格は,2002 年に第 1 版として発行された ISO 12215-4:2002,Small craft−Hull construction and

scantlings

−Part 4: Workshop and manufacturing を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく

作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  JIS F 1034-4 のこの部は,製造所の条件,材料の保管方法及び取扱い方法,及び舟艇の製

造要件について規定する。JIS F 1034-4 のこの部は,船体長さ(L

H

)が,JIS F 0081 による 24 m 以下の舟

艇に適用する。

JIS F 1034-4

のこの部は,健康面や安全面の要件は含まない。

備考1.  JIS F 1034-4 のこの部を作成する基本的な理由は,製造所の条件は,レクリエーション用舟

艇の短期並びに長期の機械的特性に重大な影響を与えること及び ISO 12215-5 によるスカン

トリングの決定は,適用する製造工程に対してと同様に使用する材料に対して適切な条件に

基準を置いていることの二つである。

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 12215-4:2002, Small craft

− Hull construction and scantlings − Part 4: Workshop and

manufacturing (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS F 0081

  舟艇−主要データ

備考  ISO 8666:2002  Small craft−Principal data が,この規格と一致している。

JIS F 1034-1

  舟艇−船体構造−スカントリング−第 1 部:材料:熱硬化性樹脂,ガラス繊維強化材,

基準積層材

備考  ISO 12215-1:2000  Small craft−Hull construction and scantlings−Part 1: Materials: Thermosetting

resins, glass-fibre reinforcement, reference laminate

からの引用事項は,この規格の該当事項と同

等である。


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

JIS F 1034-3

  舟艇−船体構造−スカントリング−第 3 部:材料:鋼,アルミニウム合金,木材及びそ

の他の材料

備考  ISO 12215-3:2002   Small craft − Hull construction and scantlings − Part 3: Materials: Steel,

aluminium alloys, wood, other materials

が,この規格と一致している。

3.

FRP

艇の製造

3.1

製造所の条件

3.1.1

一般  製造及び保管に使用する建物は,適切な構造にしなければならない。また,材料製造業者及

び材料供給者によって特定された環境が与えられるよう装備しなければならない。

積層材への異物の混入及び損傷を最小限にするために製造区域は,保管区域と区分しなければならない。

また,できる限り各製造工程は独立した区域内で構成しなければならない。

製造所及び設備は,適切に保守し,不要なもの,すなわち,破片,余剰材料及び製造工程には必要でな

い設備などが取り除かれた状態でなければならない。

3.1.2

温度及び湿度  従来からのハンドレイアップ法又はスプレーアップ法が行われる場合,積層中及び

硬化中の成形作業所の温度は,樹脂製造業者が指定する範囲内に維持しなければならない。

温度が変化して指定した範囲を外れた場合,ボート建造者は樹脂製造業者とともに成形した積層材が,

スカントリング及び設計の基盤となる要件を満たすことを立証しなければならない。

成形作業所の相対湿度は,材料製造業者が推奨する範囲内に維持しなければならない。

材料は,使用する前には製造所の温度に達するようにしなければならない。

温度及び湿度は,適切な位置で計測しなければならない。また,記録を残さなければならない。

3.1.3

換気  積層区域では,型内にたい(堆)積するモノマー量を最小限にするため,適切な換気装置を

設けなければならない。換気によって,型又は積層材の表面温度に著しい低下があってはならない。

換気システムの設計に当たっては,成形作業所の大きさ,再分割の可能性及び硬化中の樹脂量を考慮し

なければならない。

換気設備の配置は,樹脂モノマーの過剰な気化を引き起こすものであってはならない。通風がないよう

に予防策を取らなければならない。

3.1.4

粉じん管理  型及び積層材への粉じんのたい(堆)積による悪影響を最小限にするように対策を取

らなければならない。

3.1.5

照明  太陽光又は人工照明の直射による樹脂硬化への悪影響がないように対策を取らなければな

らない。

3.2

材料の保管方法及び取扱い方法

3.2.1

一般要求事項  保管区域は,次に示す材料製造業者の保管方法及び取扱い方法に関する要求事項に

沿って,配置し,装備しなければならない。

受入手順,適合証明書の確認,材料の保管方法及び取扱い方法については,ボート建造者が定める品質

保証手順に詳しく記載し(10.参照)

,常に,材料が汚染されない,又は品質低下を受けないことを保証し,

さらに適切な証明書が付いていることを保証しなければならない。

保管場所を整理し,可能な限り,材料を受領した順番に使用できるようにしなければならない。

構造部品は,材料製造業者が示す有効期限を過ぎていない材料で製造しなければならない。

欠陥を発見した材料,又は生材料供給者の仕様に従っていない材料は,取り除かなければならない。た

だし,ボート建造者が定めた品質保証手順に従って処理する場合はこの限りでない。


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)  目次

製造所の環境にさらされた未使用の樹脂及び補助材料は,もとのストック又はバルク保管所に戻しては

ならない。

3.2.2

樹脂  樹脂は,樹脂製造業者の要求に合致した管理状態のもとで保管しなければならない。

樹脂が,配管や容器の中で分離するような成分を含んでいる場合,ボート建造者の責任で,使用前のか

くはん又は状態調節に関する樹脂製造業者の推奨を遵守していることを保証しなければならない。

3.2.3

触媒及び促進剤  触媒及び促進剤は,材料製造業者の要求に従って保管しなければならない。

3.2.4

充てん材及び添加剤  成形工程で使用する充てん材及び添加剤は,ほこり及び湿気から守るために,

閉容器に保存しなければならない。

3.2.5

補強材及び心材  補強材及び心材は,材料製造業者の推奨に従って,汚れのない乾燥した状態で保

管しなければならない。

3.3

3.3.1

建造  型は,形状及び外観の美しさを維持するために適切な材料で建造し,十分な剛性をもたせな

ければならない。

型の建造で使用する材料は,樹脂の硬化に悪影響を与えるものであってはならない。

3.3.2

準備  型は汚れのない乾いた状態にしなければならない。また,製造所の温度で安定させるために,

離型剤を塗布する前に適切な場所に置かなければならない。

離型剤は,型の表面,積層工程で加えられた樹脂及び前に使われた離型フィルムとの適合性がよいもの

にしなければならない。

シリコンを含む離型剤を用いてはならない。

備考  一般的な樹脂を使用する場合,シリコンオイルを含む離型剤は,粘着性又は 2 次結合を妨げる。

参考  このような離型剤を使用する場合は,製造業者の指示に従わなければならない。

3.4

樹脂の準備  樹脂製造業者の要求に従わなければならない。

調合した樹脂を使用する場合,それが積層工程に適しているかどうかを保証するために試験片を造らな

ければならない。

ボート建造者が樹脂製造業者の仕様を外れて添加物で樹脂を変更しようとする場合,ボート建造者は,

JIS F 1034-1

表 に従っていることを証明するための試験を行わなければならない。

3.5

積層工程

3.5.1

ハンドレイアップ  第 1 層の繊維強化層の材料の種類及び単位質量は,使用する樹脂によって繊維

強化層に適切な浸透が得られるようなもの及び加水分解の影響が減るようなものを選定しなければならな

い。

積層手順及び各層間での樹脂硬化の度合は,樹脂製造業者の推奨値によらなければならない。硬化の度

合がそれらの推奨値を外れる場合には,必ず表面を処理しなければならない。

積層中に積層材の圧着及び脱泡を確実にするために使われる工具が型各部に届くように型を配置する又

は足場を準備しなければならない。

3.5.2

スプレーアップ  樹脂及び/又は強化繊維のスプレーアップは,一般にスプレーによる積層材が規

定の厚さで均一に得られる部位だけに限って適用しなければならない。

その際には,次の事項を考慮しなければならない。

−  含浸による積層材の過度の厚さによる発熱。

−  積層材のたれさがり又は流れ落ち。

−  脱泡。


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

樹脂及びガラスの結合に必要とされるガラスの質量は,型の複雑さによって決まる。

一般的には,ガラス繊維の質量は,1 150  g/m

2

を超えてはならない。ただし,それを超えても満足な積

層材が得られることが証明できる場合は,この限りでない。

積層材及びガラス含有量の均一性は,一定の間隔で確認しなければならない。

ゲルコートの裏側にバックアップ層をスプレーアップする場合,繊維の種類及び長さがウィッキングを

起こさないものにしなければならない。

スプレー装置は,稼働日ごとに始業時に調整し,樹脂/触媒及び樹脂/強化繊維の比率が要求された設

定値かどうかを確認しなければならない。積層材が許容範囲内であることを保証するために設定値を監視

しなければならない。

3.5.3

密閉型  密閉型成形を適用する場合,積層材中の樹脂の分布が正しいことを保証できるようシステ

ムを設計しなければならない。

3.5.4

プリプレグ積層材  プリプレグ積層材は,材料製造業者の要求に従って,保管,使用し及び硬化さ

せなければならない。

3.6

表面コーティング

3.6.1

コーティング材  ゲルコート又はその他の適切なコーティング材,例えば,この目的のために設計

された場合の積層樹脂などは,太陽ふく射,加水分解作用及びはく離などからの保護材として適用しなけ

ればならない。ゲルコートを使用する部位では,強化材の第 1 層は,樹脂製造業者の仕様に従い,ゲルコ

ートが適切に硬化した後にすぐに積層しなければならない。

3.6.2

スプレーによる表面コーティング  スプレー装置は,塗布量が安定していることを保証するために

稼働日ごとの始業時又は単品部品作業の開始時に調整し,樹脂/触媒比率及びスプレーパターンが要求さ

れた設定のものかどうかを確認しなければならない。

3.7

製造要件,サンドイッチ構造

3.7.1

雌型を用いたサンドイッチ構造

3.7.1.1

心材表面の穴又は凹凸は,材料製造業者の仕様に従い,次に行う表面層に応じて,充てん材,樹

脂又はサンドイッチ接着剤で埋めるか,又は上塗りしなければならない。切り目の入った心材を使用する

場合は,すき間を埋めるために,十分な量の樹脂や接着剤を接合部に使用しなければならない。

3.7.1.2

心材を硬化まえ積層材に接着する場合は,積層材での樹脂不足を生じることなく,積層材と心材

の接着が得られるよう,十分な量の樹脂を積層材の中又は積層材の上に塗布しなければならない。

3.7.1.3

心材は,構造的に十分な結合性を確保し,空気の混入を避けるために,硬化中は常に接触させて

いなければならない。

3.7.1.4

ISO 12215-5

の構造要件に合っていれば,これらの方法からは外れていてもよい。

3.7.2

雄型でのサンドイッチ構造

3.7.2.1

心材の接続部,切り目及び割れ目は,表面層が施される前に,それぞれ埋めるか又は補修しなけ

ればならない。

3.7.2.2

心材を置くときに,心材の特性値に悪影響を及ぼすような曲げ又は変形を加えてはならない。

3.7.2.3

心材表面及び接続部の凹凸は取り除かなければならない。

3.7.2.4

心材表面の下塗りの要求があれば,積層を始める前に実施しなければならない。

3.8

積層硬化

3.8.1

開放型の工程  積層材の硬化スケジュールは,樹脂製造業者の要求に従い記録しなければならない。

サンドイッチ積層材の硬化スケジュールは,心材の熱影響及び薄い積層による硬化開始の遅れを考慮し


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)  目次

なければならない。

樹脂が,周囲温度より高いあと硬化温度を必要とする場合,この工程は記録しなければならない。

積層材が安定するまでは,周囲温度より高いあと硬化をさせてはならない。

あと硬化温度は,離型剤の限界温度と矛盾したものであってはならず,また,ゲルコート,単層部及び

サンドイッチ積層に悪影響を及ぼすものであってはならない。

3.8.2

密閉型の工程  密閉型手法の硬化スケジュールは,材料への熱影響,型の質量及び構造を考慮しな

ければならない。

4.

金属製舟艇製造,鋼及びアルミニウム

4.1

保管方法及び取扱い方法

4.1.1

適合  鋼又はアルミニウム合金製の舟艇の製造に使用される材料は,JIS F 1034-3 の要求に合致し

ていなければならない。

4.1.2

識別及び表示

4.1.2.1

  材料は,保管から製造工程に至るまで完全に識別できる状態でなければならない。

4.1.2.2

建造者は,材料の納入には適切な書類が添付されていることを確認しなければならない。建造者

は,さらに,入荷した材料の荷印が購入注文書と一致していることを確認しなければならない。

建造者は,適切な基準や仕様をもとに船体建造のために発注した材料については,それらの明確な詳細

を含んだ購入書類を保存しなければならない。

4.1.2.3

合格していない材料は,受け入れた材料と区別しなければならない。

4.1.2.4

材料に欠陥が見つかった場合,建造者の品質保証手順に従って,処理しなければならない。

4.1.2.5

建造者は,建造工程で使用される材料及び副資材について,それらが構内に到着してから組立ま

での間,その種類及び等級が容易に認識できる方法(カラーコーディング及び/又は表示,又はその他ふ

さわしい方法)を確実にするような手順を,確立し,維持しなければならない。

4.1.3

保管方法

4.1.3.1

材料は,材料製造業者の要求に合うよう,保管しなければならない。保管場所の配置は,周囲の

悪条件又は粗雑な取扱いから受ける劣化を防ぐようなものにしなければならない。

4.1.3.2

溶接消耗材は,材料製造業者の推奨に従って保存できるよう,適切な条件で保管しなければなら

ない。

4.2

製造所の条件  建造中は,完成艇の品質に悪影響を及ぼすような天候及び気候上の影響から,舟艇

を適切に保護しなければならない。

4.3

建造

4.3.1

準備  鋼は,舟艇を組み立てている期間中は,汚れのない状態にし,ミルスケール及びさびを取り

除かなければならない。材料の準備(例えば,切断,曲げ,成形)は認定された工業的手法で行わなけれ

ばならない。また,材料の機械的性質が,それらによって悪影響を受けないようにしなければならない。

4.3.2

溶接建造の手順

4.3.2.1

一般  この項の要件は,適切な溶接工程を用いる鋼及びアルミニウム合金に適用する。

4.3.2.2

書類  構造計画(図)及び/又はその詳細には,主構造物の溶接接合部詳細を,含めなければな

らない。

4.3.2.3

溶接設備  溶接工場設備及び装置は,計画した目的に適したものでなければならない。


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

4.3.2.4

溶接者の資格  建造者は,溶接作業者が,従事する作業に適応できるようにしなければならない。

溶接作業者の選定,訓練及び試験の責任は建造者にかかっており,建造業者が,適切な基準又は十分な訓

練を通じて,作業者に資格を与えなければならない。

4.3.2.5

溶接環境  雨天時や強風時,又は寒冷時に溶接を行うような場合には,仕切り材などのような適

切な保護材を設置しなければならない。寒い状態,又は非常に湿気の多い状態では,溶接部の急冷を防ぐ

ため,材料の予熱が必要となる。

4.3.2.6

溶接準備  板材端部の端部処理は正確に行い,有害な欠陥を取り除かなければならない。接合部

は,溶接前に,過度の力を加えずに正確に合わせる,又は配置させなければならない。

収縮応力が最小限になるように,部品の配置及び溶接を行わなければならない。

4.3.2.7

清浄度  溶接部の表面は汚れがないようにし,乾燥させなければならない。また,溶接品質に悪

影響を及ぼすようなグリス及びその他の汚染物質は取り除かなければならない。

表面処理後及び組立前にプライマーを使用する場合,プライマーの組成は,次の溶接作業に有害な影響

を及ぼすものであってはならない。

4.3.2.8

合否基準  最終溶接部は,健全で,き裂のない状態にしなければならない。また,特に他の有害

な欠陥がない状態にしなければならない。

作業終了後,すべての溶接部について目視検査をしなければならない。

重要な部位及び接続部は,更に別の検査を必要とする。溶接欠陥は取り除き,修復しなければならない。

4.4

鋼/アルミニウムトランジションジョイント

4.4.1

爆発接合による複合トランジションジョイントは,アルミニウム及び鋼の接合に用いる。これらの

組立部品は,接合業者の仕様に厳格に一致させて,使用しなければならない。

4.4.2

海水にさらされたり,内部のぬれた場所で使用されるバイメタル接合部は,異種金属接触腐食を防

ぐための適切な保護を講じなければならない。

4.5

構造部の接着接合

4.5.1

表面の前準備,接着剤,接合方法及び硬化過程を含む接合システムや環境条件に関する接着剤製造

業者の推奨には,確実に従わなければならない。

4.5.2

構造部の接着接合が荷重を受ける方向に使われる場合,試験試料を製造所の条件下で造り,接合部

が計画強度をもっていることを実証しなければならない。

4.5.3

接合継手に適用した手法は,手順が確立された後も,その工程が繰り返し使えるように記録しなけ

ればならない。

4.5.4

試験及び計算によってその接合継手が十分な強さをもつことが示されない限り,その継手は,継手

の引きはがし方向,すなわち継手を開く方向に働く力を避けるよう,設計しなければならない。

4.5.5

接着継手は,製造中又は舟艇の使用中,通常,遭遇する太陽光(紫外線,熱,その他)及び周囲の

影響,洗浄剤に対して耐久性があるものであるか,又はそれらから保護しなければならない。

4.6

鋼/木材及びアルミニウム/木材の接合  湿気や海洋環境下で木材と接触している鋼又はアルミニ

ウムの腐食を最小限にするため,接触表面は有効な方法で保護しなければならない。接触表面はプライマ

ー処理及び塗装処理,又は十分な厚さの適切なシーリング材でコーティングしなければならない。

4.7

表面コーティング  金属は,計画された使用方法のため,必要に応じて,適切な表面処理,及び/

又はコーティングによって,適切に保護されなければならない。

5.

アルミニウム艇製造,特殊要件


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)  目次

5.1

建物の環境  溶接部に水素が混入するのを避けるため,アルミニウムは,湿った又はぬれた状態で,

溶接してはならない。

5.2

保管  アルミニウムは,地面から離して,乾燥した場所に保管しなければならない。保管している

他の材料との接触は,避けなければならない。

5.3

工具  建造者がアルミニウム及び鋼の両方の作業をする場合,アルミニウム製品に対して使用する,

金属に直接接触するような工具類は,アルミニウム専用として明確に識別しなければならない(例えば色

分け)

5.4

異種金属間の電気的作用  二つの金属が接触する場合,異種金属間の電気的作用を起こさないよう

な対策をしなければならない。

5.5

腐食防止  永久的,又は一時的に水が浸入するような船体構造部は,コーティング又は電気防食に

よって,保護しなければならない。

6.

木製ボートの建造

6.1

製造所の条件  製造及び倉庫に使用される建物は,欠陥のない接着結合に必要な状態にするために

適したものでなければならず,かつ,それらの状態にするよう装備されなければならない。また,これに

よって,建造者が,製造中の温度,湿度及びその他周辺の状態の変化を避けるために,それらを監視でき

るようにし,又は必要に応じて制御できるようにしなければならない。

製造所及び設備は汚れのない,効率のよい状態に維持しなければならない。

6.2

材料

6.2.1

材料の保管  木材は,直射日光及び過度の湿気から守るために,乾燥した,十分換気された屋内に

保管しなければならない。木材は水平に保ち,また,空気循環が十分行われるよう,板はそれぞれ離さな

ければならない。

6.2.2

接着剤  接着剤は,計画された目的に適したものでなければならない。接合部の機械的性質及び寿

命は,接合する木材のそれらを超えたものでなければならない。

接着剤は,本来の容器の中に,それらの製造業者の指示どおりに保管しなければならない。また,有効

期限が切れたものは用いてはならない。

6.2.3

固着要素(部品)  荷重を受ける方向に使用する構造物の固着部品で,例えば,くぎ,スクリュー,

ボルトなどは,耐腐食性があるか,又は溶融亜鉛めっきを施したものでなければならない。

6.3

製造

6.3.1

一般  製造は,材料(例えば,接着剤,樹脂,塗料)製造業者が示す要求,制限を考慮した環境で

行わなければならない。

6.3.2

接着接合  木材の水分含有量は,接着する前に確認しなければならない。水分含有量は,完全接合

強度を可能にする含有量の制限を超えてはならない。

接着する部位については,接合強度を損なうような不純物は除去しなければならない。

6.3.3

劣化防止  木製の舟艇は,内部に水がたまらないような方法で,建造しなければならない。

木製の舟艇は,舟艇全体にわたって自然換気が促進されるような方法で,建造しなければならない。

6.4

表面処理  保護コーティング又は表面処理は,例えば,チーク甲板のように無塗装で残す部分以外

の仕上げ表面に適用しなければならない。すべてのコーティング及び表面処理は,接着剤に不利に作用し

たり,接合部の機械的性質を下げたり,又は木材自身に有害な影響をもたらすようなものであってはなら

ない。


F 1034-4

:2006 (ISO 12215-4:2002)

7.

その他の材料によるボート製造  3.6.で記述した材料以外のものを使用する舟艇の製造業者は,同様

の手順で次の項目に従わなければならない。

−  材料製造業者の要求。

−  計画された目的への適合性。

−  識別方法,保管方法,及び取扱い方法。

−  製造所の条件。

−  適切な建造手順。

−  合格基準。

8.

資格

8.1

人的要件  舟艇の建造は,ボート建造に必要な技能,すなわち使用される特有の材料及び適用され

る建造手順の技能をもった人員によって行わなければならない。

8.2

責任(義務)  実際の作業の実行に対して責任がある人員は,証明書によって証明された適切な知

識をもつか,又は数年以上,専門的な経験をもっていなければならない。

9.

最終検査  製造作業が終わった時点で検査をし,報告書を発行しなければならない。報告書は,責任

者が署名したもので,舟艇の技術的書類に添付しなければならない。

10.

品質保証

10.1

建造者は,次の事項を考慮に入れた保証の手順を構築しなければならない。

−  該当する建造図。

−  建造工程で使用される材料。

−  製品の複雑性。

−  製造工程。

−  製造建屋の状態すべて。

10.2

個々の又は一連の製品について,少なくとも次の情報を含む記録を保管しなければならない。

−  生産に使われる材料で,舟艇の構造的な健全性に関連する部位の材料のデータシート,

(ある場合)材

料製造業者の要求及び試験報告書も含める。

−  製品の製造が行われている場所における環境条件の記録。

−  構造的な欠陥,補修又は特殊な対策の記録。

−  最終検査及び/又は製品の試験記録。

10.3

製品又は製品の一部に関して,責任者としての資格を与えられたものが,10.2 に従い,記録に署名

しなければならない。