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F 0905 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工

業規格である。これによって,JIS F 0905 : 1981 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,国際規格案との整合を図るために,対応国際規格の技術的内容を変更することなく採

用し,さらに JIS として必要な規定内容を追加した。また,旧 JIS の内容の一部を,附属書に規定した。

JIS F 0905

は,本体及び次に示す附属書で構成されている。

附属書 A(参考)  参考文献

附属書 B(参考)  測定結果の取りまとめ


日本工業規格

JIS

 F

0905

 : 1998

船体部の騒音レベル測定方法

Measurement of noize level on board vessels (hull part)

序文  この規格は,1975 年第 1 版の改正として発行された ISO 2923 : 1996 (Acoustics−Measurement of noise

on board vessels)

を元に,対応する部分(測定器,測定条件,測定方法,報告)については対応国際規格を

翻訳し,その技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定され

ていない規定項目を日本工業規格として追加している。

附属書(参考)には,従来,日本工業規格で規定していた測定結果の取りまとめ方を追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,船舶の海上運転時における船体部の騒音レベルの測定方法及び測定時の条件

について規定する。計測結果は例えば,次のように使用される。

−  国家規格,国際的規則及び船主仕様と合致していることを確認するための承認試験

−  モニタリング試験

−  騒音低減対策及び詳細調査のための測定基礎データとして

−  騒音への暴露及び乗組員に対する騒音の影響の評価データとして

−  会話の理解度の評価

−  音響警報の可聴度の評価

騒音測定値には,例えば,測定方法の違い,周囲条件等によってばらつきがある。この規格に従った計

測では,A 特性に補正された値でほとんど例がなく,1.5dB 以内の再現性をもつ。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1505

  精密騒音計

備考:IEC 60651 : 1979  Sound level meters の Type 1 が精密騒音計に相当している。

IEC 60804 : 1985

  Amendment no. 1, 1989, Amendment no. 2, 1993 Integrating-averaging sound

level meters

の Type 1 が積分形精密騒音計に相当している。

JIS C 1515

  音響校正器

備考:IEC 60942 : 1988  Electroacoustics−Sound calibrators が,この規格に一致している。

IEC 61260 : 1995

  Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

居住区画  居室,事務室(船舶の事務を行う区画。),病室,食堂及び娯楽室。


2

F 0905 : 1998

3.2

デューティステーション  主要航海器具が設置されている区画,船舶無線機がある区画,非常用動

力源がある区画,火災検知又は火災制御のセンター,調理室,主配膳室,洗濯室,倉庫,メール室及び金

庫室,機器制御室,機関室の一部ではない工作室,その他の同様の区画(ただし,常時使用しない配膳室,

ロッカーは除く。

3.3

機械室  機関部の機器を除く次の機器が設置されているすべての区画,スタビライザ,通風機及び

空調機。その他同様な区画及びこれらの区画につながるトランク類。

3.4

承認試験  船舶が完成した後又は大幅な修理の後,騒音の仕様の確認のために行う海上運転試験。

3.5

モニタリング試験  船舶の初期引き渡し後,又は修理変更後の承認以後,さらに,船舶の騒音が承

認時の限界内であることや,

特に注意すべき変化のないことを検証するために,可能ならば実施する試験。

3.6

音圧レベル,L

p

,  次式によって与えられる音と騒音のレベルであり,単位はデシベル。

2

log

10

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

o

p

p

p

L

dB

ただし,

p

は音圧,

Pa

 

p

o

は基準音圧

  (

20

µ

Pa)

L

pA

[単位はデシベル

dB (A)

]は,音圧レベル L

p

の計測中に,IEC 60651 によって規定される周波数補正

回路の

A

特性で補正することによって得られる。

3.7

等価音圧レベル,L

peq,  T

,  測定時間 の間に時間によって変化する音と同じ二乗平均音圧をもつ,

連続した定常的な音の音圧レベル。すなわち,測定時間 全域の二乗平均音圧レベルであり,単位はデシ

ベルで,次式によって与えられる。

( )

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

=

ò

2

1

2

0

1

2

,

1

log

10

t

t

T

peq

dt

p

t

p

t

t

L

dB

ただし,平均周期 T

 (

t

2

t

1

)

は,t

1

から開始し,t

2

で終了する。

備考

添え字

  “

T

は省略してもよい。

3.8

等価騒音レベル,L

Aeq, T

,単位はデシベル dB (A)    周波数補正回路の

A

特性で重み付けられた等価

音圧レベル。添え字

  “

T

は省略してもよい。

3.9

衝撃騒音  孤立した事象又は一秒間に

15

回未満の反復度をもつ事象として生じる一秒間未満の騒音。

3.10

トーナルサウンド  卓越した周波数成分をもつ音。

4.

測定器  マイクロホン,ケーブル及び記録計を含む積分形騒音計は,JIS C 1505 に規定された要求事

項に合致したものでなければならない。

備考

騒音レベル変動の最大値から最小値までが

5dB

未満の場合,積分平均機能をもたない騒音計の

遅い動特性(

S

又は

SLOW

)を使用することができる。音圧レベルは少なくとも

10

秒間目視し

たレベル指示値の平均によって算定する。

積分形でない騒音計を使用する場合も,JIS C 1505 に規定された要求事項に合致したものでなければな

らない。

マイクロホンは,拡散音場で実質的に平坦な周波数特性をもつように校正したものとする。

オクターブ又は

3

1

オクターブバンドフィルタは,IEC 61260 の要求事項に合致したものとする。

ウインドスクリーンを使用する場合,

A

特性で測定された音圧レベルで,風のない場合に対して

0.5dB


3

F 0905 : 1998

を超える影響があってはならない。

各一連の測定の前及び後に,精度±

0.3dB

の音響校正器(JIS C 1515 のクラス

1

)を用い,関係のある周

波数範囲にわたり一つ又はそれ以上の周波数で,測定系全体のチェックをマイクロホンに対して行う。

JIS C 1515

の要求事項への音響校正器の適合性は,

1

年に

1

回チェックする。JIS C 1505 の要求事項へ

の測定システムの適合性は,少なくとも

2

年に

1

回チェックする。関係する JIS に適合することを確認し

た最新の日付を記録する。

なお,騒音計は計量法による検定に合格したもので,有効期間内のものを使用しなければならない。

5.

試験時の周囲条件

5.1

一般  水深がきっ(吃)水の

5

倍未満の場合は,その値を,及び船舶の近くの大きい反射面の有無

を試験報告に記載しなければならない。

風,雨及び海象のような気象条件は計測に影響があってはならない。天候条件を試験報告に記載する。

備考

風力階級

4

,波高

1m

を超える場合には,測定は行わないほうが望ましい。

5.2

外部音源からの騒音に関しての基準  外部音源からの騒音(人の声,工事,風,波,雨など)は,

測定する位置で試験に影響しないようにしなければならない。

6.

測定又は決定すべき量  測定すべき基本的な量は,次のとおりである。

等価騒音レベル,又は騒音レベル

 130dB

を超えそうな場合,

C

特性によるピーク音圧レベル

要求があれば,

31.5

8 000Hz

でのオクターブバンド等価音圧レベル又は音圧レベル

衝撃騒音の存在(定義によって判定する。

トーナルサウンドの存在(主観的に判定する。

7.

船舶の運転条件

7.1

海上における運転条件  船舶は,海上運転時でバラスト又は満載状態とし,載荷状態を報告書に記

述する。できる限り直進航行時とする。

推進機関は常用出力とするが,最大連続定格

 (MCR)

80%

を下回らないこととする。可変ピッチ又は

フォイトシュナイダプロペラは公称速度と公称出力に対する位置としなければならない。

すべての補機,航海計器及びレーダなどは正常な使用状態とし測定の間に一度は運転操作を行う。

船内放送用ラジオ及びオーディオ機器は,使用しないでも電源は入れておく。

非常の場合又は試験を目的とする以外運転されないディーゼル駆動の非常発電機,消火ポンプ,その他

非常用機械は,停止状態とする。ただし,その機械が設置されている区画の測定は,その機械の運転時に

行うものとし,隣接区画はその機械を運転して測定する必要はない。

機械通風装置及び空調装置は,その容量が設計条件に従っていることを考慮した,正常な状態で運転さ

れていなければならない。

扉及び窓は,航海船橋の風下側のように,通常の使用状態で開放しておくもの以外は閉じておかなけれ

ばならない。

各室に必要なぎ装品はすべて備えつけられた状態とする。家具調度品などがない状態で測定が行われて

も,測定値の修正は許されない。


4

F 0905 : 1998

7.2

港内における運転状態  船の荷役設備が作動しているときに,その影響を受ける場所と居住区画の

測定を行う。車両運搬船及び

Ro/Ro

船で搬入又は搬出中に車から騒音が発生する場合は,貨物区画の騒音

レベルとその継続時間を測定しなければならない。ただし,貨物区画の騒音測定は,本船引き渡し後でな

いと測定不能であるので,当事者間の合意によって行う。

8.

測定方法

8.1

一般  騒音レベルの測定には,騒音計の遅い動特性を使用する。指示針の振れが大きい場合は.そ

の最小と最大レベルを明記し,頻度を加味した平均値(重み付き平均値と呼ぶ。

)で代表する。数値は,小

数点以下を四捨五入し,整数値を記録する。

マイクロホンによる測定は,床から

1.2m

(座位)から

1.6m

(立位)の間の高さで行う。マイクロホン

の位置はその部屋の周囲の壁面から

0.5m

以上離れた所でなければならない。測定中の区画内の人数は,

操船に必要な船員及び測定員だけとする。測定時間は,等価騒音レベル又は騒音レベルの測定値が,1.

述べられたばらつきの限度内に入る長さとし,少なくとも

10

秒間としなければならない。

大きな貨物倉では,マイクロホンの位置は少なくとも

3

か所とする。機械が置かれていないその他の区

画では,その区画全体について

2m

以上

7m

以下の間隔で,最大騒音レベルの位置及び換気口のような他

の騒音源の近くを含めて測定する。

無線室を含み,人が作業する位置はすべて測定する。

例えば,バウスラスタ,スタビライザ,貨物倉の通風装置などは作動中に高い騒音を発生することがあ

るので,このような場合は,機械は作動中にその周辺及び隣接する居住区画やデューティステーションで

測定する。

もし必要であれば,騒音暴露を計算するために,船員がさらされている騒音と時間を測定する。

航海船橋のウイングや,開放デッキ及び何らかの気流のある甲板下など外部で測定する場合は,マイク

ロホンにウインドスクリーンを使用する。

衝撃騒音やトーナルサウンドの存在を調査し記録する。

8.2

居住区画  すべての居住区画を測定する。ただし,騒音レベルが同等と判断される居室が複数存在

する場合は,当事者間の合意によって測定箇所を省略してもよい。少なくとも各甲板で最も騒音レベルが

高い居室の一つについてはオクターブ分析の測定を行う。

居室及び病室はその中央で測定する。室内で,特に座っている人や横になっている人の頭の辺りの騒音

レベルに明らかな差が生じているならば,他の場所の追加測定をする。

8.3

機械室  機関室区画の計測は機関部の規定によるものとし,この規格では船体部関連機械室の範囲

とする。

基本的には,作業する場所,日常の点検,調整及び保守のために人が行く場所,並びにすべての通常の

通行に使用される場所で測定する。電話の設置場所,声による連絡及び音声信号が重要である場所に,特

に注意する。さらに,特に騒音の激しい機械・器具については約

1m

の距離で測定する。できれば,運転

中の機械,空気吸入口や,甲板・隔壁その他の大きな面から

1m

以内の位置では測定しない。これができ

ない場合は,機械と近くの反射面の中間の位置で測定する。オクターブバンド測定は,騒音レベルが最も

高い点の内,少なくとも

2

か所で行う。

不必要な測定や無意味な記録を減らすため,大きなエンジン等がある場合は,上記の位置で測定された

騒音レベルに大きな変化がない場合,各位置での記録は必要でない。しかし,代表的な場所及び最大音圧

レベルの場所はすべて測定を行い,少なくとも四つの測定値は各甲板において記録しなければならない。


5

F 0905 : 1998

8.4

工作室,制御室及び操舵室のようなデューティステーション  会話の聞き取りと音響信号の可聴度

が重要な場所,航海船橋ウイングの風下側だけを測定する。もし,これら区画内で,明らかな騒音レベル

の差異が存在すると考えられるならば,その点で追加測定をする。貨物倉やオープンデッキ区域のように

通常作業が行われるすべての点で測定する。

人が高い騒音レベルにさらされるすべての場所で測定する。

会話の理解度が操船又は安全上絶対必要な場所はすべてオクターブバンド分析の測定を行う。

測定場所の決定については当事者間の合意によって行う。

8.5

娯楽用区域  娯楽を目的とした場所及び高い騒音レベルが予想される区域を追加して測定する。

9.

試験の報告  この規格に関する事項,関係する詳細事項を含めすべての測定結果を報告する。

a)

試験の種類

b)

船の種類,主機関,試験された機関及びその軸速度並びに可変ピッチプロペラ及びフォイトシュナイ

ダプロペラの状態

c)

補機関,機器及びその運転条件

d)

船の載荷状態

e)

試験場所,水深,天候条件,風力及び風浪階級

f)

測定器具

g)

測定実施者の所属,住所,氏名

h)

マイクロホンの位置

i)

等価騒音レベル L

Aeq

,又は騒音レベル L

pA

j)

C

特性によるピーク音圧レベル(もし,必要であれば)

k)

騒音スペクトル(オクターブバンド分析の結果)

l)

要求があれば,測定結果及び騒音にさらされている度合いの計算,例えば

24

時間当たりの等価音圧レ

ベル

m)

トーナルサウンド及び衝撃騒音の存在

n)

扉及び窓の開放状態

o)

船内の考えられる騒音源

p)

船内で適用された主要な騒音低減対策

関連規格

JIS F 0904

  機関部の騒音レベル測定方法

JIS Z 8731

  騒音レベル測定方法


6

F 0905 : 1998

附属書 A(参考)  参考文献

[1]

  IMO Resolution 468 (XII),

Code on Noise Levels on Board Ships


7

F 0905 : 1998

附属書 B(参考)  測定結果の取りまとめ

1.

適用範囲  本体によって測定された騒音測定結果を図示する場合に適用する。

2.

測定結果の取りまとめ  測定結果の取りまとめ方は,附属書 の付表 1による。すなわち

付表 1

騒音測定データ(本船データ,測定状態など)

付表 2

騒音測定データ,オクターブバンド分析結果

(測定場所と騒音レベル,音圧レベル,オクターブバンドレベル)

付表 3

騒音特性データ,オクターブバンド分析結果

A

特性オクターブバンドレベル)


8

F 0905 : 1998

付表 1


 

9

F

 0905 :

 199

8

付表 


10

F 0905 : 1998

付表 3


11

F 0905 : 1998

財団法人日本規格協会原案受託事業騒音専門分科会  構成表

氏名

所属

(専門分科会長)

藤  井  克  哉

石川島防音工業株式会社

(委員)

橋  爪      豊

運輸省船舶技術研究所

池  田  英  雄

財団法人日本海事協会

山  本      泰

日本郵船株式会社

村  上  彰  男

川崎重工業株式会社

田  中  徳  昭

 NKK

総合エンジニアリング事業部

修  理  英  幸

日立造船株式会社

藤  上  佳  也

三井造船株式会社

本  田      巌

三菱重工業株式会社

大  倉      清

三菱重工業株式会社

杉  田  英  二

株式会社アイ・イー・エム

鹿  股  信  幸

運輸省海上技術安全局

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

(事務局)

小  林  正  雄

財団法人日本船舶標準協会