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日本工業規格

JIS

 F

0810

-1997

船用機器−信頼性評価基準

Shipborne equipment

−Reliability assessment criteria

1.

適用範囲  この規格は,船用機器の基準使用条件の下における性能維持及び保全の指標とするための

機器の信頼性評価基準について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS Z 8115

  信頼性用語

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8115 によるほか,次による。

(1)

性能維持  機器が正常に使用可能な状態の継続。

(2)

機能喪失  機器が異常な状態。

(3)

性能変化 [A1]   機器に規定された性能基準値をわずかに逸脱するが,航海には支障をきたさない状

態。

(4)

性能劣化 [A2]   機器に規定された性能基準値を逸脱するが,ある期間実用に耐える状態。

(5)

性能不良 [A3]   機器に規定された性能基準値を逸脱し,船上で修復可能であるが,機能が一時停止

している状態。

(6)

性能不全 [A4]   船上で修復不可能で,機能が停止している状態。

(7)

基準使用条件  機器の保全マニュアルなどで定められた使用環境の条件。

(8)

期待性能  基準使用条件下における正常な性能。

3.

信頼性評価基準の基本概念  船用機器の作動状態及び機能・性能を正常に維持するため,機能の冗長

性,予備品及び補用品の適量化,オーバホール間隔の適正化などの目安となる指標とする目的で,各機器

の基準使用条件下及び通常の操作方法のもとにおける,機能喪失の程度,使用環境の条件,修理時間間隔,

修復方法などで分類し,これらを信頼性の評価要素として基準を設定する。

4.

信頼性の評価要素  信頼性の評価要素は,次による。

(1)

性能維持及び機能喪失の分類  基準環境条件下での性能維持及び機能喪失の程度で分け,表 による。

表 1  性能維持及び機能喪失の分類

性能維持

機能喪失

正常状態

異常状態

正常使用

正常ではないが使用可能

調整を要する

故障


性能変化 [A1]

性能劣化 [A2]

性能不良 [A3]

性能不全 [A4]

(2)

使用環境の条件の分類  使用環境条件は,機器の信頼性指数の算出時の調整係数を定める場合に重要

な要素であり,次の(a)(c)に分類し,調整係数の指標とする。


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(a)  [B1]

  制御室・船橋・居室内などで,環境の温度や湿度などが調整され,空調などが施されて,

常温又は一定の範囲内にある場所。

(b)  [B2]

  機関室内などで,振動,騒音,温度,湿度などが通常の部屋に比べて厳しい場所。

(c)  [B3]

  機関直付き,暴露甲板など非常に厳しい環境の場所。

(3)

信頼性特性値の算出  信頼性特性値 [C] の基準としては,一般的に,ある機器を設計するに当たって

環境条件,部品点数,部品形式,冗長性などを定量的に把握して“MTBF”  (mean time between failures)

などを算出して使用する。しかし,データが膨大で入手しにくいのが実状であり,比較的簡単な部品

点数から MTBF の概算値を経験的に推定する方法もある。

その部品点数法による算出式を参考に示す。

(4)

性能維持のための時間  これは予防保全を前提とした製造者が推奨する手順書によるオーバホール間

隔,冗長性,互換性の設定を考慮し,かつ異常状態が発生した場合の正常に修復するために許される

時間とする。この時間は,その機器の使用上の重要度,故障による影響の度合いなどによって評価さ

れる。

次の(a)(c)に影響の度合いを分類し,機器の重要度の指標とする。

(a)  [D1]

  異常状態が許されない。

(b)  [D2]

  異常状態が短時間許される。

(c)  [D3]

  異常状態が限定されたある時間許される(修理,交換など)

5.

総合評価  総合的な船用機器の信頼性評価基準としては,適用する機器ごとに,表 による。この場

合,対象とする機器の性能維持の程度 [A],使用環境条件 [B],機器の信頼性特性値 [C],機器の性能復

帰のための修復時間 [D] の要素を選定し,保全基準 [M] の指標とする。

(a)  [M1]

  A1 の状態で,直ちに機能修復がなされなければならない機器の保全基準。

(b)  [M2]

  A2 の状態で,機能修復がなされなければならない機器の保全基準。

(c)  [M3]

  A3 の状態で,船上の予備品又は予備機などの交換で修復がなされる機器の保全基準。

(d)  [M4]

  A4 の状態で,

修理部品の供給又は陸上の修理機関の援助によって修復がなされる機器の保

全基準。


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表 2  評価基準表

表 評価基準表  [M1]  の説明  船橋 [B1] に設置され,常時使用される装置 "X" は,わずかな性能変化 [A1]

で所定の性能維持ができなくなった場合には航海に影響 [D1] する装置であって,基準の信頼性特性値 [C] は,
従来の実績から T 時間保証できると査定し,所定の性能の限界を超えた後,機能復帰するまでに許される修復時

間  [t]  は極めて短くなければならず,装置 “X” に対する品質管理対策は,この  [t]  時間以内に,切替え,交換
などの手段がとれる準備をしておくか,並列運転で  [t]  を生じない準備をしておかなければならない。


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F 0810-1997

参考 

信頼性特性値である MTBF の概算算出式を MIL-HDBK-217F Notice 1 によって,参考として次に示す。

計算式

部品点数法を適用するために必要な情報は,

(1)

同属部品の形式及び個数

(2)

部品品質水準

(3)

機器環境

である。

機器の故障率を求めるのには,同属故障率を求めてそれに品質ファクタを乗じ,それからその機器内の

他の部品について得られた故障率をすべて加え合わせると機器故障率が得られる。この方法による機器故

障率の一般的な数学的表現は,与えられた機器環境に対して,MTBF すなわち信頼性特性値 は,

E

C

λ

1

=

å

=

=

n

i

i

Q

G

i

E

N

1

)

(

π

λ

λ

で与えられる。

ここに,

λ

E

全機器故障率(故障数/

10

6

時間)

λ

G

  i

番目の同属部品に対する同属故障率(故障数/

10

6

時間)

π

Q

  i

番目の同属部品に対する品質ファクタ

N

i

  i

番目の同属部品の個数

n

機器内の異なった同属部品のカテゴリの数

機器全体が一つの環境で使用される場合には上の式が適応できるが,機器が異なる環境で作動する幾つ

かのユニットからなる場合は,環境ごとに分割してそれぞれにこの式を適応する。

関連規格

MIL-STD-756B

RELIABILITY MODELING AND PREDICTION

MIL-HDBK-217F

NOTICE 1 RELIABILITY PREDICTION OF ELECTRONIC EQUIPMENT

JMS 9803

  船用自動化システムの信頼度予測法

JMS

(財団法人  日本船舶標準協会)の規格]


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F 0810-1997

財団法人  日本船舶標準協会  情報・制御機器委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

佐  藤  孝  雄

三井造船株式会社船舶・艦艇事業部

加  藤      稔

財団法人日本海事協会

青  木  健  作

船舶整備公団

有  村  信  夫

運輸省船舶技術研究所

鈴  木  利  栄

財団法人日本海技協会

松  尾  廣  昭

日本郵船株式会社

吉  田      悟

大阪商船三井船舶株式会社

長谷川      司

川崎汽船株式会社

中  嶋  孝  雄

ナビックスライン株式会社

秋  本  義  紀

住友重機械工業株式会社船舶艦艇鉄構事業本部追浜造船所

藤  谷  克  昭

日立造船株式会社船舶・防衛事業本部

桑  原  克  郎

三菱重工業株式会社船舶・海洋事業本部

西  村  徹  哉

寺崎電気産業株式会社舶用事業技術部

片  山  瑞  穂

株式会社トキメックマリンシステム事業部

安  藤  重  樹

東洋エレクトロニクス株式会社舶用機器事業部

木  内  光  宏

株式会社長野計器製作所丸子電子機器工場

籠  宮  茂  樹

明陽電機株式会社開発室

佐  野  良  幸

横河電子機器株式会社産業営業本部

(関係者)

下  野  雅  生

全国内航タンカー海運組合

(事務局)

久  保  明  博

財団法人日本船舶標準協会