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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 用語及び定義 ··················································································································· 2 

3 適用······························································································································· 5 

3.1 一般 ···························································································································· 5 

3.2 適用に関する検討事項 ···································································································· 5 

4 環境リスク評価の構造及び手順 ··························································································· 6 

5 暴露評価························································································································· 6 

5.1 代表製品の選定 ············································································································· 6 

5.2 溶出速度の決定 ············································································································· 6 

5.3 排出シナリオの作成 ······································································································· 7 

5.4 PECの決定 ··················································································································· 8 

6 有害性評価 ······················································································································ 9 

6.1 PNECの設定 ················································································································ 9 

6.2 アセスメント係数の検討 ································································································ 10 

6.3 リスクキャラクタリゼーションに使用するPNECの算出 ······················································ 11 

7 リスクキャラクタリゼーション ·························································································· 11 

7.1 概要 ··························································································································· 11 

7.2 データ及び情報 ············································································································ 11 

7.3 評価結果 ····················································································································· 12 

7.4 最後に行ったリスクキャラクタリゼーションの後で得た追加情報 ··········································· 13 

8 リスク評価報告書 ············································································································ 13 

附属書A(参考)防汚塗料からの殺生物性活性物質の溶出速度推定方法 ········································· 14 

附属書B(規定)船舶の防汚方法で使用する有機殺生物性活性物質に対する 

  環境リスク評価のリスクキャラクタリゼーションプロセスの詳細············································ 17 

附属書C(規定)船舶の防汚方法に使用する無機殺生物性活性物質の 

  リスクキャラクタリゼーションにおいて考慮すべき問題 ······················································· 24 

附属書D(参考)データの品質を判断するためのガイダンス例····················································· 28 

附属書E(参考)試験方法の例 ······························································································ 29 

附属書F(参考)アセスメント係数(AF)の決定 ······································································ 33 

附属書G(規定)リスク評価報告書に必要な最低限の情報 ·························································· 38 

附属書H(参考)検証済みの環境濃度予測モデル ······································································ 41 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本船舶技術研究協会(JSTRA)

から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経

て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS F 0600の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS F 0600-1 第1部:船舶の防汚方法に用いる殺生物性活性物質の海洋環境リスク評価法 

JIS F 0600-2 第2部:殺生物性活性物質を用いた船舶の防汚方法の海洋環境リスク評価法 

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日本工業規格          JIS 

F 0600-1:2015 

(ISO 13073-1:2012) 

船舶及び海洋技術− 

船舶の防汚方法に関するリスク評価− 

第1部:船舶の防汚方法に用いる殺生物性 

活性物質の海洋環境リスク評価法 

Ships and marine technology-Risk assessment on anti-fouling systems  

on ships-Part 1: Marine environmental risk assessment method of 

biocidally active substances used for anti-fouling systems on ships 

序文 

この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13073-1を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

船体没水部にフジツボ,藻類などの汚損生物が付着すると,水に対する船体の推進抵抗が増加して燃料

消費の増加をもたらすとともに,外来生物の移動によって海洋環境に重大な害を及ぼす可能性がある。こ

の問題に対する手段として,汚損生物の付着を抑制する殺生物性活性物質に依存する防汚方法(例えば,

防汚塗料)を船体に適用している。殺生物剤として使用された有機スズ化合物(防汚塗料においてかつて

使用された)の海洋生物及び人体への有害な影響が世界的に懸念されてきた。有機スズ化合物が継続して

使用されることを防止するため,有害物質を含む防汚方法の使用を規制する法的拘束力のある国際的枠組

みが国際海事機関(IMO)において審議された。その結果,2001年10月にロンドンで行われたIMO外交

会議において,船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約(AFS条約)が採択され,2008年9月に発

効した。 

この条約には,条約の枠組み内の多種の有害な防汚方法を取り扱うことを想定し,防汚方法をリスク評

価するプロセスの記述を含んでいる。条約の附属書2及び附属書3では防汚方法が環境に有害であり,船

舶への使用制限の必要性を判断するために必要な情報のリストを示しているが,この判断を行うための海

洋環境リスク評価方法は提示していない。一方で,AFS条約とともにIMOが採択した決議3では,締約

国に対し,殺生物性活性物質を含む防汚方法の試験方法及び評価方法並びに性能標準を調和させるための

作業を適切な国際的な討議の場で継続することを提言している。 

これらを背景に,防汚方法で使用する殺生物性活性物質の科学的な環境リスク評価のための国際的方法

が国際的に求められている。この規格は,制度が存在しない又は制度が未発達の国々における制度導入へ

の現実的なアプローチ(すなわち,自主規制又は自主認可制)による当該国の水域環境保護の進展を支援

するために,制定した。 

この規格は,防汚方法に含まれる殺生物性活性物質の使用が許容できるかどうかを評価するために用い

ることを意図している。使用が許容できない物質を示すネガティブリストであるAFS条約附属書1におけ

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る殺生物性活性物質の項目の判定においては,ここで示す方法論を使用することができるが,評価自体は

AFS条約が定める全ての要求データによる包括的な評価として実施する必要がある。 

適用範囲 

この規格は,船舶に適用する防汚方法(いわゆる防汚塗料)中に添加する殺生物性活性物質によって生

じ得る悪影響から海洋環境を保護するためのリスク評価法を規定する。この評価法は,適切に変更するこ

とによって淡水域に適用することもできる。 

この規格は,有害性又は毒性の試験方法の特定若しくは特定の物質の使用制限を行うものではない。ま

た,特定の物質を用いる防汚方法の効果試験法を規定するものでもない。 

次の項目はこの規格の対象ではない。 

− 船舶の保守・修理,建造又は船舶のリサイクルにおける施工及び除去作業における防汚方法の殺生物

性活性物質のリスク評価 

− 2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約に従い,船舶のバラスト水及

び沈殿物の中の有害な水生生物及び病原体を管理することを目的として用いる防汚方法 

− 漁獲を目的とした漁具,浮標及び浮き,並びに漁業及び養殖業で用いる機器(網,ケージなど)に適

用される防汚方法 

− 防汚製品の研究開発を目的として試験的に船舶に適用された防汚方法 

− 海上輸送中の漏出,河川及び臨海施設から海への流出などの偶発的排出 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 13073-1:2012,Ships and marine technology−Risk assessment on anti-fouling systems on ships−

Part 1: Marine environmental risk assessment method of biocidally active substances used for 

anti-fouling systems on ships(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

急性試験(acute test) 

エンドポイントとして魚の死亡,無脊椎動物の行動異常又は藻類の成長阻害についてのLC50又はEC50

を得るために,短い期間(生物によって異なるが,ほとんどは数十時間)に実施する水生生物への暴露試

験。 

2.2 

防汚方法[anti-fouling system(s)] 

不要な生物の付着を管理又は防止するために船舶に使用される被覆,塗装,表面処理,表面又は機器。 

2.3 

アセスメント係数[assessment factor(s)] 

環境リスク評価で用いられる予測無影響濃度(PNEC)の推定のために,実験的に得た有害性のエンド

ポイント[例 無影響濃度(NOEC)などの用量依存性のある測定値]に基づく影響濃度の外挿による不

確実性を意味する係数。 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 特定の殺生物性活性物質のPNECを求めるには,特定のデータを用いて得た有害性のエンドポ

イントはアセスメント係数で除す。人の健康への影響についてのリスク評価に用いられる“不

確実性係数”に相当する。 

2.4 

殺生物性活性物質[biocidally active substance(s)] 

生物の付着防止のために防汚方法で使用し,不要な汚損生物に対して致死,成長阻害,忌避などの一般

的又は特定の作用をもつ物質。 

2.5 

化学物質[chemical substance(s)] 

自然状態又は製造工程によって得られる化学元素及びその化合物。 

2.6 

慢性試験(chronic test) 

エンドポイントとして死亡率,成長又は繁殖のNOECを得るために,ライフサイクルの大部分,感受性

の高い時期(魚類では,受精卵から摂食するようになる幼魚,稚魚などの初期生活段階まで)又は数世代

を通じて実施する水生生物に対する暴露試験。 

注記 OECDテストガイドライン212(OECD TG212)及びOECD TG215は,慢性試験ではない。 

2.7 

補正係数(correction factor) 

既定の方法を用いて推定した溶出速度と供用中の防汚方法とで予期される溶出速度の差異を意味する係

数(海洋環境への溶出速度のより正確で典型的な推定を行うため,特定の方法で推定した溶出速度を補正

係数で除する。)。 

2.8 

排出シナリオ(emission scenario) 

化学物質又は殺生物性活性物質の環境への排出を定量化するために,排出源,経路及び使用パターンを

定義する一連のパラメータ。 

注記 排出シナリオは,リスク評価において化学物質の環境中の予測濃度を推定するための基本とな

る化学物質の使用及び排出の条件を設定するために使用されるものである。 

2.9 

暴露評価(exposure assessment) 

暴露の経路,量及び濃度を考慮して,生物,システム,個体群又は系統個体群への殺生物性活性物質(及

びその分解生成物及び/又は代謝物)の暴露を評価する。 

2.10 

有害生物(harmful organism) 

人間活動,人が使用又は製造する製品,動物又は環境にとって,不要な存在又は悪影響を与える全ての

生物。 

2.11 

有害性評価(hazard assessment) 

生物,システム,個体群又は系統個体群が暴露される殺生物性活性物質によって生じ得る悪影響を決定

するためのプロセス。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.12 

最小影響濃度,LOEC(lowest-observed effect concentration) 

対照と比較して有意な影響が認められる最小の試験濃度。 

注記 LOECを超える全ての試験濃度では,LOECで認められている以上の影響が見られるはずであ

る。 

2.13 

海洋環境(marine environment) 

海洋生物の生存能力及び生物学的機能に影響を及ぼし,海洋生物を取り囲む物理的,化学的及び生物学

的特性。 

注記 海水域及び河口域が含まれる。 

2.14 

無影響濃度,NOEC(no-observed-effect concentration) 

対照と比較して統計的に有意な致死的又はその他の影響が観察されない最大の試験濃度。 

2.15 

予測環境濃度,PEC(predicted environment concentration) 

暴露評価によって定量的に求められた対象環境中の物質の推定濃度。 

注記 物質とは,殺生物性活性物質,化学物質,代謝産物又はその他の関連物質を指す。 

2.16 

予測無影響濃度,PNEC(predicted no-effect concentration) 

適切なアセスメント係数を適用することで有害性評価によって決定される物質の濃度であって,その濃

度以下では対象環境への悪影響がないと予想される濃度。 

2.17 

溶出速度(release rate) 

防汚方法の単位表面積から水中へ1日に溶出する殺生物性活性物質の質量の代表値。 

注記 溶出速度はµg cm-2 day-1で表す。 

2.18 

リスク(risk) 

ある一定の条件下での物質に起因して悪影響を起こす確率とその重大性との組合せ。 

2.19 

リスク評価(risk assessment) 

物質への暴露によって生じたリスクを定量的に推定するためのプロセス。 

注記1 環境リスクの定量的評価のことを“環境リスク評価”という。 

注記2 分解性が低く,かつ,生物濃縮が非常に高い場合,リスク評価はPEC/PNECを算出せずに実

施することがある。 

2.20 

リスクキャラクタリゼーション(risk characterization) 

暴露評価によって算出したPEC及び有害性評価によって算出したPNECに基づいて算出したPEC/PNEC

から,リスクの度合いを決定すること。 

2.21 

船舶(ships) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

水中翼船,エアクッション船,潜水船,浮遊機器,固定され又は浮いているプラットフォーム,浮いて

いる貯蔵施設(FSU)及び浮いている生産貯蔵・取卸し施設(FPSO)を含む,海洋環境で運航するあらゆ

る種類の船舟類。 

2.22 

最悪シナリオ(worst-case scenario) 

海洋環境に生息する生物が殺生物性活性物質に最も多量に暴露されると予想される現実的シナリオ。 

2.23 

半数影響濃度,EC50(50 % effective concentration) 

試験生物の半数への影響が観察される濃度。 

2.24 

半数致死濃度,LC50(50 % lethal concentration) 

実験で試験生物の半数が死亡する濃度。 

適用 

3.1 

一般 

この規格で定義するリスク評価は,海洋環境保護のために実施する。 

分解物が,その親物質の質量分率10 %以上,環境中に存在するという根拠がある場合には,分解物に対

してもリスク評価を行う。 

この規格は,川,湖などの淡水域に対するリスクを評価するために変更することができる。淡水域に求

められる排出シナリオの定義には特別な注意を払う必要があり,十分な配慮をもって淡水環境で見られる

種への影響を考慮することが望ましい。 

この規格は,次の用途に対する最低限のガイドラインを提供する。 

− 政府機関による防汚方法の規制 

− 事業者又は事業者団体の自主規制又は認定制度 

− 事業者が製品開発のために行う評価 

この規格によって殺生物性活性物質による海洋環境への環境リスクの定量的判定が可能となり,その物

質の環境リスクが許容範囲内かどうかを決定することができる。 

3.2 

適用に関する検討事項 

この規格を使用する場合,次の各項を考慮しなければならない。 

a) この規格は,殺生物性活性物質に起因する海洋(及び必要に応じ淡水)環境リスクの定量化方法を規

定するものであるが,それらの物質の使用及び商品化の直接的な規制及び承認を意味するものではな

い。ある物質が“リスク懸念”のカテゴリに分類されることは,その物質の使用を禁止することを直

接的に意味するわけではない。環境中のその物質又は代謝物を継続的にモニタリングするなど,一定

の条件の下での使用が容認されることがあり得る。 

b) この規格は,工業用化学物質の一般的なリスク評価の方法は対象としていない。そのような評価は,

他の方法で既に実施されていると考えられる。 

c) 認定又は評価手順があり,この規格に従って構築された規制システムで,第2段階のレベル1で“暫

定的低リスク”に分類される物質を制限する規制システムにおいては,暴露環境に対する影響の重大

性を考慮に入れて,適切な販売期間又は販売量を規定することが望まれる。 

この規格に基づき申請者が提出した全てのデータについては,申請者に帰属する所有権が確保されなけ

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ればならない。これらのデータは,データの所有者からの書面による事前承認なしには他の申請者が使用

できないように措置されなければならない。 

環境リスク評価の構造及び手順 

環境リスク評価は,暴露評価,有害性評価及びリスクキャラクタリゼーションの三つの手順から構成さ

れる。暴露評価はPECを求めるための手順であり,有害性評価はPNECを求めるためのものである。PNEC

に対するPECの比(PEC/PNEC)は,リスク評価の定量的指標として用いる。図1にこの手順をまとめる。 

船舶の防汚方法に使用される殺生物性活性物質の環境リスク評価のリスクキャラクタリゼーションのプ

ロセスは,有機物質については附属書Bに,無機物質については附属書Cに,それぞれ記載する。 

有害性評価

暴露評価

リスク評価

排出シナリオ

の作成

PECの算出

リスクキャラクタ

リゼーション

有害性情報の

収集・取得

PNECの算出

NOECの

算定

追加情報

溶出速度の

決定

*

代表製品の選

アセスメント

係数の検討

リスク評価書

の作成

追加情報

注* 

有機殺生物性活性物質は,生物濃縮係数(BCF)が2 000以上の場合,高蓄積性
で“リスク懸念”とみなす。 

図1−環境リスク評価の構成及び手順の概略 

暴露評価 

5.1 

代表製品の選定 

暴露評価に用いる代表製品(例 防汚塗料)は,評価対象となる殺生物性活性物質を含む防汚方法から

選ぶ。代表製品の溶出速度は5.2.1に従い数値化する。リスク評価プロセスによって,環境保護のため,

実際の製品で使用可能な殺生物性活性物質の最大溶出速度を決定できる。 

5.2 

溶出速度の決定 

溶出速度を決めるには,マスバランス計算法,ラボ試験法及び現場計測法の三つの方法がある。 

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5.2.1 

定量化法 

船舶に適用する防汚方法から,海水への殺生物性活性物質の溶出速度を推定する必要がある。 

防汚方法の溶出速度を推定する幾つかの方法がある。既存のマスバランス計算法,ラボ試験法及び現場

計測法の例を表A.1に記載する。 

附属書Aに記載した方法の一つを選択することが望ましいが,この規格はその他の数値化方法の開発及

び/又は使用を排除するものではない。 

環境への溶出速度の推定値の信頼性を最大限に高めるには,ラボ試験法及びマスバランス計算法による

溶出速度データに対して適切な補正係数を適用することが望ましい。 

注記 一般的に,表A.1に記載しているラボ試験法の結果は,使用中の防汚製品の環境への溶出速度

を反映しておらず,環境リスク評価にそのまま使用するには必ずしも適していない。表A.1に

記載しているマスバランス計算法は,現実的な環境溶出速度を得られることが一般的であるこ

とから,ラボ試験法の結果よりも環境リスク評価に用いるのに好適である。その都度適切な方

法を選択する。 

5.2.2 

試験所 

ラボ試験法での測定によって溶出速度を推定する場合,JIS Q 17025に準拠した又は同等の資格をもつ試

験所で試験を行うことが望ましい。 

5.3 

排出シナリオの作成 

排出シナリオとは,防汚方法における殺生物性活性物質の使用パターン,暴露源及び経路を定義する一

連のパラメータのことである。物質及び暴露環境の両方の物理化学的パラメータを考慮に入れることによ

って,シナリオを用いて環境への排出の分配の定量化が可能になる。 

防汚製品の既存排出シナリオの例は,OECD排出シナリオ文書(OECD, 2005)に記載されている。 

5.3.1 

検討すべき海洋環境のタイプ 

船舶に用いる防汚方法の供用期間については,殺生物性活性物質が溶出する海洋環境を特定することが

望ましい。検討すべき海洋環境のタイプには次のようなものがある。 

− 外洋(参考:開放系海域における航路) 

− 航路(参考:外洋よりも閉鎖的な水域における航路) 

− 港湾(参考:商業港) 

− マリーナ 

その他の水域(例 より広大な水域)についても検討の必要な場合がある。 

製品の用途又は排出海域によっては,上記の環境タイプを全て検討する必要のない場合もある。 

5.3.2 

排出シナリオの定義 

検討中の海洋環境タイプの選択に続き,暴露海域の典型的なサイズを決める代表シナリオを示すことが

望ましい。例えば,典型的な港湾の長さ,幅及び深さを定義することが望ましい。排出シナリオは,定義

したシナリオの適切な物理化学的・水力学的パラメータを考慮に入れて環境中予測濃度を計算するための

十分な情報を準備することが望ましい。PECを算出するためのシナリオを設定する場合に検討すべき典型

的パラメータは次のとおりである。 

a) 殺生物性活性物質の溶出速度 

− 殺生物性活性物質の溶出速度(単位面積及び単位時間当たりの殺生物性活性物質の質量) 

b) 排出に関係するパラメータ 

− 停泊船舶の総数及び航行船舶の総数 

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− 航行船舶の比率 

− 停泊船舶の比率 

− 船舶の没水表面積(船舶の長さ当たりの表面積) 

− 当該製品の塗装船舶の割合 

c) 対象海域のレイアウト 

− 対象海域の長さ,幅(又は表面積)及び深度 

− 対象海域と非対象海域との間の境界の幅及び深さ(例 平均海水面以下の湾口交換面積,湾口の深

さ) 

d) 水質 

− 温度 

− 塩分 

− pH 

− シルト濃度(粒径63 μm未満,mg/Lで表記) 

− 有機炭素の割合[底質の有機炭素濃度(乾燥質量)] 

− 懸濁有機炭素(POC)及び溶存有機炭素(DOC)濃度(mg OC/L) 

− 水層中の浮遊粒子状物質 

e) 水文学 

− 干満による海水交換速度(単位時間当たり単位断面積当たりの流入水量及び流出水量) 

− 対象海域につながる河川及び流れの水量(単位時間当たり単位断面積当たりの流入水量及び流出水

量) 

f) 

環境媒体 

− 混合底質層の厚さ 

− 溶存有機炭素 

注記 このリストの限りではない。 

5.3.3 

パラメータの設定要件 

全てのパラメータは現実的な最悪シナリオになるよう設定する必要がある。当該シナリオの例はOECD

排出シナリオ文書(OECD, 2005)に掲載されている。シナリオを作成する際に,現実に即した最悪シナリ

オであることを確認することが重要である。例えば,港湾のリスクを評価する場合,評価者は対象国の中

から適切な港湾部分の寸法を調査し,その国に対して港湾部分の典型的寸法を定義する。その際,用いた

データベースの大きさに応じて適切な統計的尺度(例 平均長又はデータセットの長さの95パーセンタ

イル値)を選ぶことが望ましい。 

5.4 

PECの決定 

各排出シナリオ及びそれぞれの関連する環境区分のPECは,5.3.2及び5.3.3で決定したパラメータ及び

検討中の各特定物質に関連した特性を用いて決定することが望ましい。典型的パラメータには次のものが

含まれてもよい。 

− 殺生物性活性物質の分解速度(非生物分解及び/又は生物分解) 

− 粒子吸着率(又は海水中に溶存している殺生物性活性物質の粒子に結合している当該物質に対する比

率) 

− 有機炭素分配係数(KOC) 

− 殺生物性活性物質の生物濃縮係数 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

PECを算出する場合,シナリオで定義した全てのパラメータを考慮に入れることによって環境負荷を判

断できる適切な数学的モデルを選ぶことが望ましい。通常PECはMAMPECなどの専用のコンピュータプ

ログラムで計算される。附属書Hに使用される有効なモデルの例を記載している。 

懸濁物質における有機炭素分配係数(KOC)は,吸着試験(OECD TG106)又はHPLC法(OECD TG121)

で求められる。 

浮遊物質における海水の体積分率,懸濁物質における固体の体積分率,固相密度及び懸濁物質における

有機炭素の重量分率の平均値・標準値の例が技術ガイダンス文書(European Commission, 2003)に記載さ

れている。 

必要に応じ,BCF,平均魚消費率及び海水PEC(PECSW)などのパラメータを用いて捕食者・哺乳類に

対する環境予測濃度(PECpred)を決定することが望ましい。 

PECの決定に使用するモデル自体が適切に検証されていることが重要である。モデルの検証報告書をリ

スク評価報告書の一部として提供することが望ましい。PEC決定のための検証されたモデルの例を附属書

Hに示す。 

有害性評価 

6.1 

PNECの設定 

6.1.1 

海水のPNECの設定(PNECSW) 

6.1.1.1 

慢性試験結果からのPNECSWの推定 

慢性試験結果を使用する場合,次の式でPNECSWを求める。 

AF

NOEC

PNEC

C

sw=

 ····································································· (1) 

ここに, PNECSW: 海水のPNEC(mg/L) 
 

NOECc: 慢性試験で得られた最も低いNOEC(mg/L) 

AF: アセスメント係数(6.2参照) 

各慢性試験で得られた最も低いNOECCはPNECSWの計算に使用する。AFは6.2で検討した様々な要因

に基づいて決定する。 

多くのOECDテストガイドラインによれば,関連試験ガイドラインで特に指定のない限り,試験濃度は

幾何数列的に設定する必要がある。例えば,OECD TG 210では3.2以下の公比が必要である。試験によっ

ては,試験濃度間の比率が有効試験法で定めた係数を超えることがある。この場合,NOECとLOECとの

平均値(最大許容毒性濃度,MATC)をNOECとして用いる場合がある。 

6.1.1.2 

急性試験結果からのPNECswの推定 

急性試験データを使用する場合,次の式でPNECswを求める。 

AF

C

E

L

PNEC

50

sw

)

(

=

 ···································································· (2) 

ここに, PNECSW: 海水のPNEC(mg/L) 
 

L(E)C50: 半数致死濃度(LC50)又は半数影響濃度(EC50)(mg/L) 

AF: アセスメント係数 

急性試験データで得られた最も低いL(E)C50はPNECSWの計算に使用する。AFは6.2で検討した様々な

要因に基づいて決定する。 

6.1.1.3 

種の感受性分布(SSD)アプローチによるPNECの設定 

多くの物質,特に金属では,多くの試験が繰り返し行われており,公開情報及び非公開のデータベース

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

などで利用可能なデータが非常に豊富にある。したがって,幅広く集積されたデータの評価には,利用さ

れた試験の複合的な選別及び評価が必要である。例えば,確率論的方法(6.1.1.4)は,当該物質の使用に

よる環境リスクの確実な評価を構築するために使用することができる。 

6.1.1.4 

典型的な統計的外挿手法の使用 

統計的外挿の最良の方法は,生態系に属する多くの種で観測される様々な慢性環境毒性データ(無影響

濃度:NOEC)のパラメータ分布を前提とするモデルである。限られたデータセットの使用に伴う不確実

性を数値化するために,95 %の生物種に対して影響が出ない濃度(HC5)に対する95 %及び50 %の信頼

限界を計算することができる。PNECは,通常HC5の50 %信頼下限値のレベルに設定されている。これ

らの統計的外挿手法は,技術ガイダンス文書(European Commission, 2003)などの既存のガイダンスに記

載されている。 

6.1.2 

底質生物PNECの設定(PNECsed) 

6.1.2.1 

慢性試験結果からのPNECsedの推定 

慢性試験結果を使用する場合,次の式でPNECsedを求める。 

AF

Chronic

PNEC

sed

sed=

·································································· (3) 

ここに, 

PNECsed: 底質生物PNEC(mg/kg) 

Chronicsed: 慢性試験で得られた最も低いNOEC,10 %致死濃度

(LC10)又は10 %影響濃度(EC10)(mg/kg) 

AF: アセスメント係数 

各慢性試験で得られた最も低いNOECsed,又は各急性試験で得られた最も低いLC10又はEC10をPNECsed

の計算に使用する。AFは6.2で検討された様々な要因に基づいて決定する。 

6.1.2.2 

急性試験結果からのPNECsedの推定 

急性試験結果を使用する場合,次の式でPNECsedを求める。 

AF

C

E

L

PNEC

50

sed

)

(

=

 ···································································· (4) 

ここに, PNECsed: 底質生物PNEC(mg/kg) 
 

L(E)C50: 半数致死濃度(LC50)又は半数影響濃度(EC50)(mg/kg) 

AF: アセスメント係数 

急性試験データで得られた最も低いL(E)C50をPNECsedの計算に使用する。AFは6.2で検討された様々

な要因に基づいて決定する。 

6.1.3 

鳥類及び哺乳類のPNECの設定(PNECpred) 

魚類より高次の栄養段階にある生物のPNEC(PNECpred)は次の式で求める。 

AF

Tox

PNEC

pred

pred=

 ····································································· (5) 

ここに, PNECpred: 高次の栄養段階にある生物のPNEC(mg/kg) 
 

Toxpred: 高次の栄養段階にある生物の毒性値(mg/kg) 

AF: アセスメント係数 

鳥類のLC50又はNOEC若しくは哺乳類のNOECのいずれかの最も低い値をToxpredとして設定し,PNEC

(PNECpred)の計算に使用する。AFは6.2で検討された様々な要因に基づいて決定する。 

6.2 

アセスメント係数の検討 

限られた種類の水生生物に対する試験からPNECを計算する際の不確実性を考慮するために,試験タイ

プ,試験種の数,及び試験種の属する栄養段階の数に基づいて,PNEC算出時にアセスメント係数を適用

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する。 

幾つかのアセスメント係数の設定例が附属書Fに記載されているが,これらの複数の方法及び考え方を

組み合わせてもよい。 

6.3 

リスクキャラクタリゼーションに使用するPNECの算出 

リスクキャラクタリゼーションに使用するPNECは,実験的に決定した慢性試験データからのNOEC又

は急性試験データからのL(E)C50のいずれかの低い方の値から得られる。このNOEC又はL(E)C50は,全て

の環境毒性データから得られた適切なアセスメント係数とともに使用する。 

リスクキャラクタリゼーション 

7.1 

概要 

有機物質のリスクキャラクタリゼーションは,附属書Bに記載した段階的プロセスに従って行う。無機

物質のリスクキャラクタリゼーションは,附属書Cに従って行う。有機物質のPNECは,プロセスの各段

階及びレベルのために取得された毒性データを用いて計算する。リスクのレベルはPNECに対するPECの

比(PEC/PNEC)を計算することによって決定する。無機物質及び有機物質のリスク評価は,次に記載す

る共通のアプローチを利用して,リスクキャラクタリゼーションへの段階的なアプローチを採用している。 

有機化合物の金属錯体に対しては,附属書B及び附属書Cの両方のリスクキャラクタリゼーションを行

うことを推奨する。 

7.2 

データ及び情報 

7.2.1 

データ及び情報の収集及び取得 

適切に評価を行うためには,殺生物性活性物質の物理化学的特性,環境挙動及び有害性に関するデータ

及び情報が必要である。附属書B及び附属書Cに適切な試験を記載する。 

7.2.2 

収集したデータの信頼性評価 

7.2.2.1 

データの信頼性評価 

データを評価するための信頼性スコアを決定する標準的手法は既に存在している。そのような手法の一

つは,クリミッシュ(Klimisch)スコア法(D.4参照)である。また,このアプローチでは,“証拠の重み

付け”解析を検討する必要がある。 

7.2.3 

データ欠落の判断 

必要に応じ,データ欠落は,OECD(2009)に記載されている例を適用することによって,既存の試験・

研究から得られる情報をできる限り多く用いて補うことが望ましい。例えば,次のような例がある。 

− 定量的構造活性相関QSAR:化学構造及び/又は物理化学的特性を表現する数量と,影響及び活性と

の定量的(数学的)関係。QSARはしばしば回帰式の形を取り,連続尺度又は分類尺度による影響及

び活性の予測が可能である。したがって,“QSAR”という用語の中の修飾語“定量的”は,関係が定

量的であることを意味しているのであって,予測される評価項目が定量的であるということではない。

物質の種類(例 有機物又は無機物)に対応する適切なQSAR手法だけを用いることに注意が必要で

ある。 

− リードアクロス法:データ欠落を補う手法。未試験の化学物質に対する評価項目の情報を,試験した

化学物質についての同じ評価項目のデータを用いて予測する。試験した化学物質は,ある着目点(例

えば,活性,特性,構造など)について未試験の化学物質と“同等”とみなされるものである。評価

対象の物質と類似した物質の試験が存在する場合にリードアクロス法が適用できる。こうした論拠が

実証化できるようであれば,例えば,ある無機物質の塩に関する試験を同じ物質のその他の塩に使用

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することも可能となる。 

− グループ化手法:グループ全体が十分な類似性を示す物質グループに共通の特性を使用する方法 

有効とみなされる試験・研究結果だけを使用し,PNECを導き出す場合には,それらの試験のなかで最

も保守的な値を使用する必要がある。“信頼できない”又は“信頼性が非常に低い”と評価されたデータは

リスク評価に使用しないほうがよい。データ品質の評価法に関するガイダンスの例を附属書Dに記載する。 

7.2.4 

試験要件 

7.2.4.1 

試験方法 

試験は,優良試験所基準(GLP)の要件を満たすか又は同等の資格をもつ組織又は研究所が,試験を国

際的に認知された試験方法又は国際的に認知された方法と同等の試験方法(附属書E参照)に従って行わ

なければならない。 

7.2.4.2 

試験生物種の選択 

試験生物は,評価対象の環境区画に対応する種を選ぶことが望ましい。例えば,主に海水で使用するこ

とを目的とした製品の場合,海洋生物種の使用が望ましい。しかしながら,これは附属書Eに記載した試

験方法で定めた淡水種の使用を除外するものではなく,その場合には,PNECの決定のために導出した

NOEC又はL(E)C50に対して適用されるアセスメント係数の決定に際して淡水種であることを考慮すれば

よい。淡水での評価については,淡水種の使用が望ましい。 

7.2.4.3 

試験の省略 

ある特定の状況下では,幾つかの試験について,省略,他の試験結果又は手法で代替してもよい。いか

なる場合においても,試験の省略・代替には科学的根拠のある理由が必要である。次にその例を示す。 

− 化学的に類似の物質について試験が行われている場合 

− 対象物質を試験することが現実的でない場合 

7.2.5 

提出すべきデータ又は情報 

リスク評価を受ける者は,“証拠の重み付け”の根拠又は試験省略の理由として,データ又は情報に関す

る信頼性評価文書の添付を条件として,附属書Dに記載されている信頼性評価によって“信頼性なし”又

は“分類不能”と評価されるデータ又は情報を提出することができる。 

リスク評価を受ける者は,海洋環境の保護に対して重大な意味をもつ悪影響を示す全てのデータ又は情

報については,その信頼性にかかわらず,提出しなければならない[例えば,内分泌かく(攪)乱特性に

関する情報など]。 

7.2.6 

動物保護の考慮 

追加試験の実施計画の立案に当たり,最小限の数の脊椎試験動物を使用するなどの,動物保護を考慮に

入れなければならない。新たな試験を行うべきかどうかの検討において,その実施前に当該試験がNOEC

の精度を大きく向上させるかどうかを判断することが望ましい。精度向上の可能性が低いのであれば試験

を実施してはならない。 

7.3 

評価結果 

殺生物性活性物質の使用に対するリスクキャラクタリゼーションにおいて,次の用語を使用する。 

7.3.1 

低リスク 

“低リスク”と評価された場合,その殺生物性活性物質を使用する防汚方法を船舶に適用することは,

海洋環境に対して無視できる程度の低いリスクをもつとみなされる。 

7.3.2 

リスク懸念 

“リスク懸念”と評価された場合,海洋環境への生態系リスクが高い(無視できない)とみなされ,そ

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の殺生物性活性物質を使用する防汚方法の適用についての懸念がある。 

7.3.3 

比較的低リスク 

殺生物性活性物質を“比較的低リスク”と評価した場合,この物質を使用する船舶の防汚方法の生態リ

スクは海洋環境において無視できないが,許容範囲内であるとみなされることを意味する。 

7.4 

最後に行ったリスクキャラクタリゼーションの後で得た追加情報 

ある海洋環境において“低リスク”,“比較的低リスク”又は“リスク懸念”と評価された殺生物性活性

物質について,最後に行ったリスクキャラクタリゼーションの後で新たに追加情報が得られた場合は,リ

スクキャラクタリゼーションの修正を行う。 

リスク評価報告書 

この規格に従って行われたリスク評価については,評価に使用された情報及びその結果を含むリスク評

価報告書を作成する。リスク評価報告書には,附属書Gで記載された最低限必要とされる情報を記載する。 

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附属書A 

(参考) 

防汚塗料からの殺生物性活性物質の溶出速度推定方法 

A.1 はじめに 

この附属書では,防汚塗料から海水への殺生物性活性物質の溶出速度を推定するための主な既存の方法

を記載する。 

A.2 溶出速度の推定方法の例 

表A.1に船舶に塗布した防汚塗料からの殺生物性活性物質の溶出速度を推定するための主な方法及びこ

れらの方法の特徴を示す。 

A.3 推定方法 

同じ殺生物性活性物質であっても,求められた溶出速度は推定方法によって異なることがある。したが

って,推定方法の選択が重要となる。異なる方法で推定した値が,どの排出シナリオにおける代表的溶出

速度とどのように関係するのかについて,参考文献に掲載されている標準を参照されたい(Finnie, 2006: 

IPPIC, 2009)。 

通常,直接現場で測定する方法によって環境に応じた溶出速度の最良の推定値が得られるが,日常的に

使用できる実際的な標準化された手法は今のところない。計算法又はラボ試験法から求められる溶出速度

は,環境に応じた条件下での真の溶出速度を反映していない可能性がある。 

溶出速度の推定のための最初の選択は,“マスバランス計算法”である。同法は,環境リスク評価に用い

るために,溶出の現実的な最悪ケースの推定値を,船舶の乾燥塗膜のパラメータに基づいて得ることがで

きるように開発したものである。したがって,設計上の“供用”期間に対応する適切な乾燥塗膜厚さを選

択することが重要である。ある塗料配合にある殺生物性活性物質を使用しようとする場合に,既に利用可

能な防汚塗料又は防汚方法の仕様に基づいてその塗料仕様(すなわち,乾燥塗膜厚さなど)を見積もるこ

とができる。 

活性物質の溶出速度が水の相対流速(すなわち,船舶の速度)に依存していること,及び停船時の溶出

速度が航行時よりも一般的に低いことはよく知られている。したがって,船舶がほとんど動かない排出シ

ナリオの場合[例 OECDのマリーナや商業港のシナリオ(OECD, 2005)],マスバランス計算法及びラボ

試験法の両方とも,一般に溶出速度をかなり過大評価してしまうことになる。そのような場合は,溶出速

度の適切な補正を行い,排出シナリオにおけるPECの決定を見直すのが実用的なアプローチである。保守

的な補正係数としてマスバランス計算法には2.9を,ラボ試験法には5.4を推奨している(Finnie, 2006: 

IPPIC, 2009)。ラボ試験法のほとんどが“リスク評価の使用に不適である”と定義しているが,実験的に溶

出速度を得る場合には使用されることもあり得る。(現在のASTM及びISO法のように)溶出速度がかな

り過大評価される懸念があることから,適切な補正係数の適用が推奨される。 

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−殺生物性活性物質の溶出速度推定方法の例 

タイプ 

方法 

特徴 

マスバランス
計算法 

ISO 10890 
Modelling of biocide release rate from anti fouling paints by 
mass-balance calculation 

この方法は,殺生物剤溶出の一般的な経
験モデルであり,防汚塗料から溶出する
殺生物剤の総量は塗料が製造・塗布され
たときに元々あった殺生物剤の量を超
えないという基本的事実に基づくもの
である。この方法では塗料の供用期間全
体にわたる平均溶出速度を計算する。計
算値は塗料の供用期間中の最大平均溶
出速度とみなす。 
 
この方法は殺生物性活性物質を溶出す
るいかなる防汚塗料にも適用できる。 

ラボ試験法 

ASTM D5108-90 
Organotin Release Rates of Antifouling Coating Systems in Sea 
Water 
ASTM D6442-06 
Standard Test Method for Determination of Copper Release 
Rate From Antifouling Coatings in Substitute Ocean Water 
ASTM D6903-07 
Test Method for Determination of Organic Biocide Release 
Rate From Antifouling Coatings in Substitute Ocean Water 

これらの方法は,特定条件下(温度:25
±1 ℃,塩分濃度:33〜34ppt,pH:7.9
〜8.1)での任意の浸水期間(45日間以
上)にわたって回転円筒試験装置を用い
て溶出速度を測定する,標準化されたラ
ボ試験法である。 
 
回転円筒試験法は当初,有機スズ及び銅
を測定するために開発されたが,その後
拡張されて様々な有機殺生物性活性物
質を測定するために用いられている。 
 
これらの規格文書で説明されているよ
うに,溶出速度をかなり過大評価するこ
とがあるので,環境リスク評価に用いる
溶出速度を得るためにこれらの方法を
使用するときは注意する。 

ISO 15181-1 
Determination of release rate of biocides from antifouling 
paints−General method for extraction of biocides 
ISO 15181-2 
Determination of release rate of biocides from antifouling 
paints−Determination of copper-ion concentration in the 
extract and calculation of the release rate 
ISO 15181-3 
Calculation of the zinc ethylene-bis (dithiocarbamate) (zineb) 
release rate by determination of the concentration of 
ethylenethiourea in the extract 
ISO 15181-4 
Determination 

of 

pyridine-triphenylborane 

(PTPB) 

concentration in the extract and calculation of the release rate 
ISO 15181-5 
Calculation of the tolylfluanid and dichlofluanid release rate by 
determination of the concentration of dimethyltolylsulfamide 
(DMST) and dimethylphenylsulfamide (DMSA) in the extract 
ISO 15181-6 
Determination of tralopyril release rate by quantification of its 
degradation product in the extract 

background image

16 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−殺生物性活性物質の溶出速度推定方法の例(続き) 

タイプ 

方法 

特徴 

現場計測法 

SSCSD Dome Method (Finnie, 2006) 
Measuring in situ copper and organotin release rates using a 
dome placed on an immersed painted ship hull 

公表された結果では,この手法によって
現場で測定した溶出速度は,ラボ試験法
で測定したものよりかなり低い数値で
あった。 
 
これらの結果は,上記のラボ試験法では
防汚塗料からの有機スズ及び銅の溶出
速度を過大評価し,結果的に水域環境へ
の環境負荷を過大評価する可能性を示
唆している。 

17 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

船舶の防汚方法で使用する有機殺生物性活性物質に対する 

環境リスク評価のリスクキャラクタリゼーションプロセスの詳細 

B.1 

はじめに 

この附属書では,船舶の防汚方法で使用する有機殺生物性活性物質に対する環境リスク評価の意思決定

プロセスを規定する(図B.1参照)。このプロセスは,海洋環境保護のために適切な環境リスク評価を実施

することを目的としている。 

B.2 

段階的アプローチ 

B.2.1 評価プロセスの開始及び終了 

リスクキャラクタリゼーションプロセスは段階1(Tier 1)から始まり,段階2(Tier 2)のレベル2(Level 

2)に向けて段階的に進む。評価プロセスの最後に全ての殺生物性活性物質が“リスク懸念”,“比較的低リ

スク”又は“低リスク”と定義されるまで,各段階の評価基準に基づいて段階1,段階2のレベル1及び

段階2のレベル2の順で評価を行う。 

B.2.2 段階システム 

この附属書の段階システムは段階1及び段階2の2段階から成る。 

殺生物性活性物質が段階1の評価基準を満たしていない場合は,その物質が海洋環境に悪影響を及ぼす

可能性があることを意味し,段階2で追加試験が要求される。段階2に進むのに必要な最低要件として,

魚類及び水生無脊椎動物における生物濃縮係数(BCF)の最高値が2 000未満でなければならない。 

注記 段階2のレベル2を除き,このBCFの代わりにオクタノール水分配係数(log POW)によって

近似されたBCF(BCFp)を使用できる。 

B.2.3 レベル制 

この附属書におけるレベル制とは,段階2を完了させるための二つのステージに分けて行う殺生物性活

性物質の評価のことをいう。 

レベル1からレベル2への段階的評価を行う。レベル1で評価された物質に対して,防汚方法を評価実

施日以降使用できるように,あらかじめ期間を設定しておくことが望ましい。この期間(以下,保留期間

という。)中に,評価を受ける者はレベル2における評価を受けるためのデータを整備作成するものとする。 

殺生物性活性物質が環境に悪影響をもたらさないように,その生産量(輸入量を含む。),使用量などの

数量データに対応して保留期間を設定してもよい。 

B.3 

段階1 

B.3.1 データ及び情報の要件 

段階1で必要なデータ及び情報は,次のとおり。 

a) 暴露試験によって推定される魚類又は水生無脊椎動物の生物濃縮係数(BCF),若しくはlog POWによ

って近似されたBCF(BCFp) 

b) シミュレーション生分解性試験の結果から推定した半減期 

c) 次の全ての一次分解性試験の結果及びそれから推定される半減期 

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 加水分解性試験 

− 光分解性試験 

− 海水中生分解性試験 

d) 次の全ての水生生物の急性毒性試験結果(LC50及び/又はEC50) 

− 魚類 

− 無脊椎動物 

− 藻類 

e) 魚類又は水生無脊椎動物の最も敏感な種の慢性毒性試験結果(NOEC,LOEC及び/又はMATC) 

f) 

分解性試験時の初期投与後の分解プロセスにおける殺生物性活性 

g) PECSW及びその計算法 

h) アセスメント係数及びその根拠 

i) 

PNECSW及びその計算法 

j) 

各環境媒体のPECSW/PNECSW 

これらのデータを得るための既存の試験方法を,附属書Eに示す。 

B.3.2 評価基準 

段階1において,全ての評価基準(表B.1)を満たす殺生物性活性物質は,“低リスク”と評価する。 

表B.1−段階1の評価基準 

生物濃縮性 

魚類及び水生無脊椎動物における生物濃縮係数(BCF)の最高値が100未満 

分解性 

分解性試験から計算した究極分解の半減期が15日未満及び殺生物性活性の消失が見られる。 

リスク比 

PECSW/PNECSWが1未満 

注記1 究極分解は,一連の表層水混合分解シミュレーション試験で定めている無機化を意味する。一次分解は,殺

生物性活性物質の変化を意味する。 

注記2 物質がOECD TG 301シリーズで定義している“易分解性”と判明している場合,上記の分解の半減期の評価

基準を満たすとみなされる。 

B.3.3 評価 

物質がB.3.2の評価基準を満たし,かつ“低リスク”と評価される場合,その殺生物性活性物質を使用

する防汚方法の海洋環境への生態リスクは低いとみなされ,評価は完了する。 

物質が“低リスク”と評価されない場合,段階2のレベル1に進み,追加データ及び情報による評価を

継続する。 

B.4 

段階2のレベル1 

B.4.1 必要な追加データ及び情報 

段階2のレベル1では,段階1で得たデータに加え,次のデータ及び情報が必要である。 

a) 追加の慢性毒性データによるPNECの見直し 

b) KOC 

− KOCを求めるための吸着/脱着スクリーニング試験 

次のデータを得るための試験法は附属書Eに記載されている。 

さらに,BCFp[log POWによって近似された魚類又は水生無脊椎動物の生物濃縮係数(BCF)]を暴露試

験からの推定によるBCFの代わりに使用できる。 

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19 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.4.2 評価基準 

段階2のレベル1において,殺生物性活性物質が表B.2の評価基準(a)又は(b)のいずれかを満たす場合,

“比較的低リスク”と暫定的に評価される。 

PEC/PNECの評価基準については,正確性の低いPECの場合(例 検討される海洋環境タイプに制限が

ある場合,評価対象媒体のPECの計算が困難な場合,使用したモデルの再現性が低い場合,溶出速度を決

定するための試験方法の結果にかなりの差がある場合など),評価基準を1未満にしてもよい。 

表B.2−段階2のレベル1の評価基準 

(a) 

(b) 

生物濃縮性 

魚類及び水生無脊椎動物における生物濃縮係数
(BCF又はBCFp)の最高値が100未満 

魚類及び水生無脊椎動物における生物濃縮係数
(BCF又はBCFp)の最高値が1 000未満 

分解性 

分解性試験から計算した究極分解の半減期が
60日未満,かつ 
殺生物性活性の消失が見られる。 

分解性試験から計算した究極分解の半減期が
15日未満,かつ 
殺生物性活性の消失が見られる。 

底質への蓄積 

土壌吸着係数(Kp)の最高値が2 000未満 

リスク比 

PEC/PNECが1未満 

注記1 生物濃縮の評価基準では,BCFの代わりにlog POWによって近似されたBCF(BCFp)を使用できる。 
注記2 究極分解は,一連の表層水混合分解シミュレーション試験で定めている無機化を意味する。一次分解は殺

生物性活性物質の変化を意味する。 

注記3 物質がシミュレーション生分解試験で定義している“究極分解”と判明している場合,上記の分解の半減

期の評価基準を満たすとみなされる。 

B.4.3 暫定的評価 

段階2のレベル1の評価結果は暫定的である。殺生物性活性物質がB.4.2の評価基準を満たす場合でも,

申請者はレベル1の承認日からの“保留期間”内にレベル2の評価を再度申請するものとする。 

B.5 

段階2のレベル2 

B.5.1 必要な追加データ及び情報 

段階2のレベル2では,段階1及び段階2のレベル1で得たデータに加え,分解生成物の同定及び定量

に関する情報が必要である。 

さらに,段階2のレベル1で満たされなかった評価基準によっては次のデータ及び情報が必要となるこ

とがある。log POWによって近似された生物濃縮係数(BCFp)は使用できない。 

a) 分解生成物のリスクキャラクタリゼーション(B.5.2参照)。 

b) 暴露試験によって推定される魚類又は水生無脊椎動物における生物濃縮係数(BCF) 

c) 追加の慢性毒性データによるPNECの改善 

d) 水/底質分解 

e) 二次的影響による捕食者のリスク評価及び環境経由で暴露した人間のリスク評価 

− 鳥類 

− 哺乳類 

B.5.2 分解生成物のリスクキャラクタリゼーションに必要な追加データ及び情報 

殺生物性活性物質の分解生成物のリスクキャラクタリゼーションのプロセスを図B.2に示す。このプロ

セスでは,殺生物性活性物質の初期投与量の10 %以上の分解生成物に対して次のデータが必要である。

B.3.1 c)で説明した方法に従って分解性試験を行わなければならない。 

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20 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 初期投与量の10 %以上の分解生成物の同定及び定量 

b) 次の全ての水生生物の急性試験結果(LC50及び/又はEC50)又は定量的構造活性相関(QSAR)アプ

ローチによって得られた結果 

− 魚類 

− 無脊椎動物 

− 藻類 

c) 魚類又は水生無脊椎動物の慢性試験結果(NOEC,LOEC及び/又はMATC)又は定量的構造活性相

関(QSAR)アプローチによって得られた結果 

d) PEC及びその計算法 

e) アセスメント係数及びその根拠 

f) 

PNEC及びその計算法 

B.5.3 評価基準 

段階2のレベル2では,表B.3の評価基準(a)又は(b)のいずれかを満たす殺生物性活性物質は“比較的低

リスク”と評価される。 

表B.3−段階2のレベル2の評価基準 

(a) 

(b) 

生物濃縮性 

BCFが1 000以上2 000未満 
及び 
PEC/PNEC(捕食者,哺乳類)が1未満 

BCFが1 000未満 

底質への蓄積 

Kpが2 000未満 

又は 
究極分解の半減期が15日未満(水/底質シミュレーション試験)又はPEC/PNEC

(底質)が1未満 

分解性 

殺生物性活性の消失が見られる。 

リスク比(分解生成物) 

全ての分解生成物が初期投与量の10 %未満である。 
又は 
PEC/PNECが1未満(分解生成物が初期投与量の10 %以上) 

リスク比(殺生物性活性物質) PEC/PNECが1未満 

注記1 究極分解は,一連の表層水混合分解シミュレーション試験で定めている無機化を意味する。一次分解は殺

生物性活性物質の変化を意味する。 

注記2 分解生成物の評価では,全ての主要な代謝物(殺生物性活性物質の初期投与量の10 %超)のリスク評価を

行う。分解とは一次分解のことをいう。QSARアプローチによって分解生成物の毒性データのPNECを得
ることができる。 

段階2のレベル1で“比較的低いリスクとして暫定的に分類される”と決定したとしても,レベル1の

決定日から一定の期間後,段階2のレベル2において暴露方法によって推定された生物濃縮係数を示し,

分解生成物のリスクキャラクタリゼーションを行わなければならない。 

B.5.4 評価 

物質がB.5.3の評価基準を満たさない場合,“リスク懸念”と評価される。物質がB.5.3の評価基準を満

たす場合,“比較的低リスク”と評価される。例えば,リスク評価が低精度のPECによって十分信頼でき

ない場合(検討される海洋環境タイプが制限される,目標海域のPECの計算が困難である,使用したモデ

ルの再現性が低い,溶出速度を決定する試験の方法間の結果のばらつきが大きい場合などによる),追加結

果による再評価を行う間,特定の船への適用を制限することも可能である。 

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.1には次の注記を適用する。 

注記1 究極分解は,一連の表層水混合分解シミュレーション試験で定めている無機化を意味する。

一次分解は殺生物性活性物質の変化を意味する。 

注記2 記号“#n”(n=1〜4)のいずれかの評価基準を満たしていない場合,同じ記号のある次の段

階の評価基準が見るべき唯一の要件である。 

注記3 段階2のレベル1には,log POWによって近似されたBCFpを使用できる。ただし,POWの推

定が難しい場合はこの近似は認められない。これらの化学物質には,容易に代謝可能な化合

物,タンパク質などの脂肪には容易に溶けないが体内の特定成分への親和性によって人体に

取り込むことができる化合物,有機金属及び表面活性剤が含まれる。 

注記4 半減期の評価基準での分解とは,シミュレーション生分解試験で定義している“究極分解”

のことをいう。 

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22 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

段階1

段階1で必要なデータ

1  魚類/無脊椎動物の生物濃縮(暴露試験又はlog POW からの近似) 
2  PEC算定のための一次分解性
  (1)   加水分解
  (2)   光分解
  (3)   海水中生分解
3 海水中生分解性
  (4)   シミュレーション生分解性試験による究極分解
4  急性毒性;L(E)C50
  (5)   魚類
  (6)   無脊椎動物
  (7)   藻類
5  慢性毒性;NOEC, LOEC, MATC
  (8)   魚類/無脊椎動物
6   初期投与後の分解プロセスにおける殺生物性活性

BCF又はBCFp < 100

かつ

究極分解の半減期 < 15d

(シミュレーション生分解性試験)

かつ

殺生物性活性の消失が見られる

かつ

PEC/PNEC < 1

no

yes

低リスク  

レベル1

段階2のレベル1で必要なデータ

1   慢性毒性データの追加によるPNEC値の精緻化
2   Koc
  (1)    Kocのための吸着/脱着スクリーニング試験

BCF又はBCFp

< 100#1

no

yes

究極分解の

半減期 < 15d

(シミュレーション

生分解性試験)

BCF又はBCFp

< 2 000

no

yes

yes

リスク懸念

レベル1の評価日から一定期間
比較的低リスクとして暫定的に分類

段階2

レベル2

段階2のレベル2で必要なデータ

分解生成物に関する一連のデータ(図B.2参照)

必要に応じて
1   慢性毒性データの追加によるPNEC値の精緻化
2   魚類/無脊椎動物の生物蓄積(暴露試験)
3   水/底質分解性
4   環境を通じた二次的影響及びヒト暴露による捕食
者のリスク評価
  (1)  鳥類
  (2)  哺乳類

究極分解の

半減期 < 15d#3

(水/底質シミュレーション試験)

かつ

PECsed/PNECsed < 1#3

and/or

PEC/PNEC < 1#4

no

no

究極分解の

半減期 < 60d#2

(シミュレーション生分解性試験)

かつ

Kp < 2 000#3

かつ

殺生物性活性の消失が見られる

かつ

PEC/PNEC < 1#4

yes

no

捕食者と哺乳類の

PEC/PNEC#1

< 1

no

yes

yes

開始

yes

BCF又はBCFp

< 1 000#1

Kp < 2 000#3

かつ

PEC/PNEC < 1#4

no

yes

Kp < 2 000#3

かつ

殺生物性活性の消失が見られる

かつ

PEC/PNEC < 1#4

yes

no

リスク懸念

比較的低リスク

比較的低リスク  

yes

殺生物性活性の

消失が見られる#2

yes

リスク懸念

no

no

BCF < 100

yes

no

活性物質の分解生成物のリスクキャラクタリゼーション過程に進む(図B.2)

BCF < 2 000

yes

no

BCF

< 1 000#1

no

yes

BCF < 2 000

yes

no

BCF

< 1 000#1

no

図B.1−有機殺生物性活性物質のリスクキャラクタリゼーションプロセス 

開始 

Pow 

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23 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すべての分解生成物が

初期投与の10%未満

no

分解生成物の全媒体の

PEC/PNEC比が1未満

段階2

レベル1

段階2

レベル2へ

yes

yes

no

リスク懸念

殺生物性活性物質の初期投与量の10%以上の分解
生成物に対して必要なデータ

分解生成物の同定と定量
  (1)   加水分解
  (2)   光分解
  (3)   海水中での生分解

必要に応じて
1  急性毒性;L(E)C50
  (1)   魚類
  (2)   無脊椎動物
  (3)   藻類
2  慢性毒性;NOEC, LOEC, MATC
  (4)   魚類/無脊椎動物

注記1 QSARアプローチによって分解生成物のPNECの毒性データを得ることができる。 
注記2 ここでいう分解とは一次分解のことである。分解生成物が殺生物性活性物質の初期投与量の

10 %以上の場合に全ての主要な代謝物のリスク評価を行う。 

図B.2−有機殺生物性活性物質の分解生成物のリスクキャラクタリゼーションプロセス 

段階2 

レベル1 

段階2 

レベル2へ 

全ての分解生成物が

初期投与の10 %未満

生物性活性物質の初期投与量の10 %以上の分解 

生成物に対して必要なデータ 

分解生成物の全媒体の

PEC/PNECが1未満 

24 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(規定) 

船舶の防汚方法に使用する無機殺生物性活性物質の 

リスクキャラクタリゼーションにおいて考慮すべき問題 

C.1 はじめに 

この附属書では,船舶の防汚方法に使用する無機殺生物性活性物質の環境リスク評価の意思決定プロセ

スを規定するため箇条7の記載内容を詳しく説明する。海洋環境保護のための適切な環境リスク評価を規

定することがこの附属書の目的である。無機物は通常非分解性なので,次の点を特別に考慮しなければな

らない。影響を抑制する他の機序の存在する可能性があるため,附属書Bで定義した段階1の生物濃縮及

び分解の評価基準に照らして非分解性物質を評価することは適切でない。 

C.2 データの豊富な無機物のデータ収集及びリスク評価手法 

合成有機物のために開発された方法論を用いて天然の無機物のリスク評価を行うことは適切でない場合

がある。それらの方法は,天然の無機物の性質及び生物相との相互作用を適切に扱えない可能性がある。

例えば,次の項目などがある。 

− 天然由来及び人為的汚染 

− 必須性 

− 恒常性維持調節メカニズム 

− 様々な自然環境への順化 

− 生物学的利用能 

多くの無機物については,多くの試験が繰り返されたため非常にデータが豊富であり,したがって,広

範に収集されたデータを評価するため,6.1.1.3で説明しているように試験の複合的な選別及び評価が必要

である。 

天然の無機物のリスク評価プロセスは,環境保護に対して妥協することなく現実的な評価を導き出すた

め,天然由来,必須性,生物学的利用能などの要因に関する情報を含むように構築されることが望ましい。 

C.3 データ収集 

プロセスの第一段階は,入手可能な全てのデータの収集である。収集されたデータは,品質及び信頼性

に関して選別することが望まれる。 

要求データ及び情報を次に示す。試験プロトコル例の詳細を附属書Eに記載している。 

C.3.1 物理化学的性質 

附属書Gに示す物理化学的性質に関するデータが必要である。 

C.3.2 水/底質間の分配 

OECDテストガイドライン106の段階2で明記はされていないが,その手順を底質にも適用可能である。

もう一つの方法はHPLC法による吸着度の推定である(OECD TG121)。物質によってはHPLC法がまだ十

分に検証されていないため注意することが望ましい。 

C.3.3 魚及び/又は水生無脊椎動物の生物濃縮係数(BCF) 

物理化学的特性に基づいて,水生生物固有の殺生物性活性物質の生物濃縮の可能性について,評価結果

25 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を提出することが望ましい。特に金属などの無機物の場合,トキシコキネティクス試験(必要に応じて代

謝に関するものを含む。),水生生物の残留調査又はモニタリングデータ(例として,水生生物の組織中の

残留及び環境における残留濃度に関するデータ)若しくは利用可能な関連する試験に基づいた評価結果を

提出することが望ましい。 

水系の生物濃縮の評価には,海洋生物及び魚食性の鳥類又は捕食動物を含む淡水及び/又は海水環境の

食物連鎖と関連する生物濃縮係数の推定値を含めることが望ましい。 

多くの無機物,特に金属に対しては,ほとんどの生物が恒常性維持調節メカニズムを保持しており,生

物濃縮試験が適切でない場合があることに注意することが望ましい。 

魚類及び/又は無脊椎動物の適切な種で生物濃縮試験を実施しなければならない。試験方法例を附属書

Eに示す。 

C.3.4 その他のデータ 

必要な情報を,次に記す。 

a) 異なる環境区画及び状況における物質の生物学的利用能に影響する因子に関する情報 

− 区画内の有機物の影響 

− 区画内の粒子状物質の影響 

− 水生区画内pHの影響 

− 淡水の硬度 

注記 生物学的利用能への主な影響は,水質に関する因子であり,上記を含むがそれに限定されな

い。 

b) 対象とする環境区画及び状況における物質の天然由来に関する情報 

C.4 アセスメント係数 

アセスメント係数の設定方法の幾つかの例を,附属書Fに記載する。 

無機物については,様々な分類群についての非常に多くの広範囲な慢性毒性試験が存在する場合が多い

ため,PNECを導き出すために統計的外挿法を使用することができる。その際,データセットの規模及び

品質の信頼性に基づいて低いアセスメント係数(通常1〜5)を適用できる。 

C.5 リスクキャラクタリゼーション及び不確実性分析 

C.5.1 初期リスクの検討事項 

初期のリスクキャラクタリゼーションは,予測環境濃度(PEC)を導き出し,それを各環境区画の予測

無影響濃度(PNEC)と比較することによって行う必要がある。導き出したPECとPNECとの比較におい

ては,合理的な結果が得られるよう,不確実性及びデータギャップを理解した上で評価することが望まし

い。 

予測リスク(PEC/PNEC)をレビューする場合(図C.1参照),さらに精緻化を行う必要があるかもしれ

ない。その場合,C.5.1.1からC.5.1.4に示すように,天然の無機物の性質の特定の側面に注意を払いなが

ら評価を行うことが望ましい。使用するリスク比を決定する場合には,生物学的利用能を考慮に入れた暴

露モデルを利用する必要があるかもしれない。 

注記 生物学的利用能を考慮に入れた暴露モデルがBiotic Ligand Model(BLM)である(C.5.2参照)。 

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図C.1−無機殺生物性活性物質のリスクキャラクタリゼーションのプロセス 

C.5.1.1 必須性 

ある決まった濃度範囲内であれば,生物は,必須元素の体内濃度を制御するために過度のストレスを感

じることなくその恒常性維持調節メカニズムを使用する。 

導き出したPNECは理論上このしきい(閾)値以下であってはならない。必須金属の濃度がこのしきい

値を下回る場合,必須金属の欠乏による影響が生じる可能性があるため,PNECを見直すことが望ましい。 

C.5.1.2 バックグラウンド濃度 

バックグラウンド濃度の情報を入手できる場合,導き出したPNECは論理的にその濃度を下回ることが

できない。 

暴露評価 

1. 計算されたバックグラウンド濃度を用いた

一般的なモデル 

2. 測定されたバックグラウンド濃度を用いた

一般的なモデル 

3. 暴露シナリオの直接的な現場測定 
“典型的”かつ“合理的な最悪のケース”のシ
ナリオ 

影響評価 

− データ収集 
− データ(の質)の調査 
− PNEC導出(アセスメント係数又は統計的

手法) 

論理的検証: 

求めたPNECは 

バックグラウンド濃度レベル 

又は必須濃度を 

下回っているか? 

リスクキャラクタリ

ゼーション 

リスク比: 

PEC/PNEC>1? 

比較的低リスク 

更なる 

精緻化は可能か? 

リスク懸念 

影響評価の精緻化 

− 生物学的利用能 
− 必須性 
など 

暴露評価の精緻化 

− バックグラウンド 
− 監視データ 
など 

YES 

NO 

NO 

YES 

YES 

YES 

NO 

27 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.5.1.3 順応性 

生物はその環境における金属濃度に自然に順応できる。試験において当該生物への投与量を設定する場

合,この影響を考慮に入れなければならない。その受容性を決定する場合,当該試験の結果を慎重に検討

することが望ましい。 

C.5.1.4 生物学的利用能 

一般暴露モデルは,総濃度及び/又は溶存濃度の計算結果を応答する。 

特に,必須金属の生物活性は,溶存有機炭素などとの相互作用によって低減することが研究によって分

かっている。 

生成する有機金属錯体は生物学的利用能のない可能性があるため,モデル化から得られる総濃度は,生

物活性を真に反映した数値として使用するには最適ではない可能性がある。 

C.5.2 水生環境における無機物の化学形態の生物学的利用能のモデル化 

金属の生物学的利用能及び毒性は,水化学の働きであると認識されている。例を挙げると,無機及び有

機金属錯体の形成並びにその粒子表面への収着によって金属毒性は低減し得る。結果として,金属毒性は

周囲の水化学に依存し,大きく変動する場合がある。 

Biotic Ligand Model(BLM)は,金属化学種及び生物学的利用能への影響を推定するために開発された。

BLMは特定条件下の任意の場所に蓄積する生物学的利用能をもつ金属の量の予測に使用できる。 

C.5.3 評価の精緻化 

リスク評価は繰り返し実施されるプロセスであるため,段階1における更なるデータの導出又は段階2

におけるより優れた方法の適用によって精緻化を行ってもよい。BLMなどのモデルは常に開発が進んでお

り,新たな結果がもたらされる可能性がある。また,アセスメント係数の低減を可能にする追加の影響デ

ータ又は,典型的な最悪シナリオに相当する環境で実際に計測される測定値を用いた検証を通じた暴露評

価の精緻化によって,評価はさらに精緻化される可能性がある。 

28 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

データの品質を判断するためのガイダンス例 

D.1 はじめに 

この附属書は,有害物質の毒性データの品質を判断するための既存のガイダンスの例を記載する。 

D.2 データの品質評価に関するOECDガイダンス 

− Manual for Investigation of HPV Chemicals, Chapter 3, Data Evaluation: 

http://www.oecd.org/document/7/0,3343,en̲2649̲34379̲1947463̲1̲1̲1 

D.3 データの品質評価に関するEUガイダンス 

− European Chemicals Agency, 2008. Guidance on information requirements and chemical safety assessment 

Chapter R.4: Evaluation of available information. Guidance for the implementation of REACH. May 2008 

http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance̲document/information̲requirements̲r4̲en.pdf?vers=20̲08̲08 

− 殺生物性製品指令の参考文献−European Chemicals Bureau (2008). Technical Notes for Guidance in 

Support of Directive 98/8/EC of the European Parliament and the Council Concerning the Placing of Biocidal 

Products on the Market, Common Principles and Practical Procedures for the Authorisation of Registration of 

Product, Dossier Preparation and Study Evaluation 

D.4 クリミッシュ(Klimisch)スコア法 

クリミッシュ(Klimisch)スコア法では,次の四つの信頼性のカテゴリが与えられる。 

a) 制限なく信頼性あり(スコア1) 

b) 制限付きで信頼性あり(スコア2) 

c) 信頼性なし(スコア3) 

d) 評価できない(スコア4) 

このシステムを用いて,整理された全ての試験に信頼性スコアを付与することが望ましい。スコア1又

はスコア2のカテゴリだけをリスク評価に使用するのが望ましく,スコア3又はスコア4の試験はスコア

1又はスコア2の試験結果を補完するために用いてもよいが,スコア1又はスコア2の試験結果に代替す

ることはできない。 

− European Chemicals Agency, 2008. Guidance on information requirements and chemical safety assessment 

Chapter R.4: Evaluation of available information. Guidance for the implementation of REACH. May 2008 

http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance̲document/information̲requirements̲r4̲en.pdf?vers=20̲08̲08 

注記 OECDの高生産量化学物質の調査マニュアル第3章では,クリミッシュ(Klimisch)スコア

法が全面的に適用されている。 

29 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

試験方法の例 

E.1 

はじめに 

この附属書は,物質の分解,生物濃縮,毒性(急性及び慢性)及び底質吸着の既存試験方法の例を記載

する。 

E.2 

供試生物 

海生生物又は汽水生物を試験種として選定することが望ましい。異なる水域環境が暴露される場合,二

つの種で試験を行う方がよい。例えば,淡水種を供した試験に加え,海生種又は汽水性種のいずれかの適

切な供試生物の試験結果を提出することが望ましい。 

E.3 

生態毒性学的試験 

殺生物性活性物質又はその分解生成物による生物的システムの機能及び構造を損傷する能力は,生態毒

性試験を選択することによって明らかにされる。 

対象とする媒体(水,土壌及び大気)における生産者,消費者及び分解者の生態学的機能をもつ生物群

への影響は,それらの生態毒性試験において扱われる。 

所定の生態毒性学的な実験で見つかった全ての潜在的な悪影響を報告するとともに,関与すると推定さ

れるメカニズムの調査及びこれらの影響の重大性の評価に必要な追加試験を実施して報告する必要がある。

殺生物性活性物質の生態毒性学的な特徴を判断するために関連する全ての入手可能な生物学的なデータ及

び情報を報告することが望ましい。 

当該物質の用途に基づいて影響を受けそうな環境に関連している生物種を試験に供することが望ましい。

当該物質が直接又は間接的に河口域又は海洋の環境にだけ影響を及ぼすと考えられる場合,海生生物を供

することが望ましい。海洋環境又は汽水環境が影響を受け,それが唯一の標的環境ではない場合は,淡水

種の試験に加え,海生種又は汽水種の毒性試験が必要である。 

試験の投与期間を延長する場合,安定性が許容範囲ならば,なるべく単一のバッチの殺生物性活性物質

を用いて投与を行うことが望ましい。試験が別の投与量の使用を暗示する場合は,投与量と悪影響との関

連性を報告することが望ましい。 

固有の毒性の推定及び毒性に影響する要因を含め,得られた試験結果の重要性の判断を進めるためには,

可能であれば,それぞれ関連する生物種の同じ系統(又は記録された原種)を様々な指定の毒性試験に供

することが望ましい。 

欧州での試験方法にも定められているとおり,試験物質の濃度は少なくとも試験の開始時及び終了時に

測定することが望ましい。しかしながら,通常はより頻繁に濃度をモニタリングする必要があるだろう。

LC50,EC50及びNOECの値は,こうした測定濃度に基づいて計算することが望ましい。 

ただし,測定濃度が名目濃度に近い(すなわち,名目濃度の80 %を超える)とき,試験物質の名目濃度

に基づいてLC50,EC50及びNOECを計算してもよい。その他の場合は,測定濃度の相加平均を使用するこ

とが望ましい。 

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

E.3.1 次の全ての生物の急性毒性試験結果 

試験によって,死亡率,遊泳阻害又は成長阻害に対する急性毒性値,NOEC値及び観測した影響の詳細

が得られる。 

水生生物の毒性試験を行う場合,水溶解度試験で得た溶解度及び安定度と異なることがあるので,実際

の試験媒体における物質の溶解度及び安定度を確認することが有用である。 

魚類は1種以上を試験するものとし,海生種が望ましい。生物が異なる水域環境で暴露される場合,二

つの種,すなわち一つの淡水種及び一つの海生種を選択することが望ましい。Cyprinodon variegatus(シー

プスヘッドミノー)は海生種として用いてもよい。試験はEC法C.1又は対応するOECD TG203(シープ

スヘッドミノーによる試験が可能な場合)に従って行うことが望ましい。海生種の場合,例えば,US-EPA

ガイドラインOPPTS 850.1075に従うことが望ましい。 

E.3.2 慢性毒性試験 

慢性毒性試験は,急性毒性試験から特定した最も感度の高い種を一つ以上含めることが望ましい。6.1.1.3

のような統計的手法を使用する場合,その他の分類群,その他の栄養群及びその他の種に関する情報が特

に重要である。 

E.3.3 食物連鎖の考慮 

BCFが1 000以上2 000未満の場合,鳥類及び哺乳類への毒性について追加試験を検討することが望ま

しい(例 表E.7)。 

表E.1−分解性試験法の例 

試験 

参考文献 

分解生成物*の毒性, 
バイオアッセイ 

− Callow and Finlay (1995) A simple method to evaluate the potential for degradation of 

antifouling biocides. Biofouling 9: 153-165 

− ISO 11348-3 Water quality−Determination of the inhibitory effect of water samples on the 

light emission of Vibrio fischeri (Luminescent bacteria test)−Part 3: Method using 
freeze-dried bacteria 

加水分解 

− OECD 111: Hydrolysis as a Function of pH (EC method C.7.) 
− US-EPA OPPTS 835.2110 Hydrolysis as a function of pH 

光分解 

− M. Lynch, Ed. Procedures for Assessing the Environmental Fate and Ecotoxicity of Pesticides 

In: Aqueous Photolysis, Chapter 10, pp. 28-30. SETAC -Europe Publication, 1995 

− US-EPA OPPTS 835.2210 Direct photolysis rate in water by sunlight 
− OECD 316: Phototransformation of Chemicals in Water−Direct Photolysis 

海水における生物分解 − OECD 306: Biodegradability in Seawater 

− OECD 309: Aerobic Mineralisation in Surface Water−Simulation Biodegradation Test 
− ISO 14592-1 Water quality−Evaluation of the aerobic biodegradability of organic compounds 

at low concentrations−Part 1: Shake-flask batch test with surface water or surface 
water/sediment suspensions 

− ISO 14592-2 Water quality−Evaluation of the aerobic biodegradability of organic compounds 

at low concentrations−Part 2: Continuous flow river model with attached biomass 

− US-EPA OPPTS 835.3160 Biodegradability in sea water 

水/底質分解性試験 

− OECD 308: Aerobic and Anaerobic Transformation in Aquatic Sediment Systems 
− BBA guideline Part IV, 5.1 
− BBA 1990a Hoeks/Dekker 
− US-EPA OPPTS 835.3180 Sediment/water microcosm biodegradation test 

注* 

この規格では,ISO 11348-3に規定する発光バクテリア試験又は未検証であるがCallow & Finlay(1995)の提
案した試験方法によって殺生物性活性が時間的に低減するかどうかを特定する。 

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表E.2−生物濃縮試験法の例 

試験 

参考文献 

水生生物における生物
濃縮 

− OECD 305 Bioconcentration: Flow-Through Fish Test 
− US-EPA OPPTS 850.1710 Oyster BCF 

表E.3−急性試験法の例 

試験 

参考文献 

魚類への急性毒性 

− OECD 203 Fish, Acute Toxicity Test (EC method C.1) 
− US-EPA OPPTS 850.1075 Fish acute toxicity test, freshwater and marine 

無脊椎動物への急性毒
性 

− OECD 202 Daphnia sp. Acute Immobilisation Test (EC method C.2) 
− ISO 14669 Water quality−Determination of acute lethal toxicity to marine copepods 

(Copepoda, Crustacea) 

− US-EPA OPPTS 850.1020 Gammarid acute toxicity test 
− US-EPA OPPTS 850.1025 Oyster acute toxicity test (shell deposition) 
− US-EPA OPPTS 850.1035 Mysid acute toxicity test 
− US-EPA OPPTS 850.1045 Penaeid acute toxicity test 
− US-EPA OPPTS 850.1055 Bivalve acute toxicity test (embryo-larval) 
− ASTM E724 Standard Guide for Conducting Static Acute Toxicity Tests Starting with 

Embryos of Four Species of Saltwater Bivalve Molluscs 

− ASTM E1463 Standard Guide for Conducting Static and Flow-Through Acute Toxicity Tests 

With Mysids From the West Coast of the United States 

− Bryant et al. 1985 as quoted in OECD DRP on Aquatic Testing Methods for Pesticides and 

Industrial Chemicals,1998 (brackish water mollusk Macoma baltica) 

藻類の成長阻害試験 

− OECD 201 Freshwater Alga and Cyanobacteria, Growth Inhibition Test (EC method C.3) 
− ISO 10253 Water quality−Marine algal growth inhibition test with Skeletonema costatum and 

Phaeodactylum tricornutum 

− US-EPA OPPTS 850.5400 Algal toxicity, Tiers I and II 

微生物学的活性の阻害 − OECD 209 Activated Sludge, Respiration Inhibition Test (Carbon and Ammonium Oxidation) 

水生植物への毒性 

− US-EPA OPPTS 850.4400 Aquatic plant toxicity 
(For marine/estuarine higher plants, Zostera Spp. could be tested) 

表E.4−慢性試験法の例 

試験 

参考文献 

魚類への慢性毒性(繁
殖,成長への影響) 

− OECD 210 Fish, Early-Life Stage Toxicity Test 
− US-EPA OPPTS 850.1400 Fish early-life stage toxicity test 
− US-EPA OPPTS 850.1500 Fish life cycle toxicity 

無脊椎動物の繁殖及び
成長速度への影響 

− OECD 211 Daphnia magna Reproduction Test 
− US-EPA OPPTS 850.1300 Daphnid chronic toxicity test 
− US-EPA OPPTS 850.1350 Mysid Chronic Toxicity Test 
− Danish standard 2209 (marine species) 
− Bryant et al. 1985 as quoted in OECD DRP on Aquatic Testing Methods for Pesticides and 

Industrial Chemicals,1998 (brackish water mollusk Macoma baltica) 

底生生物への影響 

− ASTM E1367-03 Standard Test Method for Measuring the Toxicity of Sediment-Associated 

Contaminants with Estuarine and Marine Invertebrates 

− ASTM E1611-00 Standard Guide for Conducting Sediment Toxicity Tests with Polychaetous 

Annelids 

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表E.5−底質吸着試験法の例 

試験 

参考文献 

吸着/脱着スクリーニ
ング試験 

− OECD 106 Adsorption−Desorption Using a Batch Equilibrium Method (EC method C.18) 
− OECD 121 Estimation of the Adsorption Coefficient (Koc) on Soil and on Sewage Sludge 

using High Performance Liquid Chromatography (HPLC) 

− US-EPA OPPTS 835.1220 Sediment and soil adsorption/desorption isotherm 

表E.6−物理化学的特性の試験法の例 

試験 

参考文献 

融点,沸点及び相対密
度 

− OECD 102 Melting Point/ Melting Range 
− OECD 103 Boiling Point 
− OECD 109 Density of Liquids and Solids 
− US-EPA OPPTS 830.7200 Melting Point/Melting Range 
− US-EPA OPPTS 830.7220 Boiling Point/Boiling Range 
− US-EPA OPPTS 830.7300 Density/Relative Density/Bulk Density 

表面張力 

− OECD 115 Surface Tension 

引火点 

− EC method A.9 Flash-Point 

蒸気圧 

− OECD 104 Vapour Pressure 
− US-EPA OPPTS 830.7950 Vapor Pressure 

水溶解性 

− OECD 105 Water Solubility 
− US-EPA OPPTS 830.7840 Water Solubility: Column Elution Method; Shake Flask Method 
− US-EPA OPPTS 830.7860 Water Solubility (Generator Column Method) 

n-オクタノール水分配
係数 

− OECD 107 Partition Coefficient (n-octanol/water): Shake Flask Method (EC method A.8.) 
− OECD 117 Partition Coefficient (n-octanol/water), HPLC Method 
− OECD 123 Partition Coefficient (1-Octanol/Water): Slow-Stirring Method 
− US-EPA OPPTS 830.7550 Partition Coefficient (n-Octanol/Water), Shake Flask Method 
− US-EPA OPPTS 830.7560 Partition Coefficient (n-Octanol/Water), Generator Column Method 
− US-EPA OPPTS 830.7570 Partition Coefficient (n-Octanol/Water), Estimation By Liquid 

Chromatography 

表E.7−鳥類及び哺乳類の毒性試験法の例 

試験 

参考文献 

鳥類への毒性 

− OECD 205 Avian Dietary Toxicity Test 
− OECD 206 Avian Reproduction Test 

哺乳類への毒性 

− OECD 407 Repeated Dose 28-Day Oral Toxicity Study in Rodents 
− OECD 408 Repeated Dose 90-Day Oral Toxicity Study in Rodents 
− OECD 409 Repeated Dose 90-Day Oral Toxicity Study in Non-Rodents 

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附属書F 

(参考) 

アセスメント係数(AF)の決定 

F.1 

はじめに 

この附属書では,慢性NOEC又は急性毒性データからPNECを計算する際に使用するアセスメント係数

(AF)の既存の決定方法の例を記載する。 

F.2 

OECDスクリーニング情報データセット(SIDS)マニュアル 

アセスメント係数は,PNECを推定するために限られた毒性データセットしかない場合に,影響濃度を

調整するために使用される。特定の作用機序をもつことが疑われる物質,高いlog KOWをもつ物質又はか

なり生物濃縮される物質の急性毒性データへはアセスメント係数を慎重に適用することが望ましい。 

アセスメント係数は,次の不確実性及び外挿を反映させることが望ましい。 

a) 種間差及び種内差 

b) 急性毒性から慢性毒性への外挿 

c) ラボ試験結果から現場への外挿 

提案された幾つかのアセスメント係数は,HPV化学物質マニュアル第4章付録1(OECD, 2007b)にま

とめられている。SIDSデータからPNECを推定する際に使用するアセスメント係数を次の段落で説明する。

これらの係数は表F.1にまとめられている。 

SIDSの急性毒性データしか利用できない場合,100〜1 000のアセスメント係数を最低のL(E)C50[すな

わち,ケース(a)]に適用する。係数1 000は保守的で予防的な係数であり,限られたデータしか利用でき

ない場合に適用する。すなわち,より適切な係数を示す証拠があれば,この値を100まで下げてもよい。

当該証拠には次のものが含まれる。 

− 最も感受性の高い種を代表するとみなされる種を含む様々な種の利用可能なデータ 

− 構造的に類似した化合物又はQSARから,急性・慢性比率(ACR)が低くなる可能性があることを示

す情報 

− 毒性において種間差がほとんどなく,非特異的又は麻酔的に作用する化学物質であることを示す情報 

− 化学物質の排出が急激又は断続的であり,その化学物質が環境中で難分解性ではないことを示す情報 

急性毒性データに加え,慢性毒性データが利用できる場合,次のことを考慮に入れて,10〜100のアセ

スメント係数を最低のNOEC[すなわち,ケース(b)]に適用する。 

− 慢性NOECが一つ又は二つの栄養段階(すなわち,魚類,ミジンコ属又は藻類)を表す一つ又は二つ

の種から利用できる場合,係数100又は50を最低のNOECに適用する。この場合,慢性毒性データ

から得たPNEC値を急性データから得られた最低値と比較することが望ましい。評価に使用される

PNECは最も低い値となる。 

− 慢性NOECが三つの栄養段階(すなわち,魚類,ミジンコ属及び藻類)を表す三つの種から利用でき

る場合,係数10を最低のNOECに適用する。また,最も感受性の高い種が試験されているという信

頼性のある証拠があれば,二つの栄養段階(すなわち,魚類,ミジンコ属及び/又は藻類)を表す二

つの種から係数10を最低のNOECに適用してもよい。 

異なるアセスメント係数の使用は評価報告書の中で明確に説明することが望ましい。 

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表F.1−PNECを推定するために提案しているアセスメント係数の概要 

ケース 

利用可能なデータ 

アセスメント係数の範囲 

(a) 

EC50藻類(72時間) 
EC50ミジンコ属(24〜48時間急性試験) 
LC50魚類(96時間) 

100〜1 000 

(b) 

NOECミジンコ属(14〜21日間慢性毒性試験) 
NOEC藻類(72時間) 
NOEC魚類(慢性毒性試験) 

10〜100 

注記1 ケース(a)には三つ全ての急性データがSIDSに含まれている。 
注記2 ケース(b)では,NOEC藻類はSIDSの要素であり,NOECミジンコ属及びNOEC

魚類もある種の化学物質のSIDSに含まれる。 

参考文献:OECD (2007b) 

F.3 

EU殺生物性製品指令(BPD)に従ったリスク評価のための技術ガイダンス文書(TGD) 

表F.2では,アセスメント係数を変える根拠は,通常,藻類,甲殻類及び魚類の種[きょく(棘)皮動

物,軟体動物など]によって代表されるもの以外の追加の摂食方式,生物形態,分類群などを網羅するよ

り広範囲な種からのデータ利用の可能性の検討を含めることが望ましい。これは特に海生種を代表する追

加分類群に対してデータが利用できるような場合である。利用できるデータ及びアセスメント係数の大き

さと変動について検討すべき問題に関するより具体的な推奨事項を次に示す。 

物質が哺乳類,鳥類,水生生物又はその他の野生生物の内分泌系をかく乱している可能性があるという

裏付けのある証拠があれば,アセスメント係数が当該作用機序によって生じた影響を防ぐのに十分である

かどうか,又は係数の増加が適切であるかどうかを検討することが望ましい。 

a) 係数10 000を急性毒性データに使用することは保守的で予防的であり,これによって悪影響をもつ可

能性のある物質が特定される。上記で特定された不確実性は,全体の不確実性に大きく影響すること

が想定される。 

ある物質について,不確実性のある特定の要素がそれほど重要でないか,又はその他よりも重要で

あるという証拠があるかもしれない。これらの状況下では,アセスメント係数を調整する必要がある

かもしれない。このアセスメント係数の調整は,利用できる証拠に応じて上げたり下げたりしてもよ

い。断続的に排出される物質以外では,EU BPDのTGDのセクション2.3.4.3で定義しているように,

急性毒性データから海水のPNECwaterを導き出す際に,いかなる事情があっても係数を1 000未満にす

べきでない。 

アセスメント係数を調整する根拠には,次のようなものがある。 

− より高い又は低い係数が適切である可能性があることを示す構造的に類似した化合物での証拠。 

− それらの構造によって幾つかの物質が非特異的に作用することが知られている場合の作用機序に関

する情報。この場合,より低い係数を検討してもよい。同様に,既知の特異的な作用機序は,より

高い係数をもたらす可能性がある。 

− 少なくとも三つの栄養段階にわたるベースセット種(魚類,ミジンコ属及び藻類)の分類群を含む

様々な種からのデータの利用可能性。この場合,複数のデータポイントが最も感受性の高い分類群

(すなわち,他のグループより10倍以上低い急性毒性を示すグループ)で利用できるならば,アセ

スメント係数は下げてもよい。 

b) 藻類,甲殻類及び魚類の種によって代表されるもの以外に,追加の分類群(きょく皮動物,軟体動物

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F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

など)を含む広範囲な種からのデータが利用できる場合,海生種を代表する少なくとも二つの追加分

類群に対してデータが利用可能であれば,アセスメント係数1 000を適用する。 

急性の藻類,甲殻類又は魚類の毒性試験において,最低のL(E)C50を示す分類群のNOECがある場

合,アセスメント係数1 000を1種での慢性NOEC(淡水又は海水の甲殻類又は魚類)に適用する。 

唯一利用できる慢性NOECが,急性試験で最低のL(E)C50を示す種からのものではない場合,ここ

で適用できるアセスメント係数を使用することはその他のより感受性の高い種を保護するものとはみ

なせない。したがって,有害性評価は急性データに基づき,アセスメント係数10 000を適用する。た

だし,通常は最低のPNECが優先される。 

また,急性試験の最低のL(E)C50を示す種からのNOECでない場合,二つの栄養段階(淡水又は海

水の藻類,甲殻類及び/又は魚類)の二つの慢性NOECの低い方にアセスメント係数1 000を適用す

る。 

急性で最も感受性の高い種が最低のNOECよりも低いL(E)C50をもつ場合は,そのNOECを適用す

ることは望ましくない。その場合,アセスメント係数1 000を急性試験の最低値L(E)C50に適用するこ

とによってPNECを導き出すことが求められる。 

c) 急性試験での最低のL(E)C50を含む二つの栄養段階(淡水又は海水の藻類,甲殻類及び/又は魚類)

のそれぞれのNOECがある場合,その二つの栄養段階のNOECの最低値にアセスメント係数500を適

用する。次の場合,この係数を引き下げることを検討することができる: 

− 魚類,甲殻類及び藻類のなかの最も感受性の高い種を試験していること,すなわち,三つ目の分類

群からの更に長期のNOECが,既に利用できるデータよりも低くならないことを,高い確率で判断

できることがある。その場合,アセスメント係数100が認められる。 

− 低減されたアセスメント係数(海生種における一つの急性試験だけであれば100まで,二つの急性

試験であれば50まで低減可能)を二の種だけから得られた最低のNOECに適用するのは,次の場

合に適切である。 

1) 海生生物の分類群を代表して追加した種(例 きょく皮動物又は軟体動物)の急性試験が実施され

ており,その結果,これらが最も感受性の高い群ではないことが示されている場合。 

2) これらの海生生物の分類群の慢性NOECが既に得られたものより低くはならないと高い確率で判断

できる場合。物質が生物濃縮の可能性をもっていない場合,これは特に重要である。 

また,急性試験で最低のL(E)C50を示す分類群からNOECを求めていない場合,三つの栄養段階の

三つのNOECの最低値にアセスメント係数500を適用する。ただし,急性で最も感受性の高い種が最

低のNOECよりも低いL(E)C50になる場合はこれを適用すべきでない。その場合,アセスメント係数

1 000を急性試験の最低のL(E)C50に適用することによってPNECを導き出すことができる。 

d) 三つの栄養段階にわたって三つの淡水又は海生種(藻類,甲殻類及び魚類)からより長期の毒性NOEC

が利用できる場合,アセスメント係数100を適用する。 

次の場合,アセスメント係数を最低10まで低減してもよい。 

− 海生生物の分類群を代表する追加の生物種(例 きょく皮動物又は軟体動物)の急性試験が実施さ

れており,これらが最も感受性の高い群ではないことを示しており,これらの種の慢性NOECが既

に得られたものより低くはならないと高い確率で判断される場合。 

− 追加の分類群(例 きょく皮動物又は軟体動物)の急性試験において,これらの一つが急性で最も

感受性の高い群であることが示されており,その種の慢性試験が行われている場合。他の分類群の

追加のNOECが既に利用可能なNOECよりも低くはならないと高い確率で判断される場合にだけ,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

これを適用する。 

e) ラボ試験だけに基づいて係数10を更に低減することはできない。十分なデータを利用できる場合,海

洋生物のPNEC計算のための統計的外挿法を使用できる。これらの方法に関する追加情報及びリスク

評価を目的としてこれらの方法を適用する前提条件は6.1.1.3に記載している。 

表F.4に示すように,水生生物に関するデータに適用しているこの細別c)及び細別d)の一般原則を底質

データにも適用することが望ましい。また,淡水種から入手できるものが海洋生物の感受性を適切に包含

しているという信頼性のある根拠があれば,淡水底質データに使用するアセスメント係数を適用できる。

当該根拠は,淡水及び海水の水生生物(底生生物を除く。)の慢性試験のデータを含んでもよいが,特定の

海生生物の分類群に関するデータを含んでいなければならない。 

表F.2−EU殺生物性製品指令(BPD)に従うリスク評価の技術ガイダンス文書(TGD) 

データセット 

アセスメント係数 

三つの栄養段階の三つの分類群(藻類,甲殻類及び魚類)の淡水又は海水の代表種の最低
の急性L(E)C50 

10000 a) 

三つの栄養段階の三つの分類群(藻類,甲殻類及び魚類)の淡水又は海水の代表種の最低
の急性L(E)C50+二つの追加の海生生物の分類群(例 きょく皮動物,軟体動物) 

1000 b) 

一つの慢性NOEC(淡水又は海水の甲殻類の繁殖試験又は魚類の成長試験によるもの) 

1000 b) 

二つの栄養段階(藻類,甲殻類及び/又は魚類)を代表する淡水種又は海生種からの二つ
の慢性NOEC 

500 c) 

三つの栄養段階を代表する三つの淡水種又は海生種(通常,藻類,甲殻類及び/又は魚類)
のうちの最低の慢性NOEC 

100 d) 

二つの栄養段階(藻類,甲殻類及び/又は魚類)を代表する淡水種又は海生種からの二つ
の慢性NOEC+追加の海生生物の分類群(例 きょく皮動物,軟体動物)からの一つの慢
性NOEC 

50 

三つの栄養段階を代表する三つの淡水種又は海生種(通常,藻類,甲殻類及び/又は魚類)
からの最低の慢性NOEC+追加の海生生物の分類群(例 きょく皮動物,軟体動物)から
の二つの慢性NOEC 

10 

種の感受性分布(SSD)法(個別の事案ごとに完全に根拠を示す。) 

5〜1 e) 

現場データ又はモデル生態系 

都度検討 

注a) F.3 a)参照 

b) F.3 b)参照 

c) F.3 c)参照 

d) F.3 d)参照 

e) F.3 e)参照 

参考文献:European Commission (2003) 

表F.3−EU BPDのTGDにおける急性の底質毒性試験に基づいて 

海生の底生生物のPNECを計算するためのアセスメント係数 

利用可能な試験結果 

アセスメント係数 

一つの急性の淡水又は海水の底質毒性試験 

10 000 

感受性の高い分類群の生物による一つ以上の海水の毒性試験を含む二つの急性毒性試験 

1 000 

参考文献:European Commission (2003) 

background image

37 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表F.4−EU BPDのTGDにおける慢性の底質毒性試験に基づいて 

海生の底生生物のPNECを計算するためのアセスメント係数 

利用可能な試験結果 

アセスメント係数a) 

一つの慢性の淡水の底質毒性試験 

1000 

異なる生息及び摂食状態を代表する種による二つの慢性の淡水の底質毒性試験 

500 

異なる生息及び摂食状態を代表する一つの慢性の淡水及び一つの慢性の海水の底質毒性
試験 

100 

異なる生息及び摂食状態を代表する三つの慢性の底質毒性試験 

50 

海生種による二つ以上の試験を含む異なる生息及び摂食状態を代表する三つの慢性の底
質毒性試験 

10 

注a) F.3の最終段落を参照 

参考文献:European Commission (2003) 

表F.5−EU BPDのTGDにおけるより高い栄養段階の生物のPNECを計算するためのアセスメント係数 

利用可能な試験結果 

試験期間 

アセスメント係数 

LC50鳥類 

5日 

3000 

NOEC鳥類 

慢性 

30 

NOEC哺乳類,食物,慢性 

28日 

300 

90日 

90 

慢性 

20 

注記 鳥類と哺乳類の両方のNOECがある場合,低い方のPNECをリスク評価に使用する。 

参考文献:European Commission (2003) 

F.4 

U.S. EPA OPTTによるTSCAの新規化学物質の生態リスク評価でのアセスメント係数 

表F.6−U.S. EPA OPTTによるTSCAの新規化学物質の生態リスク評価でのアセスメント係数 

当該化学物質又は類似物質に関する入手可能なデータ 

アセスメント係数 

限定されたデータだけ(例 SAR/QSARによる一つの急性LC50だけ) 

1000 

ベースセット急性毒性だけ(例 魚類及びミジンコのLC50及び藻類のEC50) 

100 

慢性毒性MATCs a) 

10 

化学物質の現場試験データ 

注記1 一つの急性毒性値しか利用できない場合は1 000。 
注記2 生態毒性データのベースセット(すなわち,魚類急性毒性,ミジンコ急性毒性及び緑藻類毒性)が利用で

きる場合,最も感受性の高い種に100を適用する。 

注記3 魚類,ミジンコ及び藻類の最低の慢性毒性値に10を適用する。 
注記4 現地調査(例 池)又はマイクロコズム試験の慢性値に1を適用する。 
注a) 最大許容毒性濃度(MATC)はLOEC及びNOECの相加平均値である。 

参考文献:Committee on Environment and Natural Resources of the National Science and Technology Council 

(1999) 

background image

38 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G 
(規定) 

リスク評価報告書に必要な最低限の情報 

G.1 

はじめに 

この附属書は,申請のため提出する物質のリスク評価報告書に含める必要がある最低限のデータ又は情

報について規定する。これらのデータ及び情報は,適正な環境リスク評価が行われたことを裏付けるため

に使用される。 

附属書Bで説明した段階的アプローチによるリスクキャラクタリゼーションを行う場合,以前のプロセ

スで既に使用又は取得したもの以外に,必要に応じて各段階で新たなデータ及び情報を加える。水生生物

の毒性試験データについては,PNECの精緻化及びアセスメント係数(AF)の低減のために慢性毒性デー

タを加えてもよい。 

この附属書に規定した要求項目以外の重要な関連データ及び情報もリスク評価報告書に記載することが

望ましい。 

表G.1−リスク評価報告書に必要な最低限の情報 

項目 

要求データ 

有機化合物 

無機 

化合物 

段階1 

段階2 

レベル1 レベル2 

申請者 

申請者の氏名,住所及び連絡先 

× 

× 

× 

× 

製造業者名及び工場所在地 

× 

× 

× 

× 

物質及び製品
の同定 

一般名*及び別名 

× 

× 

× 

× 

化学名(IUPAC)* 

× 

× 

× 

× 

CAS番号*及びその他の登録番号 

× 

× 

× 

× 

分子式及び構造式* 

× 

× 

× 

× 

分子量* 

× 

× 

× 

× 

物質の製造法・純度,及び材料及び前駆体の同定(例 
UV/VIS,IR,NMR又はMS) 

× 

× 

× 

× 

不純物及び添加物の同定 

× 

× 

× 

× 

物理化学的特
性 

融点*,沸点*及び相対密度* 

× 

× 

× 

× 

該当する場合,蒸気圧*,引火点及び表面張力 

× 

× 

× 

× 

物理的状態及び色 

× 

× 

× 

× 

水溶解度*(pH及び温度の影響) 

× 

× 

× 

× 

熱安定性及び分解生成物* 

× 

× 

× 

× 

検出及び同定
のための分析
法 

分析法,回収率,及び純物質・異性体・不純物・添加物・
分解生成物の検出限界 
− 海水 
− 底質 
− 動物体内組織及び食物 

× 

× 

× 

× 

background image

39 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表G.1−リスク評価報告書に必要な最低限の情報(続き) 

項目 

要求データ 

有機化合物 

無機 

化合物 

段階1 

段階2 

レベル1 レベル2 

標的生物への
効果及び用途 

標的生物及び影響 

× 

× 

× 

× 

代表製品中の物質の有効濃度 

× 

× 

× 

× 

溶出速度*及びその定量法 

× 

× 

× 

× 

作用機序(遅延性の影響を含む) 

× 

× 

× 

× 

使用者 

× 

× 

× 

× 

耐性獲得の発現に関する情報 

× 

× 

× 

× 

市販される年間トン数(製造及び輸入) 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

供用期間 

× 

× 

× 

× 

生態毒性学的
試験 

急性毒性* 
− 魚類への急性毒性 
− 無脊椎動物への急性毒性 
− 藻類への成長阻害 

× 

× 

× 

× 

慢性毒性* 
− 魚類への慢性毒性 
− 魚類の繁殖及び成長速度への影響* 
− 無脊椎動物の繁殖及び成長速度への影響* 

× 

× 

× 

× 

生物蓄積* 
− 魚類/無脊椎動物への生物濃縮*(BCF) 

× 

× 

× 

× 

− 生物濃縮*(BMF),必要に応じて 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

− n-オクタノール水分配係数*(pH及び温度の影響) 

× 

× 

× 

× 

生分解性* 
− 易分解性,必要に応じて 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

− 本質的生分解性,必要に応じて 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

− 海水中での生分解性 

× 

× 

× 

(×) 

非生分解性 
− pHに応じた加水分解性* 

× 

× 

× 

(×) 

− 水中の光分解性* 

× 

× 

× 

(×) 

分解生成物の同定 

− 

− 

× 

× 

水/底質分解*,必要に応じて 

− 

− 

(×) 

(×) 

初期投与の分解プロセスにおける殺生物性活性,必要に
応じて 

− 

− 

(×) 

(×) 

吸着/脱着スクリーニング試験 

− 

× 

× 

× 

底質/水間の分配,必要に応じて* 

− 

(×) 

(×) 

(×) 

background image

40 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表G.1−リスク評価報告書に必要な最低限の情報(続き) 

項目 

要求データ 

有機化合物 

無機 

化合物 

段階1 

段階2 

レベル1 レベル2 

二次的影響に
関する毒性試
験及び代謝試
験 

鳥類への影響,必要に応じて 
− 摂え(餌)による毒性 
− 繁殖への影響 

− 

− 

(×) 

(×) 

下記に関連したデータ 
− 急性毒性 
− 代謝試験 
− 反復投与毒性 
− 慢性毒性 
− 変異原性試験 
− 発がん(癌)性試験 
− 繁殖試験 
− 神経毒性試験 
− 医学データ 
− 家畜,ペット及び人間を含む哺乳類への毒性影響,

必要に応じて 

− 

− 

(×) 

(×) 

分類及び表示 殺生物性活性物質のGHS分類における水生環境有害性

(急性及び慢性)としての表示内容(分類区分,シンボ
ル,危険有害性情報及び注意書き) 

× 

× 

× 

× 

リスクキャラ
クタリゼーシ
ョン 

必須性,バックグラウンド濃度,順化,生物学的利用能 

− 

− 

− 

(×) 

補正係数(アセスメント係数)及びその論理的根拠,必
要に応じて 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

不確実性係数及びその定量的な説明* 

× 

× 

× 

× 

環境媒体*の殺生物性活性物質のPEC/PNEC 

× 

× 

× 

× 

殺生物性活性物質の分解生成物のPEC/PNEC 

− 

− 

× 

× 

リスク管理 

代表防汚製品の名称及びその効果試験結果,必要に応じ
て 

(×) 

(×) 

(×) 

(×) 

要約 

× 

× 

× 

× 

注記1 この表は,BPD附属書 IIA及びIIIAに基づいて,船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約(AFS条

約)の附属書3を考慮して,作成している。 

注記2 “*”でマークされた項目は,AFS条約附属書3に含まれる項目に対応する項目を示している。AFS条約附

属書3に含まれているがこの規格に従って殺生物性活性物質の環境リスク評価に必要ないとみなされる項
目は次のとおり。 
− pH/かい(乖)離定数(pKa) 
− 酸化還元電位 
− 物質収支 
− 食物網/食糧人口の影響 
− 海産物中の残留濃度 

GHS: 国際連合“化学物質の分類及び標識化の国際調和システム” 
×: 

最低限の要求データ 

(×): 必要に応じて要求されるデータ 

41 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書H 
(参考) 

検証済みの環境濃度予測モデル 

H.1 MAMPEC 

MAMPEC(Marine Antifoulant Model to Predict Environmental Concentrations)は,特に環境における防汚剤

濃度の予測のために開発された統合二次元流体力学的及び化学的挙動モデルである。European Council of 

the Paint, Printing Ink and Artists' Colours Industry(CEPE)の防汚作業部会から依頼され,Institute for 

Environmental Studies (IVM), VU University Amsterdam及びDelftのDeltares(以前のDelft Hydraulics)によ

って開発され,初版は1999年に発表された。MAMPECモデルは,多くの典型的で一般的な海洋及び淡水

環境(外洋域,航路,河口,商港,マリーナ,外港)における防汚化合物の環境濃度の最新の予測手法を

提供する。使用者は水域ごとに異なるサイズ及び特質を指定できる。これらの使用者の指定した条件に基

づき,異なる水交換シナリオを計算する。モデルは,排出に関する因子(例 溶出速度,船舶輻輳度,停

泊時間,海面下の船体表面積),供用期間以外の排出,化合物に関連した特性及びプロセス(例 揮発性,

スペシエーション,加水分解性,光分解性,生分解性),特定の環境に関連した特性及びプロセス(例 潮

流,干満,塩分濃度,DOC,懸濁物質の負荷量)を考慮できる。モデルは,国際海事機関(IMO)及び海

洋環境保護の科学的側面に関する専門家会合(GESAMP)による防汚物質及びバラスト水排出の暴露評価

においてEU,米国及びその他のOECD諸国における規制当局と申請者によって認められ,使用されてい

る。2011年夏に多くの新機能を備えた新版v3.0が発表され,サポートウェブサイト 

http://delftsoftware.wldelft.nl(/Download/MAMPECの下)から自由に入手できる(Van Hattum他2006: Boon

他2008: Van Hattum他2011)。 

暴露分析モデル化システム(EXAMS)は,水生生態系モデルを表現し,農薬,工業原料及び処分場から

の浸出物などの合成有機化学物質の挙動,移動及び暴露濃度を迅速に評価する双方向ソフトウェアアプリ

ケーションである。 

EXAMSは,ソフトウェアが必要とするプロジェクトデータベースの保存及び管理に特化して設計され

た統合データベース管理システム(DBMS)を含んでいる。ユーザインタラクションは,フル装備のコマ

ンドラインインターフェース(CLI),コンテクストに応じたヘルプメニュー,オンラインデータ辞書,CLI

ユーザガイド,及び出力データのレビュー能力によって提供されている。EXAMSは,生態リスク評価を

支援するため,入力データセットを記録し,統合結果概要を提供する20の出力表を提供する。 

EXAMSシステムの幾つかのバージョンがEPAの暴露評価モデル化センター(CEAM)のウェブサイト

から入手できる。 

H.2 REMA 

REMAモデルは,Mackayほか(1983)が開発した定量的水−大気−底質相互作用(QWASI)モデルに

基づいて,マリーナ及び河口における防汚剤の予測濃度を提供する。モデルは室内実験で得た分配データ

を使用する。 

このモデルには,排出,物理化学的特性及び環境パラメータに関する多くの入力変数が必要である。し

たがって,初期のモデルは,定型的な使用又は経験の浅い作業者には向いていないと考えられていた。イ

ギリスの幾つかのマリーナ及び河口に対応してこのモデルが設定された。これらは様々なサイズとダイナ

42 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ミクスの河口,及び様々なタイプのマリーナについて多くのシナリオを網羅している(例 閉鎖型,開放

型,浮橋型など)。このアプローチを使用することから,ユーザの入力が必要な唯一の情報は殺生物性活性

物質の特性及び各マリーナの船舶数となる。次の範囲の河口タイプが定められた。 

a) 水底が干出する小さい河口域 

b) 口が狭く,よく混合する河口域 

c) 口が広く,よく混合する河口域 

d) 大きくて複合的な河口域 

各河口区画(セグメント)には川からの流入があり,殺生物剤の既知濃度がある場合がある。マリーナ

入口の外洋側を第4の区画とみなしてもよい。マリーナ及び河口タイプを初期設定リストから選択できる。

大部分のパラメータは使用者によって変更することができる。ただし,例えば,初期設定マリーナのサイ

ズは現実の状況に基づいていることなどに留意して,使用者は慎重に変更を行うことが望ましい。 

モデルの出力は,マリーナ及び河口区画の両方の水相及び底質における定常状態の濃度として表される。

この濃度を一定と仮定しているため,外洋区画の変化に対する計算は行わない。 

REMAモデルの出力結果は,モニタリングデータによって検証されている。選択した殺生物性活性物質

について,イギリスの二つの河口において,モデルの予測濃度は測定値に近いことが示されている。 

参考文献 

[1] ASTM D5108-90 (2007) Standard Test Method for Organotin Release Rates of Antifouling Coating Systems 

in Sea Water 

[2] ASTM D6442-06 Standard Test Method for Determination of Copper Release Rate From Antifouling 

Coatings in Substitute Ocean Water 

[3] ASTM D6903-07 Standard Test Method for Determination of Organic Biocide Release Rate From 

Antifouling Coatings in Substitute Ocean Water 

43 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[4] ASTM E724-98 (2004) Standard Guide for Conducting Static Acute Toxicity Tests Starting with Embryos of 

Four Species of Saltwater Bivalve Molluscs 

[5] ASTM E1367-03 (2008) Standard Test Method for Measuring the Toxicity of Sediment-Associated 

Contaminants with Estuarine and Marine Invertebrates 

[6] ASTM E1463-92 (2004) Standard Guide for Conducting Static and Flow-Through Acute Toxicity Tests With 

Mysids From the West Coast of the United States 

[7] ASTM E1611-00 (2007) Standard Guide for Conducting Sediment Toxicity Tests with Polychaetous 

Annelids 

[8] BBA-Guidelines for the examination of plant protectors in the registration process. (1990). Part IV, Section 

5-1: Degradability and fate of plant protectors in the water/sediment system. Germany 

[9] Boon J., Baart A., Markus A., van Hattum B. (2008) Antifoulant Model to Predict Environmental 

Concentrations (MAMPEC V2.0), Technical background additional features of MAMPEC version 2.0. 

repared 

for: 

CEPE−Antifouling 

Working 

Group. 

March, 

2008. 

Available 

at 

http://delftsoftware.wldelft.nl/index.php?option=com̲docman&task=cat̲view&gid=81 > 

[10] Callow M.E., Finlay J.A. A simple method to evaluate the potential for degradation of antifouling biocides. 

Biofouling. 1995, 9 pp. 153-165 

[11] Committee on Environment and Natural Resources of the National Science and Technology Council (1999) 

Ecological Risk Assessment in the Federal Government. May 1999. CENR/5-99/001 

[12] European Chemicals Agency, 2008. Guidance on information requirements and chemical safety assessment 

Chapter R.4: Evaluation of available information. Guidance for the implementation of REACH. May 2008 

[13] European Commission (2003) Technical Guidance Document on Risk Assessment in support of Commission 

Directive 93/67/EEC on Risk Assessment for new notified substances, Commission Regulation (EC) No 

1488/94 on Risk Assessment for existing substances, Directive 98/8/EC of the European Parliament and of 

the Council concerning the placing of biocidal products on the market (Part II), Institute for Health and 

Consumer Protection, European Chemicals Bureau. EUR 20418 EN/2 

[14] Finnie A.A. Improved estimates of environmental copper release rates from antifouling products. Biofouling. 

2006, 22 pp. 279-291 

[15] IPPIC (2009), The generation of biocide leaching rate estimates for anti-fouling coatings and their use in the 

development of proposals to amend annex 1 of the AFS Convention, International Maritime Organization−

Marine Environment Protection Committee, 60th session, document MEPC 60/13 

[16] ISO 10253 Water quality−Marine algal growth inhibition test with Skeletonema costatum and 

Phaeodactylum tricornutum 

[17] ISO 10890 Paints and varnishes−Modelling of biocide release rate from antifouling paints by mass-balance 

calculation 

[18] ISO 11348-3 Water quality−Determination of the inhibitory effect of water samples on the light emission of 

Vibrio fischeri (Luminescent bacteria test)−Part 3: Method using freeze-dried bacteria 

[19] ISO 14592-1 Water quality−Evaluation of the aerobic biodegradability of organic compounds at low 

concentrations−Part 1: Shake-flask batch test with surface water or surface water/sediment suspensions 

[20] ISO 14592-2 Water quality−Evaluation of the aerobic biodegradability of organic compounds at low 

concentrations−Part 2: Continuous flow river model with attached biomass 

44 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[21] ISO 14669 Water quality−Determination of acute lethal toxicity to marine copepods (Copepoda, Crustacea) 

[22] ISO 15181-1 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

1: General method for extraction of biocides 

[23] ISO 15181-2 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

2: Determination of copper-ion concentration in the extract and calculation of the release rate 

[24] ISO 15181-3 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

3: Calculation of the zinc ethylene-bis(dithiocarbamate) (zineb) release rate by determination of the 

concentration of ethylenethiourea in the extract 

[25] ISO 15181-4 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

4: Determination of pyridine-triphenylborane (PTPB) concentration in the extract and calculation of the 

release rate 

[26] ISO 15181-5 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

5: Calculation of the tolylfluanid and dichlofluanid release rate by determination of the concentration of 

dimethyltolylsulfamide (DMST) and dimethylphenylsulfamide (DMSA) in the extract 

[27] ISO 15181-6 Paints and varnishes−Determination of release rate of biocides from antifouling paints−Part 

6: Determination of tralopyril release rate by quantitation of its degradation product in the extract 

[28] JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項(ISO 17025 General requirements for 

the competence of testing and calibration laboratories) 

[29] Procedures for Assessing the Environmental Fate and Ecotoxicity of Pesticides. In: Aqueous Photolysis, 

(Lynch M., ed.). SETAC -Europe Publication, 1995, pp. 28-30. 

[30] OECD 2005, EMISSION SCENARIO DOCUMENT ON ANTIFOULING PRODUCTS, OECD 

Environmental Health and Safety Publications. Series on Emission Scenario Documents No. 13. Environment 

Directorate, Organisation for Economic Co-operation and Development. ENV/JM/MONO(2005)8 

[31] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 102: Melting Point/ Melting Range 

[32] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 103: Boiling Point 

[33] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 104: Vapour Pressure 

[34] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 105: Water Solubility 

[35] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 106: Adsorption-Desorption Using a Batch 

Equilibrium Method 

[36] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 107: Partition Coefficient (n-octanol/water): Shake 

Flask Method 

[37] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 109: Density of Liquids and Solids 

[38] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 111: Hydrolysis as a Function of pH 

[39] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 115: Surface Tension of Aqueous Solutions 

[40] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 117: Partition Coefficient (n-octanol/water), HPLC 

Method 

[41] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 121: Estimation of the Adsorption Coefficient (Koc) 

on Soil and on Sewage Sludge using High Performance Liquid Chromatography (HPLC) 

[42] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 123: Partition Coefficient (1-Octanol/Water): 

Slow-Stirring Method 

45 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[43] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 201: Freshwater Alga and Cyanobacteria, Growth 

Inhibition Test 

[44] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 202: Daphnia sp. Acute Immobilisation Test 

[45] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 203: Fish, Acute Toxicity Test 

[46] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 205: Avian Dietary Toxicity Test 

[47] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 206: Avian Reproduction Test 

[48] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 209: Activated Sludge, Respiration Inhibition Test 

(Carbon and Ammonium Oxidation) 

[49] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 210: Fish, Early-Life Stage Toxicity Test 

[50] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 211: Daphnia magna Reproduction Test 

[51] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 212: Fish, Short-term Toxicity Test on Embryo and 

Sac-Fry Stages 

[52] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 215: Fish, Juvenile Growth Test 

[53] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 305: Bioconcentration: Flow-through Fish Test 

[54] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 306: Biodegradability in Seawater 

[55] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 308: Aerobic and Anaerobic Transformation in 

Aquatic Sediment Systems 

[56] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 309: Aerobic Mineralisation in Surface Water−

Simulation Biodegradation Test 

[57] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 316: Phototransformation of Chemicals in Water−

Direct Photolysis 

[58] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 407: Repeated Dose 28-Day Oral Toxicity Study in 

Rodents 

[59] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 408: Repeated Dose 90-Day Oral Toxicity Study in 

Rodents 

[60] OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Test No. 409: Repeated Dose 90-Day Oral Toxicity Study in 

Non-Rodents 

[61] OECD. 2007a, Manual for Investigation of HPV Chemicals, Chapter 3. Data Evaluation. OECD Secretariat, 

July 2007. Available at  

< http://www.oecd.org/document/7/0,3343,en̲2649̲34379̲1947463̲1̲1̲1̲1,00.html > 

[62] OECD. 2007b, Manual for Investigation of HPV Chemicals, Chapter 4: Initial Assessment of Data, 4.2 

Guidance for the Initial Assessment of Aquatic Effects. OECD Secretariat, July 2007; Available at 

<http://www.oecd.org/document/7/0,3343,en̲2649̲34379̲1947463̲1̲1̲1̲1,00.html > 

[63] OECD. 2009. Guidance document for using the OECD (Q)SAR Application Toolbox to develop chemical 

categories according to the OECD guidance on grouping of chemicals. OECD Series on Testing and 

Assessment No. 102, Environment Directorate, Joint Meeting of the Chemicals Committee and the Working 

Party on Chemicals, Pesticides and Biotechnology. 24 February 2009, ENV/JM/MONO(2009)5 

[64] U.S. E.P.A. 1998. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7200 Melting Point/Melting Range. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-033. March 1998 

46 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[65] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7220 Boiling Point/Boiling Range. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (TS-7101) EPA 

712-C-96-034. August 1996 

[66] U.S. E.P.A. 2002. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7300 Density/Relative Density/Bulk 

Density. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) 

EPA 712-C-02-035. June 2002 

[67] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7550 Partition Coefficient 

(n-Octanol/Water), Shake Flask Method. United States Environmental Protection Agency. Prevention, 

Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 712-C-96-038. August 1996 

[68] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7560 Partition Coefficient 

(n-Octanol/Water), Generator Column Method. United States Environmental Protection Agency. Prevention, 

Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 712-C-96-039. August 1996 

[69] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7570 Partition Coefficient 

(n-Octanol/Water), Estimation By Liquid Chromatography. United States Environmental Protection Agency. 

Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 712-C-96-040. August 1996 

[70] U.S. E.P.A. 1998. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7840 Water Solubility: Column Elution 

Method; Shake Flask Method. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and 

Toxic Substances (7101) EPA 712-C-98-041. March 1998 

[71] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7860 Water Solubility: Generator Column 

Method. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) 

EPA 712-C-96-042. August 1996 

[72] U.S. E.P.A. 1996. Product Properties Test Guidelines. OPPTS 830.7950 Vapor Pressure. United States 

Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 712-C-96-043. 

August 1996 

[73] U.S. E.P.A. 1998. Fate, Transport and Transformation Test Guidelines. OPPTS 835.1220 Sediment and Soil 

Adsorption/Desorption Isotherm. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and 

Toxic Substances (7101) EPA 712-C-98-048. January 1998 

[74] U.S. E.P.A. 1998. Fate, Transport and Transformation Test Guidelines. OPPTS 835.2210 Direct Photolysis 

Rate in Water By Sunlight. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic 

Substances (7101) EPA 712-C-98-060. January 1998 

[75] U.S. E.P.A. 1998. Fate, Transport and Transformation Test Guidelines OPPTS 835.3160 Biodegradability in 

Sea Water. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances 

(7101) EPA 712-C-98-351. January 1998 

[76] U.S. E.P.A. 1998. Fate, Transport and Transformation Test Guidelines OPPTS 835.3180 Sediment/Water 

Microcosm Biodegradation Test. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and 

Toxic Substances (TS-788) EPA 712-C-98-083. January 1998 

[77] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1020 Gammarid Toxicity Test. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-130. April 1996 

[78] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1025 Oyster Acute Toxicity Test (Shell 

47 

F 0600-1:2015 (ISO 13073-1:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Deposition). United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances 

(7101) EPA 712-C-96-115. April 1996 

[79] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1035 Mysid Acute Toxicity Test. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-136. April 1996 

[80] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1045 Penaeid Acute Toxicity Test. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-137. April 1996 

[81] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1055 Bivalve Acute Toxicity Test 

(Embryo-Larval). United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic 

Substances (7101) EPA 712-C-96-130. April 1996 

[82] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1075 Fish Acute Toxicity Test, Freshwater 

and Marine. United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances 

(7101) EPA 712-C-96-118. April 1996 

[83] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1300 Daphnid Chronic Toxicity Test. 

United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-120. April 1996 

[84] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1350 Mysid Chronic Toxicity Test. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA 

712-C-96-120. April 1996 

[85] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1400 Fish Early-Life Stage Toxicity Test. 

United States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) 

EPA712-C-96-121. April 1996 

[86] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1500 Fish life cycle toxicity. United States 

Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA712-C-96-122. 

April 1996 

[87] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.1710 Oyster BCF. United States 

Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) EPA712-C-96-127. 

April 1996 

[88] U.S. E.P.A. 1996. Ecological Effects Test Guidelines OPPTS 850.5400 Algal Toxicity, Tiers I and II. United 

States Environmental Protection Agency. Prevention, Pesticides and Toxic Substances (7101) 

EPA712-C-96-164. April 1996 

[89] U.S. E.P.A. Exposure Assessment, Surface Water, EXAMS Version Index. Available at  

< http://www.epa.gov/ceampubl/swater/exams/index.htm > 

[90] Van Hattum B., Baart A.C., Boon J.G. (2006). Emission estimation and chemical fate modelling of 

antifoulants. In Konstantinou, I. (Ed.), Antifouling Paint Biocides Antifoulings, Handbook Of Environmental 

Chemistry. Vol. 5/O. Springer Verlag, Berlin (Germany), pp. 101-120 

[91] Van Hattum B., Van Gils J., Baart A., Boon J., Elzinga H. (in preparation). MAMPEC 3.0−Technical 

Documentation. Institute for Environmental Studies, VU University, Deltares, Amsterdam, Delft. To be 

available from support website: http://delftsoftware.wldelft.nl (under /Download/MAMPEC) 50