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F 0054 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工

業規格である。

この規格の一部が技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。運輸大臣及び日本工業標準調査会は,こ

のような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録

出願にかかわる確認について責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 F

0054

: 2000

舟艇用語一運航技術

Small craft

−Terminology−Operation techniques

1.

適用範囲  この規格は,スポーツ及び娯楽用の舟艇(

1

)

の運航技術に関して,通常使用されている主な

用語及び定義について規定する。

(

1

)

小形船の総称

備考  スポーツ及び娯楽用の舟艇のことを,“プレジャーボート”と呼ぶことがある。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS F 0011

  造船用語(船体一般編)

JIS F 0045

  舟艇用語−船体

JIS F 0048

  舟艇用語−帆走

3.

分類  用語の分類は,次による。

a)

航海

1)

船位

2)

航法

3)

当直

b)

操船

1)

結索及び停泊

2)

航行船特性

3)

操船法

C)

船舶の種類及び灯火

1)

船舶の種類

2)

プレジャーボートが夜間表示しなければならない灯火

d)

緊急事態

1)

海難

2)

救助

4.

用語及び定義  用語及び定義は,次による。

なお,参考のために慣用語及び対応英語を示す


2

F 0054 : 2000

4.1

運航技術

a)

航海

1)

船位

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

1101

方位

ある地点から物標を見る方向。コンパス上の角度で表し
たり,船首尾線などを基準とする。

bearing

ベアリング

1102

子午線

地球を地球の両極を通る平面で切ったときの円周線。 meridian

1103

海里

緯度 1 分に対する子午線の弧の長さで 1 852m。1 時間に 1
海里航走する速力を 1 ノットという。

nautical mile

マイル

1104

位置の線

測定者が必ずその線上にいるという線で,ある物標から

の方位を測定したとき,その方位線が位置の線となる。

a line of position

 (LOP)

ロップ

1105

クロス方位

2

本以上の方位による位置の線の交点によって位置を求

める方法。

cross bearing

ク ロ ス ベ ア

リング

1106

重視線

二つの物標が重なって見える方位線。 transit

line

ト ラ ン ジ ッ
トライン

2)

航法

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

1201

沿岸航法

地形,物標,航路標識,測深などによって船位を測定し
ながら航行する航法。

coastal piloting,

coastal navigation

コ ー ス テ ィ
ング

1202

推測航法

経緯度の分かっている過去の点からの針路及び航行距離
によって現船位を推測しながら航行する航法。

dead reckoning

デドレコ

1203

天文航法

太陽,月,星などの天体の高度,方位を六分儀などで観
測することによって船位を測定しながら航行する航法。

celestial navigation

1204

電子航法 GPS,レーダ,ロラン,無線方位測定機などの電子機器に

よって船位を測定しながら航行する航法。

electronic

navigation

3)

当直

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

1301

航海日誌

船舶の運航に関する事項を記載する日誌。 
発着港名,機関使用状況,針路記録,船位情報,船内作

業状況,気象・海象の状況,海難の発生などを記録する。

log-book

ログブック

1302

当直

交代で持ち場について当番を行うこと。 watch

ワッチ


3

F 0054 : 2000

b)

操船

1)

結索及び停泊

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

2101

結索

ロープ(索)の結び方(

図 参照)。

備考  一般的な検索法は,結びやすくて解けにくく,

しかも解こうとすれば,すぐ解けるように工夫
されている。

knots

2102

係留索

船舶を係留するために使う索の総称(

図 参照)。 mooring

lines

2103

びょう泊

船舶がいかりの係駐力によって停泊している状態。1 個の
いかりを船首から投入して停泊する方法を単びょう泊,2
個のいかりを左右離して船首から投入し,それらの間に

船を停泊させる方法を双びょう泊又は 2 びょう泊という。

anchoring

2104

いかりかき

いかりが海底にしっかりと食い込んでいるかいないかの
程度。

2105

走びょう

びょう泊中,風潮・波浪などによる外力がいかりの係駐
力(把駐力)を上回り,船がいかりをひきずる状態。

dragging anchor

2)

航行船特性

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

2201

惰力

船の速力又は針路を変えようとするとき,慣性によって

船がもとの状態をしばらく保とうとする力。回頭惰力,
発動惰力,停止惰力,反転惰力など。

momentum, inertia

2202

最短停止距

モータボートの場合,船が全速前進中に機関を全速後進
にしたとき,船が停止するまでに要する距離。

shortest stopping

distance,

minimum head

reach

2203

旋回径

船が転だしてから船首方位が 180°変化したときの船体
重心と原針路との間の垂直距離(JIS F 0011 参照)

tactical diameter,

maximum transfer

2204

旋回圏

船が前進中転だして 360°回転する間に船の重心が描く
運動軌跡(JIS F 0011 参照)

turning circle

2205

キック

直進している船が舵を切って回頭を始めたとき船尾が原
針路から旋回の外側に偏出する現象若しくは偏出する横
距離。

(stern) kick

2206

耐航性

船が海に出て風や波に立ち向かうことのできる性能(安
全に航行することができる能力)

seaworthiness

たん(堪)航

2207

復原性

船が外力に抵抗して直立の姿勢を保とうとする性能(JIS 

4F 0011

参照)

stability

復原力

2208

ブローチン

船尾後方から波を受け,船が大きく傾斜する状態(JIS F 

40045

参照)

セールボートの場合は,強風下を追風で航走中に,船首

が風上にもっていかれて横倒しになる状態(JIS F 0048
参照)

broaching,

broaching to

2209

ピッチポー

セールボートの場合で,荒天時の砕けた追い波によって,

船尾が持ち上げられ船首から水面下に沈んで転覆する状
態。

pitchpole

2210

ノックダウ

セールボートの場合で,突風及び高波のために横倒しに
なる状態(JIS F 0048 参照)

knock down


4

F 0054 : 2000

3)

操船法

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

2301

針路の保持

船首方向の重視目標その他の目標物によって,若しくは
コンパスによって,船の針路のずれを知り,船が一定の
針路を保持して航行する状態。 
備考  もし針路から外れたなら,ずれの少ないうちに小角

度の転だによって修正する。

course keeping,

course holding

2302

港内運用

港内では制限水路,行き合い船の相互作用などの条件が
重なることに注意し,操船・運用をする方法。 
備考  小回りの方法,投びょう回頭法などの習得すべき運

用技術があり,速力の制御を的確に行う必要があ
る。

2303

荒天操船

荒天時の航海で,風浪の方向と船の針路を適切な角度に

保持し,速力をかじが効く程度に落として船の動揺を減
少させる操船方法。 
備考  一般的に風浪を船首から 20°∼30°方向から受け

るようにするのがよい。

handling in heavy

weather

2304

ヒーブツー

風波を斜め前方から受けて,セールのトリム及びリーヘ

ルムによって船を一時留める方法(JIS F 0048 参照)

heave to

ちちゅう

2305

シーアンカ

荒天時に船首若しくは船尾から流し,船を風向及び波向
に対して平行な向きに保持させる操船方法。

sea anchor

海びょう

c)

船舶の種類及び灯火

1)

船舶の種類

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

3101

動力船

機関を用いて推進する船舶。

(海上衝突予防法第三条第 2 項参照。

power-driven vessel

3102

帆船

帆だけを用いて推進する船舶及び機関のほか,帆を用い

て推進する船であって帆だけを用いて推進する船舶。 
(海上衝突予防法第三条第 3 項参照。

sailing vessel

3103

漁ろうに従
事している

船舶の操縦性能を制限する網,縄その他の漁具を用いて
漁ろうをしている船舶。 
(海上衝突予防法第三条第 4 項参照。

vessel engaged in

fishing

3104

運転不自由

船舶の操縦性能を制限する故障その他の異常な事態が生
じているため,他の船舶の進路を避けることができない
船舶。

(海上衝突予防法第三条第 6 項参照。

vessel not under

command

3105

操縦性能制
限船

船舶の操縦性能を制限する作業に従事しているため,他

の船舶の進路を避けることができない船舶。 
(海上衝突予防法第三条第 7 項参照。

vessel restricted in

her ability to

manoeuvre

3106

追い越し船

他の船舶の正横後 22 度 30 分より後ろからその船舶を追

い越す船舶。 
(海上衝突予防法第十三条第 2 項参照。

over taking vessel

3107

避航船

他の船舶の針路を避けなければならない船舶のことで,
できる限り早めにそして大幅に避航動作をとらなくては
ならない。

(海上衝突予防法第十六条第 1 項参照。

give-way vessel


5

F 0054 : 2000

参考

3108

保持船

他の船舶が避けなくてはならない船舶で,針路速力を保
持しなければならない。 
(海上衝突予防法第十七条第 1 項参照。

stand-on vessel

3109

雑種船

汽艇,はしけ,端舟,その他ろかいをもって運転する船
舶で,主として港内で用いられる船舶。 
(港則法第三条第 1 項参照。

Miscellaneous

vessel

3110

航行中の船

船舶が,びょう泊(係船浮標又はびょう泊している船舶
に係船している船舶を含む)をし,陸岸に係留し,又は

乗り揚げていない状態。 
(海上衝突予防法第三条第 9 項参照。

Vessel Underway

2)

プレジャーボートが夜間表示しなければならない灯火

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

3201

灯火の種類

図 3.1 参照。 naviga

lights

航海灯

3202

帆船が表示
する灯火

全長 20m 未満の帆船が表示する灯火は三色灯若しくは,
両色灯(若しくはげん灯)と船尾灯の組合せ(

図 3.2 参照)。

機関を用いている帆船は動力船とみなされる。

navigation lights for

sail vessel less than

20m

3203

動力船が表
示する灯火

全長 20m 未満の動力船が表示する灯火はマスト灯,げん
灯(若しくは両色灯)と船尾灯の組合せ(

図 3.3 参照)。

全長 12m 未満の場合は,マスト灯と船尾灯にかえて全周

灯でもよい(

図 3.4 参照)。

navigation lights for

power-driven vessel

less than 20m

3204

びょう泊中
に表示する
灯火

スポーツ及び娯楽用の舟艇(プレジャーボート)を含め

びょう泊中の船舶が表示する灯火は,全周灯(

図 3.5 

照)

anchor light

d)

緊急事態

1)

海難

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

4101

座礁

船が岩礁又は浅瀬に乗り揚げる状態。 run

aground

乗揚げ

4102

ディスマス

マストが折れた状態。 dismast

4103

遭難通信

海難が発生して他船又は陸上からの救助を求める場合の

通信。

distress

communications

4104

メイデイ

船舶又は飛行機の国際無線通信電話の救助信号。4 回連呼

する。

mayday

2)

救助

参考

番号

用語

定義

対応英語

慣用語

4201 EPIRB

衛星を介して飛行機又は地上局に遭難位置を送信する機
能をもつ,小形発信器。

Emergency Position

Indicating Radio

Beacon

イーパブ,イ
パーブ

4202

イマージヨ
ンスーツ

水中でも体温の低下を招かないよう工夫されたスーツ。

immersion suit


6

F 0054 : 2000

参考

4203

曳航

船舶が他の船舶などを曳航索によって引いて航行する状
態。

tow

4204

落水者救助

航行中,人が海中に転落した場合の救助のことで,一般

的な手順としては,

a

)  落水の発見者は船内に落水者が船のどちら側に落ち

たかを知らせる。

b

) 救命浮環若しくはそれに代わるものを投下する。

c

)  落水者側に舵を一杯にとるとともに機関をいったん

中立にしプロペラの回転を止める。

d

) 落水者を見失わないように見張りを行う。

e

)  落水者が船尾に移動したら,落水者に近づき引き揚

げる。

マ ン オ ー バ

ーボート


7

F 0054 : 2000

図 1  結索


8

F 0054 : 2000

図 2  係留索

図 3.1  灯火の種類

図 3.2  全長 20m 未満の帆船が表示する灯火


9

F 0054 : 2000

図 3.3  全長 20m 未満の動力船が表示する灯火

図 3.4  全長 12m 未満の動力船が表示する灯火


10

F 0054 : 2000

図 3.5  びょう泊中に表示する灯火

原案担当作業委員会  構成表

氏名

所属

(専門分科会長)

坂  元  謙  介

日本小型船舶検査機構

(委員)

加  納  敏  幸

日本小型船舶検査機構

角      晴  彦

社団法人日本外洋帆走協会

村  越  義  明

社団法人日本舟艇工業会

玉  利  為  宇

財団法人マリンスポーツ財団

山  口  昭  雄

株式会社アイ・エイチ・アイ・アムテック

神  竹  幹  夫

川崎重工業株式会社

武  藤  憲  一

タキゲン製造株式会社

中  村  正  和

中村船具工業株式会社

勝  俣      威

日産自動車株式会社

長谷川      宏

ヤマハ発動機株式会社

谷      聖  志

ヤマハ発動機株式会社

本  田  哲  郎

ヤンマー造船株式会社

沼  田  隆  之

横浜ヨット株式会社

(関係者)

前  田  雅  博

ヤマハ発動機株式会社

(事務局)

小  郷  一  郎

財団法人日本船舶標準協会

長谷川  幸  生

財団法人日本船舶標準協会