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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 0016-1982 

造船用語(船体編−試験・工作) 

Glossary of Terms for Shipbuilding 

(Hull Part−Testing and Working Practice) 

1. 適用範囲 この規格は,造船用語(船体編)のうち,試験及び工作関係の用語とその読み方及び意味

について規定する。 

2. 分類 用語の分類は,次のとおりとする。 

(1) 試験・検査 

(2) 工作 

3. 用語,読み方及び意味 用語,読み方及び意味は,次のとおりとする。 

なお,参考のために対応英語及び慣用語を示す。 

(1) 試験・検査 

番号 

用  語 

読 み 方 

意    味 

参    考 

対応英語 

慣用語など 

1001 速力試験 

そくりょくし

けん 

船の速力を測定する試験。 

speed test 

1002 旋回試験 

せんかいしけ

ん 

船の旋回性能を調べる試験。 

turning test 

旋回力試験 

1003 後進試験 

こうしんしけ

ん 

船の後進性能を調べる試験。 

astern test 

後進力試験 

1004 惰力試験 

だりょくしけ

ん 

主機を停止して船の惰力を調べる試
験。 

inertia test 

1005 続航試験 

ぞっこうしけ

ん 

船を常用出力又は連続最大出力で少
なくとも1時間航行し,主機関ほか各
種機器の作動状態を確認する試験。 

endurance test 

1006 Z試験 

ぜっとしけん かじを左右交互に取り,船をジグザグ

に走らせて,旋回性,追従性及び針路
安定性を調べる試験。 

zig-zag manoeuvring 

test 

1007 スパイラル試

験 

すぱいらるし

けん 

かじを一定に取り,そのときの旋回角
速度を測定し,船の針路安定性を調べ
る試験。 

spiral manoeuvring test  

1008 逆スパイラル

試験 

ぎゃくすぱい

らるしけん 

旋回角速度が一定になるようにかじ
を取り,船の針路安定性を調べる試
験。 

reverse spiral 

manoeuvring test 

1009 操だ試験 

そうだしけん 操だ装置の性能を調べる試験。 

steering gear test 

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F 0016-1982  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用  語 

読 み 方 

意    味 

参    考 

対応英語 

慣用語など 

1010 投揚錨試験 

とうようびょ

うしけん 

アンカーを投下及び揚収し,投揚錨装
置の能力及びアンカーの収納状態を
調べる試験。 

anchoring test 

1011 救命艇揚降試

験 

きゅうめいて

いようこう
しけん 

救命艇に規定の荷重を加え,揚げ降ろ
ししてダビット及び救命艇の操作及
び強度を調べる試験。 

life boats throwing and 

lowering test 

救命艇揚げ降
ろし試験 

1012 傾斜試験 

けいしゃしけ

ん 

重量物又は水バラストによって船を
横傾斜させ,船の重心の高さを測定す
る試験。 

inclining experiment,  
inclining test 

1013 動揺試験 

どうようしけ

ん 

船を動揺させた後,その自由動揺の状
態における横揺れ周期を計測する試
験。 

rolling test 

1014 水密試験 

すいみつしけ

ん 

水密区画の水漏れの有無を調べる試
験の総称。 

watertight test 

1015 水圧試験 

すいあつしけ

ん 

タンク,配管などに規定の水圧を加え
て,水漏れの有無,変形の状態などを
調べる試験。 

hydraulic test 

1016 気密試験 

きみつしけん 気密区画,配管などに規定の圧力の空

気を入れて,空気漏れの有無を調べる
試験。 

airtight test 

1017 張水試験 

ちょうすいし

けん 

所定の区画に水を張り,水漏れの有無
を調べる試験。 

flooding test 

1018 射水試験 

しゃすいしけ

ん 

水密構造部分に規定の圧力で水を噴
射して,水漏れの有無を調べる試験。 

hose test 

1019 チョークテス

ト 

ドア,ハッチなどのガスケットとの接
触面にチョークを塗って,当たり具合
を調べる試験。 

chalk test 

1020 船底検査 

せんていけん

さ 

船底の異常の有無を調べる検査。 

bottom survey 

(2) 工作 

番号 

用  語 

読 み 方 

意    味 

参    考 

対応英語 

慣用語など 

2001 現尺現図 

げんしゃくげ

んず 

実物大の型又は加工用の図面。 

full size mould 

2002 縮尺現図 

しゅくしゃく

げんず 

投影け書きに使用する縮尺された現
図。 

contracted mould 

2003 数値現図法 

すうちげんず

ほう 

型を使用せず図形の座標数値によっ
て描く現図法。 

numerical mould 

method 

2004 フェアリング  

曲線を修正して滑らかな図面を表す
線図とする作業。 

fairing 

2005 ランディング  

正面線図に外板の位置を描き,継手の
位置を決める作業。 

landing 

2006 ネスティング  

与えられた素材に個々の部材を組み
込み,配置する作業。 

nesting 

2007 展開 

てんかい 

船体の曲り部材を平らな素材から造
り出すため,平面上に広げて部材の形
状・寸法を描く作業。 

expansion 

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F 0016-1982  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用  語 

読 み 方 

意    味 

参    考 

対応英語 

慣用語など 

2008 け書き 

けがき 

加工・組立に必要な形状・寸法などを
素材に描く作業。 

marking 

罫書 

2009 投影け書き 

とうえいけが

き 

縮尺現図のフィルムを作成し,鋼板上
に投影機によって原形を写し,なぞっ
て,け書く方法。 

photo marking 

2010 電子写真け書

き 

でんししゃし

んけがき 

縮尺現図のフィルムを作成し,鋼板上
に投影機によって原形を写し,感光剤
などによって画像を焼き付け,け書く
方法。 

electro-print marking 

EPM 

2011 数値制御け書

き 

すうちせいぎ

ょけがき 

数値制御装置によって,け書く方法。 numerical control 

marking 

NCマーキン
グ 

2012 差越し線 

さしこしせん 実形状のけ書き線から一定の間隔で

平行に,け書いた補助線。 

mark line 

2013 線状加熱法 

せんじょうか

ねつほう 

線状に加熱して,曲げ加工又はひずみ
取りを行う方法。 

line heating 

2014 点焼き法 

てんやきほう 1点を加熱して収縮させ,曲げ加工又

はひずみ取りを行う方法。 

spot heating 

2015 曲げ型 

まげがた 

曲げ加工の際,形状のチェックに使用
する型。 

bending template 

2016 ブロック 

建造方法,組立工作方法,クレーン能
力などの諸条件を考慮して,船体を分
割した1単位。 

block 

2017 小組立 

こぐみたて 

加工した材料を大形ブロックに組む
前に小形のブロックに組む作業。 

sub-assembly 

2018 大組立 

おおぐみたて 板,小組立材などを組み立て,大形ブ

ロックを作る作業。 

assembly 

2019 総組立 

そうぐみたて 船体に搭載する前に大組立で組み立

てた大形ブロック数個を結合する作
業。 

grand assembly 

2020 船台組立 

せんだいくみ

たて 

ブロックを,船台上又はドック内で船
体として組み立てる作業。 

erection 

2021 コッキングダ

ウン 

船体据付け時に溶接などによるはね
上がり量を見込んで,船首尾部にあら
かじめ逆傾斜を付ける方法。 

cocking down 

2022 コーキン 

板と板との間に詰めものを施したり,
たがねですきまをつぶしたりする作
業。 

caulking 

2023 進水 

しんすい 

船台上又はドック内で建造した船体
を水に浮かせる作業。 

launching 

2024 船台進水 

せんだいしん

すい 

船台で建造した船体をヘット(獣脂),
鋼球又はローラなどを利用して,水中
に滑走,浮揚させる進水方法。 

slipway launching 

2025 ドック進水 

どっくしんす

い 

ドック内で建造した船体をドック内
に注水して浮揚させる進水方法。 

dock launching 

2026 進水ドラグ 

しんすいどら

ぐ 

船台進水した船の行き脚を止めるた
め,本船に引かせるチェーンなどの重
量物。 

launching drag 

2027 船底見通し 

せんていみと

うし 

キールの上下方向の変位を船の長さ
方向に計測する作業。 

keel sight,  
keel alignment 

キール見通し 

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F 0016-1982  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用  語 

読 み 方 

意    味 

参    考 

対応英語 

慣用語など 

2028 型取り管 

かたどりかん 設計図によらず現場で型を取り,これ

に合わせて製作する管。 

make-up pipe 

2029 合わせ管 

あわせかん 

取付位置で寸法を合わせ,製作する
管。 

adjustable pipe,  
loose pipe 

2030 アンカーピー

ス 

船の動揺・振動,管の収縮などにより,
機器若しくは配管の移動防止,又は甲
板舗装材,防熱材などのはく離防止に
使用する金物。 

anchor piece 

2031 索取り 

さくどり 

係留・荷役装置などでロープを使用状
態にする作業。 

rope handling 

2032 水セメント 

みずせめんと 清水タンクなどのさび止め用として,

水溶きして薄く塗るセメント。 

wash cement 

2033 電気防食法 

でんきぼうし

ょくほう 

船体表面に防食電流を送り込み,腐食
を軽減又は防止する方法。 

electric protection 

陰極防食法 

2034 流電陽極防食

法 

りゅうでんよ

うきょくぼ
うしょくほ
う 

船体外板よりも腐食しやすい金属を
船体に電気的に接続して,腐食しやす
い金属の腐食電流を利用する防食方
法。 

anodic protection 

2035 外部電源防食

法 

がいぶでんげ

んぼうしょ
くほう 

外部から直流電流を供給して,船体の
電位を防食電位に維持する防食方法。 

impressed current 

protection 

2036 盤木 

ばんぎ 

船体を支える台。木,鋼又はコンクリ
ートで作る。 

block 

2037 砂盤木 

すなばんぎ 

進水作業時に容易に解体できるよう
に鋼製砂箱又は布製砂袋と組み合わ
せた盤木(付図1参照)。 

sand block 

2038 キール盤木 

きーるばんぎ キール下部に配列した盤木。 

keel block 

2039 進水台 

しんすいだい 固定台と滑走台とから成り,進水時に

船体重量を支える台。 

launching way 

2040 ポペット 

船体を滑走台に固定するため船首尾
部に設ける架台(付図2参照)。 

poppet 

2041 トリガ 

進水装置の一部で,滑走台が固定台の
上を滑り出さないように水圧又は機
械力で抑止する装置(付図3参照)。 

trigger 

2042 ドッグショア  

進水の直前まで滑走台を固定台に支
えている支柱(付図4参照)。 

dog shore 

2043 タンデム建造

法 

たんでむけん

ぞうほう 

複数の船を一つの船台・ドックで,縦
に並べて同時に建造する方式。 

tandem building system  

2044 両開きドック

建造法 

りょうびらき

どっくけん
ぞうほう 

両開きのドックの中間にゲートを設
け,複数の船を同時に建造する方式。 

canal dock building 

system 

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F 0016-1982  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図1 砂盤木 

付図2 ポペツト 

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F 0016-1982  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図3 トリガの一例 

付図4 ドッグショア 

船舶部会 造船用語・記号船体関係専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

平 本 文 男 

東京大学名誉教授 

翁 長 一 彦 

運輸省船舶技術研究所 

土 屋 睦 夫 

運輸省船舶局 

大久保 和 夫 

工業技術院標準部 

奥 山 孝 志 

社団法人日本中型造船工業会 

草 野   博 

財団法人日本船舶標準協会 

宇都宮 達 男 

財団法人日本海事協会 

藤 井 弘 道 

船舶整備公団 

砥 石 研 治 

日本郵船株式会社工務部 

毛 利 武 弘 

大阪商船三井船舶株式会社工務部 

大 野 茂 樹 

佐野安船渠株式会社水島造船所 

天 方 博 昭 

日立造船株式会社広島工場 

山 本 正 和 

川崎重工業株式会社船舶事業本部 

田 村   元 

石川島播磨重工業株式会社船舶事業本部 

武 石 孝 暉 

三井造船株式会社船舶海洋プロジェクト事業本部 

鈴 木 忠 男 

住友重機械工業株式会社浦賀造船所 

長谷川 照 一 

日本鋼管株式会社鶴見造船所 

長谷部   弘 

三菱重工業株式会社船舶鉄鋼事業本部 

(事務局) 

石 井 清 次 

工業技術院標準部機械規格課 

鈴 木 一 規 

工業技術院標準部機械規格課