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E 7103

:2006

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本鉄道

車輌工業会(JARI)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。これに

よって JIS E 7103:1994 は改正され,この規格に置き換えられる。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


2

E 7103

:2006

(2) 

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  設計の共通的な条件の分類 

1

5.

  設計の共通的な条件

1

5.1

  基本条件 

1

5.2

  居住性にかかわる性能の設計条件 

2

5.3

  客室設備設計条件

3

5.4

  構体強度設計条件

3

 


日本工業規格

JIS

 E

7103

:2006

鉄道車両−旅客車−車体設計通則

Rolling stock

−General requirments of carbody for passenger car

序文  この規格は,鉄道車両の旅客車用車体を設計するときに,車体が具備すべき標準的な基準を定めた

ものである。

1.

適用範囲  この規格は,旅客車の車体を設計するときに使用する乗客に関係する基本的条件及び車体

が具備すべき標準的な条件について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS E 4001

    鉄道車両用語

JIS E 4016

    鉄道車両の照度−基準及び測定方法

JIS E 6602

    鉄道車両用空気調和装置

JIS E 6603

    旅客車用空気調和装置の冷暖房容量算出方法

JIS E 7104

    鉄道車両旅客用腰掛

JIS E 7106

    鉄道車両−旅客車用構体−設計通則

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS E 4001 による。

4.

設計の共通的な条件の分類  設計の共通的な条件の分類は,基本条件,居住性にかかわる性能の設計

条件,客室設備設計条件及び構体強度設計条件とし,次による。

a) 

基本条件の分類  基本条件の分類は,乗客定員及び定員質量とし,更に乗客定員の分類は,座席定員

及び立席定員とする。

b)

居住性にかかわる性能の設計条件の分類  居住性にかかわる性能の設計条件の分類は,換気量,暖房

能力,冷房能力,断熱性能及び照度とする。

c)

客室設備設計条件の分類  客室設備設計条件の分類は,付表 による。

d)

構体強度設計条件の分類  構体強度設計条件の分類は,荷重及び剛性とする。

5. 

設計の共通的な条件

5.1

基本条件  基本条件は,次による。

a) 

乗客定員  乗客定員は,座席定員と立席定員との合計とする。

1) 

座席定員  座席定員は,腰掛幅を乗客 1 人当たりの占める長さで除したときの整数値とし,小数点

以下は切り捨てる。受渡当事者間で協定がないとき,乗客 1 人当たりの占める長さは,430 mm と


2

E 7103

:2006

する。

2) 

立席定員  立席定員は,腰掛用の床面積及び腰掛前縁から 250 mm の床面積を除いた客室床面積の

うち,有効幅 550 mm 以上で有効高さが 1 900 mm 以上確保できる部分の床面積を,乗客 1 人当たり

の占める広さで除した整数値とし,小数点以下は切り捨てる。受渡当事者間で協定がないとき,乗

客 1 人当たりの占める広さは 0.3 m

2

とする。

b) 

定員質量  定員質量は,乗客が乗車したときの乗客だけの質量とし,乗客 1 人当たりの質量は 55 kg

とする。これと異なる乗客 1 人当たりの質量を採用する場合は,受渡当事者間の協定による。

参考  長距離運行の特急車両などでは,乗客 1 人当たりの質量を 60 kg とする場合がある。

5.2 

居住性にかかわる性能の設計条件

5.2.1

換気量

a) 

基礎条件  換気量を算出する基礎条件は,次による。

1)

通風器,窓の開口部,側出入口の開閉及び/又は強制換気装置などによって,取り入れ又は吐き出

す空気量。

2)

乗客定員を基準とした負荷条件。

b) 

計算式  換気量は,必要換気量で表し,式(1)による。

N

p

n

a

V

=

1

1

  (1)

ここに,  V

1

:  定員乗車時の必要換気量(m

3

/h

a

1

:  1 人当たりが吐き出す CO

2

の量(m

3

/h

ただし,15.0×10

-3

 (

1

)

とする。

n

:  車内の標準清浄度(体積濃度)

。ただし,1.5×10

-3

 (

2

)

とする。

p

:  外気の清浄度(体積濃度)

。ただし,0.35×10

-3

とする。

N

:  乗客定員

(

1

空気調和・衛生工学会規格の中の換気基準では,エネルギー代謝率“0:安静時”の値は 13.2

×10

-3

であるが“定員”には“立席定員”も含まれていることから,この規格ではエネルギー

代謝率“1:極軽作業の下限”に近い 15.0×10

-3

を選択している。これと異なる数値を採用する

場合,受渡当事者間の協定による。

(

2

標準清浄度は,空気の汚れを表す総合的な指標として二酸化炭素の設計基準濃度として,一般

には 1.0×10

-3

が採用されている。しかし,これまで旅客車では“乗り心地環境を良好に保つた

めの最低の基準濃度値”として 1.5×10

-3

という数値が使われているので,この規格ではこの数

値を採用する。

参考  二酸化炭素そのものの健康への影響が現れる最低濃度は,7.0×10

-3

といわれている。日本産業

衛生学会は,1974 年から“労働者が一日 8 時間,週 40 時間程度作業する場所の基準”として

勧告している許容濃度を 5.0×10

-3

としている。また,空気調和・衛生工学会規格では室内の汚

染物質設計基準濃度として,

カナダの住宅における環境基準値の 3.5×10

-3

を推奨値として引用

している。すなわち,式(1)の に採用した車内の標準清浄度は,これらの数値の半分以下であ

り,乗客に対する健康上の心配はないものとして選定されている。

ここで求めた必要換気量は,基礎条件で示したように通風器,窓の開口部,側出入口の開閉などを通し

て行われる自然換気量と強制換気装置による強制換気量との総和である。これらの換気量の分担割合は,

車両の構造と運用条件とで大きく変動するため,対象とする車両ごとに受渡当事者間で協定するものとす


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る。

備考1.  通勤車は,側出入口の幅が大きく,数が多く,しかも駅に頻繁に停車するときは,側出入口

での自然換気量が大きいため,通常時の強制換気装置による実質的な換気量は少なくてよい。

2. 

特急車などに使用される優等車両は,通勤車より側出入口の幅が狭く,かつ,数が少ない場

合がある。しかも,出入台部分に仕切り戸をもっている場合及び,駅停車の頻度が少ないこ

となども影響して,側出入口の開閉に伴う自然換気量は少ないので,通常時の強制換気装置

による換気量の分担は実質的に多くしなければならない。

5.2.2

暖房能力  暖房能力の算出は,JIS E 6603 の 7.による。

5.2.3

冷房能力  冷房能力の算出は,JIS E 6603 の 6.による。

5.2.4

断熱性能  車両各部の断熱性能の算出は,JIS E 6603 の 6.による。

5.2.5

照度  照度は,次による。

a) 

基礎条件

1)

客室及び予備照明は,蛍光ランプ,白色電球などを用いる。

2)

次の項目について,照度を求める。

2.1)

客室の全般照明の照度

2.2)

測定点における照度

3)

照度測定方法の一般条件は,JIS E 4016 の 4.1 による。

b) 

全般照明の照度測定方法は,客室,ビュッフェ及び売店,便所,洗面所,出入台,乗務員室などのそ

れぞれの場所に対し,JIS E 4016 の 4.2 の対応する場所の規定による。

c) 

車内の客室及びその他の場所の所要照度は,JIS E 4016 

付表 に規定する数値以上とする。ただし,

受渡当事者間の協定がある場合には,それによる。

5.3

客室設備設計条件  客室設備設計条件は,受渡当事者間の協定によって,付表 の中の必要な設備

を選定する方法とする。設備全般に共通する事項は,次による。

a) 

乗客の人体に触れる部分に設ける設備品は,鋭利な角,突起などがないようにし,人体,衣服などに

損傷を与えないように配慮しなければならない。

b) 

設備は,車両走行時の振動・衝撃,乗客の手,体が押す荷重,一つの設備を複数の乗客が利用するこ

となどを考慮して十分な強度をもつように配慮しなければならない。

5.4

構体強度設計条件

a) 

荷重  構体強度設計に用いる荷重は,JIS E 7106 の 5.による。

b) 

剛性  構体強度設計時に評価する剛性は,完成車両の曲げ固有振動数及びねじり固有振動数にそれぞ

れ密接な関係がある構体の相当曲げ剛性及び相当ねじり剛性とし,JIS E 7106 の 4.4 による。


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付表  1  客室設備設計条件

番号

項目

設置場所

摘要

関連規格

1

乗降口

通常,片側に 1 か所以上を設け,乗客の安全,かつ,
円滑な乗降を確保し,その扉には自動開閉装置を設け

る。 
側入口の引戸には固定式の窓を設け,戸先ゴム,指保
護ゴムなどを設け,乗客の危険防止を図る。

2

貫通路,ほろ,
桟板,渡り板

乗客が安全に通行できるようにする。

3

側・妻

乗客が寄り掛かることを考慮し十分な強度をもち,開
閉式の場合は外側に開くことができない構造とする。
開口部の下縁の床面からの高さは省令による。

窓ガラスは,安全ガラス又は同等以上の性能をもつも
のを使用する。 
自然換気対策は 5.2.1 による。

4

暖房装置

腰 掛 下 な

暖房能力の算出は 5.2.2 による。

JIS E 6602

JIS E 6603

5

冷房装置

冷房能力の算出は 5.2.3 による。

JIS E 6602

JIS E 6603

6

照明装置

天井など

必要な照度の基準は 5.2.5 による。

JIS E 4016

7

腰掛

旅客車の用途,側出入口の配置,乗客の流動などを考
慮して,配置する。

腰掛は,縦形,縦形+横形,横形などとする。

JIS E 7104

8

手すり

保護棒

側出入口,

貫通路,腰
掛,通路

乗客の安全を確保するため容易に握れる構造とする。

9

つり手

立席部分

つり手の強度は 1 個のつり手に 2 人以上の乗客が利用

することを考慮する。握り部の形状,つり革の長さ・
構造などは複数の構造から選択する。

10

荷物棚

側窓上部

荷物が容易に見える構造とする。鏡面反射板を天井に
はり付けて見やすくする方法もある。 
前部の握り棒は乗客が握ることを考慮する。

11

遮光装置

側窓上部

必要な場合には,窓にカーテンなどを設ける。

12

拡声器

天井など

車内放送装置を設ける。

13

換気装置又は通
風器

空 調 装 置
内 又 は 屋
根上など

換気量は 5.2.1 による。

14

車いすスペース  床部

(参考:通常,1 列車ごとに 1 か所以上を設ける。

・モデルデザイン

15

便所

床部

(参考:便所を設ける場合は,1 列車ごとに 1 か所以
上,車いす使用者の利用ができる構造にする。

・モデルデザイン 

16

広告つりなど

天井など

17

案内・表示板な

路線案内,行先表示,危険防止案内などを標示する。

18

非常用設備

消火器,側引戸を手動開閉とする装置,非常を通報す
る装置,非常用案内板などを設ける。

備考  関連規格欄に示す“モデルデザイン”とは“障害者・高年齢者等のための公共交通機関の車両等に関するモデル

デザイン(平成 13 年 3 月)

”である。


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