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E 6603

:2006

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本鉄道車輌工業会(JARI)/財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS E 6603

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(参考)  冷房容量計算のフローチャート例

附属書 2(参考)  暖房容量計算のフローチャート例

附属書 3(参考)  完成車体の断熱性能について


E 6603

:2006

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  発注者の指定項目

2

5.

  使用条件

2

6.

  冷房容量

3

6.1

  計算項目 

3

6.2

  計算式

3

7.

  暖房容量

4

7.1

  計算項目 

4

7.2

  計算式

5

8.

  完成車体の断熱性能

6

附属書 1(参考)冷房容量計算のフローチャート例 

7

附属書 2(参考)暖房容量計算のフローチャート例 

8

附属書 3(参考)完成車体の断熱性能について

9


日本工業規格

JIS

 E

6603

:2006

旅客車用空気調和装置の冷暖房容量算出方法

Calculation method of air conditioning equipment capacity for

passenger cars

1. 

適用範囲  この規格は,日本国内の鉄道用旅客車両に設置される空気調和装置(以下,空調装置とい

う。

)に必要な,冷房及び暖房の標準的な容量算出方法について規定する。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS E 4001

  鉄道車両用語

JIS E 6602

  鉄道車両用空気調和装置

JIS E 7103

  鉄道車両−旅客車−車体設計通則

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS E 4001 によるほか,次による。

a) 

空調装置  少なくとも冷房,暖房のいずれか,並びに必要に応じて換気及び除じん(塵)の機能をも

つ装置。

b) 

強制換気  (送風機などの)機械的作用による室内空気と室外空気の入れ換え方式。

c) 

自然換気  機械的作用によらない室内空気と室外空気の入れ換え方式。

d) 

冷房  室内温度を下げるか又は室内温度を維持する機能。

e) 

暖房  室内温度を上げるか又は室内温度を維持する機能。

f) 

新鮮空気  室外から取り入れた空気。

g) 

窓の日射透過率  窓に当たる太陽放射熱と窓を通して室内に透過する太陽放射熱との比率。

h) 

熱負荷  室内に流入又は室内から流出する熱量。

i) 

熱伝導率  (構体外板,扉などの)固体の中の熱の伝わりやすさを示す値で,熱流束(単位面積及び

単位時間当たりに移動する熱量)を熱の伝わる方向の温度差で除した値。

j) 

熱伝達率  (車体表面の空気などの)対流などにおける熱の伝わりやすさを示す値で,熱流束(単位

面積及び単位時間当たりに移動する熱量)を熱の伝わる方向の温度差で除した値。

k) 

熱貫流率  室内と室外とを隔てる壁状構造における熱の伝わりやすさを示す値で,室内と室外との温

度差を,その間の熱流束(単位面積及び単位時間当たりに移動する熱量)で除した値。熱通過率とも

いう。

l) 

熱伝導抵抗  熱伝導率の逆数。

m) 

熱伝達抵抗  熱伝達率の逆数。

n) 

熱貫流抵抗  熱貫流率の逆数で,熱貫流の現象における熱の移動のしにくさを示す値。

o) 

等価日射熱量  窓を通して室内に透過する太陽放射熱と等価になる,窓に垂直に照射する熱量。


2

E 6603

:2006

p) 

エンタルピ  空気の中に含まれる熱量で,単位質量の乾燥空気の内部に含む湿り空気がもつ熱量。

q) 

比容積  湿り空気中の乾燥空気の単位質量当たりの容積。

r) 

換気量  車両に搭載された空調装置,換気装置,ドアの開閉などによって室内に流入する新鮮空気量。

s) 

比熱  1 g 当たりの物質の温度を 1℃上げるのに必要な熱量。

4. 

発注者の指定項目  発注者は,引合い又は発注のとき,容量算定に影響する次の事項を指定し,協定

する。ただし,この規格の算出方法を適用しない車両については,

(車両又は装置の)発注者及び製造業者

(以下,受渡当事者という)間で指定項目を協定して適用してもよい。

a) 

車両の種類  空調装置を取り付ける車両の車種,形式などの区分。

b) 

車両の寸法  車体の外形,側出入扉,車端の貫通扉,側窓などの各寸法。

参考  これらの寸法は,図面などで示すことが望ましい。

c) 

車両の材料構成  車体各部分の材料構成。

参考  これらの各部分の寸法及び素材構成は,図面などで示すことが望ましい。

d) 

乗客数及び乗務員数  冷暖房容量の算定条件とする人数。ただし,算定条件となる乗客数の指定がな

い場合には,JIS E 7103 に規定する方法で算出する旅客定員(立席定員を含む。

)とする。

e) 

室内の発熱機器  車両の室内に設けられる照明装置,送風機,配電盤などの発熱する設備の仕様及び

数量。この計算には通常,機器の電気入力を用いる。

f) 

空調装置の機種  空調装置の機種は,JIS E 6602 による次の分類から選択し,その数量を指定する。

1) 

冷房専用機種

2)

ヒートポンプ暖房形冷暖房機種

3)

ヒータ暖房形冷暖房機種

g)

換気量

5.

使用条件  次の使用条件以外の要求がある場合は,受渡当事者間の協定による。

a) 

空気条件  表 の数値を算定の標準条件とする。

  1  標準空気条件

室外条件

室内条件

乾球温度

湿球温度

相対湿度

%

乾球温度

湿球温度

相対湿度

%

33 28 69 26 19.5 55

エンタルピ:25.0 W・h/kg

エンタルピ:15.5 W・h/kg

冷房

比容積:0.898 m

3

/kg

0

−2 65 20 14 52

エンタルピ:1.71 W・h/kg

エンタルピ:10.9 W・h/kg

暖房

比容積:0.777 m

3

/kg

b) 

日射の影響  日射の条件が時間帯によって変化し,かつ,走行によって方位も定まらない鉄道車両に

おいては,次のように区分して考慮する。ただし,日射の影響は 6.の算定の場合に限り適用し,7.

算定には適用しない。

1) 

日射による車体外側の壁面温度上昇  日射による車体の屋根部外板面及び車体の片側側面の表面温

度は,

表 の室外温度(乾球温度)に屋根部外板面の場合は⊿

θ

o=20

℃を,車体片側側面の場合

は⊿

θ

o=15

℃を加えた数値とする。日射を受けない側の表面温度は,

表 の室外温度とする。


3

E 6603

:2006

2) 

窓を透過する日射熱量  窓の材質及び板厚による日射透過率に等価日射熱量を乗じたものとし,等

価日射熱量は,日射側と反日射側とに区分し,一方の側を日射側として 216 W/m

2

,反対側を反日射

側として 70 W/m

2

とする。

c) 

人体発熱量  一人当たり 116 W とする。

6. 

冷房容量

6.1 

計算項目

6.1.1 

室内と室外との温度差から,伝導によって室内に流入する熱量(伝導熱負荷)

6.1.2 

窓から流入する日射熱量(日射熱負荷)

6.1.3 

乗客及び乗務員の人体発熱量(人体熱負荷)

6.1.4 

室内に設置する機器の発熱量(機器熱負荷)

6.1.5 

室外から流入する新鮮空気の熱量(換気熱負荷)

冷房容量計算のフローチャート例を,

附属書 に示す。

6.2 

計算式

6.2.1 

冷房容量の計算  冷房容量 Q

0

は,単位時間当たりの全熱負荷で表し,式(2)∼(6)で得た Q

1

Q

5

用いて,式(1)で計算する。

5

4

3

2

1

0

Q

Q

Q

Q

Q

Q

+

+

+

+

=

 (1)

a) 

伝導熱負荷  Q

1

(W)

(

)

{

}

i

o

o

n

n

1

θ

θ

θ

+

×

=

K

F

Q

 (2)

ここに,

F

n

車体各部の表面積 (m

2

)

K

n

車体各部の熱貫流率 [W/(m

2

・℃)]

θ

o

室外温度(℃)

θ

o

車体屋根部外板面及び車体の片側側面に限り考慮する,日射
による壁面の表面温度上昇(℃)で,5. b) 1)  による。

θ

i

室内温度(℃)

車体各部の熱貫流率(K

n

)の計算方法については,6.2.2 を参照する。

参考  窓は 6.2.1b)のほかに伝導熱負荷も計算の対象であることに注意する。

b) 

日射熱負荷  Q

2

(W)

n

n

gn

2

I

F

Q

×

×

=

τ

 (3)

ここに,

F

gn

窓面積

 (m

2

)

τ

n

窓の日射透過率

I

n

等価日射熱量

 [W/(m

2

)]

で,5. b) 2)  による。

c) 

人体熱負荷

Q

3

W

q

m

Q

×

=

3

 (4)

ここに,

m

乗客数及び乗務員数を合計した人数

q

  1

人当たりの発生熱量

 (W)

で,5. c)  による。

d) 

機器熱負荷

Q

4

W

P

Q

=

4

 (5)

ここに,

  P

室内機器の発生熱量の合計

(W)

で,4. e)による。

参考

一般的に,通勤電車,近郊電車などの場合,車内機器からの発熱は微小であるから,受渡当事

者間の協定によって,機器熱負荷の計算を省略することができる。

e) 

換気熱負荷

Q

5

W


4

E 6603

:2006

v

i

V

Q

×

=

5

 (6)

ここに,

V: 換気量

 (m

3

/h)

ν: 室外空気の比容積

 (m

3

/kg)

i

(

1

)

: 室外の空気と室内の空気とのエンタルピの差

(W

h /kg)

i

o

i

i

i

o

室外空気のエンタルピ

 (W

h /kg)

i

i

室内空気のエンタルピ

 (W

h /kg)

(

1

新幹線などの高速で運転する車両の場合,トンネル通

過時などの室内圧力の急激な変動を抑制し,室内圧力を
一定レベルに維持する連続換気装置を装備しているの
で,この装置による新鮮空気の温度上昇を加味した室外
空気と室内空気とのエンタルピの差とする。

参考  室外空気の比容積(

ν

)の逆数は,空気の密度(

ρ

)である。

6.2.2 

車体各部の熱貫流率の計算

a) 

式(

2

)で用いている車体各部の熱貫流率 K

n[W/(m

2

・℃

)]

は,車体の部位(屋根,側,妻,床,側引戸,

側窓など)ごとに,材料の熱伝導率をもとに求める。

o

a

c

i

tn

n

1

1

R

R

R

R

R

K

å

å

=

=

 (7)

ここに,

K

n

車体各部の熱貫流率

 [W/( m

2

・℃

)]

R

tn

部位ごとの熱貫流抵抗

 [(m

2

・℃

)/W]

c

R

Σ : 壁体の構成材料による熱伝導抵抗の和

 [ (m

2

・℃

)/W]

で,

各部の R

c

は,次の式

 (8)

による。

a

R

Σ : 壁体内部の空気層による熱伝達抵抗の和

 [(m

2

・℃

)/W]

空気層の熱伝達抵抗は,空気層の厚さ,両側表面温度,
熱流の方向によって変化するが,車両の場合はそれほど
厚くとれないため,一般に,R

a

0.16

0.22

を用いる。

R

i

及び R

o

: 室内側及び室外側壁体それぞれの熱伝達抵抗

[(m

2

・℃

)/W]

で,壁体表面の状態,風速,風向などの影響を受けるが,
一般的に,R

i

1/9.3

R

o

1/35

を用いる。

b) 

(7)

にあるΣ

R

c

は,壁体の構成材料ごとに,次の式

(8)

で求める。

λ

t

R

=

c

 (8)

ここに,

t

材料の厚さ

 (m)

λ

材料の熱伝導率

 [W/( m

・℃

)]

7. 

暖房容量

7.1 

計算項目

7.1.1 

室内と室外との温度差から,伝導によって室内から流失する熱量(伝導熱負荷)

7.1.2 

窓を透過する日射熱量(日射熱負荷)

7.1.3 

乗客及び乗務員の人体発熱量(人体熱負荷)

7.1.4 

室内に設置する機器の発熱量(機器熱負荷)

7.1.5 

室外から流入する新鮮空気によって室内で失われる熱量(換気熱負荷)

暖房容量計算のフローチャート例を,

附属書 に示す。


5

E 6603

:2006

7.2 

計算式

7.2.1 

暖房容量の計算  暖房容量

Q

0

は,単位時間当たりの全熱負荷で表し,式

(10)

(14)

で得た

Q

1

Q

5

を用いて,式

(9)

で計算する。

5

4

3

2

1

0

Q

Q

Q

Q

Q

Q

+

=

 (9)

a)

伝導熱負荷

Q

1

W

(

)

o

i

n

n

1

θ

θ −

×

å

=

K

F

Q

 (10)

ここに,

F

n

車体各部の表面積

 (m

2

)

K

n

(

2

)

車体各部の熱貫流率

 [W/(m

2

・℃

)]

θ

o

室外温度(℃)

θ

i

室内温度(℃)

(

2

)

車体各部の熱貫流率(

K

n

)の計算方法については,6.2.2

による。

備考1.  冷房の場合には,式

(2)

に含まれる車体屋根部外板面及び車体の片側側面に限り考慮するが,

日射による壁面の表面温度上昇は,暖房計算には考慮しない(

⊿θo = 0

℃)

2.

窓の伝導熱負荷も,計算の対象に含めなければならない。

b)

日射熱負荷

Q

2

W

日射のない熱負荷の厳しい条件を考慮し,暖房計算では,式

 (11)

とする。

0

2

=

Q

(11)

c)

人体熱負荷

Q

3

W

q

m

Q

×

=

3

 (12)

ここに,

m

乗客数及び乗務員数を合計した人数

q

  1

人当たりの発生熱量

 (W)

で,5. c)  による。

厳しい熱負荷条件とする場合には,考慮しない場合があるので,受渡当事者間の協定による。

d)

機器熱負荷

Q

4

W

P

Q

=

4

 (13)

ここに,

P

室内機器の発生熱量の合計

 (W)

で,4. e)による。

厳しい熱負荷条件とする場合には,考慮しない場合があるので,受渡当事者間の協定による。

e)

換気熱負荷

Q

5

W

θ

ρ

×

×

×

=

v

C

V

Q

1

5

 (14)

ここに,

V

換気量 (m

3

/h)

ν

室外空気の比容積 (m

3

/kg)

室外空気の比熱 (W・h/ kg・℃)

一般的に,

=0.28 W・h/ kg・℃を用いる。

θ

(

3

)

室外の空気と室内の空気との温度差(℃)=

θ

i

θ

o

θ

o

室外温度(℃)

θ

i

室内温度(℃)

(

3

)

  新幹線などの高速で運転する車両の場合,トンネル
通過時などの室内圧力の急激な変動を抑制し,室内圧
力を一定レベルに維持する連続換気装置を装備してい
るので,この装置による新鮮空気の温度上昇を冷房時
の 6.2.1 e)  と同様に加味する場合もある。ただし,暖房
の場合,湿度出入りがないので,室外空気と室内空気
との温度差となる。


6

E 6603

:2006

8. 

完成車体の断熱性能  完成車体の断熱性能は,環境試験室試験により断熱性能を確認することができ

るが,通常,平均熱貫流係数で表すことがある。その計算方法は

附属書 による。


7

E 6603

:2006

附属書 1(参考)冷房容量計算のフローチャート例

附属書 図 1  冷房容量計算のフローチャート例

新幹線車両などの

連続換気装置の有無


8

E 6603

:2006

附属書 2(参考)暖房容量計算のフローチャート例

附属書 図 1  暖房容量計算のフローチャート例

新幹線車両などの

連続換気装置の有無


9

E 6603

:2006

附属書 3(参考)完成車体の断熱性能について

1. 

一般  完成車体の断熱性能は,環境試験室試験によって確認することができるが,通常,平均熱貫流

率で表示することがある。この附属書 3 では,その計算例などを次に示す。

2. 

基礎条件  断熱性能を算出する基礎条件は,次による。

a) 

車両は,停止状態とする。

b) 

窓及び戸は,空気の出入りがない閉の状態とする。

c) 

換気装置は,空気の出入りがない閉の状態とする。

d) 

室内外表面の空気は,停止したものとする。

3. 

計算式  断熱性能の一般式は,車体の平均熱貫流率で表し,式(1)による。

K

Q

n

/G

n

(1)

ここに,

K

平均熱貫流率[W/(m

2

・℃)]

Q

n

車体を通過する全熱負荷[W]

G

n

車体の全表面積(m

2

4. 

完成車体の平均熱貫流率の例  完成車体の平均熱貫流率は,3.に示す温度差による伝導熱量の計算か

ら求められる。この数値は完成車体の環境試験室試験で検証できるが,その実測値の例を

附属書 表 

示す。

附属書   1  車体の平均熱貫流率(参考値)

車種

平均熱貫流率

[W/(m

2

・℃)]

新幹線電車 1.7∼2.4

特急電車 2.3∼2.9

通勤電車及び近郊電車 2.9∼3.8