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E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

2

4

  環境条件  

7

5

  特性 

7

5.1

  情報交換  

7

5.2

  基準巻線温度  

8

5.3

  規定特性  

8

5.4

  決定特性  

8

5.5

  効率特性  

8

5.6

  主電動機特性  

9

6

  表示 

9

6.1

  一次側の銘板  

9

6.2

  二次側の表示  

9

7

  試験 

9

7.1

  試験の種別  

9

7.2

  試験項目  

11

8

  形式試験  

11

8.1

  温度上昇試験  

11

8.2

  特性試験及び裕度  

12

8.3

  振動衝撃試験  

13

9

  受渡試験  

13

9.1

  一次側の受渡試験  

13

9.2

  二次側の受渡試験  

15

10

  調査試験  

16

10.1

  一般  

16

10.2

  騒音試験  

16

附属書 A(規定)温度測定  

17

附属書 B(参考)LIM の回転式試験設備による試験方法  

19

附属書 C(規定)駆動システムの電車線電圧  

21

附属書 D(規定)使用者と製造業者との協定事項  

22

参考文献  

23


E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄道車輌工業会(JARI)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 E

6111

:2012

(IEC 62520

:2011

)

鉄道車両−短一次形リニア誘導主電動機

Railway applications-Electric traction-

Short-primary type linear induction motors fed by power converters

序文 

この規格は,2011 年に第 1 版として発行された IEC 62520 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

回転形の誘導モータとリニア誘導モータ(以下,LIM という。

)との間には重要な相違点があるので,

試験結果の整合性,再現性及び信頼性を保証するためには,異なる試験規格を必要とする。そのため,こ

の規格は制定された。上記の重要な相違点及び LIM の特異事項を,次に列記する。

a) LIM

は,磁気空隙の長さが回転形誘導モータの数倍もあるので,回転形モータより大幅に低い力率と

電気的効率となる。そのため,回転形誘導モータにおける一次漏れリアクタンスが,相互リアクタン

スより大幅に小さいという仮定は当てはまらない。

b) LIM

のけん引効率は,回転形モータ駆動では一般的な機械的伝達損失が含まれない。

c) LIM

では,機械的接触なしで,車両側の一次側と軌道に固定された二次側との間に直接推力を発生す

る。したがって,典型的な回転形駆動におけるレールと車輪との接触による粘着力の限界がない。そ

のため,LIM では,空転及び滑走制御を必要とせず,この機能の試験の必要はない。

d) LIM

においては,推力(長手方向)だけでなく,回転形誘導モータでは幾何学的対称性によってモー

タの中で相殺される垂直力及び横方向力も発生する。垂直力は,一次と二次との間の吸引力又は反発

力のいずれかである。これらの力の効果を,一次と二次との偏位に対して機械的強度及び剛性を設計

する際に考慮することを推奨する。特に,偏位は,一次と二次との空隙に影響を及ぼすので,LIM の

性能に変化をもたらす。

e)

d)

で述べた垂直力は,磁気浮上車両の設計では直接的な影響を及ぼす。垂直力が,吸引力か反発力か

によって,この力が車両の支持を補助するか否かとなる。したがって,LIM の試験は,LIM の動作範

囲の適切な部分で,垂直力が発生しているか確認しなければならない。

f)

表 の情報は,サブシステムの部品の設計者と共有するのがよい。5.1 の中で詳細に述べられているよ

うに,LIM の設計者と LIM を駆動する電力変換装置の設計者との協力関係に特に配慮する必要がある。

適用範囲 

この規格は,鉄道車両を駆動する LIM で,一次側が車両の車体又は台車に搭載され,二次側は軌道に固

定されて磁界だけによって一次側と結合する特別な構成の LIM(短一次形リニア誘導主電動機)について

規定する。この規格において,これ以降の“LIM”は,短一次形リニア誘導主電動機をいう。

この規格の目的は,LIM の性能を試験によって立証して,要求事項への適合性を評価するための根拠を


2

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

提供できるようにすることである。

共通の電力変換装置によって並列に給電される LIM の定格値は,空隙長及び LIM 固有の特性の差異に

よる負荷分担への影響を考慮するのがよい。使用者は,ある用途での空隙長の最大許容差を製造業者に通

知することが望ましい。

この規格を適用する LIM への電気的入力は,電力変換装置から供給されるものが望ましい。

注記 1  規格立案の時点で,次に示す LIM と電力変換装置との組合せだけが,鉄道車両駆動用として

使われているが,将来はその他の組合せも使われる可能性がある。

−  電圧形電力変換装置によって給電される LIM

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を次に示す。

IEC 62520:2011

,Railway applications−Electric traction−Short-primary type linear induction

motors(LIM) fed by power converters(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 4003

  電気絶縁−熱的耐久性評価及び呼び方

注記  対応国際規格:IEC 60085,Electrical insulation−Thermal evaluation and designation(MOD)

JIS E 4031

  鉄道車両用品−振動及び衝撃試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61373,Railway applications−Rolling stock equipment−Shock and vibration

tests(MOD)

JIS E 4041

  鉄道車両−完成車両の試験通則

注記  対応国際規格:IEC 61133,Railway applications−Rolling stock−Testing of rolling stock on

completion of construction and before entry into service(MOD)

IEC 60034-8

,Rotating electrical machines−Part 8: Terminal markings and direction of rotation

IEC 60050-131

,International Electrotechnical Vocabulary−Part 131: Circuits theory

IEC 60050-151

,International Electrotechnical Vocabulary−Part 151: Electrical and magnetic devices

IEC 60050-411

,International Electrotechnical Vocabulary−Chapter 411: Rotating machinery

IEC 60050-811

,International Electrotechnical Vocabulary−Chapter 811: Electric traction

IEC 60349-2:2010

,Electric traction−Rotating electrical machines for rail and road vehicles−Part 2:

Electronic convertor-fed alternating current motors

IEC 60850

,Railway applications−Supply voltages of traction systems

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,IEC 60050-131IEC 60050-151IEC 60050-411 及び IEC 

60050-811

によるほか,次による。

注記 1  この規格の用語は,JIS E 4001 を参照している。

注記 2  3.63.123.133.183.26 及び 3.383.43 の用語は,この規格では用いられていない。


3

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

3.1

LIM

定格(LIM rating)

LIM の動作持続時間及び順序を含めた,電気量と機械量との組合せで製造業者が指示した値。

3.2

定格値(rated value)

定格におけるあらゆる量の数値。

3.3

連続定格(continuous rating)

8.1

に規定する条件のもとで,LIM が連続的に運転して

表 に示す温度上昇限度を超えることなく,し

かも,この規格で要求されている,全ての該当条件を満たすことができる機械的出力。

注記  様々な連続定格が指定されるかもしれないことに注意を要す。

3.4

短時間定格(例  時間)[short-time rating (for example, one hour)]

LIM が,試験台で規定の時間,表 に示す温度上昇限度を超えることなく運転できる機械的出力。

注記  試験は,8.1 で規定されているように LIM 冷状態で,これ以外の全ての要求事項が満足された

状態で開始する。

3.5

間欠負荷定格(intermittent duty rating)

LIM が,表 に示す温度上昇限度をいかなる時点でも超えることなく,運転できる運転サイクルの機械

的出力。

3.6

等価定格(equivalent rating)

間欠負荷運転と同一温度となるような,等価的な連続運転での電圧,電流,速度などで示す連続定格。

注記  この定格については,受渡当事者間の協定によることが望ましい。

3.7

保証定格(guaranteed rating)

製造業者が試験のために設定する定格。

注記  通常は連続定格。特別な場合には,受渡当事者間の協定によって短時間定格又は間欠負荷定格

でもよい。

3.8

定格電圧(rated voltage)

LIM が保証定格で運転されている場合に,LIM に供給される線間電圧基本波の実効値。

注記  架線から直接又は間接的に給電される LIM においては,通常は附属書 で規定されているよ

うに LIM が電車線の標準電圧のもとで,定格電流のときに LIM に供給される最大電圧(過渡

変動を除く。

)とする。

3.9

定格速度(rated speed)

保証定格における速度。

3.10

最高電圧(maximum voltage)


4

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

運転中に,LIM に供給される線間電圧の基本波成分の最も高い実効値。

3.11

繰返しピーク電圧(repetitive peak voltage)

電力変換装置の出力電圧波形のピーク値。電車線電圧の過渡変動,その他の予測できない要因で生じる

不規則な過渡ピーク値を除く。

3.12

最大電流(maximum current)

5.3

で規定する規定特性に示される最大電流。

3.13

最大出力(maximum output)

運転中における出力の最大値。

3.14

推力(thrust)

LIM の運転中に,進行方向に発生する加速力又は減速力。

3.15

最大推力(maximum thrust)

運転中における推力の最大値。

3.16

効率(efficiency)

実測入力に対する実測出力の割合,又は理論計算入力に対する理論計算出力の割合。

3.17

リニア誘導モータ(LIM)

伝統的な回転形誘導モータと同じ原理で動作し,線状の動作をする電気機械。

注記  回転形のモータと同様に,LIM の一次側と二次側とが磁気的に結合して,一次側からの磁界は,

二次側に渦電流を誘導する。この磁気的相互作用は,一次と二次との間で推力を発生する。

3.18

片側式リニア誘導モータ(SLIM)

一次側が二次側の片面だけに存在している LIM。

3.19

端効果(たんこうか)(end effect)

一次側の長さが有限長であることによって,一次側の両端で移動磁界がゼロとなる三相の非対称性に起

因する性能の悪化現象。特に,LIM の高速時の動作において顕著となる。

3.20

縁効果(えんこうか)(transverse edge effect)

一次側及び二次側の幅が有限であることによって,LIM の特性に影響する現象。

3.21

一次側(primary)

三相巻線,溝付の強磁性体の積層鉄心及び機械的支持構造の三つの部分で構成された二次側と対向する

LIM の構成要素。


5

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

3.22

短一次形(short-primary type)

一次側が車両側に取り付けられ,二次側が軌道又はガイドウェイに固定された LIM 方式。二次側は基本

的に軌道に沿って連続的に配置される。

3.23

二次側(secondary)

導体と強磁性の鉄心とで構成され,一次側から数ミリメートル以上離れて配置された LIM の構成要素。

この規格では,リアクションプレート,リアクションレールとも呼ばれる。

3.24

クラッド・リアクションプレート(cladding reaction plate)

導電性のプレートを二次側鉄心の表面に接合又は固定したリアクションプレート。

3.25

二次導体(secondary conductor)

二次側の強磁性鉄心の表面に固定された非磁性導体。

3.26

二次側オーバハング(secondary overhangs)

一次側の鉄心幅と比較し,リアクションプレートの追加している幅。

3.27

二次側支持構造(secondary supporting structure)

導電性リアクションプレートと二次側強磁性鉄心とをガイドウェイの表面に固定すると共に,様々な位

置の調整を可能にする鉄製の組立構造物。

3.28

機械的空隙(mechanical gap)

一次側の底面と二次側の上面との物理的な垂直線間距離。

3.29

標準空隙(nominal gap length)

LIM の性能設計に適用する機械的空隙。

3.30

磁気空隙(magnetic gap)

磁気回路上の空隙の長さで,一次鉄心と二次鉄心との間の物理的な距離。

3.31

移動磁界(traveling magnetic field)

LIM の一次巻線によって発生する磁界。回転形交流モータにおける回転磁界に相当する。

3.32

ポールピッチ,τ(pole pitch, τ

隣接した二つの磁界の極の間の長手方向の距離。

3.33

同期速度(synchronous speed)

LIM の移動磁界の基本波の速度。この値は,次の式によって求める。

τ

f

V

2

s

=


6

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

ここに,

V

s

同期速度(m/s)

f: 一次側電源周波数(Hz)

τ: ポールピッチ(m)

3.34

滑り(slip)

同期速度と一次側の速度との差を同期速度で除した値。この値は,次の式によって求める。

s

p

s

V

V

V

s

=

ここに,

s: 滑り

V

p

一次側の移動速度(m/s)

3.35

滑り周波数(slip frequency)

二次電流の周波数。この値は,次の式によって求める。

f

s

f

×

=

s

ここに,

f

s

滑り周波数(Hz)

3.36

垂直力(normal force)

一次側と二次側との間に働く,進行方向と直交する一次側の表面に垂直な方向の力。

3.37

電気ブレーキ(electric braking)

運動エネルギーから電気エネルギーへの変換によって車両を減速する方法。

注記  3.38 及び 3.39 に示す二つの異なる方法がある。

3.38

回生ブレーキ(regenerative braking)

主電動機を発電機として働かせ,運動エネルギーを電気エネルギーに変換して給電システムに送り返し

て,ブレーキ力を得る方法。

3.39

逆相ブレーキ(reversing-phase braking)

空隙中の長手方向の磁界の進行方向を逆転して滑りを 1 より大きくすることで,渦電流として二次導体

中で消費されるエネルギーを大きくしてブレーキ力を発生させる電気ブレーキの方法。

3.40

磁気吸引浮上方式(electromagnetic suspension)

車上の電磁石と強磁性のレールとの間で作用する吸引力による磁気浮上方式。

3.41

磁気浮上力(magnetic levitation force)

車上の LIM の一次側と LIM の二次側との間に誘起する垂直方向の正味の反発又は吸引力。

3.42

横方向磁気案内力(magnetic lateral guidance force)

車上の LIM の一次側と LIM の二次側との間に誘起する水平方向の正味の反発力。

3.43

空間高調波解析(space-harmonic analysis)


7

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

LIM の特性を計算するための電磁気解析法。

注記  方法は,仮想の一次側の周期的な配列によって生成した電流面のフーリエ級数表現によって導

出された空間高調波スペクトルを用いる。

3.44

使用者(user)

LIM の運転上の要求事項を定義すること及び受取証明書に署名することについて責任がある機関。

3.45

製造業者(manufacturer)

LIM が使用者の性能要求事項を満足していることを検証することに責任がある会社。

注記  多数の異なる会社が LIM の構成部品の設計,製造及び試験に関係することも可能である。

環境条件 

使用者が特に定める場合を除き,環境条件は,次による。

a)

高度:  海抜 1 200 m 以下。

b)

温度:  日陰で 40  ℃以下。

LIM が,これらのいずれか一方又は両方の限界を超えて運転される場合は,受渡当事者間の協定によっ

て特別な要求事項を設定してもよい。

さらに,使用者は,LIM がさらされる何らかの特に厳しい環境条件,例えば,じんあい,湿度,温度,

雪,動的作用(風,地震)などを製造業者に知らせなければならない。

特性 

5.1 

情報交換 

LIM 及び電力変換装置の設計者は,これらを組み合せた主回路システムが,この規格の要求事項を満た

すように,全ての技術的に必要な事項について協調を図る。このため,LIM の設計者は,LIM と電力変換

装置との間の相互作用を十分に評価するために必要な全ての情報を電力変換装置の設計者に提供する。

電力変換装置の設計者も,また,次の情報を LIM の設計者に提供する。すなわち,き電システムの最高

及び最低電圧値での運転を含むその用途の全域にわたる特性について,例えば,電力変換装置出力電圧(繰

返しピーク電圧を含む。

,電流,基本周波数,高調波及び電力の特性について示す。

この情報交換を記録した資料は,LIM 及び電力変換装置の仕様の必須要件として仕様書に含めなければ

ならない。

注記 1  受渡当事者間で情報交換するための技術文書は,JIS E 5008 の 4.1.3 に示されている。

注記 2 LIM と電力変換装置との間の配線長及び LIM の端子電圧のピーク値について考慮するのがよ

い。

さらに,LIM の一次側の設計者,二次側の設計者,二次側の締結装置及びシステムインテグレータは,

LIM がこの規格に記述された要求事項を満足できるように全ての必要な技術的項目を調整するのが望まし

い。

LIM の一次側の設計者は,二次側,二次側の締結装置の設計及びシステムインテグレータに,一次側と

二次側との相互作用について十分な検討を行い,必要な技術情報を提供しなければならない。

二次側の設計者もまた,全ての必要な技術情報を,一次側,二次側の締結装置の設計者及びシステムイ

ンテグレータに提供しなければならない。


8

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

一次側の製造業者及びその関係者の間で要求され,交換されるべき技術情報を,

表 に示す。この情報

交換を記録した資料は,LIM の仕様の必須の要件を構成する。

注記 3  システムインテグレータは,一次側及び二次側の附属品の公差,車輪とレールとの摩耗,走

行中の振動衝撃による空隙長の偏位を考慮して標準空隙を決定する。

表 1−一次側の製造業者とその関係者との間で要求・交換されるべき技術項目

項目

一次側の

製造業者

二次側の

製造業者

二次側の締結装

置の製造業者

システム

インテグレータ

a)

標準空隙

LIM の方式 
一次側の技術資料

二次側の技術資料 
(その基礎を含む方式及び形状)

導線の寸法及び材料 
鉄心の寸法及び材料

最大推力

最大の垂直力

垂直力の分布

最大偏位

一次側

二次側

二次側締結装置

強度

一次側

二次側

二次側締結装置

軌道構造物(まくらぎなど)が二次
側締結装置から受ける応力

注記  記号の説明は,次のとおり。

■  情報発信者 
○  情報共有者

a)

  システムインテグレータは,システムの供給業者又は鉄道事業者のいずれかである。

5.2 

基準巻線温度 

全ての特性は,LIM に用いられている絶縁種別とは無関係に,基準巻線温度 150  ℃を基準とする。この

基準温度を特性曲線上に記載する。

5.3 

規定特性 

一般に,LIM の仕様は,この規格の関連箇条に示す特性曲線を含む。これらの特性曲線は,

“規定特性”

と呼び,各変化量の設計上の動作限界点までプロットする。受渡当事者間の協定がない限り,これらの特

性は,

附属書 に規定する標準電圧における性能を示し,LIM が発注される前に使用者に提供する。

5.4 

決定特性 

決定特性は,8.2.1 に従って実施した形式試験の結果から求めた特性値で,8.2.2 の裕度を満たさなければ

ならない。

事前に受渡当事者間の協定がない限り,

同一使用者又は同一用途に対して以前に製造された LIM

と電磁気的に等価な LIM の決定特性は,既存の LIM の決定特性とする。その場合は,特性の承認は受渡

試験の結果だけによる。

5.5 

効率特性 

効率特性においては,電力変換装置給電による高調波から生じる損失を考慮する。


9

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

5.6 

主電動機特性 

主電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置給電の可変周波数特性によるもので,LIM の線間電

圧,電流,周波数,滑り周波数,平均推力及び効率を,標準空隙での LIM の応用範囲全体にわたって示し

たものである。電圧曲線は,基本波成分の実効値で表現する。電流曲線は,基本波成分の実効値及び全波

形成分の実効値で表さなければならない。LIM が電気ブレーキモードで使われる場合には,同様な特性曲

線が速度の関数として,入力となる推力と電気出力が示されなければならない。

表示 

6.1 

一次側の銘板 

この規格による全ての LIM の一次側には銘板を取り付ける。銘板には少なくとも次の情報を含まなけれ

ばならない。

a)

製造業者名

b)

一次側の形式名

c)

一次側の製造番号

d)

製造年

さらに,製造番号は全ての LIM の一次側に刻印しなければならない。一方向動作用に設計された LIM

には移動方向を示す矢印を取り付ける。

注記 1  一次側の製造番号及び方向矢印は,一次側が車両にぎ装されたときでも,容易に判読できる

ことが望ましい。

端子及び配線の表示は,特に取決めがない限り,IEC 60034-8 の規定による。

標準の方向が LIM の外観によって容易に判断できない場合には,製造業者は,方向を表示しなければな

らない。

注記 2  六つの端子をもった巻線用の表示の例を示す:

U1  U2  V1  V2  W1  W2

6.2 

二次側の表示 

この規格による全ての LIM の二次側には個体が識別できる連番が書かれた永久的な表示を取り付ける。

表示は支持枠の両側に付けられて,次の情報を含まなければならない。

a)

二次側の形式

b)

長さ

c)

製造業者の製造番号

d)

特記事項

試験 

7.1 

試験の種別 

7.1.1 

一般 

試験は,次の三つの種別がある。

a)

形式試験

b)

受渡試験

c)

調査試験


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E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

7.1.2 

形式試験 

7.1.2.1 

一般 

形式試験は,新形式の LIM の定格,特性及び性能を確認するための試験である。形式試験の試験方法は,

箇条 によって新設計の LIM の一次側 1 台について行う。特に取決めがない限り,LIM は,最初に製造さ

れた 10 台中の 1 台とする。製造場所及び/又は製造方法が変わった場合には,7.1.2.4 を適用する。

試験開始前に,製造業者は,試験がこの規格に沿って実施されることを説明する試験仕様書を使用者に

提出する。形式試験の完了に続いて,製造業者は完全な試験成績書を使用者に提出しなければならない。

7.1.2.2 

電力変換装置給電による形式試験 

各 LIM が,個別の電力変換装置によって給電される場合には,形式試験は可能な限り実際の運転で使用

される電力変換装置を使って実行されることが望ましいが,代わりに,車両の電力変換装置からの給電と

波形の高調波の大きさと成分とが同等とみなされる電源を使ってもよい。

7.1.2.3 

正弦波電源による形式試験 

正弦波電源による形式試験は,LIM の特性の参考値を提供するための試験である。

この試験は,製造業者が決定した定格における温度上昇試験を含む。

電圧,周波数,推力,通風条件及び試験時間は製造業者が決定するが,試験時間は,1 時間以上とし,

通常の実使用条件と比べて過酷とならない運転条件とする。

試験条件は,同一設計の LIM の後続する試験においてもそのまま適用されるものとする。

温度上昇試験は,8.1 による。

7.1.2.4 

繰返し形式試験 

受渡当事者間の協定があり,正弦波電源による形式試験(7.1.2.3 参照)結果があり,かつ,以前に製造

した LIM の受渡試験結果の裕度内にある場合には,その新しい LIM の形式試験の一部を省略することが

できる。すなわち,その製造業者が,同じ電磁気設計の LIM に対して,同等又はそれを上回る定格で実施

された形式試験成績書を提出した場合とする。これは,繰り返し発注の場合及び,製造場所及び/又は製

造方法の変更がある場合にも適用される。

7.1.3 

受渡試験 

受渡試験は,LIM の一次側が正しく組み立てられ,適切な耐電圧試験に耐えることができ,機械的及び

電気的に健全に動作することを実証するために行う。

表 に記載された試験は,全ての LIM の一次側で実

施する。

二次側の受渡試験は,二次側が設計された構成に沿っており,寸法公差及び事前に使用者と製造業者と

によって合意された他の要求事項を満足していることを実証する。二次側の受渡試験項目を

表 に示す。

二次側の受渡試験を実施する数量は,受渡当事者間の合意に基づいて決定する。

箇条 で規定された受渡試験は,通常全ての LIM で実施する。ただし,発注前に,受渡当事者間の合意

があれば,それに代わる試験方法を適用してもよい(例えば,厳密な品質管理手法のもとに大量生産され

る LIM の場合)

。これは,全ての LIM に実施する試験項目を削減する方法又は発注数量に応じてランダム

に選定された LIM に全試験項目を実施する方法がある。そのような協定のもとでも,9.1.3 に規定された

耐電圧試験は実施しなければならない。

7.1.4 

調査試験 

調査試験は,追加情報を得るために行われる任意の特別な試験である。調査試験は,LIM の発注前に受

渡当事者間の合意がある場合に限って実施される。これらの試験の結果は,LIM の受取条件とはしない。


11

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

7.2 

試験項目 

この規格で規定する試験項目を,

表 及び表 に示す。

表 2LIM の一次側に適用する試験項目

a)

試験項目

試験の種類

形式試験

受渡試験

調査試験

温度上昇試験

8.1 

短時間温度上昇試験/ヒートラン

7.1.2.3 9.1.1

b)

特性試験

8.2 9.1.2 

耐電圧試験

9.1.3 

振動衝撃試験

8.3 

構造試験

9.1.4 

騒音試験

10.2 

a)

  形式試験を実施したものも含め,全ての LIM は,受渡試験を実施しなければならない。

b)

  受渡当事者間で協定するオプションの試験。

表 3LIM の二次側に適用する試験項目

試験項目

形式試験

受渡試験

調査試験

寸法試験

9.2.1 

化学成分試験

9.2.2 

引張試験

9.2.3 

曲げ試験

9.2.4 

せん断試験

9.2.5 

超音波探傷試験

9.2.6 

摩擦試験

9.2.7 

導電率試験

9.2.8 

形式試験 

8.1 

温度上昇試験 

8.1.1 

一般 

試験は一次側の保証定格で行う。

一次側の連続定格試験の場合に,負荷増大又は通風を低減した条件で試験を始めて飽和温度に達する時

間を短縮してもよい。その場合には,動作条件の変更後,定格条件が少なくとも 2 時間維持されているか,

又は,適切な方法によって飽和温度に達することが示されるならば,これによって短縮してもよい。

試験は,二次側を使用しないで実施してもよい。

注記  飽和温度とは,試験の最後の 1 時間の温度変化が,2 K 未満となる状態とする。

8.1.2 

温度上昇試験中の通風 

冷却が強制通風による場合は,製造業者が指定した静圧及び冷却風の気流を試験に使用する。

一般に,車両の移動に起因する冷却は考慮しないが,これによる冷却が特に重要な所では,受渡当事者

間の合意のもとで冷却を行ってもよい。

8.1.3 

温度測定 

温度は,

附属書 に基づいて測定する。

8.1.4 

結果の判定 

附属書 の“冷却開始”時における巻線の温度上昇は,表 に示す値を超えてはならない。


12

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

8.1.5 

温度上昇限度 

絶縁材の耐熱クラスは,JIS C 4003 の規定による。

表 は,LIM の構造に用いられた巻線と他の部分とを絶縁する材料の現在使用されている耐熱クラスに

ついて,試験台で測定される周囲温度に対する温度上昇限度を示す。

同一 LIM の一次側の異なる部位で耐熱クラスが異なる場合は,各部分の温度上昇限度は,各々の耐熱ク

ラスの限度とする。

表 4−連続定格及び他の定格のための温度上昇限度

単位  K

部位

測定方法

耐熱クラス

130 (B)

155 (F)

180 (H)

200

220

250

一次側巻線

抵抗法

130 155 180 200 220 250

一次側がエンジン又はその他の熱源からの熱に直接又は間接的にさらされる場所では,

表 で指定され

た値より低い温度上昇限度の採用を,受渡当事者間で協定してもよい。

8.2 

特性試験及び裕度 

8.2.1 

一般 

8.2.1.1 

試験方法 

特性試験を実施することは,回転形の誘導モータに比べて難しいので,特性は次に示す特別な方法の一

つによって確認する。

a) LIM

の回転式試験装置

b)

電磁力解析法

c)

車両による動的推力試験

d)

車両走行試験

c)

及び d)の場合には,システムインテグレータは,車両を利用できるようにしなければならない。

8.2.1.2 LIM

の回転式試験装置 

LIM の設計を確認するためには,走行試験が要求されるが,LIM 単体の動的試験を実行することは困難

である。そのような場合に,一次側の長さが調査対象の LIM とおおよそ同じ特別な回転試験装置がしばし

ば使われる(一般的技術情報及び例は

附属書 参照)。

8.2.1.3 

電磁力解析法 

8.2.1.3.1 

静止試験 

一次側と二次側とは,それらの間に標準空隙を維持するように固定する。次に,公称周波数の正弦波の

公称電圧を一次巻線に印加し,推力及び垂直力を測定する。一次側の支持構造物は,構造の変形による力

の測定への干渉が最小化できるように,設計されなければならない。二次導体の表面温度を測定して,記

録する。製造業者は,公称電圧,周波数,推力,垂直力及びそれらの許容公差を決定して,形式試験の前

に使用者に通知しなければならない。特定の新設計には,初回の製品によるこの試験を推奨するが,試験

の実施は受渡当事者間の協定による。

8.2.1.3.2 

電磁力解析 

LIM ユニット(推進組立品)の試験走行を実施できないとき,通常,回転機で実施される速度特性の測

定を電磁気特性解析プログラムによる計算結果によって置き代えてもよい。

8.2.1.3

による特性計算結果は,定格速度(すなわち,V/F 一定運転領域)まで,少なくとも 1 台の実用


13

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

規模の LIM(例えば,8.2.1.2 に記載される回転式試験装置)の速度と推力に関して,速度特性の試験値と

比較し 10 %以上の差がないことを確認しなければならない。

注記  電磁気特性の計算用プログラムは,縁効果に関する二次側導電率の補正と共に,長手方向の端

効果を考慮したマクスウェル方程式に基づいたものが望ましい。

8.2.1.3.1

及び 8.2.1.3.2 に記載された試験は,両方とも必要である。

8.2.1.4 

車両による動的推力試験 

LIM の一次側は車両にぎ装されて,適切な二次側を備えた軌道で,走行試験を実施する。

動的推力は,計測装置によって直接測定するか,又は加速度測定から決定する。その補正は,車両質量,

勾配,走行抵抗及び電車線電圧によって行う。

動的推力試験は,加速試験で置き換えてもよい。

8.2.1.5 

車両走行試験 

車両走行試験は,JIS E 4041 の 9.2.1(形式試験)による。

試験は,標準空隙が測定公差に入っている状態で実施しなければならない。標準空隙は,走行試験の開

始に先駆けて測定し確認する。

8.2.2 

裕度 

ブレークポイント

1)

の推力は,定格条件における規定値の−5 %から+15 %までとする。

製造業者は,確認用のデータを使用者に提出しなければならない。

正弦波電源による形式試験(7.1.2.3 参照)の温度上昇は,適用される箇所で基本となる形式試験の値か

ら±12 %又は±15 K のいずれか高い値を超えて変化してはならない。

1)

  速度推力特性曲線の屈折点。

8.3 

振動衝撃試験 

振動衝撃試験は,JIS E 4031 による。この試験は,受渡当事者間の合意によって,省略又は試験条件を

変更することができる。

注記  車輪の回転がない磁気浮上式鉄道では,この試験の条件を緩和してもよい。

受渡試験 

9.1 

一次側の受渡試験 

9.1.1 

一般 

受渡試験は,商用電力周波数又は運転で使われる周波数の正弦波電源で実施する。

各々の試験で使用する周波数は同じでなくともよいが,一度設定した周波数は変更してはならない。測

定点に対する決定値は,形式試験を実施した一次側の 1 台を含む 4 台の一次側で実施した試験の平均値と

する。

温度変化の効果を低減するために,試験は,全ての一次側で同じ順序で実施する。効率測定は,電気ブ

レーキモードも含めて不要である。

同一形式の中での一貫性を確認するために,正弦波温度上昇形式試験(7.1.2.3 参照)を,ランダムに又

は受渡当事者間で協定した間隔で実施してもよい。裕度は,8.2.2 の規定による。

9.1.2 

特性試験及び裕度 

9.1.2.1 

一般 

一次側ユニットの走行試験が実現可能でない場合には,受渡試験の特性試験は,次の測定で代用しても

よい。


14

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

9.1.2.2 

一次側巻線の抵抗測定 

一次側の巻線抵抗は,任意の周囲温度で LIM の各端子の間で測定された抵抗値を用いて,次の式によっ

て計算する。

t

R

r

+

+

×

=

235

150

235

2

1

1

ここに,

r

1

150

℃における,一次側巻線の一相当たりの抵抗値(

R

1

一次側巻線の端子間の抵抗値の平均値(

t

抵抗測定時の周囲温度(℃)

R

1

を電圧降下法によって測定する場合には,測定のための電流は連続定格電流の

10 %

20 %

とする。

一次側巻線の標準抵抗値は,

1

台は形式試験が行われたものを含む

4

台の

LIM

の平均値とする。

注記

銅以外の材料の場合,上記の公式の中の値

235

は,材料の

0

℃での抵抗値の温度係数の逆数と

置き換えるのが望ましい。

9.1.2.2.1 

裕度 

一次側巻線の抵抗値は,9.1.2.1 による測定によって得られた基準値から±

5 %

を超えてはならない。

9.1.2.3 

インピーダンス測定 

二次側が取り付けられていない状態で,インピーダンスは,商用周波数又は運転に使用される周波数の

正弦波電流を一次側の端子に与えて測定した電流,電圧及び力率から計算される。一旦使用した周波数及

び相数は,変更してはならない。

インピーダンスの標準値は,形式試験を行った

1

台を含む

4

台の平均値とする。

9.1.3 

耐電圧試験 

試験は,通常,ほぼ正弦波の交流電源で,

25 Hz

から

100 Hz

までの間の周波数を使って実施するが,発

注前に受渡当事者間で合意されるなら直流で試験を行ってもよい。

試験電圧は,巻線とフレーム(一次側鉄心)との間に印加する。全電圧試験は,附属品が全て通常の動

作状態に取り付けられた新品の

LIM

に対してだけ適用する。この試験は,前記の受渡試験終了直後の高温

状態の

LIM

で実施する。

試験電圧は,

表 に示す電圧のうち,最高値を選択して行う。また,電圧は最終値の

1/3

以下の値から

徐々に昇圧する。最終値に達したとき,

1

分間保持する。


15

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

表 5−耐電圧試験電圧

単位  V

巻線

試験電圧

全ての巻線

交流試験 2

×

U

dc

a)

 + 1 000

又は

2 ×

b)

2

rp

U

+1 000

又は

c)

2

rpb

U

+1 000

直流試験 3.4

×

U

dc

a)

 + 1 700

又は

2.4 × U

rp

b)

 + 1 700

又は

1.2 × U

rpb

c)

 +1 700

a)

  U

dc

 :電車線システムが最高電圧で機器が運転しているときに,直流回路に印加さ

れる対地最高平均電圧。

b)

  U

rp

  :電車線システムが最高電圧で,機器が力行運転しているときに,機器の巻線

に印加される対地最大繰返しピーク電圧(繰返しピーク電圧は,3.11 に定義。

c)

  U

rpb

 :機器が電気ブレーキ中に,巻線に印加される対地最大繰返しピーク電圧。

直流回路及び機器巻線は,

U

dc

及び

U

rp

がこれらの回路に現れる対地最高電圧となるように接地されてい

なければならない。

9.1.4 

構造試験 

9.1.4.1 

寸法及び外観 

構造検査は,受渡当事者間で合意した図面を用いて,寸法測定によって行う。合否判定基準は,受渡当

事者間の協定による。

9.1.4.2 

平面度測定 

LIM

の一次側鉄心の,二次導体に対向する面の平面度を測定する。これは,受渡当事者間で合意した図

面に基づいた寸法公差の測定によって代えてもよい。

9.2 

二次側の受渡試験 

9.2.1 

寸法試験 

二次導体の厚さ,二次鉄心の厚さ及び幅,二次導体と鉄心とを組み合せたリアクションプレートの完成

品の高さ,長さ,長手方向の高さ,最大のそり,幅,平面度及び平衡度を測定する。これらは,受渡当事

者間で合意した図面に基づいた寸法公差の測定によって代えてもよい。

9.2.2 

化学成分試験 

二次導体及び二次側鉄心の化学成分試験を実施する。さらに,二次側支持構造及び締結システムは,十

分なたわみ及び耐疲労強度を確認するために材料強度解析を行う。この試験は,材料の認証文書の提出を

もって代えることができる。これらの手順は,二次側の材料が一次側の製造業者の要求を満たすことの確

認となる。

9.2.3 

引張試験 

二次側の強磁性材及び導体の引張強度を測定する。試験は,材料の認証文書又は解析文書の提出をもっ

て代用することができる。


16

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

9.2.4 

曲げ試験 

二次側のリアクションプレートの強磁性材及び母材の曲げ強度を測定する。試験は,材料の認証文書又

は解析文書の提出をもって代用することができる。

9.2.5 

せん断試験 

リアクションプレートが,導体と強磁性体とのクラッド材で構成されているならば,二次導体及び二次

側鉄心のせん断強度を測定する。リアクションプレートが機械的に接続されているならば,締結材料の強

度を測定する。この試験は,解析によって代えることができる。

9.2.6 

超音波探傷試験 

二次導体と鉄心との間の結合状態は,超音波探傷機によって検査する。この試験は,クラッド・リアク

ションプレートに適用する。

9.2.7 

摩擦力試験 

二次側鉄心又は架台を固定した状態で二次導体を引っ張り,二次導体が滑り出す力(最大静止摩擦力)

を測定して,二次導体と二次側鉄心との接合強度を確認する。この試験は機械的に結合されたリアクショ

ンプレートに適用する。摩擦力の許容値は,解析によっても決定することができる。

9.2.8 

導電率試験 

二次導体の導電率を測定し,その結果は,システムインテグレータと一次側の設計者とによって合意さ

れた範囲内になければならない。

10 

調査試験 

10.1 

一般 

7.1.4

で規定するように,調査試験は追加情報を得るために行われる任意の特別な試験である。

10.2 

騒音試験 

基本的に,

LIM

の一次側の騒音試験は必要ない。もし,騒音試験を必要とする具体的な技術的理由があ

るならば,測定方法は受渡当事者間で協定する。詳細な参考説明は,回転形主電動機及び基本的理論に関

する IEC 60349-2

:2010

附属書 にある。システムの騒音試験の基本的理論は,JIS E 4041 の 8.19[騒音

試験及び振動試験(任意の形式試験)

]に記載されている。


17

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

附属書 A

(規定) 
温度測定

A.1 LIM

部品の温度 

絶縁巻線の温度は,抵抗法によって測定する。

試験中の冷却風の温度が,

10

℃∼

40

℃の範囲にあれば,測定された温度上昇は補正してはならない。

もし,形式試験中の冷却風温度がこの範囲外の場合には,測定した温度上昇の補正について受渡当事者

間で協定してもよい。

短時間温度上昇試験を開始する前に,温度計法又は抵抗法によって,巻線と冷却空気との温度差が,

4 K

以内にあることを確認する。巻線の温度上昇を計算するときに,初期温度における

4 K

までの差異は,巻

線が冷却空気より高温な場合には結果から差し引き,低温な場合には加えて補正する。

抵抗法

抵抗法では,巻線の温度上昇は試験中の抵抗値の増加によって決定される。

銅の巻線の場合には,試験終了時の温度上昇は,次の式によって決定する。

(

) (

)

a

1

1

2

a

2

r

235

235

t

t

R

R

t

t

t

+

+

=

=

ここに,

t

r

温度上昇(

K

t

1

試験開始時の巻線温度(℃)

R

1

温度

t

1

における巻線抵抗値(

t

2

試験終了時の巻線温度(℃)

R

2

試験終了時の巻線抵抗値(

t

a

試験終了時の冷却風温度(℃)

注記

銅以外の材料については,上記の公式の中の値

235

を,その材料の

0

℃における抵抗温度係数

に置き換える。

A.2 

冷却風温度 

強制通風の場合には,冷却空気の温度は

LIM

への入気位置で測定し,複数の入気位置がある場合には各

位置の測定値の平均値とする。

温度計は,真の温度が記録されるように,ふく(輻)射熱及び隙間風のような空気の流れから保護する。

冷却風温度の変化による誤差を回避するために,その温度変化を最小限に押さえるためのあらゆる必要な

処置をとらなければならない。

試験終了時の冷却風温度は,連続定格試験の最後の

1

時間又は短時間試験の全期間にわたって約

15

分間

隔で測定を行い,この平均値とする。

A.3 

抵抗の測定 

A.3.1 

初期抵抗値 

初期の冷温時の抵抗値の測定は,その後の高温時の測定と同じ計器を用いて行うが,測定は,各試験の

最初に繰り返す必要はない。巻線温度は,抵抗測定の際の温度計による巻線表面温度とし,そのときの周


18

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

囲温度と,

4 K

を超える差があってはならない。

A.3.2 

高温時の抵抗値 

高温時の抵抗値は,試験の終了時に

LIM

を停止した後に,可能な限り速やかに測定する。測定は,電圧

電流計法(電圧−電流法)

,ブリッジ法,又は他の適切な手法を用いてもよい。初期測定を含め,対象とす

る巻線の全ての測定に同一の方法を用いなければならない。

電圧電流計法による場合は,電流自体が温度上昇に影響しない範囲で必要な精度を得られる十分に大き

な電流とする(通常,定格電流の

10 %

を超えない値がよい。

A.4 

一次側温度の評価 

A.4.1 

冷却開始”時間 

試験の終了時に,主回路を直ちに開放し,同時に全ての個別の通風装置を遮断する。

A.4.2 

高温時の抵抗測定並びに冷却及び加熱曲線の外挿 

各巻線の抵抗値測定は,

“冷却開始”後,

45

秒間以内で開始し,少なくとも

5

分間継続する。

各巻線の連続した抵抗測定の間隔は,最初の

3

分間は,

20

秒間以内とし,その後は

30

秒間以内とする。

これらの測定値から計算した温度上昇は,温度を対数目盛,時間を線形目盛とした時間の関数としてプ

ロットする。このようにして得られた結果を“冷却開始”時点まで外挿し,試験終了時の温度上昇値を求

める。


19

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

附属書 B

(参考)

LIM

の回転式試験設備による試験方法

B.1 

一般 

回転式試験設備は,試験対象の

LIM

の一次側鉄心長が等しい円弧状の一次側,及び二次側リアクション

プレートの回転可能なドラムで構成され,その標準空隙長は一定に保たれる。

一次側の出口端によって引き起こされた残留渦電流による干渉が,一次側の入口端で確実になくなるよ

うに,ドラムの直径は,一次側のポールピッチより十分に大きくなければならない。

試験設備の一例を,

図 B.1 に示す。

指定された特性を満足することを示す試験は,円弧形一次側への電気的入力と二次側の回転ドラムの機

械的出力とを測定することで実施される。出力は,直接測定するか,又はドラムで駆動される既知の効率

の電気機械の測定出力から計算によって求めてもよい。

負荷試験は,補正のために,結果が補正可能な基準温度付近で実施されることとする。また,

LIM

の宣

言された特性がプロットできるように,十分な試験データを採取する。

電力変換装置への電気的入力は,合意された方法によって測定されることとするが,それは

LIM

の受渡

しに影響しないこととする。

試験は,一回転方向だけで実施する。

円弧形一次側への複雑な波形の入力の測定を行う計器は,電流,電圧及び電力が規定の公差を満足する

ことを実証するために,十分な精度を備えたものでなければならない。

B.2 

推力 

推力は,二次側リアクションプレートのドラムの回転軸のトルクの測定値から計算する。推力を測定す

るための運転速度は,受渡当事者間の協定において決められるが,定格速度,すなわち,一次電圧が定格

電圧と等しい場合の速度での推力測定は,必須である。

B.3 

垂直力 

円弧状

LIM

の一次側の垂直力は,

LIM

の円弧状一次側が取り付けられたつりテーブルと支持枠との間で

働く応力をひずみゲージによって測定する。


20

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

図 B.1LIM の回転式試験設備

ひずみゲージ

一次側

二次側

(リアクションプレート)

出口端

入口端


21

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

附属書 C

(規定)

駆動システムの電車線電圧

電車線の標準電圧,最低電圧及び最高電圧は,使用者が指定する。それらは,IEC 60850 において採択

されている標準の値とすることが望ましい。

注記

IEC 60850

には,我が国で使用されている,直流

600 V

750 V

及び

1 500 V

,並びに交流

20 kV

及び

25 kV

が規定されている。

標準電圧は,

LIM

定格及び特性,並びに車両性能の計算のための基礎である。

標準電圧以外の電圧における性能は,本質的に変わるものであり,性能変化を減らすように制御しても

よいが,広範な電車線電圧範囲にわたって一定の性能を保持することは,一般的に望ましくない。


22

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

附属書 D

(規定)

使用者と製造業者との協定事項

D.1 

使用者が規定し,製造業者と協定を必要とする要求事項 

箇条

内容

例外的な環境条件

5.3 

規定特性の電圧

7.1.3 

二次側の試験数量

7.1.4 

調査試験

附属書 

電車線電圧値

D.2 

製造業者が規定し,使用者と協定を必要とする要求事項 

箇条

内容

5.4 

実績があるものと異なる決定特性

7.1.2.4 

形式試験の免除又は試験項目の削減

7.1.3 

代替の受渡試験の実施手順

8.1.2 

特別な外部冷却構成

D.3 

製造業者が規定し,システムインテグレータと協定を必要とする要求事項 

箇条

内容

8.2.1 

特性確認方法

D.4 

使用者と製造業者との間で協定してもよい他の特別な要求事項 

箇条

内容

6.1 IEC 

60034-8

に準拠していない端子及び線番表示

8.1.5 

温度上昇限度

9.1.1 

追加の正弦波による温度試験

9.1.3 

直流による耐電圧試験

9.1.4.1 

構造検査の合否判定基準


23

E 6111

:2012 (IEC 62520:2011)

参考文献

JIS C 1509-1

  電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第

1

部:仕様

注記

対応国際規格:IEC 61672-1

Electroacoustics

Sound level meters

Part 1: Specifications

IDT

JIS C 1514

  オクターブ及び

1/N

オクターブバンドフィルタ

注記

対応国際規格:IEC 61260

Electroacoustics

Octave-band and fractional-octave-band filters

IDT

JIS C 4034-5

  回転電気機械−第

5

部:外被構造による保護方式の分類

注記

対応国際規格:IEC 60034-5

Rotating electrical machines

Part 5: Degrees of protection provided by

the integral design of rotating electrical machines (IP code)

Classification

IDT

JIS E 4001

  鉄道車両−用語

JIS E 5008

  鉄道車両−電力変換装置

注記

対応国際規格:IEC 61287-1

Railway applications

Power convertors installed on board rolling stock

Part 1: Characteristics and test methods

MOD

JIS E 5011-1

  鉄道車両−電力変換装置及び交流電動機の組合せ試験−第

1

部:インバータ方式

注記

対応国際規格:IEC 61377-1

Railway applications

Rolling stock

Part  1:  Combined  testing  of

inverter-fed alternating current motors and their control system

MOD