サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

E 4311 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工

業規格である。 

今回,複数の日本工業規格 (JIS) を参照にしながら,ブレーキ部品の性能・機能を総合的に評価するた

め統一的な試験方法及び評価方法の規格を制定した。国際規格(ISO及びIEC)においては,整合性を考

慮すべき類似の規格はみられなかった。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

E 4311 : 1999 

鉄道車両−ブレーキ部品− 

試験通則 

Railway rolling stock−Brake parts−General requirement for tests 

序文 近年,鉄道車両のブレーキは,性能の高度化に伴いブレーキ装置の多様化及びマイクロコンピュー

タの導入による電子化が進んできた。これらの装置又は装置を構成するブレーキ部品の品質及び性能・機

能の評価は,複数の日本工業規格 (JIS) が参照されてきている。しかし,ブレーキ部品の性能・機能を総

合的に評価するためには,統一的な試験方法及び評価方法が必要であると考えられるようになってきた。 

この規格はこうした背景のもとで,鉄道車両のブレーキ部品の高い信頼性と安定した品質を保証し,維持

することを目的とし,ブレーキ部品の試験通則を制定した。 

1. 適用範囲 この規格は,鉄道車両に使用するブレーキ部品の試験に関する一般的な共通事項について

規定する。 

備考 この規格を適用するブレーキ部品とは,鉄道車両の車体及び台車に取り付けられ,ブレーキ作

動に関係する機器とする。ただし,個々の部品にJISのあるものは,それぞれのJISを適用す

るものとする。個々のブレーキ部品のJISは,参考表に示す。 

2. 引用規格 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS E 4001 鉄道車両用語 

JIS E 4031 鉄道車両部品−振動試験方法 

JIS E 4032 鉄道車両部品−衝撃試験方法 

JIS E 4034 鉄道車両部品−耐湿及び耐水試験方法 

JIS E 4035 鉄道車両部品−高温及び低温試験方法 

JIS E 4036 鉄道車両構成部品−ダスト試験通則 

JIS E 5004 電気車用制御機器−試験方法 

JIS E 5006 鉄道車両用電子機器の試験通則 

JIS E 6202 鉄道車両用電磁継電器通則 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS Z 8731 騒音レベル測定方法 

3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS E 4001によるほか,次による。 

a) 最低動作値 ブレーキ作動に関係する機器において,所定の動作が行われる最小の指令値又は入力値。 

b) 感度 ブレーキ作動に関係する機器において,所定の動作を行うのに必要な入力値又は出力値の変化

background image

E 4311 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

量。 

4. 試験の種類及び項目 

4.1 

試験の種類 試験の種類は,形式試験,受渡試験,特殊試験の3種類とし,次による。 

a) 形式試験 形式試験は,新設計によって製作された場合,又は特性に大きな影響を及ぼす設計変更が

された場合に,最初の一組のブレーキ部品について行う。ただし,このブレーキ部品の全部又は一部

が,既に該当する試験を行ったものと同一の場合は,その同一の部品についての試験の全部又は一部

を省略してもよい。 

b) 受渡試験 受渡試験は,同一形式のブレーキ部品の全数について行う。 

c) 特殊試験 特殊試験は,ブレーキ部品の使用条件などについて,付加的な情報を得ることを目的とし

て,受渡当事者間の協定によって必要に応じて行う。 

4.2 

試験項目 試験項目は,表1のとおりとする。試験項目の選択は,受渡当事者間の協定による。 

表1 試験項目 

試験項目 

形式試験 

受渡試験 

特殊試験 

該当箇条番号 

性能試験 

機能試験 

○ 

○ 

6.1 a) 

操作試験 

○ 

○ 

6.1 b) 

動作試験 

○ 

○ 

6.1 c) 

最低動作試験 

○ 

○ 

6.1 d) 

感度試験 

○ 

○ 

6.1 e) 

容量試験 

○ 

○ 

6.1 f) 

温度試験 

○ 

6.1 g) 

機械的試験 漏れ試験 

○ 

○ 

6.2 a) 

強度試験 

○ 

6.2 b) 

振動試験 

○ 

6.2 c) 

衝撃試験 

○ 

6.2 d) 

耐久試験 

○ 

6.2 e) 

騒音試験 

○ 

6.2 f) 

電気的試験 絶縁抵抗試験 

○ 

○ 

6.3 a) 

耐電圧試験 

○ 

○ 

6.3 b) 

温度上昇試験 

○ 

6.3 c) 

サージ電圧測定 

○ 

6.3 d) 

電源電圧変動試験 

○ 

○ 

6.3 e) 

電源電圧急変試験 

○ 

6.3 f) 

消費電力測定 

○ 

6.3 g) 

環境試験 

高温及び低温試験 

○ 

6.4 a) 

耐湿及び耐水試験 

○ 

6.4 b) 

防じん及び耐じん試験 

○ 

6.4 c) 

組合せ試験 

○ 

6.5 

備考 ○印は,実施する試験項目を示す。 

5. 試験条件 

5.1 

部品の取付け ブレーキ部品を試験するときは,使用時に近い取付方法及び姿勢で行うのがよい。 

5.2 

試験場所の状態 試験場所の状態は,特に指定のない限りJIS Z 8703による常温 (5〜35℃),常湿 

(45〜85%) とする。 

E 4311 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

供給圧力 試験に使用する供給圧力は,適用する機器の仕様による。空気圧の場合には,車両の元

空気だめ系圧力を直接供給されるものは,一般に600〜900kPa {6〜9kgf/cm2} とし,安全弁の吹き出し圧

力などの試験には,相応する圧力を供給するものとする。また,減圧弁などによって調整された圧力を供

給されるものは,所定の圧力とする。 

5.4 

試験電圧及び周波数 試験部品に供給される電源の電圧及び周波数の変動範囲は,受渡当事者間の

仕様書によるものとするが,仕様書に規定のない場合は次のとおりとする。ただし,公称電圧をE,定格

周波数をfとする。 

a) 補助電源装置(電動発電機又は静止形変換装置)から給電される場合の電圧は, (0.85〜1.1) ×Eと

し,周波数は, (0.9〜1.1) ×fとする。 

なお,電子機器に給電する場合の電圧は, (0.9〜1.1) ×Eとする。 

b) 蓄電池から給電される場合の電圧は, (0.6〜1.1) ×Eとする。 

なお,電子機器に給電する場合の電圧は, (0.7〜1.1) ×Eとする。 

6. 試験方法 

6.1 

性能試験 性能試験は,ブレーキ部品の機能及び性能について行うもので,次のとおりとする。 

a) 機能試験 機能試験は,機能に関する仕様を満足するかどうかを判定するために仕様を確認できる方

法で行う。 

b) 操作試験 操作試験は,手動操作機器の場合に手動操作に適するか,動作に異常がないかを判定する

ために操作を行い,手動操作に適するかどうかを調べる。 

c) 動作試験 動作試験は,仕様を満足する動作が行われるかどうかを判定するために動作を行わせて異

常の有無を調べる。 

d) 最低動作試験 最低動作試験は,仕様に示された最低動作値で操作し,確実に動作が行われるかどう

かを調べる。 

e) 感度試験 感度試験は,仕様に示された感度で動作するかどうか,動作を行わせて調べる。 

f) 

容量試験 容量試験は,弁の排気容量や供給容量が適正であるかどうかを判定するために,一定容量

の空気だめからの排気時間や供給時間を測定する。 

g) 温度試験 温度試験は,発熱する機能がある場合に,その発熱量又は温度が仕様を満足するかどうか

を判定するために温度を測定する。 

6.2 

機械的試験 機械的試験は,ブレーキ部品の強度,耐久性などについて行うもので,次のとおりと

する。 

a) 漏れ試験 漏れ試験は,気密を必要とする部位に使用圧力又は所定の圧力を加えて圧力の変化の測定

又は石けん液を塗布して石けん膜の張り具合で調べる。 

b) 強度試験 強度試験は,使用条件に対して強度的に十分かどうか確認するため,所定の荷重を加えて,

変位,応力などを測定する。 

c) 振動試験 振動試験は,JIS E 4031による。 

d) 衝撃試験 衝撃試験は,JIS E 4032による。 

e) 耐久試験 耐久試験は,耐久性を調べる目的で,できるだけ使用状態と同一の動作条件で所定の繰り

返し動作を行わせ,摩耗損傷などの状況をみて機能に障害が生じないことを確認する。 

なお,耐久試験中に消耗部品の交換給油などを行った場合は,その旨を明記する。 

f) 

騒音試験 騒音試験は,動作状態において騒音を発生するものについて,その大きさ及び特性を把握

E 4311 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

するために行う。測定のためのマイクロホンの位置や測定方法などについては,JIS Z 8731による。 

6.3 

電気的試験 電気的試験は,通電して使うブレーキ部品について行うものとし,次のとおりとする。

ただし,電子機器部品については,JIS E 5006による。 

a) 絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,JIS E 6202の5.1(絶縁抵抗)による。 

b) 耐電圧試験 耐電圧試験は,JIS E 5004の4.3(3)(耐電圧試験)による。 

c) 温度上昇試験 温度上昇試験は,通電して使うブレーキ部品をほぼ使用状態と同じ条件として,通電

状態で一定温度に達した後各部の温度を測定し,使用中に限度を超えないことを確認する。 

d) サージ電圧測定 サージ電圧測定は,使用状態で発生するサージ電圧が他の機器に影響を与えること

が懸念される場合に,サージ電圧の大きさを測定する。サージ吸収器の有無は,明記するものとする。 

e) 電源電圧変動試験 電源電圧変動試験は,供給電圧が5.4の範囲で変動することに対して,動作に異

常が発生しないことを確認する。 

f) 

電源電圧急変試験 電源電圧急変試験は,供給電圧を5.4の範囲で急激に変動させたとき,動作に異

常が発生しないことを確認する。変動時間,繰り返し回数については,受渡当事者間の協定による。 

g) 消費電力測定 消費電力測定は,消費電力が仕様を満足するかどうかを判定するために行う。電源電

圧,環境条件については,受渡当事者間の協定による。 

6.4 

環境試験 環境試験は,ブレーキ部品が車両の使用環境に対して仕様を満足するかどうかを確認す

るために行うもので,次のとおりとする。 

a) 高温及び低温試験 高温及び低温試験は,JIS E 4035による。 

b) 耐湿及び耐水試験 耐湿及び耐水試験は,JIS E 4034による。 

c) 防じん及び耐じん試験 防じん及び耐じん試験は,JIS E 4036による。 

6.5 

組合せ試験 組合せ試験は,1車両分又は複数両分のブレーキ部品を,なるべく実車に近い状態に配

管,配線して指令を与え,各機器の動作状況を調べる。組み合わせるブレーキ部品及びその試験方法は,

受渡当事者間の協定による。 

E 4311 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考表 ブレーキ部品のJIS 

JIS E 4101 鉄道車両用ドレンコック 

JIS E 4102 鉄道車両用アングルコック 

JIS E 4103 鉄道車両用締切コック 

JIS E 4105 鉄道車両用三方コック 

JIS E 4106 鉄道車両−ねじ込み式管継手 

JIS E 4115 鉄道車両用電磁弁 

JIS E 4117 鉄道車両用自動高さ調整弁 

JIS E 4118 鉄道車両用ブルドン管圧力計 

JIS E 4301 空気ホース連結器 

JIS E 4302 空気ホース連結器ふさぎ 

JIS E 4303 ホース連結器詰めゴム 

JIS E 4305 鉄道車両用空気ブレーキゴムホース 

JIS E 4306 鉄道車両用車掌弁 

JIS E 4307 鉄道車両用空気だめ 

JIS E 4308 鉄道車両−空気ちりこし 

JIS E 4309 鉄道車両用合成制輪子 

JIS E 4310 鉄道車両用焼結金属ろ過体 

JIS E 5002 鉄道車両用空気圧縮機−試験方法 

JIS E 5501 鉄道車両用空気笛 

JIS E 6202 鉄道車両電磁継電器通則 

JIS E 6601 鉄道車両−補助回転機−試験方法 

JIS E 7501 鉄道車両−鋳鉄制輪子 

E 4311 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

鉄道車両−ブレーキ部品−試験通則JIS原案審議委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

熊 谷 則 道 

財団法人鉄道総合技術研究所技術開発事業本部 

前 川 武 也 

工業技術院標準部 

秋 元 孝 生 

運輸省鉄道局 

女 屋 正 一 

運輸省鉄道局 

○ 石 塚 哲 夫 

東日本旅客鉄道株式会社鉄道事業本部運輸車両部 

山 田 幸 一 

東海旅客鉄道株式会社東海鉄道事業本部車両部 

大 上 和 久 

西日本旅客鉄道株式会社鉄道本部車両部 

○ 大久保 大 樹 

日本貨物鉄道株式会社鉄道事業本部技術開発部 

中 原 幹 夫 

東京都交通局車両電気部 

鈴 木   肇 

社団法人日本民営鉄道協会技術部 

○ 佐久間 健 二 

関東鉄道協会車両部会(京成電鉄株式会社車両部) 

岩 間 之 三 

関西鉄道協会車両分科会(阪急電鉄株式会社車両部) 

○ 三 宅   亙 

株式会社日立製作所水戸工場交通設計部 

○ 吉 岡 道 久 

富士重工業株式会社宇都宮車両工場鉄道システム技術部 

○ 松 本 孝 雄 

東急車輌製造株式会社横浜製作所車両工場設計部 

○ 西 邨 良 明 

近畿車輌株式会社車両事業本部品質保証部 

○ 金 岡 秀 雄 

川崎重工業株式会社車両事業本部生産総括部工作部 

○ 亀 田 康 幸 

三菱電機株式会社伊丹製作所電鉄システム部 

○ 北 川 好 弘 

株式会社ナブコ車両事業部車両技術部 

(主査) 

○ 小 山   泰 

三菱重工業株式会社機械事業本部交通輸送システム部 

(事務局) 

太 田   治 

社団法人日本鉄道車輌工業会技術部 

備考 ○印は,小委員会委員を兼ねる。