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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

(1) 

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

2

2

  引用規格  

4

3

  用語,定義及び略語  

4

3.1

  用語及び定義  

4

3.2

  略語  

7

4

  方法論 

7

4.1

  システムの定義及び適用条件  

8

4.2

  システム全体での危険源分析  

8

4.3

  安全要求事項  

9

5

  システムの説明  

9

5.1

  駅  

9

5.2

  列車  

10

5.3

  駅間軌道  

10

5.4

  システム境界  

12

6

  保護すべき対象  

12

6.1

  人  

12

6.2

  財産  

13

7

  同定された危険状態及び適用可能な安全防護策  

13

7.1

  軌道の監視  

14

7.2

  旅客乗降の監視  

17

7.3

  列車の運転  

19

7.4

  非常事態の検出及び管理の確保  

20

8

  安全要求事項  

23

8.1

  一般的安全要求事項  

23

8.2

  AUGT システムの監視  

25

8.3

  運転規則  

27

8.4

  プラットホーム上の安全防護策  

29

8.5

  列車における安全防護策  

34

8.6

  旅客乗降用区域の安全防護策  

38

8.7

  軌道に関する安全防護策  

42

8.8

  自動運転と非自動運転との切換え区域内及び車両基地の安全防護策  

45

9

  使用上の情報  

46

10

  在来システムで運行する既存線から DTO 又は UTO への高度化に関する個別の安全要求事項  

47

11

  安全性の検証  

47


E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)  目次

(2) 

ページ

11.1

  文書化及び責任  

48

11.2

  検証プロセス  

48

附属書 A(参考)OCC の役割  

50


E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

(3) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本鉄道電気技術協会(JREEA)及

び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 E

3802

:2012

(IEC 62267

:2009

)

自動運転都市内軌道旅客輸送システム

(AUGT システム)−安全要求事項

Automated urban guided transport (AUGT)-Safety requirements

序文 

この規格は,2009 年に第 1 版として発行された IEC 62267 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は,自動運転都市内軌道旅客輸送システム(以下,AUGT システムという。)に適合する安全

要求事項を規定するに当たって,鉄道事業者及び安全監理当局の助けとなるよう推奨事項を提示する一般

ガイドラインである。この規格が推奨する一般要求事項は,現在既に稼働中の AUGT システムから得られ

た経験に基づいている。しかしながら,各個別の適用事例についての安全要求事項は,AUGT システムが

構築されるべき条件を考慮し,

また,

特定地域の環境で広く用いられているリスク受入れ原則に基づいて,

リスク分析の結果だけから規定することができる。AUGT システムに関する包括的リスク分析の実施に適

用すべき規格は,IEC 62278(RAMS)である。

新しい AUGT システムには多様な技術的解決方策が採用される可能性があること,また,運用の条件も

多様であることから,この規格で取り扱う一般的な危険状態のリストは,あくまでも最小限のリストと考

えなければならない。この規格に規定する安全防護策の要求事項は,該当する危険状態を緩和するために

個別の安全防護策を適用するときの最低限の要求事項であることを意図している。しかし,固有のリスク

分析は,選ばれた安全防護策の幾つかの要求が,幾つかの特定の条件を考慮するために修正されなければ

ならないことを示す場合がある。また,新しい AUGT システムそれぞれの個別の設計並びに新しい AUGT

システムを取り巻く個別の地理的条件,自然環境,社会的環境,及び法的環境の各方面から,新しい危険

源が生じる可能性があり,そのために追加的な安全要求事項が求められる場合もある。したがって,常に,

追加的な要求事項又は修正対象となる要求事項を識別する個別の危険源分析が必須である。

それゆえに,この規格は,危険状態から発生するリスクを間違いなしに緩和し得る何らかの具体的手段

を規定するものではなく,また,これを規定することはできない。この規格は,在来システムにおいて運

転士及び係員が担っていた機能が,AUGT システムで自動機能又は他の安全防護策によって代替されると

いう基本的な想定から導かれる,予見可能な危険状態のリストを同定している。新しい AUGT システムに

ついて実施されるリスク分析に際して,このリストを注意深く考慮してもらうことがこの規格の目的であ

る。

この規格は,一般的な危険状態に加えて,対策として適用可能な安全防護策,及び広く実施されている

安全防護策を規定している。これについては,個別のリスク分析の結果として,個別の適用事例に適応す

るように修正するのが明らかに妥当という場合もある。


2

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

既に世界で運転中の多数の異なる AUGT システムの中の一つ以上において同定された全ての危険状態

が,この規格で必ずしも取り扱われたわけではない点に留意する必要がある。また,仮に全て網羅したと

しても直ちにそれが実効的であることを示すものではないであろう。さらに,個別の適用事例について要

求される適用可能な安全防護策の全てをこの規格で規定し尽くすことはできない。

この規格は,同定された全ての一般的な危険状態に安全防護策が実施されることを要求してはいない。

これは,しばしば,危険状態及び関連するリスクが,安全防護策を必要とせず許容できると評価されるこ

とがあり得るからである。IEC 62278 によると,具体的 AUGT 適用事例に適用できるそれらの具体的リス

ク受入れ基準及び法的要求事項を考慮に入れながら,各々のリスクの許容性及び特定の安全防護策の必要

性に関して決めることは,鉄道事業者の責任である。これは,管轄権がある安全監理当局との合意に従う。

適用範囲 

この規格は,専用軌道上を走行する,添乗員付き又は自走式自動列車運転を伴う AUGT システムの高水

準な安全要求事項について規定する。

注記  この規格における“専用軌道上を走行する”列車の走行方式は,鉄輪,ゴムタイヤ,リニアな

ど,その種類を問わない広い意味で用いる。

この規格では,列車運転の機能(

表 を参照)の一部又は全てについて本来責任を負う運転士又は添乗

員が不在であることを補償するために,システムの自動化の度合に応じて必要とされる安全要求事項だけ

を取り扱う(

表 の網掛け部分を参照,及び自動化の各程度の定義については 3.1 を参照)。

この規格の要求事項は,箇条 に規定する輸送システム,並びにそれぞれ 3.1.4 と 3.1.20 とに定義する

DTO

及び UTO に適用を限定する(

表 の網掛け部分を参照)。


3

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 1−自動化の度合 

列車運転の基本機能

目視

列車運転

TOS 

非自動

列車運転

NTO 

半自動

列車運転

STO 

添乗員付き

自動

列車運転

DTO

自動

列車運転

UTO 

GOA0 GOA1 GOA2 GOA3 GOA4 

列 車 の 安 全
な 走 行 の 確

安全な進路の確保

X

( 分 岐 器

はシステム

側で指令及
び制御され
る)

S

S

S

S

安全な列車間隔の確保  X S S S S

安全な速度の確保

X

X

(一部は

システムに
よる監視)

S

S

S

走行制御

力行及び制動の制御 X

X

S

S

S

軌道の監視

障害物との衝突の防止 X

X

X

S

S

人との接触の防止 X

X

X

S

S

旅 客 乗 降 の
監視

旅客用乗降口の扉の制御 X  X  X

X

又は S

S

車両間又はプラットホームと
列車との間の人身傷害の防止

X X X

X

又は S

S

安全な出発条件の確保 X

X

X

X

又は S

S

列車の運転

営業運転の開始及び終了 X  X  X  X

S

列車状態の監視 X

X

X

X

S

非 常 事 態 の
検 出 及 び 管
理の確保

列車診断の実行,火災又は煙
の検出,脱線の検出,非常事
態への対処(通報又は避難,

監視)

X X X X

S

及び/又

は OCC 内

係員

注記 
X

=運輸係員の責任(システム側によって実現される場合もある。

S

=技術システムの責任

この規格では,セキュリティの問題を特に取り扱わない。しかしながら,安全要求事項の各側面は,輸

送システム内でセキュリティを確保する任務にそのまま適用してもよい。

注記 1  “セキュリティ”とは不合理な人間の行為に対する鉄道システムの抗力を特徴付ける要素で

あり,

“安全”とは許容できない危害が発生するリスクがないことである(IEC 62278 を参照)

この規格の適用は,鉄道事業者及び安全監理当局(IEC 62278 を参照)との責任の下にあり,また,次

の内容を考慮したうえで,輸送システムを取り巻く(経済的,社会的,政治的その他の)環境内で適用さ

れる特定の法令を遵守する。

−  文化の相違,国内法的規制[例えば,省令,BOStrab(

参考文献参照)]又はリスク受入れ原理(例え

ば,GAME,ALARP)の相違による社会的リスク受入れ

注記 2  上記の省令は参考文献を参照。

−  国の違いによる法令

注記 3  日本では鉄道営業法が該当する。

−  安全監理当局又は特定の適用を担当する独立の査定者によって規定された,特別又は異なる要求事項

−  鉄道事業者による“安全な運用”の責任


4

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

鉄道事業者によって別途要求される場合を除いて,次に示す種類の輸送システムはこの規格の適用外で

ある。

−  空港,商業センタ,行楽地などの特別な環境内で稼働する APM(自動旅客輸送手段:Automated People

Movers

−  一般的に,旅客が同じ場所で乗降する,駅が 1 か所であることを特徴とする遊園地の乗り物及びロー

ラコースタ

−  一般的に,郊外環境を路線の一部とする都市間及び幹線鉄道

−  ケーブル駆動システム

−  光センサ,磁気センサ,又は同種の装置及びシステムを搭載する案内操だ(舵)車両を特徴とするシ

ステム

この規格は,システムの建設,設置,改修,及び解体の作業中に生じるリスクを対象としない。

この規格は,この規格の制定前に設計された,既存の DTO 又は UTO システム(3.1 の定義を参照)を

対象としない。

既存輸送システムから DTO 又は UTO システムへ高度化する場合に,既存のシステムに付随するリスク

は,この規格の適用範囲外である。ただし,この規格及びここに規定するリスク分析プロセスは,追加の

サブシステム及び必要であれば移行プロセス自体に関連する。したがって,この規格の適用は,安全監理

当局の裁量に属する。

稼働中の既存 DTO 又は UTO システムの拡張又は改修の場合については,安全監理当局の判断によって

当該変更が重大とされる場合だけ,この規格の適用対象となる。ただし,既存システムの変更のない部分

(例えば,車両,き電電力供給,信号,及びプラットホーム)との関係によって生じるリスクを考慮に入

れなければならない。

注記 4  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 62267:2009

, Railway applications − Automated urban guided transport (AUGT) − Safety

requirements

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。

IEC 62278:2002

  Railway applications − Specification and demonstration of reliability, availability,

maintainability and safety (RAMS)

用語,定義及び略語 

この規格で用いる主な用語,定義及び略語は,次による。

3.1 

用語及び定義 

3.1.1 

自動運転都市内軌道旅客輸送システム,AUGT システム(Automated Urban Guided Transport,AUGT)

専用軌道上を走行し,自走式,かつ,軌道によって案内される車両を使用する(次に定義される)運転

士なし又は完全無人運転のシステム。


5

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

3.1.2 

在来システム(conventional system)

TOS

,NTO 又は STO で運用されるシステム。

3.1.3 

閉扉状態に保持(doors closed and locked)

旅客が扉を開けることができない状態。

3.1.4 

添乗員付き自動列車運転,DTO(Driverless Train Operation,DTO)

運輸係員が列車に添乗はするが,力行又は制動操作を行わず,かつ,列車前方の軌道を目視して危険状

態の場合に列車を停止させることにも責任を負わない列車運転。扉の閉鎖を含めて,駅からの安全な列車

出発は,運輸係員の任務とする場合と技術システムが責任を担う場合とがある。

3.1.5 

専用軌道(exclusive guideway)

他のタイプの輸送システムに支障を与えずに,専ら単一の輸送システムにだけ使用されることを意図し

た軌道。

注記  この規格における“軌道”はその種類(鉄輪,ゴムタイヤ,リニアなど)を問わない,広い意

味で用いられる。

3.1.6 

自動化の度合(grade of automation)

列車運転の特定の基本機能について運輸係員と技術システムとの間で責任を分担することによる列車運

転の自動化レベル。

3.1.7 

建築限界(guideway clearance)

線路に対して相対的に定義される,線路周囲のあらかじめ定めた空間。各運転条件の下で,走行する列

車が,この空間の外に位置する人間又は物と接触することが完全に不可能であるように定義される。

注記  この規格では,人間又は物が,建築限界の内に位置した場合には,走行する列車と接触する可

能性があることを意味する。

3.1.8 

非自動列車運転,NTO(Non-automated Train Operation,NTO)

運転士(すなわち,列車を運転する係員)が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態

において列車を停止させる列車運転。力行及び制動は,地上信号又は車内信号に従って,運転士が制御す

る。信号システムは,運転士の運転操作結果の監視を行う。この監視が,不連続的か,準連続的か,又は

連続的かは適用されたシステムによる。閉扉を含めて,駅からの安全な列車出発は,列車に乗務している

又は駅のプラットホームで勤務に従事している運輸係員の責任である。

注記  この文章における“運転士の運転操作結果の監視”は速度監視の意味である。

3.1.9 

目視列車運転,TOS(On Sight Train Operation,TOS)

運転士が全面的に責任を負い,したがって,運転士の運転操作結果を監視・制御するために技術システ

ムが要求されない列車運転。ただし,ポイント(分岐器)及び単線区間の制御については,部分的にシス

テムによって監視・制御される場合もある。


6

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

3.1.10 

運行指令所,OCC(Operations Control Centre,OCC)

線区又は路線網の運行の監視及び管理を行う指令所。

3.1.11 

客室(passenger cabin)

旅客を輸送するために使用される車両の部分。

3.1.12 

旅客乗降用区域(passenger transfer area)

プラットホーム上の待機用区域と列車との間に位置し,乗降時に旅客が通行することを目的とする,建

築限界に直に隣接するプラットホームの区域。

3.1.13 

旅客用乗降口の扉(passenger transfer door)

客室と駅のプラットホームとの間で,旅客の乗降口となる列車の乗降口の扉。危険状態時(例えば,火

災,有害ガス発生時など)には非常出口としても使用できる。

3.1.14 

プラットホームに沿う線路(platform track)

駅内のプラットホームの前に位置する線路部分(

図 を参照)。

3.1.15 

プラットホーム上の待機用区域(platform waiting area)

接近する列車を旅客が待機するためのプラットホーム上の区域。旅客乗降用区域によって建築限界から

隔てられている。

3.1.16 

安全空間(safety space)

人が身を守ることができ,走行する列車によって危害を及ぼされない,建築限界の脇の区域。

3.1.17 

半自動列車運転,STO(Semi-automated Train Operation,STO)

運輸係員が,先頭車両の運転台に乗務して,軌道を目視して危険状態の場合に列車を停止させる列車運

転。力行と制動は自動化され,速度は,システムによって連続的に監視・制御される。駅からの安全な列

車出発は,列車に乗務している又は駅のプラットホームで業務に従事している運輸係員の責任である。

3.1.18 

切換え区域(transfer area) 

自動化区域と非自動化区域との間で列車の運転方式の切換えが行われる区域。

注記  “自動化区域”は DTO 及び UTO モードを対象とする要求に適合する区域であり,“非自動化

区域”はそれ以外の区域である。

3.1.19 

鉄道事業者,TA(Transport Authority,TA)

輸送システムの安全で秩序ある運行に責任を負う機関。

注記  安全面に関して,“鉄道事業者”(Transport Authority)の用語は,IEC 62278 に使用される“鉄

道事業者”

(Railway Authority)の用語と同義である。


7

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

3.1.20 

自動列車運転,UTO(Unattended Train Operation,UTO)

運輸係員が乗務しない列車運転(全ての機能について技術システムが責任を担う)

注記  ここでの自動列車運転は乗務員の付かない自動運転の方式であり,JIS E 3013 で規定される“自

動列車運転装置”とは区別される。いわゆる“無人運転”である。

3.1.21 

ゼロ速度状態(zero speed status) 

列車が停止しているとシステムが判断するために,列車速度が既定の制限値未満であることを示す安全

関連情報。

3.2 

略語 

ALARP

(As Low As Reasonably Practicable)

注記 ALARP とは,“合理的で実用可能な限り低く”を意味するイギリスのリスク受入れ原理

AUGT

自動運転都市内軌道旅客輸送

(Automated Urban Guided Transport)

DTO

添乗員付き自動列車運転

(Driverless Train Operation)

GAME

(Globalement Au Moins Equivalent)

“全世界的には少なくとも等しい”を意味するフランスの安全原理)

GOA

自動化の度合

(Grade Of Automation)

NTO

非自動列車運転

(Non-automated Train Operation)

OCC

運行指令所

(Operations Control Centre)

SRA

安全監理当局

(Safety Regulatory Authority)

STO

半自動列車運転

(Semi-automated Train Operation)

TA

鉄道事業者

(Transport Authority)

TOS

目視列車運転

(On-sight Train Operation)

UTO

自動列車運転

(Unattended Train Operation)

方法論 

この規格に示す一般安全要求事項を導くに当たって用いた方法論は,IEC 62278 に規定するライフサイ

クルの段階の原則に基づいている。次に示す

図 は,システムライフサイクルの V 字形表現であり,この

手法の各種作業を網掛けで示している。


8

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

図 1−この規格で取り扱うライフサイクルの段階(IEC 62278 の図 10 を参照) 

この方法論による作業(

図 の網掛け部分)の流れは次のとおりである。

−  一般的 AUGT システムとその適用条件を定義する。

−  全体システムレベルで,危険源分析を実施する。

−  安全要求事項を導き出す。

上記作業について,次に概要を説明する。

4.1 

システムの定義及び適用条件 

箇条 では,一般的 AUGT システム,サブシステム,それらの境界,及び適用条件を規定する。ここで

考慮の対象となる列車運転の基本的機能は,専ら DTO 及び UTO の下で取り扱われる機能だけであり,

1

に網掛けで示した部分である。システムの定義によって,一般的危険源分析の基礎となる適用条件が明

確化され,具体的適用事例との比較が可能となる。

4.2 

システム全体での危険源分析 

箇条 に規定する一般的システムについて,システム全体での危険源分析については実施した。

この規格の適用上,危険源分析は,次の内容とする。

−  危険状態の判定

−  同定された危険状態について想定される原因の識別

−  適用可能な安全防護策の割当て

ここで考慮の対象となる危険状態は,次の条件下で AUGT システムに生じる危険状態である。

−  先頭車両の運転台に列車運転士が乗務しない(すなわち DTO)

−  いかなる運輸係員も列車に乗務しない(すなわち UTO)

構想

システムの

定義及び適用条件

システム要求事項の

割当て

リスク分析

システム 
要求事項

設計及び実行

設置

システムの妥当性確認

(安全性の受入れ及び

コミッショニングを含む)

システムの

受入れ

性能の監視

廃止及び処分

運用及び保守

改修及び追加

この規格の一般的

取組み

システム全体での

危険源分析

安全要求

事項

システムの

定義及び適用条件

製造

個別の AUGT 適用事例の

ライフサイクル


9

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

4.3 

安全要求事項 

システム全体での危険源分析の結果として,先頭車両の運転台に列車運転士が乗務しないこと,又はい

かなる運輸係員も乗務しないことを補うことが可能な,適用可能な安全防護策が同定されており,これを

箇条 に列記する。

表 2∼表 に列記する各安全防護策について,箇条 では,それぞれに対応する安全

要求事項を明示する。これらの安全防護策及び要求事項には,現在稼働中の複数の自動運転システムから

収集された運転経験の共通部分も反映されている。

この規格では,安全防護策の選択について,また,受入れ可能な残留リスクのレベルについて規定する

ことはしない。これらは,各地域の安全文化に応じて異なる。安全政策若しくは安全目標を設定する業務,

又は安全受入れ基準若しくはリスク許容性基準を設定する業務は,その適用について管轄権をもつ所管

SRA

の責任である。どのような安全要求事項が導かれるかに応じて,結果的に,残留リスクのレベルはお

そらくそれぞれに異なる場合がある。したがって,どのように対処するかは,所管 SRA のリスクを許容で

きるかどうかの判断による。

システムの説明 

AUGT

システムは,次に該当するシステムである。

−  駅間の旅客輸送を担う。

−  自動化された自走式列車を使用する。

−  専用軌道上を走行する。

−  他の交通から独立した列車運転を可能とする。

−  安全な列車の走行の条件を提供する。

図 に点線で示したサブシステム(駅,列車及び駅間軌道)及びその境界について,次の細分箇条で説

明する。

5.1 

 

駅とは,公共的な場と列車との間の移動(すなわち乗車又は降車)によって,システムを旅客が利用で

きるようにする場所である。

サブシステムとしての駅は,

図 に示すように,幾つかの区域に区分される。その各区域は次のように

定義する。

−  プラットホーム上の待機用区域:この規格の適用上,人が走行する列車から危害を受けることのない

安全と認められる区域であり,プラットホーム上の待機用区域は,定義上,この規格の適用範囲外で

ある。

−  旅客乗降用区域(プラットホーム縁端区域)

:プラットホーム上の待機用区域と列車との間で,旅客の

乗降に使用される区域であり,この区域では,走行する列車との接触又は転落によって旅客が危険に

さらされる可能性がある。

−  確実に輸送するために,走行する列車が使用するプラットホームに沿う線路。


10

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

図 2−駅サブシステムの境界 

5.2 

列車 

軌道内を運行し,通常は軌道に沿って走行し,旅客の乗降のために駅に停車するサブシステムで,列車

は次のいずれかに該当する。

−  1 両の車両

−  ユニットを構成し,通常運行時には分割できない,複数の車両から組成

−  通常運行時に分割可能な,複数の車両又はユニットから組成

列車サブシステムは,次のように区分する。

−  客室:列車の安全な走行が確保され,列車に支障を及ぼす(例えば,走行路上の障害物)

,又は旅客に

支障を及ぼす(例えば,火災)外部の事象に対して適切な安全防護策が講じられている場合に安全区

域として定義する。

−  設けられている場合は,乗務員(運転)室

−  旅客用乗降口の扉

−  設けられている場合は,その他の列車扉又は特別に設けられた非常出口

駆動部,台車,及び客室をもつ列車自体は,機械的及び電気的な列車構造の一般的要求が満たされ,車

輪が安全に案内される場合,安全と解釈される。これは,この規格の適用範囲外である。

駆動・制動システム,台車,車両案内走行設備,信号システム,客室の機械的及び電気的側面,通信シ

ステム,及び他の IEC 安全規格によって取り扱われる列車サブシステムのその他同種の要素で構成される

列車機器は,この規格の適用範囲外である。しかしながら,列車機器の機能設計要求事項は,この規格に

提示する安全要求事項によって決定又は影響される場合がある。

“列車の安全な走行の確保”基本機能(

表 を参照)は,運輸係員が列車に乗務するか否かにかかわら

ず,

表 の NTO から UTO まで全ての自動化の度合に共通する代表的機能であり(IEC 62290-1 を参照),

したがって,この規格の適用範囲外である。

5.3 

駅間軌道 

サブシステムとしての駅間軌道(

図 3∼図 参照)は,次のように区分する。

−  地上施設の要素(例えば,橋りょう,トンネル,高架橋,線路)

:この要素は,安全な建造物(固定シ

ステム)又は,車輪が安全に案内されるなどの要求事項が遵守されている場合に限り,安全とみなさ

れる。解釈上,この要素は,この規格の適用範囲外である。

−  建築限界

プラットホーム上の待機用区域

旅客乗降用区域

建築限界

プラットホームに沿う線路

サブシステム

境界


11

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

−  特別の救出上の理由で設けられている場合,非常出口を含む軌道の安全空間

図 3−“駅間軌道”サブシステムの境界 

この規格において,平面交差は,駅間軌道の一部とみなす。

平面交差は,この規格の適用範囲内である(

図 参照)。

注記  “平面交差”とは,道路交通と交差する場合,踏切道を意味する。

図 4−平面交差のある“駅間軌道”サブシステムの境界 

側線(

図 参照)は,軌道の中で,特に次の目的に使用する部分である。

−  旅客輸送に使用されないときの列車の留置

−  運用を終了した列車の受入れ,及び運用への列車の投入

−  運行中の折り返し運転の実施

線路

安全空間(任意)

B

A

平面交差

建築限界

サブシス

テム境界

建築限界

踏切遮断機

歩行路(任意)

非常出口(任意)

B

A

安全空間(任意)

建築限界

線路

建築限界

サブシステム

境界


12

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

図 5−側線のある“駅間軌道”サブシステムの境界 

5.4 

システム境界 

システムには,次も含む。

−  保守用作業車両

−  車両基地の自動運転区間

−  自動運転区間と非自動運転区間との間のインタフェース

− OCC

−  軌道に沿ったき電電力設備

特に次の項目は,システムに含まない。

−  駅(ただし,旅客乗降用区域は除く)

−  エレベータ,エスカレータなど

−  トンネル,橋りょう及び構造物

−  自動運転を実施しない区域(例えば,検修場)

−  軌道沿いの設備を除く配電システム

保護すべき対象 

個別の適用事例のリスク分析の一部として実施される危険源の同定に際しては,次の人及び財産が危険

源にさらされることについて考慮しなければならない。

6.1 

 

当該システム内において,人は,旅客,公衆,及び外部からの救援組織を含む係員に分類される。

6.1.1 

旅客 

駅から駅まで移動するためにシステムを利用する人で,

(例えば,料金を支払うことによって)システム

を利用する権利をもつ者,又は(例えば,所管 TA によって)システムを利用することを許可された者。

特定の時点においてシステムを利用する人々(利用者)は,自身の意思によって利用していると想定され

る。

旅客によっては認識,移動能力,及び危険状態に反応する能力に差がある場合がある。利用者について

は,次のことが考えられる。

建築限界

A

線路

安全空間(任意)

側線

サブシステム境界

歩行路


13

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

−  様々な大きさ及び形状の持ち物を携行している(例えば,自転車,手荷物)

−  子供を連れている又は運んでいる(例えば,ベビーカー)

−  子供である。

−  運動機能の低下した人(高齢者,身体障害者)である。

−  認識力が限られている(現地の言葉を理解しない,アルコール又は薬物の影響下にある)

−  精神障害者である。

−  聴覚及び/又は視覚障害者である。

−  ペットを連れている又は運んでいる。

リスク分析のときに考慮に入れるべき,旅客の認知レベルの差異,同行の子供,持っているかばん又は

所有物については,SRA との合意のうえで,TA の責任で決定する。

6.1.2 

係員 

TA

の従業員又は他の機関の従業員としてシステム運用に従事する人で,係員には各種あり,次はその例

である。

−  運輸係員

−  保守係員

−  救援係員

−  外部係員(例えば,保守,清掃係員)

6.1.3 

外部からの救援組織 

緊急業務に従事する可能性のある他の外部機関を意味し,警察,消防,及び救急医療支援を含むが,こ

れらに限定されない。

6.1.4 

公衆 

AUGT

システムの境界内に所在し,係員でも旅客でもない人をいう。

6.2 

財産 

財産には,システムの地上施設全体,列車,AUGT システムの一部であるシステム設備,システム境界

外の近隣の財産及び環境,並びに旅客の携行する所有物が含まれる。リスク分析のときに考慮すべき財産

の解釈は,TA と SRA との間で合意されなければならない。

同定された危険状態及び適用可能な安全防護策 

自動化の各程度別に,列車運転の基本機能を

表 に示した。安全な運転を確実にするための基本要求事

項として,

この規格の適用範囲外にある場合も含めて,

これらの機能の全てを充足することが求められる。

この箇条では,

表 の網掛け部分に示した,この規格の適用範囲内にある各基本機能,危険状態及び当

該危険状態に対して講じ得る適用可能な安全防護策を表形式で規定し,箇条 の安全要求事項の規定との

相互参照を提供する。

システム全体での一般的危険源分析を通じて適用された方法論(4.2 参照)及び既存の具体的 AUGT 適

用事例から収集された経験を基礎にして,列車の運転士又はいかなる運輸係員も乗務しないことを補うこ

とが可能な安全防護策を列記する。

この規格で提案する安全防護策及び安全要求事項は,在来システムを対象とする安全要求事項を補完す

る。


14

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

表 2∼表 に同定する危険状態及び安全防護策で,DTO 及び UTO の運用に特有でないものは,この規

格の適用範囲外とみなされる。したがって,これらについては,表の参照先の欄に“適用範囲外”と付記

し,箇条 では取り扱わない。ただし,在来システムで使用される安全防護策の幾つかは,運転士及び係

員が不在の状況下で,DTO 又は UTO システムの安全性とアベイラビリティに寄与するため,考慮の対象

とする必要がある。したがって,これらについては箇条 で取り扱い,

表 2∼表 に相互参照を付す。

個別の適用事例において特定の危険源を解消又は緩和するために,列記した安全防護策のいずれを選択

するか,若しくはどのような安全防護策の組合せを選択するか,又はいずれの安全防護策も使用しないこ

とを選択するかは,TA と SRA の責任の下で査定されるリスク許容性次第である。ただし,具体的適用事

例において発生する全てのリスクが考慮されていることを確実にするために,当該の具体的適用事例を対

象とするリスク分析を実施しなければならない。

既定の優先又は選択がない場合,危険状態に対する安全防護策は,次のように範ちゅう分けすることが

可能である。

−  明確に規定された運転の規則から導かれる運転の手順の実施による安全防護策

−  旅客その他の人に対する警告(例えば,

“隙間及び段差にご注意ください”の放送など,視覚的,聴覚

的又は触知可能な警告手段)を基礎とする安全防護策

注記 1  “触知可能な警告”は,点状ブロックその他の利用によって実現している。

−  危険状態を検出して,事故発生の確率を低減させ,又は事故発生の影響を緩和する対応を講じること

による安全防護策

−  危険状態を回避するために設計された設備及び施設(例えば,プラットホームスクリーン)の適用に

よる安全防護策

注記 2  “プラットホームスクリーン”については,8.4.2 を参照。

ただし,自動化の度合にかかわらず存在するシステム全体での危険源について,次による緩和も必要と

される。

−  列車及び地上施設を対象とする設計規則と指針の適用

−  基本機能“列車の安全な走行の確保”

注記 3  “基本機能”は,表 に示される項目である。

上記の 2 項目は,在来システムにも該当し,DTO 及び UTO に特有なものではない。したがって,この

規格の適用範囲外であり,

表 2∼表 の参照先の欄に“適用範囲外”と付記する。

7.1 

軌道の監視 

7.1.1 

障害物との衝突の防止 

DTO

及び UTO モードでは,先頭車両の運転台に運輸係員が乗務しないため,建築限界内での障害物と

の衝突のリスクを低減する対策を講じなければならない。

表 に,先頭車両の運転台に運輸係員が乗務し

ないことを補うことが可能な,同定された危険状態に対する安全防護策を列記する。


15

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 2−障害物との衝突の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

障害物(例えば,ドリル)が,システム外部

からトンネル内部の建築限界内に突き出し
ている。

近接工事における施工上の安全管理規則

適用範囲外

障害物(例えば,樹木,クレーン,自動車な
ど,破壊行為を含む)が,システム外部から
線路上,地上の建築限界内に入り込んでい

る。

建築限界内の点検に関する規則

8.3.4 

橋りょう脇の物理的障壁

8.7.4 

線路に沿った物理的障壁

8.7.3 

地上障害物検出装置

8.7.7 

車上障害物検出装置

8.5.5 

障害物(例えば,工具又は材料)が,保守後
にシステム内部から建築限界内に放置され
ている。

建築限界内の点検に関する規則

8.3.4 

車上障害物検出装置

8.5.5 

保守後の軌道引き渡し規則

8.1.3.6 

障害物(例えば,車両の部品,構造物又は地
上設備)が,運行中,建築限界内にシステム
内部から落下してくる。

建築限界内の点検に関する規則

8.3.4 

車上障害物検出装置

8.5.5 

車両の設計規則

適用範囲外

構造物の設計規則

適用範囲外

地上設備の設計規則

適用範囲外

障害物が,遮断状態の平面交差に進入してい
る。

平面交差の監視

8.7.12.2 

平面交差の遮断機

8.7.12.1 

平面交差の遮断動作開始要求が行われた時
点で,平面交差上に障害物がある。

平面交差の監視

8.7.12.2 

平面交差からの障害物(例えば,自動車)が,
駅間の建築限界内へ侵入する。

平面交差から軌道への侵入の防止と検出

8.7.12.3 

7.1.2 

人との接触の防止 

DTO

及び UTO モードでは,先頭車両の運転台に運輸係員が乗務しないため,線路上での人との接触の

リスクを低減する対策を講じなければならない。

表 に,先頭車両の運転台に運輸係員が乗務しないこと

を補うことが可能な,同定された危険状態に対する安全防護策を列記する。

表 3−人との接触の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

プラットホーム縁端に人がいて,接近する列

車の一部がプラットホーム区域内にはみ出て
いる。

列車は建築限界を遵守する。

適用範囲外

列車接近時に,プラットホーム縁端にいる人
の身体の一部が,建築限界内にはみ出ている。

プラットホーム縁端に関する警告手段

8.4.1.2 

運輸係員の処置

8.2.2 

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

転落防止柵

8.4.1.3 

可動式ホーム柵

8.4.2.2 

ホームドア(フルハイト)

8.4.2.1 

プラットホーム縁端の人に,通過する列車が

風圧を及ぼす。

プラットホーム縁端に関する警告手段

8.4.1.2 

駅での減速

適用範囲外

ホームドア(フルハイト)

8.4.2.1 

可動式ホーム柵

8.4.2.2 


16

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

表 3−人との接触の防止(続き) 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

人がプラットホームに沿う線路上に転落す

る:事故か意図的かを問わず,列車接近時に
プラットホーム縁端から降りる(侵入)

。自殺

は考慮しない。

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

運輸係員の処置

8.2.2 

プラットホームに沿う線路のき電電力遮断

8.4.1.6 

可動式ホーム柵

8.4.2.2 

ホームドア(フルハイト)

8.4.2.1 

線間又はプラットホーム直下の避難場所

8.4.1.4 

検出システムを備えた開放式プラットホーム

8.4.3 

列車接近時に,システム外部から人がプラッ
トホームに沿う線路に立ち入る。

法的規定による分離された軌道

8.7.1.2 

軌道に沿った警告手段

8.7.2 

検出システムを備えた開放式プラットホーム

8.4.3 

線路に沿った物理的障壁

8.7.3 

プラットホームに沿う線路のき電電力遮断

8.4.1.6 

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

運輸係員の処置

8.2.2 

人が,プラットホームに沿う線路から駅間の
建築限界内へ立ち入る。

プラットホームに沿う線路と駅間軌道との間の侵
入検出装置

8.7.5 

公衆,係員,又は救助された旅客が,外部か
ら駅間の建築限界内へ立ち入る。

線路に沿った物理的障壁

8.7.3 

軌道侵入検出装置

8.7.6 

物理的に分離された軌道

8.7.1.1 

法的規定による分離された軌道

8.7.1.2 

旅客又は係員が,列車から駅間の建築限界内
へ立ち入る。

旅客の救助に関する規則

8.3.1 

駅間走行中は列車の旅客用乗降口を閉扉状態に保

適用範囲外

旅客用乗降口の閉扉状態の監視

8.5.1 

人が,平面交差から駅間の建築限界内へ立ち
入る。

平面交差から軌道への侵入の防止と検出

8.7.12.3 

係員が,保守を目的として軌道内へ進入する。 作業区域

8.7.13 

係員が,

(プラットホーム端部,システム外部

又は所定の避難の際に列車から)駅間軌道の
安全空間に立ち入り,列車の一部が,安全空

間にはみ出した状態で接近する。

建築限界に見合う車両

適用範囲外

係員が,

(プラットホーム端部,システム外部

又は所定の避難の際に列車から)駅間軌道の
安全空間に立ち入り,列車が,走行路限界内
にはみ出し,接近する。

係員の訓練及び教育

適用範囲外

係員が,

(プラットホーム端部,システム外部

又は所定の避難の際に列車から)駅間軌道の
安全空間に立ち入り,通過列車が風圧を発す

る。

係員の訓練及び教育

適用範囲外

無許可の旅客又は公衆が,駅間の軌道の安全

空間にプラットホーム端から侵入する。

非常時以外,安全空間への立ち入りを禁止する規

適用範囲外

立ち入り制限機能を備えたプラットホーム端部扉

8.7.8 

プラットホームに沿う線路と駅間軌道との間の侵
入検出装置

8.7.5 

軌道に沿った警告手段

8.7.2 


17

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 3−人との接触の防止(続き) 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

人が,システム外部からの安全空間へ立ち入

る。

軌道侵入検出装置

8.7.6 

線路に沿った物理的障壁

8.7.3 

物理的に分離された軌道

8.7.1.1 

法的規定による分離された軌道

8.7.1.2 

人が,許可なく自発的に列車から安全空間に
避難し,き電用レールなどの露出した通電中
の導体と接触する。

避難についての車内警告手段

8.5.17 

き電電力の遮断

8.1.3.5 

駅間走行中は列車の旅客用乗降口を閉扉状態に保

適用範囲外

旅客用乗降口の閉扉状態の監視

8.5.1 

列車の走行準備が整った平面交差に人が立ち
入る。

平面交差の監視

8.7.12.2 

平面交差の遮断機

8.7.12.1 

列車の走行準備に取りかかったときに,平面
交差内に人がいる。

平面交差の監視

8.7.12.2 

自動運転と非自動運転との切換え区域内に係
員がいて,自動運転の列車が予期しない動き

をする。

車両基地内での列車運転に関する規則

8.3.6 

自動運転と非自動運転との切換え区域内及び車両

基地の安全防護策

8.8 

7.2 

旅客乗降の監視 

7.2.1 

旅客用乗降口の扉の制御 

UTO

モードでは,列車又は駅に,旅客乗降の監視のための運輸係員がいないため,旅客用乗降口の扉の

開閉によって旅客に負傷が生じるリスクを低減する対策を講じなければならない。

表 に,旅客の乗降を

監視する運輸係員がいないことを補うことが可能な,

同定された危険状態に対する安全防護策を列記する。

同定された安全防護策は,NTO 及び STO モードでも使用される場合があることに留意するのがよい。

表 4−旅客用乗降口の扉の開閉に付随する人身傷害の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

旅客が車両の乗降口の扉のそばにいて,駅間
走行中に乗降口の扉が開扉するか,又は開扉
するために鎖錠が開放された場合。

駅間走行中は乗降口の扉を閉扉状態に保持

適用範囲外

列車の停車中に,旅客がプラットホームと反
対側又はプラットホーム区間外の車両の乗降
口の扉のそばにいて,乗降口の扉が開扉する

か,又は開扉するために鎖錠が開放された場
合。

旅客用乗降口の扉の解錠

8.5.2 

列車の乗降口の扉が開扉用に解錠されるか,
開扉していているが,ホームドアが閉じてい
る状態,又はその逆の状態の場合に,プラッ

トホームスクリーン間に旅客が入り込む。

旅客用乗降口の扉の解錠

8.5.2 

列車の乗降口の扉とホームドアとの位置合わせ

8.4.2.1 a) 

列車の乗降口の扉と可動式ホーム柵との位置合わ

8.4.2.2 

列車とプラットホームスクリーンなどとの間の空
間を最小化する設計上の方策

8.6.8.1 

開閉扉時に,旅客が戸袋に手(又は他の体の
部位)を入れ,引き込まれる。

開く扉に引き込まれる可能性を最小化する設計
(場合によってステッカ若しくは視覚及び/又は
聴覚に訴える警告手段も含まれる。

適用範囲外

旅客乗降中に,予期せず乗降口又はホームド
アなどの扉が強い推進力で閉まる。

扉の閉じ圧力(推進力)を制限する設計

8.6.3.2 

扉が閉じるときの光及び音による合図

8.6.3.1 


18

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

7.2.2 

車両間又はプラットホームと列車との間の人身傷害の防止 

UTO

モードでは,列車又は駅に,旅客乗降の監視のための運輸係員がいないため,プラットホーム縁端

と車両との間の隙間又は車両の連結部に転落することによって旅客が負傷するリスクを低減する対策を講

じなければならない。

表 に,旅客の乗降を監視する運輸係員がいないことを補うことが可能な,同定さ

れた危険状態に対する安全防護策を列記する。同定された安全防護策は,NTO 及び STO モードでも使用

される場合があることに留意するのがよい。

表 5−車両間又はプラットホームと列車との間の人身傷害の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

旅客が,乗降時に,プラットホーム縁端と車
両との間の隙間に転落し又は挟まれ,露出し

た通電中の導体(例えば,き電用レール)

,又

は動き始めた列車によって危険にさらされ
る。

プラットホーム上の車両の扉位置の表示

8.6.4 

プラットホームにおける構内放送システム(例え
ば,

“隙間及び段差にご注意ください”の放送)

8.4.1.9 

車上放送システム

8.5.8 

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

車内からの非常停止要求

8.5.10 

プラットホーム上の非常通報装置

8.4.1.8 

車内の非常通報装置

8.5.11 

隙間に関するプラットホーム上の警告手段

8.6.6.2 

運輸係員による監視

8.6.5 

車上又はプラットホーム上の可動ステップ

8.6.6.4 

車上又はプラットホーム上の隙間監視装置

8.6.6.5 

プラットホーム縁端と車体との間の隙間の縮小化

8.6.6.1 

隙間に関する車内の警告手段

8.6.6.3 

隙間に転落した後の感電から旅客を保護するため

の安全防護策

8.6.9 

旅客の乗降時に,旅客(例えば,視覚障害者)
が車両の連結部に転落し,露出した通電中の

導体(例えば,き電用レール)

,又は動き始め

た列車によって危険にさらされる。

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

車内からの非常停止要求

8.5.10 

プラットホーム上の非常通報装置

8.4.1.8 

車内の非常通報装置

8.5.11 

隙間に関するプラットホーム上の警告手段

8.6.6.2 

運輸係員による監視

8.6.5 

車上側での車両連結部の転落防止設備

8.6.7.1 

プラットホーム上の車両連結部停止位置への部分

的な固定柵

8.6.7.2 

連結部の監視装置

8.6.7.3 

隙間に転落した後の感電から旅客を保護するため
の安全防護策

8.6.9 

7.2.3 

安全な出発条件の確保 

UTO

モードでは,列車又は駅に,旅客乗降の監視及び安全な出発条件の確保のための運輸係員がいない

ため,1 か所若しくは複数の扉が開いたまま,又は旅客若しくはその持ち物が車両の乗降口の扉に挟まっ

た状態,若しくは(ホームドアが設置されている場合)ホームドアに挟まった状態で,予期せず列車が発

車することによって旅客が負傷するリスクを低減する対策を講じなければならない。

表 に,旅客の乗降

を監視する運輸係員がいないことを補うことが可能な,同定された危険状態に対する安全防護策を列記す

る。同定された安全防護策は,NTO 及び STO モードでも使用される場合があることに留意するのがよい。


19

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 6−列車発車時の旅客人身傷害の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

乗降時に旅客が列車の開いている扉近くにい

て,予期せず,列車が動き始める。

旅客乗降中の列車の起動及び転動の防止

8.6.1 

旅客用乗降口の閉扉状態の監視

8.5.1 

予期しない列車の動きへの対応

8.5.16 

乗降時に旅客が列車の開いている扉近くにい

て,予期せず列車が動き始め,扉が開いたま
ま動き続き,旅客が転落する。

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

車内からの非常停止要求

8.5.10 

プラットホーム上の旅客が旅客乗降後,旅客

又はその持ち物[ベルト,犬のひ(曳)き綱
など]が閉じた扉間に挟まり,列車が動き始
める。

旅客用乗降口の閉扉状態の監視

8.5.1 

閉扉動作中の障害物検出

8.6.3.3 

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

車内からの非常停止要求

8.5.10 

扉を閉めた後の扉の間に挟まった異物の検出

8.6.3.4 

ホームドア(フルハイト)

8.4.2.1 

可動式ホーム柵

8.4.2.2 

扉に挟まった異物を手で除去

8.6.3.5 

旅客が列車とプラットホームスクリーンの間
に閉じ込められたまま,列車が動き始める。

車内からの非常停止要求

8.5.10 

プラットホーム上の非常停止スイッチ

8.4.1.5 

旅客が列車とプラットホームスクリーンとの間に

いるときには,ホームドアが閉まらないことを確実
にする。

8.4.2.1 

8.4.2.2 

閉扉動作中の障害物検出

8.6.3.3 

列車とプラットホームスクリーンなどとの間の空
間を最小化する設計上の方策

8.6.8.1 

列車とプラットホームスクリーンとの間の水平空
間を監視する車上又はプラットホーム上の装置

8.6.8.2 

7.3 

列車の運転 

7.3.1 

列車の営業運転の開始及び終了 

UTO

モードでは,列車の営業運転の開始及び終了の準備を行う運輸係員が,列車又は駅にいないので,

何らかの助けを必要とする旅客が,営業運転を終了した列車内に取り残され危害を受けるリスクを低減す

る対策が講じられなければならない。

表 に,列車の営業運転の開始及び終了を監視する運輸係員がいな

いことを補うことが可能な,同定された危険状態に対する安全防護策を列記する。

表 7−列車の営業運転の開始及び終了に関連する旅客への危害防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

(予定どおり又は予定外で)営業運転を終了
する列車に旅客が乗っていて,監視下にない
列車に旅客が閉じ込められるか,又はその列

車が不安全な状態に置かれる。

運輸係員の処置(係員による目視点検)

8.2.2 

列車の運転終了に関する規則

8.3.7.2 

車内映像監視

8.5.7 

列車の営業運転終了を伝える車内放送

8.5.9 

車内の非常通報装置

8.5.11 

眠っていたり,体調の優れない旅客が,営業
運転終了した列車の車上安全防護策に気付か
ず,監視なしの列車に閉じ込められる。

列車の運転終了に関する規則

8.3.7.2 

運輸係員の処置(係員による目視点検)

8.2.2 

故障した列車を営業運転に投入する。

列車状態の監視及び試験

8.5.13 


20

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

7.3.2 

列車状態の監視 

UTO

モードでは,列車又は駅に,故障を認知するために列車を監視する運輸係員がいないため,列車の

故障に気付かずに,直接又は間接的に事故につながって結果的に旅客が負傷するリスクを軽減する対策を

講じなければならない。

表 に,列車故障の場合で運輸係員がいないことを補うことが可能な,同定され

た危険状態に対する安全防護策を列記する。同定された安全防護策は,NTO 及び STO モードでも使用さ

れる場合があることに留意するのがよい。

表 8−列車の故障の結果として生じる人身傷害の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

駅間に立ち往生した列車に旅客が残された状
態で,列車は自動モードで動くことができな

い。

手動運転

8.5.14 

走行する列車に旅客が乗っている状態で,意

図せず連結が外れ,制御できない側の車両に
人が残されている。

列車の組成が完全であることの監視

適用範囲外

列車構成(ユニット内の連結部)の分離で,
人が車両連結部の開口面にさらされる,又は
制御できない側の車両に残される。

列車組成の完全性を確保

適用範囲外

列車の組成が完全であることの監視

適用範囲外

安全運行に影響を及ぼすような故障に対する
不十分又は不適切な処置

列車状態の監視及び試験

8.5.13 

故障しても安全側となるような車両設計

適用範囲外

間違った運転モード(例えば,係員による監
視モードを誤って完全自動モードにするな

ど)で列車が発車する。

運転モードスイッチの施錠

8.5.14.1 

自動運転モードと手動運転モードとの間のインタ
ロック

8.5.14.2 

安全な運転モードの確保

適用範囲外

列車が間違った走行方向に発車し,列車の前
方に人又は障害物が存在する。

安全な走行方向の確保

適用範囲外

列車連結中に速度超過

自動連結時の安全速度

8.5.15 

7.4 

非常事態の検出及び管理の確保 

UTO

モードでは,列車又は駅に,車内又は駅内で発生した非常事態を認知できる運輸係員がいないため

に,非常事態の発生に気付かず結果的に旅客が負傷するリスクを軽減する対策を講じなければならない。

表 に,非常事態の場合で運輸係員がいないことを補うことが可能な,同定された危険状態に対する安全

防護策を列記する。同定された安全防護策は,NTO 及び STO モードでも使用される場合があることに留

意するのがよい。

表 9−非常事態に関連する人身傷害の防止 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

人の乗った車内で,(構成部品の故障,不注
意,破壊行為などによって)火災が発生する。

火災防護(不燃又は難燃対策)

8.1.2 

消火設備

8.1.2 

旅客の行動に関する規則

8.1.4 

OCC

係員による監視

8.2.1 

火災非常事態に関する規則

8.3.2 


21

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 9−非常事態に関連する人身傷害の防止(続き) 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

人を乗せた車内で火災が拡大し,煙及び/又

は有毒ガスが車内にまん(蔓)延する。

消火設備

8.1.2 

火災防護[火炎,煙,有毒ガスのまん(蔓)延を
緩和する対策]

8.1.2 

OCC

係員による監視

8.2.1 

火災非常事態に関する規則

8.3.2 

車内の非常通報装置

8.5.11 

車内における火災及び煙の検出

8.5.12 

駅間で立ち往生している車内で火災が拡大。

OCC

係員による監視

8.2.1 

火災非常事態に関する規則

8.3.2 

非常時の扉解錠

8.5.3 

車内の非常通報装置

8.5.11 

車内における火災及び煙の検出

8.5.12 

車内で火災が拡大し,旅客には最善の行動に

ついて情報が与えられていない。

車内における旅客の行動に関する規則

8.1.4 

OCC

係員による監視

8.2.1 

車上放送システム

8.5.8 

火災が拡大中の駅に列車が接近する。

駅における火災防護

8.1.2 

OCC

係員による監視

8.2.1 

駅における火災及び煙の検出

8.4.1.10 

駅間の火災が拡大している区間に列車が在
線。

駅間軌道における火災防護

8.1.2 

OCC

係員による監視

8.2.1 

駅間軌道における火災及び煙の検出

8.7.10 

駅内に人がいるときに,火災が駅内で又は軌
道内で発生する。

火災防護(駅及び駅間軌道で火災の発生と拡大を
緩和する対策)

8.1.2 

OCC

係員による監視

8.2.1 

火災非常事態に関する規則

8.3.2 

プラットホーム上の非常通報装置

8.4.1.8 

駅における火災及び煙の検出

8.4.1.10 

車内の非常通報装置

8.5.11 

車内における火災及び煙の検出

8.5.12 

駅間軌道における火災及び煙の検出

8.7.10 

煙の流れに影響を及ぼす換気システム

適用範囲外

駅からの非常出口

適用範囲外

人を乗せた列車が脱線する。

設計規則(軌道の脱線防止策)

8.1.3.1 

OCC

係員による監視

8.2.1 

脱線が検出されずに列車が停止せず,対向列
車又は地上施設などと衝突して,旅客が負傷。

OCC

係員による監視

8.2.1 

旅客の救助に関する規則

8.3.1 

脱線検出装置

8.5.6 

車内の非常通報装置

8.5.11 

車内に重病人,重傷者又は暴力行為の被害を

受けている人がいて,助けを必要としている。

OCC

係員による監視

8.2.1 

車内の非常通報装置

8.5.11 

許可されていない人が手動運転モードで列車

を制御し,不安定又は危険な状態に陥る。

OCC

係員による監視

8.2.1 

予見可能な破壊行為に関する規則

8.3.3 

車内映像監視

8.5.7 

運転モードスイッチの施錠

8.5.14.1 

列車の脱線又は地上施設との衝突の可能性が
ある地震が発生する。

OCC

係員による監視

8.2.1 

車内の非常通報装置

8.5.11 

地震検出装置

適用範囲外


22

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

表 9−非常事態に関連する人身傷害の防止(続き) 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

列車及び駅に浸水する可能性がある。軌道が

冠水する。

OCC

係員による監視

8.2.1 

車内の非常通報装置

8.5.11 

浸水防止

8.7.11 

列車の脱線又は地上施設との衝突の可能性が

ある強風が発生する。

OCC

係員による監視

8.2.1 

風の観測

適用範囲外

雪の積もった軌道上で列車が動けなくなる可

能性のあるような大雪が降る。

OCC

係員による監視

8.2.1 

車内の非常通報装置

8.5.11 

係員による気象条件の観測

適用範囲外

停止距離が伸びて,他の列車と衝突する可能
性のあるような,氷又は雨(特に霧雨)で起

こる滑りやすい軌道

OCC

係員による監視

8.2.1 

軌道を暖めること,又は悪天候条件に対応する特
定の列車ブレーキパターンによって,安全な車間
距離を確保する

適用範囲外

旅客が乗っている立ち往生した列車への救援
列車運転

OCC

係員による監視

8.2.1 

立ち往生した列車の移動に関する規則

8.3.8 

旅客が立ち往生した車内にいて,列車から避
難が必要である。

き電電力の遮断

8.1.3.5 

OCC

係員による監視

8.2.1 

通信システム

8.2.3 

旅客の救助に関する規則

8.3.1 

接近してくる列車の停止

8.5.3 

非常時の扉解錠

8.5.3 

(列車からの)非常出口

8.5.4 

車上放送システム

8.5.8 

車内の非常通報装置

8.5.11 

避難についての車内警告手段

8.5.17 

線路に降りるための十分な手段を提供する(例え
ば,階段,はしご,又は綱)

適用範囲外

非常避難路

適用範囲外

軌道の照明

適用範囲外

旅客が立ち往生した車内にいて,列車から自
分で避難する。

き電電力の遮断

8.1.3.5 

旅客の行動に関する規則(車内)

8.1.4 

OCC

係員による監視

8.2.1 

通信システム

8.2.3 

旅客の救助に関する規則

8.3.1 

旅客用乗降口の閉扉状態の監視

8.5.1 

非常時の扉解錠

8.5.3 

接近してくる列車の停止

8.5.3 

(列車からの)非常出口

8.5.4 

車上放送システム

8.5.8 

車内の非常通報装置

8.5.11 

避難についての車内警告手段

8.5.17 

線路に降りるための十分な手段を提供する(例え
ば,階段,はしご,又は綱)

適用範囲外

非常避難路

適用範囲外

軌道の照明

適用範囲外


23

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

表 9−非常事態に関連する人身傷害の防止(続き) 

危険状態

適用可能な安全防護策

参照先

列車からの避難後,駅間にいる人が,軌道か

ら脱出できない。

OCC

係員による監視

8.2.1 

プラットホーム端部扉

8.4.1.1 

ホームドア(フルハイト)

8.4.2.1 l) 

物理的に分離された軌道からの非常出口

8.7.9 

安全要求事項 

この箇条では,箇条 に列記したもの,及び危険源分析の結果から導かれ同定された安全防護策につい

て,一般的な安全要求事項を明示する。同定された安全防護策についての規定は,既存の個別の AUGT 適

用事例の経験,及びその各適用事例に対応する規制の枠組みの経験を反映している(

参考文献を参照)。

この箇条は,安全防護策の実施対象として予定されている AUGT システムの異なる部分別に編集されて

いる。留意すべき点は,同一の安全防護策が異なる危険状態を取り扱う場合もある。

個別の適用事例それぞれの地理的,環境的,社会的,及び法的な側面から,適用事例に特有の付加的な

安全要求事項が導かれる可能性があることを認識しなければならない。

個別の AUGT システムの設計及び実施のときにどの安全防護策を選択するか,又はどのような安全防護

策の組合せを選択するかは,リスクの許容性に依存する。したがって,個別の適用事例で発生する全ての

リスクが確実に考慮済みであるようにするために,自動化の度合(DTO 及び UTO)と,個別の条件及び

故障モードとの組合せに起因する可能性のある,個別の危険状態を考慮に入れたリスク分析を実施しなけ

ればならない。選択した安全防護策について指示されている要求事項のいずれが当該 AUGT システムに該

当するかについての判断も,個別のリスク分析に依存する。リスク分析から,極端な場合,どのような安

全防護策も必要とせずに当該の危険源は許容可能であるとの結論が導かれる可能性もある。基本的な前提

として,AUGT 運行は少なくとも同等の在来システムと同じ安全水準を備えなければならない。しかしな

がら,リスクの許容性水準を受け入れること,又はリスク許容性基準を定義することは,当該 AUGT シス

テムの適用事例に対して管轄権をもつ SRA の責任である。

通常,旅客は,公共輸送システムのアベイラビリティ及び安全の全ての要因にプラスの貢献をする能力

があると考えることができる。一般的に,旅客は警告標識及び警告手段を重んじると想定できる。また,

旅客の行動は,旅客輸送上の取決めの記載条件を守り,通常の行動パターンに従うことも予想できる。た

だし,個別のリスク分析においては,悪意的又は不注意な行動を含め,現地の文化に照らして,旅客が実

際にどのような行動をとるかを考慮する必要がある。

この規格に列記する安全防護策は,

予見可能な旅客の不注意によって発生するリスクを対象としている。

輸送システムの故意による誤用から生じる危険状態については,

安全防護策では取り扱うことができない。

個別のリスク分析を通して安全防護策を選択するとき,運転のアベイラビリティ,及び管轄権が異なるこ

とに伴って生じる安全文化の相違を考慮に入れたうえで,人の期待行動は,重要な安全に関する要素にな

る。この規格に列記された安全防護策を正常に使用すること,自らに危険を及ぼさない安全に前向きな行

動意志をもっていることが,旅客に期待されている。

8.1 

一般的安全要求事項 

表 の基本機能“列車の安全な走行の確保”と“走行制御”とに関する要求事項は,適切な安全防護策

によって満足される必要がある。これらの要求事項は,この規格の適用範囲外である。したがって,この

規格で述べている安全要求事項は,従来のシステムに対する安全要求事項“列車の安全な走行の確保”と

“走行制御”とに関する要求事項の追加である。


24

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

8.1.1 

軌道を保護するための近隣での工事規制 

いずれの都市内軌道系交通システムでも当てはまることであるが,法的な規則を遵守することを推進し

なければならない。その規則は,軌道のすぐ近隣での工事が行われるときに軌道を保護するものでなけれ

ばならない。

さらに TA は,確実にその規則の遂行を監視する手順及び監査活動を設けて,定期的に実施しなければ

ならない。

8.1.2 

火災防護 

火災又は火災に伴う煙と有毒ガスによって人が危険にさらされる可能性のある軌道の区間(例えば,ト

ンネル内)について,煙排出設備(換気システム)

,火災警報設備,火災通報設備,避難及び誘導設備(避

難路及び出口の設置並びにその位置の標示)

,消火設備,万全な火災及び/又は煙予防管理システムの確立

などの対策を実施しなければならない。

NTO

及び STO モードにも該当することであるが,車両及び地上施設の設計は,鉄道車両と地上施設と

を対象とする関連の火災防護ガイドライン(例えば,燃焼,火炎及び煙の拡散,有毒ガス生成の防止,消

火器その他適切な火災鎮火器具・システムの装備など)に適合しなければならない(8.3.2 参照)

8.1.3 

システム及び設備 

システムの反応時間は,NTO 及び STO システムの等価反応時間を超えてはならない。また,8.1.3.5 

規定する安全関連機能によって自動的に作動する安全防護策からの表示及び対策は,危険状態の原因がな

くなるまで存続していなければならない。

8.1.3.1 

設計規則 

NTO

及び STO モードにも該当することであるが,列車と地上施設との安全性の確保,並びに軌道上の

列車の脱線防止のための設計,製造,施工の規則及び基準を,自動化の度合を問わず,関連する規格及び

ガイドラインに適合して充足しなければならない。

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,かつ,関連の規格及びガイドラインに適合して,

列車とプラットホームとの間又は列車とプラットホーム上の設備との間のいかなる感電からも旅客を保護

するための対策を設計,実施しなければならない。

8.1.3.2 

アベイラビリティ 

UTO

モードでは,列車に係員が乗務せずに運転が行われるため,故障からの回復に時間が多くかかり,

危険な影響が更に深刻化する可能性がある。したがって,この種のシステムのアベイラビリティは,常に,

安全性に対して内在する影響を及ぼすものと考えなければならない。

8.1.3.3 

補助電源 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,正規の電源供給に加えて,安全性の維持に不可欠

な車上,地上又は OCC の装置用に独立電源による非常電源が必要である。主電源が故障のとき,非常電

源は,必要な場合に旅客が避難できる場所まで列車が到達するのに十分な時間,これらの装置への電力を

維持することができなければならない。非常電源は,自動切換え機能を備えていなければならない。電源

解放時に,列車の駅への進入を防止する装置も,非常電源に接続しなければならない。

8.1.3.4 

安全状態のリセット 

危険状態から脱したことが運輸係員,又はシステム自体によって確認されたあと,権限をもつ係員が,

現場又は遠隔で,表示又は対策をリセットすることができる。自動リセットは,それに伴うリスクが存在

しないことがリスク分析によって証明された場合にだけ,許容される。

8.1.3.5 

き電電力の遮断 


25

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

NTO

及び STO モードにも該当することであるが,感電の危険状態が存在する場所については,き電電

力遮断の対策を考慮しなければならない。

遮断は,自動的であってもよいし,又は必要に応じて OCC 若しくは現場係員による処置であってもよ

い。具体的な場合については,8.4.1.6 及び 8.5.3 を参照するのがよい。

8.1.3.6 

保守 

個別の適用事例について規定されている指定レベルで信頼性,アベイラビリティ,保全性及び安全性の

要求事項を満足するために,AUGT の保守手順は,必須である(IEC 62278 の 6.11.1 参照)

8.1.4 

旅客の行動に関する規則 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,TA はシステム使用時に旅客の安全のため,旅客に

ついて期待される行動に関する規則を定め,公表しなければならない。この規則には,次のことが含まれ

る。

−  プラットホームに列車がいないとき,旅客乗降用区域へ入ることを禁じる。

−  扉を閉める放送が行われているとき,プラットホーム縁端区域を越えることを禁じる。

−  非常通報システムは,厳密に,非常通報専用にする。いかなる状況下でも,他の情報用に用いてはな

らない。

−  運輸係員によってその旨の指示がない限り,プラットホーム外の位置で停止した列車から旅客が出る

ことを禁じる。

−  (火災のリスクを減らすため)システム内で,喫煙及び可燃性物質の持ち込みを禁じる。

この規則を,駅と車内とで適切な表示又は音声案内によって旅客に伝えなければならない。

8.2 AUGT

システムの監視 

それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策

又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。

8.2.1 OCC

係員による監視 

平常運転中,OCC 係員は,システムを継続的に監視して,可能な限り速やかに異常な運転状態を認知し

危険状態に対応しなければならない。特に,OCC 係員が迅速かつ適正な処置を講じることができるように,

列車の位置及び運転状態は OCC に表示されなければならない。また,特に OCC 係員は,非常事態によっ

て影響を受けている区域に列車が進入するのを防止できなければならない。

映像監視を備えている場合には(8.4.1.7 及び 8.5.7 参照)

,事後分析の改善に映像記録システムを使用す

ることもできる。

8.2.1.1 

一般 

運転の安全性に影響を及ぼす(これによって人に影響を及ぼし物的損害を引き起こす)可能性のある自

動的に動く設備の故障,外乱,及び警告について,OCC で警報を発するようにしなければならない。

OCC

は大量の警報と情報とを集中的に受信し,これらを処理しなければならないため,それぞれの深刻

度に従って,警報と情報とに優先順位を付けなければならない。人的要因を考慮に入れて,非常時に表示

すべき情報量に特別の配慮が必要である。

車内及びプラットホーム上の旅客と OCC 内の運輸係員との間の通信を確保するための対策を講じなけ

ればならない。

OCC

の制御及び設備を通じて,運輸係員が,OCC の運転を停止し,平常運転を再開することができな

ければならない。


26

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

上記の対策は,旅客の救助に関する規則(8.3.1 及び 8.3.2 参照)に従って,立ち往生した列車から又は

非常時に人の救助ができるものでなければならない。

OCC

に表示される映像は,OCC 係員が映像の位置を明確に識別できるように構成されていなければな

らない(8.4.1.7 参照)

8.2.1.2 

機能及び責任 

OCC

の監視対象になる可能性のある機能を

附属書 に示す。

システム監視の機能及び OCC に対する要求事項は,個別の AUGT 適用事例についてのリスク分析を通

して同定された安全防護策の選択に整合するものである。

OCC

係員に安全装置のリセットが指定の手続に従って要求される場合には,非常事態から脱したことを

OCC

係員が確実に判断できるような対策が講じられていなければならない。

8.2.1.3 OCC

の稼働不能時の対応 

8.2.1.1

に規定した機能のうち,映像表示の構成に関する要求事項を除いた機能が,予備機能も含めてい

ずれもが使用不能のとき,システムは,駅間で列車が走行不能のまま放置されるのを回避しなければなら

ない。運転の継続に関する条件を,個別のリスク分析によって規定しなければならない。

8.2.2 

運輸係員の処置 

運輸係員は,運転の特定部分の監視(例えば,プラットホームの恒常的監視)

,又は要求に応じた目視点

検(列車の運転を中止する前に車内に残っている旅客の目視確認,運転機能の目視確認など)によって,

平常の運転を支援することができる。こうした係員の活動は,個別のリスク分析に応じて,安全防護設備

の代替として役立つこともあり得る。

UTO

システムでは,追加された巡回する運輸係員が,技術的故障,運転時の外乱の場合,又は非常事態

において運転を支援しなければならない。

巡回する係員は,最低限,次のことができなければならない。

−  検出装置をリセットする前に,危険な状態から脱したことを確実にするための技術的な条件及び運転

条件の目視点検での検査

−  技術的故障のために安全防護策が動作停止した場合,臨時の安全作業の監視(例えば,プラットホー

ムの臨時監視)

−  手動モードで列車を次の駅まで走行させることによって,又は次の駅まで徒歩で移動するように旅客

を誘導することによって,立ち往生した列車からの旅客の避難の実行

−  非常事態のときの旅客の救助の支援

運輸係員の処置を,8.3 に規定する運転規則によって定めなければならない。

8.2.3 

通信システム 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,次に規定する相互通信のための対策を講じなけれ

ばならない。

−  非常の場合,駅及び車内の旅客と OCC 係員との間[プラットホーム上の非常通報装置(8.4.1.8

,車

内非常通報装置(8.5.11

−  異常運転の場合には情報を,非常事態の場合には指示を伝える放送のために,OCC 係員と旅客との間

(プラットホームにおける構内放送システム(8.4.1.9

,車上放送システム(8.5.8

− OCC の係員と,現場施設内若しくは巡回中の運輸係員又は保守係員との間

DTO

及び UTO システムの運転は遠隔化,集中化されており,したがって,関係係員からの迅速で協調

的,かつ効果的な応答を確実にすることができる通信手段は,運転の安全性,アベイラビリティ及び信頼


27

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

性を確保するために必須である。

音声通信及び視覚情報設備は,全てき電電力から独立して動作しなければならない。音声通信及び視覚

情報設備の全てに,個別の AUGT 適用事例のリスク分析に基づいた分析で決定された時間にわたって,無

停電電源から電力を供給しなければならない。

非常事態の場合,運転規則に関する,外部からの救援組織係員との通信が確保されなければならない。

8.3 

運転規則 

それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策

又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。

全ての自動化の度合について必要とされることであるが,運輸係員の任務と手続とをこの箇条に規定す

る。運輸係員は,この運転規則を実行するように定期的に訓練を受けなければならない。

次の運転規則は,UTO 又は DTO システムに特に該当する。

8.3.1 

旅客の救助に関する規則 

立ち往生した列車から,又は非常事態下にある旅客を救助することが必須である。このことは,特に次

の事項を規定した救助計画を策定しなければならない。

a)

非常事態の位置を特定する方策

b)

その場所及びその時点で優先的な運転条件に応じて要求される方策

c)

これらの方策の開始及び全体のまとめに責任を負う鉄道事業者内の組織

救助計画は,非常事態が認識された時点で直ちに発動されなければならない。旅客の救助は,現地の法

規に従って,非常事態の種類と状況に応じて,遅延なく開始されなければならない。

8.3.2 

火災非常事態に関する規則 

NTO

及び STO システムにも該当することであるが,火災非常事態に関する方針と規則とを明確にする

ため,総合的な火災非常事態対応計画を策定しなければならない。特に,規則には,次のことを明示しな

ければならない。

−  運輸係員の組織及び責任

−  運輸係員(6.1.2)と外部からの救援組織(6.1.3)との間でどのように通信し,協力するか

−  火災及び/又は煙が発生した場合に,どのように旅客を救助するか(8.3.1

−  火災,煙,有毒ガスの封じ込め及び/又は鎮圧のための器具,及び救助設備の使用

−  特定の運転条件,現地の環境,SRA の要求事項に応じて要求される方策及び/又は手続

−  定期的な訓練の実施計画

8.3.3 

予見可能な破壊行為に関する規則 

社会的,政治的環境を基にして,予見可能な破壊行為状況に対処方針を定めなければならない。

8.3.4 

建築限界内の点検に関する規則 

建築限界内に人及び障害物が存在しないことを定期的点検によって確実にする運転規則を定めなければ

ならない。

建築限界内の点検は,次に従って行わなければならない。

− SRA と協議して TA が規定する点検周期で(例えば,1 日に 1 回)

,及び/又は運転停止後(例えば,

夜間の停止時間)に行う

−  建築限界内に支障物が存在する可能性のある事象(例えば,天候条件,軌道又は隣接区域内での工事)

の後に行う


28

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

点検は,適切に減速した速度で走行している先頭車両の運転台に乗務する運輸係員による検査によって

行うことができる。建築限界内の障害物を係員が確実に検出できるように条件が整えられなければならな

い。

係員は,必要な場合,列車を停止できなければならない。

検査走行時に旅客を輸送してもよい。

制定する規則には,次の項目を記載しなければならない。

−  点検周期,許容速度,検査を必要とする事象,及び検査実施の決定に責任を負う係員

−  検査時の運輸係員の任務,及び後に建築限界に影響を及ぼす可能性のある状況を認識するために,そ

の建築限界内を含む検査対象区域

−  障害物を検出したときに係員が従うべき手続

8.3.5 

運転の開始及び終了に関する規則 

8.3.5.1 

通常の運転 

運転規則には,次の項目を明示しなければならない。

−  通常の運転の開始を許可する前に,安全性に関連する未処理の問題を確実に排除するために OCC 係

員が実行する点検

−  監視されていない車内に旅客が残っていて危険状態にさらされる可能性(例えば,車内に残っていた

旅客が車外に出た場合に感電のリスクがある,旅客が寒冷にさらされるなど)を確実に排除するため

に列車の運転を終了する前に必要な放送と点検

8.3.5.2 

システム故障からの回復後の運転再開 

運転規則には,次の項目を明示しなければならない。

−  必要な場合,技術システム又はその一部の再開

−  通常の運転の開始を許可する前に,安全性に関連する未処理の問題を確実に排除するために OCC 係

員が実行する点検

この点検には,全ての列車の位置と状態を含まなければならない。

8.3.6 

車両基地内での列車運転に関する規則 

車両基地の一部が自動化されている場合,車両基地内の係員,設備の安全性及びセキュリティの確保の

ため,車両基地の運転及び係員の立ち入り制限について明記した構内運転計画を定めなければならない。

車両基地内の列車運転に関する規則には,切換え区域内において走行する列車からの係員の隔離,係員

又は列車が存在する可能性のある区域の特定,及び出入りの制限方法について明記しなければならない。

車両基地内での自動区域と手動区域との間の全ての列車の動きは,常に係員の責任の下にある。

8.3.7 

列車の営業運転の開始及び終了に関する規則 

8.3.7.1 

システム故障から回復後の列車の営業運転開始に関する規則 

運転規則には,次に関する規定を明記しなければならない。

−  必要な場合,車上装置の再起動

−  必要な場合,営業運転開始前の列車位置の初期化

再起動の機能の使用は,明確に要求されている状況に限定しなければならない。特に,再起動機能を,

まだ運転可能状態にない又は運用開始されていない機能の“代替策”として,係員が使用することがあっ

てはならない。

8.3.7.2 

列車の運転終了に関する規則 

運転規則には,システム内でいずれの旅客も不安全な状態にならないことを確実にするために,列車の


29

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

運転を終了する前の放送と点検についての規則とを明記しなければならない。

8.3.7.3 

列車の運転モードの切換えに関する規則 

列車の運転終了時のモード切換えのプロセスは,規則によるのではなくシステムで自動的に処理されな

ければならない。

運転規則には,自動モードから手動モードへの切換えが許される条件と手順についての規則を明記しな

ければならない。

8.3.8 

立ち往生した列車の移動に関する規則 

立ち往生した列車の場合,列車の移動は,手動又は自動の救助列車で行うことができる。運転規則には,

立ち往生した列車の安全な救援のための適切な措置を明記しなければならない。

8.4 

プラットホーム上の安全防護策 

それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策

又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。

プラットホームの安全に関連する基本機能の一つは,人が列車に衝突するのを防ぐことである。非 DTO

及び非 UTO システムでは,この基本機能は,列車の運転士が,自身で対処できる能力の範囲内で実行す

る。

したがって,DTO 及び UTO システムについては,人が走行する列車に危険を及ぼされることが確実に

ないように,駅内で特別な手段を講じなければならない。要求される安全性の水準に従って,次のいずれ

かの対策がなされた場合,この目的は満足されているとみなされる。

a)  8.4.2

で規定する一体式のホームドアなどを備えたプラットホーム縁端スクリーンをもつ,閉鎖式プラ

ットホーム

b)

プラットホームスクリーンは備えていないが,8.4.3 で規定する危険状態下で人が検出されたときに自

動的に反応する検出システムを備えた開放式プラットホーム

c)

プラットホームスクリーン又は検出システムは備えていないが,共通安全防護策の一部又は全部を備

えた開放式プラットホーム(

“共通安全防護策”については 8.4.1 参照)

上記対策のいずれを選択するかの全般的な決定にかかわらず,いずれの場合においても,共通安全防護

策,特に 8.4.1.8 に規定する駅プラットホーム上の通信設備を考慮しなければならない。閉鎖式プラットホ

ーム又は検出システムを備えたプラットホームの端の乗降部分に特有の安全防護策は,共通安全防護策へ

の追加対策として扱われなければならない。

プラットホーム端部から駅間軌道に入る人の安全性を確保するための方策を 8.4.1.1 に規定する。プラッ

トホームに沿う線路から駅間軌道に入る人の安全性を確保するための方策を 8.7.5 に規定する。

8.4.1 

閉鎖式プラットホーム及び開放式プラットホームの共通安全防護策 

8.4.1.1 

プラットホーム端部扉 

プラットホーム端部扉は,次のことを可能にするものでなければならない。

−  運輸係員及び保守係員による駅間軌道,側線又はプラットホームに沿う線路への立ち入り

−  列車が走行不能となった事態と同様非常事態の場合に,列車から避難後のプラットホームへの旅客の

避難

プラットホーム端部扉の異常開放は検出され,OCC に表示されなければならない。リスク分析に応じて,

隣接するプラットホームに沿う線路に在線する列車の発車を防止及び/又は当区域に接近する列車を停止

させなければならない。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

旅客による誤用を防ぐため,プラットホーム端部扉を施錠しなければならない。列車からの避難時に,

軌道から脱出できるように,旅客が,線路側から扉を開放できるようにしなければならない。

係員がプラットホームからプラットホーム端部扉を通って軌道側へ立ち入るには,OCC による許可がな

ければならない。その際,通信システム又は扉に直接取り付けられた特定システムを用いて立ち入りの要

求を送らなければならない。立ち入りを許可する前に,OCC 係員は,運転規則に従って,

(例えば,区域

内での自動運転の防止など)該当する全ての措置を開始し,当該係員が安全な位置に達したことが報告さ

れるまで,これら措置を継続しなければならない。

軌道に立ち入るための追加の地点が設定される場合,その地点にも,同じ機能を備え,同じ手続を適用

しなければならない。

8.4.1.2 

プラットホーム縁端に関する警告手段 

状況に応じて,次の措置の少なくとも一つを実施することができる。

a)

列車が動いている間,人が立ってはならないプラットホーム上の区域を指定するため,プラットホー

ムに沿って,触知可能な及び/又は色彩の明瞭な線などの警告,又は他の適切な手段を講じる。

b)

システムが,プラットホームから建築限界内に侵入した人を検出して効果的な警告を発動する。

c)

列車の進入を,音及び/又は光で知らせる。

それぞれの地域の法規に従って,目,耳の不自由な人々のニーズにも適した警告手段も講じなければな

らない。

8.4.1.3 

転落防止柵 

人がプラットホームに沿う線路に転落することを防止するため,(停車時の車両の乗降口の扉の位置を

除いて)プラットホーム縁端に沿って物理的な柵又は壁を設置しなければならない。物理的な柵又は壁(閉

鎖式プラットホームと同様に 8.4.2.1 及び 8.4.2.2 参照)は,様々な高さの柵,スクリーン又は壁の形態で

よい。

8.4.1.4 

線間又はプラットホーム直下の避難場所 

NTO

及び STO システムについても通常要求されるように,列車が駅に進入するとき,又は既に停車し

ているときに,線路に転落した人が,避難場所に逃れて列車に接触しないようにするために,十分な空き

空間を用意しなければならない。この避難場所は,線間及び/又はプラットホーム直下に設けることがで

きる。

8.4.1.5 

プラットホーム上の非常停止スイッチ 

NTO

及び STO モードにも該当するように,プラットホーム上に非常停止スイッチを備えなければなら

ない。このスイッチは,乗降時に,プラットホーム上若しくはプラットホームに沿う線路の危険状態に気

付いた場合に,又は安全に発車できる条件となっていない場合に,旅客が近づいて操作できるものでなけ

ればならない。

作動時,この非常停止スイッチは,次の働きをしなければならない。

−  既定の危険区域外の列車が当該区域に進入するのを防止する

−  既に既定の危険区域内にいる列車を停止させる

−  既定の危険区域内にいる列車が出発するのを防止する

非常停止スイッチは,はっきりと目に見えるもので,非常停止スイッチであることが分かるものでなけ

ればならない。スイッチの識別及び設置位置は,システム全体にわたって一様でなければならない。

8.4.1.6 

プラットホームに沿う線路のき電電力遮断 

通電された軌道脇のき電システムに人が不注意で触れるリスクがある軌道区域には,き電電力遮断装置


31

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

を備えなければならない。この装置は,次の状態で作動させたとき,き電電力を遮断しなければならない。

−  立ち入りが検出され,システムが自動的に作動されたとき(8.4.3 参照)

−  旅客又は係員が,駅プラットホーム上のハンドルを操作して手動で作動させたとき

− OCC から作動させたとき

プラットホーム上に手動作動装置の必要が認められるとき,この機能は,利用者の誤解を回避するため

8.4.1.5

に規定したスイッチと適切な方法で組み合わせなければならない。手動作動装置の識別及び設置位

置は,システム全体にわたって一様でなければならない。

8.4.1.7 

映像監視 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,プラットホーム上のカメラ配置は,

(通常 OCC に

おける)専任の運輸係員による映像監視を可能にするものでなければならない。その配置は,旅客乗降用

区域全体を見通すことができ,開放式プラットホームの場合(8.4.3)には,プラットホームに沿う線路も

見渡すことができなければならない。

運輸係員による監視を容易にするため,警報又は旅客からの要求があった位置から見えるカメラを自動

作動させる機能をもつことが推奨される。

8.4.1.8 

プラットホーム上の非常通報装置 

プラットホーム上の旅客と OCC 係員との間の音声通信用設備は,双方向音声通信に適したものでなけ

ればならない。

非常通報装置は,はっきりと目に見え,その機能が分かるものでなければならない。

各非常通報装置は,作動したとき,自動的に OCC を呼び出さなければならない。OCC 側のディスプレ

イ上では,通信先の非常通報装置を識別し,更に作動した装置の有無を明示しなければならない。このシ

ステムは,映像監視システムと連動させてもよい。

この非常音声通信は,他の全ての音声通信より優先しなければならない。

非常通報装置を作動させた人には,装置が発信中であることを示す音を聞くことができなければならな

い。この信号は,非常事態下でも,聞こえなければならない。

8.4.1.9 

プラットホームにおける構内放送システム 

OCC

又は追加の駅内の設備からの音声放送用に,各プラットホームに構内放送システムを備えなければ

ならない。

駅の構内放送システムは,肉声又は録音済み放送によって,危険状態について旅客に知らせることがで

きなければならない。肉声の放送は,録音済み放送より優先されなければならない。

旅客への運転に関する放送にも同じシステムを使用することができる。

このシステムは,各プラットホームの全体をカバーしなければならない。

8.4.1.10 

駅における火災及び煙の検出 

係員が運転規則(8.3.2 参照)に従って適切な処置(例えば,駅構内で火災又は煙が検出された場合,既

に入線している列車は,そのまま次の駅まで走行させる,この区域に入ろうとしている列車の進入を防止

する,前の駅で停止した列車の発車を止めるなど)ができるように,火災又は煙検出警報は,自動的に OCC

に通報されなければならない。列車運転の制限は,火災警報が特定の規則に従って,係員によってリセッ

ト又は抑止されるまで継続しなければならない。

火災発生時,システムに自動的に処置を実行させるか否かは,個別のリスク分析に基づいて判断しなけ

ればならない。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

8.4.2 

閉鎖式プラットホーム 

プラットホーム縁端に沿って扉(ホームドア)をもつ一体式のスクリーンが備えられ,連続的な障壁を

造り,プラットホーム上に囲まれた安全区域を確保できるとき,プラットホームは閉鎖式とみなされる。

注記  上記の“スクリーン”に相当する用語として,日本では,“ホームドア”又は“ホームドア設備”

などと呼ばれることが多い。また,日本で“ホームドア”という用語は,設備全体を意味する

場合又は扉部分を意味する場合がある。

閉鎖式プラットホームでは,旅客又は異物がプラットホームから軌道(プラットホームに沿った線路)

に入り込むリスクが回避される。また,列車が駅で停止して,車両の乗降口の扉とホームドアの両方が位

置をそろえて開いているときだけ,プラットホームと列車間で旅客の乗降を可能にして安全を確保してい

る。

8.4.2.1 

ホームドア(フルハイト) 

ホームドア(フルハイト)は,列車扉以上の高さの障壁としなければならない。ホームドアの開口部の

高さは,列車扉以上でなければならない。ホームドアの動きが旅客に危険を及ぼすことがあってはならな

い。

ホームドア(フルハイト)の要求事項は,次のとおりとする。

注記  8.4.2.1 の細別においては,“ホームドア”は扉部分だけを意味する。

a)

列車扉がホームドアと正確にそろった位置で列車が停止したとき,旅客乗降のため列車扉とホームド

アとを自動的に同調して開閉させなければならない。列車の長さ及び/又は扉配置が異なる列車を運

用するシステムについては,対応する列車扉に位置がそろったホームドアだけ開くようにしなければ

ならない。

b)

ホームドアは,列車扉の開口部から支障なく出入りできるように列車扉より広くなければならず,列

車の停止精度に依存する列車停止位置の許容差に対応しなければならない。

c)

ホームドアは,列車が既定の停止位置に達するまで,

閉扉状態が保持されたままでなければならない。

システムの応答時間を短縮し,短い運転間隔を実現するために,停止位置より一定距離前でホームド

アの解錠を許容するかどうかは,個別のリスク分析によって判断しなければならない。

ホームドアは,

十分な最小通路幅が旅客に提供されない限り,開かないようにしなければならない。

d)

ホームドアの閉扉状態が保持されていることの監視を連続的に実行しなければならない(例えば,連

続閉路電流の維持の原理を利用する)

。ホームドアの閉扉状態の保持が失われている間に列車が接近し

てきた場合,即時に列車を停止させなければならない。

e)

ホームドアの制御は,閉扉状態が保持されていることを係員が確認できる場合に,遠隔制御経由又は

扉位置近くの現場制御パネルからのいずれかで,扉の稼働を停止させることができるように設計しな

ければならない。ただし,扉の稼働の停止が遠隔からか扉側の現場で行われるかにかかわらず,扉が

使用できないことを旅客が簡単に認識できるような対策を講じなければならない。

f)

稼働を停止した列車扉に対応するホームドアは,閉扉状態を保持しなければならない。自動運転継続

中,稼働を停止させることのできる扉の数を,個別のリスク分析によって判断しなければならない。

g)

列車とプラットホームスクリーンとの間の水平空間は,車両とプラットホームスクリーンとの間に人

が挟まるのが不可能なほど十分小さくなければならない。プラットホームの高さから上方の適切な高

さで測定される,列車とホームドアとの間の最大許容可能な離隔距離は,関連規格に適合するか,又

は TA と SRA とが指定しなければならない。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

h)

列車とプラットホームスクリーンとの間の空間を最小化できないとき,列車とプラットホームスクリ

ーンとの間に人が閉じ込められるのを防止するため,入り込み防止突起(例えば,L 字形保護板)付

きホームドアを備え付けなければならない。又は,

i)

当該空間に人が入り込むことが可能で,車両とプラットホームスクリーンとの間に人が挟まれること

が物理的に可能な空間である場合には,

車両とプラットホームスクリーンとの間の人の存在を検出し,

列車の出発を防止しなければならない。挟まった旅客を止まった列車とプラットホームスクリーンと

の間から確実に安全に脱出させる,又は引き出すための対策も実施しなければならない。

j)

ホームドアには,扉が閉まるときに旅客が扉の間に挟まれたときに傷害を負うのを防止するための保

護装置を備えなければならない(8.6.3 参照)

k)

列車が駅に停止したときにホームドアに対し正しく位置がそろっていないために,制御システムが扉

の自動開扉を許可していない状態で列車からの非常避難が要求される場合に,旅客が列車から避難し

てプラットホームに行けるようにする対策がなければならない。

l)

上記  k)の要求事項に対応するため,列車からの避難手順を実施しなければならず,ホームドア,プラ

ットホームスクリーンに設けられた非常出口の扉,又はプラットホーム端部扉を,旅客が手動で開け

ることができなければならない。

m)

プラットホームスクリーン,ホームドア及びそれらの扉板の設計,製造,及び設置は,該当する規格

とガイドラインに適合しなければならない。

8.4.2.2 

可動式ホーム柵 

可動式ホーム柵は,フェンス又は歩行者用安全防護策を対象とする現地の建築要求以上の高さの障壁と

しなければならない。

ホームドア(フルハイト)に関する 8.4.2.1 に規定する要求事項は,特に 8.4.2.1 f)については適正である

が,可動式ホーム柵にも適用しなければならない。

さらに,可動式ホーム柵を備えたプラットホームには,個別の AUGT 適用事例についてのリスク分析の

結果として必要と思われる場合,8.4.1.5 及び 8.4.1.6 に規定する非常停止スイッチ,及びき電電力遮断設備

も備えていなければならない。

8.4.3 

検出システムを備えた開放式プラットホーム 

プラットホームから進入可能な軌道区域内にいる人を即時に検出するための対策を講じなければならな

い。

プラットホームから軌道への旅客の立ち入りを検出したとき,システムは,プラットホームに沿う線路

上の列車を停止させ,他の列車が当該区域へ進入するのを防止しなければならない。

軌道区域がプラットホームから到達可能で,き電電力を供給する設備に不注意で接触する可能性がある

場合,当該区域のき電電力を遮断するための対策も講じなければならない。

人を検出した場合,自動的に OCC へ警報を送らなければならない。

検出対象区域は,

個別の危険源分析によって規定されるプラットホームから進入できる軌道区域である。

少なくとも走行路面の高さで検出対象区域に入るとき,最低限,人は危険にさらされているとみなされ

る。

上面で重量に感応する検出方式を用いる場合に,線路に転落した人が必ずしも軌道上に横たわるのでは

ないことを想定することは合理的である。

試験用の物体が検出されるなら,プラットホームに沿う線路の検出機能による監視は,果たされている

ものとみなす。試験用の物体は,個別の適用事例のそれぞれについて,TA 及び SRA によって規定される。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

プラットホームに沿う線路の検出システムのリセットは,危険状態から脱したことを OCC 係員が(例

えば,プラットホームの監視によって)確認した後(8.1.3.4 参照)

,OCC の安全関連指令が実行できる。

場合によっては,このプラットホームに沿う線路の検出システムを,8.7.5 に規定する侵入検出システム

と組み合わせることが妥当である可能性がある。これは,個別の AUGT 適用事例のリスク分析において考

慮するのがよい。両方の機能は非常に類似しており,両機能を単一の共通システムに統合することは可能

である。

8.5 

列車における安全防護策 

それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策

又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。

この細分箇条では,車内に備える安全防護策に関する安全要求事項を取り扱う。この要求事項の対象と

なるのは,まず,列車扉の作動,不注意による開放の防止,旅客乗降後の安全な発車条件の確保,及び非

常事態での避難である。留意すべきこれらの要求事項は,DTO 及び UTO システムに特定されるものでは

ない点である。さらに,一部の安全防護策は,列車自体及び運輸係員による列車前方の軌道の連続的監視

をしていないことを考慮しなければならない。

車内の旅客の安全のために適用すべき基本原則は,確実に,列車が次の駅に到着することである。ただ

し,これに相反する,考慮すべき安全関連条件がある場合はこの限りではない。

8.5.1 

旅客用乗降口の閉扉状態の監視 

NTO

及び STO システムについての要求と同じように,旅客用乗降口の扉は,閉位置のままになってい

なければならない。扉は,旅客が開けることができない場合には,閉位置を保持しているとみなす。

これは,次の手段のいずれかによって達成可能である。

−  両扉が押し合って,閉位置に保持されるような十分な推進力

−  閉じた扉の施錠メカニズム

旅客用乗降口の閉扉状態監視ができなくなった場合には,自動的に OCC に通報しなければならない。

そのようなメッセージに備え,OCC 係員が状況を判断し,安全確保を行う規定を作成しなければならない

(例えば,接近する列車の停止,き電の停止など)

扉が開いていると検出し,

かつゼロ速度状態を検出した場合は,

列車の発車を抑止しなければならない。

列車が走行中に,閉扉状態監視が予期せずできなくなった場合には,列車を停止させるか次の駅まで運

行させるかを具体的なリスク分析によって判断しなければならない。

8.5.2 

旅客用乗降口の扉の解錠 

次の場合,

旅客用乗降口の扉は,

指定区域内において通常の状況下で解錠して開放しなければならない。

−  あらかじめ定めた開扉すべき扉の選択を列車側で指令した

−  ゼロ速度状態が検出されている

−  列車全長がプラットホーム区域内にある

閉鎖式プラットホームでは,次が加わる。

−  旅客用乗降口の扉とホームドアの位置がそろい,連動して開放するよう同期化する

−  動作停止されたホームドアに対応する列車扉は,閉扉状態で保持されたままでなければならない。自

動運転の継続に関わる扉の動作停止数を,個別のリスク分析によって判断しなければならない。

通常の状況下で開放すべく解錠した扉は,次のいずれかによって開放する。

−  自動的に


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

−  旅客からの事前要請があり,それが保持されている場合,自動的に

−  旅客からの要請によって

8.5.3 

非常時の扉解錠 

NTO

及び STO モードにおける通路又は軌道の安全空間を使った避難が可能な場合の要求と同じように,

DTO

又は UTO システムでは,非常事態のときには旅客が扉を開くことができなければならない。したが

って,旅客用乗降口の扉は,列車が停止した場合,避難要求後に解錠しなければならない。扉解錠後,旅

客が扉を開くことができなければならない。

列車の走行中に車内から避難要求を通報した場合,列車を停止するか,次の駅又は指定の避難区域まで

運行するかを,個別のリスク分析によって判断しなければならない。駅間で何らかの計画外停止の後に,

列車扉が開いておらず,非常開放用の解錠状態にない場合は,次の駅までの列車走行を継続できなければ

ならない。車内から避難要求を通報した場合には,OCC からの安全関連指令,又は運輸係員の手動による

避難要求のリセットまで,次の駅又は指定の避難区域への列車走行を止めなければならない。

車内からの避難要求による非常時の扉解錠は,作動前に OCC に通報しなければならない。そのような

メッセージに備え,OCC 係員が状況を判断し,安全確保を行う規定を作成しなければならない(例えば,

接近する列車の停止,き電の停止など)

駅間での列車の停止時に,避難要求によって扉を開放した場合は,列車の停止を維持しなければならな

い。

避難要求によって,

たとえ列車の一部だけがプラットホーム外で停止し,

列車扉を開く場合であっても,

感電の危険があれば,確実に指定区域内のき電を停止しなければならない(8.1.3.5 参照)

8.5.4 

非常出口 

旅客の救助目的に旅客用乗降口の扉のほかに非常出口が設備される場合,旅客用乗降口の扉と同様に,

監視するとともに,非常開放時には解錠しなければならない。

8.5.5 

車上障害物検出装置 

車上障害物検出装置は,線路上の障害物との衝突から旅客及び設備に生じる損害を低減することができ

る。

障害物検出装置は,列車前方の障害物を遅くとも障害物と装置との接触時に検出しなければならない。

検出対象となる障害物の仕様は,各特定の適用事例について TA 及び SRA が規定しなければならない。障

害物が検出された場合,列車は,非常ブレーキを適用しなければならない。

障害物の検出は,非常メッセージとして OCC に通報しなければならない。

平常運転の再開は,必ず,全ての危険状態が解消したことを検証した後でなければならない。

8.5.6 

脱線検出装置 

脱線検出装置は,部分的な列車脱線の発生時に,事故の影響が旅客と設備へ波及するのを低減すること

ができる。

脱線検出装置は,少なくとも,先頭車軸を監視し,検出時には非常ブレーキを適用しなければならない。

検出対象となる脱線の仕様と脱線検出装置の求められる設計とは,個別の列車と軌道との設計に合致しな

ければならない。

脱線の検出は,非常メッセージとして自動的に OCC へ通報しなければならない。そのようなメッセー

ジに備え,OCC 係員が状況を判断し,安全運転確保を行う規則及び手順を作成しなければならない(例え

ば,接近する列車の停止,き電の停止など)


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

8.5.7 

車内映像監視 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,映像監視は,列車から警報又は要請があったとき

に客室内の状況を把握できるものでなければならない。終着駅で旅客全員が列車から降りるのを OCC か

ら監視するために映像監視を使用する場合,確実に客室の全域を明瞭に見通すことができるようにし,判

断手続きによって,OCC からの特定の指令によって許可される場合にだけ,列車が継続して走行できるよ

うにしなければならない。

8.5.8 

車上放送システム 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車には,車上放送システムを備えなければなら

ず,この放送システムは,少なくとも UTO システムでは,直接 OCC に接続しなければならない。

車上放送システムは,特定の状況へ対処する際(例えば,避難手続)に役立つ支援システムとみなされ

る。車上放送システムは,次のような運転関連情報及び交通関連情報を放送するのに有効である。

−  非常事態にどのように行動するかについての旅客への指示

− OCC によって直接指令されるとき,列車指令の放送

− OCC による,列車の遅延,列車の接続などに関する情報

−  “次の駅”などの自動放送

−  その他の放送

OCC

による緊急放送は,優先順位が低い放送の開始後でも自動的に割り込ませなければならない。

音声及び映像通信設備の全てが,き電電力の有無と無関係に稼働しなければならず,かつ,さらされる

可能性のある周囲条件下で確実に機能しなければならない。この規格の要求する音声及び映像通信設備は

全て,少なくとも避難に必要な時間,持続可能な非常電源に接続しなければならない。

8.5.9 

列車の営業運転終了を伝える車内放送 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,例えば,終着駅で,列車が回送になったことを旅

客に知らせるため車内で放送をしなければならない。この放送は,聴覚と視覚とに訴えるものでなければ

ならない。既存の車両については,視覚に訴える放送の要求事項は,当該車両に適合する場合にだけ適用

する。

また,旅客が車内に残っていないことを点検するための対策についても,TA の要求する安全性のレベル

に応じて,係員による目視点検など,種々の管理対策を整備することは可能である(対応するプラットホ

ーム上の放送について 8.4.1.9 参照)

8.5.10 

車内からの非常停止要求 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車には,旅客の使用のために非常停止要求スイ

ッチ(非常ブレーキハンドル)を備えなければならない。

非常停止要求の発生は,少なくとも UTO システムについては,OCC に通報しなければならない。

スイッチの作動によって,列車を停止する非常手順を開始しなければならないが,この手続によって,

駅外において,トンネル内又は安全空間のない区域内では,列車が停止するのを許容してはならない。列

車が駅内で停止した後,OCC 指令による許可がない限り列車は運行を継続してはならない。

他の理由で,駅間で列車が停止し,扉が閉状態に維持されている場合には,列車は,次の駅まで運行を

継続しなければならない。列車が停車中に扉が開かれた場合,自主避難が想定されるため,列車を再発車

することはできない。

TA

及び SRA は,列車から安全に避難できる,駅外部の安全な待避所の立地点など,列車を停止させる

代替区域を指定することもできる。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

8.5.11 

車内の非常通報装置 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車には,非常通報装置を備えなければならない。

少なくとも UTO システムについては,この装置は,旅客と OCC との間の通信に対応するものでなければ

ならない。非常メッセージには,高い優先順位を与えなければならない。OCC 係員が状況を判断し,迅速

かつ適切な処置(運転の即時停止,該当する運転手順の開始など)を実行できるように,設備を整えてお

かなければならない。

車内の非常通報装置の設置位置は,他の非常関連スイッチ類(非常停止要求スイッチなど)に準じて選

択しなければならない。非常通報装置は,はっきりと目に見え,その機能が識別されなければならない。

スイッチの識別と設置位置は,システム全体にわたって一様でなければならない。

音声及び映像通信設備の全てが,き電電力の有無とは無関係に稼働しなければならず,かつ,さらされ

る可能性のある周囲条件下で万全に機能しなければならない。この規格の要求する音声及び映像通信設備

は全て,少なくとも避難に必要な時間,持続可能な非常電源に接続しなければならない。

8.5.12 

車内における火災及び煙の検出 

火災又は煙検出システム警報は,OCC に自動通報しなければならない。火災又は煙検出システム警報を

発した列車は,次の駅まで運行を継続し,そこで停止しなければならない。つまり,それ以上の運行の継

続を制止しなければならない。列車が駅内にいるときに火災又は煙を検出した場合には,駅からの出発を

抑止しなければならない。

8.5.13 

列車状態の監視及び試験 

個別の安全分析は,安全目標を維持するために試験を必要とする全ての安全関連システムを同定しなけ

ればならない。試験条件及び試験頻度も規定しなければならない。

列車運転を継続するために不安全な状態となり得る列車設備の障害は,検出されなければならない。検

出された障害のタイプによって,列車を即時運転停止とするか,次駅まで運転継続を許可した後に次駅以

降の運転継続を抑止しなければならない。列車が運転に入る前に障害を検出した場合,列車の発車を抑止

しなければならない。

運転の継続を許可すると,その後,列車が立ち往生する結果になる可能性のある障害が検出された場合

も,列車を駅にとどめなければならない。

列車の運転継続を許容してもよい列車障害の分類を,障害が運転に及ぼす影響に従って,定めなければ

ならない。この種の障害に関する運転規則も定めなければならない。

障害及び障害の分類は,OCC に通報しなければならない(8.2.1 参照)

8.5.14 

手動運転 

自動運転モードで走行できない列車を運転するため,運輸係員用に,車上に手動運転の機能を備えなけ

ればならない。列車の手動運転は,次の安全防護策を適用しなければならない。

注記  8.5.14 において,IEC 規格原文では,手動運転を行う者を train conductor(列車の車掌)と記載

しているが,列車の手動運転ができることを鑑みて,JIS では運輸係員(operation staff)とした。

8.5.14.1 

運転モードスイッチの施錠 

列車が自動モードから手動モードへ切り換えられるのは,本線において機能に障害があって,手動運転

の必要があるとき,又は自動モードと非自動モードとの間の切換え区域においてのいずれかである。

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車は,

(例えば,カバーの施錠及び運転装置の施

錠によって)権限のない人が手動運転するのを抑えるように設計しなければならない。


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

   

列車が自動モードにあるとき,明確な運転上の理由なく,カバーの解錠及び運転装置の解錠を検出した

場合,OCC に警報を送らなければならない。この場合,次の駅で列車を停止させるなど,適切な手続を適

用しなければならない。

自動モードから手動モードへ及びその逆の列車切換えは,運転手順に準拠しなければならない。

8.5.14.2 

自動運転モードと手動運転モードとの間のインタロック 

自動モードが選択されない限り,列車の自動運転を抑止しなければならない。

自動モードの列車と手動モードの列車との間の安全な列車間隔を,どのような状況下でも確保しなけれ

ばならない。自動手動混在運転用に設計していないシステムにあっては,少なくとも線路の特定区域にお

いて,自動運転を停止するまでは,手動モードでの列車の走行を禁止しなければならない。

8.5.15 

自動連結時の安全速度 

立ち往生した列車の回復又は列車の再組成のために,旅客を乗せた列車間の自動連結を行う場合,安全

な列車間隔を確保するシステムは,当該の特定走行について,次の項目を行わなければならない。

−  安全な列車間隔の条件を無効にする

−  連結速度を指示する

連結速度は,旅客が連結の衝撃によって危険にさらされないように,関連規格に適合させるか又は TA

及び SRA が指定しなければならない。

注記  ただし,連結速度は,列車が確実に接続される速度でなければならない。

8.5.16 

予期しない列車の動きへの対応 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,いかなる時点でも予期しない列車の動きに対して

は,非常ブレーキ機能を即時適用しなければならない。

8.5.17 

避難についての車内警告手段 

旅客が駅間で列車から降りることを阻止するため,適切な手段によって旅客に警告を与えなければなら

ない(8.1.4 参照)

8.6 

旅客乗降用区域の安全防護策 

それぞれの適用事例のリスク分析のプロセスを通して,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策

又は安全防護策の組合せを選択しなければならない。

この細分箇条では,車上又はプラットホーム上で実施される可能性のある,旅客乗降用区域専用の安全

防護策に関する安全要求事項を取り扱う。この要求事項の対象となるのは,連結車両間,プラットホーム

と列車との間,又は旅客乗降中の駅プラットホームと列車との間の人身傷害(転落,取残し,引きずりな

ど)を防止する基本要求事項を充足する安全防護策である。これらの要求事項は,DTO 及び UTO システ

ムに特有ではなく,NTO 及び STO について適用してもよい。

旅客乗降は,次のときに開始する。

−  開放式プラットホームの駅では,列車がプラットホーム上の予定位置に達し,列車扉を解錠し,開扉

の準備が整ったとき

−  閉鎖式プラットホームの駅では,列車が予定位置に達し,列車扉とホームドアを解錠し,開扉の準備

が整ったとき

旅客乗降は,列車の出発のための要求事項の全てが充足されたとき,終了する。

8.6.1 

旅客乗降中の列車の起動及び転動の防止 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車は,旅客乗降中,動き出さない状態にしなけ

ればならない。列車の全ての扉及び(閉鎖式プラットホームの場合)プラットホームの全ての扉が閉扉状


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

態を保持していることを検出しない限り(8.6.3.3 参照)

,列車の出発を抑止しなければならない。

8.6.2 

開扉に関する安全防護策 

8.4

及び 8.5 を参照。

8.6.3 

閉扉に関する安全防護策 

列車扉が閉じるときに旅客が傷害を負う重大なリスクを防止する措置を次の細分箇条に規定する。

列車の出発は,列車の全ての扉及び(閉鎖式プラットホームの場合)プラットホームの全ての扉が閉扉

状態を保持している場合に限り,許可されなければならない。

8.6.3.1 

扉が閉じるときの光及び音による合図 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,扉が閉じ始まる前に,光及び音による閉扉の合図

によって,旅客乗降の終了を放送で伝えなければならない。この措置の狙いは,閉扉の手順と,引き続い

て起こる旅客乗降の間に支障が生じないようにし,運転のアベイラビリティを高めることである。

この要求事項は,列車扉,及びホームドアが設置されている場合はホームドアに適用する。

停車時間が終了した時点で閉扉シーケンスが実行される。

閉扉の放送を音声で放送するには,構内放送システム(8.4.1.9 及び 8.5.8 参照)を使用してもよい。

8.6.3.2 

扉の閉じ圧力(推進力)を制限する設計 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,旅客用乗降口の扉には,旅客が無理に挟まれ又は

身動きが取れなくなることがないように,安全防護策を備えなければならない。この要求事項は,該当す

る規格とガイドラインに従って充足しなければならない。

8.6.3.3 

閉扉動作中の障害物検出 

閉じる扉間の障害物が閉扉プロセスの妨げになり,閉扉の保持状態に達するのを妨げられることがない

ようにするため,扉の制御では,NTO 及び STO モードについての要求と同じように,この障害物を検出

しなければならない。障害物の形と大きさに応じた検出のしきい値を,関連規格に適合させるか,若しく

は TA 及び/又は SRA が指定しなければならない。

障害物を検出したとき,障害物を扉間から取り出せるようにするために,使用できる閉扉シーケンスの

タイプが幾つかある。TA は,障害物検出時にどのようなシーケンスを適用するか決定しなければならな

い。有望なシーケンスには,次が含まれる。

−  閉扉サイクルに割り込んで開扉し,数秒間後に再閉扉を試みる

−  開扉はしないで閉扉動作を数秒間停止して障害物を取り除き,その後,再閉扉を試みる

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,全ての旅客用乗降口の扉が適正に閉扉状態を保持

した後でなければ,列車を発車できないようにしなければならない。検出設備の仕様と設計とは,関連規

格及びガイドラインに適合していなければならない。

閉扉状態の保持が規定の時間内に達成できないときは,OCC 係員に警報を発しなければならない。

8.6.3.4 

扉を閉めた後の扉の間に挟まった異物の検出 

旅客の乗降を監視する運輸係員のいない開放式プラットホームで,旅客が列車に引きずられるリスクを

緩和するため,扉間にある薄い異物を検出することのできる追加設備を備えることが推奨される。検出す

る異物の薄さの程度は,個別のリスク分析後に TA 及び/又は SRA が決定しなければならない。この追加

装置は,異物を検出したときに,閉扉状態を保持している旨の情報を流してはならない。閉扉状態を保持

しているときに異物を検出できない場合は,少なくとも列車出発時に異物を検出しなければならない。検

出した場合は,出発する列車に非常ブレーキを適用し,非常メッセージを OCC に送らなければならない。


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受け入れられる運転アベイラビリティを確保するため,発車から既定の時間経過後又は既定の距離若しく

は速度到達後は,この追加設備を機能停止することが推奨される。

8.6.3.5 

扉に挟まった異物を手で除去 

扉が閉まるときに扉間に薄い異物が挟まったときでも,

列車は,

出発プロセスを開始することができる。

薄い異物とは,閉扉シーケンス時に検出不能な異物である。こうした持ち物を取り出すためには,旅客が

扉を僅かに開扉できるようにしなければならない。この手動開扉は,小さな持ち物を自由にさせるのに十

分に,かつ,旅客にそれ以上の危険(さらに巻き込まれること,手又は持ち物が開口部に入ること,その

他の誤用)が及ぶことのないほど狭い幅で,扉を一定限度動かすことができなければならない。その後,

扉は,十分な推進力によって,閉め戻される。再開閉によって,閉扉状態の保持状態は変更しない。この

機能は,閉じている列車扉に対していつでも利用可能である。上記の僅かな動きの限度と閉め戻しの推進

力は,TA 及び/又は SRA が規定しなければならない。

戸先を適切に設計することは,再開扉せずに旅客が異物を容易に引き抜くことを可能にする。

8.6.4 

プラットホーム上の車両の扉位置の表示 

開放式プラットホームの場合,列車扉の予定位置に旅客を誘導するためプラットホーム上の列車扉位置

を表示し,これによって,連結した 2 車両間の隙間又はプラットホーム縁端と車両との間の隙間に旅客が

転落するリスクを低減しなければならない。この表示は,8.4.1.2 の例記に準じて,視力障害者のニーズに

対して明示的に有効でなければならない。

8.6.5 

運輸係員による監視 

旅客乗降を,運輸係員による監視の対象とすることができる。監視の範囲及び監視を適用する条件につ

いては,個別のリスク分析に基づいて明確化する必要がある。

係員の配置として次が考えられる。

−  車内

−  プラットホーム上

−  遠隔サイト(例えば,駅又は OCC)

8.6.6 

列車とプラットホームとの間の隙間に関する安全防護策 

8.6.6.1 

プラットホーム縁端と車体との間の隙間の縮小化 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,平常運転条件下で,プラットホーム縁端と車体と

の間の水平隙間を十分狭くすることによって,隙間への転落事故又は旅客が少なくとも身体の一部を隙間

に挟まれることを回避できるように,システム要素の設計と配置に配慮しなければならない。運転上安全

と定義される隙間のしきい値を,TA 及び SRA は規定しなければならない。

列車とプラットホームとの間の高さの違いが,旅客が転落するリスク又は水平の隙間に挟まれるリスク

を高めるので,このことにも配慮しなければならない。

とりわけ移動が不自由な人のために,快適な旅客乗降を可能にし,扉区域でのつまずきを防止するため

に,プラットホームと列車との間でステップの使用を可能な限り回避しなければならない。

8.6.6.2 

隙間に関するプラットホーム上の警告手段 

旅客乗降時にプラットホーム縁端と車体との間に生じる隙間に旅客の注意を引きつける具体的な対策を

適用することによって,隙間に付随するリスクを低減することができる。

最低限,

プラットホーム縁端は,

強い視覚的コントラストによって目を引くようにしなければならない。

全ての駅で,又は場合によっては特定の駅で,プラットホームの床面への塗装又は著しく目立つ標識な

ど,プラットホーム縁端近くに配置される明瞭で統一的なデザインによる標識を常設の警告機能として備


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

えなければならない。

下からの強い照明で隙間の視認性が高まる場合には,この照明も,検討の余地がある。照明は,プラッ

トホーム又は列車設備のどちらからでもよい。旅客乗降時にだけスイッチを入れるのでもよい。照明に加

えて,

(例えば,視力に障害のある旅客に配慮して)旅客乗降が可能なときに限り特定の音の合図によって

隙間を知らせることもできる。

標識が見えなくなるほど混雑している状況の場合及び視力の弱い人のニーズを考慮して,扉開放シーケ

ンスと同調させて“隙間及び段差にご注意ください”の音声放送を流すことで,隙間に付随するリスクを

低減できる。高いリスクの存在する全ての駅で,この放送を行わなければならない。旅客乗降用区域の近

くで,聴き取りにくさや聞き間違いが生じないように,旅客乗降に関連する各音声放送を同期しなければ

ならない。

8.6.6.3 

隙間に関する車内の警告手段 

旅客乗降時,プラットホーム縁端と車体間の隙間に旅客の注意を引きつけるような具体的な対策を適用

することによって,隙間に付随するリスクを低減することができる。

フロアの縁端の表示など,車内の旅客用乗降口の扉区域内に配置される明瞭で統一的なデザインによる

ひときわ目立つ標識を,常設の警告機能として備えなければならない。

曲線状の駅など,高いリスクの存在するあらゆる駅で列車到着時に旅客に警告するため,例えば,

“隙間

及び段差にご注意ください”などの音声放送を使用しなければならない。

放送の重複のために聴き取りにくさが生じないように,例えば,車両外部に設置するスピーカから閉扉

シーケンスの放送などのように,放送をプラットホームからだけ行うか又は車上装置からだけ行うように

しなければならない。

8.6.6.4 

車上又はプラットホーム上の可動ステップ 

隙間を低減できる可能性がほかにない場合,

可動ステップを各扉区域の前に設置することが推奨される。

プラットホーム縁端と車体間の隙間に旅客が転落するのを防止する場合のプレートが,可動ステップに該

当する。各可動ステップは,扉開放シーケンスの開始前,少なくとも列車が駅の正規停車位置に停止して

いるときに作動し,閉扉シーケンスの終了時に格納しなければならない。可動ステップは,列車の一部又

はプラットホームの一部であってもよい。可動ステップが張り出されていない場合に,列車扉が開くこと

があってはならない。

旅客乗降時以外に開くことを含めて,可動ステップの不具合又は故障が,危険状態をもたらしてはなら

ない。

8.6.6.5 

車上又はプラットホーム上の隙間監視装置 

プラットホーム縁端と車体との間の隙間を十分に低減できる可能性がない場合,旅客がこの隙間に転落

する又は挟まれるのを検出する検出装置の設置が推奨される。

検出した場合,非常メッセージを OCC 係員に通報しなければならない。

検出した場合,列車出発を抑止しなければならず,停車時間の終了時に列車扉が閉じてはならない。シ

ステムはこの動作を,運輸係員の責任の下で運転指令によって取り消すまで,保持しなければならない。

検出装置は,プラットホーム縁端に関連する地上設備として設置することも,列車扉に関連する車上装

置として設置することもできる。検出装置は,列車扉の区域内の隙間をカバーしなければならず,次のタ

イミングで起動しなければならない。

−  列車が完全な停止に達したとき(地上設備の場合)

,又は

−  列車扉が開いたとき(車内設備の場合)


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少なくとも身体の一部が挟まった旅客を検出するための適切なしきい値を,関連規格に適合させて又は

TA

と SRA が指定しなければならない。

8.6.6.6 

線間又はプラットホーム下の避難場所 

8.4.1.4

を参照する。

8.6.7 

車両連結部に関する安全防護策 

8.6.7.1 

車上側での車両連結部の転落防止設備 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,車両連結部の空間に旅客が転落するリスクを最大

限抑制するため,この空間を設計によって縮小するか又は柵によって閉鎖しなければならない。

8.6.7.2 

プラットホーム上の車両連結部停止位置への部分的な固定柵 

8.4.1.3

を参照する。

8.6.7.3 

連結部の監視装置 

プラットホームから人が車両間の連結部に転落するのを検出するため,検出装置を使用しなければなら

ない。この装置は,駅停車中の連結部の位置する区域を対象とする地上設備として設置することも,車上

装置として設置することもできる。装置を,少なくとも列車が停止位置に達したとき(又はゼロ速度を検

出したとき)起動しなければならない。検出した場合,列車の発車を抑止し,非常メッセージを OCC に

送らなければならない。

8.6.8 

列車とプラットホームスクリーンとの間の空間に関する安全防護策 

8.6.8.1 

列車とプラットホームスクリーンなどとの間の空間を最小化する設計上の方策 

8.4.2.1 g)

を参照する。

8.6.8.2 

列車とプラットホームスクリーンとの間の水平空間を監視する車上又はプラットホーム上の装

 

検出装置は,8.4.2.1 i)及び 8.4.2.2 の要求に従って,使用しなければならない。

8.6.9 

隙間に転落した後の感電から旅客を保護するための安全防護策 

旅客が通電中の露出導体に接触して感電するリスクを,次の対策によって緩和しなければならない。

−  隙間を最小化する

−  可動ステップ

−  車上の通電中の露出導体(例えば,集電靴)の保護

8.7 

軌道に関する安全防護策 

各適用事例のリスク分析の過程を通じて,次の細分箇条に示すものの中から,安全防護策又は安全防護

策の組合せを選択しなければならない。

最初の段階で,危険状態が発生するのを阻止するための対策を次の項目に従って実施しなければならな

い。

軌道外部からの侵入に対して,次の手段によって,軌道を保護しなければならない。

−  軌道に沿った物理的障壁(例えば,フェンス又は壁)の設置

−  プラットホームから軌道に人及び/又は異物が入るのを回避するプラットホームスクリーンその他の

手段

−  施錠され,警報と警告標識によって保護された,軌道に至るプラットホーム端部扉その他の扉

−  軌道の近隣の人が建築限界を侵すのを阻止するため,法令又は契約上の規制実施

8.3.4

の規定に従って,建築限界内の定期的点検の規則と手続が存在しなければならない。


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8.7.1 

分離された軌道 

専用するための軌道分離は,次の細分箇条のどちらを適用してもよい。

8.7.1.1 

物理的に分離された軌道 

公衆が軌道に入るのを防止するため,駅間軌道には,物理的な柵又は壁(側壁,上部構造物その他の対

策)を備えなければならない。当該構造物が非常脱出用又は保守用の扉を備えている場合,扉は施錠され

監視されなければならない。

8.7.1.2 

法的規定による分離された軌道 

法的規定による軌道の分離は,残留リスクが受け入れられないと SRA が判断する場合を除き,十分であ

るとみなされなければならない。

8.7.2 

軌道に沿った警告手段 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,プラットホーム端部から線路に入り,軌道に沿っ

て進むことに伴う特定の危険について旅客の注意喚起のため,プラットホーム端部に警告手段(例えば,

案内,標識,及び表示)を備えなければならない。

8.7.3 

線路に沿った物理的障壁 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,軌道への侵入を阻止するため駅間軌道に沿って物

理的な柵又は壁(例えば,フェンス,及び側壁)を備えなければならない。

個別の障壁の要求事項は,各適用事例について,関連規格に適合するか,又は TA 及び/又は SRA が指

定しなければならない。

8.7.4 

橋りょう脇の物理的障壁 

軌道の上方の橋りょうについては,異物が線路上に落下するのを防止するため,橋りょう脇に物理的な

柵(例えば,格子,網及びフェンス)又は壁を備えなければならない。

橋りょうの個別の障壁の要求事項は,各適用事例について,関連規格に適合するか,又は TA 及び/又

は SRA が指定しなければならない。

8.7.5 

プラットホームに沿う線路と駅間軌道との間の侵入検出装置 

この侵入検出システムは,プラットホームに沿う線路から駅間軌道に旅客が入るのを検出する。

プラットホームが閉鎖式プラットホームである場合,旅客の駅間軌道への立ち入りが発生する可能性は

非常に小さい。したがって,この場合には,この侵入検出装置は不要である。

個別の AUGT 適用事例のリスク分析によって適切と認められる場合には,無断立ち入りに対して反応す

る侵入検出装置を備えなければならない。

検出装置を備えた開放式プラットホームの施設及び設備が,この侵入検出動作を実行する場合もある。

この場合,次の項目を適用する。

−  大半の単純な適用事例の場合,プラットホームに沿う線路防護の検出対象区域から警報が作動したと

き,隣接する駅間軌道に人が立ち入って危険の生じていることも想定しなければならない。

−  隣接線路への立ち入りが起きていないことを確認できる追加手段が用意されている場合には,隣接す

る駅間軌道内の運転の自動停止も回避可能である。例えば,軌道に沿って隔離された非常用通路が確

保されている場合は,旅客は危険な区域にいないとしてよい。

警報メッセージを OCC 係員に通報しなければならない。

列車から軌道への旅客の立ち入りに対する対策については,8.5.1 及び 8.5.3 を参照するのがよい。


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8.7.6 

軌道侵入検出装置 

駅間軌道が物理的に完全分離されていない箇所では,軌道侵入検出装置を備えることが安全防護対策と

なり得る。軌道への公衆の立ち入りが検出されたときは,公衆が立ち入った区間内に所在する又はその区

間に接近する全ての列車を停止させなければならない(8.7.1 参照)

プラットホーム外及び駅間軌道について,

“駅間”区域の軌道への人の立ち入りが検出されたときに列車

の運転を停止させる対策を講じなければならない。影響を受ける軌道区域内にいるが,検出位置から離れ

る方向に走行している列車は,走行の継続を許可されなければならない。影響を受ける軌道区域に進入し

ようとしている列車は,進入を阻止されなければならない。警報メッセージを OCC 係員に通報しなけれ

ばならない。

8.7.7 

地上障害物検出装置 

リスク分析によって必要と判断される場合,建築限界内に障害物が入るリスクに対して,常設の監視体

制を備えなければならない。特に,例えば,AUGT 内で又は近くで土木工事が進行中であるなど,第三者

が建築限界内に支障を及ぼす危険があるときは必須である。おそらく,常設の監視体制,すなわち,係員

による監視,映像監視システム又は独立の検出システムが必要である。

8.7.8 

立ち入り制限機能を備えたプラットホーム端部扉 

8.4.1.1

を参照する。

8.7.9 

物理的に分離された軌道からの非常出口 

駅間で旅客が避難するとき,可能な場合には,旅客は,プラットホームを経由して出口へ誘導されなけ

ればならない(8.4.1.1 参照)

駅間での旅客の避難時に,旅客と係員とが物理的に分離された軌道から出ることができる特定の非常出

口が必要か否か,各個別の適用事例について TA 及び/又は SRA が判断しなければならない。

直近の非常出口を指示する特定の標識は,軌道内のどの位置からでも最低一つは見えるように,備え付

けられなければならない。

8.7.10 

駅間軌道における火災及び煙の検出 

火災又は煙の検出警報を,自動的に OCC に通報しなければならない。火災又は煙に影響を受けると想

定される区域は,駅間軌道の区間全体でなければならない。火災又は煙の検出された区域内の列車は,次

の駅まで運行を継続する。当該区域に進入しようとしている列車は,進入を制止しなければならない。手

前の駅で停車している列車は,駅の出発を抑止しなければならない。

8.7.11 

浸水防止 

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,地下トンネル区間その他線路面が周辺地域よりも

低く,洪水時に水の流入を招きやすい軌道区間では,水の流入を防止するため及び/又は浸水を検出する

ために,軌道内及び駅アクセス区域内に防水門を備えなければならない。検出された場合,警報を OCC

に送らなければならず,OCC 係員は,旅客の避難を含めて,適切な手続をしなければならない。

防水門又は扉を閉鎖するシステムは,その動作時に,必ず列車が当該区域に在線しないように,防水門

の閉鎖と列車抑止とを確実に連動させなければならない。

8.7.12 

平面交差 

平面交差の導入が必要で,かつ個別のリスク分析後に受け入れられる場合,次の細分箇条を適用する。

NTO

及び STO モードについての要求と同じように,列車の平面交差通過は,道路交通による同時利用

の禁止動作で保護されている場合だけ,許可される。

平面交差から当該の動作を行えないことが通報された場合には,その平面交差に向かう全ての駅で列車


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E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

の出発を抑止しなければならない。

8.7.12.1 

平面交差の遮断機 

平面交差には,システムを道路交通から分離するため,遮断機(ゲート)を設置しなければならない。

平面交差が列車の走行用に確保される前に,この遮断機で遮断しなければならない。遮断機は,遮断時に

人と車両が誤って平面交差に立ち入るのを最大限阻止するように設計しなければならない。

建築限界と遮断機間の安全空間が十分でない場合,非常事態下で人が平面交差から出られるよう対策を

講じなければならない。

遮断機が適正に遮断されていないことが確認された場合,列車の走行は抑止されなければならない。

8.7.12.2 

平面交差の監視 

閉じられた遮断機の内側に閉じ込められているとき,次の項目を検出するために,建築限界に沿った安

全空間を含めて,遮断機内側の平面交差区域全体を監視する方策を講じなければならない。

−  列車の走行によって危険にさらされる可能性のある人

−  列車の走行に危険を及ぼす可能性のある車両又は障害物

上記の場合,遮断機遮断後,平面交差監視装置から上記区域は異常なしと通報されない限り,列車の走

行を禁止しなければならない。この場合,警告を OCC に送り,当該平面交差の映像監視が起動しなけれ

ばならない。

遮断機遮断後,侵入が検出された場合,列車走行の許可は取り消されなければならない。この場合,非

常メッセージが OCC に送られ,当該平面交差の映像監視が起動しなければならない。

異常状況において,OCC の責任の下で運転を継続するには,個別の規則が要求される。

8.7.12.3 

平面交差から軌道への侵入の防止及び検出 

侵入の可能性が考えられる場合,次の項目を適用する。

−  平面交差から建築限界の脇の安全空間への立ち入りを,物理的手段によって可能な限り阻止しなけれ

ばならず,かつ,プラットホーム端部扉の機能と同様に,非常事態下での脱出が可能でなければなら

ない。

−  平面交差から建築限界区域内軌道への直接立ち入りを,平面交差に隣接する区域内の構造的手段によ

って可能な限り防止しなければならない。

−  プラットホームに沿う線路と駅間線路との間の侵入検出用に設計されるのと同様の機能で,建築限界

内を経由した人及び車両の侵入を検出するための追加の対策を講じなければならない。この検出機能

は,平面交差が列車走行用に確保され,平面交差が遮断されているときも含めて連続的に作動しなけ

ればならない。

8.7.13 

作業区域 

保守係員のいる区域内で DTO 及び UTO モードでの列車の走行が許可されてはならない。OCC 係員は,

作業区域の設定及び解除をしなければならない。当該区域で OCC 係員が DTO 及び UTO モードでの列車

走行を認めるのは,保守係員から事前同意が与えられている場合だけでなければならない。

8.8 

自動運転と非自動運転との切換え区域内及び車両基地の安全防護策 

各適用事例のリスク分析のプロセスを通じて,次に示すものの中から,安全防護策又は安全防護策の組

合せを選択しなければならない。

車両基地内で自動列車運転を行う場合,次の三つの区域を考慮しなければならない。

−  自動化区域

−  自動化区域と非自動化区域との間の切換え区域


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:2012 (IEC 62267:2009)

   

−  非自動化区域(NTO 及び STO モードを対象とする要求に適合する)

自動化区域については,AUGT システムを対象とする安全防護策を適用しなければならない。切換え区

域については,自動モードの列車が非自動化区域に進入してはならない。

切換え区域は,AUGT システムに個別の区域と考えられる。自動化区域と非自動化区域との間の列車の

移行は,切換え区域内で行われなければならない。

自動化列車と手動運転列車との起こり得る衝突を防止するため,AUGT システムは,自動化列車が切換

え区域に進入するのを許すための,又はこの区域内で自動モードでの列車走行を禁止するための信号を受

け取らなければならない。

切換え区域内への係員の立ち入りは,

TA

の規定する運転規則によって取り扱わなければならない。

また,

係員の保護のため警告手段又は物理的な柵を使用することができる。

手動モードから自動モードへの引き渡しについて,運転規則に定めなければならない。

使用上の情報 

システム供給者は,TA の支援を得て,システムの安全で正常な運用を確実にするために必要な情報を事

業者側の関係部門に提供しなければならない。この情報は,遅くとも IEC 62278 に規定するライフサイク

ルの段階 9 の終了まで提供されなければならない。

事業者側の関係部門のための情報には,少なくとも次の項目を含まなければならない。

−  地上及び車内で提供される全てのヒューマンマシンインタフェースの全ての指令内容及び表示の説明

を含めて,運輸係員による使用のための手引

−  鉄道分野に応用するための関連安全規格に適合した安全関連の適用条件の説明

−  鉄道分野に応用するための関連安全規格に適合したハザードログ

−  保守,及び後日にシステム変更を実施するときの参照を目的とする十分詳細な技術的説明(システム

の安全性に影響を与えないシステムに適用される保守及び変更の範囲は,供給者と保守の責任をもつ

TA

との間で合意されなければならない。

使用上の情報は,この規格の適用範囲外となるものも含めて,

表 に示す基本機能にも対応するもので

なければならない。

在来運転から DTO 又は UTO モードへシステムを高度化する場合,事業者向け情報には,移行プロセス

に伴う個別の情報も含めなければならない(箇条 10 参照)

使用上の情報は,全ての運転規則,及びライフサイクルの段階 11 の開始前に責任が TA に委譲される場

合には,TA 自身の責任となる保守規則を TA が規定することが可能となるものでなければならない。安全

関連の適用条件には,予防保守の頻度及び故障状況のときの修理に関する助言が含まれていなければなら

ない。段階 11 以降,TA は,全ての安全に関連した事象の発生及びその結果として導かれる対策に関して,

ハザードログを継続しなければならない。

人の責任と技術が負担する責任との関係を確実にして,運転の総合的安全性を達成するため,TA の規定

する運転規則と保守規則との全てを,ライフサイクルの段階 10 のシステム受入れに至る評価・検証プロセ

スに組み込まなければならない。

AUGT

システムの特別な性質を考えると,文書化の内容には次に関連する事項を配慮しなければならな

い。

−  通常時,機能低下及び非常事態下において,係員が短時間介在することによる効果的かつ迅速な対応,

(巡回係員を含む)係員の配置,各種サブシステム(例えば,列車制御システム及び鉄道車両)を担


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当する技術専門家による OCC 要員の支援,必要なときに列車を運転する権限をもつ適正数の係員の

確保などを可能にする運転と保守の組織

−  特に機能低下及び非常事態下に対応する係員,及び複数業務を担当できる係員の訓練

−  複数の保守業務を担当できる係員が,車両,地上施設,音声・映像監視設備,軌道への侵入検出又は

防止設備の定期検査を行う重要性

10 

在来システムで運行する既存線から DTO 又は UTO への高度化に関する個別の安全要求事項 

一般に,この規格に規定する全ての安全要求事項は,在来システムで運行する既存線から DTO 又は UTO

への高度化を取り扱う個別の適用事例にも適用可能である。

後に DTO 及び UTO で使用されることになる既存の施設及び設備を,その既存機能と制約との両面を併

せて,個別の危険及びリスク分析において考慮しなければならない。この結果として,追加の安全防護策

及び特定の要求事項仕様の必要が生じる可能性もある。

在来システムでの運転から DTO 又は UTO への移行プロセスを,既存設備が安全な運転に果たす寄与,

追加設備の影響,プロセスの各過程での運輸係員の業務の変更を考慮して,記載しなければならない。そ

のうえで,個別の適用事例の必要に応じて,次のいずれかの移行方針を適用しなければならない。

−  既存設備による営業を完全に休止し,完成及びシステム受入れ後に(完全新規設備又は既存設備によ

って)旅客営業運転を再開する

−  設置工事中に旅客営業運転を継続し,試験と試運転走行は,旅客営業運転時間外(例えば,夜間又は

週末)又は旅客営業運転区域外で実施する

−  設置工事中に旅客営業運転を継続し,試験と試運転走行は旅客営業運転列車の間合で実施する

移行プロセスの条項と条件について,供給者,TA 及び SRA の間で必要によって合意しなければならな

い。最終システム受入れの前に自動モードで運行される列車の試験と試運転走行は,旅客営業運転に危険

を及ぼすことがないことを確実にしなければならない。したがって,移行プロセス中の個別の状況を取り

扱うリスク分析を実施し,その結果導かれた安全防護策を,移行プロセスのときに実施しなければならな

い(例えば,非常ブレーキに責任を負う車上の運輸係員,及び追加の非常停止スイッチ)

。運輸係員及び追

加安全防護策は,システム受入れプロセスの進捗に応じて,段階的に減少することができる。

11 

安全性の検証 

この規格では,箇条 に規定する運転士又は添乗員の不在を補うために必要とされる安全要求事項を取

り扱っている。当該安全要求事項は,箇条 に規定する。

この箇条では,安全目標が満たされていることの証明のために各個別の適用事例において履行しなけれ

ばならない安全検証プロセスについて規定する。SRA によって要求される場合,TA は,安全性の検証に

第三者機関を使用しても差し支えない。

検証プロセスは,個別の技術的又は手続的安全要求事項に付加される補完的なものである。そのため,

UTO

又は DTO システムでの検証プロセスは,STO 又は NTO システムと同じである。

したがって,検証プロセスについての記載は,規格の対象となるライフサイクルの段階(

図 参照)に

限定することはできず,ライフサイクルの全体を取り扱うものでなければならない。

方法論は,IEC 62278 に規定するリスク分析の原則(信頼性,アベイラビリティ,保守性及び安全性基

準)を基礎にしなければならない。プロセスモデルの基礎を,IEC 62278 の V 字図から導き,問題となる

個別の適用事例に実際面で応用することができる。このプロセスモデルを

図 に示す。


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:2012 (IEC 62267:2009)

   

図 6−安全性の検証 

11.1 

文書化及び責任 

適用事例に責任を負う機関は,プロジェクトの開始時に総合システム規定(OSD)を用意する。OSD は,

総合安全目標の記述と,少なくとも次の項目を含む。

−  システム安全管理計画

−  安全性証明・証拠文書のリスト

−  初期リスク分析

−  サブシステム要求事項仕様

−  火災防護基本構想文書

−  旅客の救助に関する規則を含む運転規則

リスク分析から導かれた,受け入れられる残留リスクについて,SRA との合意による TA の承認を受け

なければならない。

消防当局による承認を受けるため,単一文書に火災防護基本構想をまとめて提示するのが有益であるか

もしれない。同じことは,外部保安機関,例えば,警察及び救急当局による承認を受ける避難・救助基本

構想文書にも該当する。

11.2 

検証プロセス 

OSD

作業が全て終了し承認を得た後,規定済みの各サブシステムの詳細設計と実施が完了し,SRA によ

る承認を受けることができる[

図 の設計承認(DA)主要管理点を参照]。

構造物構築,システムエンジニアリング,運転規則を含め,全てのプロセスを考慮しなければならない。

運転規則は,運転の総合的な安全性を確実なものとする検証手続も受けなければならない。

サブシステムが導入実施され,安全文書化の成果物が SRA によって承認された時点で,サブシステム承

認(SA)の重要管理点が達成される。SA の重要管理点が全て達成されたら,システムレベル OSD を見直

サブシステムレベル

サブシステム n:

導入実施/施工完了時

サブシステム承認(SA)

総合システム定義(OSD)

総合安全目標の定義 
サブシステム要求事項 
システム安全管理計画

安全性証明・証拠文書のリスト 
初期リスク分析 
火災防護基本構想

避難・救助基本構想 
安全性証明・証拠文書

安全機能/サブシステムへ

の SIL の割当て

サブシステム n:

設計文書化

安全性証明・証拠文書

サブシステム n:

設計承認(DA)

総合システム承認:

システム安全管理計画

安全性証明・証拠文書のリスト 
リスク分析の完了 
火災防護基本構想の完了

避難・救助基本構想の完了

安全機能

システムレベル

総合システム安全の根拠

総合リスク査定

と安全分析


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:2012 (IEC 62267:2009)

しし,

サブシステムの導入実施から収集された実際の情報によって更新しなければならない。

したがって,

次の文書を完成,更新しなければならない。

−  システム安全管理計画

−  安全性証明・証拠文書のリスト

−  リスク分析

−  危険要因抽出及び方策の実施記録

全ての危険が担保され,残留リスクが受入れ可能であることも確実にしなければならない。また,火災

防護基本構想及び避難・救助基本構想も,防火・救助訓練の結果を考慮に入れて,更新されなければなら

ない。

さらに,OSD に規定されているように総合安全目標が確実に満たされているようにするために,リスク

分析は見直さなければならない。

上記の全てが達成されたとき,TA は,必要ならば安全査定の第三者機関からの宣言書(査定報告書)を

添付して,SRA に総合システム承認を申請することができる。


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附属書 A

(参考)

OCC

の役割

注記 OCC がどの機能を選択するかは,TA 及び/又は SRA による要求事項に依存する。

図 A.1−システムの安全性に OCC が果たす役割 

軌道 

侵入検出装置

8.7.5

及び 8.7.6

平面交差監視  8.7.12.2

火災・煙検出(駅間軌道)

8.7.10

プラットホーム 

OCC 

故障管理 

−異常な運転条件の検出 
−危険状態への対応 
−旅客の救助

監視,記録,連絡 

−システムの監視 
−旅客と運輸係員間の通信

運転手順 

−運転の停止

−平常運転の再開

−安全防護動作後のリセット

き電電力システム 

列車 

き電電力遮断  8.1.3.5

障害物検出装置  8.7.7

作業区域  8.7.13

異常状態(風,地震など,

浸水は 8.7.11)検出

構内放送システム  8.4.1.9

ホームドア制御  8.4.2

火災・煙検出  8.4.1.10

プラットホーム上の

非常通報装置  8.4.1.8

隙間監視装置 8.6.6.5

映像監視  8.4.1.7

線路侵入検出  8.7.5

脱線検出 8.5.6

列車状態監視及び試験

8.5.13

火災・煙検出  8.5.12

車内映像監視  8.5.7

手動運転  8.5.14

車内非常通報装置  8.5.11

車上放送システム  8.5.8

車内からの非常停止要求

8.5.10

列車ドア制御

8.5.1

8.5.28.5.3

隙間監視装置 8.6.6.5


51

E 3802

:2012 (IEC 62267:2009)

参考文献  JIS E 3013:2001  鉄道信号保安用語 

IEC 61508 (all parts)

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IEC 62128-1

,Railway applications−Fixed installations−Part 1: Protective provisions relating to

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IEC 62236 (all parts)

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ASCE (American Society of Civil Engineers) Standard 21

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・  Part 2 ASCE 21.2-08

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RLFoF

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Verband Deutscher Verkehrsunternehmen (VDV) in relationship with the Federal Minister of

Transport of Germany

省令    鉄道に関する技術上の基準を定める省令  国土交通省  省令第 151 号

解釈基準    鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準  国土交通省鉄道局長通達第

157

STPG Decree No. 2003-425

  published May 9, 2003, on the safety of public guided transports

(Sécurité des Transports Publics Guidés, or STPG), with its application guides and support guides

provided by the French technical agency for the safety of ropeways and guided transports (Service

Technique des Remontées Mécaniques et des Transports Guidés, or STRMTG), and the associated

orders made on May 23 and December 23, 2003