サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

D 6028:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 危険源(ハザード)リスト ································································································· 4 

5 要求事項························································································································· 5 

5.1 バッテリ車の場合 ·········································································································· 5 

5.2 エンジン式車両の場合 ··································································································· 10 

6 バッテリ車の検証 ············································································································ 12 

6.1 絶縁抵抗試験(全数試験) ····························································································· 12 

6.2 型式試験 ····················································································································· 12 

7 使用上の情報 ·················································································································· 16 

7.1 バッテリ車の最小限の表示 ····························································································· 16 

7.2 充電場所 ····················································································································· 16 

7.3 エンジン式車両の最小限の表示 ······················································································· 17 

附属書JA(参考)型式試験の試験サイクルパターン ·································································· 18 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 21 

D 6028:2019  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

産業車両協会(JIVA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格

を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正

した日本工業規格である。これによって,JIS D 6028:2012は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 6028:2019 

産業車両−電気に関する要求事項 

Industrial trucks-Electrical requirements 

序文 

この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 20898を基とし,バッテリコネクタの温度上昇試験

の,バッテリコネクタの定格電流に対して規定した接続ケーブルの断面積に適正でないものがあったため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,ラフテレインフォークリフトトラック及び定格けん引力が20 kNまでのけん引車を含む自

走式産業車両の設計及び製造時における電気に関する要求事項について規定する。この規格は,240 V以

下の電圧のバッテリを装備した車両に適用する。 

なお,主電源付き車両に対する追加の要求事項は,JIS B 9960-1を参照する。 

この規格は,次のものには適用しない。 

− 潜在的に爆発の危険のある環境で使用する車両 

− 電磁両立性に関する事項 

この規格では,産業車両の製造に使用する材料については,JIS B 9700で規定する最新の全ての技術的

原則を繰り返し規定しない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 20898:2008,Industrial trucks−Electrical requirements(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 9700 機械類の安全性−設計のための一般原則−リスクアセスメント及びリスク低減 

注記 対応国際規格:ISO 12100:2010,Safety of machinery−General principles for design−Risk 

assessment and risk reduction 

JIS B 9705-1 機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第1部:設計のための一般原則 

注記 対応国際規格:ISO 13849-1,Safety of machinery−Safety-related parts of control systems−Part 1: 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

General principles for design 

JIS B 9960-1:2008 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 60204-1:2005,Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part 1: 

General requirements 

JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード) 

注記 対応国際規格:IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code) 

JIS C 3662-1 定格電圧450/750 V以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第1部:通則 

JIS C 3663-1 定格電圧450/750 V以下のゴム絶縁ケーブル−第1部:通則 

JIS C 5101-14 電子機器用固定コンデンサ−第14部:品種別通則:電源用電磁障害防止固定コンデン

サ 

注記 対応国際規格:IEC 60384-14:2013,Fixed capacitors for use in electronic equipment−Part 14: 

Sectional specification: Fixed capacitors for electromagnetic interference suppression and connection 

to the supply mains 

JIS C 8201-5-1 低圧開閉装置及び制御装置−第5部:制御回路機器及び開閉素子−第1節:電気機械

式制御回路機器 

注記 対応国際規格:IEC 60947-5-1:2003,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 5-1: Control 

circuit devices and switching elements−Electromechanical control circuit devices 

JIS D 6201 自走式産業車両−用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS D 6201によるほか,次による。 

3.1 

アーク発生部品(arcing part) 

オペレーション中の電流を遮断する電気部品。 

3.2 

補助回路(auxiliary circuit) 

照明,ファン及びその他附属品を制御する電気回路。 

3.3 

バッテリ室(battery compartment) 

バッテリ収納用の車両上の室。 

3.4 

バッテリエンクロージャ(battery enclosure) 

個々のバッテリセル収納用のコンテナ又はトレイ。 

3.5 

制御回路(control circuit) 

車両及び電気装置の制御(監視を含む。)のための回路。 

3.6 

非作動(deactivate) 

通電しない又は無効にする状態。 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.7 

直接接触(direct contact) 

人と充電部との接触。 

3.8 

電気部品エンクロージャ(electrical enclosure) 

非絶縁の通電電気部品を収納する車両上の室。 

3.9 

電気式又は電子式ステアリング(electrical or electronic steering) 

電気及び/又は電子的手段を用いて動作させるステアリング。 

3.10 

露出導電性部分(exposed conductive part) 

正常運転状態では充電されないが,障害(絶縁故障)時に充電状態となり得る電気装置の,人が接触可

能な導電性部分。 

3.11 

フレームへの漏電(frame fault) 

充電部の車両構造への偶発的な接触。 

3.12 

間接接触(indirect contact) 

絶縁故障によって充電状態となった露出導電性部分と人との接触。 

3.13 

充電部(live part) 

通常の使用で電圧が印加されている導体及び導電性部分。 

3.14 

公称電流(nominal current) 

電気装置が指定許容温度を超えずに連続的に通電可能な電流(A)。 

3.15 

(車両装置の)公称電圧[nominal voltage (of the truck system)] 

車両装置のシリーズで接続されたバッテリセル総数と公称セル電圧との積。 

3.16 

動力回路(power circuit) 

車両の走行,ステアリング及び荷役の動作用のモータに電力を供給する回路。 

3.17 

定格使用電流(rated operating current) 

コンタクタの使用条件によって決まる電流値。 

3.18 

定格通電電流(rated thermal current) 

コンタクタの開閉操作なしに通電(連続通電)しても主回路の温度上昇が規定値を超えない電流。 

3.19 

火災の要因(risk of fire) 

装置が175 ℃以上の表面温度となるか,又は電気部品エンクロージャの外部にスパーク(火花)を出す

background image

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

状態。 

3.20 

全数試験(routine test) 

全ての製造車両に要求される試験。 

3.21 

型式試験(type test) 

車種ごとに,この規格に適合していることを検証する試験。 

危険源(ハザード)リスト 

この規格で扱う,重大な危険源,危険状態及び危険事象を示した表1は,JIS B 9700の附属書B(危険

源,危険状態及び危険事象の例)を参考(Noは引用番号を示す。)に記載した項目であり,記載された状

況に該当した場合,処置を施さないと危害が人に及ぶことがある。対応する要求事項は,各状況において,

危害を限定又は低減させるための検討項目である。 

表1−重大な危険源,危険状態及び危険事象の例 

No 

危険源 

この規格の要求事項 

機械的危険源 

押しつぶしの危険源 
− 車両のコンポーネントとコンポーネン

トとの間 

− 車両と障害物との間 
衝撃の危険源 
− オペレータが車両運転時 
機械の安定性の欠如/転倒 
− 速度超過から 
− バッテリ質量の誤りから 

5.1.11 
5.1.12 
5.1.14 
 
5.1.15 
5.1.16 
5.1.17 
5.1.18 
7.1 
7.3 

チェーンの緩み及び/又は切断 
電圧低下 
制御−全般 
 
制御−走行 
制御−荷役 
制御−ステアリング 
コンタクタ 
バッテリ車の最小限の表示 
エンジン式車両の最小限の表示 

電気的危険源 

充電部に人が接触(直接接触) 
過負荷 
− 全ての電圧 

5.1.1 
5.1.2 
5.1.3 
5.1.4 
5.1.5 
5.1.6 
5.1.8 
5.1.9 
 
5.1.13 
5.2.1 
5.2.2 
5.2.3 
5.2.4 

走行用バッテリ 
バッテリのケーブル 
バッテリコネクタ 
バッテリの充電 
緊急遮断の要求事項及びバッテリの接続 
設計上の構造 
配線の構造 
感電に対する保護[直接接触及び間接接触(隙
間)] 
過電流保護装置 
バッテリ 
回路保護 
制御装置 
配線の構造 

5.2.5 
 
6.2.1 

感電に対する保護[直接接触及び間接接触(隙
間)] 
過負荷試験 

− 120 V<電圧≦240 V 

5.1.1 
5.1.7 

走行用バッテリ 
バッテリ公称電圧が120 Vを超える車両 

background image

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−重大な危険源,危険状態及び危険事象の例(続き) 

No 

危険源 

この規格の要求事項 

熱的危険源 

6.2.2 

温度試験 

材料及び物質(並びにその構成要素)による危
険源 

バッテリ電解液 
火災又は爆発の危険源 
− 全ての電圧 

5.1.1 
 
5.1.2 
5.1.3 
5.1.4 
5.1.5 
5.1.6 
6.1 
6.2.1 
6.2.3 
6.2.5 
6.2.6 

走行用バッテリ 
 
バッテリのケーブル 
バッテリコネクタ 
バッテリの充電 
緊急遮断の要求事項及びバッテリの接続 
設計上の構造 
絶縁抵抗試験(全数試験) 
過負荷試験 
アーク損傷試験 
バッテリコネクタ試験 
コンタクタ試験 

− 120 V<電圧≦240 V 

5.1.7 
7.1 
7.3 

バッテリ公称電圧が120 Vを超える車両 
バッテリ車の最小限の表示 
エンジン式車両の最小限の表示 

人間工学原則の無視による危険源 

ヒューマンエラー,人間挙動 

7.1 
 
7.3 

バッテリ車の最小限の表示 
 
エンジン式車両の最小限の表示 

− 

予期しない始動,予期しない超過走行/超過速
度(又は何らかの類似不調) 

エネルギー供給の不良 
制御システムの故障/混乱 
機械の安定性の欠如/転倒 

5.1.12 
5.1.14 
5.1.15 
5.1.16 
5.1.17 
5.1.18 
5.2.2 
5.2.3 

電圧低下 
制御−全般 
制御−走行 
制御−荷役 
制御−ステアリング 
コンタクタ 
回路保護 
制御装置 

要求事項 

5.1 

バッテリ車の場合 

5.1.1 

走行用バッテリ 

5.1.1.1 

全ての車両に装備したバッテリは,車両から絶縁しなければならない。 

5.1.1.2 

金属製容器内に収納されたセルは,それぞれ絶縁しなければならない。 

5.1.1.3 

セルの接続は,全ての隣接する二つのセル間の電位が,公称電圧で24 Vを超えてはならない。 

5.1.1.4 

バッテリ端子に対しては,異常発熱又はアーク発生の原因となる接続部の緩みを除去するため,

緩み防止の手段を講じなければならない。 

5.1.1.5 

車載充電器を備えた車両では,バッテリ端子は絶縁ブーツ又は絶縁カバーで保護しなければなら

ない。 

例外1 車両フレームに意図的に接続されている端子は,ブーツ又はカバーで覆う必要はない。 

例外2 この要求事項は,漏電遮断器又は絶縁された出力回路を備えた,5.1.1.6に適合する車載充電

器には適用しない。 

5.1.1.6 

車両が車載充電器を装着しているときは,JIS B 9960-1の要求事項の6.3.1(一般事項),6.3.2(接

触電圧の発生防止),7.2.1(一般事項),8.1(一般事項)及び8.2(保護ボンディング回路)の規定を満足

するものとする。交流電源接続によって通電される車載充電器の電気部品エンクロージャは,JIS C 0920

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

で規定する保護等級IPXXBとする。しかし,電気部品エンクロージャ上面は,保護等級IPXXDとする。 

5.1.1.7 

公称電圧が120 Vを超えるバッテリでは,バッテリエンクロージャは施錠が可能でなければなら

ない。バッテリエンクロージャに施錠可能なカバーがない場合は,無許可の人がバッテリに近づくのを防

ぐため,バッテリ室は施錠できる設備を備えなければならない。 

5.1.1.8 

公称電圧が120 Vを超えるバッテリでは,間接接触を防ぐため,次のいずれかによる保護手段を

用いなければならない。 

a) 保護用電気絶縁 

b) アースフリー等電位ボンディングによる保護 

c) 自動遮断又は自動故障検知信号による保護 

5.1.1.9 

公称電圧が120 Vを超えるバッテリエンクロージャは,次のいずれかによらなければならない。 

a) 金属であってバッテリ電解液で腐食されない処理がされているもの 

b) 絶縁素材で構成したもの 

5.1.2 

バッテリのケーブル 

5.1.2.1 

公称電圧が120 Vまでのバッテリ用ケーブルは,次のものを用いなければならない。 

a) ケーブルの導体断面積及び絶縁厚さがJIS C 3662-1及びJIS C 3663-1に規定されているもの 

b) 車両の温度及び電圧によって指定される適切な材料で絶縁されたもの 

c) バッテリ電解液に耐性があるもの 

d) 5.1.3.2で規定する温度で曲げ,取扱い及び衝撃に耐えることができるもの 

e) 平均絶縁厚さは,導体断面積が35 mm2以下のケーブルでは1.5 mm以上,導体断面積が35 mm2を超

えるケーブルでは2.0 mm以上とする。 

5.1.2.2 

公称電圧が120 Vを超えるバッテリのケーブルは,JIS B 9960-1の要求事項を満たしていなけれ

ばならない。 

5.1.3 

バッテリコネクタ 

5.1.3.1 

バッテリコネクタが装着されている場合,半割りバッテリコネクタの一つは,車両又はバッテリ

エンクロージャに常時,固定されていなければならない。固定されない半割りバッテリコネクタに取り付

けたケーブルの長さは,バッテリコネクタの接続又は外す作業を妨げず,端子及びケーブル(5.1.2参照)

に応力をかけないように,できるだけ短くする。 

5.1.3.2 

バッテリコネクタは,バッテリの電圧に応じて定められ,また,バッテリ電解液及びバッテリの

ガス(水素ガス)に耐性がなければならない。 

また,バッテリコネクタの温度対応範囲は,−20 ℃〜90 ℃とする。 

5.1.3.3 

バッテリコネクタは,相反する極と誤接続できない構造とする。また,バッテリと充電器との接

続及びバッテリと車両との接続においてバッテリコネクタが誤って接続されるのを防ぐため,同じ電圧で

使用するバッテリコネクタだけが,はめあい(嵌合)接続できる機構,電圧の違いを色分け,符号,コネ

クタ形状などで識別できるようにしなければならない。 

5.1.3.4 

バッテリに常時接続されている半割りバッテリコネクタは,人が電圧の印加された部品に誤って

触れるのを防ぐように保護しなければならない。充電部はバッテリコネクタの表面に出てはならない。バ

ッテリ公称電圧が60 Vを超えるバッテリコネクタは,JIS C 0920で規定する保護等級IP2Xとする。 

5.1.3.5 

二つの半割りバッテリコネクタが接続されるとき,それらの電気部品エンクロージャは,JIS C 

0920で規定する保護等級IP23とする。 

5.1.3.6 

15 N未満の力で切り離すことができる全ての二つの半割りバッテリコネクタは,接続を確実に保

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

つための装置を備えていなければならない。取っ手を工夫することによって,容易に接続又は切り離しが

できるようにしてもよい。 

5.1.3.7 

バッテリコネクタは,6.2.5に規定した試験を満足しなければならない。 

5.1.4 

バッテリの充電 

5.1.4.1 

外部の充電用電力供給ケーブルが,車両又は車両上のバッテリに接続されているとき,車両を動

かす回路に通電があってはならない。これは稼働中,常時充電するよう設計されている車両には適用しな

い。 

5.1.4.2 

公称電圧が120 Vを超えるバッテリの場合,バッテリコネクタでのアークの発生を防ぎ,充電器

がバッテリに接続されるまで,充電器に通電できないようにするために,充電器はバッテリコネクタの補

助接点又はその他の装置によって制御しなければならない。 

5.1.5 

緊急遮断の要求事項及びバッテリの接続 

5.1.5.1 

緊急遮断操作装置(ボタン,レバーなど),又は緊急遮断装置として使用するバッテリコネクタ

は,常時,通常の運転操作位置にいるオペレータの手の届く位置になければならない。 

5.1.5.2 

緊急遮断装置は,安全に全ての可動要素への電力供給を遮断できなければならない。緊急遮断装

置は,次の方法の一つによって,通常の最大電流(モータの起動電流を含む。)を遮断できなければならな

い。 

a) 公称電圧が120 Vまでの場合は,バッテリコネクタによる緊急遮断。公称電圧が120 Vを超える場合

は,バッテリコネクタを緊急遮断の目的で使用するのを防ぐ手段をとらなければならない。 

b) 電力供給の1本の線を直接切る手動式電源スイッチ。 

c) 電力供給の1本の線に接続されている一つのコンタクタのコイルへの電力供給を切る手動式制御スイ

ッチ。この場合は,同時に電力コントローラ(例えば,インバータ又は他励方式モータ用のコントロ

ーラ)は非作動とする。電力コントローラが付いていない機械式整流子付き直流直巻モータによって

駆動している車両では,バッテリの供給を遮断するために二つの独立したコンタクタが必要である。 

b) 又はc) の場合,スイッチはJIS C 8201-5-1に従って強制駆動タイプで,アクチュエータは赤色とす

る。併せてJIS C 8201-3も参照する。背景が赤色の場合,対照的な色を用いてもよい。 

遮断装置を手動で再設定し,その後,制御手段の通常の操作をして初めて,可動要素への電力供給が再

始動可能でなければならない。 

5.1.5.3 

バッテリコネクタを緊急遮断装置として使用する場合,バッテリコネクタの可動部分は,バッテ

リコネクタ又はケーブルに損傷を与えずに切断できなければならない。 

バッテリコネクタを緊急時の電源遮断に使用する場合,装置は即座に切断されなければならない。また,

二つの半割りバッテリコネクタは容易に分離できなければならない。二つの半割りバッテリコネクタを切

り離す最大操作力は150 Nを超えてはならない。 

5.1.6 

設計上の構造 

5.1.6.1 

動力回路のアーク発生部品は,炎又は熱で溶解した金属が火災を引き起こす可能性がない場所に

設置するか,又は保護カバーで覆わなければならない。 

5.1.6.2 

火花を出すコンポーネント又は300 ℃以上の温度に達することのあるコンポーネントは,爆発性

のガス及び/又は空気混合体が存在する可能性がある場所,例えば,充電中又は放電中,水素濃度が容積

で4 %[爆発下限界(LEL)]を超えることがあるバッテリの上又はバッテリの近くに配置してはならない。

バッテリコネクタを緊急遮断スイッチとして使用しなければ,そのバッテリコネクタは火花を出さないコ

ンポーネントとしてよい。 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1.6.3 

全交換又は接点の交換及び点検のような修理作業のため,コンタクタ,ヒューズ及びその他アー

ク発生部品若しくは作動部品は,カバーを取り外したとき,手の届く場所に設置しておかなければならな

い。 

5.1.6.4 

次の各項を除いて,車両フレームに電気的な接続があってはならない。 

a) フレーム漏電検知装置 

b) 主電源から電気的に隔離されている,入力電圧が直流60 V以下の回路に接続の照明機器又は補助機器 

c) 車載充電器の充電中の接地 

d) 入力電圧が直流60 Vを超える場合のJIS C 5101-14に規定されるクラスY以上の性能をもつ電磁障害

防止コンデンサ 

e) 配線及びコンポーネントの遮蔽(この場合,6.1に規定した絶縁抵抗試験の要求事項を満たさなければ

ならない。) 

5.1.6.5 

電源供給を遮断後,60 µFを超える容量の充電されたコンデンサの電圧は,5秒間以内に60 V未

満に放電できなければならない[JIS B 9960-1の6.2.4(残留電圧に対する保護)参照]。他の手段として,

コンデンサを放電させるよう指示した警告ラベルを付けてもよい。 

5.1.7 

バッテリ公称電圧が120 Vを超える車両 

5.1.7.1 

制御回路及び補助回路は,直流120 Vを超えない回路電圧とし,主電源から電気的に隔離しなけ

ればならない。ただし,加熱目的の回路及びバッテリ充電状態の計測装置は除く。 

5.1.7.2 

車両フレームと金属製の電気部品エンクロージャとの間(例えば,モータフレーム)は,等電位

結合としなければならない。 

5.1.7.3 

主電源に直接接続されている回路用のフレーム漏電自動検知装置は,聴覚信号及び/又は視覚信

号で警告するか,故障の場合は,車両を制御しながら停止し,車両の電源を遮断しなければならない。 

5.1.8 

配線の構造 

5.1.8.1 

多心ケーブルの耐電圧は,その多心ケーブル内を通る回路にかかる最高電圧以上としなければな

らない。 

5.1.8.2 

配線の導体断面積は,配線の温度が使用されている絶縁材の定格温度を超えない大きさとしなけ

ればならない。 

5.1.8.3 

電気部品エンクロージャの外の配線(電気又は電子部品と一体の短い導線は除く。)は,十分な

柔軟性があり,用途にあった適切な機械的強度がなくてはならない。 

5.1.8.4 

全ての配線は,車両が通常の使用状態にあるとき有効に絶縁され,必要な箇所で機械的損傷に対

し保護するか,又は損傷を避けるように配置し,保護しなければならない。車両が通常に機能している間,

曲げを受ける配線は配線端部において機械的応力を受けてはならない。オペレータ室内の絶縁配線の保護

は,配線がオペレータによる損傷を受けなければ必要はない。 

5.1.8.5 

電源端子は,接続されている配線に対し必要な容量,機械的支持を与える大きさ及び形状としな

ければならない。電源端子に対しては,異常発熱又はアーク発生の原因となる接続部の緩みを除去するた

め,緩み防止の手段を講じなければならない。 

5.1.8.6 

車両製造業者が承認した,この規格の要求事項を満たす現場装着用電気附属品の装着は,有資格

者によって,工場装着の配線を大きく乱すことなく,切断又は端子のはんだ付けなし(サブハーネスで接

続など)で装着できなければならない。 

5.1.8.7 

配線及びケーブルは,絶縁を維持できない場所,又は潤滑油が付着する場所に配置してはならな

い。 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1.9 

感電に対する保護[直接接触及び間接接触(隙間)] 

5.1.9.1 

車両の稼働状態での絶縁されていない充電部は,直接接触を防ぐため,JIS C 0920で規定する保

護等級IPXXBに準じて保護する。電気部品エンクロージャの最上面は,保護等級IPXXDとする。 

5.1.9.2 

間接接触に対する保護は,JIS B 9960-1の6.3.2.3(電気的分離による保護)に従って,電気的に

分離する手段によって行わなければならない。 

5.1.9.3 

バッテリ公称電圧が60 Vを超える充電部をもつバッテリ以外の電気部品エンクロージャのカバ

ーの固定は,工具の使用によるものでなければならない。 

5.1.10 

ランプ及びランプホルダー 

各ランプ及びランプホルダーは,作動時の最大温度に対して耐久性のある材質によって密閉しなければ

ならない。 

5.1.11 

チェーンの緩み及び/又は切断 

運転者の位置が上昇した状態で走行する車両には,チェーンの緩み及び切断を検知して動作を停止させ

る電気装置・電子装置を装着しなければならない。また,その装置は,故障した場合でも動作停止機能が

失われないように設計されなければならない。 

チェーンによる上昇及び下降の機能を直接遮断する機械式スイッチによって検知する場合には,スイッ

チは,JIS C 8201-5-1の直接開路動作機能付制御スイッチとしなければならない。電気回路を使用した他

のタイプのスイッチ又はセンサによって検知する場合には,安全関連部はJIS B 9705-1のカテゴリ3に従

わなければならない。 

5.1.12 

電圧低下 

電気装置は,バッテリ電圧の全ての状態において,安全であるように設計しなければならない。車両は,

作動状態のとき電圧が公称電圧の70 %に落ちるまで,全ての機能が働かなければならない。このレベルよ

り低い電圧によって危害発生のおそれがある場合,制御装置が車両の関連機能を停止させるようになって

いなければならない。 

5.1.13 

過電流保護装置 

5.1.13.1 動力回路,制御回路及び補助回路は,最小サイズの導線の過熱を防止する能力の過電流保護装置

を備えなければならない。 

5.1.13.2 過電流保護装置は,火災を引き起こす危険がなく,最大故障電流を遮断できなければならない。 

5.1.13.3 制御及び動力回路の過電流保護装置は,実施可能な範囲で,できるだけ電源又はバッテリに近づ

けて設置しなければならない。ヒューズなど,非再設定形の過電流保護装置は,その装置の交換品の等級

を明示しなければならない。また,過電流保護装置の必要な表示を車両に施さなければならない。 

5.1.14 

制御−全般 

5.1.14.1 電気回路は,フレームへの漏電によって運転者が車両を制御できなくなり想定外の動作にならな

いように,保護する設計としなければならない。 

5.1.14.2 半導体回路を使用する車両の全ての動力回路及び制御回路(例えば,駆動ライン,ポンプドライ

ブユニット及びステアリング)は,システム故障解析機能を備えなければならない。全てのコンポーネン

トの故障は,火災,制御できない動き又は感電の原因となってはならない。安全関連部は,JIS B 9705-1

に従わなければならない。特に指定のない場合,動力回路及び制御回路は,故障解析を遂行するため,JIS 

B 9705-1の適切なカテゴリに合致させるものとする。最低レベルは,カテゴリ1とする。 

5.1.15 

制御−走行 

5.1.15.1 走行制御装置は,速度及び進行方向の制御手段を作動したときだけ,水平路面上の車両が,静止

10 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の状態から動き出すようにしなければならない。さらに,オペレータが運転操作位置にいるとき,速度及

び/又は進行方向制御手段を再セットすることによって,初めて走行回路が作動できるような手段を備え

なければならない。 

5.1.15.2 電子動力スイッチ回路の故障による全ての制御不能時の全出力走行状態は,0.2秒間以内に終わ

らなければならない。 

5.1.15.3 オペレータが車両から離れるとき,速度制御装置(アクセル)から独立した別の装置,例えば,

シートスイッチ,ウォーキーフォークリフトトラックのティラースイッチなどによって,走行制御回路の

働きを自動的に停止しなければならない。運転位置から離れた場所に別の走行制御手段を備えている場合,

この走行制御手段を選択したときは,この走行制御手段を優先する。 

5.1.15.4 ウォーキーフォークリフトトラックのティラーは,操作位置のティラーのヘッドが物体(例えば,

オペレータの身体)に接触したとき,ティラーのヘッドへの圧力が解除されるまで,オペレータから離れ

る走行方向に力を与える装置,又はブレーキをかけて車両を停止させる装置を組み込んでいなければなら

ない。 

この装置の動作は,通常動作における誤用を最小限に抑えるものとする(例えば,通常のオペレータ運

転操作位置方向に車両が動き,ティラーのヘッドが操作位置にある場合にだけ装置が作動するものとす

る。)。車両の中心にあるプラットフォームから車両を操作するのにティラーを使用する場合は,装置は非

作動とする。 

5.1.16 

制御−荷役 

制御回路が故障した場合,荷役のシステムへの電気制御を自動的に又は人為的に作動しないようにしな

ければならない。 

5.1.17 

制御−ステアリング 

電気式又は電子式ステアリング制御装置は,走行中,オペレータの操作によらないステアリング装置の

作動を無効にしなければならない。この場合,あらゆる単独の電気的又は電子的故障を検知し,0.2秒間以

内にステアリング装置の電源を切断しなければならない。ステアリング装置が,電気の動力源だけに依存

している場合には,車両もまた自動的に,制御された状態で停止しなければならない。安全関連部は,JIS 

B 9705-1のカテゴリ3に従わなければならない。 

車両製造業者の点検整備書に従った点検整備間隔で,ステアリング装置の安全回路の作動を検査するこ

とが可能でなければならない。 

5.1.18 

コンタクタ 

コンタクタは,6.2.6に規定する試験の要求事項を満足しなければならない。 

5.1.19 

車両試験 

5.1.19.1 車両は,6.1に規定する絶縁抵抗試験の要求事項を満足しなければならない。 

5.1.19.2 車両は,6.2.1〜6.2.4の試験の要求事項を満足しなければならない。 

5.2 

エンジン式車両の場合 

5.2.1 

バッテリ 

5.2.1.1 

車両フレームに接続されていないバッテリの充電部は,絶縁しなければならない。 

5.2.1.2 

バッテリは,動かないようにとどめておかなければならない。 

5.2.2 

回路保護 

5.2.2.1 

動力回路,制御回路及び補助回路は,最小サイズの配線の過熱を防止する能力の過電流保護装置

を備えなければならない。 

11 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2.2.2 

過電流保護装置は,火災を引き起こす危険がなく,最大故障電流を遮断できなければならない。 

5.2.2.3 

制御及び動力回路の過電流保護装置は,実施可能な範囲で,できるだけ電源又はバッテリに近づ

けて設置しなければならない。非再設定形の過電流保護装置は,その装置の交換品の等級を明示しなけれ

ばならない。過電流保護装置の必要な表示は,車両に施さなければならない。 

5.2.3 

制御装置 

5.2.3.1 

制御装置は,バッテリ電圧の全ての状態において,安全であるように設計しなければならない。

電圧が公称電圧の85 %に落ちるまで,全ての機能が働くようになっていなければならない。このレベルよ

り低い電圧によって危害発生のおそれがある場合,制御装置は車両の関連機能を停止させるようになって

いなければならない。エンジン始動時に機能する制御装置は,特に注意が必要となる。 

5.2.3.2 

電気回路は,フレームへの漏電が,オペレータが制御できない車両の操作不能な状態の原因とな

らないよう設計し,保護しなければならない。 

5.2.3.3 

制御回路が故障をした場合,荷役のシステムへの電気制御を自動的に又は人為的に作動しないよ

うにしなければならない。 

荷役動作を他の手段,例えば,人が直接操作する油圧バルブによって制御する場合,この要求事項は必

要ない。 

5.2.3.4 

電気式又は電子式ステアリング制御装置は,走行中,オペレータの操作によらないステアリング

装置の作動を無効にするようになっていなければならない。この場合,あらゆる単独の電気的又は電子的

故障を検知し,0.2秒間以内にステアリング装置の電源を切断するようになっていなければならない。ステ

アリング装置が,電気の動力源だけに依存している場合には,車両もまた自動的に,制御された状態で停

止するようになっていなければならない。車両製造業者の点検整備書に従った点検整備間隔で,この装置

の安全回路の作動を検査することが可能でなければならない。安全関連部は,JIS B 9705-1のカテゴリ3

に従わなければならない。 

5.2.4 

配線の構造 

5.2.4.1 

配線及びケーブルは,絶縁を維持できない場所,又は潤滑油若しくは燃料が付着する場所に配置

してはならない。 

5.2.4.2 

全ての配線は,車両が通常の使用状態にあるとき有効に絶縁され,必要な箇所で機械的損傷に対

し保護するか,又は損傷を避けるように配置し,保護しなければならない。車両が通常に機能している間,

曲げを受ける配線は配線端部において機械的応力を受けてはならない。オペレータ室内の絶縁配線の保護

は,配線がオペレータによる損傷を受けなければ必要はない。 

5.2.4.3 

車両製造業者が承認した,この規格の要求事項を満たす現場装着用電気附属品の装着は,有資格

者によって,工場装着の配線を大きく乱すことなく,切断又は端子のはんだ付けなし(サブハーネスで接

続など)で装着できなければならない。 

5.2.4.4 

電気部品エンクロージャの外の配線(電気又は電子部品と一体の短い導線は除く。)は,十分な

柔軟性があり,用途にあった適切な機械的強度がなくてはならない。 

5.2.4.5 

多心ケーブルの耐電圧は,その多心ケーブル内を通る回路にかかる最高電圧以上としなければな

らない。 

5.2.4.6 

配線の導体断面積は,配線の温度が使用されている絶縁材の定格温度を超えない大きさとしなけ

ればならない。 

5.2.4.7 

電源端子は,接続されている配線に対し必要な容量,機械的支持を与える大きさ及び形状としな

ければならない。電源端子に対しては,異常発熱又はアーク発生の原因となる接続部の緩みを除去するた

12 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

め,緩み防止の手段を講じなければならない。 

5.2.4.8 

動力回路のアーク発生部品は,炎又は熱で溶解した金属が火災の要因とならない場所に設置する

か,又は保護カバーで覆わなければならない。 

5.2.5 

感電に対する保護[直接接触及び間接接触(隙間)] 

5.2.5.1 

車両の稼働状態での絶縁されていない充電部は,直接接触を防ぐため,JIS C 0920で規定する保

護等級IPXXBに準じて保護しなければならない。電気部品エンクロージャの最上面は,保護等級IPXXD

でなければならない。 

5.2.5.2 

間接接触に対する保護は,JIS B 9960-1の6.3.2.3(電気的分離による保護)に従って,電気的に

分離する手段によって行わなければならない。 

5.2.5.3 

露出した高電圧イグニションターミナルは,使用電圧に適した障壁又は絶縁キャップによって,

直接接触に対し保護しなければならない。 

バッテリ車の検証 

6.1 

絶縁抵抗試験(全数試験) 

6.1.1 

車両の絶縁抵抗及び走行用バッテリの絶縁抵抗は,個別に検査する。試験電圧は公称電圧の最低3

倍とするが,100 V(公称電圧が120 Vを超える車両では,最大500 V)を超えてはならない。 

6.1.2 

全ての電気コンポーネントの充電部と車両のフレームとの間の絶縁抵抗は,バッテリを除いて,車

両装置の公称電圧を漏えい(洩)電流1 mAで除した値以上とする。 

6.1.3 

電気的な接続を外し,満充電した車載の走行用バッテリの絶縁抵抗は,充電部と車両フレームとの

間において,車両装置の公称電圧を漏えい電流20 mA(公称電圧が120 Vを超える車両では,2 mA)で除

した値以上とする。バッテリを二つ以上の容器に収納している場合,この試験は,電気的に接続された部

分(金属製バッテリ容器を含む。)についても実施する。 

6.2 

型式試験 

6.2.1 

過負荷試験 

6.2.1.1 

車両が酷使に耐える能力があるかどうかの検査として,車両は6.2.1.2の試験を受けなければなら

ない。この試験の結果,火災,感電又は爆発による危害を引き起こすような損傷が,車両のどの部分にも

発生してはならない。走行用モータ又はポンプ用モータへの電力供給の中断の原因となるサーモスタット

又は過電流保護装置は,6.2.1.2の試験の最初の5サイクル中に作動してはならない。試験の残りの期間中

にそのような作動が発生した場合,サーモスタットを閉じ,過電流保護装置は交換するか又は閉じる。そ

の後,試験の運転操作の全てが完了するまで継続する。 

6.2.1.2 

車両には,定格荷重の110 %の負荷をかけなければならない。車両は総計25 m(往復)の走行距

離で,25サイクルの最大加速及び最大制動を加えて運転する。車両が,各25 mの走行距離の終点で停止

したとき,荷をその荷の最大揚高まで上昇後,走行時高さまで下降させ,ティルト,リーチ及びサイドシ

フトその他の一連の荷役作業を実施する。この試験サイクルパターンの例は,JA.1を参照。 

6.2.2 

温度試験 

定格荷重の条件下で,コンポーネントにバッテリの8時間放電率容量を取り出せる最大電流を流した場

合,稼働中に上昇する温度によって,火災の要因となる電気コンポーネント又は絶縁のいかなる故障も起

きてはならない。車両の通常運転を可能にするために,必要ならば更に大きな放電率を用いてもよい。全

てのコンポーネントの外部の表面温度は,最高限度を175 ℃として,コンポーネントの最高定格温度を超

えてはならない。この試験が25 ℃以下の周囲温度にて行われる場合は,最高温度はその温度差分下げる。

background image

13 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この試験サイクルパターンの例は,JA.2を参照。 

6.2.3 

アーク損傷試験 

6.2.3.1 

コンタクタ及びスピードコントローラのような,動力回路(モータ回路など)に接続したスイッ

チ及び電流遮断装置は,接点材のいかなる溶着又は異常消耗をしてはならない。これらの装置は負荷回路

を形成するものとし,制御する駆動部のストール電流(モータ回転子を固定した状態の電流)の100サイ

クルの開閉を受けたときに,フレーム又は電気部品エンクロージャに対し,アークの発生又は配線の絶縁

の焼損若しくは溶解のような火災の要因,その他の兆候があってはならない。また,これらの装置は機械

的及び電気的な機能を維持しなければならない。 

6.2.3.2 

動力回路とは別の場所に接続したスイッチは,接点材のいかなる溶着又は異常消耗をしてはなら

ない。このスイッチは負荷回路を形成するものとし,そのスイッチが接続された回路の電流の100サイク

ルの開閉を受けたときに,フレーム又は電気部品エンクロージャに対し,アークの発生又は配線の絶縁の

焼損若しくは溶解のような火災の要因,その他の兆候があってはならない。また,このスイッチは機械的

及び電気的な機能を維持しなければならない。 

6.2.4 

耐電圧試験 

6.2.4.1 

車両は,新しい乾燥した車両について行われる温度試験及びアーク損傷試験の直後に,型式試験

に適合するように設計しなければならない。耐電圧試験はバッテリを切り離し,50〜60 Hzの定格周波数

で,ほぼ正弦波形の試験電圧を用いて行わなければならない。残存する導電性のダスト(例えば,モータ

ブラシのダスト)は,必要なら温度試験後取り除いてもよい。 

6.2.4.2 

試験は,充電部と車両のフレームとの間に電圧を加えて行わなければならない。電圧は最小定格

が500 VA(ボルト−アンペア)の変圧器から供給する。 

6.2.4.3 

機器は,表2に示す交番試験電圧に1分間耐え,漏れ電流の要件に適合しなければならない。 

表2−試験電圧及び最大漏れ電流 

公称電圧(U) 

交番試験電圧 

最大漏れ電流 

U≦ 60 V DC 

  500 V rms 

150 mA 

60 V DC<U≦120 V DC 

1 000 V rms 

150 mA 

U>120 V DC 

1 500 V rms 

 50 mA 

注文者の要求によって,2回目の試験が必要な場合,交番試験電圧は,表2の試験電圧の80 %に減らさ

なければならない。 

試験電圧を加えたとき損傷しやすい半導体又は同様の電子部品は,バイパスしても,切り離してもよい。

5.1.5.2のa) 及びb) の部品は,試験中,切り離していなければならない。 

6.2.5 

バッテリコネクタ試験 

6.2.5.1 

バッテリコネクタを緊急遮断に使用するときの過負荷状態での遮断試験 

二つの連結した半割りバッテリコネクタの各アッセンブリは,インダクタンスが0.5005

.0

+

mHの回路を通

して直流電圧120 Vの電源に接続する。 

バッテリコネクタは,公称電流の1.5倍の電流を流せなければならない。 

電流を流した後,二つの半割りバッテリコネクタを遮断接点で0.8〜1.0 m/sの速度で切り離すことによ

って,電流を遮断する。この試験は,連続5回実施する。 

これらの試験の後,バッテリコネクタに損傷がないかを確認する。それから再び結合し,6.2.5.4の試験

background image

14 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を受けなければならない。 

結合できない半割りバッテリコネクタ又は6.2.5.4の試験に不合格となった半割りバッテリコネクタは,

不良品とする。 

6.2.5.2 

バッテリコネクタを緊急遮断に使用するときの緊急事態での遮断試験 

二つの連結した半割りバッテリコネクタの各アッセンブリを,回路の時定数が15 msのインピーダンス

をもつ誘導性回路を通して直流電源に接続する。遮断する電流は,120 Vの直流電源に接続したとき,公

称電流の4倍とする。バッテリコネクタは,この緊急遮断の結果として引き起こされるアークを遮断でき

なければならない。二つの半割りバッテリコネクタが試験後,使用できる状態にあることは必須ではない。 

6.2.5.3 

耐電圧試験 

ケーブルのない各バッテリコネクタは,次に示す接点及び/又は金属部品との間に,25〜100 Hzの正弦

波交流で2 000 Vの電圧を印加して,1分間耐えなければならない。 

− 主接点同士の間 

− 補助接点があれば,その補助接点と主接点との間 

− 全ての接点とバッテリコネクタの金属部品(ハウジングが絶縁材の場合,ハウジングに取り付けられ

た金属部品)との間 

6.2.5.4 

温度上昇試験 

バッテリコネクタには,定格電流に応じて,長さが2 mで,表2Aに示す,いずれかのケーブルサイズ

をもつケーブルか,又はバッテリコネクタ製造業者の推奨する,定格電流に対し最大サイズのケーブルを

接続する。 

表2A−バッテリコネクタ試験ケーブル 

定格電流 

ケーブルサイズ 

AWG a) 

MCM b) 

導体断面積 

 50 A 

− 

− 

 80 A 

− 

− 

 16 mm2 

120 A 

− 

− 

160 A 

− 

− 

 35 mm2 

175 A 

− 

− 

320 A 

− 

− 

 95 mm2 

350 A 

− 

300 

− 

640 A 

− 

− 

200 mm2 

700 A 

− 

500 

− 

注a) American Wire Gauge 

b) Thousands of Circular Mils 

ケーブルは,バッテリコネクタ製造業者が推奨するとおりに接続する。試験は周囲温度が(20±5)℃で,

公称電流で行わなければならない。試験は温度が安定するまで継続する。熱電対又は同等の精度をもつ他

の方法によって測定した主接点の上昇温度が,65 ℃を超えてはならない。 

6.2.6 

コンタクタ試験 

6.2.6.1 

試験操作での開閉容量の検証 

試験操作での開閉容量の検証において,供給電力は,表3に示す特性の検証ができるのに十分な電力と

する。定格作動電圧の85 %以上の電圧をもつ,試験電流を維持するのに十分な容量のバッテリ電源が必要

background image

15 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

である。試験中の開閉容量を,表3の試験操作欄に示す。作動コイルに定格電圧を加え,連続操作とし,

その時間間隔は10秒間で,そのうち0.3秒間以上接点が閉じるように操作する。 

表3−開閉条件 

等級 

通常操作 

試験操作 

L/R 

ms 

L/R 

ms 

カテゴリ1 
パルス制御における,故障状
態で開閉にコンタクタが必要
なだけの場合 

− 

6.0×Ith 

15 

相対許容誤差は, 

±15 % 

カテゴリ2 
スイッチを直接操作する場合 

Ie 

7.5 

相対許容誤差は, 

±15 % 

4.5×Ie 

15 

相対許容誤差は, 

±15 % 

注記 表中の記号は次の意味をもつ。 

I: 開閉される電流(A) 

L/R: 回路の時定数(ms) 

Ie: 定格使用電流(A) 

Ith: 定格通電電流(A) 

試験は,50回操作後に終了する。試験中,アークの常時発生,両極間の突然の放電及び接点の溶着があ

ってはならない。 

試験終了後,及び接点の清掃又は点検整備(接点の交換は不可)後,コンタクタは満足に使用できる状

態で,6.2.6.3の要求事項を満たしていなければならない。 

6.2.6.2 

表3のカテゴリ2の断続定格コンタクタの定格断続能力の検証 

定格断続能力の検証において,電源の能力は6.2.6.1のとおりとする。作動コイルに定格電圧を印加し,

表4で規定するクラス4の開−閉サイクル時間及び通電率で試験しなければならない。 

主回路の負荷は,表3の“通常操作”欄に従っていなければならない。 

コンタクタは,750 000回の最小試験サイクルが終了した後,6.2.6.3及び6.2.6.4の使用限度内にとどま

っていなければならない。 

表4−コンタクタのクラス 

クラス 

通電率 

(負荷率) 

次の時間ごとに1回の 

開−閉サイクル 

100 % 

 8 h 

 70 % 

60 s 

 50 % 

60 s 

 25 % 

12 s 

6.2.6.3 

使用限界の検証 

コンタクタが,6.2.6.4で規定する電圧限度内で,正常に開閉することを確認する。 

クラス1のコンタクタは,公称電圧の85〜110 %の全ての電圧で,問題なく閉じなければならない。 

クラス2,3及び4のコンタクタは,公称電圧の70〜110 %の全ての電圧で,問題なく閉じなければなら

ない。 

16 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.6.4 

復帰電圧 

復帰電圧は,接点摩耗状態で定格コイル電圧の5〜40 %とする。これら以外の範囲は,受渡当事者間の

協定によらなければならない。 

使用上の情報 

7.1 

バッテリ車の最小限の表示 

7.1.1 

配線,ケーブル及びターミナル 

配線,ケーブル,ターミナルなどは,点検整備書に記載された電気回路図の符号(coding)によって識

別できるようにしなければならない。 

7.1.2 

バッテリコネクタ 

バッテリコネクタには,次の事項を読みやすく,かつ,容易に消えない方法で表示する。 

a) 製造業者の名称又は商標及び型式番号 

b) 最大使用電圧 

c) アンペア単位の公称電流 

d) バッテリの陽極及び陰極に接続される接点に対応する“+”及び“−”の記号。補助接点も明示する。 

7.1.3 

バッテリ 

バッテリには,次の事項を容易に消えない方法で表示する。 

a) 製造業者名又はサプライヤの名称 

b) 製造業者カタログの名称 

c) バッテリの種類の指定(例 E,EO) 

d) バッテリの公称電圧(一つのバッテリユニット内) 

e) 時間定格のバッテリ容量(Ah) 

f) 

バラストが使用されている場合は,バラストを含めた使用できる状態の質量 

7.1.4 

装置,点検整備,充電及び取扱い 

装置,点検整備,充電及び取扱いに関する要求事項を示す情報は,バッテリ及び/又は車両の取扱説明

書に記載しなければならない。 

7.1.5 

バッテリ室及び電気部品エンクロージャ 

公称電圧が120 Vを超える車両のバッテリ室及び電気部品エンクロージャは,JIS B 9960-1の16.2(警

告標識)に適合する,耐久性のある警告標識を付けなければならない。 

7.1.6 

電気回路図 

JIS B 9960-1の箇条17(技術文書)に適合する電気回路図は,点検整備書に記載しなければならない。

補助照明又はその他の目的で,接続端子が車両上に設けられる場合には,それらは電気回路図上で見分け

られるよう記載する。 

7.1.7 

安全性の検査 

安全装置の検査方法及び検査間隔は,点検整備書又は取扱説明書に記載しなければならない。 

7.2 

充電場所 

7.2.1 

車両内での充電 

バッテリを車両内で充電するとき,そのバッテリは換気のため,車両製造業者が指定するとおりに,カ

バーは開けておき,空気の流れが確保されていなければならない(EN 50272-3参照)。これは使用中,常

時充電するよう設計された車両には適用しない。 

17 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.2 

指定された場所での充電 

充電場所は,水素がこもるのを防ぐため十分換気する1)。 

注1) バッテリ充電中は,水性バッテリ電解液を使用する全ての二次セル及びバッテリからガスが放

出される。それが周囲の大気に放出されるとき,水素濃度が大気中の体積で4 %(LEL)を超え

ると,爆発性の混合気が作られることがある。 

7.3 

エンジン式車両の最小限の表示 

7.3.1 

配線,ケーブル及びターミナル 

配線,ケーブル,ターミナルなどは,点検整備書に記載された電気回路図の符号(coding)によって識

別できるようにしなければならない。 

7.3.2 

電気回路図 

JIS B 9960-1の箇条17に適合する電気回路図は,点検整備書に記載しなければならない。補助照明又は

その他の目的で,接続端子が車両上に設けられる場合には,それらは電気回路図上で見分けられるよう記

載する。 

7.3.3 

安全性の検査 

安全装置の検査方法及び検査間隔は,点検整備書又は取扱説明書に記載しなければならない。 

background image

18 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

型式試験の試験サイクルパターン 

JA.1 

過負荷試験の試験サイクルパターン 

過負荷試験の1回の試験サイクルは,図JA.1の走行路パターンにおいて,カウンタバランスフォークリ

フトトラックの場合はa) の1)〜4) を,リーチフォークリフトトラックの場合にはb) の1)〜4) とし,そ

れぞれ25サイクル連続して実施する。 

a) カウンタバランスフォークリフトトラックのサイクルパターンは,次による(図JA.1参照)。 

1) フォークリフトトラックに定格荷重の110 %の荷を積み,荷を除く荷役装置の状態を走行時基準負

荷状態にして,フルアクセルでA点からB点に向け前進して,フルブレーキによってB点付近で

停止する。 

2) B点に移動後,フルアクセルでB点からA点に向け後進して,フルブレーキによってA点付近で停

止する。 

3) A点で,荷をその荷の最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,水平位置

まで前傾後,最後傾まで後傾させる。 

4) サイドシフトなどのその他の荷役装置を搭載している場合は,それぞれ一連の荷役動作を行い,荷

を除く荷役装置の状態を走行時基準負荷状態にする。 

b) リーチフォークリフトトラックのサイクルパターンは,次による(図JA.1参照)。 

1) フォークリフトトラックに定格荷重の110 %の荷を積み,荷を除く荷役装置の状態を走行時基準負

荷状態にして,フルアクセルでA点からB点に向け前進して,フルブレーキによってB点付近で

停止する。 

2) B点に移動後,フルアクセルでB点からA点に向け後進して,フルブレーキによってA点付近で停

止する。 

3) A点で,荷をその荷の最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,水平位置

まで前傾後,最後傾まで後傾させ,リーチ押出し後,リーチ引込みする。 

4) サイドシフトなどのその他の荷役装置を搭載している場合は,それぞれ一連の荷役動作を行い,荷

を除く荷役装置の状態を走行時基準負荷状態にする。 

走行方向は,図JA.1に示すA点及びB点で180°旋回し,前進又は後進だけとしてもよい。 

注記 a) とb) との違いは,b) の3) において,リーチ押出し及びリーチ引込みの動作が加わる箇所

である。 

図JA.1−過負荷試験の走行路パターン 

19 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JA.2 

温度試験の試験サイクルパターン 

温度試験の1回の試験サイクルは,図JA.2の走行路パターンにおいて,カウンタバランスフォークリフ

トトラックの場合はa) の1)〜11) を,リーチフォークリフトトラックの場合にはb) の1)〜11) とし,そ

れぞれ連続して実施する。 

a) カウンタバランスフォークリフトトラックのサイクルパターンは,次による(図JA.2参照)。 

1) フォークリフトトラックを走行時基準負荷状態にして,A点からB点に向け後進して,90°旋回す

る。 

2) B点からD点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってC点で停止する。 

3) C点で荷を最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,水平位置まで前傾後,

最後傾まで後傾させる(走行時基準負荷状態)。 

4) C点からD点に向け後進して,90°旋回する。 

5) D点からB点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってA点で停止する。 

6) A点で荷を最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,水平位置まで前傾後,

最後傾まで後傾させた後,荷を降ろす。 

7) A点で,荷の長さだけ後退し,走行時基準無負荷状態とした後,B点に向け後進して,90°旋回す

る。 

8) B点からD点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってC点で停止する。 

9) C点でフォークを最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,最前傾位置ま

で前傾後,最後傾まで後傾させる(走行時基準無負荷状態)。 

10) C点からD点に向け後進して,90°旋回する。 

11) D点からB点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってA点から荷の長さ分手前

で停止し,その後,前進して荷を積み,走行時基準負荷状態とする。 

b) リーチフォークリフトトラックのサイクルパターンは,次による(図JA.2参照)。 

1) フォークリフトトラックを走行時基準負荷状態にして,A点からB点に向け後進して,90°旋回す

る。 

2) B点からD点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってC点で停止する。 

3) C点でリーチを押し出し,荷を最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,

水平位置まで前傾後,最後傾まで後傾させた後,リーチを引き込む(走行時基準負荷状態)。 

4) C点からD点に向け後進して,90°旋回する。 

5) D点からB点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってA点で停止する。 

6) A点でリーチを押し出し,荷を最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,

水平位置まで前傾後,最後傾まで後傾させた後,荷を降ろし,リーチを引き込む。 

7) A点で,走行時基準無負荷状態とした後,B点に向け後進して,90°旋回する。 

8) B点からD点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってC点で停止し,リーチを

押し出す。 

9) C点でフォークを最大揚高まで(後傾状態のまま)上昇後,走行高さまで下降させ,最前傾位置ま

で前傾後,最後傾まで後傾させ,リーチを引き込む(走行時基準無負荷状態)。 

10) C点からD点に向け後進して,90°旋回する。 

11) D点からB点に向け前進し,終端部で90°旋回して,ブレーキによってA点で停止してリーチを

押し出し,荷を積み,リーチを引き込んで走行時基準負荷状態とする。 

background image

20 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 a) とb) との違いは,C点及びA点で,“リーチを押し出す”及び“リーチを引き込む”動作

が加わる箇所である。 

図JA.2−温度試験の走行路パターン 

 
 

参考文献 JIS C 8201-3 低圧開閉装置及び制御装置−第3部:開閉器,断路器,断路用開閉器及びヒュー

ズ組みユニット 

EN 50272-3,Safety requirements for secondary batteries and battery installations−Part 3: Traction 

batteries 

background image

21 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS D 6028:2019 産業車両−電気に関する要求事項 

ISO 20898:2008,Industrial trucks−Electrical requirements 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

2 引用規格  

3 用語及び
定義 

JISとほぼ同じ。 

3.1 アーク発生部品 

3.1 

変更 

アークが発生するのは電気接点部
分であり,JISは電気部品に変更。 

実質的な技術的差異はない。 

4 危険源

(ハザード)

リスト 

表1をJIS B 9700か
ら引用し規定。 

JISとほぼ同じ。 

変更 

ISO 20898はISO 14121-1が引用規
格となっているが,現在は,ISO 
14121-1はISO 12100に統合され,
JIS B 9700としてJIS化されたた
め,JISはこれを引用規格とし,変
更。 

実質的な技術的差異はないが, 
ISO 12100の見直しに伴うJIS B 
9700の改正に合わせて,内容を見
直しする。 

5 要求事項 5.1.2.1 a) 

5.1.2.1 a) 

JISとほぼ同じ。 

変更 

ISO 20898はIEC 60227-1及びIEC 
60245-1を参照としているが,JIS
はケーブルの規定を明確にするた
めJIS C 3662-1及びJIS C 3663-1
を引用し変更。 

実質的な技術的差異はない。 

6 バッテリ
車の検証 

6.1.2 

6.1.2 

変更 

ISO 20898規定の“1 000 Ωと車両
装置の公称電圧との積”は,抵抗値
とはならないので,JISでは,“車
両装置の公称電圧を漏えい(洩)電
流1 mAで除した値”と変更。 

実質的な技術的差異はないが,
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

 
 
 

2

D

 6

0

2

8

2

0

1

9

background image

22 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6 バッテリ
車の検証 
(続き) 

6.1.3 

6.1.3 

変更 

ISO 20898規定の“50 Ω(公称電圧
が120 Vを超える車両では500 Ω)
と車両装置の公称電圧との積”は,
抵抗値とはならないので,JISでは,
“車両装置の公称電圧を漏えい電
流20 mA(公称電圧が120 Vを超え
る車両では,2 mA)で除した値”
と変更。 

実質的な技術的差異はないが,
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

6.2.1.2 

6.2.1.2 

追加 

JISは試験サイクルパターンを明確
にするため,それを示したJA.1を
追加。 

実質的な技術的差異はないが,
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

6.2.2 温度試験 

6.2.2 

追加 

ISO 20898は試験の電流として,
“定格荷重の条件下で,コンポーネ
ントにバッテリの8時間放電率容
量を取り出せる最大電流を流した
場合”と規定しているが,JISは,
JA.2に示す試験サイクルパターン
での試験が可能な文章を追加。 

実質的な技術的差異はないが,
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

JISは試験サイクルパターンを明確
にするため,それを示したJA.2を
追加。 
JISは,JA.2に示す試験サイクルパ
ターンでの試験を可能とするため
“車両の通常運転を可能にするた
めに,必要ならば更に大きな放電率
を用いてもよい”を追加。 

実質的な技術的差異はないが,
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

6.2.4.3 

6.2.4.3 

変更 

JISは“2回目の試験が必要な場合”
として,“注文者の要求によって,”
と,明確にした。 

実質的な技術的差異はない。 

 
 

2

D

 6

0

2

8

2

0

1

9

 
 

background image

23 

D 6028:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6 バッテリ
車の検証 
(続き) 

6.2.5.4 温度上昇試験 

6.2.5.4 

変更 

JISはバッテリコネクタの温度上昇
試験の,バッテリコネクタの定格電
流に応じて接続するケーブル導体
断面積を表2Aで記載し,明確に示
した。 

実質的な技術的差異はない。 

変更 

ISO 20898規定の導体断面積120 
mm2は,定格電流容量と記載部前後
の規定の内容から,適正でないので
JISは200 mm2に修正変更。 

ISO 20898規定の導体断面積は,
定格電流容量と記載部前後の規定
の内容から,適正でない。 
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

附属書JA 
(参考) 

− 

追加 

型式試験の試験サイクルパターン
を明確にし,試験時の参考とするた
め追加。 

型式試験の試験サイクルパターン
を明確にした。 
ISO 20898の見直しに合わせて,
提案する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 20898:2008,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

D

 6

0

2

8

2

0

1

9