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D 6001 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS D 6001 : 1988 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,国際規格との整合化を図ることに重点を置き改正した。また,JIS Z 8301(規格票の

様式)が 1996 年 7 月に改正されたのに伴い,それに従って規格票の様式も変更した。


日本工業規格

JIS

 D

6001

: 1999

フオークリフトトラック−

安全基準

Fork lift trucks

−Safety code

序文  この規格は,1980 年に第 1 版として発行された ISO 3691, Powered industrial trucks−Safety code を元

に,対応する部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規

格には規定されていない規定項目(7.製品の呼び方及び 14.試験)及び規定内容を日本工業規格として追加

している。

なお,側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない規定内容である。

1.

適用範囲  この規格は,動力によって走行する定格荷重 50000kg 以下のフォークリフトトラック(以

下,フォークリフトという。

)の製造,配備,使用,整備などにおいて考慮すべき,安全に関する項目につ

いて規定する。

備考1.  この規格で用いる荷重及び重量は,質量を意味する。

2.

この規格の対応国際規格を次に示す。

ISO 3691 : 1980 Powered industrial trucks

−Safety code

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS D 6011

  フォークリフトトラック−安定度及び安定度試験

備考  ISO 1074 : 1991, Counterbalanced fork-lift trucks−Stability tests, ISO 3184 : 1998, Reach and

strad-dle fork-lift trucks

−Stability tests, ISO 5766 : 1990, Pallet stackers and high-lift platform

trucks

−Stability tests, ISO 10658 : 1996, Industrial trucks operating in special conditions of

stacking with load laterally displaced by powered devices

−Additional stability test からの引用

事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS D 6021

  フォークリフトトラック−ヘッドガード

備考  ISO 6055 : 1997, High-lift rider trucks−Overhead guards−Specification and testing からの引用事

項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS D 6022

  フォークリフトトラック−識別記号

備考  ISO/FDIS 3287 : 1999, Powered industrial truck−Symbols for operator controls and other displays

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS D 6023

  フォークリフトトラック−ブレーキ性能及び試験方法

備考  ISO 6292 : 1996, Powered industrial trucks and tractors−Brake performance and component


2

D 6001 : 1999

strength

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS D 6024

  フォークリフトトラック−フック式フォーク及びフィンガバーの取付寸法並びに構造

備考  ISO 2328 : 1993, Fork-lift trucks−Hook-on type fork arms and fork arm carriages−Mounting

dimen sions

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS D 6201

  フォークリフトトラック−用語

備考  ISO 5053 : 1987, Powered industrial trucks−Terminology からの引用事項は,この規格の該当事

項と同等である。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 6201 による。

4.

種類

4.1

機能形式による分類  機能形式による分類は,次のとおりとする。

a)

カウンタバランスフォークリフト

b)

リーチフォークリフト

c)

ストラドルフォークリフト

d)

サイドフォークリフト

e)

オーダピッキングトラック

f)

ウォーキーフォークリフト

4.2

動力源形式による分類

a)

内燃機関式  内燃機関式は,次による。

1)

ガソリン式   

記号

  FG

2)

ディーゼル式   

記号

  FD

3)

液化石油ガス式   

記号

  FL

b)

電気式  電気式は,次による。

1)

蓄電池式(バッテリ式)

記号  FB

5.

構造・機能

5.1

標準揚高  定格荷重を定める標準揚高は,3 000mm とする。ただし,定格荷重 1 000kg 未満のフォー

クリフトについては,2 500mm とする。

5.2

基準荷重中心  基準荷重中心は,表 とすることが望ましい。

表 1  基準荷重中心

定格荷重

kg

1 000

未満 1

000

以上

5 000

未満

 5

000

以上

 15

000

未満

15 000

以上

24 000

未満

24 000

以上

基準荷重中心

mm

400 500

(600)

600 900 1200

備考  括弧内の数値は,必要に応じて使用することができる。

5.3

マスト又はフォーク傾斜角  マスト又はフォーク傾斜角は,アタッチメントを取り付けない状態で,

表 とすることが望ましい。


3

D 6001 : 1999

表 2  マスト又はフォーク傾斜角

単位  度

種類

前傾角

後傾角

カウンタバランスフォークリフト

6 12

リーチフォークリフト

ストラドルフォークリフト

サイドフォークリフト

3

5

オーダピッキングトラック

マスト 
又は

フォーク
傾斜角

ウォーキーフォークリフト

3 10

備考  オーダピッキングトラックはティルト(前傾,後傾)しないため,−とし

た。

5.4

フック式フォーク及びフィンガバーの取付寸法並びに構造  フック式フォーク及びフィンガバーの

取付寸法並びに構造は,JIS D 6024 による。

5.5

二つ割りリム用ボルトの構造  二つ割りリムを空気入りニューマチックタイヤに使用する場合,リ

ムボルトは,ホイールを車軸から取り外す前に,容易に取り外すことができない構造とする。

5.6

ブレーキ性能  ブレーキ性能は,JIS D 6023 による。

6.

銘板  フォークリフトには,次の項目を表示した耐久性のある銘板を見やすい位置に取り付ける。

6.1

内燃機関式

a)

製品の種類

b)

最大揚高

c)

最大荷重

d)

車両重量

e)

製造業者名又はその略号

f)

製造番号

g)

荷重表又は荷重曲線(

1

)

(

1

)

許容重量を表示した荷重表又は荷重曲線は,分離した銘板に表示することもできる。

6.2

蓄電池式

a)

製品の種類

b)

最大揚高

c)

最大荷重

d)

蓄電池を除いた無負荷時の車両重量

e)

最小及び最大のバッテリ重量(

2

)

f)

製造業者名又はその略号

g)

製造番号

h)

荷重表又は荷重曲線(

3

)

i)

公称蓄電池電圧

(

2

)

そのフォークリフトに適用される専用形式の組電池又は小形電動車両用鉛蓄電池を使用する場

合は,最小及び最大のバッテリ重量は表示しなくてもよい。このとき車両重量は,蓄電池を含

む車両重量を表示する。

(

3

)

許容荷重を表示した荷重表又は荷重曲線は,分離した銘板に表示することもできる。


4

D 6001 : 1999

6.3

アタッチメント  6.1 又は 6.2 に規定されている項目に加え,次の項目を表示した銘板を取り付ける。

a)

アタッチメントの形式

b)

作業状態における無負荷時の車両重量(

4

)

(

4

)

車両又はアタッチメントが直接の製造業者以外の者によって輸入された場合には,輸入業者の

責任において,6.1の必要事項のほかに輸入業者名を表示した銘板を付け加える。

6.4

取外し可能なアタッチメント  取外し可能なアタッチメントは,次の項目を表示した別個の銘板を

取り付ける。

a)

アタッチメントの製造業者名(必要なら輸入業者名)

b)

形式

c)

製造番号

d)

アタッチメント重量及び取付面からその重心位置までの距離

e)

アタッチメントの定格荷重(

5

)

(

5

)

さやフォークは除く。

6.5

蓄電池式フォークリフトにおける蓄電池  駆動用蓄電池には,次の項目を表示する銘板を取り付け

る。

a)

蓄電池の製造業者名

b)

形式

c)

公称電圧

d)  5

時間率アンペアアワー容量

e)

ケースを含む蓄電池重量

6.6

特殊用途  フォークリフトが通常作業状態以外の作業に用いられる場合は,次の項目を表示した銘

板を見やすい位置に取り付けなければならない。

a)

使用用途

b)

特殊用途における許容荷重

7.

製品の呼び方  フォークリフトの呼び方は,種類及び定格荷重又はそれらの記号による。定格荷重を

示す記号は,

表 を参考にして表示する。ただし,製造業者における改造,新形などによる種類を表示す

る場合は,適当な記号を付加してもよい。


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D 6001 : 1999

表 3  製品の呼び方

記号

定格荷重

kg

5 500

10 1

000

14 1

350

15 1

500

18 1

750

20 2

000

35 3

500

50 5

000

100 10

000

150 15

000

400 40

000

500 50

000

8.

安定度  安定度及び安定度試験は,JIS D 6011 による。

9.

操縦装置

9.1

フォークリフトの前端及び後端

9.1.1

フォークリフトの前端  フォークリフトの前端は,図 1に示す矢印に最も近い部分をいう。

9.1.2

フォークリフトの後端,左側部及び右側部  フォークリフトの後端,左側部及び右側部は,9.1.1

に準じる。

9.2

フォークリフトの前進方向  フォークリフトの前進方向は,図 1に示す矢印方向が前進である。

なお,運転者が歩きながら操縦するフォークリフトでは,かじ取り装置の装着側が前進方向であり,

3

に示す矢印方向が進行方向である。

図 1  運転者が座って操作するフォークリフト


6

D 6001 : 1999

図 2  運転者が立って操作するフォークリフト

図 3  運転者が歩きながら操縦するフォークリフト

9.3

かじ取り装置  かじ取り装置は,次による。

a)

運転者が乗車して操作するフォークリフト

1)

すべてのかじ取り装置は,フォークリフトの外形線の範囲内に取り付ける。また,操縦しながら,

障害物,壁,柱などのわきを通過するときに運転者が負傷しないよう保護されているものとする。

2)

かじ取り操作を片手で行う必要のあるフォークリフトは,ノブを装着するものとする。ステアリン

グホイールなどにノブを使用する場合は,運転者の手及び腕へ与える影響を少なくするような配置,

形状及び機構とする。

3)

ステアリングホイールなどによってかじ取りされるすべてのフォークリフトは,ステアリングホイ

ールの右回転で前進方向,右に走行するものとする(

図 参照)。

図 4  操舵方向図

b)

運転者が歩きながら操縦するフォークリフト

1)

ステアリングタングの上のハンドルは,開閉扉,壁,柱などによって運転者の手を傷つけないよう

保護されているものとする。


7

D 6001 : 1999

2)

ステアリングを右回りに動かしたとき,フォークリフトは前進方向,右に走行するものとする。

9.4

走行制御装置  走行制御装置は,次による。

a)

運転者が座って操作する内燃機関式フォークリフト

1)

ペダル類(ブレーキペダル,アクセルペダル及びクラッチペダル)

1.1)

配置

1.1.1)

走行制御のペダル類は,

図 に示した配置とし,運転者が定位置において容易に操作できるもの

とする。

1.1.2)

ペダルの間隔又はその周囲との間隔は,操作に支障のない適切な配置とする。

1.1.3)

その他のペダル配置を有するフォークリフトは,その機能を明示する。

図 5  ペダル配置図

1.2)

操作機構

1.2.1)

常用ブレーキペダルは,右足で操作し,ペダルを踏み込むことによって作動するものとする。

1.2.2)

アクセルペダルは,右足で操作し,踏み込むことによって速度が増加するものとする。

1.2.3)

クラッチペダルは,左足で操作し,踏み込むことによってクラッチが開放されるものとする。

1.2.4)

インチングペダルを用いるものについては,左足で操作,前半の踏み込みでクラッチを開放し,

後半の踏み込みでブレーキが作動するものとする。

2)

チェンジレバー

2.1)

配置  チェンジレバーの配置は,a)1)1.1)に準じる。

2.2)

操作機構

2.2.1)

前後進チェンジレバーは,フォークリフトの進行方向とレバーの操作方向とが一致するようにす

る。

2.2.2)

前後進チェンジレバーを後進に操作したとき,自動的に警報する装置を備えることが望ましい。

2.3)

識別表示  チェンジレバー又はその付近に,前後進及び変速段ごとの操作位置を運転者が運転者

席において容易に識別できるように耐久性のあるもので表示する。

3)

駐車ブレーキ

3.1)

配置  駐車ブレーキの配置は,a)1)1.1)に準じる。

3.2)

操作機構  駐車ブレーキは,手動式の場合には運転者側に引くことによって作動するものとする。


8

D 6001 : 1999

また,足踏み式の場合には,ペダルを踏み込むことによって作動し,ブレーキを開放するときは,

踏み込み以外の方法で行うものとする。

4)

始動装置

4.1)

配置  始動装置の配置は,a)1)1.1)に準じる。

4.2)

操作機構

4.2.1)

運転者席において手で操作してエンジンを始動させるスイッチを備えるものとする。そのスイッ

チは,キータイプなど部外者による運転を防止できるものとする。

4.2.2)

運転者席において,手で操作してエンジンを停止させる装置を備えるものとする。

4.2.3)

トルクコンバータ付きのフォークリフトは,前後進又は変速チェンジレバーのいずれかが中立位

置にあるときだけエンジンが始動できる装置を備えることが望ましい。

b)

運転者が座って操作する蓄電池式フォークリフト

1)

ペダル類(ブレーキペダル及びアクセルペダル)

1.1)

配置

1.1.1)

走行制御のペダル類は,

図 に示した配置とし,運転者が定位置において容易に操作できるもの

とする。

1.1.2)

ペダルの間隔又はその周囲との間隔は,操作に支障のない適切な配置とする。

1.1.3)

その他のペダル配置を有するフォークリフトは,その機能を明示する。

図 6  走行制御のペダル類

1.2)

操作機構

1.2.1)

常用ブレーキペダルは原則として右足で操作し,ペダルを踏み込むことによって作動するものと

する。ただし,左足で操作するものとしてもよい。

1.2.2)

アクセルペダルは右足で操作し,踏み込むことによって速度が増加するものとする。アクセルペ

ダルが 2 個で,前進ペダル・後進ペダルを兼用する場合は,右足で操作し,左側が前進,右側が

後進するものとする。

2)

チェンジレバー  チェンジレバーの配置,操作機構及び識別表示は,a)2)に準じる。

3)

駐車ブレーキ  駐車ブレーキの配置及び操作機構は,a)3)に準じる。

4)

始動装置

4.1)

配置  始動装置の配置は,b)1)1.1)に準じる。

4.2)

操作機構  運転者席において操作して走行及び荷役の動作回路を接続及び遮断するスイッチを備

えるものとする。そのスイッチはキータイプなど部外者による運転を防止できるものとする。


9

D 6001 : 1999

c)

運転者が立って操作する蓄電池式フォークリフト

1)

ブレーキ装置  ペダルを踏み込むことによってブレーキを解除し,ペダルを開放することによって

ブレーキを作動させるデッドマンペダルとする(

図 参照)。

図 7  デッドマンペダル

2)

アクセル装置  レバー又はグリップによるアクセル装置は,前方へ傾け又は回転させることによっ

て速度が増加するものとする。アクセル装置と前後進装置が兼用される場合は,前方へ傾け又は回

転させることによって前進・加速し,後方へ傾け又は回転させることによって後進・加速するもの

とする。

3)

チェンジレバー

3.1)

操作機構

3.1.1)

前後進チェンジレバーは,フォークリフトの進行方向とレバーの操作方向とが一致するようにす

る。

3.1.2)

前後進チェンジレバーを後進に操作したとき,自動的に警報する装置を備えることが望ましい。

3.2)

識別表示  チェンジレバー又はその付近に,前後進及び変速段ごとの操作位置を運転者が運転者

席において容易に識別できるように耐久性のあるもので表示する。

4)

駐車ブレーキ  駐車ブレーキは,デッドマンブレーキを兼用してもよい。

5)

始動装置

5.1)

手で操作して走行及び荷役の動作回路を接続・遮断するスイッチを,運転者席から容易に操作でき

る位置に備えるものとする。そのスイッチは,キータイプなどの部外者による運転を防止できるも

のとする。

5.2)

運転者がフォークリフトを離れるときに,自動的に走行制御回路を遮断する装置を備えるものとす

る。

d)

オーダピッキングトラック

1)

ブレーキ装置  ブレーキ装置は,c)1)に準じる。

2)

アクセル装置  アクセル装置は,c)2)に準じる。

3)

チェンジレバー  チェンジレバーは,c)3)に準じる。

4)

駐車ブレーキ  駐車ブレーキは,c)4)に準じる。

5)

始動装置  始動装置は,c)5)に準じる。

6)

安全装置


10

D 6001 : 1999

6.1)

運転者保護装置

6.1.1)

高所でのピッキング作業者の安全確保のため,通常,腰の回りに巻き,構造物に結ぶことによっ

て落下を防ぐ安全ベルトを備えるものとする。

6.1.2)

荷役装置には安全性の増大を図るため,ワイヤロープ若しくはチェーン又は急降下防止のための

流量制限装置を備えるものとする。

6.1.3)

荷役装置の稼働部分から通常の運転操作位置にいる運転者を保護する運転台保護装置を備える

ものとする。

6.2)

操作位置

6.2.1)

運転者が高所プラットホームでフォークリフトの動力を切ることができる非常停止装置を備え

るものとする。

6.2.2)

走行操作装置は,前後進操作装置及び速度操作装置が操作される場合だけフォークリフトが動く

機構とする。

6.2.3)

操作場所が複数設けられている場合には,特定の高所プラットホーム上で操作するとき他の場所

の操作位置を操作できないようにする機構を備えるものとする。

e)

運転者が歩きながら操縦するフォークリフト

1)

前後進操作装置

1.1)

フォークリフトの前後進操作装置は,ステアリングタングのハンドルグリップをつかんだままで

容易に操作できるものとする。

1.2)

グリップ式操作装置は,グリップの回転方向が駆動車輪の回転方向と一致するものとする。

1.3)

レバー式操作装置は,操作方向と進行方向とが一致するものとする。

1.4)

押しボタン装置は,ステアリングタングをほぼ垂直状態において,操作ハンドルの上部に進行方

向と一致するような配置とする(

図 参照)。

1.5)

運転者がステアリングタングと壁などに挟まれないように,フォークリフトが逆進するようなス

イッチを設けることが望ましい。

1.6)

走行操作装置の識別表示は,機能及び運転方向を耐久性のあるもので表示する。

2)

ブレーキ装置

2.1)

ブレーキが機械的に作動する場合,

図 に示された B 及び B'位置でブレーキが作動しその位置で

走行制御回路は,遮断されるものとする。

2.2)

ブレーキが電気的に作動する場合,走行操作スイッチを開放したときにステアリングタングの位

置に関係なく,自動的に走行制御回路は遮断され,ブレーキが作動するものとする。

図 8  押しボタン装置の配置

図 9  ブレーキ作動位置

3)

駐車ブレーキ  駐車ブレーキは,2)のブレーキ装置を兼用してもよい。

4)

始動装置  始動装置は,c)5)に準じる。


11

D 6001 : 1999

9.5

荷役操作装置  荷役操作装置は,次による。

a)

レバー式

1)

レバーは,運転者の右手によって操作し,走行制御装置と明確に区別できるような配置とする。

2)

レバーは,操作時を含めてフォークリフトの外形線の範囲内に取り付ける。また,ステアリングホ

イール,ヘッドガードなど周辺装置との間隔は,操作に支障のない適切な配置とする。

3)

操作方向は,操作レバー又はその付近に耐久性のあるもので表示する。

4)

すべてのレバーは,手を放したとき自動的に中立位置に戻る機構とする。ただし,特殊な使用の場

合は除く。

b)

レバー操作

1)

マスト及びフォーク用のレバー操作方向

1.1)

レバー操作方向は,荷役操作時の運転者の向きに対して前方又は後方へ操作したとき,マスト及

びフォークが,

表 に示すように作動するものとする。

1.2)

その他のレバー操作方式を採用する場合は,機能及び操作方法を明示する。

表 4  マスト及びフォーク用レバー操作方向

レバー操作方向

マスト及びフォークの作動方向

前方

後方

マスト昇降 (A)

下降

上昇

マスト又はフォーク傾斜 (B)

前傾

後傾

2)

カウンタバランスフォークリフトのアタッチメントレバー操作方向  アタッチメントの操作及び

作動は,

表 に準じる。

表 5  カウンタバランスフォークリフトのアタッチメントレバー操作方向

レバー操作方向

アタッチメント名称

前方

後方

備考

ヒンジドフォーク及びバケ
ット

前傾

後傾

図 10

回転フォーク

左回転

右回転

図 11

サイドシフト

左移動

右移動

図 12

クランプ

開放

締付け

図 13

ロードスタビライザ

開放

締付け

図 14

ウインチ

下降

上昇

図 15


12

D 6001 : 1999

図 10  ヒンジドフォーク 

及びバケット

図 11  回転フォーク

図 12  サイドシフト

図 13  クランプ

図 14  ロードスタビライザ

図 15  ウインチ

c)

押しボタン式

1)

押しボタンは,かじ取り操作を行わない方の手で,操作できる位置に配置し,走行制御装置と明確

に区別できるように配置する。

2)

押しボタンの機能は,押しボタン又はその付近に耐久性のあるもので明確に表示する。

3)

配置及び操作は,a)に準じる。

d)

特殊な操作装置  特殊な操作装置は,a)及び b)に準じた配置及び操作にすることが望ましい。

10.

識別記号  識別記号は,次による。


13

D 6001 : 1999

a)

識別記号は JIS D 6022 による。

b)

操縦装置等及びその他の表示用の識別表示は,対象装置上又はその付近の容易に識別できる場所に耐

久性のあるもので表示する。

11.

動力装置附属機器

11.1

内燃機関式フォークリフト

11.1.1

排気及び冷却装置  排気及び冷却装置を通る空気の流れが,運転者及び周囲の人に不快感を与えな

いように配置する。

11.1.2

燃料タンク及び給油装置  燃料タンク及び給油装置は,エンジン,電機装置及び排気装置からでき

るだけ隔絶させる方法で配置する。燃料がこぼれたり漏れた場合,エンジン上,電機部品上,排気装置上

又は運転者室ではなく,地面に落下するような位置にタンク及び給油装置を設置し,また,運転中に燃料

の漏れがないよう配慮する。

燃料タンク及び給油装置は,

その損傷の可能性が最小になるように配置する。

11.1.3

燃料系統構成部品  すべての燃料系統構成部品は,フォークリフトに確実に取り付け,その留め具

は振動の影響が最小になるよう配置する。

11.1.4  LPG

を使用する内燃機関式フォークリフトへの追加要求事項 

a)

容器

1) LPG

容器は,固定式又は取外し式のいずれであってもよい。また,その容器は,使用目的に適した

ものとする。

2)

容器は大気腐食,さび及びフォークリフトで取り扱う物品の腐食作用から保護するものとする。

3)

容器は,フォークリフトに確実に固定され,その留め具は振動の影響を受けないものとする。

4)

容器には,過流防止弁を備えた液取り出しバルブを設ける。

5)

容器には,気相部分に接続された適切な安全弁を設ける。

なお,フォークリフトの内部に容器が収納されている場合は,安全弁の開放口は外気へ向けられ

るものとする。

6)

容器が囲われた空間に設置されている場合は,容器の取付け場所付近に適切な開口面積をもつ恒久

的な換気口を設ける。

7)

容器が取外し可能であるとき,その留め具は取り扱いやすく,また,容器の取替え後取付状態の確

認が容易であるものとする。

b)

配管

1)

連結パイプなどすべての関連部品は,損傷に対して保護されており運転中の振動及び変形に耐えら

れるものとする。配管は,損傷及び漏れが容易に見つけられるように配置され,また,エンジンの

高温部分によって損傷を受けないように取り付ける。

2)

ホース及びすべての接続器は,3.0MPa の圧力に耐えられるものとする。

3)

容器及びその接続配管は,フォークリフトの最外側より出ないように取り付ける。また,容器接続

器は,強固な保護枠で保護する。

4) LPG

が閉じ込められる可能性のある二つの仕切り弁間は,適切な圧力リリーフ弁を使用して過度の

圧力から保護する。

5)

液体配管にアルミニウム製管を使用してはならない。

c)

設備

1)

点火系統のスイッチの開閉にかかわらずエンジンが停止したときのガスの供給は,自動的に遮断す


14

D 6001 : 1999

るものとする。

2)

2

種以上の燃料を併用できる装置は,LPG が他の燃料容器に浸入できない構造とする。また,それ

ぞれの燃料供給元は,他のそれが開かれる前に閉じられる構造とする。

3)

安全弁は,点火源になり得る部分へガスを放出しないように装着する。

4)

腐食によって部品の正規機能が損なわれる可能性がある場合は,その部品には腐食防食処理を行う。

11.1.5

蓄電池式フォークリフト

a)

蓄電池

1)

蓄電池の活端子部は,上部に少なくとも 30mm の空間が設けられるか又は絶縁物でカバーされるも

のとする。金属製の蓄電池カバーは,蓄電池端子との間に適当な空間を設けるとともに,カバーの

幾何学的中心の 300mm×300mm の正方形の場所に 980N の力が加えられたとき,蓄電池端子が短絡

しない強度及び剛性をもつものとする。カバーの内面に絶縁体が使用される場合は,しっかり固定

されていなければならない。

2)

蓄電池ケース又は蓄電池室のセルの上部には,通気孔を設置する。

3)

カバーに開口部がある場合は,他の物体が内部に入り込まないように保護する。また,カバーは,

変形によってセルの活端子に接触することがないように十分な強度がなければならない。

4)

蓄電池及びケースは,フォークリフトに確実に保持されなければならない。

b)

充電コネクタ  充電コネクタは,充電中に蓄電池がフォークリフトの他の稼働中の回路から絶縁され

るように設計する。

c)

電気部品  フォークリフトが運転状態にあるとき,活線部は偶発的短絡から保護するものとする。ま

た,過熱及び損傷を避けるように配置する。

11.2

危険な環境

11.2.1

発火性又は爆発性環境の中で使用されるすべてのフォークリフトは,用途に適するように設計する。

また,そのようなフォークリフトは,適切な形記号で明確に表示する。

12.

リフト,ティルトその他可動システム及びコンポーネント

12.1

昇降装置

12.1.1

リフトチェーンの強度  リフト機構に使用されるチェーンの静的強度の安全係数(

6

)

は,5 以上とす

る。

(

6

)

安全係数は,最大荷重積載時にそのチェーンにかかる荷重でチェーンの破断荷重を除した値と

する。

12.1.2

フォークの強度  フォークの静的強度の安全係数(

7

)

は,3 以上とする。

(

7

)

安全係数は,そのフォークの荷重中心にかかる最大の荷重時の応力でフォーク使用材料の降伏

点を除した値とする。

12.1.3

フォークの保持  フィンガバーとフォークは,次による。

a)

フォークが,フィンガバーから意図しないときに外れることを防止する。

b)

フォークが,意図しないときに横方向へ移動し又は外れることを防止する。

12.1.4

アタッチメントの保持  アタッチメントは,次による。

a)

アタッチメントが,フィンガバーから意図しないときに外れることを防止する。

b)

アタッチメントが,意図しないときに横方向へ移動し又は外れることを防止する。


15

D 6001 : 1999

12.1.5

動力式昇降装置  動力式昇降装置は,リフトブラケットのオーバトラベルを防止する手段を備える

ものとする。

12.1.6

油圧式昇降装置

a)

上昇及び下降速度は可変であり,運転者によって制御できるものとする。ただし,ソレノイド制御が

使用されているときを除く。

b)

油圧配管系統が破損したような場合,どのような状況下においても荷の下降速度は,1.0m/s を超えて

はならない。

12.2

ティルト装置  ソレノイドバルブを使用したものを除いて,ティルト速度は可変であり,運転者に

よって制御できるものとする。油圧系統については,12.4 による。

12.3

アタッチメント  ソレノイドバルブを使用したものを除いて,アタッチメントの動きは可変であり,

運転者によって制御できるものとする。油圧系統については,12.4 による。

12.4

油圧系統

12.4.1

ホース,配管及び継手  ホース,配管及び継手は,適切な材料でできており十分な強度をもち,明

らかな欠陥がないものとする。

12.4.2

安全弁  すべての油圧系統には,圧力安全弁を設ける。調整可能な安全弁については,意図しない

緩み及び無断での調整の両方を防ぐ手段を講じる。

13.

保護装置

13.1

概要  13.は,運転者の保護のための装置に関する必要事項を規定する。これらは,フォークリフト

に設けられたいかなる運転者席及び同乗者席についても同様に適用する。

13.1.1

運転者の位置  運転者の位置は,運転者が通常の操作位置にいるときには,フォークリフトの内側

に入るように配置する(歩行式制御装置をもつフォークリフトを除く。

。運転者の位置(

8

)

は,運転者にと

って出入りしやすい位置であるものとする。また,フロアとステップは,滑り止めの表面とする。

(

8

)

運転者の位置には,立席,座席を共に含む。

13.1.2

運転者の保護  運転者が通常の操作位置にいるとき,可動部で傷付けられないように,適切な予防

措置を講じる。予防措置は,運転者の視野,動作の自由を過度に損なわないよう設計する。

運転者が通常の操作位置にいるとき,マスト部で押しつぶされたり,切断されたり,挟まれたりしない

ように次のすき間をとることによって保護する。

a) 

指 25mm

b) 

手又は足 50mm

c) 

腕又は脚 100mm

これらのすき間をとる代わりに保護部品を用いることもできる。

13.2

ヘッドガード  乗車形フォークリフトには,荷の落下によって運転者に危険を及ぼすおそれがある

場合は,ヘッドガードを装着する。ヘッドガードの構造,寸法及び強度は,JIS D 6021 による。

13.3

バックレスト  荷の落下によって運転者に危険を及ぼすおそれがある場合は,バックレストを備え

る。

13.4

運転台

13.4.1

車両の端部にて操縦を行うすべてのフォークリフトの運転台は,負荷時の車両重量に相当する圧縮

荷重に耐えるものとする。この圧縮荷重は,運転台(

8

)

の最も突き出た部分を車体の長手方向で垂直平面に

押し付けたものである。


16

D 6001 : 1999

(

9

)

運転台には,運転台がつぶれないように設置された外部補強部材及び部品を含む。

13.4.2

フォークリフトから突き出た運転台には,側面又は前面にガードを設けるものとする(歩行式制御

装置をもつフォークリフトを除く。

13.4.3

折り曲げ式又は旋回式の運転台は,運転者がその上に立っている場合に,意図しないときに折れ曲

がったり旋回したりしないような装置を設ける。

13.4.4

床上 1m 以上にある又は上昇可能な運転台には,手すりを取り付ける。運転台から手すり上面まで

の高さは,900mm 以上 1 100mm 以下であり,水平のどの方向からの 900N の力に耐えるものでなければな

らない。脱着可能又はヒンジ付の手すりは,適切な位置に容易に調整でき,かつ,安全な位置が明りょう

(瞭)に識別できるように構成されていなければならない。

13.5

車輪ガード  運転者が通常の操作位置にいるとき,タイヤによって跳ねあげられた物によって傷付

けられる危険性を最小にするためのガードを備える。

13.6

警報装置  乗車形フォークリフトには,警報装置を取り付ける。

14.

試験

14.1

試験条件  試験では,燃料,冷却水,潤滑油及び作動油の量並びにタイヤの空気圧は,そのフォー

クリフトに定められた規定値とする。

14.2

定置試験

14.2.1

寸法測定  主な寸法測定は,次の項目について行う。

a)

全長

b)

全幅

c)

全高

d)

軸距

e)

輪距(前輪及び後輪)

f)

フロントオーバハング

g)

最低地上高

h)

フォーク(長さ,幅及び厚さ)

i)

最大揚高

j)

最大揚高時高さ

k)

フリーリフト

l)

マスト又はフォークの傾斜

備考  寸法測定の項目は,カウンタバランスフォークリフトについて規定したもので,カウンタバラ

ンスフォークリフト以外のフォークリフトはこれに準じる。

14.2.2

重量及び重心位置の測定  基準無負荷状態及び基準負荷状態における重量並びに前輪及び後輪の

荷重を測定する。また,重心高さは,基準無負荷状態において,フォークリフト前傾時の傾斜角度の変化

による前輪荷重の変化を測定して算出する。

重心位置の算出は,次の式による(

図 16 参照)。

(

)

G

G

G

L

L

f

=

0

 (1)

(

) (

)

r

f

r

f

f

f

R

G

G

P

R

G

G

L

H

+

+

=

θ

θ

tan

tan

0

 (2)


17

D 6001 : 1999

ここに,

H

0

重心高さ

 (mm)

L

軸距

 (mm)

L

0

重心の前車軸中心からの水平距離

 (mm)

R

f

基準無負荷状態における前輪有効半径

 (mm)

R

r

基準無負荷状態における後輪有効半径

 (mm)

G

空車重量

 (kg)

G

f

前輪荷重(フォークリフトの前傾角

0

のとき)

 (kg)

G

f

'

前輪荷重(フォークリフトの前傾角

θ

°のとき)

 (kg)

θ

フォークリフトの前傾角(度)

図 16  フォークリフトの重心位置

備考

重心位置測定の項目は,カウンタバランスフォークリフトについて規定したもので,カウンタ

バランスフォークリフト以外のフォークリフトはこれに準じる。

14.3

走行試験  走行試験は,特に規定する場合を除き,平たんで乾いた舗装路面で基準無負荷状態及び

基準負荷状態で行う。

a)

最高速度試験は,測定区間

50m

,助走距離は任意とし,前進往復方向について行い,その平均値を採

る。

なお,

50m

の区間の中央

25m

地点までの走行所要時間も測定し,最高速度に達していることを確か

める。

最高速度の算出は,次の式による。

t

v

180

=

 (3)

ここに,

v

:  最高速度 (km/h)

t

:    50m 区間の走行所要時間 (s)

b)

ブレーキ試験は,JIS D 6023 の 4.(性能)による。

c)

走行抵抗試験は,次の 2 方法とする。ただし,1)を優先的に,必要に応じて 2)を選ぶ。

1)

惰行時間を測定する。

2)

停止するまでの距離を測定する。

前進方向で往復し,その平均を採るものとし,惰行開始点に達するまで 15±1km/h(最高速度

15km/h

未満のものはその最高速度)の初速度で走行し,惰行区間の開始点においてクラッチを切り,

変速機を中立位置として時間を測定し,2)では,停止するまでの距離を測定する。

初速度の測定は,惰行開始前 20m 区間の走行時間を測定して求める。惰行時間からの平均減速度

及び走行抵抗係数の算出は,次の式による。


18

D 6001 : 1999

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

1

2

1

2

1

1

1

20

t

t

t

t

b

 (4)

g

b

f

1

1

=

 (5)

ここに,  b

1

:  平均減速度  [1)の方法による。

] (m/s

2

)

f

1

:  走行抵抗係数  [1)の方法による。

t

1

:  惰行区間 10m の惰行時間 (s)

t

2

:  惰行区間 20m の惰行時間 (s)

g

:  重力加速度 9.8 (m/s

2

)

停止距離からの平均減速度及び走行抵抗係数の算出は,次の式による、

2

2

0

2

9

.

25

"

s

v

b

=

 (6)

g

b

f

2

2

=

 (7)

ここに,

b

2

平均減速度  [2)の方法による。

] (m/s

2

)

f

2

走行抵抗係数  [2)の方法による。

S

2

停止距離 (m)

v

0

″: 測定初速度 (km/h)

g

重力加速度 9.8 (m/s

2

)

d)

最小旋回半径試験は,前進方向の左右旋回時について行い,最大かじ取り角で最低速度において,車

体最外部の旋回半径 r

0

を測定する。この場合,基準無負荷状態とする(

図 17 参照)。

なお,最外輪中心及び車体最内部の旋回半径 r

s

r

1

を測定してもよい。

図 17  最小旋回半径試験

e)

けん引試験は,被けん引力を円滑に制御できる被けん引車と試験車との間にけん引力計を挿入して前

進最低速度段で行う。試験は,被けん引車の負荷を徐々に増加してそのときの速度及びけん引力を測

定する。

なお,試験の結果から相当登坂角の算出は,次の式による。

g

G

F

×

=

−1

sin

ϕ

 (8)

ここに

ϕ

相当登坂角(度)

F

けん引力  (N)


19

D 6001 : 1999

G'

フォークリフトの試験時総重量 (kg)

g

重力加速度 9.8 (m/s

2

)

また,無負荷時の登坂スリップ限界角の算出は,次の式による(

図 18 参照)。

µ

µ

ϕ

L

H

f

L

L

L

+

=

0

0

1

tan

 (9)

ここに,

ϕ

無負荷時登坂スリップ限界角(度)

L

軸距 (mm)

L

0

重心の前車軸中心からの水平距離 (mm)

H

0

重心高さ (mm)

µ

駆動輪の摩擦係数

f

走行抵抗係数(走行抵抗試験で求めた f

1

又は f

2

図 18  無負荷時登坂角

14.4

荷役試験  荷役試験は,特に規定する場合を除き,無負荷及び最大荷重を基準荷重中心に積載した

場合(以下,負荷状態という。

)についてマストを垂直にして行う。この場合,作動油の温度は 40∼50℃

程度とする。

a)

昇降速度試験  昇降速度が安定する一定区間をフォークが通過するのに要する時間を測定して求める。

b)

自然降下及び自然傾斜試験  フォークを最高位置に置き,切替弁を閉止し,原動機を停止して 15 分後

のフォーク降下量及び傾斜角の変化を測定する。この場合,荷重は無負荷及び最大荷重を基準荷重中

心に積載した状態とする。

15.

使用者及び運転者の安全作業基準並びにその実施

15.1

使用者に対する要求事項

15.1.1

運転者の資格  定められた規則によって許可された運転者だけが,フォークリフトを運転すること

ができる。

15.1.2

可燃性及び爆発性の雰囲気での作業  可燃性及び爆発性の雰囲気で使用を認められたフォークリ

フトだけを,使用できる。

15.1.3

同乗者  同乗者は,それに適合するように製作された設備がある場合を除いて,フォークリフトに

乗ってはならない。

15.1.4

フォークリフトの操作

a)

許容荷重の変更及び表示訂正  製造業者の規定する許容荷重を超えて使用してはならない。また,許

容荷重及び安全作業に影響する改造は,無断で行ってはならない。

使用者は,全銘板表示類が所定の位置に明瞭な状態で取り付けられていることを確認する。


20

D 6001 : 1999

b)

安全要求及び装置  フォークリフトの色は,周囲と対照的な色であることが望ましい。

乗車形フォークリフトは,ヘッドガードを装備しなければならない。ただし,運転者に対して品物

の落下の危険がない場合は,この限りではない。高揚高フォークリフトで運転者上に落下し得る積み

荷を取り扱う場合,運転者に対して荷物又はその一部が落下する危険を最小にするに十分な高さ,幅

及び開口部寸法をもったバックレストを用いる。

使用環境によって,必要に応じ灯火及び点滅灯のような付加的警報装置を装備する。

ステアリングホイールにノブが始めから付いていない場合は,無断で追加してはならない。

c)

燃料の取扱い及び貯蔵  フォークリフトへの給油は,その目的のために指定された安全な場所で行う。

d)

蓄電池の充電及び交換  蓄電池の充電設備は,その目的のために指定された安全な場所に設置されな

ければならない。また,その設備は,こぼれた電解液の洗浄,中和作業,火災防止,フォークリフト

による設備の破損防止,蓄電池から発生するガスのための換気などに対して準備する。

蓄電池式フォークリフトの蓄電池は,特に許可された場合を除いて異なる電圧,重量及び寸法をも

つ他の蓄電池と交換してはならない。

e)

欠陥又は破損フォークリフト  フォークリフトが,不安全であることが分かったり又は安全な状態で

なくなる可能性が分かった場合は,安全な状態に復帰するまで作業に用いてはならない。

f)

事故  運転者は,怪我,建屋,設備に対する破損などがあった場合,責任者に直ちに報告しなければ

ならない。

15.1.5

作業環境

a)

通路及び積付場所  作業路面は,十分な荷重運搬能力があり,安全を損なわないよう保守する。また,

こう配は,10%を超えないことが望ましい。

b)

灯火  作業場所は,適切な照度の灯火を備える。また,必要な場合は,フォークリフトに補助の照明

を備える。

c)

フォークリフトのつり具  フォークリフトをつるためのつり具は,フォークリフトの製造業者によっ

て指示された場所だけに設置する。

d)

フォークリフトの同時使用  重量物の取扱いなどのために複数のフォークリフトを同時に使用するこ

とは,避けなければならない。

15.2

運転者に対する要求事項

15.2.1

概説  教育を受け,決められた人だけがフォークリフトを運転できる。運転者は,付近にある物及

び人を含めた作業環境に注意を払わなければならない。フォークリフトは,意図された目的だけに使用す

ることができる。また,無断でフォークリフトの機能に影響するような方法で,部品を追加したり,除い

たり又は改造してはならない。

15.2.2

荷役作業

a)

荷  フォークリフトの定格以内の荷だけを取り扱う。アタッチメント付フォークリフトであれば,ア

タッチメントと組み合わせたときの定格である。フォークリフトの定格を増加させる手段,例えば余

分に人が乗ったり,カウンタウェイトを追加するようなことは,行ってはならない。

b)

荷取り及び荷置き  荷取り及び荷置きにフォークを用いる場合は,次による。

1)

荷の幅に対し,間隔は適切であるものとする。

2)

フォークは,できる限り荷の奥まで差し込む。

c)

積付け  積付けは,荷を安定させるために十分なだけティルトを後傾させ,ゆっくりと行う。

その後,荷を十分引き受けられる高さまでフォークを上げ,進路を確認した後,荷を台から下ろす。


21

D 6001 : 1999

15.2.3

運搬

a)

概説  運転中は,特に人に注意するとともに,周囲との安全なすき間を確保する。また,決められた

制限速度を遵守する。

b)

スピード  万一に備え安全に停止可能なスピードで運転する。

c)

こう配での運転操作

1)

坂の登り降りは,ゆっくりと行う。

2)

こう配では,方向転換を行わない。

3)

 10%

以上のこう配では,可能ならば荷を上方に向けて運転することが望ましい。

d)

すき間  頭上の設備とのすき間を,確認する。通路及び出入り口を通るときは,フォークリフトと荷

とのすき間を確認する。

e)

輸送車両などの中での作業  運搬車,鉄道車両などの中でフォークリフトを使用する場合,輸送車両

が動かないような措置が講じられていることを確認する。

f)

ブリッジプレートなどでの作業  ブリッジプレートなどを通るときは,それらが適切に固定されてい

ることを確認する。

g)

リフト及びエレベータ内での使用  リフト及びエレベータの中でフォークリフトを使用する場合は,

リフト及びエレベータが荷,フォークリフトなどの重量を支え得ることを確認する。

h)

駐車  フォークリフトを駐車するときは,荷役装置を最下降状態にして動力を止め,駐車ブレーキを

かけて予期せぬ動きを防止する。

15.2.4

フォークリフトの運転注意

a)

概説  フォークリフトを運転する前に,フォークリフトの状態をよく確認する。修理の必要があった

り,運転中に異常が発見された場合は,直ちに適切な措置を講じなければならない。

b)

燃料補給  給油を始める前に,運転者は原動機を止めブレーキをかけ,そしてフォークリフトから離

れなければならない。また,裸火及び喫煙は,禁止する。

c)

蓄電池の充電及び交換  蓄電池の充電及び交換は,製造業者の指示に基づいて定められた人が行う。

蓄電池の充電又は交換を行うときは,フォークリフト及び周囲の安全を確認する。

許可なく蓄電池式フォークリフトの蓄電池を,他の異なった電圧又は大きさの異なるものに置き換

えてはならない。

16.

保守管理

16.1

概説  フォークリフトを使用するときは,注意深く十分な保守管理を行う。保守管理を怠ると人に

とっても,物にとってもフォークリフトは,危険の発生源になることに留意しなければならない。

16.2

保守管理  フォークリフトの保守管理及び検査は,資格のある定められた人が定期的,かつ,計画

的に行う。

16.2.1

安全作業のため,ブレーキ,操向,警報の各装置及び灯火類の保守管理を行う。

16.2.2

安全作業のため,リフト及びティルトの部品又はフレーム部材については,注意深く,そして定期

的に検査し,保守管理を行う。

16.2.3

安全作業のため安全保護具及び保護装置も,定期的に検査し,保守管理を行う。

16.2.4

油圧装置も常に検査し,保守管理を行う。シリンダ,バルブ及びこれに類する部品は,危険を引き

起こすことにつながる内部又は外部の漏れについて,検査を行う。

16.2.5

蓄電池,モータ,コントローラ,コンタクタなどは,手順に従って検査,保守管理を行う。


22

D 6001 : 1999

16.2.6

内燃機関式フォークリフトのエキゾーストシステム,キャブレタ,燃料ポンプなどは,漏れ及び損

傷がないことを確認する。

16.2.7

空気入りタイヤは,表面,サイドのゴム及びリムの損傷や劣化を確認する。また,製造業者指定の

空気圧であることを確認する。二つ割りリムのタイヤを取り外すときは,内圧が十分抜けたことを確認す

る。

16.2.8

ソリッドタイヤは,メタルバンド(又はリム)との接着を確認する。また,必要によってトレッド

部から異物を取り除く。

16.2.9

すべての案内情報,指示銘板及びラベル類は,読みやすいように保守管理する。

16.2.10

燃料装置は,漏れがなく,ねじ部が確実に締まっていることを確認する。

LPG

システムの漏れに対しては,石けん液などを用いて確実に点検する。

欠陥及び破損が発見された場合は,完全に修理されるまで使用してはならない。

16.2.11

フォークリフトの容量及び安全に影響する仕様変更及び改造は,無断で行ってはならない。

16.2.12

危険な区域用に設計された特別なフォークリフト及び装置は,安全を保持するための保守管理に十

分な注意を払わなければならない。

16.2.13

すべての補修部品は,最初のものと同じか又は少なくともその品質において最初のものと同等品と

する。

16.2.14

フォークリフトは,火災予防に注意を払い,常に清潔な状態に保つ。また,部品の緩み及び欠落に

注意を払い,荷役装置,ペダル,ステップなどは,グリース及びオイルの汚れをふき取って清潔に保つ。

16.3

検査

16.3.1

もし検査中に,危険を引き起こす原因となる欠陥,摩耗,破損などが発見されたときは,フォーク

リフトを使用する前に,適正な是正手段を講じる。

16.3.2

計画的な予防的保守管理,給油及び検査手続きを行う。

必要な記録は,保存する。

関連規格  JIS D 0102  自動車用語(自動車の寸法,質量,荷重及び性能)

JIS D 6202

  フォークリフトトラック−仕様書様式


23

D 6001 : 1999

産業車両分野の国際整合化推進委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

梁  瀬      仁

社団法人日本パレット協会

穐  山  貞  治

工業技術院標準部

浦  田  益太郎

通商産業省機械情報産業局

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

尾  添      博

労働省労働基準局

中  山  寛  治

運輸省自動車交通局

宇  良  善  正

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

岡  村  重  芳

社団法人建設荷役車両安全技術協会

佐  藤  勝  昭

株式会社日立物流

筒  井  善  次

日本通運株式会社

寺  岡  憲  吾

防衛庁装備局

渡  辺  秀  治

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

井  上  忠  弘

日産自動車株式会社

片  桐      悟

株式会社豊田自動織機製作所

小  城  晴  彦

神鋼電機株式会社

田  中      登

住友エール株式会社

(分科会  主査)

谷  村  保  昌

小松フォークリフト株式会社

寺  田      克

社団法人日本産業車両協会

中  田      広

三菱重工業株式会社

伏  見  雅  章

東洋運搬機株式会社

山  口  泰  之

日本輸送機株式会社

(事務局)

岩  橋  俊  彦

社団法人日本産業車両協会

備考  ○印は,分科会委員を兼ねる。