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日本工業規格          JIS 

 

D 5715-1993 

 

 

自動車用ヘッドランプクリーナ 

Road vehicles−Headlamp cleaners 

 

 

1. 適用範囲 この規格は,自動車に使用するヘッドランプクリーナ(以下,クリーナという。)について

規定する。 

備考1. ヘッドランプクリーナとは,ヘッドランプのレンズ部を洗浄する装置であって,レンズ面に

洗浄液を噴射して洗浄する噴射式,レンズ面をブレードが作動して汚れなどをふき払うブレ

ード式,及びにこれらを併用する方式がある。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS D 0203 自動車部品の耐湿及び耐水試験方法 

JIS D 1601 自動車部品振動試験方法 

JIS D 1619 自動車用ランプ類配光試験方法 

JIS D 5500 自動車用ランプ類 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS Z 8901 試験用ダスト 

3. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 3267 : 1991 Road vehicles−Headlamp cleaners 

 

2. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,次による。 

(1) タンク クリーナの一部で洗浄液を貯える容器。 

(2) 洗浄時間 洗浄性能を満足させるために必要な,クリーナの作動時間(準備時間を含む。) 

(3) 洗浄サイクル 洗浄性能を満足させるために必要な,クリーナの一連の作動。 

(4) 洗浄効率 洗浄操作後のヘッドランプの光度を,混合泥塗布前の光度(基準となる光度)に比べた百

分率。 

(5) ヘッドランプレベリング装置 自動車の積荷,乗員などの変化によって,ヘッドランプの照射方向が

変わったとき,その向きを鉛直方向に調整できる装置。 

 

3. 性能 

3.1 

洗浄性能 クリーナは,5.2に規定する試験を行ったとき,円滑に作動し,その洗浄効率は70%以上

でなければならない。 

3.2 

耐温度性 クリーナは,5.3に規定する試験を行ったとき,機能を損なうような変形,緩み,き裂な

どの欠点を生じてはならない。 

3.3 

耐振性 クリーナは,5.4に規定する試験を行ったとき,機能を損なうような変形,緩み,き裂,接

触不良などの欠点を生じてはならない。 


D 5715-1993  

3.4 

耐水性 クリーナは,5.5に規定する試験を行ったとき,異常を生じないものとし,その場合の性能

要件は,受渡当事者間の協定による。 

3.5 

耐拘束性 クリーナは,5.6に規定する試験を行ったとき,配管外れなどの構造上の欠点を生じては

ならない。 

 

4. 構造 

4.1 

タンク タンク容積は,表1に示す2種類とし,タンクに規定容量の水を入れ,クリーナを正規の

使用状態で作動させたとき,表1の容積がなければならない。 

なお,タンクをウインドシールドウォッシャー用と兼用する場合は,別に1リットル以上の容積が余分

になければならない。 

また,タンクは半透明にするか,又はその他の方法によって液面が容易に分かる構造でなければならな

い。 

表1 タンク容積 

種類 

容積 

タンク容積 25 

少なくとも25サイクルの洗浄ができる容積 

タンク容積 50 

少なくとも50サイクルの洗浄ができる容積 

4.2 

構成部材 クリーナの構成部材は,メチルアルコール,エチルアルコール又はイソプロピルアルコ

ールと,水との容積比が50%の水溶液に耐えるものとする。 

4.3 

取付構造 クリーナの取付構造は,次のとおりとする。 

(1) クリーナが通常の静止位置において,ヘッドランプレンズの一部を遮へい(蔽)する構造のものは,

その状態で,JIS D 5500によるヘッドランプの配光性能を満足できなければならない。クリーナは,

休止状態を除いて,作動中に機械的部品が,すれ違いビームランプ発光面の20%以上の面積を覆うも

のであってはならない。 

また,クリーナは,走行ビーム発光面の10%以上の面積を覆うものであってはならない。 

(2) クリーナは,ヘッドランプの照準,装着又は交換を行う場合に,妨げにならない構造でなければなら

ない。 

ただし,簡単な道具を使用してクリーナ及びその一部を容易に取り外せる構造のものはその限りで

はない。 

(3) ヘッドランプレベリング装置を装着した自動車に用いるクリーナは,ヘッドランプの照準が変化して

も,クリーナの機能が損なわれないものでなければならない。 

 

5. 試験方法 

5.1 

試験条件及び装置 試験条件及び装置は,次のとおりとする。 

(1) 試験場所の標準温度状態は,JIS Z 8703の23℃,5級とする。 

(2) 洗浄性能試験に用いる混合泥は,表2のとおりとする。 

なお,混合泥は,調合後2〜24時間に使用する。 


D 5715-1993  

表2 混合泥 

成分 

質量比 

備考 

けい砂 

JIS Z 8901の2種若しくは3種,又はこれらと同等のもの 

植物性炭素粉末 

粒子の大きさ100

下 

NaCMC(1) 

0.2 

 

蒸留水 

適当量 

伝導率10 洀 一

下 

注(1) NaCMCは,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を指す。 

混合泥に用いるNaCMCは,ナトリウム置換度が0.6〜0.7とする。 
また,この2%水溶液は20℃,200〜300mPa・sの粘性をもつ。 

(3) 電源は,容量が十分なもので,洗浄時間中の電圧降下が1%を超えないものを使用し,電圧測定には,

短時間測定用電圧計(例えば,オシロスコープ)を使用する。スプレーガンは,作動圧が約500kPa

で流量カップ付き,及び直径1.5mmのノズルのものとする。 

(4) 光度試験装置は,JIS D 1619の規定によるものとするか,又はこれと同等の試験装置を使用する。 
(5) 光度測定点は,走行ビームではH-V,又は21D-Vのいずれか1点とし,すれ違いビームでは表3の方

式I,II,IIIのいずれか一方式を選ぶ。この測定方式の選び方は,受渡当事者間の協定による。 

なお,4灯式ヘッドランプの場合には,その試験対象ランプは,受渡当事者間の協定による。 

表3 すれ違いビームの光度測定点 

方式 

光度測定点 

備考 

121D-2L及びID-6R 

図1参照 

II 

50L及び50V 

図2参照 

III 

4

3D-21L,21U-3R及びID-6R 

図3参照 

 

図1 すれ違いビームの光度測定点(方式I) 

図2 すれ違いビームの光度測定点(方式II) 

 

 

 

注(2) 測定距離25mのときの値を示す。 


D 5715-1993  

図3 すれ違いビームの光度測定点(方式III) 

 

 

 

(6) 洗浄液は,特に規定がない限り蒸留水を用いる。 

(7) ヘッドランプ及び電気式クリーナの試験電圧は,表4による。 

なお,電気式でないものの試験条件は,受渡当事者間の協定による。 

表4 試験電圧 

単位V 

定格電圧 

試験電圧 

12 

13.0 

24 

27.0 

5.2 

洗浄性能試験 洗浄性能試験は,次の順序で行い,洗浄効率を計算によって求める。 

(1) 基準とする光度測定 試験装置のヘッドランプレンズは,あらかじめ清浄にし,クリーナは通常の静

止位置に取り付けて,基準とする光度を測定する。 

(2) 混合泥塗布 試験装置のヘッドランプを10分間点灯した後,ヘッドランプレンズの全面に混合泥を

5.1(3)に規定するスプレーガン又は,はけ(刷毛)を用いて均一に塗布した後,そのヘッドランプを点

灯するか,又は熱風によって乾燥させる。この塗布後の光度が(1)で測定した光度の20〜15%になるま

で塗布を繰り返す。 

(3) 洗浄操作 ヘッドランプが冷却し,塗布した混合泥が乾燥した後,2時間以内にヘッドランプを点灯

し,クリーナを製造業者が指定する時間,ただし,10秒を超えない範囲で作動させる。手動操作式の

クリーナは,最大5回の繰返し洗浄操作を10秒以内に行う。 

(4) 洗浄効率測定 洗浄操作後,ヘッドランプが乾燥してから光度を測定し,(1)で測定した光度との比を

次の式で計算し,洗浄効率を求める。 

100

B

C

A=

 

ここに, A: 洗浄効率 (%) 
 

B: 基準とする光度 (cd) 

 

C: 洗浄操作後の光度 (cd) 

 

5.3 

耐温度性試験 クリーナを恒温槽内に正規の使用状態に準じて設置し,次のとおり試験を行う。 

(1) −10±2℃の雰囲気に1時間放置後,直ちに作動させて異常の有無を調べる。ただし,この場合,凍結

しない洗浄液を使用する。 

(2) 35±2℃の雰囲気に1時間放置後,直ちに作動させて異常の有無を調べる。 


D 5715-1993  

(3) −35±3℃の雰囲気に1時間放置後,コントロールを1分間に6回(1回につき3〜5秒間)作動させ

た後,室温に戻し,再び作動させて異常の有無を調べる。 

(4) 80±3℃の雰囲気に1時間放置後,室温に戻し,作動させて異常の有無を調べる。 

5.4 

耐振性試験 クリーナを正規の使用状態に準じて振動試験台に取り付け,JIS D 1601の5.3(1)(共振

がない場合)に規定する段階3の試験を行い,クリーナの各部について異常の有無を調べる。 

5.5 

耐水性試験 クリーナの正規の使用状態に準じて耐水試験装置に取り付け,JIS D 0203による散水

試験R2を行った後,作動させて異常の有無を調べる。 

5.6 

耐拘束性試験 タンクに規定容量の水を入れ,クリーナを正規の使用状態に準じて設置する。ノズ

ルをすべてふさぎ,洗浄用ブレードの付いているものは動かないように拘束して,コントロールを1分間

に6回(1回につき3〜5秒間)作動させた後,異常の有無を調べる。 

 

6. 表示 クリーナには容易に消えない方法で,それを構成する主要部品に製造業者名又はその略号を表

示する。 


D 5715-1993  

参考 

この参考は,本体の規定に関連する事柄を捕足するもので,規定の一部ではない。 

 

1. 試験方法 

1.1 

耐擦傷性試験 ブレード式のクリーナを,プラスチックレンズ付きヘッドランプに使用する場合は,

ブレードがレンズ面に及ぼす擦傷性を試験する必要がある。試験方法は,受渡当事者間の協定による。 

1.2 

高速走行時の作動性能試験 車両を車速130km/h(最高速度がこれ未満の車両は,その最高速度)

で運転している状態で,クリーナの作動を試験する必要がある場合は,その試験方法は受渡当事者間の協

定による。 


D 5715-1993  

JIS D 5715 改正原案作成委員会 構成表 

 

 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 木 村 猛 志 

自動車基準認証国際化研究センター 

 

 

川 嶋   温 

通商産業省機械情報産業局 

 

 

山 村 修 蔵 

工業技術院標準部 

 

 

中 島 恒 夫 

運輸省自動車交通局技術安全部 

 

○ 吉 本 淳 一 

株式会社小糸製作所技術管理部 

 

○ 高 田 福 夫 

市光工業株式会社技術本部 

 

○ 渡 辺 修 一 

スタンレー電気株式会社自動車機器開発管理部 

 

 

仁 枝 康 弘 

東芝ライテック株式会社産業機器事業部 

 

 

木 村 好 正 

株式会社三ツ葉電機製作所設計部 

 

 

石 田 輝 行 

自動車電機工業株式会社第1設計部 

 

 

今 村 晨 二 

アスモ株式会社第1技術部 

 

○ 西 部 正 美 

トヨタ自動車株式会社第2車両実験部 

 

 

今 井   武 

株式会社本田技術研究所第8研究ブロック 

 

○ 栗 林 正 巳 

日産自動車株式会社車体総括設計部 

 

 

漢 人 武 彦 

スズキ株式会社四輪電装設計部 

 

 

中 川   清 

三菱自動車工業株式会社乗用車技術センター 

 

 

杉 田 昌 夫 

富士重工業株式会社スバル技術本部内装設計部 

 

 

鈴 木 智 博 

いすヾ自動車株式会社小型電装設計部 

 

 

原   和 大 

マツダ株式会社第1車両設計部 

 

○ 村 岡 良 三 

社団法人日本自動車部品工業会技術部 

(関係者) 

○ 平 野 由起夫 

工業技術院標準部 

 

 

広 瀬 仁 士 

株式会社小糸製作所第1設計部 

(事務局) 

○ 中 田 八 重 

社団法人日本自動車部品工業会技術部 

 

 

備考 ○印は,小委員会委員を示す。