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日本工業規格

JIS

 D

4604

-1995

自動車部品−シートベルト

Automotive parts

−Seat belt

1.

適用範囲  この規格は,自動車による交通事故などの際に,乗員を傷害から防護し,又は傷害を軽減

するために,自動車に取り付けて使用するシートベルト(以下,シートベルトという。

)について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 0208

  ユニファイ細目ねじ

JIS B 0212

  ユニファイ細目ねじの許容限界寸法及び公差

JIS B 7753

  サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機

JIS D 0101

  自動車の種類に関する用語

JIS D 0201

  自動車部品−電気めっき通則

JIS D 0202

  自動車部品の塗膜通則

JIS D 0205

  自動車部品の耐候性試験方法

JIS D 1050

  自動車の衝撃試験における計測

JIS D 1201

  自動車室内用有機資材の燃焼性試験方法

JIS G 4303

  ステンレス鋼棒

JIS L 0801

  染色堅ろう度試験方法通則

JIS L 0848

  汗に対する染色堅ろう度試験方法

JIS L 0849

  摩擦に対する染色堅ろう度試験方法

JIS Z 8901

  試験用ダスト

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

シートベルト  ウエビング,取付具,バックル,長さ調節具などで構成し,自動車の車室内に乗員を

拘束する装置。

(2)

二点式シートベルト  乗員の腰部を拘束するための 2 点支持形式のシートベルト。

(3)

三点式シートベルト  乗員の腰部及び上胴部を同時に拘束するための 3 点支持形式のシートベルト。

(4)

三点式シートベルトの腰部  三点式シートベルトの腰部に掛ける部分。

(5)

三点式シートベルトの肩部  三点式シートベルトの上胴部に掛ける部分。

(6)

ウエビング  繊維材料で作った帯状のもの。

(7)

腰ウエビング  二点式シートベルト及び三点式シートベルトの腰部に用いるウエビング。

(8)

連続ウエビング  三点式シートベルトの,腰部及び肩部の両方を拘束する単一のウエビング。

(9)

バックル  乗員を座席に拘束し,かつ,速やかに解離するためのシートベルトの結合部。

(10)

包囲形押しボタン  直径 40 mm の球を用いてバックルの押しボタン部を押したときに,解離できない

形式のもの(

付図 参照)。


2

D 4604-1995

(11)

非包囲形押しボタン  直径 40mm の球を用いてバックルの押しボタン部を押したときに,解離できる

形式のもの(

付図 参照)。

(12)

部分的結合  バックルにタングプレートを挿入したときに,完全に結合しておらず,引っ張るとタン

グプレートが抜け出すような状態。

(13)

解離力  バックルの結合を解き離すのに要する力。

(14)

長さ調節具  ウエビングの長さを調節して着用者の身体に適合させるための器具。

(15)

チルトロック式長さ調節具  ウエビングと長さ調節具とがなす角度がある範囲内のときだけ,ウエビ

ングを調節した長さでロックすることができる長さ調節具。

(16)

マイクロスリップ  長さ調節具を通るウエビングの長さを,着用者の身体に適合して調節した後,乗

車中にその調節位置が徐々にずれて,シートベルトが緩む方向に,長さ調節具からウエビングが少し

づつ滑り出る現象。

(17)

スリップガイド  ウエビングの方向を変更するための器具。

(18)

取付具  シートベルトを自動車に取り付けるための器具。三点式シートベルトの肩部の取付具を上部

取付具,二点式シートベルト及び三点式シートベルトの腰部の取付具を下部取付具という。

(19)

巻取装置  シートベルトの一部品で,ウエビングを巻き取る装置。

(20)

緊急ロック式巻取装置  着用中のウエビングの引出し及び巻込みが自由に行うことができ,かつ,緊

急の場合,例えば,自動車の衝突,追突,転覆などによって急激な速度変化が生じたときに,ロック

機構が働いてロックする巻取装置。

(21)

自動ロック式巻取装置  任意の位置までウエビングを引き出して,引出し操作を停止してシートベル

トを着用したときに,自動的にロック機構が働く巻取装置。

(22)

ロードリミッタ  自動車が衝突したときに,乗員が着用したシートベルトに加わる荷重を制限するた

めに,必要に応じてシートベルトに追加した,又は組み込んだ装置又は機能。

(23)

動荷重試験  自動車が衝突した際に近い状況を再現するために,乗員が着用したシートベルトに加わ

る外力とほぼ同等な衝撃力を短時間,かつ,急激に与える試験。

(24)

ダミー  成人に類似させた人体模型。

3.

種類及び記号  シートベルトの種類及び記号は,表 のとおりとする(参考参照)。

表 1  シートベルトの種類及び記号

シートベルトの種類

記号(

1

)

二点式シートベルト II

三点式シートベルト III

(

1

)

ロードリミッタを含むものに

は,この記号の後に記号“E”
を付ける。

  IIE, IIIE 

4.

性能

4.1

金属部品の有効面の耐食性  すべての金属部品の有効面の耐食性は,7.1 によって試験し,JIS D 0201

の 5.4(めっきの耐食性)

,又は JIS D 0202 の 3.5(耐食性)の規定に適合し,かつ,バックル,巻取装置,

その他の金属部品(取付具を除く。

)の表面に,着用者又は着用者の衣服に,直接又はウエビングを介して

付着するような腐食又はさびの生成物を生じてはならない。


3

D 4604-1995

4.2

プラスチック部品の耐熱性  プラスチック部品(ウエビングを除く。)の耐熱性は,7.2 によって試

験し,正常な機能を妨げる変形,損傷などがあってはならない。

4.3

有機資材部品の燃焼性  有機資材部品の燃焼性は,7.3 によって試験し,JIS D 1201 の 6.7(燃焼性

区分)の遅燃性又は自消性に適合しなければならない。

4.4

ウエビング  ウエビングは,次のとおりとする。ただし,シートベルト着用時に直接乗員に接触し

ないウエビングについては,(1)(b)及び(2)(h)を適用しなくてもよい(

参考参照)。

また,周囲を樹脂性カバーなどで覆っているウエビングについては,(2)(a)(2)(e)(2)(f)及び(2)(g)を適用

しなくてもよい(

参考参照)。

なお,4.10(2)(b)を適用する場合には,(1)(c)及び(1)(d)を適用しなくてもよい。

(1)

標準状態の性能  標準状態の性能は,7.4(1)によって調製し,次のとおりとする。

(a)

引張強さ  引張強さは,7.4(1)(1.1)によって試験し,ウエビングの種類によって表 のとおりとする。

なお,ウエビングで構成するロードリミッタの引張強さは,4.9 を適用してもよい。

表 2  ウエビングの引張強さ

ウエビングの種類

引張強さ kN

腰ウエビング 26.7 以上

連続ウエビング 22.3 以上

(b)

幅  シートベルト着用時に直接乗員に接触するウエビングの幅は,7.4(1)(1.2)によって試験し,46

mm

以上とする。

(c)

伸び  伸びは,7.4(1)(1.3)によって試験し,その伸び率が,腰ウエビングは 20%以下,連続ウエビン

グは 30%以下とする。ただし,ウエビングで構成するロードリミッタには適用しなくてもよい。

(d)

エネルギー吸収率  エネルギー吸収率は,7.4(1)(1.4)によって試験し,ウエビングの種類によって表

3

のとおりとする。ただし,ウエビングで構成するロードリミッタには適用しなくてもよい。

表 3  ウエビングのエネルギー吸収率

ウエビングの種類

エネルギー吸収率 %

腰ウエビング 50 以上

連続ウエビング 55 以上

(2)

劣化性能  劣化性能は,次のとおりとする。

(a)

耐摩耗性  耐摩耗性は,7.4(2)(2.1)(a)によって試験し,引張強さが試験前の値(

2

)

の 75%以上で,か

つ,14.7kN 以上とする。ただし,長さ調節具を通るウエビングの耐摩耗性は,7.4(2)(2.1)(b)によっ

て試験し,引張強さが

表 の値の 75%以上で,かつ,14.7kN 以上とする。

なお,長さ調節具を通るウエビングが,7.6(3)によって試験して,マイクロスリップ量が 12.5mm

未満である場合には,7.4(2)(2.1)(b)の試験は,適用しなくてもよい。

(

2

)  (1)(a)

の判定に用いた引張強さの測定値。ただし,同一ロットからの試料のものとする。

(b)

耐寒性  耐寒性は,7.4(2)(2.2)によって試験し,引張強さが試験前の値(

2

)

の 80%以上で,かつ,14.7kN

以上とする。

(c)

耐熱性  耐熱性は,7.4(2)(2.3)によって試験し,引張強さが試験前の値(

2

)

の 80%以上で,かつ,14.7kN

以上とする。

(d)

耐水性  耐水性は,7.4(2)(2.4)によって試験し,引張強さが試験前の値(

2

)

の 75%以上で,かつ,14.7kN

以上とする。

(e)

耐光性  耐光性は,7.4(2)(2.5)によって試験し,引張強さが試験前の値(

2

)

の 60%以上で,かつ,14.7kN


4

D 4604-1995

以上とする。

(f)

光に対する染色堅ろう度  光に対する染色堅ろう度は,7.4(2)(2.6)によって試験し,JIS L 0801 に規

定する変退色 2 級以上とする。

(g)

摩擦に対する染色堅ろう度  摩擦に対する染色堅ろう度は,7.4(2)(2.7)によって試験し,JIS L 0849

に規定する乾燥,湿潤共に 3 級以上とする。

(h)

汗に対する染色竪ろう度  汗に対する染色堅ろう度は,7.4(2)(2.8)によって試験し,JIS L 0848 に規

定する A 法の変退色 3 級以上,かつ,汚染 4 級以上とする。

4.5

バックル  バックルは,次のとおりとする。

(1)

耐久性  耐久性は,7.5(1)によって試験し,バックルに著しい損傷,摩耗などがないこと。

(2)

圧縮性  圧縮性は,7.5(2)よって試験し,バックルが解離せず,かつ,試験後,通常に使用できること。

(3)

部分的結合  部分的結合が生じた場合でも,22N 以下で分離できなければならない。

(4)

解離力  解離力は,7.5(3)(a)又は(b)によって試験し,140N 以下とする。

4.6

長さ調節具  長さ調節具は,次のとおりとする。

(1)

長さ調節力  長さ調節力は,7.6(1)によって試験し,50N 以下とする。

(2)

チルトロック式長さ調節具のチルトロック角度  チルトロック式長さ調節具のチルトロック角度は,

7.6(2)

によって試験し,30°以上とする。

4.7

取付具  取付具は,次のとおりとする。

(1)

ボルトの引張強さ  ボルトの引張強さは,7.7(1)によって試験し,取付具の種類によって表 に示す引

張荷重に耐えること。

表 4  ボルトの引張荷重

取付具の種類

引張荷重 kN

単式 22.3

複式 40.0

(2)

保持金具の強さ  アイボルトに連結する取付具本体で付図 に示すような保持金具を備えているフッ

クの場合には,保持金具の強さは,7.7(2)によって試験し,保持金具が垂直方向及び水平方向に 2mm

以上動かないこと。

4.8

巻取装置  巻取装置は,次のとおりとする。

(1)

緊急ロック式巻取装置  緊急ロック式巻取装置(略称 ELR)は,次のとおりとする。

(a)

巻込力  巻込力は,7.8(1)によって試験し,二点式シートベルト用及び三点式シートベルトの腰部用

では 2.6N 以上とし,三点式シートベルトの肩部用では 1∼7N とする。

また,7.8(4)に規定する耐久性試験後の巻込力は,その耐久性試験前の巻込力の値の 50%以上とす

る。

(b)

緊急ロック性能  緊急ロック性能は,7.8(4)に規定する耐久性試験の前後において,7.8(2)によって

試験し,

表 の記号で分類したいずれかの一つの性能を満足しなければならない。


5

D 4604-1995

表 5  巻取装置に加わる加速度・ロック距離,ウエビングに加わる引出し加速度・ロック 

距離及び非ロック角度

記号(

3

)

巻取装置に加わる加速度及

びロック距離

ウエビングに加わる引出し

加速度及びロック距離

非ロック角度(

5

)

加速度

ロック距離(

4

)

加速度

ロック距離(

4

)

 m/s

2

 mm m/s

2

 mm

V 6.9

25

以下

− 12°以下

W

− 6.9

25

以下

2.9

50

以上

VW 6.9

25

以下 19.6 50 以下 12°以下

2.9

50

以上

VWe 4.4 50

以下 19.6 50 以下 12°以下

7.8

50

以上

VN 14.7

25

以下

− 12°以下

WN

− 14.7

25

以下

2.9

50

以上

VWN 14.7 25

以下 19.6 50 以下 12°以下

2.9

50

以上

VWNe 8.3  50

以下 19.6 50 以下 12°以下

9.8

50

以上

(

3

)  V

:vehicle sensitive(車体感応)の略記号。

W

:webbing sensitive(ウエビング感応)の略記号

VW

:vehicle and webbing sensitive (dual sensitive)  (二重感応)の略記号。

e

:Europe(ヨーロッパ)の頭文字。

N

JIS D 0101 に規定する普通車(乗用車を除く。

)に限って使用してもよい巻取装

置の記号。

(

4

)

規定した加速度を加え,巻取装置がロックするまでの巻取装置からのウエビングの引

出し量。

(

5

)

巻取装置を自動車の標準取付状態から傾けてロックしない角度。

(c)

耐久性  耐久性は,7.8(4)に規定する耐久性試験の各段階で,各部に異状がなく,ウエビングを滑ら

かに巻き込むことができるものでなければならない。

(d)

引張強さ  引張強さは,7.8(4)に規定する耐久性試験の後,7.8(5)によって試験し,巻取装置が拘束

機能を失ってはならない。

(2)

自動ロック式巻取装置  自動ロック式巻取装置(略称 ALR)は,次のとおりとする。

(a)

巻込力  巻込力は,7.8(1)によって試験し,2.6N 以上で,かつ,7.8(4)に規定する耐久性試験後の巻

込力は,その耐久性試験前の巻込力の値の 50%以上とする。

(b)

自動ロック位置  自動ロック位置は,7.8(3)によって試験し,ウエビングの移動量が 25mm 以下とす

る。

(c)

耐久性  耐久性は,7.8(4)に規定する耐久性試験の各段階で,各部に異状がなく,ウエビングを滑ら

かに巻き込むことができるものでなければならない。

(d)

引張強さ  引張強さは,7.8(4)に規定する耐久性試験の後,7.8(5)によって試験し,巻取装置が拘束

機能を失ってはならない。

4.9

ロードリミッタ  ロードリミッタは,7.9.2 によって試験し,4.10(2)(a)の規定に適合しなければなら

ない。ただし,ウエビングで構成するロードリミッタは,7.4(1)(1.1)によって試験し,その引張強さは,14.7

kN

以上とする。


6

D 4604-1995

4.10

シートベルト  シートベルトは,次のとおりとする。ただし,(1)(b)及び(2)(b)は,いずれかの適用で

もよい。

なお,ロードリミッタを含むシートベルトには,(1)(b)及び(2)(b)は,適用しなくてもよい。

(1)

静荷重性能  静荷重性能は,次のとおりとする。

(a)

シートベルトの引張強さ  シートベルトの引張強さは,7.9.1 によって試験し,シートベルトがその

荷重に耐えなければならない。

(b)

シートベルトの伸び  シートベルトの伸び(

6

)

は,7.9.1 によって試験し,ブロックの移動量がシート

ベルトの種類によって

表 のとおりとする。

(

6

)  7.9.1(2)

に示す試験を行ったときの,初荷重200 N から最大荷重のときまでのブロックの移動量。

表 6  シートベルトの伸び(

6

)

シートベルトの種類

伸び mm

二点式シートベルト

180

以下

三点式シートベルト

250

以下

(2)

動荷重性能  動荷重性能は,次のとおりとする。

(a)

シートベルトの耐荷重性  シートベルトの耐荷重性は,7.9.2 によって試験し,シートベルトが耐え

なければならない。

(b)

ダミーの移動量  ダミーの移動量は,7.9.2 によって試験し,シートベルトの種類によって表 のと

おりとする。

表 7  ダミーの移動量

シートベルトの種類

腰部移動量 mm

上胴部移動量 mm

二点式シートベルト

80

∼200

三点式シートベルト

80

∼200 100∼400

5.

構造

5.1

構造一般  シートベルトに用いる部品は,強度上適切な材料を用い,加工及び組立てを入念に行い,

乗員を傷つけるおそれがある鋭利な角,がたつきなどがなく,各部の表面処理は,良好で,容易に色あせ,

はく離しない構造とする。

5.2

ウエビング  ウエビングは,柔軟かつ強じんなたわみ性の細幅の織物であって,表面は滑らかで手

触り良く,形状むら,きずなどがなく,末端にはほぐれ止めを施してあるものとする。

5.3

バックル  バックルは,着脱が容易,かつ,確実であって,その構造は,次による。

(1)

押しボタン部の表面の面積及び最も狭い間隔(

7

)

は,押しボタンの形式によって

表 のとおりとし,押

しボタン部の表面は赤色系の色とするか,又は“押す”

“PRESS”などの文字を分かりやすく表示し,

容易に変色又は消えないものとする。

(

7

)

最も狭い間隔とは,

付図1に示す寸法をいう。

表 8  押しボタン部の表面の面積及び最も狭い間隔(

7

)

押しボタンの形式

表面の面積 cm

2

最も狭い間隔 mm

包囲形押しボタン 4.5 以上 15 以上

非包囲形押しボタン 2.5 以上 10 以上

(2)

大きさ及び形状は,着用者に傷害を与えるおそれが少ないこと。

(3)

着用者が片手で解離することができ,しかも緊急の場合には,第三者が容易に解離することができる


7

D 4604-1995

ものとする。

5.4

長さ調節具  長さ調節具は,容易に調節できる構造とし,かつ,衝撃が加わったときでも,できる

だけ調節位置がずれない構造とする。

なお,長さ調節具は,バックル,取付具又は巻取装置と一体であってもよい。

5.5

スリップガイド  スリップガイドは,ウエビングに不自然なねじれを与えない構造で,かつ,ウエ

ビングの摩耗を防ぐために,ウエビングとの接触面は滑らかでなければならない。

5.6

取付具  取付具は,取付具本体及び必要に応じてボルト,ナット,座金などからなり,二点式シー

トベルト,及び三点式シートベルトを車体に直接又は間接的に取り付けるものであって,

付図 に示すよ

うに単式取付具(記号 S)及び複式取付具(記号 W)の 2 種類とし,構造は,次による。ただし,車体構

造上やむをえず

表 以外のねじを使用する場合には,7.7(1)に準じる方法で試験して,ボルト及びナットが

表 と同等以上の引張強さをもつものでなければならない。

(1)

取付具は,使用中に,ウエビングに不自然なねじれを与えず,しかもウエビングが不用意な操作によ

って外れないような構造であること。

(2)

単式取付具は,二組のシートベルトを共通に取り付けることが困難な構成であること。

(3)

取付具のねじの呼び・等級及びナットの有効ねじ部の長さは,取付具の種類によって原則として

表 9

のとおりとする。

表 9  ねじの呼び・等級及びナットの有効ねじ部の長さ

取付具の種類

記号

ねじの呼び・等級

ナットの有効ねじ部の長さ(参考)

mm

単式 S

7/16-20UNF-2A

及び 2B

約 10

複式 W

約 13

備考  ねじは,JIS B 0208 の規定によるものとし,その許容限界寸法は,JIS B 0212 の規定に

よる。

なお,ボルトに表面処理を施した場合のねじの最大許容寸法は,外径,有効径及び

谷の径ともに 3A とする。

5.7

巻取装置  巻取装置は,ウエビングの引出し及び巻込みが滑らかで,ロックが確実にできる構造で

なければならない。

6.

材料

6.1

金属材料  金属部品に用いる金属材料は,耐食性のものか,又はさびを生じにくい表面処理を施し

たものとし,かつ,適切な強度をもつものとする。

6.2

プラスチック材料  プラスチック部品に用いるプラスチック材料は,適切な強度,難燃性及び耐熱

性をもつものとする。

6.3

繊維材料  ウエビング,縫い糸などに用いる繊維材料は,ポリエステル,ポリアミドなど適切な柔

軟性及び強度をもつものとする。

7.

試験方法

7.1

金属部品の有効面の耐食性試験  金属部品の有効面の耐食性試験は,JIS D 0201 の 6.3(耐食性試験)

又は JIS D 0202 の 4.6(耐食性試験方法)に示す方法(

8

)

によって塩水噴霧試験を行う。

なお,塩水噴霧時間は,自動車の床又はその近くに取り付けるものは 48 時間,それ以外の場所に取り付

けるもの及びバックルは 24 時間とする。


8

D 4604-1995

(

8

)

十文字のスクラッチマークは,受渡当事者間の協定によって刻まなくてもよい。

7.2

プラスチック部品の耐熱性試験  プラスチック部品(ウエビングを除く。)の耐熱性試験は,試料を,

温度 80±5℃,相対湿度 (95±5) %の雰囲気中に 24 時間放置した後,これを取り出し,直ちに 80±5℃の

乾燥機に移し 24 時間放置した後,これを取り出し,機能を妨げる変形,損傷などの有無を調べる。

7.3

有機資材部品の燃焼性試験  有機資材部品の燃焼性試験は,JIS D 1201 の 6.(燃焼試験方法)に示

す方法によって行う。ただし,時間の測定を開始した後,5 分を経過しても燃焼が B 標線に達しない場合

には,試料をコの字形取付具に取り付けた状態で,強制的に燃焼の進行を停止させ,その時点で試験を終

了することができる。この場合においては,強制的な燃焼の進行停止作業を開始するまでの時間と燃焼の

進行が停止するまでに試料が燃焼した長さとを測定する。

7.4

ウエビングの試験  ウエビングの試験は,次のとおりとする。

(1)

標準状態の性能試験  標準状態の性能試験は,全幅の試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で

24

時間放置した後,直ちに次の試験を行う。ただし,各試料は,同一条件で製造したものを用いる。

(1.1)

引張強さ試験  引張強さ試験は,試料をクランプ間距離が 220±20mm となるように引張試験機に

取り付ける。引張速度毎分約 100mm で荷重を加え,試料が破断するまで引っ張り,破断時の引張

強さを測定する。

(1.2)

幅試験  幅試験は,(1.1)の試験中に,9.8kN の引張荷重に達した時,引張試験機を停止しないで幅

を測定する。

(1.3)

伸び試験  伸び試験は,試料を引張試験機にクランプ間距離が 220±20mm となるように取り付け,

試料が緊張するように 200N の初荷重を加える。その距離内に標点距離 200mm の目盛線を引き,引

張りを開始する。引張強度毎分約 100mm で荷重を与え,荷重が 11.1kN に達したとき,標点距離を

測定する。

伸び率は,次の式によって算出する。

100

200

200 ×

=

L

ε

ここに,

ε= 伸び率 (%)

L

11.1kN

荷重時の標点距離 (mm)

(1.4)

エネルギー吸収率試験  エネルギー吸収率試験は,試料に(1.3)に示す方法で引張荷重を加え,荷重

が 11.1kN に達した時に,直ちに引張りと同速度で荷重を減じて,初荷重まで戻し,

付図 に示す荷

重−伸び線図を求める。初荷重から最大荷重までの引張荷重時の曲線から生じる仕事量面積  (△

ABD

)

,及び引張荷重時の曲線 AB と除荷重時の曲線 BC とが囲む仕事量面積  (△ABC)  を測定し,

次の式によってエネルギー吸収率を算出する。

100

×

=

ABD

ABC

η

ここに,

η: エネルギー吸収率 (%)

(2)

劣化性能試験  劣化性能試験は,全幅の試料を用い,次によって行う。ただし,各試料は(1)の試験と

同一条件で製造したものを用いる。

(2.1)

耐摩耗性試験  耐摩耗性試験は,試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で 24 時間放置した後,

直ちに次の試験を行う。

(a)

試料を

付図 5(1)に示すように試験装置に取り付け,試料の一端に質量 2.35±0.05kg のおもりをつ

るし,他端を六角棒の上に渡した後,振動ドラムに固定する。次に,振動ドラムをクランク及び


9

D 4604-1995

クランクアームによって往復運動させ,試料を繰返し速度毎分 30±1 回,行程 330±30mm で六角

棒の 2 か所の角で 2 500 回往復摩擦した後,摩擦部分が引張試験機のクランプ間に入るように取り

付け,(1.1)に示す方法によって引張強さを測定する。ただし,六角棒の 1 回使用した角は,その

まま再び使用してはならない。

(b)

試料を

付図 5(2)に示すように取り付け,ウエビングの一端に質量 1.36±0.05kg のおもりをつるし,

繰返し速度毎分 17±1 回,行程 175±25mm で長さ調節具を通じて 2 500 回往復摩擦させた後,摩

擦部分が引張試験機のクランプ間に入るように取り付け,(1.1)に示す方法によって引張強さを測

定する。

なお,この試験は,長さ調節具を通るウエビングに限って行う。

(2.2)

耐寒性試験  耐寒性試験は,試料を,温度−30±5℃の低温槽内の水平面に 1.5 時間放置した後,二

つ折りにし,折り目上に質量 2±0.05kg のおもりを載せ,そのまま,低温槽内に更に 30 分間放置す

る。次に,おもりを取り除き,低温槽から試料を取り出し,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験

を行い,破断時の引張強さを測定する。

なお,おもりにも,あらかじめ試料と同様な低温処理を行う。

(2.3) 

耐熱性試験  耐熱性試験は,試料を,温度 60±5℃,相対湿度 (65±5) %の空気中に 3 時間放置した

後,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強さを測定する。

(2.4)

耐水性試験  耐水性試験は,試料を,水 1dm

3

当たり浸透剤(

9

)

1g

を加えた温度 20±5  ℃の水中に 3

時間浸した後,これを取り出し,直ちに(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強さ

を測定する。

(

9

)

浸透剤は,試験する繊維に適合したものを用いる。例えば,アルキルフェノールと酸化エチレ

ン付加反応物を用いる。

(2.5) 

耐光性試験  耐光性試験は,織物用試料板に試料を適当な方法で取り付け,JIS B 7753 に規定する

耐候性試験機で,ガラス製フィルタは,JIS B 7753 の 4.1(1)(発光部の分光特性)の

表 2(ガラス製

フィルターの仕様)中の C を用い,JIS D 0205 の 5.5(促進耐光性試験)に規定する条件で 100 時

間照射する。ただし,ブラックパネル温度計の温度は,83±3℃とする。次に,試料を,温度 20±2℃,

相対湿度 (65±2) %で 24 時間放置した後,(1.1)に示す方法で引張強さ試験を行い,破断時の引張強

さを測定する。

(2.6) 

光に対する染色堅ろう度試験  光に対する染色堅ろう度試験は,織物用試料板に試料を適当な方法

で取り付け,JIS B 7753 に規定する耐候性試験機で,ガラス製フィルタは,JIS B 7753 の 4.1(1)

2

中の C を用い,JIS D 0205 の 5.5 に規定する条件で 100 時間の試験を行う。ただし,ブラックパ

ネル温度計の温度は,83±3℃とする。

(2.7) 

摩擦に対する染色堅ろう度試験  摩擦に対する染色堅ろう度試験は,JIS L 0849 に規定する方法に

よって行う。

(2.8)

汗に対する染色堅ろう度試験  汗に対する染色堅ろう度試験は,JIS L 0848 に規定する A 法によっ

て行う。

7.5

バックルの試験  バックルの試験は,次のとおりとする。

(1)

耐久性試験  耐久性試験は,通常の使用状態と同様な方法で結合及び解離を 5 000 回行い,バックル

の損傷,摩耗などの有無を調べる。

(2)

圧縮性試験  圧縮性試験は,バックルの解離機構の中心部を中心にして,ウエビングの通る方向の中

心線から左右 60°の範囲にわたって

付図 に示すように 1.8kN の荷重を加え,バックルの解離の有無


10

D 4604-1995

を調べる。

なお,バックルはあらかじめ結合し,330N の荷重を解離方向に加えておく。

(3)

解離力試験  解離力試験は,(1)の試験後の試料を用い,次の(a)又は(b)によって行う。

(a)

  7.9.1

に示す方法で,シートベルトに 22.3kN の荷重を加えた後,荷重を 670±40N まで下げ,最大の

解離効果を生じるような方向に,押しボタン部の端から 3.2mm 以上離れたところに力を加え,解離

するときの力を測定する。

(b)

  7.9.2

に示す方法で試験をした後,バックルを解離せずにシートベルト取付部からシートベルトを取

り外し,バックルに 330±20N の引張荷重を加え,最大の解離効果を生じるような方向に,押しボ

タン部の端から 3.2mm 以上離れたところに力を加え,解離するときの力を測定する。

7.6

長さ調節具の試験  長さ調節具の試験は,次のとおりとする。

(1)

長さ調節力試験  長さ調節力試験は,長さ調節具に通常の使用状態と同様にウエビングを取り付け,

長さ調節具を試験ジグに固定し,シートベルトの長さを短くする方向にウエビングの自由端を引張速

度毎分 500±50 mm で引っ張り,ウエビングが 25mm 以上移動してから引張力を測定する。次に,シ

ートベルトの長さを長くする方向にウエビングの他端を同様の方法で引っ張り,引張力を測定する。

なお,この試験前に 10 往復のならし調節を行う。

(2)

チルトロック式長さ調節具のチルトロック角度試験  チルトロック式長さ調節具のチルトロック角

度試験は,シートベルトを

付図 7(a)に示すような長さ調節具底面とウエビングとがなす角度を 90°に

しておき,ウエビングの長さを増す方向に引張速度毎分 500±50mm でウエビングを引っ張りながら

長さ調節具をロックする方向にゆっくり回して,

付図 7(b)に示すようにウエビングがロックして,ウ

エビングに加わる張力が 90N に達した時に回すのをやめ,そのときの長さ調節具底面とウエビングと

がなす角度を測定する。

なお,この試験前に,10 往復のならし調節を行う。

(3)

長さ調節具のマイクロスリップ試験  長さ調節具のマイクロスリップ試験は,試料を付図 に示すよ

うに取り付け,一端に質量 5±0.05kg のおもりを付け,他方の端を引っ張り,毎分 30±1 回,全行程

300

±20mm で 20 回往復させた後の長さ調節具とウエビングとの相対位置関係を初期位置とし,更に

1 000

回往復させ,その初期位置からの変位量をマイクロスリップ量として測定する。

なお,全行程中の,

付図 に示す 100±20mm にある間,おもりによって,ウエビングに張力を与

えるよう調節する。

7.7

取付具の試験  取付具の試験は,次のとおりとする。

(1)

ボルトの引張強さ試験  ボルトの引張強さ試験は,取付具を付図 に示すようなボルト取付台を用い

て引張試験機に取り付け,引張速度毎分約 100mm で荷重を加え,荷重を

表 に示す値に 5 秒間保持

する。

(2)

保持金具の強さ試験  保持金具の強さ試験は,取付具の保持金具を備えているフックを付図 に示す

ように保持金具が水平になるように取り付け,保持金具の自由端の近くに 670±10N の荷重を,垂直

及び水平にそれぞれ加え,保持金具の動きを測定する。

7.8

巻取装置の試験  巻取装置の試験は,次のとおりとする。

(1)

巻込力試験  巻込力試験は,ウエビングをいっぱいに引き出した後,ウエビング及びウエビングに取

り付けた金具の質量の影響を受けない方法で,速度毎分約 500mm で巻き込ませながら,有効長さ(

10

)

の 25%±50mm の巻込点で巻込力を測定する。ただし,巻込力を一時的になくすか又は減少する機構

を備える巻取装置は,その機構が作動しないようにして試験を行ってもよい。


11

D 4604-1995

なお,上部スリップガイドを用いた巻取装置では,

付図 10 に示すように上部スリップガイド以外の

影響を受けない方法で速度毎分約 500mm で巻き込ませながら,有効長さの 25%±50mm の巻込点で巻

込力を測定する。

(

10

)

シートベルトを自動車に取り付けて,シートベルトを使用していない状態での巻取装置に蓄え

ているウエビングの長さ。

(2)

緊急ロック試験  緊急ロック試験は,巻取装置を 50ms 以内で,それぞれ 2.9 m/s

2

, 4.4m/s

2

, 6.9m/s

2

,

7.8m/s

2

, 9.8m/s

2

, 14.7m/s

2

及び 19.6m/s

2

の加速度に達する機能をもつ,

付図 11 (a)又は(b)に示すような

試験装置に取り付け,次の条件で試験を行い,ロックの有無及びウエビングの引出し量を測定する。

なお,非ロック角度は,巻取装置を自動車の標準取付状態から進行方向の前後左右方向に 12°まで

の傾きを加え,ロックの有無を調べる。

(a)

ウエビングの位置は,有効長さの 25%を巻き込んだ付近とする。

(b)

巻取装置に加える加速度及びウエビングに加える引出し加速度は,

表 に規定する加速度とする。

(c)

取付角度及び加速方向は,

表 10 のとおりとする。

表 10  緊急ロック試験の巻取装置の取付角度及び加速方向

巻取装置の取付角度

加速方向

対応する記号

巻取装置の加速方向

ウエビングの加速方向

自動車への標準取付角度

自動車の進行方向の前後左右

 V, VN

巻取装置の巻取軸と水平面
とが,0°,45°,90°,135°

及び 180°となる取付角度。

ウエビングの引出し方向 W,

WN

自動車への標準取付角度

自動車の進行方向の前後左右

自動車への標準取付状態で

のウエビングの引出し方向

VW, VWe,

VWN, VWNe

(3)

自動ロック位置試験  自動ロック位置試験は,通常使用する引出し方向に,ウエビングをいっぱい引

き出した後,有効長さの 25%を巻き込んだ付近の隣り合う二つのロック位置で順次ロックさせ,引出

し方向におけるロック位置の間隔を,ウエビングの移動量で測定する。

(4)

耐久性試験  巻取装置の耐久性試験は,同一試料について,次の順に従って行う。

(4.1)

耐食性試験  耐食性試験は,ウエビングを巻取装置内に巻き込んだ状態で,7.1 によって試験した後,

手動によって引出し及び巻込みを行いながら十分に水洗いをした後,ウエビングをいっぱいに引き

出したまま大気中で 24 時間乾燥した後,手で完全な引出し及び巻込みをそれぞれ 25 回行い,作動

状態を調べる。

(4.2)

引出し・巻込みの繰返し試験  引出し・巻込みの繰返し試験は,ウエビングを巻取装置から完全に

引き出して,ウエビングに 90N の張力を加え,次に,ウエビングを巻取装置に完全に巻き込ませる。

これを 1 サイクルとし,毎分 30 サイクル以下の割合で 2 500 サイクル繰り返した後,作動状態を調

べる。ただし,上部スリップガイドを用いた巻取装置では,有効長さまで巻き込ませるのを 1 サイ

クルとする。

なお,試験装置は,

付図 12 に示すようなものを用いる。

(4.3) 

耐熱性試験  耐熱性試験は,ウエビングを巻取装置に巻き込んだ状態で,7.2 によって試験した後,

(4.2)

と同様の方法で 2 500 サイクル繰返し試験を行い,作動状態を調べる。

(4.4) 

耐じん試験  耐じん試験は,付図 13 に示すように耐じん試験装置の漏斗状部 (A) に,JIS Z 8901

に規定する試験用ダスト 7 種を 0.9kg 入れた後,棚部 (B) に巻取装置を置き,ウエビングの一部を

往復用取付具 (C) でつかみ,装置内最上部まで引し出しておく。以上の準備が終了した後,油分及


12

D 4604-1995

び湿分が少ない圧縮空気を,直径 1.5 士 0.1mm のオリフィスを通じて,20 分ごとに 550±50kPa の

圧力で 5 秒間装置内に吹き込み,試験用ダストを散乱させ,直ちにウエビングを 300mm 以上引き

出した後,巻き込む。この操作を 1 分間に 5 回の割合で 2 分間行った後,ウエビングを最初の位置

に戻し,18 分間休止する。この操作を連続して 5 時間繰り返した後,手で完全な引出し及び巻込み

をそれぞれ 25 回行い,その作動状態を調べる。

なお,試験用ダストは,受渡当事者間の協定によって,

附属書に規定する SAE ダスト又は ECE

ダストを用いてもよい。

(4.5) 

繰返し試験  繰返し試験は,次のとおりとする。

(a)

緊急ロック式巻取装置の繰返し試験は,(4.2)と同様の方法で,ウエビングの 50%以下の引出しか

ら 100 %引出しまでの間での繰返しを 45 000 サイクル行う。

なお,

(4.2)

(4.3)

及び(4.5)(a)の合計 50 000 サイクルの繰返し試験のうち,

10 000

サイクル以上は,

ウエビングの 50%引出しから 100%引出しまでの間で,ロック機構を作動させて試験しなければな

らない。

(b)

自動ロック式巻取装置の繰返し試験は,(4.2)と同様の方法で,繰返しを 5 000 サイクル行う。

(5)

引張強さ試験  引張強さ試験は,ウエビングを巻取装置から完全に引き出した状態及びウエビング全

引出し量の 25%を巻取装置に巻き込んだ付近で巻取装置をロックした状態で,巻取装置をそれぞれ引

張試験機に取り付け,通常の引出し方向に引張速度毎分約 100mm で,二点式シートベルト用及び三

点式シートベルトの腰部用では 11.1kN,三点式シートベルトの肩部用では 6.7kN,三点式シートベル

トの腰部と肩部とに共用ものでは 13.3kN の荷重を加えて試験する。

7.9

シートベルトの試験

7.9.1

静荷重試験  静荷重試験は,試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で 24 時間放置した後,次

によって試験を行う。

(1)

試験装置  試験装置は,付図 14 及び付図 15 に示すようにブロック,取付台,アダプタ及び引張試験

機からなり,次のとおりとする。

(a)

ブロック  ブロックは,付図 14 及び付図 15 に示すように転がり軸受によって支持した直径 100mm

のローラ 2 個で構成し,試料が試験中にローラ以外に接触しない構造とし,かつ,(2)に規定する引

張荷重に耐えるために十分な剛性をもつこと。

(b)

取付台  取付台は,取付具,補助金具及びアダプタなどの取付けができる構造とし,かつ,(2)に規

定する引張荷重に耐えるために十分な剛性をもつこと。

(c)

アダプタ  アダプタは,(2)に規定する引張荷重に耐えるために十分な剛性をもち,かつ,ウエビン

グと取付具本体とのなす角度がほぼ 90°になるような構造とする。

アイボルトと共に用いる取付具本体は,ウエビングに平行とする。ただし,特定の自動車用に設

計したシートベルトの取付ボルト及び取付具本体の場合には,その自動車に取り付ける方向と同方

向に取り付くものであってもよい。

(d)

引張試験機  引張試験機は,引張速度毎分約 100mm で(2)に規定する荷重を繰り返し加えることが

できるものであること。

(2)

試験方法  試験方法は,シートベルトの種類によって次のとおりとする。

なお,巻取装置を取り付けたシートベルトでは,有効長さの 25%を巻き込んだ付近でロック機構を

働かせた状態で行う。この場合に,取付けは通常の取付方法とする。

(a)

二点式シートベルトの場合には,試料を試験装置に,ループ長さを約 1 300mm にして

付図 14 に示


13

D 4604-1995

すように取り付け,引張荷重を加え,荷重が 22.3kN に達した後,荷重を 670±40N に下げて,各部

の異状の有無を調べる。次に,7.5(3)(a)に示す方法で解離力を測定する。ただし,ループ長さが 1

300mm

未満となる場合には,その最大長さとする。

また,初荷重 200N のときから最大荷重のときまでのブロックの移動量を測定し,シートベルト

の伸びとして記録する。

(b)

三点式シートベルトの場合には,試料を試験装置に,ループ長さを約 1 300mm にして

付図 15 に示

すように取り付け,腰部試験及び肩部試験のときでバックルにスリップガイドを用いたものは,ウ

エビングがずれないように

付図 15 に示すようなクランプで固定し,引張荷重を加え,荷重が腰部試

験では 22.3kN,肩部試験では 13.3kN,共通試験では 26.7kN に達した後,荷重を 670±40N に下げ

て,各部の異状の有無を調べる。ただし,ループ長さが 1 300mm 未満となる場合には,その最大長

さとする。

さらに,腰部試験では,7.5(3)(a)に示す方法で解離力を測定する。

また,腰部試験及び肩部試験では,初荷重 200N のときから最大荷重のときまでのブロックの移

動量を測定し,シートベルトの伸びとして記録する。

7.9.2

動荷重試験  動荷重試験は,試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で 24 時間放置した後,次

によって試験を行う。

(1)

試験装置  試験装置は,台車及び推進装置,試験用シート,シートベルト取付部,ダミー及び計測装

置からなり,次のとおりとする。

(1.1)

台車及び推進装置  台車及び推進装置は,試験用シート,シートベルト取付部,シートベルト,ダ

ミーなどを支えるために十分な剛性をもち,それらを取り付けた状態で,(2.2)に示す台車速度及び

加速度又は減速度を繰り返し測定できるものとする。

(1.2) 

試験用シート  試験用シートは,シートクッション及びシートバックを表面が滑らかでかつ堅固な

金属製とし,寸法及びシートクッションとシートバックとがなす角度は

付図 16 に示すとおりとする。

ただし,特定の自動車用に設計したシートベルトでは,その自動車のシートを用いてもよい。その

場合のシートバックの倒れ角度は,シートの設計基準に合わせる。

(1.3)

シートベルトの取付部  シートベルトの取付部は,次のとおりとする。

(a)

シートベルトの取付部の位置  シートベルトの取付部の位置は,付図 16 に示すとおりとする。た

だし,特定の自動車用に設計したシートベルトでは,そのシートベルト取付部の位置をその自動

車の設計基準位置に設けてもよい。

(b)

シートベルトの取付部の剛性  シートベルトの取付部の剛性は,前方に 980N の荷重を加えたとき

に上部取付部が 0.2mm 以上変位してはならない。ただし,特定の自動車用に設計したシートベル

トでは,その自動車の取付部付近の剛性と同等か,又は,それ以上の剛性をもつ構造物を用いて

もよい。

(1.4)

ダミー  ダミーは,質量 75kg のものを用いる。

なお,ダミーには,適切な寸法の衣服を着用させる。

(1.5) 

測定装置  測定装置は,台車速度の測定装置,台車の加速度又は減速度の測定装置,ダミーの移動

量の測定装置からなり,次のとおりとする。

(a)

台車速度の測定装置は,試験に用いる台車及び推進装置に適した装置によるものとし,その測定

速度の単位は,0.5km/h 以下とする。

(b)

台車の加速度又は減速度は,台車の前後方向で測定する。


14

D 4604-1995

なお,用いる加速度計の最大容量は,980m/s

2

以下とし,測定装置の周波数特性は,JIS D 1050

に規定する周波数クラス 60 に適合すること。ただし,台車速度を加速度又は減速度から算出する

場合には,周波数クラス 180 に適合すること。

(c)

ダミーの移動量の測定装置は,ダミーの腰部及び上胴部の移動量の解析に適したものとする。

(2)

試験方法  試験方法は,次のとおりとする。

(2.1) 

試験準備  試験準備は,減速式の台車では,台車の進行方向が自動車の前方向になるようにし,加

速式の台車では,台車の進行方向が自動車の後ろ方向になるようにして,試験用シートの前後方向

を合わせ,

かつ,

試験用シートの中央縦断面を台車の進行方向に平行になるように台車上に固定し,

シートベルトをシートベルト取付部に取り付け,厚さ 25mm,縦約 500mm,横約 300mm の板をダ

ミーの背部と試験用シートのシートバックとの間に置いてダミーを座らせ,シートベルトで緊縛す

る。次に,その板を取り除き,ダミーの背中全体をシートバックにもたれさせる。

(2.2) 

試験  試験は,(2.1)に示す方法によって試験の準備を行った後,次に示す方法によって行う。

(a)

台車の衝突速度は,

0

2

50

km/h

とする。

(b)

台車の加速度又は減速度の波形は,

付図 17(a)に示す斜線部内にあること。

なお,受渡当事者間の協定によって,

付図 17(b)に示す斜線部内にある波形を用いてもよい。

(c)

試験中に,ダミーの挙動を観察し,かつ,

付図 18 に示す腰部測定点及び上胴部測定点の前方移動

距離をそれぞれ腰部移動量及び上胴部移動量として測定する。

(d)

試験後,シートベルトの耐荷重部材の破損,並びに機能を損なうおそれがある変形及びき裂を調

べた後,7.5(3)(b)に示す方法によってバックルの解離力試験を行う。

8.

表示  シートベルトの適当な位置に,次の事項を表示する。ただし,(3)は,巻取装置を取り付けたシ

ートベルトの場合に限る。

(1)

名称若しくは英文名称又はその略称

1.  自動車用シートベルト

2.  seat belt for road vehicles

3.  シートベルト

4. seat

belt

(2)

種類又はその記号

1.  二点式シートベルト

2. III

3. IIIE

(3)

巻取装置の種類の略称及び記号

1. ALR

2. ELR−V

3. ELR−VW

(4)

製造業者名又はその略号

(5)

製造年又はその略号

(6)

製造番号


15

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9.

取扱説明書  シートベルトには,取扱説明書を添付し,次の注意事項を記入する。ただし,特定の自

動車の製造時に装備するシートベルトであって,その自動車の取扱説明書の中に次の(2)(7)を含む場合に

は省略をしてもよい。

(1)

車体に取り付ける方法

  シートベルトは,ドア開閉操作の際にバックルをできるだけ損傷しないような位置に取り付けな

ければならない。 

(2)

乗員に着用する方法

  一組のシートベルトは,ベルトが乗員の後方で交差して乗員の胴体を巻き付けるような形に取り

付けてはならない。 

(3)

巻取装置付きシートベルトを着用する方法

(4)

緊急の場合の処置

(5)

保全の方法

(6)

交換の事項

(7)

その他の必要事項

付図 1  押しボタン部の面積及び最も狭い間隔


16

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付図 2  保持金具の強さ試験

付図 3  取付具の種類


17

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付図 4  荷重−伸び線図

付図 5  耐摩耗性試験方法

備考  六角棒は,次のとおりとする。

材料

JIS G 4303

の SUS 416 又は同等品

かどの半径 mm

0.5

±0.1

二面幅 mm

6.35

±0.03

硬さ HRB

97

∼101

表面仕上げ

冷間引抜き仕上げ程度


18

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付図 6  バックルの圧縮性試験


19

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付図 7  チルトロック式長さ調節具のチルトロック角度試験


20

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付図 8  長さ調節具のマイクロスリップ試験


21

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付図 9  ボルトの引張強さ試験


22

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付図 10  上部スリップガイド付巻取装置の巻込力試験方法


23

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付図 11  緊急ロック試験装置(例)

付図 12  引出し・巻込みの繰返し試験機(例)


24

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付図 13  耐じん試験装置


25

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付図 14  二点式シートベルトの静荷重試験

備考  ループ長さは,A からウエビングに沿って B まで測ったときに,

約 1 300mm になるようにする。ただし,ループ長さが 1 300 mm
未満となる場合には,その最大長さとする。


26

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付図 15  三点式シートベルトの静荷重試験

備考  ループ長さは,A からウエビングに沿って B まで測ったときに,約 1 300mm になるようにする。ただし,ル

ープ長さが 1 300mm 未満となる場合には,その最大長さとする。


27

D 4604-1995

付図 16  試験用シートの寸法及びシートベルトの取付部の位置

備考1.  ○印は,シートベルトの取付部の位置を示す。

2.

バックル上端部と下部取付具の取付穴との間の長さが 250mm 以下の場合には,取付部は A, B 及び K
を使用する。それ以外の場合には,A

1

, B

1

及び K を使用する。

3.

巻取装置の取付部が必要な場合には,その取付部は,K 及び B

1

を通り,台車の進行方向に平行となる

平面上にあり,かつ,巻取装置の設計取付け角度に取り付けることができるものであること。

また,上部スリップガイドと巻取装置のウエビング出口との間の設計取付け長さが 540mm 以上の場

合には,半径 KB

1

=790mm の円弧上に取り付け,それ以外の場合には,中心を K とする半径 350mm

の円弧上に取り付けること。

4.

寸法の許容差は,±5mm とする。

5.

(  )を付けた寸法は,参考値である。


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付図 17  台車の加速度又は減速度の許容範囲

備考  台車の加速度又は減速度の波形は,図中の斜線部内になければならない。ただし,波形立

ち上がりの作用時間軸上の原点は,

図に示す作用時間軸の 0ms の点に一致しなくてもよい。

備考  台車の加速度又は減速度の波形は,図中の斜線部内になければならない。


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付図 18  試験用シートに着座したダミーの上胴部測定点及び腰部測定点

備考  T は,ダミーの中心線上で背面に位置する上胴部測定点を示す。

P

は,ダミーの中心線上で背面に位置する腰部測定点を示す。


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附属書  試験用ダスト

1.

適用範囲  この附属書は,巻取装置の耐じん試験に用いる試験用ダストについて規定する。

関連規格  JIS Z 8703  試験場所の標準状態

2.

種類  試験用ダストは,次の 3 種類とする。

(1)

  JIS Z 8901

に規定する 7 種(以下,JIS 試験用ダスト 7 種という。

(2)

  SAE

ダスト

(3)

  ECE

ダスト

3.

化学成分  試験用ダストの化学成分は,附属書表 及び附属書表 のとおりとする。

なお,ECE ダストは,石英とする。

附属書表 1  JIS 試験用ダスト  

の化学成分

成分

質量百分率

 %

SiO

2

 34

∼40

Fe

2

O

3

 17

∼23

A1

2

O

3

 26

∼32

CaO 0

∼3

MgO 3

∼7

TiO

2

0

∼4

強熱残量

0

∼4

備考  真密度は,2.9∼3.1 g/cm

3

とする。

附属書表 2  SAE ダスト 

の化学成分

成分

質量百分率

 %

SiO2 67

∼69

Fe2O3 3

∼5

A12O3 15

∼17

CaO 2

∼4

MgO 0.5

∼1.5

全アルカリ量

3

∼5

強熱残量

2

∼3

備考  真密度は,2.6∼2.7 g/cm

3

とする。

4.

粒径分布  試験用ダストの粒径分布は,附属書表 及び附属書表 のとおりとする。

附属書表 3  JIS 試験用ダスト 種及び 

SAE

ダストの粒径分布

粒径

ふるい上

µm %

5 88

±5

10 76

±3

20 62

±3

30 50

±3

40 39

±3

75 20

以下

附属書表 4  ECE ダスト 

の粒径分布

粒径

ふるい上

µm %

75 30

∼40

106 14

∼24

150

0

∼ 1

参考  試験用ダストは,いずれも社団法人  日本粉体工業技術協会(電話 03-3815-3955, 075-761-7123)

から入手できる。


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参考  シートベルトの種類及びウエビング

この参考は,本体の規定に関する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

シートベルトの種類  シートベルトの種類の一例を,参考図 に示す。

参考図 1  シートベルトの種類(例)

2.

ウエビング  シートベルト着用時に直接乗員に接触しないウエビングの一例,及び周囲を樹脂製カバ

ーなどで覆っているウエビングの一例を,

参考図 に示す。


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参考図 2  シートベルト着用時に直接乗員に接触しないウエビング(例)及び 

周囲を樹脂製カバーなどで覆っているウエビング(例)


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社団法人  日本自動車部品工業会シートベルト JIS 改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

佐  藤      武

慶應義塾大学理工学部

林      洋  和

通商産業省機械情報産業局

三  宅  哲  志

運輸省自動車交通局技術安全部

入  江  康  彦

運輸省交通安全公害研究所

倉  澤  豊  哲

警察庁交通局

山  村  修  蔵

工業技術院標準部

中  込  常  雄

日本工業標準調査会

加  山  英  男

財団法人日本規格協会技術部

福  田  亜  弘

財団法人日本自動車研究所第 3 研究部

田  中  兼  吉

社団法人日本バス協会技術部

吉  田  静  江

消費科学連合会

林      広  敏

社団法人日本自動車連盟業務部

宮  西  伸  之

社団法人日本自動車車体工業会

杉  本  十三雄

株式会社本田技術研究所栃木研究所

大  宮      稔

日産自動車株式会社内装設計部

田  辺  賢  治

三菱自動車工業株式会社乗用車開発本部装備設計部

杉  浦  貞  雄

トヨタ自動車株式会社第 2 ボデー設計部

内  山  雅  弘

日野自動車工業株式全社ボデーRD 部

西鍛冶      聡

マツダ株式会社車両設計統括部

長  尾  紘  輔

芦森工業株式会社自動車安全部品開発部

山  内  良  平

日本精工株式会社セイフティテクニカルセンター

熊  谷  敏  彦

富士機工株式会社シートベルト事業部業務部

安  藤  隆  行

株式会社東海理化電機製作所第 2 技術部

吉  田  良  一

タカタ株式会社評価部

小  関  智  弘

浜松工業株式会社

横  山  秀  夫

豊田紡織株式会社

渡  辺  健  治

ホシノ工業株式会社第 1 製造部

佐々木      徹

菊地工業株式会社

塚  本  靖  夫

株式会社パイロセーフティデバイス

湊      可  一

日本工機株式会社加工加工製品部

小  林  隆  二

社団法人日本自動車部品工業会技術部

(事務局)

冨  樫      晃

社団法人日本自動車部品工業会技術部