日本工業規格
JIS
D
3106
-1988
自動車機関用半割つば付き滑り軸受
Sleeve Type Flanged Half Bearings for Automobile Engines
1.
適用範囲 この規格は,自動車機関の主軸受(以下,軸受という。)のうち,半割つば付き軸受の主要
寸法,その許容差などについて規定する。
備考 この規格は,正寸軸受(スタンダードサイズ軸受)のほか,減寸軸受(アンダサイズ軸受)の
主要寸法及びこれに密接な関連をもつ部分の寸法にも適用する。
引用規格:
JIS B 0601
表面粗さの定義と表示
対応国際規格:
ISO 6864
Plain bearings−Thin-walled flanged half bearings−Dimensions, tolerances and methods of
checking
関連規格:JIS D 3102 自動車機関用半割滑り軸受
2.
寸法,公差及び許容差
2.1
ジャ−ナル軸受部の寸法,公差及び許容差
2.1.1
軸受の厚さ 軸受の厚さは,次のとおりとする。
(1)
正寸軸受の厚さの基準寸法は,
表 1 に○印で示すとおりとする。
表 1 厚さの基準寸法
単位 mm
厚さの基準寸法
ハウジング内径
1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
40
以上
45
以下
○
○
−
−
−
−
45
を超え 60 以下
○
○
○
−
−
−
60
を超え 85 以下
−
○
○
○
−
−
85
を超え 110 以下
−
−
○
○
○
−
110
を超え 125 以下
−
−
−
○
○
○
125
を超え 150 以下
−
−
−
−
○
○
(2)
軸受の厚さの公差は,
表 2 に示すとおりとする。ただし,選択はめあい用軸受の厚さの公差について
は,受渡当事者間の協定による。
2
D 3106-1988
表 2 厚さの公差
単位 mm
厚さの公差
ハウジング内径
表面層めっき
なし軸受
表面層めっき
付き軸受
40
以上
60
以下
0.008 0.012
60
を超え 110 以下
0.010 0.015
110
を超え 150 以下
0.015 0.022
(3)
端部厚さは,中央部厚さより減少させる(
図 1)。ただし,使用条件によって同一寸法でもよい。
図 1 端部厚さ
(4)
減寸軸受の厚さの増加寸法は,原則として
表 3 に示すとおりとする。
表 3 減寸軸受の厚さの増加寸法
単位 mm
減寸軸受の呼び
軸受の厚さの増加寸法
0.25 0.125
0.50 0.250
0.75 0.375
1.00 0.500
2.1.2
軸受のつめの寸法及びハウジングのつめ溝の寸法 軸受のつめの寸法及びハウジングのつめ溝の
寸法は,次のとおりとする。
(1)
軸受のつめの寸法及び許容差は,原則として
表 4 に示すとおりとする。
(2)
軸受のつめり位置 (H) は,加工上の制限によって端部から厚さの 1.5 倍以上(H≧1.5×厚さ)で,か
つ,3mm 以上 (H≧3mm) の位置に設けなければならない。ただし,この制限を超える場合は,受渡
当事者間の協定による。許容差は±0.1mm とする。
(3)
軸受に円周溝がある場合のつめの位置 (J) は,加工上の制限によって溝内に設けるか,又は溝の切上
りから 2mm 以上 (J≧2mm) 離さなければならない。ただし,この制限を超える場合は,受渡当事者
間の協定による。
(4)
ハウジングのつめ溝の幅 (E) 及び許容差は,原則として
表 5 に示すとおりとする。ただし,深さ (G)
及び長さ (Nz) は参考値である。
3
D 3106-1988
表 4 軸受のつめの寸法及び許容差
単位 mm
幅 (A)
突出 (N
D
)
長さ (B)
軸受の厚さ
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
1.5 3.0
1.0
4.0
2.0 4.0
1.4
5.6
2.5 5.0
1.4
5.6
3.0 6.0
1.7
8.7
3.5 6.0
1.7
8.7
4.0 6.0
0
−0.1
1.7
0
−0.25
8.7
0
−0.8
4
D 3106-1988
表 5 ハウジングのつめ溝の幅及び許容差
単位 mm
参考
幅 (E)
深さ (G)
長さ (N
z
)
軸受の厚さ
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
1.5 3.4
1.6
5.6
2.0 4.4
2.0
7.2
2.5 5.4
2.0
7.2
3.0 6.4
2.4
10.3
3.5 6.4
2.4
10.3
4.0 6.4
+0.15
0
2.4
+0.5
0
10.3
+1.5
0
2.1.3
クラッシリリーフ クラッシリリーフは,次のとおりとする。
(1)
クラッシリリーフの長さ (H
D
)
の許容差は,
表 6 に示すとおりとする。
(2)
クラッシリリーフの深さ (P
D
)
は,原則として 0.01〜0.05mm の範囲とし,必要な寸法は受渡当事者間
の協定による。
(3)
クラッシリリーフは,軸受幅全体に設ける。
表 6 クラッシリリーフの長さの許容差
2.1.4
油溝 油溝は,次のとおりとする(図 2)。
(1)
油溝の幅 (G
w
)
の許容差は,±0.25mm とする。
(2)
油溝底部の残り厚さ (G
E
)
の許容差は,±0.15mm とする。ただし,残り厚さは最小 0.7mm を確保す
ること。
(3)
油溝の軸方向位置の許容差は,±0.25mm とする。
(4)
油溝の形状は
図 2 によるが,受渡当事者間の協定によって他の形状を使用してもよい。
(5)
油溝底の R 寸法は,0.8mm 以下とする。
5
D 3106-1988
図 2 油溝
2.1.5
油穴 油穴は,次のとおりとする。
(1)
油穴の穴径の許容差は,±0.25mm とする。
(2)
油穴の位置の許容差は,軸方向±0.25mm,円周方向±1°とする。
(3)
油穴の内外面には面取りはなくてもよい。ただし,有害なばりがあってはならない。
2.1.6
張り 軸受の張り(図 3)は,ハウジング最大内径+0.05〜+0.4mm とし,必要な寸法は受渡当事
者間の協定による。
図 3 張り
備考 張りとは,半割軸受の自由
状態の直径方向の寸法を
いう。
2.1.7
軸受の高さの公差 軸受の高さの公差は,表 7 に示すとおりとする。
6
D 3106-1988
表 7 軸受の高さの公差
注(
1
)
ゲージ径及び測定荷重は,受渡当事者間の協定による。
単位 mm
ハウジング内径
高さの公差
40
以上
45
以下 0.03
45
を超え 85 以下 0.04
85
を超え 150 以下 0.05
2.2
つば部の寸法,公差及び許容差
2.2.1
つばの厚さ つばの厚さは,次のとおりとする。
(1)
つばの厚さは,規定しない。
(2)
両側のつばの厚さの差の許容差は,±0.06mm とする。
(3)
減寸軸受のつばの減寸寸法については,受渡当事者間の協定による。
2.2.2
軸受の幅 軸受の幅の許容差は,
0
075
.
0
−
mm
とする。
2.2.3
つば間寸法 つば間寸法の許容差は,
085
.
0
0
+
mm
とする。
2.2.4
つば外径 つば外径の寸法は,加工上の制限によってハウジング内径の 1.25 倍以下とする。ただ
し,この制限を超える場合は,受渡当事者間の協定による。
なお,許容差は±1mm とする。
2.2.5
スラスト面の油溝 スラスト面の油溝は,次のとおりとする(図 4)。
(1)
油溝の形状は,
図 4 の(a)又は(b)のいずれかによる。ただし,受渡当事者間の協定によって他の形状を
使用してもよい。
(2)
油溝の曲率半径 (r) の許容差は,±0.3mm とする。
(3)
油溝の残り幅 (G
WL
)
の許容差は,
5
.
1
0
+
mm
とする。
(4)
油溝の位置 (G
x
)
の許容差は,
表 8 に示すとおりとする。
(5)
油溝底部の残り厚さ (G
ET
)
の許容差は,±0.15mm とする。
(6)
油溝の幅 (G
WT
)
の許容差は,±0.25mm とする。
(7)
油溝角度 (G
wA
)
の許容差は,±5°とする。
7
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表 8 油溝の位置の許容差
単位 mm
ハウジング内径
油溝の位置 (G
x
)
の許容差
40
以上 60 以下
±1.5
60
を超え 150 以下
±2.5
図 4 スラスト面の油溝
2.2.6
スラスト面の合せ面リリーフ スラスト面の合せ面リリーフは,次のとおりとする(図 5)。
(1)
合せ面リリーフの長さ (l) の許容差は,±2mm とする。
(2)
合せ面リリーフの深さ (t) は,原則として 0.1〜0.3mm とする。
(3)
合せ面リリーフは,スラスト面全幅に設ける。
2.2.7
つば合せ面リリーフ つば合せ面リリーフは,原則として図 6 に示すとおりとする。
図 5 スラスト面の合せ面リリーフ
図 6 つば合せ面リリーフ
単位 mm
2.2.8
つば付け根部形状 つば付け根部形状は,図 7 に示すとおりとする。
8
D 3106-1988
図 7 つば付け根部形状
注(
2
) J
J
は,スラスト面からジャーナル軸受面までの軸方向の長さを表す。
(
3
) T
J
は,スラスト面と R 面頭部との段付深さを表す。
(
4
) T
T
は,ジャーナル軸受面からスラスト面までの半径方向の長さを表す。
(
5
) J
T
は,ジャーナル軸受面と R 面取部との段付深さを表す。
3.
表面粗さ 軸受各部の表面粗さは,JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)の最大高さ (R
max
)
を適用し,
各部の粗さは次による。ただし,表面層めっき付き軸受の場合は,めっき前の粗さとする。
(1)
軸受内面(ジャーナル軸受面) 3.2S
(2)
軸受外面(ジャーナル軸受部背面) 6.3S
(3)
軸受合せ面 6.3S
(4)
スラスト面 6.3S
(5)
つば背面 6.3S
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D 3106-1988
平軸受分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
赤 岡 純
玉川大学工学部機械工学科
(幹事)
稲 田 昭
大同メタル工業株式会社技術研究所
稲 垣 謙 三
通商産業省機械情報産業局
江 口 信 彦
工業技術院標準部
藤 原 孝 誌
工業技術院機械技術研究所
内 田 雅 晴
いすゞ自動車株式会社産業エンジン設計部
北 林 史 郎
鈴木自動車工業株式会社四輪第 3 設計部
村 山 和 正
ダイハツ工業株式会社エンジン部
大 堀 正 衛
トヨタ自動車株式会社第 1 エンジン部
小檜山 昭 二
日産自動車株式会社機関設計部
服 部 和 隆
日産ディーゼル工業株式会社開発本部機関設計部
前 田 義 秀
日野自動車工業株式会社第 3 研究部
小 林 正 志
富士重工業株式会社研究実験第 3 部
松 岡 進
株式会社本田技術研究所栃木研究所
森 田 哲 也
マツダ株式会社パワートレイン設計部
時 松 和 寿
三菱自動車工業株式会社トラック・バス技術センター
エンジン技術部
桑 山 幸 男
エヌデーシー株式会社設計部
山 口 健 一
大豊工業株式会社第 1 開発部
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会
(関係者)
荻 田 幸 男
大同メタル工業株式会社技術研究所
(事務局)
柳 井 礼 子
社団法人自動車技術会