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日本工業規格

JIS

 D

3104

-1996

自動車用エンジン−ピストン

Automotive engines

−Pistons

1.

適用範囲  この規格は,自動車用エンジンに用いるアルミニウム合金製ピストン(以下,ピストンと

いう。

)について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 0109

  往復動内燃機関用語(主要部品)

JIS B 0403

  鋳造品−寸法公差方式及び削り代方式

JIS B 2804

  C 形止め輪

JIS B 7184

  投影検査器

JIS B 7420

  限界ゲージ

JIS B 7506

  ブロックゲージ

JIS B 8032

  ピストンリング通則

JIS G 3131

  熱間圧延軟鋼板及び鋼帯

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS G 5510

  オーステナイト鋳鉄品

JIS H 4140

  アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

JIS H 5202

  アルミニウム合金鋳物

JIS Z 2245

  ロックウェル硬さ試験方法

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0109 によるほか次による。

(1)

ピン方向  ピストンピン穴の軸線方向。

(2)

スラスト方向  ピン方向に対して直角方向。

(3)

バルブリセス  吸気弁・排気弁との干渉防止対策として,ピストン頂面に設けるへこみ。

(4)

ピン穴オフセット  ピン穴軸線のピストン軸直線からの偏位量。

(5)

サイドウォール  ピンボスとスカートとをつなぐ部位。

(6)

サイドリリーフ溝  ピン穴内面に,ピン方向に設ける溝。

(7)

回り止めピン  ピストンリングの回転を止めるために,リング溝に設けるピン。

(8)

リップ  ピストンの燃焼室の開口縁。

(9)

スカート部の基準径  シリンダとのはめあいにおいて,ピストンの基準となる径で,スカートの指定

高さにおけるスラスト方向の直径。

(10)

平行リング溝  レクタンギュラリングなどの側面が平行なリング用のリング溝。

(11)

キーストンリング溝  キーストンリング及びハーフキーストンリング用のリング溝。


2

D 3104-1996

(12)

燃焼室の容積  ピストンクラウンに設けられた燃焼室の容積。ただし,ピストン頂面に凸を形成する

場合の容積を含む。

(13)

質量調整  ピストンを,機械加工によって指定された質量に調整すること。

(14)

スカッフ防止溝  トップランドの円周方向に設け,スカッフを防止するための溝。

(15)

スロット  オイルリング溝底から内側へ貫通した狭いすきま。

3.

各部の名称  ピストンの各部の名称は,図 による。ただし,図は一例を示す。


3

D

 3104-

1996

図 1  ピストンの各部の名称(一例)


4

D

 3104-

1996

図 1  (続き)


5

D 3104-1996

4.

形状及び寸法

4.1

主要各部の寸法公差・寸法許容差・幾何公差  ピストンの主要各部の寸法公差,寸法許容差及び幾

何公差は,7.によって測定し,

表 のとおりとする。

表 1  主要各部の寸法公差・寸法許容差・幾何公差

項目

寸法公差・寸法許容差・幾何公差

ランド部 0.08mm

外径

スカート部(基準径) 0.03mm

頂面が機械加工なしの場合 0.4mm

コ ン プ

レ ッ シ
ョ ン ハ
イト

頂面が機械加工の場合 0.1mm

平行リング溝の溝幅 0.02mm,  0.03mm(スロット加工の場合)

平行リング溝の傾き(

1

) 25mm

当たり±0.04mm(

2

)

キーストンリング溝の溝幅 0.02mm

キーストンリング溝の開き角

30'(

2

)

溝底径

±0.1mm

溝底の同軸度(

1

) 0.15mm

リ ン グ

溝の上面及び下面のうねり

全周で 0.015mm

オフセット

±0.1mm

円筒度 0.005mm

ピン穴

直角度(

1

) 100mm

当たり 0.05mm 以内

止め輪溝間距離

3

.

0
0

+

mm

鋳肌部分(

3

)

JIS B 0403

附属書 に規定する精級

(

1

)

ピストンの軸直線を基準とする。

(

2

)

設計基準値に対する許容差・公差とする。

(

3

)

鍛造の場合については,受渡当事者間の協定による。

4.2

燃焼室の容積許容差  燃焼室の容積許容差は,特に指定がない限り表 のとおりとする。

表 2  燃焼室の容積許容差

許容差

ピストンの区分

燃焼室の

容積の区分

cm

3

機械加工の場合

機械加工なしの場合

10

以下

±0.3cm

3

±0.5cm

3

ガソリンエンジン

用ピストン

10

を超えるもの

±3%

±5%

10

以下

±0.3cm

3

±0.5cm

3

10

を超え 20 以下

±0.5cm

3

±1.0cm

3

20

を超え 50 以下

±0.7cm

3

±1.4cm

3

50

を超え 100 以下

±1.0cm

3

±2.0cm

3

ディーゼルエンジ

ン用ピストン

100

を超えるもの

±1%

±2%

4.3

止め輪溝  止め輪溝の断面形状は,丸形又は角形とする。丸形の寸法は,表 に示すとおりとし,

角形の寸法は,JIS B 2804 による。


6

D 3104-1996

表 3  丸形断面の止め輪溝の寸法

単位  mm

c

d

2

ピン穴の呼び径

d

1

基準寸法

許容差

基準寸法

許容差

止め輪の線径(参考)

d

14

以下 1.1

1.0

14

を超え 18 以下 1.3

1.2

18

を超え 23 以下 1.6

1.4

23

を超え 27 以下 1.8

1.6

27

を超え 33 以下 2.0

1.8

33

を超えるもの 2.2

2

.

0
0

+

d

1

+1.15d

2

.

0
0

+

2.0

4.4

回り止めピン  2 サイクルエンジン用ピストンリングの回り止めピンは,側面回り止めピン及び内周

回り止めピンの 2 種類とし,その形状及び寸法は,

表 に示すとおりとする。

表 4  回り止めピンの形状及び寸法

単位  mm

種類

回り止めノッチ

の記号(

4

)

リング溝

の溝幅

回り止めピ

ンの直径

回り止めピン

の長さ(参考)

1.2

1.5

1.75

2.0

NE1

2.5

1.5

2.0

2.5

NE2

3.0

2

2.5

側面回り止めピ

NE3

3.0

2.5

8, 10

NH1

− 1.5

NH2

− 2

内周回り止めピ

NH3

− 2.5

6, 8

(

4

)

記号は,JIS B 8032による。 

参考  図中の e は,次の値とするのがよい。


7

D 3104-1996

1

.

0

2

1

+

=

a

e

 (mm)

ここに,

a

1

ピストンリングの厚さ

 (mm)

4.5

表面粗さ  ピストンの機械加工面の表面粗さは,表 のとおりとする。

表 5  表面粗さ

項目

表面粗さ

ピン穴 1.0

µmRa 以下

リング溝上下面 1.0

µmRa 以下

リングトレーガの溝上下面 1.6

µmRa 以下

ランド部及びスカート部の外周

(5.0

∼1.0)

µmRa

その他の機械加工面 6.3

µmRa 以下

4.6

質量の許容差  質量調整を行わないピストンの質量の許容差は,表 のとおりとする。

表 6  質量の許容差

ピストンの質量

許容差

100g

以下

±2g

100g

を超え  200g 以下

±4g

200g

を超えるもの

±2%

4.7

オーバサイズ  ピストンの呼び径のオーバサイズは,通常は

0.5mm

及び

1.0mm

とする。

5.

品質

5.1

外観  ピストンの外観は,次のとおりとする。

(1)

鋳巣  ピストンの表面の鋳巣は,表 による。ただし,最大長さが

1.5mm

を超える鋳巣があってはな

らない。


8

D 3104-1996

表 7  表面の鋳巣

鋳巣の許容限度

項目

鋳巣の最大長さ

mm

個数(最大)

0.5

を超え 1 以下 3

ピストン頂面及び燃焼室 
(リップ部は除く。

1

を超えるもの 0

リップ部(

5

) 0.3

を超えるもの 0

0.5

を超え 1 以下 3

溝上下面

1

を超えるもの 0

リング溝部

隅の丸み部

0.3

を超えるもの 0

ランド部 0.5 を超えるもの

3(

6

)

スカート部 0.5 を超えるもの

5(

6

)

軸受面 0.3 を超えるもの 0

0.5

を超え 1 以下 2

ピン穴部

その他

1

を超えるもの 0

(

5

)

リップ部の範囲は,受渡当事者間の協定による。

(

6

)

最大長さが 1.0mm を超える鋳巣は,1 個を超えて
はならない。 

備考1.  リップ部,リング溝の隅の丸み部及びピン穴の

軸受面以外の部位で,最大長さが0.3mm を超え

0.5mm

以下の鋳巣は,25mm

2

の範囲内に15個以

下とする。 

2.

ピストンの表面における,最大長さが 0.3mm 以
下の鋳巣は,対象としない。

(2)

表面の状態  ピストンの表面には,有害な加工傷,打ち傷などがあってはならない。

5.2

硬さ  硬さは,JIS Z 2245 によって測定してロックウェル

B

スケールで表し,その値は受渡当事者

間の協定による。

6.

材料

6.1

ピストンの材料  ピストンの材料は,JIS H 5202 に規定する

5

種,

8

種,

9

種若しくは JIS H 4140

に規定する合金番号

4032

,又はこれらに相当するものとする。

6.2

ストラットの材料  ストラットに使用する材料は,JIS G 3131 に規定する

SPHC

若しくは JIS G 3141

に規定する

SPCC

,又はこれらに相当するものとする。

6.3

リングトレーガの材料  リングトレーガに使用する材料は,JIS G 5510 

FCA-NiCuCr 15 6 2

若しく

FCA-NiCuCr 15 6 3

,又はこれらに相当するものとする。

7.

寸法測定方法

7.1

平行リング溝の溝幅の測定  平行リング溝の溝幅の測定は,JIS B 7506 に規定するブロックゲージ

又はそれと同等の測定ゲージを,

図 のようにリング溝に挿入して行う。ブロックゲージの板厚寸法の段

階は,

0.005mm

以下で受渡当事者間の協定による。


9

D 3104-1996

図 2  平行リング溝の溝幅の測定

備考  オイルドレーン穴部及び回り止めピン部は避け,溝の隅の丸

み部に当たらないようにする。

7.2

平行リング溝の傾きの測定  平行リング溝の傾きの測定は,JIS B 7506 に規定するブロックゲージ

又はそれと同等の測定ゲージを,

図 のようにリング溝に挿入し,ピストン半径方向

25mm

当たりの寸法

(

h

)

を測定する。傾きの正負については,頂面を上方としてピストン中心から外周側へ向かい,上方への

傾きを正,下方への傾きを負とする。

図 3  平行リング溝の傾きの測定

備考  データムの設定方法は,受渡当事者間の協定による。

7.3

キーストンリング溝の溝幅及び開き角度の測定  キーストンリング溝の溝幅及び開き角度の測定は,

次のいずれかによる。

(1)

オーバピンによる方法  指定された直径のピンを,図 のようにリング溝に挿入し,オーバピン寸法

(

Y

)

を測定する。

図 4  オーバピンによる測定

備考  オーバピン寸法,ピン径,溝幅及び開き角度の関

係を

参考 に示す。

(2)

直接測定方法  JIS B 7184 に規定する投影検査器又はこれと同等の測定器を用いて,リング溝の幅及

び開き角度を測定する。


10

D 3104-1996

7.4

リング溝の上面及び下面のうねりの測定  リング溝の上面及び下面のうねりの測定は,球状の測定

端子をもつ形状測定器を用いて,

図 のようにリング溝の上面又は下面に測定端子を当て,その変位量を

リング溝全周にわたって測定する。

図 5  リング溝の上面及び下面のうねりの測定

備考  データムの設定方法は,受渡当事者間の協定による。

7.5

ピン穴オフセットの測定  ピン穴オフセットの測定は,JIS B 7420 に規定する穴用限界ゲージ又は

それと同等の測定ゲージを,

図 のようにピン穴に挿入して

a

及び

b

を測定し,その差の

2

1

をオフセット

とする。

図 6  ピン穴オフセットの測定

7.6

ピン穴の直角度の測定  ピン穴の直角度の測定は,JIS B 7420 に規定する穴用限界ゲージ又はそれ

と同等の測定ゲージを,

図 のようにピン穴に挿入して

X

及び

L

を測定する。ピン穴の直角度

  (

A

)

は,

次の式で求める。

100

×

=

L

X

A

図 7  ピン穴の直角度の測定

備考  データムの設定方法は,受渡当事者間の協定による。

8.

検査  検査は,受渡当事者間の協定による。

9.

表示  ピストンには,見やすい箇所に次の事項を表示する。

(1)

製造業者名又はその略号


11

D 3104-1996

(2)

オーバサイズのものには,その寸法又は記号


12

D 3104-1996

参考  キーストンリング溝の溝幅及び 

開き角度とオーバピンとの関係

オーバピンを用いてキーストンリング溝の溝幅及び開き角度を測定する場合の,オーバピン寸法,ピン

径,溝幅及び開き角度の関係を,次に示す。

θ

1

θ

2

のとき,

ú

û

ù

ê

ë

é

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

+

+

=

2

1

2

1

2

1

tan

tan

cos

1

cos

1

tan

tan

2

2

θ

θ

θ

θ

θ

θ

t

r

r

D

Y

(1)

キーストンリング溝の場合

θ

1

θ

2

θ

であるから,

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

θ

θ

sin

tan

2

2

2

r

t

r

D

Y

(2)

ハーフキーストンリング溝の場合

θ

2

=0 であるから,

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

1

1

sin

tan

2

2

θ

θ

r

r

t

r

D

Y


13

D 3104-1996

社団法人  日本自動車部品工業会

エンジン部品関係 JIS 改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

○  古  林      誠

青山学院大学理工学部

(幹事)

○  岡  村  英  司

株式会社ユニシアジェックス

間  馬  重  行

株式会社日立製作所自動車機器事業部

(委員)

○  前  川  武  也

工業技術院標準部

林      洋  和

通商産業省機械情報産業局

岡  崎      誠

運輸省自動車交通局技術安全部

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

中  込  常  雄 

日本工業標準調査会自動車航空部会規格 
調整専門委員会

○  諏  訪  敬  臣

イズミ工業株式会社

○  市  川  隆  裕

アート金属工業株式会社

○  川  端  康  浩

アイシン精機株式会社

○  沖      勵  吉

桜興業株式会社

○  松  本  耕  作

株式会社リケン

○  須  賀  紀  哉

マイクロテクノ株式会社

杉  嶋  忠  昭

株式会社ミクニ

石  川  範  一

株式会社日本気化器製作所

○  小  島  克  己

社団法人日本自動車部品工業会

増  田  義  彦

トヨタ自動車株式会社

松  本  栄  一

日産自動車株式会社

高  橋  賢  治

いすゞ自動車株式会社

白  石  一  洋

三菱自動車工業株式会社

磯  村  定  夫

マツダ株式会社

山  本  浩  貴

株式会社本田技術研究所

小  林  正  志

富士重工業株式会社

北  林  史  郎

スズキ株式会社

辰  巳  隆  英

ダイハツ工業株式会社

根  岸  秀  夫

日野自動車工業株式会社

乗  藤  和  哲

日産ディーゼル工業株式会社

(関係者)

○  笹  尾  照  夫

工業技術院標準部

○  浜  田  博  章

株式会社ユニシアジェックス

山  崎  孝  志

日野自動車工業株式会社

杉  山  雅  則

トヨタ自動車株式会社

(事務局)

中  田  八  重

社団法人日本自動車部品工業会

○印は,ピストン小委員会の委員。

文責  エンジン部品関係 JIS 改正原案作成委員会