日本工業規格
JIS
D
3102
-1987
自動車機関用半割滑り軸受
Sleeve Type Half Bearings for Automobile Engines
1.
適用範囲 この規格は,自動車用機関の主軸受 及び クランクピン軸受(以下,軸受という。)のうち,
半割つばなし軸受の主要寸法,許容差などについて規定する。
備考 この規格は正寸軸受(スタンダードサイズ軸受)のほか,減寸軸受(アンダーサイズ軸受)の
主要寸法 及び これに密接な関連をもつ部分の寸法にも適用する。
引用規格:
JIS B 0601
表面粗さの定義と表示
対応国際規格:
ISO 3548
Plain bearings− Thin-walled half bearings − Dimensions, tolerances and methods of
checking
2.
寸法,公差及び許容差
2.1
軸受の肉厚 軸受の肉厚は,次のとおりとする。
(1)
正寸軸受の肉厚の基準寸法は,
表 1 に○印で示すとおりとする。
表 1 肉厚の基準寸法
単位 mm
肉厚の基準寸法
ハウジング内径
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
20
以 上 35 以下
○
−
−
−
−
−
35
を超え 45 以下
○
○
−
−
−
−
45
を超え 60 以下
○
○
○
−
−
−
60
を超え 85 以下
−
○
○
○
−
−
85
を超え 110 以下
−
−
○
○
○
−
110
を超え 125 以下
−
−
−
○
○
○
125
を超え 150 以下
−
−
−
−
○
○
(2)
軸受の肉厚公差は,
表 2 に示すとおりとする。ただし,選択はめあい用軸受の肉厚公差については,
受渡し当事者間の協定による。
表 2 肉厚公差
単位 mm
肉厚公差
ハウジング内径
表面層めっき
なし軸受
表面層めっき
付き軸受
20
以 上 60 以下
0.008 0.012
60
を超え 110 以下
0.010 0.015
110
を超え 150 以下
0.015 0.022
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(3)
一般に,端部肉厚は中央部肉厚より減少させる
(図 1)。ただし,使用条件によって同一寸法でもよい。
図 1 端部肉厚
(4)
減寸軸受の肉厚の増加寸法は,原則として
表 3 に示すとおりとする。
表 3 減寸軸受の肉厚増加寸法
単位 mm
減寸軸受の呼び
軸受の肉厚増加寸法
0.25 0.125
0.50 0.250
0.75 0.375
1.00 0.500
2.2
軸受の幅 軸受の幅の許容差は,表 4 に示すとおりとする。
表 4 軸受の幅の許容差
単位 mm
ハウジング内径
幅の許容差
20
以 上 110 以下
0
−0.25
110
を超え 150 以下
0
−0.40
2.3
軸受のつめの寸法 及び ハウジングのつめ溝の寸法 軸受のつめの寸法 及び ハウジングのつめ溝
の寸法は,次のとおりとする。
(1)
軸受のつめの寸法 及び 許容差は,原則として
表 5 に示すとおりとする。
(2)
軸受のつめの位置 (H) は加工上の制限によって軸受の端部 (H=0) に設けるか,又は 端部から肉厚
の 1.5 倍以上(H≧1.5×肉厚)で,かつ,3 mm 以上 (H≧3) の位置に設けなければならない。ただし,
この制限を超える場合は,受渡し当事者間の協定による。許容差は±0.1 mm とする。
(3)
軸受に円周溝がある場合のつめの位置 (J) は,加工上の制限によって溝内に設けるか,又は 溝の切
上りから 2 mm 以上 (J≧2) 離さなければならない。ただし,この制限を超える場合は,受渡し当事者
間の協定による。
(4)
ハウジングのつめ溝の幅 及び 許容差は,原則として
表 6 に示すとおりとする。ただし,深さ (G) 及
び長さ (N
z
)
は参考とする。
3
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表 5 軸受のつめ寸法 及び 許容差
単位 mm
幅 (A)
突 出 (N
D
)
長 さ (B)
軸受の肉厚
基準寸法 許容差
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
1.5 3.0
1.0
4.0
2.0 4.0
1.4
5.6
2.5 5.0
1.4
5.6
3.0 6.0
1.7
8.7
3.5 6.0
1.7
8.7
4.0 6.0
0
−0.1
1.7
0
−0.25
8.7
0
−0.8
表 6 ハウジングのつめ溝の幅及び許容差
単位 mm
参考
幅 (E)
深 さ (G)
長 さ (N
z
)
軸受の肉厚
基準寸法 許容差
基準寸法
許容差
基準寸法
許容差
1.5
3.2 1.6 5.6
2.0
4.2 2.0 7.2
2.5
5.2 2.0 7.2
3.0 6.2
2.4
10.3
3.5 6.2
2.4
10.3
4.0 6.2
+0.1
0
2.4
+0.5
0
10.3
+1.5
0
2.4
クラッシリリーフ クラッシリリーフは,次のとおりとする。
(1)
クラッシリリーフの長さ (H
D
)
の許容差は,
表 7 に示すとおりとする。
(2)
クラッシリリーフの深さ (P
D
)
は,原則として 0.01〜0.05 mm の範囲とし,必要な寸法は受渡し当事
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者間の協定による。
(3)
クラッシリリーフは軸受幅全体に設ける。
(4)
斜め割りのコネクチングロッドの場合は,負荷側合せ面にクラッシリリーフは設けないで,C 0.3〜C
0.5 mm
程度の面取りを設けることが望ましい。
表 7 クラッシリリーフの長さの許容差
単位 mm
ハウジング内径
クラッシリリーフの
長さ (H
D
)
の許容差
20
以上 35 以下
0
−2
35
を超え 85 以下
0
−3
85
を超え 110 以下
0
−4
110
を超え 150 以下
0
−5
2.5
油 溝 油溝は,次のとおりとする(図 2)。
(1)
油溝の幅 (G
w
)
の許容差は±0.25 mm とする。
(2)
油溝底部の残り厚さ (G
E
)
の許容差は±0.15 mm とする。ただし,残り厚さは最小 0.7 mm を確保する
こと。
(3)
油溝の軸方向位置の許容差は±0.25 mm とする。
(4)
油溝の形状は
図 2 によるが,受渡し当事者間の協定によって他の形状を使用してもよい。
(5)
油溝底の R 寸法は 0.8 mm 以下とする。
図 2 油 溝
2.6
油 穴 油穴は,次のとおりとする。
(1)
油穴の穴径の許容差は±0.25 mm とする。
(2)
油穴の位置の許容差は,軸方向±0.25 mm,円周方向±1°とする。
5
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(3)
油穴の内外面には面取りはなくてもよい。ただし,有害なばりがあってはならない。
2.7
内面取り 及び 外面取り 内外面取り(図 3)はなくてもよい。ただし,内面取り・外面取りに相当
する部分にばりがあってはならない。必要によって面取りを行う場合の面取り後の平面部は,めっきなし
軸受の場合 0.4 mm 以上,めっき付き軸受の場合 0.8 mm 以上とする。
図 3 内外面取り
2.8
張 り 軸受の張り(図 4)は,ハウジング最大内径+0.25 mm 以上とし,必要な寸法は受渡し当事
者間の協定による。
図 4 張 り
備考 張りとは,半割軸受の自由状態の直径方
向の寸法をいう。
2.9
軸受の高さの公差 軸受の高さの公差は,表 8 に示すとおりとする。
6
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表 8 軸受の高さの公差
注(
1
)
ゲージ径 及び 測定荷重は,受渡し当事者間の協定による。
単位 mm
ハウジング内径
高さの公差
20
以上 45 以下 0.03
45
を超え 85 以下 0.04
85
を超え 150 以下 0.05
3.
表面粗さ 軸受各部の表面粗さは,JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)の最大高さ (R
max
)
を適用し,
各部の粗さは次による。ただし,表面層めっき付き軸受の場合は,めっき前の粗さとする。
(1)
軸受内面
3.2S
(2)
軸受外面
6.3S
(3)
軸受合せ面
6.3S
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自動車 航空部会 自動車専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
中 込 常 雄
社団法人自動車技術会
中 川 勝 弘
通商産業省機械情報産業局
松 波 正 壽
運輸省地域交通局陸上技術安全部
飛 田 勉
工業技術院標準部
石 渡 正 治
財団法人日本自動車研究所
梅 澤 清 彦
東京工業大学精密工学研究所
大 西 徳
社団法人全日本トラック協会
佐 藤 武
慶應義塾大学理工学部
瀬 倉 久 男
防衛庁装備局
田 中 兼 吉
社団法人日本バス協会
轟 秀
社団法人日本自動車連盟
杉 浦 秀 昭
社団法人日本自動車整備振興会連合会
岩 根 政 雄
社団法人日本自動車部品工業会
宇 藤 官
鈴木自動車工業株式会社二輪第二設計部
大 槻 耕 一
日野自動車工業株式会社研究管理部
改 田 護
トヨタ自動車株式会社技術管理部
金 子 達 昭
日本自動車輪入組合
野 本 正 猪
三菱自動車工業株式会社技術本部技術管理部
牧 野 昇
本田技研工業株式会社総務部
宮 崎 弘 昭
日産自動車株式会社設計管理部
安 部 史 之
日産ディーゼル工業株式会社設計管理部
一 瀬 修
マツダ株式会社東京技術部
植 木 源 治
日本道路公団
大 野 恭 二
いすゞ自動車株式会社特許部
(関 係 者)
古 川 洋
社団法人自動車技術会
(事 務 局)
江 口 信 彦
工業技術院標準部機械規格課
中 田 幹 夫
工業技術院標準部機械規格課
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平軸受分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
赤 岡 純
玉川大学工学部機械工学科
(幹 事)
丹 羽 小三郎
大同メタル工業株式会社技術研究所第 3 技術センター
田 代 和 也
工業技術院標準部機械規格課
武 田 貞 生
通商産業省機械情報産業局自動車課
藤 原 孝 誌
機械技術研究所機械部機械要素課
上 村 正
いすゞ自動車株式会社研究センター
北 林 史 郎
鈴木自動車工業株式会社四輪エンジン第二設計部商用車
エンジン設計グループ
伊 藤 茂 良
ダイハツ工業株式会社エンジン部第四エンジン課
大 堀 正 衛
トヨタ自動車株式会社第 1 エンジン部技術課
内 田 真之介
日産自動車株式会社第一機関設計部第一機関設計課
山 中 隆 雄
日産ディーゼル工業株式会社研究部
前 田 義 秀
日野自動車工業株式会社第 3 研究部研究第 2 課
不 破 健 雄
富士重工業株式会社スバル技術本部発動機技術第 2 第 1
研究課
松 岡 進
株式会社本田技術研究所和光研究所和光センター
滝 沢 忍
マツダ株式会社エンジン設計部 2 エンジン設計課
時 松 和 寿
三菱自動車工業株式会社トラック・バス技術センターエン
ジン技術部大型エンジン設計課
宮 田 英 世
エヌデーシー株式会社営業企画部
山 口 健 一
大豊工業株式会社技術部第 1 設計グループ
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会技術課
(関 係 者)
荻 田 幸 男
大同メタル工業株式会社技術研究所管理室
(事 務 局)
古 川 洋
社団法人自動車技術会規格課