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D 1033 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS D 1033 : 1994 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,日本工業規格と国際規格の整合化を図るために,ISO 7860 : 1995, Motorcycles−Method

of measuring fuel consumption

の中に規定された Constant speed test−Road measurement method を基礎として

用いた。

JIS D 1033

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)  燃料消費試験記録書

附属書 2(規定)  二輪自動車の燃料消費測定機器

附属書 3(参考)  二輪自動車の燃料消費試験記録及び成績


日本工業規格

JIS

 D

1033

 : 1999

二輪自動車−燃料消費試験方法−

実走定地試験

Motorcycles

−Method of measuring fuel consumption−

Constant speed test

−Road measurement method

序文  この規格は,1995 年に第 2 版として発行された ISO 7860, Motorcycles−Method of measuring fuel

consumption

の中に規定された Constant speed test−Road measurement method の規定内容のうち,実走定地

試験に関する事項について,一部の技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,

この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項又はそれと異なる事項である。

1.

適用範囲  この規格は,二輪自動車の燃料消費試験方法の実走定地試験について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 7860 : 1995, Motorcycles

−Method of measuring fuel consumption

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

基準速度 (reference speed)   燃料消費試験を行う試験自動車の走行速度。10km/h 又は 5km/h ステップ

で決定する。

4.

気象条件  気象条件は,次による。

a)

相対湿度は,95%以下とする。

b)

平均風速は,3m/s 以下とし,最大風速は,8m/s 以下とする。

c)

気温は,5℃以上,30℃以下とする。

d)

試験中の相対空気密度 d は,次の式で計算し,基準状態下での空気密度に対して±7.5%とする。

(

)

(

)

273

273

0

0

0

+

+

×

×

T

T

P

P

d

d

ここに,

d

0

:  基準状態下の相対空気密度  0.919 7

P

0

:  基準大気圧  100 (kPa)

P

:  大気圧 (kPa)

T

0

:  基準温度  (℃)  基準温度は 20℃とする。

T

:  気温℃


2

D 1033 : 1999

5.

試験自動車の記述  附属書 1  燃料消費試験記録書に規定されている詳細を記入する。

6.

試験自動車の準備  試験自動車の準備は,次による。

a)

試験自動車は,すべての部品及びその構成品が量産仕様でなければならない。量産仕様でない場合に

は,相違点の詳細な説明を

附属書 1  燃料消費試験記録書に記載する。

b)

試験自動車は,製造業者の指示書に従って,適切なならし運転を行う。

c)

可動機械部分に用いる潤滑油の粘度は,試験自動車の製造業者の指示書に従ったものとする。異なる

場合には,その特性を

附属書 1  燃料消費試験記録書に記載しなければならない。

d)

タイヤ空気圧は,試験自動車の製造業者の指示書に従った値とする。

e)

試験を実施する前に,試験自動車のすべての部品を使用に適した温度に安定させる。

f)

試験を実施する前に,試験自動車,燃料測定装置,運転者の質量を測定する。

g)

試験自動車の両車輪間の質量配分は,試験自動車の製造業者の指示書に準拠する。

h)

試験自動車の外側に速度センサ及び燃料消費測定装置を取り付ける場合には,空力的損失の増加を最

小限にするよう注意しなければならない。

i)

試験燃料は,試験自動車の製造業者の指示書に従ったものとする。潤滑油混合燃料を用いる場合も,

等級と混合割合は製造業者の指示書に従ったものとする。

7.

試験器材

7.1

燃料消費測定装置の種類  燃料消費を測定するための次の方法の測定装置を使用できる。

a)

体積測定法

b)

質量測定法

c)

流量計測定法

上記方法と同等の結果を得られることが証明されれば,その他の方法を用いてもよい。

備考  附属書 2  二輪自動車の燃料消費測定機器に適切な装置の概要及び使用方法を示す。

7.2

燃料消費測定装置の精度  燃料消費測定装置の精度は,次による。

a)

燃料供給量の測定精度は,±2%とする。

b)

測定装置は,エンジンへの燃料供給を干渉してはならない。

c)

測定装置が体積測定法を採用している場合には,装置内又は装置出口の燃料温度を測定する。

7.3

燃料供給の切換え  通常の燃料供給装置から測定機能付き供給装置への切換えは,バルブ装置の切

換えによって行い,0.2 秒以内で切り換えなければならない。

8.

運転者及び運転姿勢

8.1

運転者  運転者の身長,質量及び服装は,次による。

a)

運転者の身長は,保護具(ヘルメット及び運転者の服装など)を含み,1.75m±0.05m の範囲が望まし

い。

b)

運転者の質量は,保護具(ヘルメット及び運転者の服装など)を含み,75kg±5kg の範囲が望ましい。

c)

運転者の服装は,運転者の体に合ったつなぎ又はこれと同等の衣類とする。

8.2

運転姿勢  運転姿勢は,次による。

a)

運転者用シート上に座ってフットレスト,フットボード又はペダル上に両足を置き,両腕を普通に伸

ばす。


3

D 1033 : 1999

b)

測定中,運転者は同じ姿勢を維持する。

c)

運転姿勢は,その詳細を記述するか又は写真を添付する。

9.

試験路  試験路は,次による。

a)

 2

000m

以上で,最小半径が 200m 以上のクローズドサーキット又は両方向に走ることができる 500m

以上の直線路。

b)

アスファルト,コンクリート又はこれらと同等の材料で覆われ,整備されていなければならない。

c)

傾斜率は,2%以下とする。

d)

路面に水たまりがあってはならない。

10.

試験方法  試験方法は,次による。

a)

基準速度における燃料消費を計測するため,4 回の試験を行う。そのうち 2 回については基準速度を

下回る平均速度で,他の 2 回については基準速度を上回る平均速度で実施する。各試験の平均速度と

基準速度との差は 2km/h 以内とする。

b)

助走区間において速度の調整を完了し,測定区間内においては一定速度で走行する。測定区間での燃

料の消費量を測定すると同時に,この間の速度を測定する。

c)

測定区間において変速機は,

通常最高速段のギヤを用いるが,

エンジンの回転が安定しない場合には,

1

段下のギヤを用いてもよい。

d)

走行中,速度変化を±2km/h で安定させる。100km/h 以上の試験では±3km/h とする。

11.

燃料消費の決定

11.1

燃料消費量の偏差率  二つの低い速度の燃料消費量の差は,それらの平均値の 5%以下とする。二つ

の高い速度の燃料消費量の差も,それらの平均値の 5%以下とする。ただし,直線路で二つの低い速度,

又は二つの高い速度を,往復測定で行った場合は,往路と復路の平均値の差は 10%以下であればよい。

11.2

測定結果の判定  二つの低い速度又は二つの高い速度について,燃料消費量の差の条件が満たされ

ない場合には,更に走行試験を繰り返す。これを 10 回試みても同条件が満たされない場合,別の二輪自動

車を選択し,この試験手順に従って試験を実施しなければならない。

11.3

測定値の決定  基準速度における燃料消費量の値を,図 に示すような直線補完によって算出する。

基準車速よりも低い車速の二つの結果について,車速と燃料消費量のそれぞれを平均する。高い車速の

結果についても車速と燃料消費量を平均する。次に,二つの車速と燃料消費量の値から基準車速での燃料

消費量を直線補間計算する。


4

D 1033 : 1999

備考  ×印の部分が各試験走行で算出された値に相当する。は,基準速度 での燃料消費量を示す計算値。

図 1  燃料消費量の計算

11.4

燃料消費率の算出  燃料消費率を,次の式によって算出する。

なお,混合燃料を用いる場合は,潤滑油の量を除いて算出する。燃料消費率は,km/L の単位で表す。ま

た,式(3)によって換算することで L/100km の単位で表すことができる。

a)

容積測定法及び流量計測定法の場合

(

)

{

}

F

0

1

T

T

Q

L

F

α

 (1)

ここに,

F

燃料消費率 (km/L)

Q

燃料消費量 (L)

α

燃料の体積膨張係数,ガソリン及び軽油は 0.001 (℃

1

)

T

0

基準温度 20 (℃)

T

F

燃料温度  (℃)

L

測定区間の距離 (km)

b)

質量測定法の場合

m

L

F

ρ

×

 (2)

ここに,

F

燃料消費率 (km/L)

m

燃料消費量 (kg)

ρ: 基準条件 (20℃)  における燃料密度(質量/体積) (kg/L)

L

測定区間の距離 (km)

c)

燃料消費の換算

F

C

100

 (3)

ここに,

C

燃料消費率 (L/100 km)

F

燃料消費率 (km/L)

11.5

算出値の丸め

  燃料消費率は,

JIS Z 8401

によって,小数点以下 2 けた目を四捨五入して,小数点

以下 1 けたに丸める。


5

D 1033 : 1999

附属書 1(規定)  燃料消費試験記録書

序文 

この附属書の技術的内容は,

ISO 7860

附属書 A(規定)

を元にして作成しているが,一部技術的

内容を変更して作成した。


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D 1033 : 1999


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D 1033 : 1999

附属書 2(規定)  二輪自動車の燃料消費測定機器

序文 

この附属書の技術的内容は,

ISO 7860

附属書 B(規定)

を元にして作成しているが,一部技術的

内容を変更した。

1.

適用範囲

  この附属書は,二輪自動車の燃料消費測定用機器の概要,及び使用方法を規定する。

2.

方法

a)

体積測定法

  体積測定法は,容積の明確な容器を用いて消費された燃料の量を計算する方法。

b)

質量測定法

  質量測定法は,消費燃料の質量を判定するのに質量計量装置を使用する方法。

c)

流量計測定法

  流量計測定法は,継続的又は断続的な方法であり,ある時間内に通過する燃料の量を

質量,若しくは体積で測定する機器を使う方法。

3.

測定機器の設置条件

3.1

一般

3.1.1

どのような測定方法を使用しても,測定機器の設置によって二輪自動車の燃料供給システムを阻害

したり,又は燃料供給パイプの圧力低下,直径,長さなどを著しく変更するようなことがあってはならな

い。

3.1.2

次の場合は,

3.1.1

に規定する条件を満たすように配慮しなければならない。

a)

体積測定法又は質量測定法用機器の設置が

附属書 付図 1346

に従う場合。

b)

流量計測定法が使用される場合,システム全体の圧力低下が 1hPa 以下であれば,流量計を

附属書 2

付図 2

又は

附属書 付図 5

のように配置することができる。

3.1.3

二輪自動車の燃料供給機能に影響を及ぼさないと証明されている場合には,他の場所でも設置して

もよい。

3.1.4

燃料パイプ内で圧力損失の可能性を抑えるため,次の条件が望ましい。

d

1

d

2

d

2

d

3

ここに,

d

1

正規の燃料パイプ径

d

2

d

3

測定装置の燃料パイプ径

3.2

体積測定法

3.2.1

附属書 付図 1

は,キャブレタ装置の場合の配置図を,

附属書 付図 4

は,燃料噴射装置の場合の

配置図を示す。

3.2.2

体積測定法の試験条件は,次による。

a)

燃料タンクの横にビュレットを,次のような条件で設置する。

h

a

h

u

h

1

+0.3 (m)

ここに,  h

a

:  ビュレット測定高さ

h

u

:  燃料上面高さ

h

1

:  燃料下面高さ

b)

ビュレット内の圧力が,ビュレット通気用通路への風圧によって影響されないようにする。

3.3

流量計測定法


8

D 1033 : 1999

3.3.1

流量計は,装置全体の圧力損失が 1hPa 以上にならないように設計されていなければならない。

3.3.2

附属書 付図 2

は,キャブレタ装置の場合の配置図を,

附属書 付図 5

は,燃料噴射装置の場合の

配置図を示す。

3.3.3

精度に関しては,試験中記録されるすべての流量の範囲で±2%とする。

3.4

質量測定法

3.4.1

附属書 付図 3

は,キャブレタ装置の場合の配置図を,

附属書 付図 6

は,燃料噴射装置の場合の

配置図を示す。

3.4.2

はかりに関しての要求事項は,次による。

a)

精度は,1%よりも高精度とする。

b)

感度は,0.1g よりも高感度とする。

3.4.3

精度 0.001kg/L で密度(質量/体積)を測定し,基準状態に変換する。

附属書 付図 1  キャブレタの場合に用いられる体積測定法


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D 1033 : 1999

附属書 付図 2  キャブレタの場合に用いられる流量計測定法

附属書 付図 3  キャブレタの場合に用いられる質量測定法


10

D 1033 : 1999

附属書 付図 4  燃料噴射装置の場合に用いられる体積測定法


11

D 1033 : 1999

附属書 付図 5  燃料噴射装置の場合に用いられる流量測定法 


12

D 1033 : 1999

附属書 付図 6  燃料噴射装置の場合に用いられる質量測定法


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附属書 3(参考)  二輪自動車の燃料消費試験記録及び成績

この

附属書 3

は,二輪自動車の燃料消費試験結果及び算出結果の記録用紙例を示し,規定の一部ではな

い。

この例は国内で一般的に用いられている様式のものである。


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社団法人自動車技術会二輪部会二輪燃料消費試験法分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

土  屋  忠  雄

株式会社本田技術研究所朝霞研究所

(幹事)

国  府  志  朗

株式会社本田技術研究所朝霞研究所

(委員)

真  秀  和  正

運輸省自動車交通局技術安全部保安環境課

佐  藤  由  雄

運輸省交通安全公害研究所交通公害部

石  岡  祐  司

スズキ株式会社二輪設計部

今  泉  博  英

東京大学工学部産業機械工学科

岩  倉  正  治

川崎重工業株式会社汎用機事業本部 CP 事業部技術総括部

酒  井  孝  之

財団法人日本自動車研究所第 1 研究部

古  川  晴  巳

ヤマハ発動機株式会社第 1 コンポーネント開発室

(事務局)

吉  原  三智子

社団法人自動車技術会規格部門