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D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS D 1024 : 1994 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,日本工業規格と国際規格との整合化を図るために,ISO 362 : 1998,

Acoustics

−Measurement of noise emitted by accelerating road vehicles−Engineering method を基礎として用

いた。

JIS D 1024

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  測定の不確かさ

附属書 B(参考)  参考文献


日本工業規格

JIS

 D

1024

 : 1999

(ISO 362

 : 1998)

自動車の加速時車外騒音試験方法

Acoustics

−Measurement of noise emitted by

accelerating road vehicles Engineering method

序文  この規格は,1998 年に発行された ISO 362, Acoustics−Measurement of noise emitted by accelerating

road vehicles

−Engineering method を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日

本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,加速中の車両から放射される騒音を測定するための実用的方法について規定

する。

測定方法は,できる限り車両の運転条件の再現性が得られる範囲で,簡便性の要求が満たされるように

規定されている。

この規格の規定内容は,市街地の交通において生じる可能性のあるような,中間変速段でエンジンを全

開出力としたときに発生する騒音レベルを再現させることを意図している。

この試験方法は,広い自由空間によってだけ得られる音響的環境が必要である。このような条件は,通

常,次の場合に用いる。

−  車両の型式認証試験

−  製造段階での測定

−  公式試験場での測定

備考  任意に車両を選択する抜取検査が理想的な音響条件のもとで実施されることはまれであること

に注意するのがよい。この規格に規定する要求事項を満たさない音響環境の道路で測定を実施

しなくてはならない場合,得られた結果は,規定された条件のもとで得られる結果から多少の

偏差があることを承知しておいたほうがよい。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの

規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付

記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1505

  精密騒音計

備考  IEC 60651 : 1979, Sound level meters のタイプ 1 の引用事項は,この規格の該当事項と同等で

ある。

JIS D 8301

  自動車の車外騒音測定のための試験用路面

備考  ISO 10844 : 1994, Acoustics−Specification of test tracks for the purpose of measuring noise emitted


2

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

by road vehicles

が,この規格と一致している。

IEC 60942 : 1997,

  Electroacoustics−Sound calibrators

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

自動ダウンシフト (automatic downshift)   運転者の意志による低い変速段(高い変速比)への変速。

備考  例えば,アクセル制御系の圧力又は位置の変化によって自動ダウンシフトが作動し,そのため

に,市街地走行で通常使用されるよりも低い変速段へのダウンシフトを起こす特殊なプログラ

ムが作動することがある。

3.2

中間結果 (intermediate result)   一連の測定から算出され,報告する値を決定するために使われる値。

3.3

空車質量 (kerb mass)   通常の運行に必要なすべての装備を備えた車両の質量に,次に示す要素を

加えた質量。

−  潤滑油,冷却水(必要な場合)

,ウォッシャ液

−  燃料(製造業者が規定する容量の少なくとも 90%をタンクに満たす)

−  次のような,車両の基本部品として含まれるようなその他の装備

スペアタイヤ,輪止め,消火器,補修部品及び工具一式

備考  空車質量の定義は,国ごとに様々であるが,この規格では,ISO 1176 : 1990 の定義を引用して

いる。

3.4

最大出力時のエンジン回転速度,S (rated engine speed, S)    製造業者が定めた最大ネット出力時の

エンジン回転速度。

4.

車種カテゴリ

4.1

カテゴリ L  三輪以下の自動車

L1

及び L2

モペット(詳細は IS0 9645 を参照)

L3

エンジン排気量が 50cm

3

を,又は最高車速が 50km/h を超えるモータサイクル

L4

エンジン排気量が 50cm

3

を,又は最高車速が 50km/h を超え,車輪が車両の前後軸に非対称に配

置されている三輪自動車

L5

エンジン排気量が 50cm

3

を,又は最高車速が 50km/h を超え,総質量が 1 000kg 以下で,かつ,

車輪が車両の前後軸に対称に配置されている三輪自動車

4.2

カテゴリ M  乗員輸送用の四輪以上の自動車

M1

乗員輸送のために使用され,運転席に加えて 8 座席以下の自動車

M2

乗員輸送のために使用され,運転席に加えて 8 座席を超え,かつ,最大質量が 5t 以下の自動車

M3

乗員輸送のために使用され,運転席に加えて 8 座席を超え,かつ,最大質量が 5t を超える自動

4.3

カテゴリ N  貨物輸送用の四輪以上の自動車 

N1

貨物輸送のために使用され,総質量が 3.5t 以下の自動車

N2

貨物輸送のために使用され,総質量が 3.5t を超え,12t 以下の自動車

N3

貨物輸送のために使用され,総質量が 12t を超える自動車

5.

一般条件


3

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

5.1

運転条件  この規格は,車両の走行試験に基礎が置かれている。測定は,市街地走行で発生し得る

最大の騒音レベルを与え,かつ,発生騒音について再現性のある運転条件で行わなければならない。した

がって,指定された車両速度からの加速試験を規定する。

5.2

試験結果の解釈  この試験方法によって得られた結果は,規定の試験条件で発生する騒音の客観的

な測定値となる。

備考  自動車のうるささについての主観的評価は,騒音測定装置の指示値と単純に関連づけられるわ

けではないという事実を考慮する必要がある。

6.

測定装置

6.1

騒音測定装置

6.1.1

一般  騒音計又は等価の測定装置は,製造業者の推奨するウインドスクリーンを含め,少なくとも

JIS C 1505

の要求事項に適合しなければならない。

測定は,周波数補正回路は A 特性,動特性は F を使用して行う。

騒音レベルを周期的にモニタするシステムを使う場合,騒音レベルのサンプリング間隔は 30ms を超え

ないようにすることが望ましい。

6.1.2

校正  一連の測定ごとに,測定の始めと終わりに,少なくとも IEC 60942 の精度クラス 1 の校正の

ための要求事項を満たす校正器によって校正する。調整なしで連続した 2 回の校正の読みの差は,0.5dB

以内でなければならない。もし,この値を超えた場合には,前回の満足した校正のあとに得られた測定結

果は無効とする。

6.1.3

検定  IEC 60942 の要求事項に従う騒音校正器の検定は,年に一度,また,JIS C 1505 の要求事項

に従う計測システムの検定は,少なくとも 2 年ごとに,適切な基準に沿って校正を実施することを公認さ

れた試験機関によって証明されなければならない。

6.2

車速測定装置  一定速度での進入時のエンジン回転速度及び車速は,±2%以内の精度の機器で測定

されなければならない。

6.3

気象条件測定装置  環境条件の監視に使用する気象観測装置は,次のものを含んでいなければなら

ない。

−  ±1℃以内の精度の温度測定装置

−  ±1.0m/s 以内の精度の風速測定装置

7.

音響的環境,気象条件及び暗騒音

7.1

試験場所  試験場所は,JIS D 8301 に規定する要求事項に従い,施工されることが望ましい。

試験場所は十分に水平でなければならない。試験路面は乾燥し,そのきめ(肌理)は過度なタイヤ騒音

を発生させないものでなければならない。試験路面は JIS D 8301 の要求事項に適合していなければならな

い。

試験場所は,その中央点(マイクロホン線と車両走行中央線との交点)の表面上に小さい全指向性音源

が置かれたとき(

図 参照),半自由空間の距離減衰特性との偏差が±1dB を超えてはならない。

この条件は,次に示す要求事項に適合すれば満足するとみなされる。

a)

走行路の中心から周囲半径 50m 以内の空間に,フェンス,岩,橋及び建物のような大きな反射物がな

い。

b)

走行路及びその路面表面は乾燥し,粉雪又は石片のような吸音性物質がない。


4

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

c)

マイクロホンの付近には音場に影響する物体がない。また,マイクロホンと音源との間には人間がい

ない。メーターを読む人は,読み値に影響しない位置にいる。

備考  試験領域,特に車両走行路とマイクロホン位置との間は,十分に平面であることが望ましい(図

1

参照)

7.2

気象条件  気象観測装置は,試験場所を代表する高さで試験場所の近くに置くことが望ましい。

気温 0℃から 40℃の範囲で,測定することが望ましい。

騒音測定中に,突風を含み,風速がマイクロホン高さで 5m/s を超えた場合には,試験は行わないほうが

よい。

温度,風速及び風向き,相対湿度並びに気圧の代表値を,騒音測定中に記録するとよい。

備考  異なった環境条件におけるデータを比較するときには,温度及びその他の要因の影響を考慮す

ることが望ましい。

7.3

暗騒音  暗騒音(風音も含む。)は,試験車両から発生する騒音より 15dB 以上低いことが望ましい

が,少なくとも 10dB は常に低くなければならない。

備考  スマッジング部分(試験領域)は JIS D 8301 に適合した表面で舗装されなければならない最小の領域を示す。

図 1  試験路の寸法

8.

試験方法

8.1

マイクロホンの位置  マイクロホンから試験路の基準線 CC(図 参照)までの距離は,7.5m±0.05

m

とする。

マイクロホンは,地上 1.2m±0.02m の位置とする。自由音場条件での基準軸(JIS C 1505 参照)は,水


5

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

平かつ車両走行線 CC に垂直とする。

8.2

測定回数  車両の左右それぞれの側で少なくとも 4 回の測定をする。

8.3

試験車両の状態  試験車両は,車両の製造業者が指定する燃料,点火プラグ,燃料供給装置などを

装備する。

測定は,空車質量に運転者及び測定器を加えた車両で行い,切り離せない車両の場合を除き,トレーラ

ー又はセミトレーラーをはずして行う。

試験に使用するタイヤは,車両の製造業者が選択する。タイヤは,車両の製造業者が指定するタイヤサ

イズの一つに合致しなければならない。カテゴリ M1 から N3 までの車両については,トレッド溝深さが

1.6mm

より少ないタイヤを使ってはならない。タイヤは,車両の試験質量において,製造業者が推奨する

空気圧にする。

測定が始まる前に,試験車両は,温度及び調整の面で通常運転される条件にする。

8.4

運転条件

8.4.1

一般条件  車両は,8.4.2 から 8.4.5 までに規定する速度及び変速段で,その中心線をできる限り線

CC

図 参照)に沿うような進路で線 AA に進入する。

車両の前端が線 AA に達したときに,実際に可能な限り,素早くアクセル制御系を全開にし(市街地走

行で通常使う変速段より低い段への自動ダウンシフトは作動させない。

,車両後端が線 BB に達するまで

全開を保持する。それから,アクセル制御系を解除する。アクセル制御系は,線 AA にできる限り近い所

で操作する。

けん引車から簡単には切り離せないトレーラーは,線 BB の通過判定時には無視する。

二輪を超える駆動輪をもつ車両は,通常の道路で使用する駆動条件で試験する。

コンクリートミキサー,圧縮機などのような,車両に一体化された装置を装備している車両では,試験

中はこれらの装備は作動させない。

8.4.2

カテゴリ 及び の自動変速機付きの車両  手動セレクタ付きの自動変速機を搭載している車両

の場合,セレクタを通常走行用として製造業者が推奨する位置で試験を行う。

8.4.2.1

進入速度  車両は,±1km/h の許容範囲で,次に示す速度のうち低いほうに合わせた一定の速度

で,線 AA に進入する。エンジン回転速度で指定される場合の許容範囲は,±2%又は 50rpm の大きいほう

とする。

a) 50km/h

b)

カテゴリ M1 の車両の場合及びその他のカテゴリでエンジン出力が 225kW を超えない車両の場合には,

最大出力時のエンジン回転速度 の 4 分の 3 に相当する車速

c) M1

以外のカテゴリでエンジン出力 225kW を超える車両の場合には,最大出力時のエンジン回転速度

S

の 2 分の 1 に相当する車速

8.4.2.2

ダウンシフトの回避  自動変速機(2 段以上の不連続な変速比)を搭載する車両では,製造業者

が決めているような市街地走行で通常使われない変速比にダウンシフトすることがある。市街地走行時に

使用しない変速段とは,低速走行用,駐車用又は制動用の変速比を含んでいる。これらの場合には,運転

者は,次の手順のいずれを選択してもよい。

a)

そのようなダウンシフトを避けるために,最高 60km/h まで車速 を上げる。

b)

車速 は 50km/h を維持し,燃料供給を全負荷時に必要な供給量の 95%に制限する。この条件は,次

の場合に満足されると考えられる。

−  火花点火式エンジンでは,絞り弁開度が全開時の 90%のとき


6

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

−  圧縮点火式エンジンでは,噴霧ポンプへの燃料供給量が最大供給量の 90%に制限されたとき

c)

通常の市街地走行で使用されると,製造業者が決めた変速段より低い変速段へのダウンシフトを避け

るように設定した電子制御を使う。

8.4.3

その他の自動変速機付きの車両  自動変速機付きの車両で前述の手順によって試験ができない場

合には 30km/h,40km/h 及び 50km/h の異なった車速,又は製造業者が指定する最高速度の 4 分の 3 の速度

のいずれか低いほうで試験を行う。最終報告値は,8.5 で決定する。

8.4.4

手動変速機付き

8.4.4.1

進入速度  車両は,±1km/h の許容範囲で,次に示す速度のうちいずれか低いほうに合わせた一

定の速度で,線 AA に進入する。エンジン回転速度で指定される場合の許容範囲は,±2%又は±50rpm の

大きいほうとする。

a) 50km/h

b)

カテゴリ M1 の車両の場合,及びその他のカテゴリでエンジン出力が 225kW を超えない車両の場合に

は,最大出力時のエンジン回転速度 の 4 分の 3 に相当する車速

c) M1

以外のカテゴリの車両でエンジン出力 225kW を超える場合には,最大出力時のエンジン回転速度

S

の 2 分の 1 に相当する車速

8.4.4.2

M1

及び N1 の変速比選択  前進の変速比が 4 段を超えない手動変速機を備えるカテゴリ M1 及び

N1

の車両は,2 速の変速段で試験を行う。

これらのカテゴリで,前進の変速比が 4 段を超える手動変速機を備える車両は,2 速及び 3 速の変速段

で連続して試験を行う。通常走行時に使用される全減速比だけが考慮される。最終報告値は,8.5 で決定さ

れる。

2

速の変速段での試験中に,エンジン回転速度が最大出力時のエンジン回転速度 を超える場合には,

エンジン回転速度が を超えなくなるまで,回転の 5%ずつエンジン回転速度を下げて試験を繰り返す。

進入エンジン回転速度をアイドリング回転速度まで下げても,最大出力時のエンジン回転速度 に達する

場合には,試験は 3 速の変速段だけで行い,測定結果は,8.5 のように報告する。また,前進の変速比が 4

段を超え,エンジン最大出力が 140kW を超え,かつ,最大出力/最大質量比が 75kW/t を超えるカテゴリ

M1

の車両は,20m に車両長さを加えた距離を通過したときの加速中の車両速度変化が,11km/h を超える

場合には,3 速の変速段だけで試験してもよい。

8.4.4.3

M1

N1 及び カテゴリ以外の車両の変速比選択  M1,N1 及び L カテゴリのいずれにも属さず,

前進の変速比の全段数が x(主変速機の変速比と,副変速機又は多段アクスルによって付加される変速比

の組合せを含む。)の車両は,

n

x

以上の変速段を順次使用して試験を行う。ここで,エンジン最大出力が

225 kW

以下の車両では n=2, 225kW を超える車両では n=3 とする。

最初の試験は,

n

x

の変速段又は

n

x

が整数にならない場合には,次に高い変速段を使って実施する。試験

は,

n

x

の変速段からその次に高い変速段まで続けなければならない。

n

x

からの上の変速段への移行は,車両後端が線 BB を通過する直前に,最大出力時のエンジン回転速度

に達する変速段 で,終了しなければならない。

例  8 段の主変速機及び 2 段の副変速機を搭載する駆動系では,16 の前進段がある。エンジン出力が

230 kW

の場合には,

3

1

5

3

16

3

2

8

=

=

×

=

n

x

である。最初の試験変速段は,6 速(主変速機及び副変速機の

両方の変速比を含んでおり,全部で 16 の変速段のうち 6 番目)であり,次の変速段として,7 速

から 速の変速段まで行う。

種々の全減速比(変速段数の違いも含む。

)を備える車両の場合,試験車両がその型式の代表で


7

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

あることは,次のように決める。

−  最大騒音レベルが

n

x

段と 段との間で得られた場合には,選定された車両は,同一の段域で同一変

速比を包含する車両の型式を代表しているとみなす。

−  最大騒音レベルが

n

x

段で得られた場合には,選定された車両は,

n

x

段での全減速比が低い車両につい

てだけその型式を代表しているとみなす。

−  最大騒音レベルが 段で得られた場合,選定された車両は,での全減速比が高い車両についてだ

けその型式を代表しているとみなす。

しかし,試験の依頼者の要請で試験をさらに他の変速段まで拡張して行い,試験した変速比の範囲で最

も高い騒音レベルが得られている場合には,その試験車両は,その型式を代表しているとみなす。

8.4.5

カテゴリ のモータサイクル  すべての場合において,低速走行,駐車又は制動のための特殊な

セレクタ位置は除外する。

8.4.5.1

自動変速機

8.4.5.1.1

進入速度  車両は,±1km/h の許容範囲で,次に示す速度のうちいずれか低いほうに合わせた

一定の速度で,線 AA に進入する。エンジン回転速度で指定される場合の許容範囲は,±2%又は±50rpm

の大きいほうとする。

a) 50km/h

b)

最大出力時のエンジン回転速度 の 4 分の 3 に相当する車速

ただし,試験中に 1 速ヘダウンシフトする場合には,ダウンシフトを避けるために,最高 60km/h まで

車速を増加することができる。

8.4.5.1.2

変速比の選択  試験は,手動セレクタを最高段の位置にして実施する。1 速への自動ダウンシ

フトが生じる場合には,ダウンシフトを排除する。もし,最高段の 1 段下又は 2 段下への自動ダウンシフ

トが生じる場合には,セレクタを自動ダウンシフトなしで試験が実施できる最高段の位置にする。

電子制御式変速機で上記のように試験ができない場合は,市街地走行において普通は使わない変速段へ

のダウンシフトを避けるようにプログラムを設定する。

8.4.5.2

手動変速機付きモータサイクル

8.4.5.2.1

進入速度  車両は,±1km/h の許容範囲で,次に示す速度のうちいずれか低いほうに合わせた

一定の速度で,線 AA に進入する。エンジン回転速度で指定される場合の許容範囲は,±2%又は±50rpm

の大きいほうとする。

a) 50km/h

b)

最大出力時のエンジン回転速度 の 4 分の 3 に相当する車速

8.4.5.2.2

変速比の選択  エンジン排気量に関係なく,4 段以下の変速機付きのモータサイクルの場合に

は,次の例外を除いて 2 速の変速段で試験する。ただし,2 速で試験中に,線 BB におけるエンジン回転

速度が を超える場合には,試験は 3 速の変速段だけで行う。

5

段以上の変速機付きのモータサイクルの場合には,次の変速段で試験を行う。

a)

エンジン排気量 175cm

3

以下のモータサイクルは,3 速だけで試験を行う。

b)

エンジン排気量 175cm

3

を超えるモータサイクルは,2 速,次に 3 速で試験を行う。

c)

2

速で試験中に,線 BB における回転速度が を超える場合には,試験は 3 速だけで行う。

8.4.5.3

その他の自動変速機  手動セレクタのないモータサイクルは,30km/h,40km/h 及び 50km/h 又は

製造業者が指定する最高速度の 4 分の 3 のいずれか低いほうの速度で,線 AA に進入する。最終報告値は

8.5

で決定する。


8

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

8.5

採用する読み及び報告値  線 AA と線 BB との間を走行中に,指示された A 特性最大騒音レベルを

記録する。通常の騒音レベルの特性から明らかにはずれた騒音のピークが観測された場合には,その測定

は無効とする。

車両の各側での連続した 4 回の測定値のばらつきが 2dB 以内の場合に,その結果は有効とみなす。2dB

以内でない場合には,それぞれの側で,連続した 4 回の測定値が互いに 2dB 以内となるまで,追加走行を

行う。

備考  各走行間での測定値のばらつきは,各走行の間に,ニュートラルにしてアイドリング 1 分間待

機をすることで減らせることがある。

左右それぞれの側の測定値を別々に平均する。中間結果として,二つの平均値の高いほうを採用する。

その車両の最終報告値は,次に示すようにする。

a)

カテゴリ M1,N1 及び L3 から L5 の車両で,一つの変速段で試験した車両に対しては,中間結果とす

る。

b)

カテゴリ M1,N1 及び L3 から L5 の車両で,二つの変速段で試験した車両に対しては,それぞれの変

速段での中間結果の算術平均値とする。

c)

カテゴリ M1,

N1

及び L3 から L5 を除くすべての車両で,

複数の変速段で試験された車両に対しては,

試験した変速段での中間結果の最大値

d)

すべてのカテゴリの車両で,複数の車速で試験した車両に対しては,中間結果の最大値

8.6

測定の不確かさ  この規格に従って測定された騒音レベルは,気象条件に影響される。気象条件は,

車両の動力機構の性能に影響を及ぼし,タイヤの騒音レベルを変え,また,音の伝搬経路を乱すことがあ

る。加えて,JIS D 8301 で規定されたアスファルト試験路面の使用によって,長年にわたり遭遇していた

試験場所が異なることによる変動は減少したが,なくなったわけではない。同じ場所,同様な気象条件に

おける 1 台の車両試験では,音圧レベルの結果は±1dB にあるであろう。しかし,温度及び風の条件に対

して,この規格で許される全範囲にわたった試験を行うと,結果が更に大きく変動することがある。測定

におけるこれらの要因についてのより良い理解を進めるために,この規格は,追加の環境条件の取得を促

進し,変動を減らすための提案をする。さらに詳細は

附属書 を参照する。

9.

試験結果の報告  試験報告書には,次の情報を含める。

a)

この規格の規格番号

b)

試験場所の詳細,場所の方位及び風速,気温を含む気象条件,風向き,気圧,湿度及び試験路面温度

は,選択測定項目であるが,できれば記録したほうがよい。

c)

ウィンドスクリーンを含む測定装置の型式

d)

暗騒音の A 特性騒音レベル代表値

e)

車両の識別,エンジン,使える変速比をもつ変速システム,タイヤの呼び,タイヤ空気圧,タイヤト

レッド溝深さ,試験質量及び車両長さ

f)

試験に使った変速段又は変速比

g)

加速開始時の車速,エンジン回転速度及び加速開始の位置

h)

加速終了時の車速及びエンジン回転速度

i)

車両の補助装置及び作動条件

j)

測定したすべての有効な A 特性騒音レベル(車両の左右各側,走行方向ごとに表示する。


9

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

附属書 A(参考)  測定の不確かさ 

この附属書は,情報提供が目的であって,規定の一部ではない。

この規格の対応国際規格は,測定の繰返し性と再現性を改善するために ISO 362 : 1994 を改正したもの

である。この手順では,幾つかの試験パラメータについては,より高い水準の精密さをまだ要求していな

い。なぜならば,これらの要求に対するより厳しい公差又は制限を正当化するためのデータが不十分であ

るためである。

JIS D 8301

で規定されたアスファルト路面を使用することによって,以前の測定における典型的な変動

が低減した。しかし,ISO 及び SAE の試験結果(

附属書 参照)は,試験場所の要件を満たしている路

面における同一車両の騒音測定結果に,まだ幾らかの変動があることを示した。試験場所による変動に加

えて,車両及び気象条件によると考えられる測定値の変動がある。温度範囲を 10℃から 30℃の範囲に狭め

ると,一般に,より一致した結果が得られる(

附属書 参照)。同様に,温度,湿度及び大気圧は,エン

ジン性能及びマイクロホンの応答に重大な影響があり得るということに注意するとよい。また,伝搬経路

の風の乱れから生じる不確かさもある。

より精確な校正,よりよい計測装置の仕様及びこの改正規格にある試験実施基準は,騒音レベルの変動

を低減させる。また,この規格は,重要な気象パラメータが記録されることを要求又は推奨しているので,

起こり得る変動をより容易に説明できるであろう。しかし,許容範囲内であったとしても説明できない変

動が残る。異なった試験場所での,また,認められてはいるが異なった気象条件での試験は,通常,約±1

dB

変動するであろうが,極端な場合では±2dB の変動が生じることがある。同一生産車の試験データにお

いて,測定結果が前回の測定結果から予測される範囲をはずれることが分かった場合には,これらの要因

を考慮して評価するとよい。

幾つかの認証機関は,この種の変動を考慮して,測定されたレベルから 1dB 減じる規定をしている。し

かし,そのような測定されたレベルの修正は,技術規格が扱う範囲からはずれている。試験パラメータが

厳密に制御されない場合には,測定されたレベルを最も近い整数に丸めるという考え方もある。気象及び

他のパラメータが制限され,制御された条件のもとでの技術的比較では,0.1dB 単位での報告値が意味を

もつ程度に,この変動が低減されるであろう。


10

D 1024 : 1999 (ISO 362 : 1998)

附属書 B(参考)  参考文献 

この附属書は,情報提供が目的であって,規定の一部ではない。

[1]  ISO 1176 : 1990, Road vehicles

−Masses−Vocabulary and codes

[2]  ISO 1585 : 1992, Road vehicles

−Engine test code−Net power

[3]  ISO 9645 : 1990, Acoustics

−Measurement of noise emitted by two-wheeled mopeds in motion−Engineering

method

[4]  Enz, W. and Steven, H. Round Robin Test on test tracks as proposed in ISO/TC43/SC1/WG27. Report

No.10505993/01, FIGE GmbH, Herzogenrath Germany 1992

[5]  Schumacher, R. F., Phanuef, K. G. and Haley, W. J. SAE Noise & Vibration Conference Report, Paper 951361

SAE and ISO Site Variability

社団法人自動車技術会基本部会自動車騒音分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

金  井  俊一郎

日産自動車株式会社シャシー開発統括部

(幹事)

白  橋  良  宏

日産自動車株式会社シャシー実験部

(幹事)

中  川      天

株式会社本田技術研究所朝霞研究所

渡  邊  昇  治

通商産業省機械情報局

森  内  孝  信

運輸省自動車交通局

坂  本  一  朗

運輸省交通安全公害研究所

宮  嶋  健  三

運輸省交通安全公害研究所

上  岡  一  雄

環境庁大気保全局

三  上  哲  夫

財団法人日本自動車研究所第二研究部

押  野  幸  一

社団法人日本自動車工業会技術部

赤  松  大  寿

社団法人日本自動車タイヤ協会技術部

小  島  克  己

社団法人日本自動車部品工業会技術部

寺  田  郁  夫

いすゞ自動車株式会社車両研究実験部

小  西      哲

株式会社ブリヂストンタイヤ実験部

半  沢  幸  彦

株式会社本田技術研究所栃木研究所

平  川  伸  生

川崎重工株式会社 CP 事業本部

佐  田      剛

スズキ株式会社実験部

山  下  健  治

スズキ株式会社二輪設計部

田  中  克  幸

ダイハツ工業株式会社実験部

野  場  幹  雄

トヨタ自動車株式会社第 4 開発センター

秦  野  尚  紀

日産ディーゼル工業株式会社開発本部

井  原      務

日本鋪道株式会社技術研究所

大  野  英  夫

日野自動車工業株式会社車両 RE 部

松  坂  英  哲

富士重工業株式会社スバル開発本部

永  本  光  一

マツダ株式会社シャシー実研部

西  原  辰  朗

三菱自動車工業株式会社乗用車開発本部

磯  部  謙  作

ヤマハ発動機株式会社技術開発室

吉  川  教  治

リオン株式会社音測技術部

(事務局)

吉  原  三智子

社団法人自動車技術会規格部門