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D 1000:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 記号······························································································································· 2 

5 標準大気条件 ··················································································································· 3 

6 試験方法 ························································································································· 3 

6.1 一般 ···························································································································· 3 

6.2 測定装置の精度 ············································································································· 3 

6.3 設定及び試験条件 ·········································································································· 4 

6.4 試験手順 ······················································································································ 7 

7 トルク,出力及び燃料消費率 ······························································································ 7 

7.1 測定トルク,測定出力及び燃料消費率の算出 ······································································· 7 

7.2 ネットトルク及びネット出力···························································································· 8 

7.3 修正ネットトルク及び修正ネット出力 ················································································ 9 

8 試験報告書 ······················································································································ 9 

8.1 一般 ···························································································································· 9 

8.2 試験報告書の記述法 ······································································································· 9 

8.3 結果報告 ····················································································································· 12 

附属書JA(規定)圧縮点火式エンジンの出力試験 ····································································· 14 

附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 20 

D 1000:2009  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人自動車技

術会(JSAE)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS D 1000:1998は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 1000:2009 

二輪自動車−エンジンネット出力試験方法 

Motorcycles−Engine test code−Net power 

序文 

この規格は,2004年に第3版として発行されたISO 4106を基に作成した日本工業規格であるが,規格

利用上の利便性向上のため,規格の構成及び技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格の附属書JAは,対応国際規格にはない事項である。また,この規格で側線又は点線の

下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,JIS D 0109 に定義されている二輪自動車の,エンジン性能を評価するためのネット出力試

験方法を規定する。試験結果は,全負荷状態における修正ネットトルク,修正ネット出力及び燃料消費率

のエンジン回転速度に対する特性曲線として表される。 

この規格は,フリーピストン式を除く往復動内燃機関(火花点火式エンジン及び圧縮点火式エンジン)

及びロータリーエンジンに適用する。エンジンは,自然吸気式,又は機械式過給機若しくはターボ過給機

のいずれかを用いた過給吸気式でもよい。 

なお,圧縮点火式エンジンに特有な試験条件などについては,附属書JAに規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 4106:2004,Motorcycles−Engine test code−Net power (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0108-1 往復動内燃機関−用語−第1部:機関設計及び運転用語 

注記 対応国際規格: ISO 2710-1:2000,Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary−Part 1: 

Terms for engine design and operation (IDT)  

JIS B 8003 内燃機関−機関出力の決定方法及び測定方法−共通要求事項 

注記 対応国際規格: ISO 15550,Internal combustion engines−Determination and method for the 

measurement of engine power−General requirements (IDT) 

JIS D 0109 二輪自動車−用語 

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0108-1及びJIS B 8003によるほか,次による。 

3.1 

ネット出力 (net power) 

6.3.1に規定された装置及び補機類を備えたエンジンを,試験台上で運転したときの,あるエンジン回転

速度における,クランク軸端出力又はこれに相当する出力。 

3.2 

修正ネット出力 (corrected net power) 

ネット出力を,標準大気条件に修正したもの。 

3.3 

ネットトルク (net torque) 

6.3.1に規定された装置及び補機類を備えたエンジンを,試験台上で運転したときの,あるエンジン回転

速度における,クランク軸端トルク又はこれに相当するトルク。 

3.4 

修正ネットトルク (corrected net torque) 

ネットトルクを,標準大気条件に修正したもの。 

3.5 

燃料消費率 (specific fuel consumption) 

単位出力・単位時間当たりにエンジンで消費される燃料の量。 

注記 2ストロークサイクルエンジンの潤滑油は,除外する。 

3.6 

補機類 (auxiliaries) 

二輪自動車を走行させるために,エンジンに必要な機器及び装置。 

記号 

この規格で用いる記号は,表1による。 

なお,この記号は,附属書JAにも適用する。 

表1−記号 

記号 

定義 

単位 

be 

燃料消費率 

g/kW・h 

pd 

試験中の周囲乾燥大気圧 

kPa 

pr 

標準全大気圧 

kPa 

psr 

標準飽和水蒸気分圧 

kPa 

psy 

試験中の周囲大気の飽和水蒸気分圧 

kPa 

py 

試験中の周囲大気圧 

kPa 

測定出力 

kW 

Po 

修正ネット出力 

kW 

Py 

ネット出力 

kW 

測定トルク 

Nm 

To 

修正ネットトルク 

Nm 

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表1−記号(続き) 

記号 

定義 

単位 

Ty 

ネットトルク 

Nm 

tr 

標準周囲大気温度 

℃ 

ty 

試験中の吸入空気温度 

℃ 

αa 

大気条件による出力修正係数 

− 

αm 

変速機の伝達効率による出力修正係数 

− 

ηi 

変速機の各構成要素の伝達効率 

− 

ηt 

クランク軸と測定点との間の変速機の伝達効率 

− 

φr 

標準相対湿度 

φy 

試験中の周囲大気の相対湿度 

標準大気条件 

エンジンの出力及び燃料消費率試験を行う場合,次の標準大気条件を用いる。 

標準全大気圧: pr =100 kPa 

標準周囲大気温度: tr=25 ℃ 

標準相対湿度: φr=30 % 

注記 大気温度25 ℃における相対湿度30 %は,水蒸気分圧1 kPaに相当する。したがって,大気の

乾燥空気圧分は,99 kPaとなる。 

試験方法 

6.1 一般 

この試験方法は,エンジンのネット出力評価に使われる。この試験方法では,修正ネットトルク,修正

ネット出力及び燃料消費率を,エンジン回転速度の関数として曲線で表し,全負荷状態におけるエンジン

性能を示す。 

6.2 

測定装置の精度 

6.2.1 トルク 

トルク測定装置の精度は,試験で要求される測定値の範囲において±1 %以内とする。ただし,トルク

の測定が最大出力の50 %未満の出力範囲で行われるときの精度は,±2 %以内でもよい。トルク測定装置

は,摩擦損失を考慮して校正する。 

6.2.2 

エンジン回転速度 

エンジン回転速度測定装置の精度は,± 0.5 %以内とする。 

6.2.3 

燃料流量 

燃料流量測定装置の精度は,± 1 %以内とする。 

6.2.4 

燃料温度 

燃料温度測定装置の精度は,± 1 ℃以内とする。 

6.2.5 

エンジン吸気温度 

エンジン吸気温度測定装置の精度は,±1 ℃以内とする。 

6.2.6 

大気圧 

気圧計の精度は,±70 Pa以内とする。 

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6.2.7 

排気システムの背圧 

排気システムの背圧(差圧)測定装置の精度は,± 25 Pa以内とする。 

6.2.8 

試験室湿度 

試験室湿度測定装置の精度は,相対湿度で±2 %以内とする。 

6.3 

設定及び試験条件 

6.3.1 

装置及び補機類 

試験中,表2に示す装置及び補機類が標準附属装置の場合は,これらをできる限り実際の使用状況と同

じ位置及び状態で試験台に取り付ける。 

なお,圧縮点火式エンジンの出力試験に使用する装置及び補機類は,附属書JAによる。 

表2−エンジン出力測定のために取り付ける装置及び補機類 

番号 

装置及び補機類 

吸気装置 

吸気マニホールド 
ブローバイガス還元装置 
デュアルインダクション制御装置 
電子制御装置 
空気流量計 
吸気配管 a) 
エアフィルタ a) 
吸気消音器 a) 
速度制限装置 a) 

吸気マニホールド用加熱装置 

排気装置 

排気ガス浄化装置 
排気マニホールド 
過給装置 
連結パイプ b) 
消音器 b) 
テールパイプ b) 
排気ブレーキ c) 
電子制御装置 

燃料供給装置 

燃料供給ポンプ d) 
気化器 
電子制御装置 
ガス燃料減圧器 
ガス燃料蒸発器 
ガス燃料混合器 

燃料噴射装置 

プレフィルタ 
フィルタ 
燃料噴射ポンプ 
高圧パイプ 
インジェクタ 
吸気バルブ  
電子制御装置 

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表2−エンジン出力測定のために取り付ける装置及び補機類(続き) 

番号 

装置及び補機類 

液冷式冷却装置 

ラジエータ e) 
冷却ファン e) ,f) 
冷却ファンカウル e) 
循環ポンプ e) 
サーモスタット e) ,g) 

空冷式冷却装置 

カウル e) 
冷却ファン又はブロワ e) ,f) 
温度調節装置 

電気装置 

発電装置 h) 
バッテリ h) 
点火分配器 
コイル 
配線 
点火プラグ 
点火系電子制御装置 i) 

過給装置 

エンジン及び/又は排気ガス駆動式コンプレッサ 
過給圧制御装置 j) 
給気エアクーラ e) ,f) ,k) 
冷却液ポンプ又はファン(エンジン駆動) 

10 

大気汚染防止装置 l) 

11 

潤滑油ポンプ 

12 

オイルクーラ 

注a) 同等品を使用してもよい。この場合,製造業者が新品のエアフィルタ使用時において,指定する限度値

より100 Paを超える吸気圧力低下がないことを確認しなければならない。 

b) 標準排気装置を取り付けることが不可能な場合,製造業者の規定に従った通常のエンジン運転特性を与

えるような装置を試験のために取り付けることができる。この場合,テストベンチの排気装置と新たに
取り付けた排気装置との接続位置における背圧は,大気圧力に対し,±740 Paを超える圧力差を生じて
はならない。ただし,製造業者が±740 Pa以下の圧力差を指定している場合は,これに従う。 

c) エンジンに排気ブレーキが組み込まれている場合,排気絞り弁は,全開の位置に固定しなければならな

い。 

d) 必要に応じて,実使用時の燃料圧力を再現するために燃料供給圧力を調整してもよい(特に,例えば,

タンク又はフィルタへの燃料循環システムが使用されている場合)。 

e) ラジエータ,冷却ファン,冷却ファンカウル,循環ポンプ,サーモスタット及びカウルは,車両におけ

る位置と相対的に同じ位置で試験台に設置する。冷却液循環は,エンジンのポンプだけで作動させる。 

冷却液の冷却は,エンジンのラジエータによるか,又は流路での圧力損失及びポンプ入口での圧力が

エンジン冷却装置とほぼ同等である場合には,外付けの装置によってもよい。ラジエータシャッタが組
み込まれている場合,開の位置とする。 

エンジン駆動の冷却ファン,ラジエータ及び冷却ファンカウルがエンジンに取り付けられない場合,

冷却ファンがラジエータ及び冷却ファンカウル(使用されているとき)に対して,正しい位置に取り付
けられているときの,冷却ファンが消費するエネルギーを,エンジン出力測定に使用するエンジン回転
速度において,標準的特性からの計算,又は実験によって決定する。このエネルギーを,箇条5に規定
する標準大気条件へ補正し,修正出力から差し引く。 

f) オン・オフ可能又は空転可能な冷却ファン又はブロワが組み込まれている場合,冷却ファン又はブロワ

は,オフにするか又は空転させて試験を実施する。 

g) サーモスタットは,全開の位置に固定してもよい。 

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表2−エンジン出力測定のために取り付ける装置及び補機類(続き) 

h) 発電装置の電力は最小とし,エンジン運転に必要不可欠な補機を動かすために必要な電力に限る。

バッテリの接続が必要な場合,良好な状態の満充電のバッテリを使用する。 

i) 点火進角は,製造業者が推奨する最小のオクタン価の燃料で運転したときの代表的な値とする。 

j) 給気又は吸気温度,オクタン価,及び/又はエンジン回転速度に応じた可変過給圧制御装置を備え

たエンジンにおいては,過給圧は,製造業者が推奨する最小のオクタン価の燃料で運転したときの
代表的な値とする。 

k) 給気冷却エンジンは,液冷式,空冷式のいずれの場合でも給気冷却装置を作動させて試験を行う。

製造業者が望む場合,空冷式給気冷却装置の代わりに試験台システムの給気冷却装置を用いてもよ
い。いずれの場合も,各エンジン回転速度での出力の測定は,試験台システムの給気冷却装置を通
過する給気の圧力低下及び温度低下は,製造業者が完成車両における装置に指定したものと同一の
条件で行う。 

l) 大気汚染防止装置には,次のものが挙げられる。例えば,排気ガス再循環 (EGR) 装置,触媒コン 

バータ,二次空気供給装置,燃料蒸発防止装置,クランクケースエミッションコントロールシステム。

6.3.2 

試験条件 

試験条件は,次による。 

なお,圧縮点火式エンジンに特有な試験条件は,附属書JAによる。 

a) 出力試験は,全負荷運転状態で,6.3.1に規定した装置及び補機類を装着して行わなければならない。 

b) 出力測定中のエンジン回転速度と設定回転速度との差異は,±1 %以内とする。 

c) 出力データ測定時は,エンジンへ新気を供給しながら,製造業者の規定に従って,安定した運転条件

を維持しなければならない。測定前には,製造業者が推奨する慣らし運転を行わなければならない。

修正係数による修正を最小限にするため,吸入空気温度などの試験条件は,標準大気条件(箇条5参

照)にできるだけ近い値に設定しなければならない。 

d) トルク,エンジン回転速度及び温度が,製造業者が規定するとおり十分安定するまで,測定を行って

はならない。一定運転条件(トルク・エンジン回転速度・温度)が製造業者によって規定されていな

い場合は,エンジン回転速度が,6.3.2 b)に規定した限度以内に維持されるまで,データを測定しては

ならない。運転条件が安定したら,すぐに測定を開始しなければならない。一回の測定に要する時間

は,すべての測定ポイントで同じでなければならない。 

e) すべての測定ポイントで,出力,燃料消費量及び吸気温度は,実質的に同時に測定し,出力及び燃料

消費量は,2 %を超えて変動しない二つの連続的な測定値の平均値を採用する。測定中にエンジンを

調整してはならない。 

f) 

自動測定装置によるエンジン回転速度と燃料消費率との測定時間は,10秒以上でなければならない。 

g) 水冷エンジンの場合は,冷却液のエンジン出口温度は,製造業者によって規定されたサーモスタット

制御上限温度から,±5 ℃以内を保たなければならない。製造業者による温度指定がない場合は,80 ℃

±5 ℃に保たなければならない。 

空冷エンジンの場合は,製造業者が指定する場所の温度は,製造業者が指定する最高温度の+0 ℃/

−20 ℃に保たなければならない。製造業者による指定がない場合には,点火プラグ座面温度は,250 ℃

以下でなければならない。多気筒エンジンの場合には,代表する一つのシリンダで座面温度を測定し

てもよい。 

h) 燃料温度は,気化器又は燃料噴射装置の入口に可能な限り近い位置で測定し,製造業者が指定する温

度の±5 ℃以内に保たなければならない。しかし,許容される最低燃料温度は,雰囲気温度とする。 

試験燃料温度が製造業者によって指定されていない場合は,25 ℃±20 ℃にしなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

i) 

オイルパン又はオイルクーラ出口で測定される潤滑油の温度は,製造業者が指定した範囲内でなけれ

ばならない。 

j) 

吸気温度は,エアクリーナ入口から0.15 m以内で測定しなければならない。エアクリーナがない場合

は,吸気口から0.15 m以内で測定しなければならない。吸気圧は,吸気温度と同じ位置で測定しなけ

ればならない。温度計又は熱電対は,燃料の吹返し及びふく(輻)射熱から保護された状態で,空気

の流れの中に直接設置しなければならない。代表的な平均吸気温度を得るために,十分な数の位置で

測定しなければならない。 

k) 排気温度は,排気マニホールド又は排気ポートのフランジに隣接した排気パイプ中の一点で測定しな

ければならない。 

l) 

型式試験又は受渡試験の場合,燃料は,関係当事者合意のうえで,表3に従って選定しなければなら

ない。これら以外の試験の場合,その試験目的に合わせた燃料を選定する。触媒が装着されているエ

ンジンの場合には,無鉛ガソリンを使わなければならない。また,8.2.2 e)に記載された燃料仕様を試

験報告書に記録しなければならない。 

m) 記録すべきデータは,8.3に示すとおりとする。 

表3−試験燃料 

試験目的 

関係当事者 

燃料選定 

型式試験(認証) 

認証機関,製造業者又は供給者 

指定された標準燃料。標準燃料の指定
がない場合には,市販燃料。 

受渡試験 

製造業者又は供給者 
顧客又は検査員 

製造業者によって指定された市販燃
料。 

6.3.3 

試験大気条件 

試験時の大気条件は,次に示す範囲内とする。 

a) 吸入空気温度 ty (℃): 15≦ty≦35 

b) 乾燥大気圧 pd1) (kPa): 90≦pd≦110 

注1) 

sy

y

y

d

p

p

p

φ

6.4 

試験手順 

製造業者が推奨する最低エンジン回転速度と最高エンジン回転速度との間で,トルク曲線及び出力曲線

を完全に定義するのに十分な数のエンジン回転速度で測定しなければならない。回転速度の範囲は,エン

ジンが最大トルク及び最大出力を生じる回転速度を含んでいなければならない。データは,製造業者が推

奨する最低エンジン回転速度から最高エンジン回転速度へ上昇させながら連続的に測定しなければならな

い。ただし,温度が6.3.2 g)に規定する値を超える場合,間欠的に測定してもよい。 

トルク,出力及び燃料消費率 

7.1 

測定トルク,測定出力及び燃料消費率の算出 

測定トルク (T) 及び測定出力 (P) は,式(1)及び式(2)によって求める。 

WL

T=

 ···················································································· (1) 

cWN

k

WLN

P

60

 ···································································· (2)  

ここに, 

L: 動力計の腕の長さ (m) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

W: 動力計制動荷重 (N) 

c: 動力計の係数

k

L

c

60

N: 動力計の回転速度 (min−1) 

k: 換算係数1 000 

なお,出力軸回転速度がクランク軸の回転速度と異なる場合は,測定トルクは,式(1)によって求めたト

ルクを,式(3)に定義する減速比で除したものとする。 

p

c

g

n

n

r=

 ···················································································· (3) 

ここに, 

rg: 減速比 

nc: クランク軸の回転速度 (min−1) 

np: 出力軸回転速度 (min−1) 

燃料消費率(be)は,式(4)によって求める。 

P

B

b=

e

····················································································· (4) 

ここに, 

B: 1時間当たりの燃料消費量 (g/h) 

7.2 

ネットトルク及びネット出力 

測定トルク及び測定出力に,試験において使用する変速機の効率による修正係数(係数αm)を乗じるこ

とによって,エンジンのネットトルク及びネット出力を決定する。 

7.2.1 

修正係数 αmの決定 

クランク軸において測定する場合,この係数は,1に等しい。 

クランク軸において測定しない場合,この係数は,式(5)を用いて求める。 

t

m

1

η

α

 ···················································································· (5) 

ここに, 

ηt: クランク軸と測定点との間に位置する変速機の伝達効率 

この変速機の伝達効率ηt は,変速機を構成する各要素の伝達効率ηiから式(6)を用いて求める。 

ηt =η1×η2×….×ηi ··································································· (6) 

この変速機を構成する各要素の伝達効率ηi は,表4のとおりである。 

表4−変速機構成要素の伝達効率 

要素 

種類 

伝達効率 

ηi 

ギヤ 

スパーギヤ 

0.98 

ヘリカルギヤ 

0.98 

ベベルギヤ 

0.98 

チェーン 

ローラ 

0.95 

サイレント 

0.98 

ベルト 

歯付 

0.95 

Vベルト 

0.94 

油圧カプラ又はコンバータ 

油圧カプラ 

0.92 

ロック機構をもたない油圧コンバータ 

0.92 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.2 

ネットトルク及びネット出力の算出 

ネットトルク (Ty) 及びネット出力 (Py) は,式(7)及び式(8)によって求める。 

T

T

m

 ················································································· (7) 

P

P

m

 ················································································· (8) 

7.3 

修正ネットトルク及び修正ネット出力 

ネットトルク及びネット出力に,箇条5で規定する標準大気条件に修正するための修正係数(係数αa)

を乗じることによって,エンジンの修正ネットトルク及び修正ネット出力を決定する。 

7.3.1 

修正係数 αaの決定 

自然吸気式火花点火式エンジン,及び過給吸気式火花点火式エンジン(吸気冷却の有無によらない)の

ための修正係数αaは,式(9)によって求める。 

6.0

r

y

2.1

sy

y

y

sr

r

r

a

273

273

t

t

p

p

p

p

φ

φ

α

····················································· (9) 

式(9)は,αaが次の条件を満たすときにだけ適用できる。 

1.06

0.96

a≦

≦α

この範囲を超える場合は,得られた修正出力値及び試験条件(気温及び気圧)を試験報告書に記載しな

ければならない。 

なお,圧縮点火式エンジンの修正係数αaは,附属書JAによる。 

7.3.2 

修正ネットトルク及び修正ネット出力の算出 

修正ネットトルク (To) 及び修正ネット出力 (Po) は,式(10)及び式(11)によって求める。 

T

T

T

m

a

y

a

o

α

α

α=

 ···································································· (10) 

P

P

P

m

a

y

a

o

α

α

α

 ·····································································(11) 

試験報告書 

8.1 

一般  

エンジンネット出力試験報告書の要求事項を,次に示す。 

なお,圧縮点火式エンジンに特有な試験報告書の要求事項は,附属書JAによる。 

8.2 

試験報告書の記述法 

試験報告書は,次に示すエンジンの識別情報及び試験情報を含むものとする。 

8.2.1 

火花点火式エンジン基本特性  

8.2.1.1 

エンジン 

a) 往復動エンジンの場合 

1) 製造業者名 

2) 型式 

3) 個体識別番号 

4) サイクル数 

5) 排気量(総行程容積) 

6) ボア及びストローク 

7) 気筒数及び気筒配置 

background image

10 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8) 点火順序 

9) 圧縮比 

10) 冷却方式 

b) ロータリーエンジンの場合 

1) 製造業者名 

2) 型式 

3) 個体識別番号 

4) 排気量(総行程容積) 

5) 偏心量(率) 

6) ロータ幅 

7) ロータ数 

8) 圧縮比 

9) 冷却方式 

8.2.1.2 

装置及び補機類 

次の装置及び補機類について,標準附属装置以外のものを採用している場合は,製造業者名,型式,仕

様,設定条件などを記述する。 

a) 冷却装置 

例1 冷却液,ラジエータ,冷却ファン,ブロワ,他 

b) 過給装置 

例2 加圧装置,加圧空気冷却機,他 

c) 吸気装置 

例3 吸気マニホールド,空気清浄機,消音器,他 

d) 大気汚染防止装置 

例4 排ガス再循環装置,触媒コンバータ,二次空気供給装置,燃料蒸発防止装置,クランクケース

エミッションコントロールシステム,他 

e) 燃料供給装置  

例5 キャブレタ,燃料供給ポンプ,燃料噴射装置,他 

f) 

点火装置 

例6 点火時期制御装置,点火プラグ,点火コイル,点火コンデンサ,電波障害防止装置,他 

g) 排気装置 

例7 エキゾーストパイプ,消音器(マフラ),他 

h) 潤滑装置 

例8 給油システム,オイルクーラ,他 

i) 

電気装置 

例9 発電装置,他 

j) 

減速装置 

k) エンジンによって駆動され試験時に取り外せない補機類 

8.2.2 

出力測定時の条件  

試験報告書には,次に示す試験条件を記載しなければならない。 

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11 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 測定圧力 

1) 大気圧 (kPa) 

2) 相対湿度 (%) 

3) 飽和水蒸気分圧 (kPa) 

4) 排気背圧 (kPa) 

5) 排気背圧測定位置 

6) 吸気負圧 (Pa) 

7) 吸気管中での絶対圧 (Pa) 

b) 各部測定温度 

1) 吸気温度 (℃) 

2) インタークーラ出口空気温度 (℃) 

3) エンジン冷却液温度 (℃) 

4) 空冷エンジンの場合の基準点温度 (℃) 

5) 潤滑油温度 (℃) 

6) 燃料温度 

6.1) キャブレタ入口/燃料噴射マニホールド入口燃料温度 (℃) 

6.2) 燃料流量計内部温度 (℃) 

c) 動力計の特性 

1) 製造業者名 

2) 型式 

3) 定数 

d) 燃料流量測定装置の方式 

e) 燃料仕様 

1) 液体燃料を使用する場合 

1.1) 製造業者名及び呼称 

1.2) オクタン価リサーチ法 (RON) 又はモータ法 (MON) 

1.3) 15 ℃における密度 (g/cm3) 

1.4) リード蒸気圧 (kPa) 

1.5) 蒸留性状 

− 初留点 (℃) 

− 10 %留出温度 (℃) 

− 50 %留出温度 (℃) 

− 90 %留出温度 (℃) 

− 終点 (℃) 

− 残油量(体積%) 

1.6) 炭化水素分析 

− 不飽和分(体積%) 

− 芳香族分(体積%) 

− 飽和分(体積%) 

1.7) 酸化安定度 (min) 

background image

12 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.8) 実在ガム (mg/100 ml) 

1.9) 硫黄含有量(質量%) 

1.10) 鉛含有量 (mg/l) 

1.11) 炭素/水素比(モル比)又は炭素質量比(質量%) 

1.12) ベンゼン(体積%) 

1.13) ETBE(体積%) 

1.14) エタノール(体積%) 

1.15) MTBE(体積%) 

1.16) メタノール(体積%) 

1.17) 灯油分(体積%) 

1.18) りん含有量 (mg/l) 

1.19) 潤滑油混合比(体積比) 

1.20) 低位発熱量 (kJ/kg)(測定値又は計算値) 

2) ガス燃料を使用する場合 

2.1) 製造業者名及び呼称 

2.2) 貯蔵圧力 (kPa) 

2.3) 使用圧力 (kPa) 及び測定箇所 

2.4) 低位発熱量 (kJ/kg)(測定値又は計算値) 

f) 

潤滑油仕様 

1) 製造業者名及び呼称 

2) SAE粘度 

8.3 

結果報告 

結果報告書には,次の項目を含めて記載しなければならない。修正ネットトルク,修正ネット出力及び

燃料消費率の特性曲線は,エンジン回転速度の関数として描かれなければならない。結果報告書の例を,

表5に示す。 

− 最大修正ネットトルク (Nm) 

− 最大修正ネットトルク時のエンジン回転速度 (min−1) 

− 最大修正ネットトルク時の燃料消費率 (g/kW・h) 

− 最大修正ネット出力 (kW) 

− 最大修正ネット出力時のエンジン回転速度 (min−1) 

− 最大修正ネット出力時の燃料消費率 (g/kW・h) 

background image

13 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表5−結果報告書の例 

 
試験日:          試験開始時間:          試験終了時間:            
 

エンジン回転速度 

min−1 

動力計  

回転速度 

動力計荷重 

測定トルク 

測定出力 

温度 

℃ 

試験室   

相対湿度 

全大気圧 

修正係数 

修正ネット 

トルク 

修正ネット 

出力 

燃料   

消費率 b) 

設定値 

測定値 

min−1 

Nm 

kW 

吸気 

冷却液 a) 

オイル 

排気 

燃料 

試験室  
雰囲気 

kPa 

Nm 

kW 

g/kW・h 

平均 

平均 

平均 

平均 

平均 

注a) 測定位置を記載する(当てはまらないものを削除する。)。 

− 冷却液出口 
− 点火プラグガスケット 
− その他(記載する。) 

b) 出力補正なし。 

項目 

算出値 

測定時のエンジン回転数 

測定時の燃料消費率 

最大修正ネットトルク 

(Nm) 

(min−1) 

(g/kW・h) 

最大修正ネット出力 

(kW) 

(min−1) 

(g/kW・h) 

3

D

 1

0

0

0

2

0

0

9

  

background image

14 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(規定) 

圧縮点火式エンジンの出力試験 

序文 

この附属書は,圧縮点火式エンジンの出力試験に特有な装置及び補機類,試験条件,出力修正方法,並

びに試験報告書について規定する。 

JA.1 装置及び補機類 

試験は,表JA.1に示す装置及び補機類が標準附属装置の場合,これらをできる限り実際の使用状況と同

じ位置で試験台に取り付ける。 

表JA.1−圧縮点火式エンジンの出力試験に使用する装置及び補機類 

番号 

装置及び補機類 

吸気装置 

吸気マニホールド 
ブローバイガス還元装置 
デュアルインダクション制御装置 
電子制御装置 
空気流量計 
吸気配管 a) 
エアフィルタ a) 
吸気消音器 a) 
速度制限装置 a) 

排気装置 

排気ガス浄化装置 
排気マニホールド 
過給装置 
連結パイプ b) 
消音器 b) 
テールパイプ b) 
排気ブレーキ c) 
電子制御装置 

燃料供給装置 

燃料供給ポンプ d) 
分配器 

燃料噴射装置 

プレフィルタ 
フィルタ 
燃料噴射ポンプ 
高圧パイプ 
インジェクタ 
吸気バルブ  
電子制御装置 
ガバナ又はその他制御装置 

background image

15 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表JA.1−圧縮点火式エンジンの出力試験に使用する装置及び補機類(続き) 

番号 

装置及び補機類 

液冷式冷却装置 

ラジエータ e) 
冷却ファン e) ,f) 
冷却ファンカウル e) 
循環ポンプ e) 
サーモスタット e) ,g) 

空冷式冷却装置 

カウル e) 
冷却ファン又はブロワ e) ,f) 
温度調節装置 

電気装置 

発電装置 h) 
バッテリ h) 
配線 
電子制御装置 i) 

過給装置 

エンジン及び/又は排気ガス駆動式コンプレッサ 
過給圧制御装置 j) 
給気エアクーラ e) ,f) ,k) 
冷却液ポンプ又はファン(エンジン駆動) 

大気汚染防止装置 l) 

10 

潤滑油ポンプ 

11 

オイルクーラ 

注a) 同等品を使用してもよい。この場合,製造業者が新品のエアフィルタ使用時において,指定する限度値

より100 Paを超える吸気圧力低下がないことを確認しなければならない。 

b) 標準排気装置を取り付けることが不可能な場合,製造業者の規定に従った通常のエンジン運転特性を与

えるような装置を試験のために取り付けることができる。この場合,テストベンチの排気装置と新たに
取り付けた排気装置との接続位置における背圧は,大気圧力に対し,±740 Paを超える圧力差を生じて
はならない。ただし,製造業者が±740 Pa以下の圧力差を指定している場合は,これに従う。 

c) エンジンに排気ブレーキが組み込まれている場合,排気絞り弁は,全開の位置に固定しなければならな

い。 

d) 必要に応じて,実使用時の燃料圧力を再現するために燃料供給圧力を調整してもよい(特に,例えば,

タンク又はフィルタへの燃料循環システムが使用されている場合)。 

e) ラジエータ,冷却ファン,冷却ファンカウル,循環ポンプ,サーモスタット及びカウルは,車両におけ

る位置と相対的に同じ位置で試験台に設置する。冷却液循環は,エンジンのポンプだけで作動させる。 

冷却液の冷却は,エンジンのラジエータによるか,又は流路での圧力損失及びポンプ入口での圧力が

エンジン冷却装置とほぼ同等である場合には,外付けの装置によってもよい。ラジエータシャッタが組
み込まれている場合,開の位置とする。 

エンジン駆動の冷却ファン,ラジエータ及び冷却ファンカウルがエンジンに取り付けられない場合,

冷却ファンがラジエータ及び冷却ファンカウル(使用されているとき)に対して,正しい位置に取り付
けられているときの,冷却ファンが消費するエネルギーを,エンジン出力測定に使用するエンジン回転
速度において,標準的特性からの計算,又は実験によって決定する。このエネルギーを,箇条5に規定
する標準大気条件へ補正し,修正出力から差し引く。 

f) オン・オフ可能又は空転可能な冷却ファン又はブロワが組み込まれている場合,冷却ファン又はブロワ

は,オフにするか空転させて試験を実施する。 

g) サーモスタットは,全開の位置に固定してもよい。 

h) 発電装置の電力は最小とし,エンジン運転に必要不可欠な補機を動かすために必要な電力に限る。バッ

テリの接続が必要な場合,良好な状態の満充電のバッテリを使用する。 

background image

16 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表JA.1−圧縮点火式エンジンの出力試験に使用する装置及び補機類(続き) 

i) 噴射時期は,製造業者が推奨する最小のセタン価の燃料で運転したときの代表的な値とする。 

j) 給気又は吸気温度,セタン価,及び/又はエンジン回転速度に応じた可変過給圧制御装置を備えたエン

ジンにおいては,過給圧は,製造業者が推奨する最小のセタン価の燃料で運転したときの代表的な値と
する。 

k) 給気冷却エンジンは,液冷式,空冷式のいずれの場合でも給気冷却装置を作動させて試験を行う。製造

業者が望む場合,空冷式給気冷却装置の代わりに試験台システムの給気冷却装置を用いてもよい。いず
れの場合も,各エンジン回転速度での出力の測定は,試験台システムの給気冷却装置を通過する給気の
圧力低下及び温度低下は,製造業者が完成車両における装置に指定したものと同一の条件で行う。 

l) 大気汚染防止装置には,次のものが挙げられる。例えば,排気ガス再循環 (EGR) 装置,触媒コンバー

タ,二次空気供給装置,燃料蒸発防止装置,クランクケースエミッションコントロールシステム。 

JA.2 試験条件 

圧縮点火式エンジンに特有な試験条件は,次による。 

a) 出力試験は,最大燃料供給状態で,JA.1に規定した装置及び補機類を装着して行わなければならない。 

b) 燃料温度は,燃料噴射ポンプ入口で測定しなければならない。製造業者の指定によってエンジン運転

状態を代表するポンプ中の別の場所,又はフィルタと燃料噴射ポンプとの間の燃料配管でリターン入

口から上流部分で測定することができる。燃料温度は,製造業者が指定する温度の±3 ℃以内に保た

なければならない。いかなる場合も,許容されるポンプ入口での最低温度は,30 ℃である。試験燃料

の温度が製造業者によって指定されていない場合は,40 ℃±3 ℃でなければならない。 

c) 試験時の吸入空気温度 ty (℃) は,次に示す範囲内とする。 

10≦ty≦40 

JA.3 修正係数 

JA.3.1 修正係数 αa の決定 

一定燃料供給設定(あらかじめ設定している燃料供給)状態の圧縮点火式エンジンの出力修正係数 αa  は,

式(JA.1)によって求める。 

()m

a

a

f

f

α

 ··········································································· (JA.1) 

ここに, 

fa: 大気係数 (JA.3.2参照) 

fm: 各々のエンジン形式及び燃料設定に対する固有のパラメータ

(JA.3.3参照) 

JA.3.2 修正係数 fa の決定 

この係数は,エンジンに吸引される大気の条件(圧力,温度及び湿度)の影響を示す係数で,エンジン

形式によって,次の式(JA.2),(JA.3)又は(JA.4)のいずれかを用いて求める。 

− 自然吸気式エンジン又は機械過給式エンジン 

7.0

r

y

sy

y

y

sr

r

r

a

273

273

+

+

t

t

p

p

p

p

f

φ

φ

 ················································· (JA.2) 

− 吸気冷却を行わない,又は空冷装置によって吸気冷却を行う,ターボ過給式エンジン 

2.1

r

y

7.0

sy

y

y

sr

r

r

a

273

273

+

+

t

t

p

p

p

p

f

φ

φ

 ················································ (JA.3) 

background image

17 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 液冷式冷却装置によって吸気冷却を行う,ターボ過給式エンジン 

7.0

r

y

7.0

sy

y

y

sr

r

r

a

273

273

+

+

=

t

t

p

p

p

p

f

φ

φ

 ··············································· (JA.4) 

JA.3.3 エンジン係数 fm の決定 

係数 fm は,エンジン形式及び燃料設定に対応する空燃比に依存する。係数 fm は,修正燃料供給の関

数であり,式(JA.5)によって求める。 

fm=0.036 qc−1.14 ·································································· (JA.5) 

ここに, 

qc: 

rr

rr: 圧力比。標準状態(rr=1:自然吸気エンジン)における圧縮

機出口と圧縮機入口絶対圧との比率。2段ターボ過給の場合
は,全体の圧力比を用いる。 

q: 燃料供給係数(mg/l・cycle)。式(JA.6)によって求める。 

n

v

V

z

q

×

×

H

 ············································································ (JA.6) 

ここに, 

z: qを求めるための単位の変換係数。z=120 000(4ストローク

サイクルエンジンの場合),又はz=60 000(2ストロークサイ
クルエンジンの場合) 

V: 燃料流量 (g/s) 

vH: 排気量 (l) 

n: エンジン回転速度 (m−1) 

式(JA.5)は,次に示すqc (mg/l・cycle) の範囲において有効である。 

65

2.

37

c≦

≦q

qcの値が37.2未満の場合,定数fm は0.2としなければならない。qcの値が65を上回る場合,定数fm は

1.2としなければならない(図JA.1参照。)。 

図JA.1−エンジン係数 fm と修正燃料供給率qc との関係 

JA.3.4 修正係数を使用する場合の制限 

18 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

式(JA.1)は,αaが次の条件を満たすときにだけ適用できる。 

06

.1

96

.0

a≦

≦α

この範囲を超える場合には,得られた修正出力値及び試験条件(温度及び圧力)を試験報告書に記載し

なければならない。 

JA.4 試験報告書 

JA.4.1 一般  

圧縮点火エンジンに特有なエンジンネット出力試験報告書の要求事項を,次に示す。 

JA.4.2 試験報告書の記述法 

試験報告書は,次に示すエンジンの識別情報及び試験情報を含むものとする。 

JA.4.2.1 圧縮点火式エンジン基本特性 

8.2.1.1に示すエンジン基本特性のうち,適切な項目を選択して記載する。 

JA.4.2.1.1 装置及び補機類 

8.2.1.2に示す装置及び補機類について,標準附属装置以外のものを採用している場合は,製造業者名,

型式,仕様,設定条件などを記述する。ただし,8.2.1.2 e) の燃料供給装置の例については,次のとおり読

み替えるものとする。 

e) 燃料供給装置  

例5 ガバナ,燃料供給ポンプ,燃料噴射装置,燃料噴射時期調整装置,他 

JA.4.2.2 ネット出力測定時の条件 

試験報告書には,8.2.2に示す試験条件を記載しなければならない。ただし,8.2.2 e) の燃料仕様につい

ては,次のとおり読み替えるものとする。 

e) 燃料仕様 

1) 液体燃料を使用する場合 

1.1) 製造業者名及び呼称 

1.2) 15 ℃における密度 (g/cm3) 

1.3) セタン価 

1.4) 低位発熱量 (kJ/kg)(測定値又は計算値) 

1.5) 蒸留性状 

− 初留点 (℃) 

− 10 %留出温度 (℃) 

− 50 %留出温度 (℃) 

− 90 %留出温度 (℃) 

− 終点 (℃) 

− 残油量(体積%) 

1.6) 炭化水素分析 

− 不飽和分(体積%) 

− 芳香族分(体積%) 

− 飽和分(体積%) 

1.7) 硫黄含有量(質量%) 

1.8) 動粘度 (30 ℃) (mm2/s) 

19 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.9) 炭素/水素比(モル比)又は炭素質量比(質量%) 

JA.4.3 結果報告 

結果報告書の記載要領は,8.3に規定するとおりとする。 

background image

20 

D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS D 1000 : 2009 二輪自動車−エンジンネット出力試験方法 

ISO 4106 : 2004,Motorcycles−Engine test code−Net power 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

JIS D 0109に定義されて
いる二輪自動車とした。 

ISO 3833に定義されてい
るモーターサイクルだけ
が対象となっている。 

変更 

技術的差異なし。 

日本の状況に合わせた内容であ
り,国際規格には提案しない。 

2 引用規
格 

3 用語及
び定義 

3.2(修正ネット出力)及
び3.4(修正ネットトル
ク)を追加した。 

修正ネット出力及び修正
ネットトルクの用語及び
定義がない。 

追加 

技術的差異なし。 

規格を正しく理解するために必
要な用語及び定義の追加である
ため,国際規格改正時に提案す
る。 

4 記号 

トルクに関する記号を追
加した。 

トルクに関する記号がな
い。 

追加 

技術的差異なし。 

規格本文中で使用されている記
号を追加した。国際規格改正時に
提案する。 

6.2.4 燃料
温度 

燃料温度測定装置の精度
は,±1 ℃以内とした。 

6.2.4 

燃料温度測定装置の精度
は,±2 K以内となってい
る。 

変更 

国際規格が規定する値を変更
した。 

燃料温度測定装置の精度として,
技術的に適切な値に変更した。 
国際規格改正時に提案する。 

6.2.7 排気
システムの
背圧 

背圧(差圧)測定装置と
した。 

6.2.7 

背圧測定装置となってい
る。 

追加 

技術的差異なし。 

測定対象が差圧であることを明
確にした。 
国際規格改正時に提案する。 

6.2.8 試験
室湿度 

試験室湿度測定装置の精
度は,相対湿度で±2 %
以内とした。 

6.2.8 

試験室湿度測定装置の精
度は,相対湿度で±11 %
以内となっている。 

変更 

国際規格が規定する値を変更
した。また,乾湿球湿度計に
かかわる注記を削除した。 

国際規格の規定は,乾湿球湿度計
での湿度測定を前提にしたもの
であり,現状には合わない。 
国際規格改正時に提案する。 

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D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.3.2 試験
条件 

6.3.3 

一致 

6.3.2 a) 

6.3.3.1 

一致 

6.3.2 b) 

6.3.3.1 

一致 

6.3.2 c) 

6.3.3.2 a) 

一致 

6.3.2 d) 

運転条件が安定したら,
すぐに測定を開始すると
した。 

6.3.3.2 c) 

運転条件が安定したら,
すぐにデータを記録する
となっている。 

変更 

運転条件安定後に,すべきこ
とを変更した。 

運転条件が安定してすぐにデー
タを記録することはできない。す
べきことは,測定を開始すること
である。 
国際規格改正時に提案する。 

測定時間は,すべての測
定ポイントで同じとする
とした。 

6.3.3.2 c) 

安定した運転条件を確保
するのに要した時間は,
すべての測定ポイントで
同じとし,その時間を記
録するとなっている。 

変更 

管理すべき時間の定義を変更
した。 

安定した運転条件を確保するの
に要した時間ではなく,運転条件
が安定した後の測定時間をすべ
ての測定ポイントで同じとする
ことが重要である。 
国際規格改正時に提案する。 

6.3.2 e) 

6.3.3.2 d) 

一致 

6.3.2 f) 

6.3.4.1 

一致 

6.3.2 g) 

6.3.3.2 e) 

一致 

6.3.2 h) 

6.3.3.2 f) 

一致 

6.3.2 i) 

6.3.3.2 g) 

一致 

6.3.2 j) 

6.3.3.2 b) 

一致 

6.3.2 k) 

6.3.4.2 

一致 

6.3.2 l) 

試験目的に応じた試験燃
料の選択を明確にした。 

6.3.3.2 h) 

型式試験及び受渡試験の
場合の燃料選択について
規定している。 

追加 

型式試験及び受渡試験以外の
燃料について規定を追加し
た。 

試験目的に応じた燃料選択を明
確にするための追加であり,国際
規格改正時に提案する。 

試験報告書に燃料仕様を
記入することとした。 

6.3.3.2 h) 

記録書式の例を附属書A
に示すとなっている。 

変更 

附属書Aを削除し,燃料仕様
を明記することとした。 
技術的差異なし。 

試験に使用した燃料の性状が明
確になっていればよいので,試験
燃料規定を附属書に参考として
記載する必要はない。国際規格改
正時に提案する。 

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D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.3.2 m) 

6.3.3.1 

一致 

− 

排気装置に関する規定を
表2の注b)に記載するこ
ととした。 

6.3.4.3 

排気装置に関する規定が
ある。 

一致 

規定の記載場所を変更した。 
技術的差異なし。 

排気装置に関する規定は,表3
に記載するのが妥当。 
国際規格改正時に提案する。 

6.4 試験手
順 

6.2.5 

一致 

7.1 測定ト
ルク,測定
出力及び燃
料消費率の
算出 

測定トルク,測定出力及
び燃料消費率の算出式を
規定した。 

− 

規定なし。 

追加 

測定トルク,測定出力及び燃
料消費率の算出式を追加規定
した。 

測定トルク,測定出力及び燃料消
費率の規定は必要。 
国際規格改正時に提案する。 

7.2 ネット
トルク及び
ネット出力 

ネットトルク及びネット
出力の算出に関する規定
を一つの箇条にまとめ
た。 

7.1 
7.3.1 

修正式を規定している。 
修正係数の算出について
規定している。 

一致 

技術的差異なし。 

使いやすい規格とするための編
集上の変更である。 
国際規格改正時に提案する。 

7.2.1 修正
係数αmの決
定 

7.3.1 

一致 

7.2.2 ネッ
トトルク及
びネット出
力の算出 

ネットトルク及びネット
出力の算出式を規定し
た。 

− 

規定なし。 

追加 

ネットトルク及びネット出力
の算出式を追加規定した。 

国際規格に規定がないことは不
備であるため,国際規格改正時に
提案する。 

7.3 修正ネ
ットトルク
及び修正ネ
ット出力 

7.3.2 

一致 

8.1 一般 

9.1 

一致 

8.2.1 火花
点火式エン
ジン基本特
性 

9.1 

一致 

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D 1000:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8.2.1.1 エ
ンジン 

供試エンジンの諸元につ
いて記述した。 

9.1 

詳細の記述はなく,諸元
にIdentification No.を追加
することを記述。 

ロータリーエンジンの諸
元記述法を追加。 

追加 

引用している国際規格の記述
を追加した。 
技術的差異なし。 

8.2.1.2 装
置及び補機
類 

標準附属装置以外のもの
を採用した場合に,記載
すべき装置及び補機類の
詳細について記述した。 

9.1 

具体的記述なし。 

追加 

引用している国際規格の記述
を追加した。 
技術的差異なし。 

8.2.2 出力
測定時の条
件 

測定圧力,各部測定温度,
動力計の特性,燃料流量
測定装置の方式,燃料仕
様,潤滑油仕様などを記
述した。 

9.1 

具体的記述なし。 

追加 

引用している国際規格の記述
を追加した。 
技術的差異なし。 

8.3 結果報
告 

機関運転の安定に要した
時間の記載はなし。 

9.1 

機関運転の安定に要した
時間を記述する。 

削除 

6.3.2 d)の修正に伴い削除し
た。 

国際規格改正時に提案する。 

附属書JA 
(規定) 

圧縮点火式エンジンに特
有な装置及び補機類,試
験条件,出力修正方法,
並びに試験報告書を規
定。 

本文中の各箇条に分散し
て規定されている。 

− 

本文中の圧縮点火式にかかわ
る規定を附属書にまとめて記
載した。 
技術的差異なし。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 4106:2004,MOD 

 
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 一致 ················ 技術的差異がない。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

  

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