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日本工業規格          JIS 

 

D 0024-1985 

 

 

自動車におけるH点の決め方 

Road Vehicles−Procedure for H-point Determination 

 

 

1. 適用範囲 この規格は,自動車におけるH点の決め方とこれに用いる3次元マネキンについて規定す

る。ただし,二輪自動車には適用しない。 

引用規格 JIS D 0030-1982 自動車の3次元座標方式 

対応国際規格:IS06549-1980 Road vehicles−Procedure for H-point determination 

関連規格:JIS D 0022-1984 自動車用ペダル類の配置測定方法 

JIS D 0023-1984 乗用車の運転者の手操作の可能な範囲 

JIS D 0301-1982 自動車室内寸法の測定方法 

JIS D 4607-1977 自動車室内寸法測定用三次元座位人体模型 

ISO 3958-1977 Road vehicles−Passenger cars−Driver hand control reach 

ISO/DIS 3409 Road vehicles−Lateral spacing of foot controls 

 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

(1) 3次元マネキン 自動車の実測H点を決定するために用いる装置。 

(2) H 点 3次元マネキンの胴部と大たい(腿)部の回転中心点。これは,3次元マネキンの両側にある

照準点間の中央に位置する。 

(3) 実測H点 自動車の製造業者(以下,“製造業者”という。)が定めたシートスライド最後端における

通常運転位置又は乗車位置に5.に従い着座させた3次元マネキンのH点。 

(4) 2次元マネキン 3次元マネキンのH点に相当する位置を図面上に表すため,3次元マネキンの側面図

を2次元化した装置。 

(5) R 点 実測H点に相当する設計基準点。このとき,シートの上下,シートバック角度及びシートクッ

ション取付角度など,調整機構がある場合,製造業者が定めた設計基準位置に調整する。 

なお,R点は,2次元マネキンの基準点に相当する。 

(6) トルソライン 3次元マネキンのヘッドルームプローブがバックパンと接触するまで最後方にしたと

きのプローブ中心線。 

(7) 実測バックアングル 実測H点を通る鉛直線とトルソラインとの間で測定された角度。 

(8) Y平面 JIS D 0030(自動車の3次元座標方式)に規定するゼロY平面に平行な平面。 

(9) 着座中心面 各設計シート位置における乗員又は3次元マネキンのY平面に平行なH点を通る中心面。

着座中心面は製造業者が定める。 

(10) 運転者ヒールポイント 3次元マネキンのかかとと圧縮状態のフロアカバー表面又はかかとの支持物

との交点。 


D 0024-1985  

(11) フットアングル 3次元マネキンの右足靴底面の接線とレッグ中心線とのなす角度。 

 

3. 適用条件 この規格に定めるH点の決め方は,次の車室寸法の自動車に適用する。 

(1) R点と運転者ヒールポイントの鉛直方向距離は550mm以下。 

(2) バックアングルは後方5°以上又はサイ中心(サイバーの中心線)と水平線とのなす角度は上方5°以

上。 

4. 

3次元マネキンの構成 3次元マネキンのバックパン及びシートパンは,統計上の平均で示される成

人男性の外形形状を示している。バックパン,シートパン,ヘッドルームプローブは,H点においてヒン

ジで結合され,回転可能な構造とする。レッグはひざ(膝)関節に相当するTバーに,また,足はレッグ

に回転可能な構造で取り付ける。各ウェイトは,質量75.6kgの成人男性相当の荷重をシートに与えるため,

各部分の重心位置に取り付ける。 

各部の名称,寸法及び質量を図1及び図2に示す。 

図1 3次元マネキンの各部名称 

 


D 0024-1985  

図2 3次元マネキンの各部寸法・質量 

 

 

5. 3次元マネキンの着座方法 

5.1 

実測H点を決めるときの条件 

5.1.1 

車両は,製造業者が定める状態とする。室内設定温度は20±10℃とし,シート材の温度が室温と

同一になるように保持する。 

5.1.2 

シートは,次の状態とする。 

(1) シートは,R点の位置に調整し,すべての調整機構は製造業者が定めた設計基準位置とする。 

独立した垂直方向調整機構又はサスペンション機構をもつシートについては,その垂直方向位置は

固定し,製造業者が定めた設計基準位置とする。 

(2) シートが一度も座られていない場合は,体重70〜80kgの人間又は装置をシートに着座させる。 

(3) シートは,3次元マネキンを設定する前に,最低30分間は,無負荷とする。 

5.2 

着座手順 3次元マネキンの着座手順は,次のとおりとする。 

(1) 測定するシートに,モスリンコットン(平たんなコットン,18〜19糸/cm2かつ0.228kg/m2)又は同

程度の布を敷く。 

もし,測定が台上で行われる場合は,適当なフロアカバー又は同等のものを3次元マネキンの両足

の下に敷く。 

(2) 着座中心面が3次元マネキンの中心面と一致するように,3次元マネキンのシートパン及びバックパ

ンを着座させる。 

もし,3次元マネキンがシート外側に寄り,水平が保持できない場合,着座中心面を内側に移動さ


D 0024-1985  

せてもよい。この場合,車両中心面からその着座中心面までの距離を記録する。 

(3) レッグ及びサイバーを50又は95パーセンタイルの長さに調整する。 

(4) 足及びレッグをTバーに取り付ける。H点照準点を通る線は,水平かつシートの縦中心面に垂直とす

る。 

(5) 3次元マネキンの両足及びレッグの位置は,次のとおりとする。 

(5.1) 運転席 

(5.1.1) 右足の位置 右足は,次のとおりとする。 

(a) 

95パーセンタイルのレッグを用いる場合は,右足はアクセルペダル上に置き,かかとは製造業者

が定めたフロア上に置く。ただし,フットアングルは87°以上とし,製造業者が定めたストロー

クの範囲でアクセルペダルを踏み込んでもよい。ただし,フットアングルが87°で,運転者ヒー

ルポイントがフロアではなくトーボード上にくる場合は,足を運転者ヒールポイントがトーボー

ドとフロアカバーの交線に接するまで移動し,足がアクセルペダルに接するまで足を回転させる。 

(b) 

50パーセンタイルのレッグを用いる場合は,右足は原則として(a)に従うが,靴底はアクセルペ

ダルに接しなくてもよく,フロア上の自然な位置に置いてもよい。この場合,運転者ヒールポイ

ントは製造業者が定めた位置とする。 

(5.1.2) 左足の位置 左足は,次のとおりとする。 

(a) 

左足は,3次元マネキンの中心面に対し右足と可能な限り同距離となるように,フロア又はトー

ボード上に置く。左右のH点照準点を通る直線は,水平かつシートの縦中心面に垂直とする。 

(b) 

左レッグが右レッグと平行にできず,かつ左足が構造物に支持できない場合,左レッグを緩め支

持されるまで左足を移動する。左右のH点照準点を通る直線は,(a)と同様とする。 

(5.2) 乗員席 

(5.2.1)  前席外側の場合 50及び95パーセンタイルのレッグに対し,(5.1.1)(b)及び(5.1.2)の方法に従う。 

(5.2.2) 後席外側の場合 後席又は補助席について,50及び95パーセンタイルのレッグに対し,製造業

者が定めたレッグ位置とする。もし,両足を異なる高さのフロア部に置く場合は,前席に最初に

接する足を基準とし,他方の足を調整して3次元マネキンの横方向水準器を水平とする。 

(5.3)  前・後席中央 (5.2)の方法による。ただし,フロア部にトンネルがある場合,足は各々トンネル

の両側に置く。 

(5.4) 後席に3次元マネキンが着座できない場合 前席を必要最小限前方へ移動してもよい。 

(6) レッグウェイト及びサイウェイトを取り付け,3次元マネキンを水平とする。 

(7) バックパンを前方のストップ位置まで前傾させ,Tバーを用いて3次元マネキンをシートバックから

離す。 

次のどちらかの方法によって,3次元マネキン位置を調整する。 

(7.1)  3次元マネキンが後方に移動する傾向がある場合 Tバーに前方負荷が不必要となるまで,すな

わち,シートパンがシートバックに接触するまで後方に滑らせる。もし,必要ならば,レッグは再

調整する。 

(7.2)  3次元マネキンが後方に移動する傾向がない場合 Tバーに水平後方負荷を与え,シートパンが

シートバックに接触するまで滑らせる。 

(8) ヒップアングル分度器とTバーの交点から,バックパンアッセンブリに100±10Nの負荷を与える。

負荷方向は,上記の交点に向かってサイバーとほぼ平行とする。 

(9) バックパンをシートバックに戻す。このとき,3次元マネキンが前方に移動しないように注意する。 


D 0024-1985  

(10) バックウェイトをのせ,次に,左右交互に8個のトルソウェイトを取り付ける。このとき,3次元マ

ネキンの水平を維持する。 

(11) バックパンを前傾させ,製造業者の要望がある場合,3回3次元マネキンを10°の扇形の端から端ま

で,すなわち,垂直面から片側5°ずつ揺する。このとき,次の点に注意する。 

(11.1)  Tバーに適当な横方向の負荷を与え,Tバーが水平及び鉛直線から傾かないようにする。 

(11.2)  不要な外部入力が鉛直又は前後方向にかからないようにする。 

(11.3)  3次元マネキンの両足は拘束せず,足の位置が変化してもそのままの状態にしておく。 

(12) バックパンをシートバックに戻し,3次元マネキンが水平であることを確認する。 

(13) (11.3)で変化した足の位置を次のとおり再調整する。 

(13.1)  更に足が動かないように,フロアから交互に各足をもち上げる。このとき,足は回転自由とし,

また,前方又は横方向の負荷を与えてはならない。 

(13.2)  各足は,このために設計された構造物に接触するように戻す。このとき,シートパンが水平で

ない場合,バックパンの最上部に横方向の負荷を与え,シートパンを水平にする。 

(14) ヒップアングル分度器の指示が安定するまで,25N以下の水平方向負荷をトルソウェイトのほぼ中心

に加える。 

このとき,3次元マネキンに下方又は左右方向の負荷を与えないようにする。 

(15) 3次元マネキンの水平調整が必要な場合,バックパンを前傾させ水平にした上で,(11)から再度繰り返

す。 

5.3 

測定項目 

(1) 3次元座標系に対する実測H点位置 

(2) 鉛直線に対する実測バックアングル 

(3) シートスライド最後端における通常運転位置,又は乗車位置でのH点。水平方向シート移動量と必要

な方向の補正を行い,実測H点から算出する。 

 


D 0024-1985  

自動車 航空部会 自動車専門委員会 構成表 

 

 

氏名 

所属 

(委員会長) 

 

中 込 常 雄 

社団法人自動車技術会 

 

 

横 溝 眞一郎 

工業技術院標準部 

 

 

柴 藤 良 知 

運輸省交通安全公害研究所 

 

 

堤   富 男 

通商産業省機械情報産業局 

 

 

清 水 達 夫 

運輸省地域交通陸上技術安全部 

 

 

瀬 倉 久 男 

防衛庁装備局 

 

 

梅 澤 清 彦 

東京工業大学 

 

 

石 渡 正 治 

財団法人日本自動車研究所 

 

 

大 沼 広 洲 

全日本トラック協会 

 

 

佐 藤   武 

慶応義塾大学 

 

 

杉 浦 秀 昭 

日本自動車整備振興会連合会 

 

 

田 中 兼 吉 

社団法人日本バス協会 

 

 

轟     秀 

社団法人日本自動車連盟 

 

 

安 部   宏 

株式会社本田技術研究所 

 

 

改 田   護 

トヨタ自動車株式会社 

 

 

紅 谷 恒 雄 

日産自動車株式会社 

 

 

須 永 惇 一 

いすゞ自動車株式会社 

 

 

鈴 本 作 良 

社団法人日本自動車部品工業会 

 

 

高 原 昭 二 

三菱自動車工業株式会社 

 

 

西 原 孝 雄 

マツダ株式会社 

 

 

大 槻 耕 一 

日野自動車工業株式会社 

 

 

金 子 達 明 

日本自動車輸入組合 

(専門委員) 

 

斎 藤   巌 

財団法人日本規格協会 

 

 

武 永 三 郎 

日本道路公団 

 

 

有 賀   久 

日産ディーゼル株式会社 

 

 

宇 藤   官 

鈴木自動車工業株式会社 

(事務局) 

 

田 代 和 也 

工業技術院標準部機械規格課 

 

 

宗 像 保 男 

工業技術院標準部機械規格課