>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

C 9807 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


C 9807 : 1999

(1) 

目次

ページ

序文

1

第 1 章  総則

1.

  適用範囲

1

2.

  目的

1

第 2 章  定義及び文字記号

3.

  器具の表示用語

1

4.

  器具の分類用語

2

5.

  器具の特性に関する用語

2

6.

  記号

2

第 3 章  測定における一般的な注

7.

  測定リスト

3

8.

  一般的測定条件

3

9.

  温水器の取付け

3

10.

  貯湯された蓄熱水温の測定

4

11.

  サーモスタット設定

4

12.

  エネルギー消費量の測定

4

第 4 章  測定方法

13.

  定格容量の確認

4

14.

  24 時間当たり定常損失

4

15.

  温水出力

5

16.

  再加熱時間

5

17.

  混合係数

6

18.

  ダイヤル校正の偏差

6

19.

  周期的温度変化(ディファレンシャル)

6


日本工業規格

JIS

 C

9807

 : 1999

家庭用貯湯式電気温水器の

性能測定方法

Methods for measuring the performance of

electric storage water-heaters for household purposes

序文  この規格は,1987 年に第 3 版として発行された IEC 60379, Methods for measuring the performance of

electric storage water-heaters for household purposes

を元に,

対応する部分については対応国際規格を翻訳し,

技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定

項目を日本工業規格として追加している。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

第 1 章  総則

1.

適用範囲  この規格は,家庭用貯湯式電気温水器に適用される。

この規格は,次の温水器には適用されない。

−  他のエネルギー源(例えば,太陽エネルギー)を使用する温水器

−  複数の加熱容積をもつ温水器

−  断熱のない温水器

備考1.  深夜電力利用の電気温水器もこの規格の範ちゅうに含まれる。

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 60379 : 1987

  Methods for measuring the performance of electric storage water-heaters for

household purposes

2.

目的  この規格の目的は,電気温水器のユーザーに関心のある主要性能特性を明示及び定義し,それ

らの特性の標準測定方法を示すことにある。

この規格において安全性及び性能規定値は扱わない。

第 2 章  定義及び文字記号 

この規格では,次の定義及び文字記号を使用する。

3.

器具の表示用語


2

C 9807 : 1999

3.1

貯湯式温水器 (Storage water heater)   温水を長時間保持するために,十分に断熱された容器の水を

加熱することを目的とし,水温制御用装置を装備した器具。

4.

器具の分類用語

4.1

密閉形温水器 (Unvented water-heater)   給水本管の圧力の下に作動するように設計され,出湯装置

の単数又は複数の弁で出湯量を制御する温水器。

4.2

シスターン給水温水器 (Cistern-fed water-heater)   水槽から給水を行い,出湯装置の単数又は複数

の弁で出湯量を制御し,大気に対して開いた通気口を設け,

膨張した水が水槽に戻れるようにした温水器。

4.3

元止式温水器 (Open outlet water-heater)   給水管の弁で水流を制御し,膨張した水が出口管からあ

ふれ出るようにした温水器。

4.4

通気式温水器 (Vented water-heater)   いかなる使用条件の下でも水面の圧力が常に大気圧である

ように大気に対して開いた温水器。

4.5

シスターン内蔵温水器 (Cistern-type water-heater)   給水水槽が器具と一体のシスターン給水温水

器。

5.

器具の特性に関する用語

5.1

定格容量 (Rated capacity)   製造業者か温水器に指定し,温水器に表示した水容量。

5.2

定格入力 (Rated input)   製造業者か温水器に指定し,温水器に表示した電気入力。

5.3

24

時間当たり定常損失  (Standing loss per 24h)    定常状態に達した後,電源に接続した状態で,水

を抜かない満水の温水器の 24 時間のエネルギー消費量。

5.4

定格電圧 (Rated voltage)   製造業者が器具に指定した電圧(三相電源の場合,相間電圧)。

6.

記号  この規格で使用する記号は,次の意味をもつ。

参照箇条: 

A

=ダイヤル校正の偏差

………………………………………… 18.

E

=24 時間当たりエネルギー消費量

………………………………………… 14.

F

m

=混合係数

………………………………………… 17.

Q

pr

=24 時間当たり定常損失

………………………………………… 14.

t

R

=再加熱時間

………………………………………… 16.

t

R.50

=水温上昇 50K に必要な再加熱時間

………………………………………… 16.

θ

=サーモスタットダイヤルの表示温度

………………………………………… 11.18.

θ

=サーモスタット制御の周期的変化(差動) ………………………………………… 19.

θ

amb

=試験中の周囲温度

…………………………………………  8.

θ

C

=冷水の温度

…………………………………………   8.15.

θ

Ai

=サーモスタット・カットアウト後の水温

………………………………………… 10.14.

θ

A

=サーモスタット・カットアウト後の平均水温………………………………………… 10.14.

θ

Ei

=サーモスタット・カットイン後の水温

………………………………………… 10.14.

θ

E

=サーモスタット・カットイン後の平均水温 ………………………………………… 10.14.

θ

M

=水抜きなしの平均水温

………………………………………… 11.14.

θ

'

p

θ

p

決定用平均水温

………………………………………… 10.15.


3

C 9807 : 1999

参照箇条: 

θ

p

=温水出力を決定するときの平均水温

………………………………………… 15.

θ

R

=再加熱後の水温

………………………………………… 16.

θ

W

=補給なしに抜いた水の平均水温

………………………………………… 16.17.

第 3 章  測定における一般的な注 

7.

測定リスト  温水器の性能は,次を測定して決定する。

参照箇条:

−定格容量の確認

…………………………………………………………… 13.

−24 時間当たり定常損失

…………………………………………………………… 14.

−温水出力

…………………………………………………………… 15.

−再加熱時間

…………………………………………………………… 16.

−混合係数

…………………………………………………………… 17.

−ダイヤル校正の偏差

…………………………………………………………… 18.

−周期的温度変化(ディファレンシャル) …………………………………………………………… 19.

測定の図表が 8 ページ

図 に示されている

8.

一般的測定条件  別途指定された場合を除き,温水器を次の条件で運転して測定を行う。

−  事実上通風のない室内

−  周囲温度

θ

amb

=20℃±2℃

周囲温度は,温水器と部屋の壁の間の中間か,温水器から 1m 離れたところか,どちらか短い方でかつ

温水器の半分の高さのところの多数の箇所で測定した測定値から計算する。

−  相対湿度 85%以下

温度と相対湿度に関する数値は,定常状態のときのものだけが有効であり,温水器から温水を抜く瞬間

のものは無効である。

−  定格入力

暖かい状態で定格入力を供給するのに必要な電圧が定格電圧に対し 5%を超える偏差の場合には,測定

をしてはならない。

−  適用可能な場合,定格周波数

−  9.に示されたとおりに取り付け,温度

θ

c

=15℃±2℃の水を給水し,製造業者の指示どおりに据え付

けた事実上,一定圧の給水源から給水。

−  11.に示されたサーモスタット設定

9.

温水器の取付け  壁掛形温水器は,構造壁から少なくとも 150mm 離れた位置に配置したパネルに取

り付ける。加熱器の上下に少なくとも 250mm,両側面と正面に少なくとも 700mm の自由空間があるよう

に温水器を配置する。

床置形温水器は,床に置く又は温水器附属の架台に載せる。擬似床を使用して測定を容易にすることが

できる。

組込み用温水器は,製造業者の指示のとおりに組み込む。


4

C 9807 : 1999

10.

貯湯された蓄熱水温の測定

10.1

水を抜かない状態での水温の測定は,容器上部の内側に熱電対を配置して行う。ただし,金属容器

の場合には,熱電対を容器の外面に配置することができる(

図 参照)。

サーモスタット・カットアウト後の平均水温

θ

A

は,各サーモスタット・カットアウト後に記録した 

の温度

θ

Ai

の平均値であり,次の式によって示される。

n

Ai

n

i

i

A

θ

θ

=

=

å

=

1

サーモスタット・カットイン後の平均水温

θ

E

は,各サーモスタット・カットイン後に記録した 個の温

θ

EI

の平均値であり,次の式によって示される。

n

Ei

n

i

i

E

θ

θ

=

=

å

=

1

10.2

抜いた水の温度測定は流出状態で行い,その流出は連続的であるものとする。±0.5K の精度まで温

度を測定し,温度計を使用する場合にはいかなる位置でも素早く正確に記録できるタイプの温度計を使用

するものとする。

できれば連続的に温度を読み取る。又は放出全体に均等に分散した等間隔で,例えば,定格容量の 5%,

15%

……などで 10 回,温度を読み取ることができる。温度が急激に低下した場合には,平均値

θ

'

P

を正確

に計算するために追加温度読取りが必要になろう。

備考  この測定に適した器具が,図 に例示されている。

11.

サーモスタット設定  調整手段のある温水器サーモスタットについては,14.によって測定した平均水

θ

M

が 65℃±3℃となるようにサーモスタットを設定する。

サーモスタット設定は,測定中終始変わらないものとする。サーモスタットに温度表示ダイヤルが付い

ている場合には,等価ダイヤル示度

θ

を記録するものとする。

温水器サーモスタットをユーザーが調整できない温水器については,サーモスタット設定の調整を行わ

ない。

12.

エネルギー消費量の測定  消費電力量を電力量計で測定し,最も近い 0.01kWh 単位までキロワット時

で記録する。

第 4 章  測定方法 

13.

定格容量の確認  温水器を通常の方法で満たして,給水を止める。次いで,給水口を通じて又はそれ

が不可能な場合には排水栓を開けて,温水器を空にする。

シスターン給水温水器の場合には,抜いた水量から給水水槽の水量を除外する。

抜いた水量を測定し,測定結果を最も近い 0.1L 単位までリットルで明記する。

14.  24

時間当たり定常損失  温水器に冷水を満たす。定常状態に達するまで,サモスタットが数サイクル

作動する間,電源スイッチを入れる。


5

C 9807 : 1999

サーモスタットのカットアウトで始まって,サーモスタットのカットアウトで終わるまで,少なくとも

48

時間にわたり,時間 t

1

(時間数)の間に消費されたエネルギーE

1

を測定する。10.によって熱電対を配置

して,各サーモスタット・カットイン時の水温

θ

Ei

と各サーモスタット・カットアウト時の水温

θ

Ai

を測定

する。

次の式によって 24 時間当たりのエネルギー消費量 を計算する

1

1

24

t

E

E

=

次の式によって平均水温

θ

M

を計算する。

2

E

A

M

θ

θ

θ

+

=

θ

A

θ

E

は,10.によって計算する。

次の式によって 24 時間当たり定常損失 Q

pr

を計算する

E

Q

amb

M

pr

=

θ

θ

45

Q

pr

は温度上昇 45K に関する 24 時間当たりキロワット時数で表し,最も近い 0.1kWh まで表す。

15.

温水出力  14.による測定の直後に,サーモスタットがカットアウトしてから,温水器のスイッチを切

る。

次いで,

−  冷水を給水して定格容量に等しい量の水を一定流量で出口から抜く。出湯側開放温水器については,

給水弁で水流を制御する。他のタイプの温水器については,出湯口に取り付けられた弁で水流を一

定に保つ。

流量を次のように調整する。

・  定格容量が 10L 未満の温水器については,毎分 2L

・  定格容量が 10L から 50L までの温水器については,毎分 5L

・  定格容量が 50L 超から 200L までの温水器については,毎分 10L

・  定格容量が 200L を超える温水器については,毎分,容量の 5%に対応する値

ただし,使用上問題がない場合には,毎分 10L で試験を行ってもよい。

10.2

に示された方法で温度を測定し,抜いた水の平均温度

θ

'

p

を確定する。

次の式によって平均水温

θ

p

を計算する。

15

50

C

A

c

p

p

θ

θ

θ

θ

θ

−  温水出力を

θ

p

時の定格容量(.

.℃のとき.

.L)として記録する。

16.

再加熱時間  15.によって

θ

p

を決定した直後に,

−  電源スイッチを入れる。

−  電源スイッチ投入から,10.1 によって測定した水温

θ

R

θ

A

から 10K 以内になって最初のサーモスタ

ット・カットアウトまでの加熱時間 t

R

水温を 15℃から 65℃に上げるのに要する再加熱時間を次の式によって計算し,時数と分数で表す。


6

C 9807 : 1999

C

R

R

R

t

t

θ

θ

50

50

その後,

−  温水器の電源スイッチを切り,給水を止める。

−  水を給水口から抜く。ただし,それが不可能な場合には,排水栓から水を抜くことができる。

−  冷水を補給せずに抜いた水の平均水温を

θ

W

として記録する。

17.

混合係数  温水器に冷水が流入する場合としない場合の平均水温を比較して混合係数 F

m

を決定する。

混合係数は百分率で表し,次の式によって示される。

100

W

P

W

m

F

θ

θ

θ

18.

ダイヤル校正の偏差  この測定はユーザーが調整でき,露出したダイヤルが付いたサーモスタットに

だけ適用する。

ダイヤル校正の偏差 は,ダイヤル示度を平均水温と比較して決定し,次の式によって示される。

A

θ

θ

M

19.

周期的温度変化(ディファレンシャル)  サーモスタットの周期的温度変化

θ

は,次の式によって表

される。

θ

θ

A

θ

E

図 1a  密閉形温水器 (4.1)  

図 1b  シスターン給水温水器 (4.2)


7

C 9807 : 1999

図 1c  元止式温水器 (4.3)  

図 1d  通気式温水器 (4.4) 

図 1e  シスターン内蔵温水器 (4.5) 

図 1  貯湯式温水器の図式的表示

図 2  水温の測定(10.参照)


8

C 9807 : 1999

図 3  熱電対による水温の測定


9

C 9807 : 1999

図 4  貯湯式温水器の測定


10

C 9807 : 1999

第 59/61-1 小委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

八木澤  英  長

財団法人電気安全環境研究所

(委員)

佐  藤  政  博

財団法人電気安全環境研究所

渡  辺  博市郎

財団法人日本品質保証機構

上  野  雅  雄

製品評価技術センター

浅  井      功

社団法人日本電気協会

片  岡      茂

国民生活センター

伊  藤  文  一

財団法人日本消費者協会

中  野  三千代

全国地域婦人団体連絡協議会

原      早  苗

消費科学連合会

大  内  孝  典

全国電機商業組合連合会

齋  藤  有  常

日本百貨店協会

岡  田  省  三

社団法人日本厨房工業会

重  田  政  秀

日本自動販売機工業会

鴨志田  隆  英

日本暖房機器工業会

奥      敏  夫

社団法人日本ホームヘルス機器工業会

中  野  康  夫

三洋電機株式会社

新  里  勝  弘

シャープ株式会社

平  岡  俊  二

株式会社東芝

仁  衡  昭  一

株式会社日立製作所

奈良井  良  雄

三菱電機株式会社

青  田  安  功

松下電器産業株式会社

石  井  禎  二

松下電工株式会社

佐々木      宏

松下電器産業株式会社

平  田  俊  通

三洋電機株式会社

森  川  喜  之

松下電器産業株式会社

田  嶋  啓  三

日立工機株式会社

横  山  豊  次

社団法人日本電子機械工業会

薦  田  康  久

通商産業省資源エネルギー庁

橋  爪  邦  隆

通商産業省工業技術院

伊  藤      章

通商産業省機械情報産業局

(事務局)

柴  田  和  男

社団法人日本電機工業会


11

C 9807 : 1999

電気温水器技術専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

猪  瀬  博  保

三菱電機株式会社

(委員)

宮  崎      進

九州変圧器株式会社

小山田  達  也

九州変圧器株式会社

宮  岡  典  明

四変テック株式会社

井  沼  豊  明

シャープ株式会社

加  納  弘  男

積水化学工業株式会社

成  瀬  広  則

タカラスタンダード株式会社

西  田  光  一

中国電機製造株式会社

原      一  雄

株式会社東芝

新  井  啓太郎

東芝機器株式会社

細  川  芳  洋

鳥取三洋電機株式会社

竹  内  紀一郎

株式会社日本イトミック

鈴  木  信  次

日立冷熱株式会社

服  部  正  次

松下電器産業株式会社

原      和  夫

三菱電機株式会社

相  沢  孝  夫

ダイキン工業株式会社

(事務局)

金  子  健  一

社団法人日本電機工業会