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C 9804 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 9804

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  木綿布

附属書 B(規定)  アイロン台

附属書 C(参考)  電気アイロンの分類


C 9804 : 1999

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲及び目的

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  測定の種類

3

5.

  測定の一般条件

4

6.

  質量の測定

5

7.

  フレキシブルコードの長さの測定

5

8.

  かけ面の耐引っかき性の測定

5

9.

  入力の測定

5

10.

  昇温時間の測定

5

11.

  最熱点の決定

5

12.

  温度分布の測定

6

13.

  かけ面温度の測定

6

14.

  初期ピーク温度及びオーバーシュート温度の測定

6

15.

  最熱点における周期的温度変動の測定

7

16.

  負荷時の温度低下の測定

7

17.

  自動温度調節器作動安定性の測定

7

18.

  蒸気使用時の昇温時間の測定

8

19.

  蒸気噴出時間,蒸気噴出量及び水漏れ量の測定

8

20.

  硬水使用時の蒸気噴出総時間の決定

9

21.

  ふっ素樹脂 (PTFE) 被膜又は類似のかけ面被膜の接着力の決定

10

22.

  スプレー機能の評価

10

23.

  ショットスチーム量の測定

11

24.

  かけ面の滑り性の決定

12

25.

  しわ伸ばしの評価

12

26.

  ショットスチームを用いるアイロンかけ

14

附属書 A(規定)  木綿布

24

附属書 B(規定)  アイロン台

25

附属書 C(参考)  電気アイロンの分類

27


日本工業規格

JIS

 C

9804

: 1999

家庭用電気アイロンの性能測定方法

Electric irons for household or similar use

Methods for measuring performance

序文  この規格は,1995 年に第 3 版として発行された IEC 60311, Electric irons for household or similar use  −

Methods for measuring performance

を元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を

変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲及び目的  この規格は,家庭用及び類似用途の電気アイロンについて適用する。

この規格の目的は,ユーザの参考のために,家庭用及び類似用途の電気アイロンの主要性能特性及びこ

れら特性の測定方法を明示することにある。

この規格は,安全及び性能要件に関するものではない。

備考1.    電気アイロンの性能評価において考慮すべき第一の特性は,織物材質を焦がしたりきず付け

るおそれなしにそれを滑らかに仕上げる基本的能力である。この特性を単一の方法で一定し

て再現性よく測定する手段は見出されていないので,測定はこの基本特性に影響するかけ面

中心点の温度やかけ面の温度分布など特定の要素をチェックすることによる。その結果を評

価する場合,次の点をわきまえるべきである。すなわち,極めて例外的な結果が一つでもあ

れば明らかに性能に影響するであろうが,満足なアイロンかけ性能をもたらすような結果の

組合せにはかなりの幅があるので,結果のわずかな差異を過大に評価しないことである。

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 60311

:1995 Electric irons for household or slmilar use−Methods for measuring performance

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。刊行時点では表示の版が有効な版であった。すべての規範文書は改訂されることがあるので,この国

際規格の利用者は,次に示された規範文書に適用できる最新版があるかどうかを調査されたい。

IEC 60051-1 : 1984

  Direct acting indicating analogue electrical-measuring instruments and their accessories

−Part 1 : Definitions and general requirements common to all parts

IEC 60454-3-3 : 1981

  Specification for pressure-sensitive adhesive tapes for electrical purposes−Part 3 :

Specifications for individual materials

−Sheet 3 : Requirements for polyester film tapes (PETP) with

non-ther mosetting adhesive

IEC 60734 : 1993

  Hard water to be used for testing the performance of some household electrical appliances

ISO 105-F : 1985

  Textiles−Tests for colour fastness−Part F : Standard adjacent fabrics


2

C 9804 : 1999

ISO 2409 : 1992

  Paints and varnihes−Cross-cut test

ISO 3758 : 1991

  Textiles−Care labelling code using symbols

ISO 3801 : 1977

  Textiles−Woven fabrics−Determination of mass per unit length and mass per unit area

ISO 5081 : 1977

  Textiles−Woven fabrics−Determination of breaking strength and elongation (Strip

method)

ISO 6330 : 1984

  Textiles−Domestic washing and drying procedures for textile testing

ISO 7211-2 : 1984

  Textiles−Woven fabrics-construction−Methods of analysis−Part 2 : Determination of

number of threads per unit length   

ISO 9073-2 : 1989

  Textiles−Test methods for nonwovens−Part 2 : Determination of thickness

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

電気アイロン (electric iron)   電気的に加熱されるかけ面をもち,織物材料のアイロンかけに使用さ

れる可搬器具。

備考  この規格においては,電気アイロンをアイロンと呼ぶ。

3.2

自動温度調節器付きアイロン (thermostatic iron)   自動温度調節器のついたアイロンで,それを手

動で調節してかけ面の温度を一定範囲で変え,また一定範囲内に保持することができる。

3.3

自己復帰形温度過昇防止装置付き電気アイロン (electric iron with self-resetting thermal cut-out)  

かけ面の最高温度を固定的に制限する自己復帰形温度過昇防止装置の付いたアイロン。

3.4

非自己復帰形温度過昇防止装置付き電気アイロン (electric iron with non-self-resetting thermal 

cut-out) 

  アイロンが加熱したときに加熱素子を遮断する,例えば,ヒューズのような自動的には復帰し

ない熱遮断装置の付いたアイロン。

3.5

ドライアイロン (dry iron)   アイロンかけに際して蒸気を発生させたり織物材料に水を噴霧したり

する機能をもたないアイロン。

3.6

スチームアイロン (steam iron)   アイロンかけに際し蒸気を発生させそれを織物材料に吹きかける

機能をもつアイロン。

ショットスチーム機能をもたせることができる。

3.6.1

ショットスチームアイロン (shot-of-steam iron)   アイロンかけに際し織物材料にショットスチー

ムを吹きかける機能をもつアイロン。

3.7

スプレーアイロン (spray iron)   アイロンかけに際し織物材料に水を噴霧する機能をもつアイロン。

3.8

定格電圧 (rated voltage) 

3.8.1

定格電圧 (rated voltage)   製造業者によって定められたアイロンの電圧。

3.8.2

定格電圧範囲  (rated voltage range)    製造業者によって定められたアイロンの電圧範囲で,上限及

び下限が示される。

3.9

定格入力 (rated input)   正常使用状態のアイロンの入力で,製造業者によって定められる。

3.10

かけ面 (sole-plate)   電気的に加熱されアイロンかけのために織物材料に押し付けられるアイロン

の平らな面。

3.11

中心点 (mid-point)   かけ面の一点で,かけ面の中心線上の幾何学的中心。

もしこの点に蒸気噴出口,溝,又はカバーがある場合は,中心線上の可能な限り最寄りの点を中心点に

選ぶ。


3

C 9804 : 1999

3.12

直立状態 (upright position)   自立形アイロンではアイロンを垂直に静止させた状態,それ以外の自

立形アイロンにおいては製造業者の指定する通常な休止状態。

3.13.a

コードレスアイロン (cordless iron)   附属の給電台に置くことによって電源に接続されるアイロ

ン。

3.13.b

電源コードが接続可能なコードレスアイロン (cordless iron having a mains supply attachment)  

取外しできる電源コードを付加したコードレスアイロン。

4.

測定の種類  アイロンの性能は,次の測定によって決定される。

4.1

全種類のアイロンに対して行われる測定

−  質量の測定(6.参照)

−  フレキシブルコードの長さ測定(7.参照)

−  かけ面の耐引っかき性の測定(8.参照)

−  入力の測定(9.参照)

−  昇温時間の測定(10.参照)

−  最熱点の決定(11.参照)

−  温度分布の測定(12.参照)

−  ふっ素樹脂 (PTFE) 被膜又は類似のかけ面被膜の接着力の決定(21.参照)

−  かけ面の滑り性の決定(24.参照)

−  しわのばしの評価(25.参照)

4.2

自動温度調節器付きアイロンの測定

−  かけ面温度の測定(13.参照)

−  初期ピーク温度及びオーバーシュート温度の測定(14.参照)

−  最熱点における周期的温度変動の測定(15.参照)

−  自動温度調節器作動安定性の測定(17.参照)

備考  上記の測定をスチームアイロン又はスプレーアイロンについて行う場合,水容器は空にしてお

かなければならない。

4.3

スプレーアイロンの測定

−  スプレー機能の評価(22.参照)

4.4

蒸気使用時のスチームアイロンの測定

−  蒸気使用時の昇温時間の測定(18.参照)

−  蒸気噴出時間の測定(19.参照)

−  蒸気噴出量の測定(19.参照)

−  清掃が必要になるまでの硬水での蒸気噴出総時間の決定(20.参照)

−  ショットスチーム量の測定(23.参照)

−  ショットスチームを用いるアイロンかけ(26.参照)

4.5

各種アイロンについての測定項目表  様々な種類のアイロンの測定項目は,表 の×で示される。

各種アイロンについての測定項目を,

表 に示す。

スプレーアイロンの測定は,温度調節器のタイプ,スチーム,ショットスチームの方式,コードレスタ

イプ,電源コードが接続可能なコードレスアイロンによって,

表 に基づき行われる。

蒸気発生装置をもたないスプレーアイロンは,ドライアイロンの測定項目を適用する。


4

C 9804 : 1999

表 1  各種アイロンの測定項目

測定項目

項目
番号

自動温度調
節器付ドラ
イアイロン

非自己復帰形温度
過昇防止装置付ド
ライアイロン

自動温度調節
器付スチーム
アイロン

非自己復帰形温度
過昇防止装置付ス
チームアイロン

コード
レスア
イロン

電源コードが
接続可能なコ
ードレスアイ

ロン

質量

6.

×

×

×

×

×

×

コード長さ

7.

×

×

×

×

×

×

かけ面耐引っかき性

8.

×

×

×

×

×

×

入力

9.

×

×

×

×

×

×

昇温時間

10.

×

×

×

×

×

×

最熱点

11.

×

×

×

×

×

×

温度分布

12.

×

×

×

×

×

×

かけ面温度

13.

×

×

×

×

×

×

初期ピーク温度及びオ

ーバーシュート温度

14.

×

×

×

×

×

×

温度変動

15.

×

×

×

×

×

×

自動温度調節器の作動
安定性

17.

×

×

×

×

×

×

蒸気使用時の昇温時間

18.

×

×

×

×

蒸気噴出時間

19.

×

×

×

蒸気噴出量

19.

×

×

×

×

硬水使用時の蒸気噴出
総時間

20.

×

×

×

かけ面被膜

21.

×

×

×

×

×

×

スプレー機能

22.

ショットスチーム量

23.

かけ面の滑り性

24.

×

×

×

×

×

×

しわ伸ばしの評価

25.

×

×

×

×

×

×

ショットスチームを用

いるアイロンかけ

26.

備考  △は適用可能な場合に試験を行うことを意味する。

×は試験を行うことを意味する。

4.6

測定の順序  測定は 4.5 の表 に規定した順序で行う。

5.

測定の一般条件  特に指定のない限り,測定は次の条件で行う。

5.1

周囲条件  測定は周囲温度 20℃±5℃で行う。測定場所は,通風があってはならない。

5.2

温度測定  アイロンの温度は,細線熱電対を用いて測定する。線径は 0.3mm を超えてはならない。

測定計器の精度は,IEC 60051-1 のクラス 1 相当又はそれ以上とする。

直径 10mm,厚さ 1mm の移動可能の銀板が,とがったセラミック管の先端に置かれる。セラミック管に

は熱電対が収められその各線は別々の孔に通してある。装置の一例を

図 に示す。

銀板の中心部を少なくとも 1N の力でアイロンのかけ面に押し付ける。

銀板とかけ面間の熱伝導をよくするためにシリコーングリースや熱伝導ペーストを用いてもよい。

電源コードが接続可能なコードレスアイロン以外のコードレスアイロンの測定は,

図 に示す銀板付き

の熱電対を直接かけ面に取り付ける。


5

C 9804 : 1999

5.3

定常条件  アイロンのスイッチを入れて 30 分後,又はそれより先にサーモスタットが 4 回作動すれ

ば,測定のための定常条件に到達したとみなす。

5.4

測定電圧  測定時アイロンには定常状態において所要の定格入力が得られるだけの電圧をかける。

アイロンに入力の範囲が示されている場合は,その範囲の平均値が得られる電圧をかける。

5.5

測定用アイロン支持台  測定時アイロンは,3 個のとがった金属製支持軸上に置く。この 3 個のとが

った支持軸は,アイロンのかけ面を水平に,その場所の基準面の少なくとも 100mm 上方に支持するよう

に作製する。コードレスアイロンはその給電台に置く。

5.6

試験試料  18. , 19.  及び 20.  の試験には新しい試料を用いる。

5.7

電源コードが接続可能なコードレスアイロン  電源コードが接続可能なコードレスアイロンは,通

常のアイロンとして試験を行う。

6.

質量の測定  アイロンの質量の測定は,プラグを外して電源コードを含めて行う。コードの端子を外

すか又はコネクタを抜いてコードを外す。質量はキログラムで小数点以下 1 けたに丸めて示す。

備考  すべてのアイロンは電源コードがある。プラグは切り落としてもよい。

7.

フレキシブルコードの長さの測定  フレキシブルコードの長さは,アイロンとの接続点又はコネクタ

からプラグとの接続点までを測定し,コードガードがあればそれも含める。コードレスアイロンは,給電

台の入口までを測定する。長さはメートル単位で,5cm 刻みに丸めて示す。

8.

かけ面の耐引っかき性の測定  (国際規格を検討中)

9.

入力の測定  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置く。電圧は定格値に維持するか,又は定格電圧

範囲の両限界値の差が範囲平均値の 10%以下の場合はその平均値に維持しなければならない。定格電圧範

囲の両限界値の差が範囲平均値の 10%を超える場合は,その範囲の上限及び下限において入力を測定する

ものとする。測定は,自動温度調節器があればそれを最高温度に設定し,アイロンが定常状態に達してか

ら行う。コードレスアイロンはその給電台に置く。

10.

昇温時間の測定  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置き,かけ面の中心点に熱電対を付ける。

自動温度調節器があればそれを最高温度に設定し,アイロンに 5.4 で規定される電圧をかけて周囲温度

から昇温させる。コードレスアイロンはその給電台に置く。

周囲温度との差が 180K を超える点まで昇温するのに要する時間を測定し,分:秒で示す。

11.

最熱点の決定  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置き,自動温度調節器を最高温度に設定し,5.4

で規定される電圧をかけて昇温させる。サーモスタットが 2 回作動したら,直ちにアイロンを数秒間,木

板を包んだフラネル布上に広げた白紙上に置く。アイロンを取り除いたとき,紙の変色の度合いがかけ面

の温度分布を示す。最熱点は変色部分の中心と定められる。コードレスアイロンはその給電台に置く。

備考  この測定に用いる白紙としては,露光・現像してないポジ印画紙,白色トレーシングペーパー,

又は白色吸取紙がよい。


6

C 9804 : 1999

12.

温度分布の測定  アイロンを金属製 3 点支持台(5.5 参照)上に置く。かけ面の次の 4 点それぞれに熱

電対を付ける。コードレスアイロンはその給電台の上に置く。

a)

11.

で決定した最熱点

b)

かけ面の中心点

c)

かけ面の縦方向中心線上でかけ面の先端から 20mm の点

d)

かけ面の縦方向中心線上でかけ面の後端から 20mm の点

自動温度調節器付アイロンの場合,中心点における温度が定常状態で約 150℃に維持されるように

設定し,アイロンが定常状態に達したところで測定を行う。他のタイプのアイロンの場合,温度測定

に先立ち電源の切/入によって少なくとも 15 分間中心点の温度を約 150℃に維持する。

記録計を用いて 10 分間温度の変化を記録し,4 点のそれぞれにおいてこの 10 分間の平均温度を求

める。そして四つの平均温度の平均値を求め,この平均値と各平均温度との差を計算する。

4

個の温度差をかけ面上の温度分布を示すものとして記録する。

13.

かけ面温度の測定  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置き,かけ面の中心点に熱電対を付ける。

アイロンのスイッチを入れアイロンが定常状態に達してから,自動温度調節器の各設定点において連続

5

回の温度変動サイクルの間の最高及び最低温度を測定する。

5

個の最高温度と 5 個の最低温度との平均値

がこの設定点におけるかけ面温度である。コードレスアイロンはその給電台の上に置く。

自動温度調節器の設定位置が分割して示されているアイロンの場合,設定点はその範囲の中央とする。

所要の設定をするための自動温度調節器の調節は温度を上昇させる方向に行う。

備考1.  13.14.及び15.の測定は同時に行うことができる。

2.  ISO 3758

はアイロンかけの最高温度を示す織物注意マーキングを

表 のように導入している。

ISO

規格の織物注意ラベルはアイロンのシンボルマークの中に 1 個,2 個又は 3 個のドット

で示されている。

この規格では,このような説明を行っているが,アイロンかけの結果を改善するために,

表 によって

温度が調整される。

表 2  アイロンかけの温度範囲

単位℃

かけ面温度

マーキング

最低

最高

.   (1 ドット) 70

120

.  (2 ドット) 100

160

. (3 ドット) 140

210

自動温度調節器を上記の点マーキングの中央に設定し,

定常状態に達してからかけ面の温度を測定する。

最高又は最低のアイロンかけ温度は,5 回の温度サイクルの間のかけ面中央の最高温度又は最低温度 5

回の平均値の温度限度を表す。

備考  点マーキングに加えて高,中,低の表示を行ってもよい。

14.

初期ピーク温度及びオーバーシュート温度の測定  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置き,か

け面の中心点に熱電対を付ける。コードレスアイロンはその給電台の上に置く。

アイロンのスイッチを入れ,5.4 に規定される電圧をかける。


7

C 9804 : 1999

記録計を用いて,自動温度調節器を 1 ドットマーキング位置及び最高位置に設定した場合の時間と温度

を中心点において測定する。

測定は 5 連続サイクルにわたって行い,

図 に示すようなグラフを作成する。

自動温度調節器は最初に 1 ドットマーキング位置に設定する。ドットマーキングがない場合,定常状態

におけるかけ面の平均温度ができる限り 95℃に近づくように自動温度調節器を調節する。

第 1 回の測定の後,アイロンを室温 (20℃±5℃)  まで放冷し,自動温度調節器を最高位置において再び

かけ面温度を測定する。

グラフから次が求められる。

1)

初期ピーク温度:これは自動温度調節器が初めて切れ,そして 2 回目に切れる間の最初のピーク温

度である。

2)

平均ピーク温度:これは最後の 3 個のピーク温度の平均値である。

3)

オーバーシュート温度:これは初期ピーク温度と平均ピーク温度との差値である。

15.

最熱点における周期的温度変動の測定  温度測定手順は 14.  と同じであるが,アイロンが定常状態に

達した後 5 連続サイクルにわたり各サイクルの最高及び最低温度を測定する。最高温度及び最低温度それ

ぞれに平均値を求める。

それぞれの平均値の差の 1/2 が最熱点の温度変動±℃で表される。

備考  この測定は 14.の測定と同時に行うことができる。

16.

負荷時の温度低下の測定  (規定なし)

17.

自動温度調節器作動安定性の測定

17.1

加熱試験  アイロンを 3 点支持台(5.5 参照)上に置き,かけ面の中心点に熱電対を付ける。コード

レスアイロンはその給電台の上に置く。

アイロンを昇温させ,定常状態において平均温度 190℃±10℃が維持するように自動温度調節器を設定

する。適切な方法で自動温度調節器の設定点を固定し,測定の間それが変わらないようにする。

平均温度 T

1

は 13.  のようにして測定する。

次にアイロンを 11 時間操作状態とした後,スイッチを切って 1 時間置く。この

11

時間入−1 時間切

のサイクルを, 入

時間の総計が 500 時間に達するまで繰り返す。

直ちに,かけ面平均温度 T

2

を T

1

と同様に測定する。

17.2

落下試験  この試験は 17.1 の測定の直後に,自動温度調節器の設定を変えないまま行われる。

かけ面の熱電対を外し,アイロンを 4cm の高さから,毎分約 5 回の速度で 1 000 回落下させる。アイロ

ンは,厚さが少なくとも 5mm,質量が少なくとも 15kg のしっかり固定された平滑な鋼板上に水平に落と

す必要がある。

図 に試験装置を示す。落下試験の間アイロンは,電源に接続しておく。落下試験中,コ

ードレスアイロンは電源につながない。

落下試験の直後,中心点の平均温度 T

3

を T

1

と同様に測定する。

17.3

自動温度調節器の変化率の測定  自動温度調節器の作動安定性の目安として,以上の試験後の自動

温度調節器の変化率を,次の式によって求める。これらはパーセントで表す。

−加熱試験による自動温度調節器の変化率

= (T

2

−T

1

) /T

1

−落下試験による自動温度調節器の変化率

= (T

3

−T

2

) /T

1

−全変化率

= (T

3

−T

1

) /T

1


8

C 9804 : 1999

18.

蒸気使用時の昇温時間の測定  水タンクに温度 20℃±2℃の蒸留水を製造業者の指定する量を注水し,

アイロンは自立させるか,スタンドがあればそれに置く。自動温度調節器は,スチームアイロンかけ表示

目盛の最高温度に設定する。

水タンク別置きのアイロンは,水タンクを製造業者の指定する量に満たす。

アイロンを電源に接続し,自動温度調節器が 2 度目に切れたら直ちに蒸気を最大定格量で噴出させる。

表示ランプがついていない場合,

自動温度調節器の 2 度目の切りはなんらかの測定装置を用いて検知する。

次いで

図 に示すように,精度±0.1g 以上のはかりを使用し,アイロンをかけ面が水平±1°になるよう

に懸垂する。風袋を±0.1g まで求めてある容器をかけ面の直下約 200mm の位置に置き,試験の間に流出

し得る水を回収する。蒸気が凝縮してこの容器内に入らないように,ファンをゆっくり回すなどして蒸気

を吹き払ってもよい。

表示ランプが消えて蒸気の噴出を始めた時点から,アイロンの全質量を 1 分おきに量る。

1

分間の蒸気噴出量を求め g/min を計算して時間の関数としてグラフに記入する。昇温時間とは,電源

が入ってから蒸気噴出量が 5g/min に達した瞬間までの時間である。

自動温度調節器を蒸気使用時の最低温度に設定し直して試験を繰り返す。

昇温時間を,自動温度調節器を蒸気使用時の最高点及び最低点に設定した場合,それぞれについて秒数

で表す。

次については,この測定は行わない。

−  蒸気発生装置が別に設けられているアイロン

−  アイロンが動いていないときは,自動的にスイッチが切れる遮断装置が付いているアイロン

−  アイロンが休止位置にあるときは,蒸気の噴出が不規則になるような構造のアイロン

備考  ある種のアイロンについては,事前準備が必要なことがある。その場合,試験に先立ち,指針

に従ってアイロンを準備する。

19.

蒸気噴出時間,蒸気噴出量及び水漏れ量の測定  18.  に規定する試験を,自動温度調節器を最高点に

設定した条件で,アイロンに満たした水の 90%が蒸発するまで継続する。

蒸気噴出時間とは,蒸気噴出までの昇温時間の終点から水の 90%が蒸発した点までの時間である。この

時間は分:秒で示す。

18.

に規定する水回収容器の質量を再度量り,蒸気とならずにアイロンから漏れだした水の質量を求める。

蒸気噴出量 S

R

を,次によって計算する。

t

W

W

W

S

3

2

1

R

=

スチーム発生率水漏れ率は分当たりのグラム量で表す。

ここに,  W

1

:  昇温時間終点におけるアイロンと水の質量

W

2

:  水の 90%が蒸発した点でのアイロンと水の質量

t

:  蒸気噴出時間

水漏れ量 L

R

は,次によって計算する。

t

W

L

3

R

=


9

C 9804 : 1999

ここに,  W

3

:  蒸発せずに漏れだした水の質量

備考  18.  参照

コードレスアイロンの場合,測定は給電台から外して 20 秒間運転し,給電台に戻す動作を水タンクの水

が 90%蒸発するまで繰り返す。

20.

硬水使用時の蒸気噴出総時間の決定  製造業者が蒸留水,脱イオン水又は類似の水を使用することを

勧めていない限り,次の試験を行う。このテストは,コードレスアイロンには行わない。

備考  取扱説明書などによって,水道水の使用を指定している場合は,次の試験を行わない。

アイロンを

図 に示すような装置に次のようにセットする。すなわち,アイロンは静止した空気中でか

け面が水平になるように保持され,

約 0.4m/min の速度でかけ面中心線に平行に前後に各 500mm 移動する。

15rpm

の回転運動が伝えられて毎分 15 サイクルの往復運動が行われる。5 サイクル(20 秒)で往復運動を

止め,アイロンを素早く直立位置にして 10 秒間置く。そしてアイロンを水平位置に戻して往復運動を再開

する。この操作を反復する。

備考1.  製造業者が異なるアイロン休止位置を勧めていればそれによる。

水タンクに製造業者の指定する量の硬水を満たす。硬水は IEC 60734 に規定する方法 A によって硬度

300ppm

に調製する。アイロンを電源に接続し,自動温度調節器があれば蒸気アイロンかけ時の最高温度

に設定する。自動温度調節器が 2 度目に切れたとき最大量の蒸気を噴出させ,往復運動を開始する。

蒸気の噴出が終わったら,アイロンを自立位置にし,蒸気開閉操作を閉じ,水タンクに再度水を満たす。

自立位置での 10 秒の休止時間も含めて 2 時間操作を続けたら,アイロンのスイッチを切り,少なくとも 1

時間放冷する。この間アイロンは自立位置とし蒸気開閉操作は閉じる。そしてタンクに水が残っていれば

捨てる。

以上の操作を連続的に繰り返すが,この間,5L の水を蒸発し終わるごとに 19.  によって蒸気噴出量 S

R

と水漏れ量 L

R

とを測定し,使用水量の関数としてグラフに記入する。

試験は,蒸気噴出量が 5g/min まで低下するか又は水漏れ量が蒸気量の 3%に増大するまで継続する。

アイロンに蒸気の噴出などによる水あか除去装置が付いていれば,その清掃操作を試験中製造業者の指

示どおりに行う。

水あか除去が必要になるまでの蒸気噴出時間は,試験中蒸気が噴出されている時間の総計で,時間数で

表される。

備考2.  この蒸気噴出時間には,アイロンを自直に置いて休止する10秒間と冷却時間は含まれない。

試験終了後,アイロンは製造業者の指示どおりに水あか除去を行い,蒸気噴出時間,蒸気噴出量,及び

水漏れ量を 19.  によって測定し,記録する。

上述の試験は,水あか除去をしても蒸気噴出量が 5g/min 以上に戻らないか又は水漏れ量が蒸気噴出量の

3%

以下に下がらなくなるまで,十分な回数繰り返す。

蒸気噴出総時間は,スケール除去操作を行うまでの各回の蒸気噴出時間の合計である。

試験結果は,次のように表す。

−  蒸気噴出総時間:(h)

−  蒸発水量:(L)

−  アイロンに水を満たした回数

備考3.  20.  に示されるとおり,硬水に対する特性値 S

R

及び L

R

は,硬水使用時の蒸気噴出総時間の決


10

C 9804 : 1999

定に用いられるものの,ユーザにとって有用な情報ではない。

21.

ふっ素樹脂 (PTFE) 被膜又は類似のかけ面被膜の接着力の決定  アイロンかけ面がふっ素樹脂又は

類似の材料での被膜が施されていれば,アイロンを適切な支持台に置き,かけ面の中心点に熱電対を付け

る。

アイロンのスイッチを入れ,5.4 に規定される電圧をかけ,定常状態において約 150℃のかけ面平均温度

が維持されるように自動温度調節器を調節する。

自動温度調節器が付いていないアイロンの場合,電源を入/切してかけ面中心点の温度が 150℃±10℃

に維持されるようにする。

この温度を少なくとも 30 分間維持する。

かけ面平面部の温度を約 150℃に維持した状態で,ISO 2409 によってクロスカット試験を行う。

6

枚刃のカッタを格子状に二方向に用いる。

かけ面が湾曲していてカッタが均一に被膜を通して基材表面に達しない場合には,1 枚刃のカッタを用

いてよい。

カットラインの間隔は,各方向 1mm である。

カッタは試験表面に対して垂直に用い,均一に圧力をかけて 20mm/s〜50mm/s の速度でカットする。カ

ッティングはかけ面 4 か所に,それぞれ 25 のます目ができるように行う。

そのうち 2 か所は縦の中心線上に約 50mm の間隔をおいて,あとの 2 か所は中央部,中心線上の中心点

とかけ面との端の中間に位置するようにする。

アイロンを室温 (20℃±5℃)  まで放冷し,柔らかいブラシをかけ面の格子模様のカットラインに沿って

前後方向に各 5 回軽くかける。

クロスカットの部分に適宜な粘着テープをしっかりはり付ける。そしてテープを急激に引きはがして被

膜片をはく離させる。

備考  この試験用には次の粘着テープが勧められる。非熱硬化性接着剤使用のポリエステルフィルム

テープ(幅 25mm,  厚さ>0.02mm)で IEC 60454-3-3 

第 表に見合うもの。

試験結果は,各カット場所の表面を観察して評価し,ISO 2409 の表によって級別する。

試験はかけ面上 4 か所について行い,最も結果の悪い格子模様についてだけ評価する。

22.

スプレー機能の評価

22.1

噴霧量の測定  温度 20℃±2℃において,アイロンの水タンクに製造業者の規定する量の蒸留水を満

たす。

霧吹きの準備としてスプレー装置を数回働かせて準備しておく。

電源コードを含むアイロンの質量 W

1

を,精度 0.1g 又はそれ以上のはかりで求める。

アイロンを水平に置き,スプレー装置を 5 秒間隔で 50 回働かせる。

そして電源コードを含むアイロンの質量 W

2

を測定する。

備考  アイロンは電源に接続せず,蒸気使用設定があればドライ位置にしておく。

各回の操作における噴霧の質量 は,次の式で計算する。

50

2

1

W

W

M

=

試験結果は,各操作当たりの噴霧量としてグラムで表す。


11

C 9804 : 1999

22.2

噴霧パターンの決定  温度 20℃±2℃において,アイロンの水タンクに製造業者の規定する量の蒸留

水を満たす。霧吹きの順序としてスプレー装置を数回働かせて準備する。

アイロンを平らな下敷きの上に水平に置く。50cm×50cm の大きさの木綿布をアイロン先端の前方に置

く。

備考  アイロンは電源に接続せず,蒸気使用設定があればドライ位置にしておく。

この布の規格は,次のとおりである。

−  ISO 6330 第 5 項及び 6.3−手順 C(ドライフラット)によって洗い,乾燥した,のり付けしていない

木綿織物

−  たて糸はセンチメートル当たり 25±2 本,よこ糸ヤーンは 30±2 テックス,1/1 平織

−  平方メートル当たり質量 170g±10g

水の効果を示すために木綿布は塩化コバルト (CoCl

2

)

の 10%溶液に浸してもよい。

この浸せきの後,布は空気循環槽で 100℃±10℃で乾燥する。

布は平らに置き,乾燥後はかけ面温度約 120℃のアイロンをかけてしわを伸ばす。

乾燥した浸せき布は青色で,ぬれるとピンクに変わる。

スプレー装置を 1 回働かせ,

図 によって噴霧パターンを評価する。

次の寸法を測定する。

−  アイロンの先端と噴霧パターンの端との距離  (A1)

−  アイロンの中心線と噴霧パターンとの中心線の距離  (A2)

−  噴霧パターンの幅  (B)

−  噴霧パターンの長さ  (L)

−  噴霧が集中した部分の面積  (A)

試験は 3 回行い,結果の平均値を計算する。

噴霧パターンが一つの区域に集中したり,噴霧のない区域があった場合はその旨注記する。

複数のアイロンについて評価する場合は,試験布の目視比較ができる。

23.

ショットスチーム量の測定  温度 20℃±2℃において,アイロンの水タンクに製造業者の規定する量

の蒸留水を満たす。自動温度調節器があれば,製造業者の規定する蒸気噴出範囲又はショットスチーム範

囲の最高点に設定する。

電源コードを含むアイロンの質量 W

1

を,精度 0.1g 又はそれ以上のはかりで求める。

アイロンをかけ面が水平±1°になるように金属支持台上に置く。

風袋が±0.1g まで既知の容器をかけ面の下方約 200mm の位置に置き,水漏れがあれば回収する。

備考  蒸気が凝縮してこの容器に入るのを防ぐため,ファンをゆっくり回して蒸気を吹き払ってもよ

い。

アイロンを電源に接続し,自動温度調節器が 2 度目に切れるか又は入って 5 分経過したら(どちらか早

いほう)

,直ちにショットスチーム装置を 15 秒間隔で 50 回作動させる。

アイロンを電源から抜き,電源コードを含むアイロンの質量 W

2

を測定する。

水回収容器を再度ひょう(秤)量し,蒸発せずにアイロンから漏れた水の質量 W

3

を求める。

ショットスチームの質量 を,次のとおり計算する。

50

3

2

1

W

W

W

M

=


12

C 9804 : 1999

試験結果はショットスチーム量をグラムで表示する。

各ショットスチームについての水漏れ を,次のとおり計算する。

50

3

W

L

=

結果は各ショットスチーム当たりの漏れとしてグラムで表示する。

コードレスアイロンのショットスチームの給電のタイミングは,取扱説明書による。

24.

かけ面の滑り性の決定  アイロンかけ面の滑り性は,標準的なアイロン台上のアイロンを水平に引く

のに要する力を測定して評価する(

附属書 参照)。

測定は,相対湿度 (65±15) %において行う。

試験開始に先立ち,かけ面を製造業者の指示によって清掃する。特に指示がなければ,かけ面を 10 容積%

の酢酸水溶液で清掃する。

標準的なアイロン台を,傾き角が 0.5°を超えないように水平に置く。

附属書 に規定される調質した乾燥木綿布を標準アイロン台の表面にはる。

アイロンには水を入れず,5.  によって測定されるかけ面中心点の平均温度が 190℃±10℃に維持される

ように自動温度調節器を設定して操作する。

ピーク温度が 210℃を超えてはならない。

自動温度調節器が切れたら直ちにアイロンをアイロン台に置く。結果に影響を与えないよう,電源コー

ドはアイロンのハンドルに束ねて置く。

スチームアイロンは,水タンクに製造業者の規定する最大量の蒸留水を満たし,蒸気噴出量の調節がで

きるなら最大量に設定して,試験する。アイロンは,ドライ使用に規定されるように予熱し,そして蒸気

噴出状態で自動温度調節器が数回作動してから,アイロン台に置く。

アイロンをアイロン台に置いて 3 秒以内に,

アイロンを水平方向に 0.25m/s±0.05m/s の速度で引っ張る。

この動作に要する力の最大値を測定する。

アイロン台面上のアイロンを引っ張るのに要する力(ニュートン)は,

図 に示すように,精度 0.1N 以

上のばねばかりによって測定する。

試験は 3 回行い,木綿布は各回交換する。

ばねばかりをアイロンの後部に接続し直して,さらに 3 回試験を行う。

備考1.  試験の再現性の一助としてアイロン台の指示パッドの温度を記録する。

各方向の 3 回の測定値の平均値を計算し,かけ面の滑り性を 0.1N 単位に丸めた N 値で表す。

スチームアイロンの場合は,両アイロンかけ条件について示す。

25.

しわ伸ばしの評価  電気アイロンのしわ伸ばし能力を,次の手順で決定する。

備考  この方法は複数のアイロンの比較目的に好適である。

25.1

試験布の折り目付け

25.1.1

試験布  ISO 105-F に規定される羊毛,木綿,ビスコース,ポリエステル,ポリエステル−木綿の

織物材料の試料を ISO 6330 によって洗い,回転乾燥し,スチームアイロンをかけて平滑にし,しわを完全

に除く。次にドライアイロンをかけて水分を除く。

試料の寸法は 14cm×30cm で,縁はたて糸に平行にとる。試料はピンキングはさみを用いて切り取り,

20

℃±5℃の乾燥雰囲気中に少なくとも 48 時間保持する。


13

C 9804 : 1999

備考1.  各織物材料について同一のバッチからの試料2点ずつを用いる。

2.

ポリエステル−木綿の試験材料

−  組成:ポリエステル 65%木綿 35%

−  ヤーン数:14±2 テックス

−  たて糸数:40±4/センチメートル

−  よこ糸数:28±3/センチメートル

−  平方メートル当たり乾燥質量:0.09kg

3.

ピンキングの代わりに緩くかがり縫いしてほつれを防止してもよい。

25.1.2

試験布の折り目付け前の調質  乾燥した試験布に 45℃±5℃の温水の霧を試験布質量の 10%〜15%

の量を均一に吹き付ける。

備考  ポリエステルについてはこの霧吹き処理の必要はない。

次に試験布を緩く巻いて温度 30℃±2℃,相対湿度 90%〜95%の条件下に少なくとも 24 時間で 72 時間

を超えない期間保持する。

25.1.3

折り目付け用具  図 に示す折り目付け用具は温度 30℃±2℃に保持する。

25.1.4

試験布の巻付け及び折り目付け  試験布は棒と鉛筆の周囲に 1N の引張力をかけながら巻き付ける

図 10 参照)。

試験布の端を粘着テープ片で止め,鉛筆は抜く。

棒を心にして総質量 4kg の円形ブロックをはめ入れて布に荷重をかける。

図 11 に示すように,円形ブロ

ックと基板の間は長方体ブロックを挿入して 10mm あける。

用具と試料ごと,温度 30℃±2℃,相対湿度 90%〜95%のキャビネット中に 30 分間保持する。

試験布は用具から外し,巻いたまま温度 30℃±2℃,相対湿度 90%〜95%のキャビネット中に 2 時間〜

24

時間保持してから用いる。

25.2

アイロンの設定  アイロンは 5.によって操作する。かけ面のピーク温度を,木綿試料の場合は 200℃,

羊毛,ビスコース,ポリエステル及びポリエステル−木綿試料の場合は 150℃に維持するよう自動温度調

節器を設定する。

自動温度調節器が付いていない場合,かけ面の温度は,次のように維持する。

次の温度でスイッチを切り,

−  木綿なら 200℃

−  羊毛,ビスコース,ポリエステル及びポリエステル−木綿なら 150℃

そして次の温度でスイッチを入れる,

−  木綿なら 185℃

−  羊毛,ビスコース,ポリエステル,及びポリエステル−木綿なら 145℃

3

度目にスイッチを切ったら,直ちにアイロンかけ試験を行う。スチームアイロン使用の場合は,アイ

ロンかけの 15 秒から 20 秒前に蒸気を全開にする。

25.3

アイロンかけ  試験は相対湿度 (65±15) %において行う。

折り目の付いた布をキャビネットから取り出し,アイロン台の上で静かに広げる(

附属書 参照)。

図 12 に示すように,アイロンのハンドルに 3kg のおもりをかけて設定する。アイロンの先端をほどかれ

た折り目付き試験布の外縁に当て,アイロンを 0.1m/s±0.03m/s の速度で水平に滑らせる。この際,力はア

イロンかけ面の 20mm 上方の点にかける(

図 13 参照)。試験布には一度だけアイロンをかける。木綿及び

羊毛布についてはアイロンを蒸気使用モードで操作し,ポリエステル,ポリエステル/木綿及びビスコース


14

C 9804 : 1999

布についてはドライモードで操作する。

備考  比較目的の場合,各試験に続けて参照アイロンによる試験を行ってもよい。

25.4

評価  アイロンをかけたら直ちに試験布を相対湿度 (65±15) %の雰囲気中に 24 時間±4 時間放置す

る。

図 14 に示すように,試験布を平らな台の上に置いてその中央部を評価する。

必要なら試験布に 45°の角度で照明を当て,結果は

図 15 のチャートと照合する。

複数のアイロンの比較試験の場合,同じ材質の試験布を用いて評価する。試験を繰り返し,より劣る結

果を記述する。

26.

ショットスチームを用いるアイロンかけ  (国際規格検討中)


15

C 9804 : 1999

図 1  かけ面温度測定用具


16

C 9804 : 1999

図 2  アイロンにスイッチを入れてからのかけ面温度の変化

(空白)

図 3  負荷時温度低下測定装置

図 4  落下試験装置


17

C 9804 : 1999

図 5  蒸気噴出総時間測定装置


18

C 9804 : 1999

図 6  蒸気使用操作試験装置

図 7  かけ面滑り性試験装置


19

C 9804 : 1999

図 8  噴霧パターンの決定

図 9  折リ目付け用具


20

C 9804 : 1999

図 10  巻付け用棒及び鉛筆

図 11  円形及び長方体ブロック 


21

C 9804 : 1999

図 12  アイロンの設定

図 13  アイロンがけ

図 14  評価


 

22

C

 9804 :

 19
99

図 15  比較チャート


23

C

 9804 :

 19
99

図 15  比較チャート(続き)


24

C 9804 : 1999

附属書 A(規定)  木綿布

底板の滑らかさ測定に際して用いられる木綿布の組成は,次のとおりである。

−  大きさ:アイロン台を覆う十分な長さがあり,幅は底板より広い。

−  準備:のりを用いず,ISO 6330 第 5 条 6.2 ドリップフラット又は 6.3 ドライフラットによって洗い,

すすぐ。

−  センチメートル当たりたて糸数:30±2 テックスの糸 25±2 本

−  センチメートル当たりよこ糸数:30±2 テックスの糸 25±2 本

−  m

2

当たり質量:170g±10g(20℃,相対湿度 65%でコンディショニング後)

−  たて糸方向引張強さ:50cm 幅の試験片で測定して少なくとも 50N

−  複数のアイロンの比較試験に用いる布は同一のバッチから採取しなければならない。

−  布は 20℃±2℃, (65±5) %の容器中に少なくとも 24 時間保持した後 1 時間以内に使用する。


25

C 9804 : 1999

附属書 B(規定)  アイロン台

アイロン台は平らで,クッションがきき,湿気を吸わず,鋼製メッシュ板又はしっかりした鋼製格子で

保持されなければならない。

アイロン台は,次の構成でなければならない。一例を

図 B.1 に示す。

−  寸法:

・  上面の寸法は少なくとも幅 35cm 長さ 65cm とする。

−  表面布地:

・  ISO 6330 第 5 条 6.2 手順 B,6.3 手順 C 又は 6.4 手順 D によって洗い,すすいだ,のりを用いない

木綿織物を支持パッド上にはる。

・ cm 当たりのたて糸及びよこ糸の数(ISO 7211-21/1 平織)は 30±2 テックスの糸 25±2 本。

・  平方メートル当たり質量(ISO 3801 によって)

:170g±10g

・  たて糸方向引張強さ(ISO 5081 によって)

:少なくとも 500N(50cm 幅試験片)

−  支持パッド

・  材質:不織アラミド(芳香族ポリアミド)又は類似の耐熱性材料

・  厚さ:9mm±1mm(ISO 9073-2 による:参照板直径 20mm,圧力 0.5kPa)

備考  耐熱性材料の一例に交織ガラス繊維がある。

−  金属製中間サポート

エキスパンドメッシュ又は打抜き鋼板:

・  方形開孔部の側面の寸法は,少なくとも 1.4mm×1.4mm,長さは 10mm とする。

・  方形開孔部の側面は,アイロン台の中心線に対して 45±5°の角度とする。

・  開孔部分の総面積が全表面積の 60%以上とする。

又は金属製格子サポートで交点を溶接したもの:線径約 1.6mm の鋼製ワイヤ格子

・  格子 10mm×10mm

−  金属製基板

・  U 字鋼材を交差させ,溶接する又はリベット打ちして頑丈な金属基板とする。

−  表面布地のはりかた

・  各辺に沿って 20cm おきに 200g のおもりをさげる。

−  急冷装置

・  アイロン台内部には,冷却及び除湿のための手段を設けなければならない。空気流はできる限り均

一で,支持パッド平方メートル当たり 10m

3

/min

〜15m

3

/min

の流速とする。

・  冷却装置はアイロン台使用後にスイッチを入れ,支持パッドを速やかに周囲温度まで冷却する。

・  アイロンがけ開始時,支持パッドと表面布地の間に置いた小熱電対によって温度を測定する。

備考1.  表面布地は温度20℃±5℃,相対湿度 (65±5) %において少なくとも24時間コンディショニン

グし,毎日試験開始前に交換する。

2.

試験は温度 20℃±5℃,相対湿度 (65±15) %において行う。

3.

表面布地と支持パッドは,いたんだら更新する。支持パッドは,厚さが最初の厚さの 90%に

まで減少したら,いたんだとみなされる。


 

26

C

 9804 :

 19
99

図 B.1  アイロン台の構造例


27

C 9804 : 1999

附属書 C(参考)  電気アイロンの分類

C.1

温度制御手段による分類

−  サーモスタット付アイロン

−  非自動復帰熱遮断装置付アイロン

−  サーモスタット及び熱遮断装置のないアイロン

C.2

蒸気発生能力の有無による分類

−  蒸気アイロン

−  ドライアイロン

−  ショットスチームアイロン

C.3

蒸気制御手段による蒸気アイロンの分類  蒸気の噴出を手動バルブによってコントロールする,ま

た普通底板を垂直位置にすれば蒸気の噴出が止まるアイロン。これらはよくドリップフィード形アイロン

と呼ばれる。

蒸気の噴出をコントロールする手段がなく,水容器が空になるまで蒸気を噴出し続ける。これらはよく

ボイラ形アイロンと呼ばれる。

C.4

露吹き機能の有無による分類

−  霧吹きアイロン

−  霧吹きのないアイロン

C.5

電源の種類による分類

− AC アイロン

− AC/DC アイロン

C.6

電圧による分類

−  単電圧アイロン

−  複電圧アイロン

−  電圧範囲が単一のアイロン

−  電圧範囲が二つ以上あるアイロン

C.7

用途による分類

−  はん(汎)用アイロン

−  旅行用アイロン

C.8

アイロンの指名法  アイロンは,必要なだけ多くの分類用語を連結して指名される。


28

C 9804 : 1999

−  サーモスタット付ドライアイロン

−  ショットスチームアイロン

−  サーモスタット付蒸気・霧吹きアイロン

第 59/61-1 小委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

八木澤  英  長

財団法人電気安全環境研究所

(委員)

佐  藤  政  博

財団法人電気安全環境研究所

渡  辺  博市郎

財団法人日本品質保証機構

上  野  雅  雄

製品評価技術センター

浅  井      功

社団法人日本電気協会

片  岡      茂

国民生活センター

伊  藤  文  一

財団法人日本消費者協会

中  野  三千代

全国地域婦人団体連絡協議会

原      早  苗

消費科学連合会

大  内  孝  典

全国電機商業組合連合会

齋  藤  有  常

日本百貨店協会

岡  田  省  三

社団法人日本厨房工業会

重  田  政  秀

日本自動販売機工業会

鴨志田  隆  英

日本暖房機器工業会

奥      敏  夫

社団法人日本ホームヘルス機器工業会

中  野  康  夫

三洋電機株式会社

新  里  勝  弘

シャープ株式会社

平  岡  俊  二

株式会社東芝

仁  衡  昭  一

株式会社日立製作所

奈良井  良  雄

三菱電機株式会社

青  田  安  功

松下電器産業株式会社

石  井  禎  二

松下電工株式会社

佐々木      宏

松下電器産業株式会社

平  田  俊  通

三洋電機株式会社

森  川  喜  之

松下電器産業株式会社

田  嶋  啓  三

日立工機株式会社

横  山  豊  次

社団法人日本電子機械工業会

薦  田  康  久

通商産業省資源エネルギー庁

橋  爪  邦  隆

通商産業省工業技術院

伊  藤      章

通商産業省機械情報産業局

(事務局)

柴  田  和  男

社団法人日本電機工業会

アイロン分科会  構成表

氏名

所属

(主査)

松  本  勝  彦

松下電器産業株式会社

(委員)

高  井  芳  人

東芝ホームテクノ株式会社

渡  辺      仁

東芝ホームテクノ株式会社

中  尾  喜代志

鳥取三洋電機株式会社

(事務局)

金  子  健  一

社団法人日本電機工業会