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日本工業規格

JIS

 C

9626

-1992

携帯電気丸のこ

Portable electric circular saws

1.

適用範囲  この規格は,電動機内蔵形の定格周波数 50 Hz/60 Hz 共用の単相交流で,手に持って使用

する木工用携帯電気丸のこ(以下,丸のこという。

)について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 0702

  クラス II 電気機器の絶縁構造通則

JIS C 1502

  普通騒音計

JIS C 2801

  整流子片

JIS C 3301

  ゴムコード

JIS C 3306

  ビニルコード

JIS C 3312

  600V ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル

JIS C 3327

  600V ゴムキャブタイヤケーブル

JIS C 8303

  配線用差込接続器

JIS G 4401

  炭素工具鋼鋼材

JIS G 5501

  ねずみ鋳鉄品

JIS Z 8731

  騒音レベル測定方法

2.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるもので,参考と

して併記したものである。

2.

種類及び出力  丸のこの種類は,のこ刃の外径の呼び寸法によって分け,種類及び出力は表 のとお

りとする。ただし,電動機の時間定格は,30 分とする。


2

C 9626-1992

表 1  種類及び出力

種類  mm

(

のこ刃の外径の呼び寸法)

出力  W

100

112

125

140

100

以上

160

180

200

225

235

300

以上

250

260

280

315

335

355

380

400

420

500

以上

3.

定格電圧及び使用電動機  定格電圧は,100 V 又は 200 V とする。使用電動機は,単相直巻整流子電

動機とする。

4.

使用電圧の変化  丸のこは,定格電圧の上下 10 %の変化があっても,実用上支障なく使用できなけれ

ばならない。

5.

性能

5.1

始動・停止  始動は,8.2 の方法によって試験を行ったとき,電動機の回転子の位置に関係なく始動

しなければならない。

また,定置形で使用できるものは,スイッチを開路したとき,10 秒以下で停止しなければならない。

5.2

温度上昇  温度上昇は,8.3 の方法によって試験を行ったとき,表 の値以下であり,かつ,5.3 

び 5.4 の規定に適合しなければならない。


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C 9626-1992

表 2  温度上昇

単位  ℃

測定箇所

温度限度

A

種絶縁のもの 100

E

種絶縁のもの 115

B

種絶縁のもの 120

F

種絶縁のもの 140

電動機の巻線

H

種絶縁のもの 165

金属製のもの,陶磁器製の

もの及びガラス製のもの

60

スイッチなどのつまみ,押しボ

タン

その他のもの 75

金属製のもの,陶磁器製の
もの及びガラス製のもの

65

人が容易に触れるおそれがある
外郭(ギヤケース及び軸受部を
含む)

その他のもの 80

金属製のもの,陶磁器製の
もの及びガラス製のもの

55

使用中に人が操作する取っ手

その他のもの 70

備考  基準周囲温度の限度は,30  ℃とする。

5.3

絶縁抵抗  絶縁抵抗は,8.4 の方法によって試験を行ったとき,2 M

Ω以上でなければならない。

5.4

耐電圧  耐電圧は,8.5 の方法によって試験を行ったとき,これに耐えなければならない。

5.5

消費電力  消費電力は,8.6 の方法によって試験を行ったとき,定格消費電力に対する許容差が表 3

の値以内でなければならない。

表 3  消費電力の許容差

定格消費電力

許容差

1 000 W

以下

±15 %

1 000 W

を超えるもの

±10 %

5.6

出力  出力は,8.7 の方法によって試験を行ったとき,定格出力以上でなければならない。

5.7

スイッチ  スイッチは,次の各項に適合しなければならない。

(1)  8.8(1)

の方法によって試験を行ったとき,各部に支障を生じないこと。

(2)  8.8(2)

の方法によって試験を行ったとき,接触部の温度上昇は

表 の値以下であること。

表 4  スイッチの温度

単位  ℃

接触部の種別

温度上昇

銅又は銅合金 40

銀又は銀合金 65

備考  基準周囲温度の限度は,30  ℃と

する。

5.8

コードの折曲げ  コードの折曲げは,次の各項に適合しなければならない。

(1)

本体とコードの接続部は,8.9.1 の方法によって試験を行ったとき,コードの短絡が生じないこと。

また,コードの素線の断線率は,10 %以下であること。

(2)

コード付一体成形の接続器のコードの接続部は,8.9.2 の方法によって試験を行ったとき,コードの短

絡が生じないこと。

また,コードの素線の断線率は,20 %以下であること。


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C 9626-1992

5.9

耐衝撃性  耐衝撃性は,8.10 の方法によって試験を行ったとき,次の各項に適合しなければならな

い。

(1)

充電部が露出しないこと。ただし,

付図 に示す試験指によって試験を行ったとき,試験指に触れな

い程度の充電部の露出は,この限りでない。

(2)

丸のこを電源に接続したとき,短絡しないこと。

(3)

直流 500 V 絶縁抵抗計によって測定した充電部と地絡するおそれがある非充電金属部表面との間の絶

縁抵抗は,2 M

Ω以上であること。

(4)

ポリアミド球を落下させたとき,感電,火災などの危険が生じるおそれがあるひび,割れ,その他の

異常を生じないこと。

5.10

長時間負荷  長時間負荷は,8.11 の方法によって試験を行ったとき,各部の緩みなど実用上支障が

あってはならない。

5.11

騒音  騒音は,8.12 の方法によって試験を行ったとき,5 か所の測定値の平均が 90 dB 以下でなけれ

ばならない。

5.12

拘束  拘束は,8.13 の方法によって試験を行ったとき,拘束時に発煙がなく,拘束後に定格電圧で

運転したとき,著しい異常音,振動等があってはならない。

5.13

過負荷  過負荷は,クラス II 絶縁構造のものについて 8.14 の方法によって試験を行ったとき,これ

に耐えなければならない。

6.

構造

6.1

構造一般  丸のこの構造は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

通常の使用状態で危険が生じるおそれがないもので,形状が正しく組み立てられ,各部の仕上がりが

良好で,動作が円滑であること。

(2)

使用中著しい振動や異常音がなく,安全に動作すること。

(3)

各部は,容易に機械的又は電気的な故障を起こさず,危険を生じないこと。

(4)

スイッチは操作のしやすい箇所に取り付けるものとし,接触,振動などのために不意に始動するおそ

れがないこと。

(5)

電動機は,整流火花が少なく,ブラシの取替えができること。

(6)

充電部は,露出しないこと。

(7)

導電部を締め付けるねじには,緩み止めを施すこと。

(8)

のこ刃の歯の接触予防装置を備えていること。

(9)

定盤を備えていること。

6.2

絶縁距離  絶縁距離は,極性が異なる充電部相互間,充電部と非充電金属部との間,及び充電部と

人が触れるおそれのある非充電金属部表面との間の絶縁距離(空間距離及び沿面距離)は,

表 の値以上

でなければならない。


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C 9626-1992

表 5  空間距離(沿面距離を含む)

単位 mm

絶縁距離

線間電圧又は対地電圧 (V)

 150

以下のもの

150

を超えるもの

製造業者が接続する端子部間 3

4

取付部

電源側電

線の

製造業者が接続する端子部と地絡するおそ

れがある非充電金属部又は人が触れるおそ
れがある非金属部の表面との間

2.5 3

極性が異なる充電部
間(開閉機構がある
ものの電線取付端子

部を含む。

固定している部分で
あって,じんあいが
侵入するおそれがな

く,また,金属粉が
付着しにくい箇所

1.5 2

その他の部分

その他の箇所 2.5

3

充電部と地絡するお
それがある非充電金

属部又は人が触れる
おそれがある非金属
部の表面との間

固定している部分で
あって,じんあいが

侵入するおそれがな
く,また,金属粉が
付着しにくい箇所

1.5 2

その他の箇所 2  2.5

整流子 1.6

1.6

6.3

雑音電界強度  定格消費電力が 1 kW 以下の丸のこの発生する雑音電界強度は,次の各項に適合しな

ければならない。

(1)

雑音電界強度は,周波数が 150 kHz 以上 200 MHz 以下の範囲で,次のいずれかに適合すること。この

場合,dB は,1

µV/m を 0 dB として算出した値とする。

(a)

丸のこから水平距離で 10 m 離れた地点に空中線を設置して測定した場合の雑音電界強度は,40 dB

以下であること。

(b)

丸のこから水平距離で 3 m 離れた地点に空中線を設置して測定した場合の雑音電界強度は,

表 

値以下であること。

表 6  雑音電界強度

周波数範囲

雑音電界強度

dB

150 kHz

以上 1 605 kHz 以下 60

1 605 kHz

を超え 27 MHz 以下

55

27 MHz

を超え 200 MHz 以下

50

(2)

雑音端子電圧は,周波数が 525 kHz 以上 1 605 kHz 以下の範囲で,1 線対地間を測定したとき,65 dB

以下であること。この場合 dB は,1

µV を 0 dB として算出した値とする。

6.4

電源電線  電源電線は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

電源電線は,JIS C 3312 に規定されたケーブル,JIS C 3327 に規定された 2 CT 又は絶縁性及び機械的

強度がこれらと同等以上のものとし,クラス II 絶縁構造のものを除き 3 心のものを用い,そのうち緑

と黄のしま模様(やむを得ない場合は緑)の 1 心を接地線とすること。ただし,定格消費電力が 1kW

以下のものについては,

JIS C 3301

に規定された CTF,

CTFK

RNCTF

並びに RNCTFK,

及び JIS C 3306

に規定された VCTF 並びに VCTFK を使用してもよい。

なお,電源電線の導体公称断面積は 0.75 mm

2

以上とし,長さ(有効長)は 2.4 m 以上とする。


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C 9626-1992

(2)

コードの先端に JIS C 8303 に規定された 2 極差込プラグ又は接地形 2 極差込プラグを取り付けること。

なお,プラグで接地できない構造の場合は,接地用口出線をプラグから 10 cm 以上引き出し,その

先端にクリップを取り付け,接地用口出線には容易に消えない方法で接地用の表示をしてあること。

プラグで接地できる構造の場合は,接地用の刃に接続する心線には,容易に消えない方法で接地用の

表示をしてあること。

(3)

器体の内部の接地用口出線及び接地用口出線を接続する端子又はその近傍に,容易に消えない方法で

接地用の表示をしてあること。

6.5

配線  配線は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

電線の貫通孔は,保護スプリング,保護ブッシング,その他適当な保護装置を使用してある場合を除

き,電源電線を損傷するおそれがないように,面取りその他適当な保護加工を施してあること。ただ

し,貫通部が金属以外のものは,その部分が滑らかで,かつ,電源電線を損傷するおそれがない場合

は,この限りでない。

(2)

電源電線と内部端子との接続部には,電源電線の張力が直接に加わらないこと。

(3)

内部配線は,高温部に近接するものは,異常が生じるおそれがなく,また,回転部に触れるおそれが

ないこと。

また,被覆された電線を固定する場合又は貫通孔を通す場合は,被覆を損傷しないようにすること。

(4)

電線の取付部は,電線を確実に取り付けることができること。

(5)  2

本以上の電線を一つの取付部に締め付ける場合は,それぞれの電線の間にナット又は座金を用いる

こと。ただし,圧着端子,その他の器具によって確実に取り付けることができるものは,この限りで

ない。

(6)

電源電線の取付端子のねじは,電源電線以外のものの取付けに兼用しないこと。ただし,電源電線を

取り付け又は取り外した場合に,その電源電線以外のものが脱落するおそれがないものは,この限り

でない。

6.6

スイッチ  電動機の操作に用いるスイッチは,動作が確実で容易に故障を起こさず,スイッチの開

閉操作又は開閉状態を文字,記号又は色によって見やすい箇所に表示しなければならない。ただし,表示

することが困難なものは,この限りでない。

6.7

クラス II 絶縁構造  クラス II 絶縁構造の丸のこは,JIS C 0702 に規定された構造に適合しなければ

ならない。

また,のこ刃の外径の呼び寸法が 180mm 以下のものは,クラス II 絶縁構造にすることが望ましい。

6.8

のこ刃及びのこ刃の取付け  のこ刃は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

のこ刃の材料は,JIS G 4401 に規定された 5 種又はこれと使用上同等以上の品質のものとする。

(2)

のこ刃は,割れ,使用上有害なきず,さび,その他の欠点がなく,仕上げは良好でなければならない。

(3)

のこ刃の硬さは HRC42∼54 とし,硬さのむらは HRC4 以下とする。

(4)

歯切りをし,目立仕上げをしたときの切れ味は良好であること。

(5)

のこ刃を取り付けるフランジの直径は,固定側と移動側とにおいて等しい値とすること。

(6)

固定側フランジは,キー若しくはねじを使用するなどの方法又は焼ばめ,圧入などの方法によって丸

のこ軸に固定されていること。

(7)

のこ刃の取付部には,

表 の寸法の  のこ刃が支障なく取り付けられること。


7

C 9626-1992

表 7  のこ刃の寸法

単位 mm

のこ刃の外径の呼び寸法

穴径

200

未満のもの 20

0.05

0

 

200

以上のもの 30

0.05

0

 

6.9

のこ刃の歯の接触予防装置  のこ刃の歯の接触予防装置は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

のこ刃の歯の接触予防装置の覆いは,歯の切断に必要な部分以外を覆うこと。この場合に,切断に必

要なのこ刃の部分の寸法は,定盤を丸のこの最大切込深さの位置に調節し,のこ刃面と定盤とのなす

角度を 90°としたとき,

図 に示す値とすること。

図 1

(2)

のこ刃の歯の接触予防装置の固定覆いは,歯の切断部が見える形状であること。

(3)

のこ刃の歯の接触予防装置の移動覆いは,切断作業が終了した際に自動的に閉止点に戻ること。

(4)

のこ刃の歯の接触予防装置の移動覆いは,移動範囲の任意の位置で固定できないこと。

(5)

のこ刃の歯の接触予防装置の支持部のボルト及び移動覆い自動戻り機構のばね止め金具のボルトには,

緩み止め又は抜け止めを施すこと。

7.

材料  材料は,次の各項に適合しなければならない。

(1)

主要部品は,金属,合成樹脂,その他の適当な材料で作られ,耐久性が大きいこと。

(2)

器体の材料は,通常の使用状態における温度に耐えること。

(3)

電気絶縁物は,これに接触したり,近接する部分の温度に十分耐え,かつ,吸湿性の少ないものであ

ること。

(4)

アークが達するおそれがある部分に用いる電気絶縁物は,アークによる有害な変形及び変質を起こさ

ないこと。

(5)

鋼材(ステンレス鋼を除く。

)には,めっき,塗装,油焼き,その他の適当なさび止めを施してあるこ

と。ただし,酸化することによって,危険が生じるおそれがない部分に使用するものは,この限りで

ない。

(6)

導電材料は,銅若しくは銅合金又はこれと同等以上の電気的,熱的及び機械的な安定性をもち,さび

にくいものであること。ただし,弾性を必要とする部分,その他構造上やむを得ない部分で危険を生

じるおそれがないときは,この限りでない。


8

C 9626-1992

(7)

端子ねじの材質は,銅又は銅合金であること。ただし,接地端子ねじ以外のもので直接通電を目的と

しないもの又は温度が 100  ℃以上の部分に使用するものは,ステンレス鋼又はめっきを施した鋼材で

もよい。

(8)

整流子片の材料は,JIS C 2801 に規定されたもの又は導電率及び硬さがこれと同等以上のものである

こと。

(9)

フランジは,JIS G 5501 に規定された 2 種に適合する鋳鉄品に相当する引張強さをもつこと。

8.

試験方法

8.1

構造試験  構造試験は,6.及び 11.について調べる。

8.2

始動試験  始動試験は,定格周波数で定格電圧の 90 %の電圧を加え,始動するかどうかを調べる。

8.3

温度試験  温度試験は,定格周波数,定格電圧及び全負荷電流(表示値)で 30 分間運転し,表 

測定箇所の温度を

表 の測定方法によって測定し,その後 8.4 及び 8.5 の試験を行う。

表 8  温度試験測定方法

測定箇所

測定方法

電動機の巻線

抵抗法

スイッチなどのつまみ,押しボタン

熱電温度計法

人が容易に触れるおそれがある外郭

(ギヤケース部及び軸受部を含む)

使用中に人が操作する取っ手

8.4

絶縁抵抗試験  絶縁抵抗試験は,直流 500 V 絶縁抵抗計によって充電部と人が触れるおそれがある

非充電金属部又は外郭との間の絶縁抵抗を測定する。

8.5

耐電圧試験  耐電圧試験は,定格電圧が 100 V の丸のこは 1 000 V,定格電圧が 200 V の丸のこは 1 500

V

の 50 Hz 又は 60 Hz の正弦波に近い電圧を充電部と人が触れるおそれがある非充電金属部又は外郭との

間に 1 分間加え,これに耐えるかどうかを調べる。ただし,多量生産の場合は,定格電圧が 100 V のもの

は 1 200 V,定格電圧が 200 V のものは 1 800 V の電圧を 1 秒間加えることによってこれに代えることがで

きる。

8.6

消費電力試験  消費電力試験は,定格周波数,定格電圧で丸のこを運転し,消費電力がほぼ一定と

なったとき,その値を測定する。

8.7

出力試験  出力試験は,定格周波数,定格電圧及び全負荷電流で丸のこを運転し,出力がほぼ一定

となったとき,その値を測定する。

8.8

スイッチ試験  スイッチ試験は,次の項目について行う。

(1)

開閉試験  開閉試験は,表 に示す条件で行い,各部に支障が生じるかどうかを調べる。

表 9  開閉試験

条件

試験順序

電圧

周波数

電流

力率

開閉の速さ

回数

1

定格電圧

定格周波数

全負荷電流

全負荷電流のと

きの力率

毎分約 20 回  開閉 10 000 回

2(

1

)

定格電圧の 1.2

倍の電圧

定格周波数

丸のこを拘束し

たときの電流

丸のこを拘束し

たときの力率

毎分約 4 回 CO(

2

)5

(

1

)

試験順序1の試験に合格した試験品について行う。

(

2

) CO

は,閉路動作(C)に続いて,直ちに遮断動作(O)を行うことを示す。

(2)

温度試験  温度試験は,スイッチに丸のこの定格周波数の定格電圧を加え,丸のこの全負荷電流を通


9

C 9626-1992

じ,接触各部の温度がほぼ一定となったときの温度を熱電温度計法によって測定し,周囲温度との差

を求める。

8.9

コードの折曲げ試験

8.9.1

本体とコードの接続部の折曲げ試験  本体とコードの接続部の折曲げ試験は,図 のようにコード

に 4.9N {500gf}  の引張荷重がかかっているようにし,可動板を回してコードの本体出口で,コードを右方

向に 60°折り曲げ,元に戻し(これを 1 回とする。

,続いて左方向に 60°折り曲げ,これを元に戻す(こ

れを 1 回とする。

。この操作を毎分約 40 回の速さで,連続 5 000 回繰り返した後,コードの短絡の有無及

び素線の断線率を調べる。

図 2

8.9.2

コード付一体成形の接続器のコード接続部の折曲げ試験  コード付き一体成形の接続器のコード

接続部の折曲げ試験は,

図 に示す試験装置の可動板の中心と当該接続部とを一致させ,さらに,コード

が可動範囲の中央で折り曲がらずに鉛直になるように接続器を取り付け,コードに 4.9 N {500 gf}  の引張

荷重がかかるようにして,可動板を左右交互に各々60℃の角度で毎分約 40 回(左右それぞれを 1 回と数え

る。

)の割合で,5 000 回往復する操作を行った後,コードの短絡の有無及び素線の断線率を調べる。

図 3

8.10

衝撃試験  衝撃試験は,次の項目について行う。

(1)

水平で表面が平らなコンクリート床上に,大きさ約 1.5×1.5 m,厚さ約 30 mm のラワン板を置き,器


10

C 9626-1992

体の定盤がラワン板の面に平行になるように器体をひもでつり下げ,

表 10 の高さから 3 回落下させた

後,充電部の露出の有無などを調べる。

表 10

製品の質量

kg

定盤からの落下高さ

cm

4

以下のもの 70

4

を超え 7 以下のもの

50

7

を超えるもの 30

備考1.  試験は,無通電で行う。

2.

工具なしで取り外せる附属品は,取り外
して行う。

3.

直付けのコードは,落下させる際,じゃ
まにならないよう器体上部に束ねてお
くこと。

(2)

外郭として用いる絶縁物及び器体の外面に露出しているブラシキャップその他これらに類するものは,

HRR100

に表面をポリアミド加工した半径が 10 mm の球面をもつ重さが 250 g のおもりを 20 cm の高

さから垂直に 1 回落とすか,又はこれと同等の衝撃力を HRR100 に表面をポリアミド加工した半径が

10 mm

の球面をもつ衝撃片によって 1 回加えた後,充電部の露出などを調べる。ただし,器体の外面

に露出しているブラシキャップその他これらに類するもので,表面積が 4 cm

2

以下であり,器体の外

郭の表面から 10 mm 以上突出していないものは,この限りでない。

8.11

長時間負荷試験  長時間負荷試験は,定格電圧の 1.1 倍の電圧で 100 秒間運転,20 秒間休止する操

作を繰り返し,運転時間(休止時間を含む。

)が 24 時間に達した後,引き続き定格電圧の 0.9 倍の電圧で

運転時間(休止時間を含む。

)が 24 時間に達するまで運転した後,各部の緩みなどがあるかどうかを調べ

る。

8.12

騒音試験  騒音試験は,次の条件によって,定格周波数の定格電圧を加えて無負荷で運転したとき

測定する。

(1)

測定条件

(a)

原則として暗騒音と合成音との差が 10 dB 以上あるときに測定する。それ以下の場合は,JIS Z 8731

に規定された補正値によって補正する。

なお,暗騒音は 30 dB 以下とする。

(b)

騒音計は,JIS C 1502 に規定された騒音計又はこれと同等以上の機能をもつ騒音計とする。

(2)

測定方法  図 に示す方向で,丸のこから 1 m 離れた所にマイクロホンを置き測定する。測定値は,

その音の大小に関係なく,騒音計の周波数補正回路の A 特性で測定する。動特性は,

“遅い(SLOW)

を使って測定し,測定期間中の平均値を読み取り,

図 の各方向の平均値をもって,その丸のこの騒

音値とする。

マイクロホン及び被測定物の高さは,床面から 0.75 m とする。


11

C 9626-1992

図 4

(3)

注意事項

(a)

マイクロホンに気流による風圧がかからないようにすること。

(b)

電磁場の影響を受けないこと。

(c)

丸のこの振動がマイクロホンに伝わらないように注意すること。

8.13

拘束試験  拘束試験は,あらかじめ回転部分(のこ刃)を拘束し,速やかに定格電圧に昇圧して 3

秒間保持した後,拘束を外し,定格電圧で 30 秒間無負荷運転し,異常の有無を調べる。

8.14

過負荷試験  過負荷試験は,クラス II 絶縁構造のものについて次によって行う。

(1)

表 11 の順序によって,発炎,巻線焼損及び巻線短絡(

3

)

が発生するまで運転する。

(

3

)

設定した電流が試験中50%以上増したときをいう。

(2)

発炎,巻線焼損が生じた場合は,試験を打ち切るが,発炎,巻線焼損を伴わない巻線短絡が生じた場

合は,その状態のまま,試験を 30 秒間延長する。この間に発炎,巻線焼損がないときは室温まで冷却

し,電流調節を元の状態のまま再び 30 秒間通電する。

このような(30 秒間運転)−(室温まで冷却)のサイクルを発煙,巻線焼損が生じるまで行うが,

発炎,巻線焼損があった場合は,試験を中止する。

(3)

発炎,巻線焼損又は巻線短絡を生じた供試品の充電部と人が触れるおそれがある非充電金属部との間

及び人が触れることのできない非充電金属部と人が触れるおそれがある非充電金属部との間に,定格

電圧が 100 V のものは 1 200 V,定格電圧が 200 V のものは 1 400 V の 50 Hz 又は 60 Hz の正弦波に近

い電圧を 1 分間加え,これに耐えるかどうかを調べる。

表 11

試験順序

No.

電圧

周波数

負荷及び運転時間

1

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×120 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

2

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×130 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

3

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×140 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

4

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×150 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

5

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×160 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

6

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×170 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

7

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×180 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

8

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×190 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

9

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×200 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分

10

定格電圧

定格周波数

全負荷電流×210 %  14.5 分, 続けて無負荷 0.5 分


12

C 9626-1992

9.

検査  8.によって試験を行ったとき,5.6.7.及び 11.の規定に適合しなければならない。

10.

製品の呼び方  製品の呼び方は,名称,種類(のこ刃の外径の呼び寸法)及び定格電圧による。

例  携帯電気丸のこ  180 mm 100 V

11.

表示  丸のこには,見やすいところに次の事項を表示しなければならない。

(1)

名称

(2)

種類(のこ刃の外径の呼び寸法)

(3)

定格周波数 (Hz)

(4)

定格電圧 (V)

(5)

全負荷電流 (A)

(6)

定格消費電力 (W)

(7)

定格出力 (W)

(8)

無負荷回転速度(定格周波数,定格電圧における無負荷時の丸のこの毎分回転数の公称値)

(9)

製造業者名又はその略号

(10)

製造年月及び製造番号

(11)

丸のこの回転方向(覆いに浮き出し又は刻印でもよい。

(12)

クラス II 絶縁構造のものは

の表示

(13)

雨中での使用を禁止する旨

(14)

法令及び都道府県条例などで定められた騒音規制値以下で使用する旨

12.

取扱説明書に記載する事項  取扱説明書に記載する事項は,次による。

(1)

騒音防止に関する事項  [(a)遮音壁を設けること,(b)騒音に関する法令及び都道府県条例  など]

(2)

使用方法に関する事項  [(a)クラス II 絶縁構造のもの,漏電遮断器を回路に設けて使用するもの以外

は,正しく接地すること。(b)落下などの衝撃を加えないこと,定置使用の可否及び注意事項  など]

(3)

保守に関する事項  [(a)定期的に注油すること。(b)回転部に切削くずやごみが詰まらないように清掃

すること  など]


13

C 9626-1992

付図 1  試験指

備考1.  角度の許容差は±5'とする。

2.

寸法の許容差は,25 mm 以下は

0

 

0.05

 mm

,25 mm を超える寸法は±

0.2 mm

とする。

3.

使用材料は,黄銅とする。

4.

供試品の導電部は,一括して接続する。

5.

電源電圧は,定格電圧以下の任意の電圧(40 V 以上)としてよい。


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C 9626-1992

家庭電器部会電動工具専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

秋  山  英  司

玉川大学

田  中  達  雄

通商産業省機械情報産業局

田  村  修  二

工業技術院標準部

津  澤  健  一

労働省労働基準局安全衛生部

松  田      泰

通商産業省資源エネルギー庁公益事業部

渡  辺  幸  次

財団法人日本電気用品試験所

会  田      博

高速電機株式会社長野工場

小野瀬      中

日立工機株式会社電動工具製造本部

鈴  木  崇  弘

株式会社マキタ電機製作所開発部

高  村  逸  司

天龍製鋸株式会社

寺  川  恒  夫

株式会社芝浦製作所機工小浜工場

中  島  素  春

神鋼電機株式会社

宮      曻  治

リョ−ビ株式会社電動工具部

脇          晋

兼房刃物工業株式会社

越  智  福  夫

建設省住宅局

門  松  はま子

主婦連合会

長  田  正  東

国民生活センター

森  井      清

社団法人全国建設業協会

山  代  夏  江

財団法人日本消費者協会

(専門委員)

鈴  木  睦  郎

日本機械鋸・刃物工業会

山  中  克  彦

社団法人日本電機工業会

(事務局)

宅  間  昌  輔

工業技術院標準部電気規格課

壺  川  秋  広

工業技術院標準部電気規格課