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C 9620

:2012

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  定格 

2

4.1

  定格荷重  

2

4.2

  揚程  

2

4.3

  形式の種類  

2

4.4

  等級  

5

4.5

  定格電圧及び定格周波数  

6

4.6

  電動機の定格  

6

4.7

  定格速度  

6

4.8

  標準使用状態  

6

5

  性能 

7

5.1

  寸法  

7

5.2

  温度上昇  

11

5.3

  始動電圧  

11

5.4

  巻上速度及び巻下速度  

11

5.5

  横行速度  

11

5.6

  巻上げ及び巻下げのブレーキ 

12

5.7

  横行のブレーキ  

12

5.8

  巻上電流  

12

5.9

  横行電流  

12

5.10

  過巻防止  

12

5.11

  過負荷特性  

12

5.12

  横行性能  

12

5.13

  絶縁抵抗  

12

5.14

  耐電圧  

12

6

  構造 

12

6.1

  一般構造  

12

6.2

  ワイヤロープ  

13

6.3

  ドラム  

13

6.4

  シーブ及びエコライザシーブ 

13

6.5

  フックブロック  

13

6.6

  電動機  

13


C 9620

:2012

(2)

ページ

6.7

  巻上げ及び巻下げのブレーキ 

13

6.8

  押しボタンスイッチ  

14

6.9

  横行車輪  

14

6.10

  過巻防止装置  

14

6.11

  操作回路  

14

6.12

  押しボタンケーブル  

14

6.13

  その他の安全装置  

14

7

  試験 

15

7.1

  寸法測定  

15

7.2

  温度試験  

15

7.3

  始動電圧試験  

17

7.4

  巻上速度及び巻下速度試験  

17

7.5

  横行速度試験  

18

7.6

  巻上げ及び巻下げのブレーキ試験  

18

7.7

  横行のブレーキ試験  

18

7.8

  巻上電流試験  

18

7.9

  横行電流試験  

18

7.10

  過巻防止試験  

18

7.11

  過負荷特性試験  

18

7.12

  横行試験  

18

7.13

  構造試験  

19

8

  検査 

19

8.1

  検査の種類  

19

8.2

  形式検査  

19

8.3

  受渡検査  

19

9

  表示 

20

10

  製品の呼び方  

20

11

  使用者への提供情報  

20

12

  リスクアセスメント  

20

附属書 A(参考)巻上機の総運転時間及び残存耐用時間  

21

附属書 B(規定)ドラムに巻き付けたロープ巻数とロープ固定端の締結力との関係  

25

附属書 C(規定)フックの強度計算  

27

附属書 D(参考)電気ホイストで使用する横行レール 

29

附属書 E(参考)電気ホイストの使用に関する注意事項  

30

附属書 F(参考)電気ホイストの点検項目  

33

附属書 G(参考)巻上機の特別アセスメント指針  

36


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:2012

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

電機工業会(JEMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。

これによって,JIS C 9620:2009 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 C

9620

:2012

電気ホイスト

Electric wire rope hoists

序文 

この規格は,1960 年に制定され,その後 9 回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は 2009 年に

行われたが,その後の技術的進歩に対応するために改正した。

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。

適用範囲 

この規格は,三相かご形誘導電動機を用い,ワイヤロープを巻き付けてあるドラムを減速回転させるこ

とによって,荷の巻上げ及び巻下げ並びに横行を行う電気ホイストについて規定する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0148

  巻上機−用語

JIS B 8822-1:2001

  クレーン及び巻上装置−分類及び等級    第 1 部:一般

JIS B 8832

  巻上機−定格荷重

JIS B 9960-32

  機械類の安全性−機械の電気装置−第 32 部:巻上機械に対する要求事項

JIS C 0920

  電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)

JIS C 3312

  600 V ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル

JIS C 3327

  600 V ゴムキャブタイヤケーブル

JIS C 4034-1

  回転電気機械−第 1 部:定格及び特性

JIS C 4034-5

  回転電気機械−第 5 部:外被構造による保護方式の分類

JIS G 3525

  ワイヤロープ

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0148 によるほか,次による。

3.1

総運転時間

等級と荷重率とによって設定する巻上機(電気ホイストを含む。

)及びクレーンサドルを理論上使用でき

る時間。寿命時間ともいう。総運転時間は,予想される最大使用時間で表す。


2

C 9620

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3.2

等価運転時間

電気ホイストの運転時間に負荷と記録精度とを加味して,設定した荷重率に置き換えて計算した運転時

間。

3.3

残存耐用時間

総運転時間から等価運転時間を引いて求めた,電気ホイストを使用できる残り時間。

3.4

巻上電流

電気ホイストに定格荷重をつり,定格電圧及び定格周波数で荷振れしない状態で巻き上げたときの電源

側(一次側)の電流。

注記  ブレーキ及び制御機器の動作電流並びに機械損分も含み,電動機単体電流とは異なる。

3.5

横行電流

電気ホイストに定格荷重をつり,定格電圧及び定格周波数で荷振れしない状態で横行したときの電源側

(一次側)の電流,又は電動機単体の定格出力時の電流。

3.6

定格荷重リミッタ

定格荷重を超える荷重の巻上動作を自動的に制限する装置。

3.7

定格速度

定格荷重における巻上げ又は横行の最高速度。

定格 

4.1 

定格荷重 

定格荷重は,JIS B 8832 による。代表的な定格荷重を,

表 に規定する。

表 1−代表的な定格荷重

桁数

代表的な定格荷重

t

a)

小数点

0.5 0.63  − 0.8

1 桁  1 1.25

1.5 1.6 2 2.5

2.8

3 3.2

4 4.8

5 6.3 7.5 8

2 桁  10 12.5

15 16 20

25

30

32

a)

  単位はキログラム(kg)で表示してもよい。

4.2 

揚程 

揚程は,6 m,8 m 又は 12 m とする。

4.3 

形式の種類 

形式の種類は,巻上装置単独と横行装置(トロリ)付きとに大別して,

図 の形式に分類し,次による。

なお,横行装置には,トロリの駆動方式によって,電動横行式のほか,鎖動横行式及び手押横行式があ

る。


3

C 9620

:2012

図 1−電気ホイストの形式

a)

巻上装置単独

1)

据置形

2)

懸垂形

3)

ダブルレール形

b)

横行装置(トロリ)付き

1)

普通形

2)

ローヘッド形

3.1)

巻上装置及び横行装置が一体構成(タイプ A)

3.2)

巻上装置と横行装置との組合せ

3.2.1)

据置形と横行装置との組合せ(タイプ B)

3.2.2)

懸垂形と横行装置との組合せ(タイプ C)

ホイスト


4

C 9620

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a)

巻上装置単独

1)

据置形[

図 2 a)参照]

2)

懸垂形[

図 2 b)参照]

b)

横行装置(トロリ)付き

1)

普通形[

図 2 c)参照]

2)

ローヘッド形[

図 2 d)参照]

3)

ダブルレール形

ダブルレール形には,巻上装置及び横行装置が一体のもの[

図 2 e)参照],据置形を横行装置に組

み込んだもの[

図 2 f)参照],並びに懸垂形を横行装置に組み込んだもの[図 2 g)参照]がある。

a)

  巻上装置単独据置形 b)  巻上装置単独懸垂形 

c)

  横行装置(トロリ)付き普通形 d)  横行装置(トロリ)付きローヘッド形 

図 2−巻上装置単独及び横行装置(トロリ)付電気ホイストの外観


5

C 9620

:2012

e)

  横行装置(トロリ)付きダブルレール形

(タイプ A 

f)

  横行装置(トロリ)付きダブルレール形

(タイプ B 

g)

  横行装置(トロリ)付きダブルレール形(タイプ C 

図 2−巻上装置単独及び横行装置(トロリ)付電気ホイストの外観(続き)

4.4 

等級 

等級の決め方は,歯車,軸受などの機械部分を対象に,JIS B 8822-1:2001 による。ただし,この規格で

用いる等級の内容は,

表 による。


6

C 9620

:2012

表 2−等級

荷重の状態

荷重スペク

トル係数

K

m

b)

総運転時間

a)

h

400

800

1 600

3 200

6 300

12 500

25 000

(非常にまれに定格荷重を受けるが,通常
は軽い負荷を受ける機械装置)

0.125

−  M3 M4 M5 M6

(ある程度の頻度で定格荷重を受けるが,
通常は中程度の負荷を受ける機械装置)

0.25

− M3 M4 M5 M6  −

(頻繁に定格荷重を受けるが,通常は重い

負荷を受ける機械装置)

0.5

− M3

M4  M5  M6  −

超重

(定常的に定格荷重を受ける機械装置)

1.00 M3

M4

M5

M6 −

a)

  総運転時間は,予想される最大使用時間で表している。

b)

  荷重スペクトル係数 K

m

については,

附属書 参照。

なお,等級,総運転時間及び残存耐用時間の関係を,

附属書 に示す。

4.5 

定格電圧及び定格周波数 

定格電圧及び定格周波数は,次のうち,いずれかによる。

−  電圧 200 V 周波数 50 Hz 及び 60 Hz,並びに電圧 220 V 周波数 60 Hz

−  電圧 400 V 周波数 50 Hz 及び 60 Hz,並びに電圧 440 V 周波数 60 Hz

4.6 

電動機の定格 

巻上電動機及び横行電動機の定格は,次の短時間定格及び反復定格とする。

a)

短時間定格  短時間定格は,15 min,30 min 又は 60 min とする。

b)

反復定格  負荷時間と休止時間との合計に対する負荷時間の割合を負荷時間率(%ED)で表し,各負

荷時間率と最大始動頻度との関係を反復定格と定義して,

表 による。

なお,2 速形の反復定格については,負荷時間率では低速と高速との割合を 1:2 とし,最大始動頻

度では低速と高速との割合を 2:1 とする。

表 3−反復定格

負荷時間率

%ED

15

20

25

30

40

50

60

最大始動頻度

回/時

90

120

150

180

240

300

360

4.7 

定格速度 

巻上げの定格速度,及び電動横行式での横行の定格速度は,

表 による。

表 4−巻上速度及び横行速度

単位 m/min

定格荷重  t 0.5∼1.0 1.25∼3.2

4∼5 6.3∼8 10∼20 25∼32

巻上速度 14 以下 10 以下

9 以下

8 以下

6 以下

4 以下

横行速度 50 以下

4.8 

標準使用状態 

標準使用状態は,次による。標準使用状態と異なる場合は,受渡当事者間の協定による。


7

C 9620

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−  周囲温度は,−5  ℃∼40  ℃とする。ただし,24 時間を通じた平均値は,35  ℃以下とする。

−  湿度は,45 %RH∼85 %RH とする。ただし,結露は発生してはならない。

−  標高は,1 000 m 以下とする。

性能 

5.1 

寸法 

5.1.1 

フック最小距離 

フック最小距離は,

図 3∼図 に示すとおりとし,7.1.1 によって試験を行うとき,表示値

1)

以下とする。

1)

  表示値とは,カタログ,仕様書,銘板などに表示してある値をいう。

図 3−据置形のフック最小距離及び揚程


8

C 9620

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図 4−懸垂形のフック最小距離及び揚程


9

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図 5−普通形のフック最小距離及び揚程 


10

C 9620

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図 6−ダブルレール形のフック最小距離及び揚程

5.1.2 

揚程 

揚程は,定格荷重を巻上げ及び巻下げができる最大距離(

図 3∼図 6)をいい,7.1.2 によって測定を行

うとき,表示値

1)

以上とする。

5.1.3 

外形寸法及び取付寸法 

7.1.3

によって試験を行うとき,外形寸法及び取付寸法の許容差は,

表 及び表 の許容差内とする。

なお,

表 及び表 における記号は,図 3∼図 による。

表 5−外形寸法及び取付寸法の許容差

単位  mm

項目

測定箇所

記号

許容差

注記

外形寸法

全幅

片側寸法

AB

±15

図 3∼図 6

参照

全長

片側寸法

CD

±15

全高

全高寸法

±10

取付寸法

取付ベース 
(据置形)

穴ピッチ

F

1

F

2

±2

図 参照

穴寸法

±2

板厚寸法

±2

取付ベース 
(懸垂形)

穴ピッチ

F

1

±2

図 参照

穴寸法

±2

車輪間隔 
(ダブルレール形)

ホイールベース

±2

図 参照

トロリスパン

±2


11

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表 6−フックポンチマーク間の許容差

単位  mm

寸法区分

許容差

30 以下

±1.0

 30 を超え 120 以下

±1.5

 120 を超え 400 以下

±2.5

5.2 

温度上昇 

7.2.1

及び 7.2.2 によって試験を行うとき,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度上昇は,

表 の値以

下とする。

なお,周囲温度は,40  ℃以下とする。

表 7−温度上昇

区分

抵抗法

K

巻線の種類

耐熱クラス

電動機巻線 120(E) 75

130(B) 80

155(F) 105

180(H) 125

電磁ブレーキ巻線 120(E) 100

130(B) 110

155(F) 135

180(H) 160

5.3 

始動電圧 

始動電圧は,7.3 によって試験を行うとき,巻上げ及び横行ができなければならない。

5.4 

巻上速度及び巻下速度 

7.4

によって試験を行うとき,定格速度の表示値

1)

に対する巻上速度及び巻下速度の許容差は,

表 

よる。

表 8−巻上速度及び巻下速度の許容差

定格速度

m/min

巻上速度の許容差

%

巻下速度の許容差

%

2 未満

±20

−20∼+25

2 以上

±10

−10∼+25

5.5 

横行速度 

7.5

によって試験を行うとき,定格速度の表示値

1)

に対する横行速度の許容差は,

表 による。

表 9−横行の定格速度の許容差

定格速度

m/min

許容差

%

4 未満

±20

4 以上

±10


12

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5.6 

巻上げ及び巻下げのブレーキ 

巻上げ及び巻下げのブレーキは,7.6 によって試験を行うときの荷が停止するまでの距離は,1 分間の巻

上距離の 1 %以下とする。

5.7 

横行のブレーキ 

電動横行式の横行のブレーキは,7.7 によって試験を行うときの横行装置が停止するまでの距離は,1 分

間の横行距離の 10 %以下とする。

5.8 

巻上電流 

巻上電流は,7.8 によって試験を行うとき,巻上げの定格電流の表示値

1)

以下とする。

5.9 

横行電流 

7.9

によって試験を行うとき,電動横行式における横行電流は,横行の定格電流の表示値

1)

以下とする。

5.10 

過巻防止 

過巻防止は,7.10 によって試験を行うとき,直働式の場合には 50 mm 以上,ロープガイドなどによる間

接式の場合には 250 mm 以上の巻上げに余裕がなければならない。

5.11 

過負荷特性 

過負荷特性は,7.11 によって試験を行うとき,各部に異常があってはならない。

5.12 

横行性能 

横行性能は,7.12 によって試験を行うとき,支障なく横行しなければならない。

5.13 

絶縁抵抗 

絶縁抵抗は,JIS B 9960-32 の 18.3(絶縁抵抗試験)による。

5.14 

耐電圧 

適用する場合,耐電圧試験は,JIS B 9960-32 の 18.4(耐電圧試験)による。

構造 

6.1 

一般構造 

一般構造は,次による。

a)

電気ホイストの巻上部には,中央に全体を支えるフレーム,及びワイヤロープを巻き取るドラムがあ

り,それに電動機,減速歯車,ブレーキ,過巻防止装置及びその附属品が一体となって組み立てられ,

堅ろうで作動が確実かつ取扱いが容易でなければならない。

b)

電気ホイストの横行部は,電動横行式では,電動機,ブレーキ,減速歯車,横行車輪など,鎖動横行

式では,鎖,減速歯車,横行車輪など,手押横行式では横行車輪などからなるが,いずれも堅ろうで

あり,巻上部と一体になっているか,又は巻上部に容易に取り付けられなければならない。

c)

トロリ結合で使用する普通形及びローヘッド形では,横行レールに対して横行部にずれ,傾きなどを

生じた場合でも,横行部が横行レールから外れることがあってはならない。

d)

電気ホイストの電気装置(電動機及び制御部)の保護方式は,JIS C 4034-5 及び JIS C 0920 に規定す

る保護等級の分類に従い,その規定による性能を満足しなければならない。

なお,電動機と制御部とが分離している場合,又はそれぞれの保護等級が異なる場合は,電動機と

制御部との間で保護等級が低い方,又はそれぞれの保護等級のうちいずれかを,表示してもよい。

e)

外観は,使用上有害なきず,割れ,さび,まくれ及びその他の不適合がなく,各部の仕上げは良好で

なければならない。

f)

ドラムの溝にワイヤロープが巻き込まれる方向と,当該溝に巻き込まれるときの当該ワイヤロープの


13

C 9620

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方向との角度は,4°以内とする。

g)

ワイヤロープと,ドラム,フレーム,フックブロックなどとの連結は,ソケット止め,クランプ止め,

コッタ止めなどの方法によって緊結して行わなければならない。

h)

ロープの固定は,電気ホイストの定格荷重によって生じる静的なワイヤロープの力の 2.5 倍の力に対

して,永久変形を伴わずに耐えるようにしなければならない(

附属書 参照)。ただし,ドラム側の

固定部分は,余巻き分の摩擦抵抗を含めて考慮してよい。ワイヤロープと接触面との間の摩擦係数μ

は,0.1 とする。

6.2 

ワイヤロープ 

ワイヤロープは,JIS G 3525 による。

6.3 

ドラム 

単層のドラムは,溝付きとする。溝は滑らかで,表面にロープの損傷の原因となる不適合があってはな

らない。エッジの部分には丸みをもたせる。

6.4 

シーブ及びエコライザシーブ 

シーブ及びエコライザシーブは,次のことを満足しなければならない。

a)

ロープがたるみを生じた場合などに,ロープが溝から外れることを防ぐために,適切な手段を備える

構造とする。

b)

外周と保護部材との間の距離は,ロープの公称直径の 1/2 未満とする。

6.5 

フックブロック 

フックブロックは,次のことを満足しなければならない。

a)

附属書 を用いてフックの引張応力を算出したとき,フックの引張応力は,材料の引張強さの 1/3 以

下とする。

b)

スラスト軸受その他の構造によって,自由に回転できる。

c)

玉掛け用ワイヤロープなどが外れることを防止するための外れ止め装置を備える構造とする。

6.6 

電動機 

電動機は,三相かご形誘導電動機を使用する。

6.7 

巻上げ及び巻下げのブレーキ 

巻上げ及び巻下げのブレーキは,次のことを満足しなければならない。

a)

ブレーキは,次の場合に荷が下がらないように自動的に作動する。

1)

手動操作スイッチを放した場合

2)

非常停止が作動した場合

3)

ブレーキへの電源供給が妨げられた場合

4)

電気ホイストへの電源供給が妨げられた場合

5)

電気ホイストへの電源供給の 2 相が欠相した場合

b)

電気ホイストへの電源供給の 1 相が欠相した場合であっても,制御できない状態

2)

で荷が下がっては

ならない。

2)

  制御できない状態とは,押しボタンを放したり,非常停止ボタンを押したりしたときに停止

しない状態である。

c)

制動トルクの値(電磁ブレーキ及びメカニカルブレーキを備えるものはその和)は,定格荷重をつっ

たときのトルクの 150 %以上とする。


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C 9620

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6.8 

押しボタンスイッチ 

押しボタンスイッチは,操作部分から手を放したときに確実に巻上げ及び巻下げ,又は横行の回路を遮

断する。

6.9 

横行車輪 

横行車輪は,次のことを満足しなければならない。

a)

普通形及びローヘッド形に使用するトロリの両車輪のフランジ間隔,又はガイドローラの間隔は,適

用の横行レール幅(標準寸法)との振分けの片側隙間が,7 mm 以下とする(

図 参照)。

b)

鎖動横行式及び手押横行式は,車輪軸受として転がり軸受を使用する。

c)

電気ホイストで使用する横行レールは,

附属書 によることが望ましい。

a)

  フランジ付き車輪の場合 b)  ガイドローラ式の場合 

図 7−横行車輪(普通形及びローヘッド形)

6.10 

過巻防止装置 

過巻防止装置は,電気ホイストに取り付けた状態において,フックブロックによって作動する直働式の

もの,又はロープガイドなどによる間接式のものであって,無荷重及び定格荷重に対して,所定の位置で

確実に作動し,電動機及びブレーキの電流を遮断できる構造とする。

6.11 

操作回路 

操作回路は,次のことを満足しなければならない。

a)

電磁接触器の操作回路は,コイルの一端を接地側電線に接続し,他端を押しボタンスイッチ側に接続

する構造とする。ただし,絶縁トランスを用いた操作回路の場合は除く。

b)

巻上げと巻下げとの同時作動,及び左横行と右横行との同時作動を防ぐためのインターロックを設け

る。

6.12 

押しボタンケーブル 

押しボタンケーブルは,JIS C 3312JIS C 3327 又はこれらと同等のキャブタイヤケーブルを使用し,

押しボタンスイッチを引っ張っても,押しボタンケーブル及び接続部に直接力が加わらない構造とする。

6.13 

その他の安全装置 

安全装置として次のものを備えていてもよい。

a)

定格荷重リミッタ  定格荷重リミッタは,力の流れを制限するか,又は巻上装置への電力供給を止め,

巻上動作を停止する構造とする。定格荷重リミッタは,滑りクラッチの場合では定格荷重の 170 %以

下,それ以外の場合では 125 %以下の荷重で作動する。


15

C 9620

:2012

b)

非常停止スイッチ  非常停止スイッチは,JIS B 9960-32 の 10.7.2(非常停止用機器の種類)及び 10.7.3

(アクチュエータの色)の要求を満たす構造とする。非常停止スイッチは,手動操作スイッチ近傍の

即座に操作できる箇所に設置する。非常停止は,JIS B 9960-32 の 9.2.2(停止機能)の停止カテゴリ 0

又は停止カテゴリ 1 として機能しなければならない。

c)

巻下げ過ぎを防止する装置  巻下運転に対し,所定の位置で確実に作動し,電動機及びブレーキの電

流を遮断できる構造とする。

試験 

7.1 

寸法測定 

7.1.1 

フック最小距離 

定格荷重をつって巻き上げ,フックが過巻防止装置の作動によって停止した状態で,基準点からフック

中心までの距離 H

m

を測定する。

7.1.2 

揚程 

揚程の測定は,次の a)又は b)による。

a)

距離測定による算定  揚程は,定格荷重をつり,フックブロック下限位置で,基準点からフック中心

までの距離 D

P

を測定し,次の式によって求める。

L

H

D

P

H

m

ここに,

L

H

揚程(m)

D

P

個々の基準点からフックブロック下限位置のフック中心まで
の距離(m)

H

m

フック最小距離(m)

なお,フックブロック下限位置において,ドラムには 2 巻以上のワイヤロープの余巻きがなければ

ならない。

b)

巻数による算定  定格荷重を上限位置までつり,上限位置での巻数 n

2

を数え,

次の式によって求める。

ただし,ドラムにワイヤロープ 2 本を巻く場合には,片側の巻数及び掛数を用いる。

3

2

1

n

n

n

=

N

D

n

L

d

1

H

π

×

×

=

ここに,

n

1

揚程分の巻数

n

2

上限位置での巻数

n

3

余巻き(

2

巻とする。

D

d

ドラムの直径

N

掛数

7.1.3 

外形寸法及び取付寸法 

図 3∼図 の外形寸法及び取付寸法を測定する。

7.2 

温度試験 

7.2.1 

短時間負荷試験 

短時間負荷試験は,次による。

a)

巻上げ  定格電圧,定格周波数及び定格荷重で,表 10 に規定する定格速度に対する巻上げ及び巻下げ

の基準負荷サイクルで短時間定格の時間を運転し,その直後,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温

度を JIS C 4034-1 の 7.(温度上昇及び試験)に規定する抵抗法で測定する。


16

C 9620

:2012

表 10−巻上げ及び巻下げの基準負荷サイクル

定格速度

m/min

巻上げの基準負荷サイクル

2 未満

巻上げ 0.2 m−休止 3 秒−巻下げ 0.2 m−休止 3 秒

2 以上

巻上げ 2 m−休止 3 秒−巻下げ 2 m−休止 3 秒

b)

横行  横行用電動機は,電動機単体で定格電圧,定格周波数及び定格荷重で全負荷電流を流し,短時

間定格の時間を全負荷運転し,その直後,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度を JIS C 4034-1 

7.

に規定する抵抗法で測定する。

7.2.2 

反復負荷試験 

反復負荷試験は,次による。

a)

巻上げ  定格電圧,定格周波数及び定格荷重の

63 %

の試験荷重で,反復定格の負荷時間率及び最大始

動頻度で,温度が一定となるまで,次に示す基準負荷サイクルで反復運転を行い,その直後,電動機

巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度を JIS C 4034-1 に規定する抵抗法で測定する。

  1

速形電気ホイストの場合は,

図 の基準負荷サイクルを用いる。

  2

速形電気ホイストの場合は,反復定格の負荷時間率及び最大始動頻度の値を,

表 11 に規定する低

速及び高速を組み合わせて運転する。組合せ運転例を

図 及び図 10 に示す。

表 11速形電気ホイストの低速と高速との比

速度

低速

高速

負荷時間率 %ED

1/3  2/3

最大始動頻度  回/時

2/3 1/3

図 8−巻上の基準負荷サイクル(速形電気ホイスト)


17

C 9620

:2012

図 9−巻上げの基準負荷サイクル例 1速形電気ホイスト)

図 10−巻上げの基準負荷サイクル例 2速形電気ホイスト)

b)

横行  横行の反復負荷試験は,次の 1)又は 2)による。

1)

横行用電動機単体で定格電圧,定格周波数及び定格荷重で全負荷電流を,反復定格の負荷時間率及

び最大始動頻度で温度が一定になるまで通じ,その直後,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度

を JIS C 4034-1 に規定する抵抗法で測定する。

2)

横行用電動機を組み込んだ状態で定格電圧,定格周波数,定格速度及び定格荷重の

63 %

の試験荷重

で,反復定格の負荷時間率及び最大始動頻度で温度が一定になるまで横行運転を行い,その直後,

電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度を JIS C 4034-1 に規定する抵抗法で測定する。

7.3 

始動電圧試験 

始動電圧試験は,7.2.1 又は 7.2.2 の温度試験後,定格周波数において定格荷重を宙づりの状態から,定

格電圧の

90 %

の電圧で始動する。

7.4 

巻上速度及び巻下速度試験 

巻上速度及び巻下速度試験は,定格電圧,定格周波数及び定格荷重における巻上げ及び巻下げの最高速

度を測定する。


18

C 9620

:2012

7.5 

横行速度試験 

横行速度試験は,定格電圧,定格周波数及び定格荷重における横行の最高速度を測定する。ただし,試

験を行うことができない場合には,受渡当事者間の協定によって,電動トロリ単体の車輪の回転数による

測定でもよい。

7.6 

巻上げ及び巻下げのブレーキ試験 

巻上げ及び巻下げのブレーキ試験は,

定格電圧,

定格周波数及び定格荷重で,

巻上げの定格速度が

2 m/min

未満のものは

0.1 m

以上,

2 m/min

以上のものは

0.5 m

以上の距離を巻き下げてから,巻上電動機の電源を

遮断し,荷が停止するまでの距離を測定する。

インバータ駆動の電気ホイストでは,減速後に巻上電動機及びブレーキの電源を遮断する場合があり,

その場合は押しボタンを放してからの減速移動距離を算出し,上記の“巻下げ距離”から差し引くものと

する。

7.7 

横行のブレーキ試験 

電動横行方式における横行のブレーキ試験は,定格電圧,定格周波数,定格荷重及び定格速度で荷振れ

がない状態で横行させ,横行電動機の電源を遮断し,横行装置が停止するまでの距離を測定する。

ただし,受渡当事者間の協定によって,計算で求めてもよい。

インバータ駆動の電気ホイストでは,減速後に横行電動機及びブレーキの電源を遮断する場合があり,

その場合は押しボタンを放してからの減速移動距離を算出し,上記の“停止するまでの距離”から差し引

くものとする。

7.8 

巻上電流試験 

巻上電流試験は,定格電圧,定格周波数及び定格荷重で,荷振れがない状態での巻上電流を測定する。

7.9 

横行電流試験 

横行電流試験は,次の a)又は b)による。

a)

定格電圧,定格周波数,定格速度及び定格荷重で,レール上を横行して荷振れがない状態での横行電

流を測定する。

b)

定格電圧,定格周波数で横行電動機の定格出力時の電流値を測定する。

7.10 

過巻防止試験 

過巻防止試験は,定格電圧,定格周波数及び無負荷で電気ホイストの巻上運転を行い,過巻防止装置を

作動させ,ドラムが停止後,更に巻き上げることができる距離を測定する。

7.11 

過負荷特性試験 

巻上げの過負荷特性試験は,定格電圧,定格周波数及び定格荷重の

125 %

の試験荷重で,巻上げの定格

速度が

2 m/min

未満のものは

0.1 m

以上,

2 m/min

以上のものは

0.5 m

以上の距離を,連続

3

回巻上げ及び

巻下げ,各部の異常の有無を調べる。

横行の過負荷特性試験は,水平な横行レール上を,横行の定格速度が

4 m/min

未満のものは

0.1 m

以上,

4 m/min

以上のものは

0.5 m

以上の距離の横行を

3

往復繰り返して,各部の異常の有無を調べる。

7.12 

横行試験 

横行試験は,電気ホイストに定格荷重をつった状態で,次の試験を行う。

a)

電動横行式のものは,定格電圧及び定格周波数で横行する。

b)

鎖動横行式のものは,鎖を引いて横行する。

c)

手押横行式のものは,荷を押すことによって,又は横行用の引きひもを引くことによって横行する。


19

C 9620

:2012

7.13 

構造試験 

構造試験は,箇条 に規定する構造に関する事項及び箇条 に規定する表示に関する事項について目視

などによって試験する。

検査 

8.1 

検査の種類 

検査の種類は,形式検査及び受渡検査の

2

種類とする。

8.2 

形式検査 

形式検査は,次の項目について箇条 の試験を行い,箇条 及び箇条 の要求事項に適合しなければな

らない。ただし,横行速度,横行のブレーキ,横行電流,過負荷特性及び横行性能は,形式検査で実施で

きない場合,受渡検査でそれらの検査を実施し,形式検査を終了したとみなしてよい。

なお,形式検査は,新規の設計によるもの又は改造によって新規設計とみなすものについて行う。

a)

フック最小距離(5.1.1 及び 7.1.1 参照)

b)

揚程(5.1.2 及び 7.1.2 参照)

c)

外形寸法及び取付寸法(5.1.3 及び 7.1.3 参照)

d)

温度上昇(5.27.2.1 及び 7.2.2 参照)

e)

始動電圧(5.3 及び 7.3 参照)

f)

巻上速度及び巻下速度(5.4 及び 7.4 参照)

g)

横行速度(5.5 及び 7.5 参照)

h)

巻上げ及び巻下げのブレーキ(5.6 及び 7.6 参照)

i)

横行のブレーキ(5.7 及び 7.7 参照)

j)

巻上電流(5.8 及び 7.8 参照)

k)

横行電流(5.9 及び 7.9 参照)

l)

過巻防止(5.10 及び 7.10 参照)

m)

過負荷特性(5.11 及び 7.11 参照)

n)

横行性能(5.12 及び 7.12 参照)

o)

絶縁抵抗(5.13 参照)

p)

構造(箇条 及び 7.13 参照)

8.3 

受渡検査 

受渡検査は,既に形式検査で品質が確認されたものについて,出荷又は納入時に次の項目について箇条

7

の試験を行い,箇条 の品質に適合しなければならない。

a)

始動電圧(5.3 及び 7.3 参照)

b)

巻上げ及び巻下げのブレーキ(5.6 及び 7.6 参照)

c)

過巻防止(5.10 及び 7.10 参照)

d)

絶縁抵抗(5.13 参照)

ただし,次の項目は,試験を変更してもよい。

始動電圧  試験を実施する前に 7.2.1 又は 7.2.2 の温度試験を実施しなくてもよい。

巻上げ及び巻下げのブレーキ  荷が停止するまでの距離の測定は実施しなくてもよい。

過巻防止  荷が停止するまでの距離の測定は実施しなくてもよい。


20

C 9620

:2012

表示 

電気ホイストには,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。

a)

名称(電気ホイスト)

b)

種類[定格荷重(

t

又は

kg

,揚程(

m

,形式及び横行駆動方式(これらは記号で表してもよい。

c)

短時間定格又は反復定格

d)

等級

e)

定格電圧(

V

f)

定格周波数(

Hz

g)

相数

h)

巻上げの定格速度(

m/min

又は

m/s

i)

巻上電動機出力(

kW

j)

巻上げの定格電流(

A

k)

横行の定格速度(

m/min

又は

m/s

(電動横行式のものに適用する。

l)

横行電動機出力(

kW

(電動横行式のものに適用する。

m)

横行の定格電流(

A

(電動横行式のものに適用する。

n)

製品の質量(

kg

o)

ワイヤロープ(ワイヤロープの構成及び径)

p)

製造業者名又はその略号

3)

q)

製造番号

r)

製造年月日,製造年月,製造年又はこれらのうちいずれかの略号

4)

3)

製造業者名の略号は,できるだけ登録商標とするのがよい。

4)

製造年月日,製造年月又は製造年の略号は,一般に分かりやすい方法とする。

2012.4

2012

4

月)

10 

製品の呼び方 

製品の呼び方は,形式の種類,名称,定格荷重,揚程などによる。

普通形電動横行式電気ホイスト

2.8 t

6 m

11 

使用者への提供情報 

製造業者が使用者へ提供する情報は,JIS B 9960-32 によることが望ましい。

電気ホイストを安全に使用するために,製造業者が使用者へ取扱説明書,カタログなどで提供する電気

ホイストの使用に関する注意事項の例を

附属書 E,点検項目の例を附属書 に示す。

12 

リスクアセスメント 

電気ホイストを長期間安全に使用するために,リスクアセスメントの一環として行う特別アセスメント

の指針を,

附属書 に示す。


21

C 9620

:2012

附属書 A

(参考)

巻上機の総運転時間及び残存耐用時間

A.1 

巻上機の総運転時間 

A.1.1 

荷重率 K 

巻上機の総運転時間は,劣化要因が同じ場合には,負荷及び運転時間を基に算出する。巻上機は,運転

中の負荷が計画時に想定した状態から変わることで,実際に使用できる時間が少なくなることもあれば,

延長されることもある。最大使用荷重,荷重率及び運転サイクルを想定することで,期待する寿命を備え

た巻上機を選定することができる。

一般に,機械部品の総運転時間(寿命時間)

L

h

と負荷の大きさ

P

との間には,

L

h

(1/P)

3

の関係がある。

巻上機の場合には,負荷の大きさ

P

が一定ではないため,巻上機の寿命時間を考えるときの負荷の大きさ

は,変化する負荷の大きさ,及び巻上機の運転時間割合から算出する荷重率

K

で表す。ここで,荷重率

K

は式

(A.1)

及び式

(A.2)

によって求める。

3

m

K

K

=

  (A.1)

ここに,

K: 荷重率

K

m

荷重スペクトル係数(

表 又は JIS B 8822-1

:2001

参照)







=

3

max

m

P

P

t

t

K

i

T

i

   (A.2)

ここに,

t

i

荷重値ごとの通電時間

t

1

t

2

t

3

,…,t

n

は任意の整数

t

T

荷重値ごとの通電時間の合計

t

T

t

1

t

2

t

3

+…+t

n

P

i

作業ごとの荷重値

P

1

P

2

P

3

,…,P

n

P

max

: 巻上機の定格荷重

A.1.2 

荷重率及び運転時間 

荷重率及び運転時間の例を,

図 A.1 に示す。

a)

モデル

1

は軽作業であり,定格荷重をつるのは

1

割以下で,全体の荷重率は

0.5

以下。主に倉庫又は

使用頻度の低い工場に該当。

モデル

1

(軽)

K

m

0.1

×

1

3

0.4

×

0.4

3

0.5

×

0.1

3

0.125,

K

3

125

.

0

0.5

b)

モデル

2

は中作業であり,定格荷重又は幅広い重さの荷を運搬するのに用いており,荷重率は

0.63

比較的使用頻度の高い工場に該当。

モデル

2

(中)

K

m

0.167

×

1

3

0.167

×

0.733

3

0.167

×

0.467

3

0.5

×

0.2

3

0.25,

K

3

25

.

0

0.63

c)

モデル

3

は重作業であり,荷(

60 %

)とつり具(

40 %

)との合計がほぼ定格荷重(

100 %

)で,荷重

率は

0.8

。自動車工場といった,かなり高頻度な工場に該当。

モデル

3

(重)

K

m

0.5

×

1

3

0.5

×

0.4

3

0.5,

K

3

5

.

0

0.8

d)

モデル

4

は超重作業であり,定格に近いジグを常につった状態で使用され,荷重率は

1.0

。スポット溶

接機などをつり下げ,常に上下運転しているケースに該当。


22

C 9620

:2012

モデル

4

(超重)

K

m

0.9

×

1

3

0.1

×

0.8

3

1.0,

K

3

0

.

1

1.0

a)

  モデル 1(軽) b)  モデル 2(中) 

c)

  モデル 3(重) d)  モデル 4(超重) 

図 A.1−荷重率及び運転時間の例

A.1.3 

等級及び荷重率による総運転時間 

クレーン構造規格及びこの規格では,荷重の状態及び等級に応じた総運転時間を規定している。等級,

荷重率(K)及び総運転時間(L

h

)の関係を

図 A.2 に示す。


23

C 9620

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L

h

 (h)





(







使


)

25 000

E

3 200

1 600

B

200

50 000

D

荷重率

K

0

12 500

C

E

E

6 300

F

A

A

0.5

0.63

D





0.8

A

B

B

1

A

C

C

400

A

A

F

F

100

800

F

 ①

   

 D

E

C

D

B

常態として定格荷重の
80 %以上の荷重の荷を
つる

a)

常態として定格荷重の
63 %以上80 %未満の
荷重の荷をつる

a)

常態として定格荷重の
50 %以上63 %未満の
荷重の荷をつる

a)

常態として定格荷重の
50 %未満の荷重の荷を
つる

a)

F

F

M7

M8

M5

M6

M3

M4

M1

M2

注記 1  図中の記号 M1∼M8 は,表 の巻上機等級を示す。 
注記 2  図中の記号 A∼F は,クレーン構造規格のつり上げ装置などの等級(クレーン等級)を示す。 
注記 3  図中の太い実線は等級 M5 として設計された巻上機がもつ理論上の総運転時間,網掛け部分は表 に示す等級

の考え方に基づいた等級 M5 の巻上機が使用できる範囲を示している。使用者がクレーン等級 D(つり上げ装
置などの使用時間:1 600 時間以上 3 200 時間未満,区分:常態として定格荷重の 80 %以上の荷重の荷をつる)

の巻上機を選定する場合,巻上機等級としては M6 が必要である。ここで,荷重率及びつり上げ装置などの使
用時間の計画値が図中の①の箇所であったとき,使用者が製造業者に詳細な使用条件を提示して確認すること
によって,等級 M5 の巻上機を選定することができる。

a)

  クレーン構造規格の区分による。

図 A.2−荷重率及び総運転時間による等級の区分

A.2 

残存耐用時間 

A.2.1 

一般 

総運転時間は,定められた運転パターンに基づく理論上の寿命であるが,実際に使用した巻上機の残存

耐用時間は,使用状況の調査結果に基づき算出する。

A.2.2 

残存耐用時間及び負荷 

残存耐用時間は,当初想定したよりも負荷を軽くした状態で使用することによって延ばすことができる。

ただし,種々の対策によって劣化の進行を遅らせることはできても劣化そのものを停止させることは不可

能であることから,残存耐用時間は,負荷を軽くした分だけ無条件に延びるわけではない。また,負荷を

上げた場合は,残存耐用時間が想定よりも短くなることに留意する必要がある。等級及び総運転時間は,

A.1.2

に示す

4

種類の荷重率で年間稼働日数を

250

日として

10

年間使用することを想定して決めている。

なお,使用条件が途中で変わることで残存耐用時間が

10

年よりも延びる場合もあれば,逆に

10

年以内

に残存耐用時間がなくなる場合もあるため,定期的に確認する必要がある。


24

C 9620

:2012

A.2.3 

残存耐用時間に関する注意事項 

残存耐用時間に関する注意事項を,次に示す。

a)

例えば,等級

M5

のホイストを,荷重の状態“中”

(荷重率 K

0.63

)で使用することを想定した後,

荷重の状態“軽”

(荷重率 K

0.5

)に下げて運転すれば,残存耐用時間は

2

倍に延長できる。逆に荷

重の状態“重”

(荷重率 K

0.8

)にすれば,残存耐用時間は

1/2

に短縮する。このため,実際の使用状

況を調査してなるべく正確な荷重の状態及び運転時間を記録すれば,それに基づいて残存耐用時間を

算出することによって,巻上機が使用できる時間を正確に把握することが可能となる。

b)

例えば,レンタル機械の場合には,使用者の用途によって様々な使われ方をする。この場合は,使用

する用途によって荷重の状態及び運転時間を推定するか,又は過去の運転履歴及び現場での実態調査

を参考に求める。

c)

例えば,機械のメンテナンス用に設置した巻上機のように,使用する日数が少なく,使用する時間も

僅かな場合(目安として年間運転時間が総運転時間の

3 %

を下回る場合)は,残存耐用時間を毎年算

出せず

2

3

年ごとぐらいの長い間隔で評価してもよい。ただし,毎年実施する年次自主検査において

は運転条件が変わっていないことを確認する。また,取扱説明書に記載している使用方法,点検,修

理などの指示事項は遵守する。

d)

使用履歴の分からない巻上機を使用する場合は,使用前(又は使用後の早い時期)に特別アセスメン

トを実施する。特に,製造後

10

年を経過している場合には,使用前に特別アセスメントを実施する。


25

C 9620

:2012

附属書 B

(規定)

ドラムに巻き付けたロープ巻数とロープ固定端の締結力との関係

B.1 

張力減衰比 

ドラムの構造として,ロープの巻出し下限位置で,

2

巻き以上のロープがドラムに残っていなければな

らない。また,ロープ固定端におけるドラムのロープ端末止めは,ドラムに巻いたロープへの摩擦の影響

を加味し,定格荷重及びつり具の荷重によってウインチに生じる静的な力(ロープ固定端のロープ張力 T

2

2.5

倍の力(必要締結力 T

B

)に耐えなければならない。

一般に,ドラムに巻き付けたロープに,

図 B.1 に示すロープ張力 T

1

及び T

2

が生じるとき,ロープ巻数と

ロープ固定端のロープ張力との関係は,次の式

(B.1)

で求める。

)

2

(

2

1

n

e

e

T

T

π

μ

μα

=

=

  (B.1)

必要締結力

T

B

は,次の式

(B.2)

及び

(B.3)

を満足しなければならない。

T

B

2.5T

2

  (B.2)

T

T

B

  (B.3)

ここに,

e

µα

張力減衰比

T

B

ロープ固定端(ドラムへのロープ端末止め)での必要締結力

N

T

1

定格荷重及びつり具の荷重によって生じるロープ張力(

N

T

2

T

1

のロープ張力が作用しているロープをドラムに

n

回巻き付

けた後のロープ固定端に生じるロープ張力(

N

T

ロープ固定端での締結力(

N

µ

ロープと接触面(鋼材)との間の摩擦係数

α

ドラムへのロープ巻付け角度(

rad

e

自然対数の底

巻数

2

6

回,

µ

0.1

の場合の巻付け角度及び張力減衰比を,

表 B.1 に規定する。

表 B.1−巻付け角度及び張力減衰比

巻数  n 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6

巻付け角度

α  rad

a)

12.566

(720)

15.707

(900)

18.849

(1 080)

21.991

(1 260)

25.132

(1 440)

28.274

(1 620)

31.415

(1 800)

34.557

(1 980)

37.699

(2 160)

張力減衰比

e

µα

3.51  4.81  6.58  9.01  12.34 16.90 23.14 31.68 43.37

a)

  括弧内は,単位を  °(度)で表した場合の α の値である。

B.2 

ロープ固定端での必要締結力の計算例 

定格荷重

2 t

,つり上げ荷重

2.1 t

のウインチで,そのドラムに

2

巻きを余巻きしたときのロープ固定端で

の必要締結力(最小限度値)を求める。

重力加速度

g

9.807

m/s

2

ロープ張力

T

1

2.1

×

1 000

×g

20 595

N

摩擦係数

µ

0.1

(鋼材と鋼製ロープとの間の場合)

巻付け角度

α

12.566

rad

表 B.1 参照)


26

C 9620

:2012

張力減衰比

e

µα

3.51

表 B.1 参照)

ロープ固定端でのロープ張力

T

2

T

1

 / e

µα

20 595 / 3.51

5 868

N

ロープ固定端での必要締結力

T

B

T

2

2.5

倍であることから,

必要締結力

T

B

2.5 T

2

2.5

×

5 868

14 670

N

よって,ロープ固定端での実際の締結力

T

は,

14 670 N

以上でなければならない。

図 B.1−ドラムにかかるロープ張力


27

C 9620

:2012

附属書 C 
(規定)

フックの強度計算

フックの強さ計算法を,危険断面の形状の異なる二つの例について,

図 C.1 及び図 C.2 に示す。

なお,フックの強さは,単純はり計算とする。

危険断面の寸法(mm)

a 
h

1

h

2

b

1

b

2

使用荷重に相当する力:W(kN)

図 C.1−計算法(その 1

図 C.1 によるフックの引張応力の計算方法は,次による。

2

2

1

1

h

b

h

b

A

+

=

A

h

b

h

h

h

b

h

C

2

2

2

1

1

1

1

2

2

+

+

=

c

a

R

+

=

1

h

c

g

=

3

)

(

3

2

2

1

g

h

b

I

=

3

3

2

2

g

b

I

=

3

)

(

3

3

1

3

g

C

b

I

=

3

2

1

I

I

I

I

+

+

=

C

I

Z

=

A

W

Z

WR

t

+

=

σ

ここに,

σ

t

フックの引張応力(MPa)


28

C 9620

:2012

危険断面の寸法(mm)

a 
h 
b

1

b

2

使用荷重に相当する力:W(kN)

図 C.2−計算法(その 2

図 C.2 によるフックの引張応力の計算方法は,次による。

(

)

2

2

1

b

b

h

A

+

=

(

)

(

)

2

1

2

1

3

2

b

b

b

b

h

C

+

+

=

c

a

R

+

=

(

)

(

)

3

2

1

2

1

2

2

1

36

2

h

b

b

b

b

b

b

I

+

+

+

=

C

I

Z

=

(

)

(

)

2

1

2

2

2

1

2

1

2

2

12

4

b

b

b

b

b

b

h

Z

+

+

+

=

A

W

Z

WR

t

+

=

σ


29

C 9620

:2012

附属書 D 
(参考)

電気ホイストで使用する横行レール

電気ホイストで使用する横行レールは,次の項目によることが望ましい。

a)

普通形及びローヘッド形電気ホイスト用レールは,

表 D.1 に示す○印の I 形鋼を使用する。

表 D.1−普通形及びローヘッド形ホイスト用レール適用 形鋼(高さ×幅)

定格荷重

t

I 形鋼

mm×mm

150×75 200×100 250×125

300×150

350×150

400×150 450×175 600×190

 0.5  ∼ 1

 1.25 ∼ 2

 2.5  ∼ 3.2

 4  ∼ 5

 6.3  ∼ 10

 12.5  ∼

 25

b)

ダブルレール形電気ホイスト用レールは,

表 D.2 に示すものを使用する。

表 D.2−ダブルレール形ホイスト用レール

定格荷重

t

適用レールの種類

角鋼

mm×mm

軽レール

普通レール

kg/m

 1.6  ∼ 5

38×38,40×40 12

 6.3  ∼ 10

44×44 15

 12.5  ∼ 20

50×50 22

 25

∼ 32

50×50,60×60,65×65

30,37


30

C 9620

:2012

附属書 E

(参考)

電気ホイストの使用に関する注意事項

E.1 

一般 

この附属書は,電気ホイストを安全に使用するために,製造業者が使用者へ取扱説明書,カタログなど

で提供する電気ホイストの使用に関する注意事項について記述するものであり,規定の一部ではない。

この附属書では,使用に関する安全注意事項のランクを,次の(危険)

(警告)及び(注意)として区

分する。

−  (危険)は,回避しないと,死亡又は重傷を招く差し迫った危険な状況を示す。

−  (警告)は,回避しないと,死亡又は重傷を招くおそれがある危険な状況を示す。

−  (注意)は,回避しないと,軽傷又は中程度の傷害を招くおそれがある危険な状況,又は物的損害だ

けの発生するおそれがある場合を示す。

E.2 

取扱い全般 

取扱い全般に関する注意事項は,次による。

a)

(危険) 製品寿命時間を管理し,寿命時間に達する前に特別オーバホール,又は機器の更新を実施す

る。

b)

(警告) 取扱説明書及び注意銘板の内容を熟知していない人は,運転しない。

c)

(警告) 法定資格のない人は,絶対にクレーン操作及び玉掛け業務を行わない。また,行わせてはな

らない。

d)

(警告) 作業開始前の点検及び定期自主検査を必ず実施する。

e)

(注意) 取扱説明書は製品廃棄まで保存し,常時閲覧できる場所に保管する。

E.3 

据付け及び取付け 

据付け及び取付けに関する注意事項は,次による。

a)

(危険) 横行及び走行のレール端には必ずストッパを取り付ける。

b)

(危険) ホイストを設置する場所に十分な強度があることを確認する。

c)

(警告) 据付けは,専門業者でない又は専門知識がない人は,絶対行わない。

d)

(警告) 必ず接地工事を行わなければならない。また,接地のほかに漏電遮断器を電路に取り付ける。

e)

(警告) ホイストに雨又は水がかかるなど,規定以外の環境には据付けしない。

E.4 

運転及び操作 

運転及び操作に関する注意事項は,次による。

a)

(危険) 使用前にブレーキの作動を確認し,ブレーキが正常に作動しないときは運転しない。

b)

(危険) 損傷を受けたり,異音又は異常振動がする場合には運転しない。

c)

(危険) ワイヤロープに次の異常があるときは絶対に運転しない。

−  キンク,形くずれ又は腐食があるもの

−  規定するより素線の断線又は摩耗が大きいもの


31

C 9620

:2012

d)

(警告) 定格荷重を超える荷は,絶対につらない。

注記  定格荷重はフックブロックの銘板に表示している。

e)

(警告) つった荷に人は乗らない。また,人の乗る用途には絶対使用しない。

f)

(警告) つり荷の下に入らない。

g)

(警告) 人の頭上を越えて荷を運搬しない。

h)

(警告) 荷又はフックブロックを揺らせるような運転はしない。

i)

(警告) 過巻リミットスイッチを,常時使って止める使い方はしない。

j)

(警告) 地球づり(建屋構造物に引っ掛ける操作など)をしない。

k)

(警告) 巻下げ時,下限を超えて運転しない。

注記  巻上げ用ワイヤロープがドラムに 2 巻以下になる状態,及び逆巻きしたものは使用しない。

l)

(警告) 押込みに通常よりも大きな力が必要な場合は,押しボタンスイッチが損傷していることが想

定されるので操作をやめて,直ちに分解点検する。

m)

(警告) フックの外れ止め金具が破損したままでは絶対に使用しない。

n)

(警告) 巻上げ用ロープが,ドラムに正常に巻き取られていない状態では使用しない。

o)

(警告) 運転中に地震を感じたときは,つり荷を速やかに地上に降ろし電源を切る。

p)

(警告) つり荷の動く範囲に人がいるときは,運転しない。

q)

(警告) 荷をつったまま運転位置を離れない。

r)

(警告) 常時荷をつった状態では使用しない。

s)

(警告) 運転中は荷から気をそらさない。

t)

(警告) 斜め引きをしない。

注記  荷の真上にホイストを移動させてから,つり上げる。

u)

(警告) 安全を考慮しない状態での,つり荷の反転作業は行わない。

注記  反転作業は,反転専用の機器を用いて行う。

v)

(警告) 使用前に押しボタンの作動を確認し,押しボタンが円滑に作動しないときは運転しない。

w)

(警告) 押しボタンスイッチの指示と違う方向に動くときは直ちに運転をやめる。

注記  誤作動又は異常作動によってけがをするおそれがある。

x)

(警告) 宙づりした荷を電気溶接しない。

y)

(警告) ワイヤロープに溶接機のアースを接続しない。

z)

(警告) ワイヤロープに溶接用電極を絶対に接触させない。

aa)

(警告) 本体又は横行装置をストッパ又は構造物に衝突させない。

ab)

(注意) プラッギング(急逆転)又は過度のインチング(寸動運転)をしない。

ac)

(注意) 定格電圧以外では使用しない。

ad)

(注意) つり荷をほかの構造物,配線などに引っ掛けない。

ae)

(注意) 押しボタンケーブルをその他のものに引っ掛けたり,強く引っ張らない。

af)

(注意) 負荷時間率又は始動頻度を超える使用は絶対にしない。

ag)

(注意) 本体に取り付けられた,警告及び注意表示の銘板又はラベルを外したり,不鮮明なまま使用

しない。

ah)

(注意) 使用前に下フックが円滑に回転することを確認する。

ai)

(注意) 玉掛け用具はフックに正しく掛ける。

aj)

(注意) 巻上げは,ワイヤロープが張ったところで一旦停止する。


32

C 9620

:2012

ak)

(注意) 押しボタンの回りにじんあい,砂などが堆積しないよう常に清掃する。

al)

(注意) 操作後,押しボタンスイッチを離すときは,自然につり下がった位置まで戻し,人又は物に

ぶつけない。

am)

(注意) 作業に対し揚程が十分であることを確認する。

an)

(注意) 運転位置から離れる場合は必ず電源を切る。

E.5 

保守・点検 

保守・点検に関する注意事項は,次による。

a)

(危険) 各部部品は使用限界を超えて使用しない。

b)

(警告) 純正部品以外は絶対使用しない。

c)

(警告) 保守・点検又は修理を実施する前に必ず電源を遮断する。

d)

(警告) 保守・点検又は修理は,事業者が定めた専門知識のある人が行う。

e)

(警告) 保守・点検又は修理をするときは,必ず空荷(つり荷がない)状態で行う。

f)

(警告) 保守・点検で異常箇所があったときは,そのまま使用せず直ちに補修する。

g)

(警告) ブレーキライニングは摩耗限界を超えて使用しない。

h)

(注意) 保守・点検又は修理を実施するときは,作業中の表示(

“点検中”

“通電禁止”など)を必

ず行う。

i)

(注意) モータ・ブレーキ部及び制御部分は高温となっている場合があるので,保守・点検又は修理

を実施するときは,十分に冷却されていることを確認して実施する。

j)

(注意) ブレーキギャップ量は適正な調整値にする。


33

C 9620

:2012

附属書 F

(参考)

電気ホイストの点検項目

電気ホイストは,日常点検及び定期点検

1)

を行ってから使用する。日常点検及び定期点検における点検

項目,点検方法及び判定基準を

表 F.1 に示す

2)

。ただし,使用頻度が高い場合又は特殊な場合には,この点

検項目以外についても点検する。

1)

  使用頻度によって異なるが,1 か月,3 か月,6 か月又は 1 年以内ごとに行う。

2)

  表 F.1 の点検種類欄に○印がついている点検項目について,日常点検又は定期点検を行う。

表 F.1−点検項目

点検種類

点検項目

点検方法

判定基準

日常点検

定期点検

ワイヤロープ 

素線の断線

日常点検では

目視,定期点
検では測定

ワイヤロープ一(ひと)よりの中で素線数の 10 %以上

断線しているものは,使用してはならない。

摩耗

日常点検では
目視,定期点
検では測定

直径の減少が公称径の 7 %以上のものは使用してはな
らない。

キンク,形くずれ

目視

キンク,形くずれなどがあるものは使用してはならな
い。

腐食

目視

著しい腐食が発生してはならない。

ロ ー プ エ ン ド の 異

目視

素線切れ,さびなどがあるものは使用してはならな

い。

フック 

フックの口の開き

日常点検では
目視,定期点
検では測定

基準寸法と比較して,変形があってはならない(使用
前に主要寸法表を作成しておく。

フックの変形

目視

曲がり及びねじれがあってはならない。

外れ止め装置

目視

・  著しい摩耗及び変形があってはならない。 
・  正しく動作する。

シャンク部の変形

目視

フック金具とシャンク部との間に著しい隙間があっ
てはならない。

シーブ

目視

著しい摩耗,変形,きず及び破損があってはならない。

スラスト軸受

目視

給油状態が良好である。

摩耗

日常点検では
目視,定期点
検では測定

・  つり具と接触する部分に著しい摩耗があってはな

らない。

・  摩耗量が規定値以内である。

きず,その他有害な
不適合

目視

a)

きず,亀裂及びその他の有害な不適合があってはなら
ない。

腐食

目視

著しい腐食が発生してはならない。

a)

  定期点検では,必要に応じて JIS Z 2320-1 に規定する磁粉探傷試験又は JIS Z 2343-1 に規定する浸透探傷試験を

行う。


34

C 9620

:2012

表 F.1−点検項目(続き)

点検種類

点検項目

点検方法

判定基準

日常点検  定期点検

巻上装置 

フレーム

目視

亀裂,有害な変形及び著しい腐食があってはならない。

ギヤケース

目視

・  亀裂,有害な変形及び著しい腐食があってはなら

ない。

・  油漏れがあってはならない。 
・  規定の油量である。

・  油の汚れがあってはならない。

エコライザシーブ

分解して,目
視又は測定

著しい摩耗,変形,きず及び破損があってはならない。
回転が良好でなければならない。

ドラム

目視

著しい摩耗,変形及び破損があってはならない。

リミットレバー

目視

著しい摩耗,変形及び破損がなく,円滑に作動しなけ
ればならない。

歯車

分解して,目
視又は測定

著しい摩耗及び破損があってはならない。

オイルシール

防水シール

目視

著しい変形及び破損があってはならない。

各部のボルト,

ナット,

リベット,割りピン,
スナップリング

目視

脱落及び緩みがあってはならない。

軸受

異音の確認

通常運転と異なる異常音が発生してはならない。

給油,グリースアップ  目視

所定の箇所への補給,塗油及び給油をする。

ブレーキ 

ブレーキライニング,

ブレーキディスク

目視及び測定

・  きず及び破損があってはならない。

・  著しく摩耗したり,局部的に摩耗してはならない

(製造業者の指示による。

電磁ブレーキのボルト
及びナット

目視

脱落及び緩みがあってはならない。

押しボタンスイッチ 

外観

目視

・  著しい摩耗,変形及び破損があってはならない。
・  ねじの緩みがあってはならない。

・  表示が鮮明である。

スイッチ操作

操作

・  スイッチが正しく作動する。

・  インターロックが正しく作動する。

横行装置 

横行装置

目視

・  亀裂,有害な変形及び著しい腐食があってはなら

ない。

・  巻上装置と確実に結合していなければならない。
・  ブレーキ,車輪,軸受,手鎖などに異常があって

はならない。

各部のボルト,

ナット,

リベット,割りピン,
スナップリング

目視

脱落及び緩みがあってはならない。

給油,グリースアップ  目視

・  所定の箇所への補給,塗油及び給油をする。


35

C 9620

:2012

表 F.1−点検項目(続き)

点検種類

点検項目

点検方法

判定基準

日常点検  定期点検

電動機及び電装品 

電動機

目視及び測定

・  過熱してはならない。 
・  絶縁が良好である。

電装品 
(電磁接触器,電磁開
閉器,変圧器,配線な

ど)

目視又は操作

・  過熱してはならない。 
・  絶縁が良好である。 
・  確実に配線されていなければならない。

・  電装品の接点に異常があってはならない。

電源接続 

接地

目視

完全に接地している。

機能 

巻上げ巻下げ機能

操作

巻上げ及び巻下げでワイヤロープが円滑に巻き取ら
れなければならない。

横行機能

操作

横行が円滑である。

ブレーキ機能

操作

ブレーキが確実に作動する。

過巻防止機能

操作

過巻防止装置が確実に作動する。

表示 

銘板,警告ラベル

目視

・  正しく表示してある。 
・  表示が鮮明である。

作動時に異常音,振動,発熱,ブレーキ制動力不足などの異常が確認された場合,本体を分解して点検

することが望ましい。点検項目,点検方法及び判定基準は,

表 F.2 による。

表 F.2−異常が確認された場合の点検項目

点検項目

点検方法

判定基準

巻上装置の歯車

分解して目視又は測定

・  破損があってはならない。 
・  著しい摩耗があってはならない。

・  歯当たり及びかみ合い状態が良好である。

巻上装置の軸受

分解して目視又は測定

・  摩耗,きず,破損など有害な不適合があってはならない。

・  給油状態が良好である。

ブレーキばね

分解して目視又は測定

著しい摩耗,変形,きず及び破損があってはならない。

オイルシール,防水シール

目視

・  摩耗,きず,破損など有害な不適合があってはならない。
・  オイル漏れ及び水の浸入形跡があってはならない。

横行装置の歯車

分解して目視又は測定

・  破損があってはならない。 
・  著しい摩耗があってはならない。 
・  歯当たり及びかみ合い状態が良好である。

横行装置の軸受

分解して目視又は測定

・  摩耗,きず,破損など有害な不適合があってはならない。
・  給油状態が良好である。


36

C 9620

:2012

附属書 G 
(参考)

巻上機の特別アセスメント指針

G.1 

一般 

電気ホイスト,電気チェーンブロック,電動ウインチ(以下,巻上機という。

)及びクレーンサドルは,

分解して検査しても疲労蓄積の程度を推定することは困難であり,使用者が疲労寿命に関するリスク低減

を図るためには,負荷の状態及び運転時間の履歴管理が大切である。この指針は,標準形巻上機を長期間

安全に使用するため,リスクアセスメントの一環として行う巻上機の特別アセスメントについて記載する。

この指針は,次の規格に準拠して量産する巻上機の特別アセスメントを実施する場合に適用する。

a)

JIS C 9620

  電気ホイスト

b)  JIS B 8815

  電気チェーンブロック

c)

JIS B 8813

  電動ウインチ

なお,a)及び b)の巻上機に付随するクレーンサドルは,その運転時間を巻上機の運転時間と同等とみな

して特別アセスメントを実施する。

G.2 

用語及び定義 

この附属書で用いる主な用語及び定義は,箇条 によるほか,次による。

G.2.1

特別アセスメント

巻上機の残存耐用時間がなくなる前に行う,巻上機の専門家による調査及び評価。

G.2.2

オーバホール

巻上機を分解し,部品の損耗などの異常の有無を確認し,修理して再組立及び調整を行う再生。

G.2.3

特別オーバホール

残存耐用時間が残り少なくなった巻上機を分解し,異常の有無にかかわらず,製造業者が指定する部品

(例えば,軸受,歯車,駆動軸など)を交換して再組立及び調整を行う,巻上機の再生。

G.2.4

専門家

使用した巻上機の調査及び評価を実施し,使用者へ報告書を提出して適切な助言ができる知見及び能力

をもつ技術者で,事業者(製造業者及び使用者)が認定した人。

G.3 

巻上機の管理フロー及び特別アセスメント 

巻上機の選定から廃棄までの管理フロー,及び専門家による特別アセスメントの関連フローチャートを,

図 G.1 に示す。また,図中の“ステージ”を,次に示す。


37

C 9620

:2012

図 G.1−管理フロー及び特別アセスメントの関連フローチャート

使用条件の設定 
・つり上げ荷重の種類 
・巻上/走行速度及び頻度 
・巻上機等級の決定

・定格荷重,使用頻度

・総運転時間の資料 
・巻上機の選定資料 
(カタログなどに記載)

残存耐用時間

1 年未満か?

特別アセスメント 
結果報告書

使用(又は特別

オーバホール)後

10 年目

製造業者による情報提供

使用者の役割

専門家の役割

ステージ  3 

特別アセスメント

機種選定

巻上機設置及び稼動

運転状態の記録

残存耐用時間の記録

ステージ  2 

設備管理

専門家による

調査及び評価

残存耐用時間

1 年未満か?

継続使用するか

廃棄

安全対策の実施

ステージ  4 

使用者の経営判断

ステージ  1 

設備計画

いいえ

はい

いいえ

いいえ

いいえ

はい

はい

はい


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a)

ステージ 1  設備計画(特別アセスメントの前段階準備)  使用者は,巻上機を購入する場合,用途,

荷重,速度,総運転時間,使用頻度,使用環境,等級などについてよく確認し,自らの責任で選定す

る。

b)

ステージ 2  設備管理(残存耐用時間の確認)  使用者は,個々の巻上機に対して,規定している等級

別の総運転時間を活用し,運転状態の記録を基に残存耐用時間を求め,その残存耐用時間が 1 年未満

になったか,又は使用開始後 10 年を経過しているかを確認する。確認の結果,残存耐用時間が 1 年未

満,又は使用開始後 10 年を経過する前に,使用者は,専門家に特別アセスメントを依頼する。

c)

ステージ 3  特別アセスメント(専門家による調査及び評価)  専門家は,依頼された巻上機の特別ア

セスメント(調査及び評価)を実施し,その調査した内容,評価の内容,及び必要な安全対策(特別

オーバホールなど)を“特別アセスメント結果報告書”にまとめ,使用者に報告する。

d)

ステージ 4  使用者の経営判断  使用者は,

“特別アセスメント結果報告書”に基づいて,必要な処置

を行う。特別アセスメントの結果,残存耐用時間が 1 年以上であることが確認できた場合は,次回の

特別アセスメントに向けてステージ 2 に戻る。

G.4 

特別アセスメント結果に基づく適切な処置 

特別アセスメントの結果,残存耐用時間が 1 年未満と判定された場合,使用者は,巻上機を継続して使

用するか否かによって次の対応を決定する。

a)

継続使用する場合は,オーバホールではなく,特別オーバホールを実施しなければならない。特別オ

ーバホールの実施後は,使用条件を確認し,その結果を基に新たな総運転時間を決定する。

b)

継続使用しない場合は,当該巻上機に識別をして使用を中止し,廃棄する。

G.5 

専門家の要件 

特別アセスメントを行う事業者(製造業者及び使用者)は,次の条件のうちいずれかを満たした人を専

門家として認め,その育成及び管理を行う。

a)

巻上機の製造業者で,巻上機の法規,機能及び疲労に関する知見をもち,機械の稼働状態の良否に対

して公正・中立な判断ができ,使用者に適切な助言ができる能力がある人。

b)

巻上機製造業者の指定サービス会社で巻上機の法規,機能及び疲労に関する知見をもち,機械の稼働

状態の良否に対して公正・中立な判断ができ,使用者に適切な助言ができる能力がある人で,製造業

者が専門家と認定した人。

c)

使用者の設備整備担当者などで,a)と同等の知見及び能力をもつ人。

なお,個人では a)c)の全ての条件を満たさないが,チームとして複数名で条件を満たす場合も専門家

(専門チーム)と認められる。ただし,この場合はチームの責任者を明確にしなければならない。

G.6 

特別アセスメントにおける専門家の実施事項 

専門家は次の項目を実施する。

a)

巻上機の使用履歴に関する調査

1)

年次点検及び交換部品の確認

2)

使用状況記録表の確認

3)

故障記録及び修理履歴の確認


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b)

巻上機の使用環境の変化及び影響に関する調査

1)

特殊な使用環境の有無の確認

例  めっき浴槽周辺,高温,低温,高湿度など

2)

稼働操業状況の確認

例  1 交代から,2 交代,3 交代又は逆に変化しているかなど

3)

積荷及び作業内容の変化の有無の確認

例  組立工場が倉庫になったなど

c)

巻上機の外観・異音調査

1)

外観調査による異常の確認

例  部品の摩耗,へたり,変形状態,がた,腐食など

2)

異音調査による異常の確認

d)

残存耐用時間の確認

1)

残存耐用時間の査定

巻上機の使用状況調査に基づき,使用者が行った残存耐用時間計算の査定をする。

2)

巻上機使用状況のモニタリング(必要がある場合)

カウンター,アワーメータ,電流計測などによって一定期間モニタリングする。

e)

特別アセスメント結果の報告

1)

結果の報告

巻上機の調査結果,及び残存耐用時間計算の査定結果を,使用者(設置責任者)に報告する。残存

耐用時間が 1 年未満になっている場合は,特別オーバホール又は廃棄の時期に来ていることを報告

する。

2)

使用者への提言(必要がある場合)

腐食の進行が著しく,強度的に無視できない異常が確認された場合などについて,別途修理の必要

性を提言する。

G.7 

使用状況の記録 

巻上機を設備したときからの使用状況の記録は,後日,特別アセスメントの時点で大切な資料となるの

で,使用者は記録をとり保管する。また,特別アセスメント結果報告書及び調査記録は巻上機を廃棄する

まで保管しておく。

参考文献  クレーン構造規格(厚生労働省告示第三九九号)

JIS B 2803

  フック

JIS B 8813

  電動ウインチ

JIS B 8815

  電気チェーンブロック

JIS E 1101

  普通レール及び分岐器類用特殊レール

JIS E 1103

  軽レール

JIS G 3192

  熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差

JIS Z 2320-1

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 1 部:一般通則

JIS Z 2343-1

  非破壊試験−浸透探傷試験−第 1 部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示

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