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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 9317-1995 

ポータブル・スポット 

溶接機用溶接変圧器 

Welding transformers for portable spot welding machines 

1. 適用範囲 この規格は,周波数50Hz又は60Hzの単相交流電源に使用するポータブル・スポット溶接

機用溶接変圧器(以下,変圧器という。)及びその附属品について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 1168 アイボルト 

JIS C 4003 電気機器絶縁の種類 

JIS C 9305 抵抗溶接機通則 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参

考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 定格容量 定格周波数の定格入力電圧で,変圧器の負荷を調整して50%の使用率で通電した場合に,

温度上昇の規定に適合するような負荷時入力。kVAで表す。 

(2) 最大二次無負荷電圧 変圧器の最大二次電圧を得る一次側タップに定格入力電圧を加えた場合の二次

開路電圧。 

(3) 無負荷時最大入力電圧 変圧器の入力端子に加えることができる最大電圧。 

3. 種類 変圧器の種類は,形式,定格容量,定格周波数及び最大二次無負荷電圧によって表1のとおり

とする 

表1 形式,定格容量,定格周波数及び最大二次無負荷電圧 

形式 

定格容量 

kVA 

最大二次無負荷電圧 V 

50Hz 

60Hz 

1形 

 75 

16.7 

18.2 

2形 

100 

19.0 

21.0 

3形 

125 

20.0 

22.2 

4形 

150 

21.0 

23.5 

5形 

180 

25.0 

28.5 

4. 標準使用状態 変圧器の使用状態は,JIS C 9305の3.(標準使用状態)による。 

5. 冷却水 

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C 9317-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1 

水温 変圧器に使用する冷却水の水温は,給水口において30℃以下とする。 

5.2 

水質 変圧器に使用する冷却水の水質は,工業用水又はこれに準じたものとする。 

5.3 

水量及び水圧 変圧器に使用する冷却水の所要冷却水量は,1〜3形のものでは4l/min,4形及び5

形のものでは6l/minを超えてはならない。 

また,銘板記載の水量を流したとき,給水口と排水口とにおける圧力差は,69kPa {0.7kgf/cm2} 以下で

なければならない。 

6. 定格 

6.1 

定格周波数 定格周波数は,50Hz又は60Hzとする。 

6.2 

定格入力電圧 定格入力電圧(無負荷時)は,200V又は400Vとする。 

6.3 

定格容量 定格容量は,表1のとおりとする。 

6.4 

無負荷時最大入力電圧 無負荷時最大入力電圧は,定格入力電圧が200Vのものは230V,400Vのも

のは460Vとする 

6.5 

最大負荷時入力電圧 最大負荷時入力電圧は,定格入力電圧が200Vのものは180V,400Vのものは

360Vとする 

6.6 

最大二次無負荷電圧 最大二次無負荷電圧は,表1のとおりとする。 

7. 電気的特性 

7.1 

最大二次無負荷電圧 最大二次無負荷電圧は,10.2の試験を行ったとき,表1に示す値の±3.0%以

内でなければならない。 

7.2 

励磁電流 励磁電流は,10.3の試験を行ったとき,定格容量に対する一次電流の15%以下でなけれ

ばならない。 

7.3 

温度上昇 変圧器の巻線の温度上昇は,10.4の試験を行ったとき,表2の値以下でなければならな

い。 

また,巻線と接触している変圧器の鉄心その他の部分の温度上昇も,その巻線に対して規定する表2の

値以下でなければならない。 

表2 温度上昇限度 

単位 K 

絶縁の種類 

温度上昇限度 

水冷式 

抵抗法 

熱電対法 

棒状温度計法 

A種 

70 

70 

65 

E種 

85 

85 

80 

B種 

95 

95 

90 

F種 

115 

120 

110 

H種 

140 

145 

130 

備考1. 絶縁の種類の定義は,JIS C 4003による。 

2. 基準周囲温度は,給水口における水温とし,その限度は

30℃とする。 

7.4 

内部インピーダンス 内部インピーダンスは,10.5の試験を行ったとき,銘板記載値の±10%の範

囲内になければならない。 

7.5 

耐電圧 変圧器は,10.6の試験を行ったとき,異常なくこれに耐えなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 構造 

8.1 

電気的構造 

8.1.1 

二次巻線の巻回数 変圧器二次巻線の巻回数は,2とする。 

また,変圧器二次導体と変圧器ケースとは電流容量0.5A,抵抗値約100Ωの巻線形抵抗器で接続するも

のとする。 

8.1.2 

変圧器の二次無負荷電圧調整 変圧器の二次無負荷電圧調整は,最大値から少なくとも60%までを

4段以上で行えなければならない。ただし,他の制御装置によって,これと同等以上の調整を行うことが

できるものは,この限りではない。 

8.1.3 

各タップの容量 タップ調整式の場合の変圧器の各タップの50%使用率における容量は,次の式に

よって求める。 

50

5.1

50

P

P

T

T

×

=αα

ここに, P50T: 各タップの容量(50%使用率における) (kVA)  
 

α: 最大二次無負荷電圧を得るタップにおける巻数比 

αT: 各タップの巻数比 

P50: 定格容量 (kVA)  

8.2 

機械的構造 

8.2.1 

変圧器の端子 変圧器の出力端子は,二組の二次ケーブルが取り付けられる構造とし,その寸法及

び形状は,原則として図1(タイプA)による。ローリアクタンス・ケーブルを使用するときは,図1に

接続金具を取り付けるか,又は図2(タイプB)による。 

図1 変圧器の出力端子(タイプA) 

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図2 変圧器の出力端子(タイプB) 

8.2.2 

冷却水用配管系統 冷却水用配管系の太さは,銘板記載の水量を流したとき,給水口と排水口とに

おける圧力差が69kPa {0.7kgf/cm2} 以下となる太さのものとし,この冷却水系統部分は290kPa {3kgf/cm2} 

の水圧に耐えるものとする。 

8.2.3 附属品 変圧器は,つり金具を備え,少なくとも次の部品を装備することができるような構造でな

ければならない。 
(1) 圧縮空気用部品及び配管 圧縮空気用配管の給気口には,1形の変圧器に対して83B相当の配管を,2

形〜5形の変圧器に対しては21B相当の配管を使用する。ただし,圧縮空気系統部品は690kPa 

{7kgf/cm2} の空気圧に耐えるものとする。 

(2) 冷却水用部品及び配管 冷却水用配管の給水口には原則として83Bの継手を,排水口には21Bの継手を

使用する。 

(3) 操作用電気部品及び配線 

9. 安全 

9.1 

変圧器の端子 変圧器の入力端子その他入力側の充電部は,露出していない構造とする。 

9.2 

接地端子 変圧器には断面積14mm2の接地用導線を接続できるような接地端子を設け,接地のため

の表示を見やすい場所に付けるものとする。 

9.3 

変圧器用つり金具 変圧器用つり金具は,変圧器(装備品を含む。)の質量の15倍の荷重に耐える

JIS B 1168に準拠したアイボルトを使用するものとする。さらに,このつり金具のほかに,万一つり金具

が破損した場合,変圧器(装備品を含む。)の落下を防ぐことができる強さをもつ命綱用つり金具(予備つ

り金具)を設けなければならない。 

また,2か所以上でつる場合,相対するつり金具のつりワイヤのなす角度は,60°を最大とする。 

9.4 

制御用電源電圧及び操作回路電圧 制御用電源電圧は,交流100±10V,200±20V又は400±40Vと

する。足踏みスイッチその他作業者が直接操作する始動回路の電圧は,25V以下にすることを原則とし,

これを上回る場合は,100V以下で,感電防止策を施さなければならない。 

10. 試験 

10.1 構造試験 変圧器が8.に適合しているかどうかを調べる。 

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10.2 最大二次無負荷電圧試験 最大二次無負荷電圧試験は,変圧器の最大二次電圧を得る一次側タップ

に定格周波数における定格入力電圧を加えたときの二次無負荷電圧を測定する。 

10.3 励磁電流試験 励磁電流試験は,変圧器の最大二次電圧を得る一次側タップに定格周波数における

定格入力電圧を加えたときの励磁電流を測定する。ただし,計算に利用する定格容量に対応する一次電流

値は,次の式によって求める。 

1000

10

50

50

×

EP

I=

ここに, 

I50: 定格容量に対応する一次電流 (A)  

P50: 定格容量 (kVA)  

E10: 定格入力電圧 (V)  

10.4 温度試験 温度試験は,JIS C 9305の8.6(温度試験)による。 

10.5 内部インピーダンス試験 内部インピーダンス試験は,温度試験のすぐ後で変圧器の出力端子を短
絡し,変圧器の最大二次電圧を得る一次側タップに定格周波数における定格入力電圧の31程度の電圧を加

え,入力電圧及び一次電流を測定し,内部インピーダンス(二次換算値)を算出する。 

10.6 耐電圧試験 耐電圧試験は,温度試験終了後直ちに,二次巻線と鉄心とを接地し,これと一次巻線

との間に周波数50Hz又は60Hzの正弦波に近い次の電圧を1分間加える。 

2E+1 000 (V) (ただし,最低1 500とする。) 

ここに, 

E: 最大二次電圧が得られる一次側タップに定格入力電圧を加えた

場合に一次巻線に誘導される最大の電圧 (V)  

10.7 安全試験 安全試験は,9.に規定する事項について調べる。 

11. 検査 

11.1 形式検査(1) 形式検査は,同一試験品について次の順序で行い,7.〜9.の規定に適合しなければなら

ない。 

(1) 構造 

(2) 最大二次無負荷電圧 

(3) 励磁電流 

(4) 温度上昇 

(5) 内部インピーダンス 

(6) 耐電圧 

(7) 安全 

注(1) 形式検査とは,製品の品質が設計で示されたすべての特性を満足するかどうかを判定するため

の検査をいう。 

11.2 受渡検査(2) 受渡検査は,同一試験品について次の順序で行い,7.〜9.の規定に適合しなければなら

ない。ただし,受渡当事者間の協定によって,一部又は全部を省略することができる。 

(1) 構造 

(2) 耐電圧 

(3) 安全 

注(2) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計及び製造による製品の受渡しに際して,

必要と認められる特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査をいう。 

C 9317-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

12. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称,形式,定格入力電圧及び定格周波数による。 

例 ポータブル・スポット溶接機用溶接変圧器 1形 200V 50Hz 

13. 表示 変圧器には,見やすいところに,次の事項を記載した銘板を付けなければならない。 

(1) 名称 

(2) 形式 

(3) 定格容量 (kVA) (50%使用率) 

(4) 定格入力電圧 (V)  

(5) 定格周波数 (Hz)  

(6) 最大二次無負荷電圧 (V)  

(7) 内部インピーダンス(μΩ)(二次換算値) 

(8) 絶縁の種類 

(9) 所要冷却水量 (l/min)  

(10) 質量 (kg)  

(11) 製造業者名又はその略号 

(12) 製造年 

(13) 製造番号 

C 9317-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

改正原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

佐 藤 次 彦 

大阪工業大学 

西 口 公 之 

大阪大学工学部 

天 沼 克 之 

千葉大学工学部 

牧 野 征 男 

通商産業省機械情報産業局 

鈴 木 紀 男 

工業技術院標準部 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

小 林 卓 也 

船舶技術研究所 

山 本 利 雄 

菱電工機エンジニアリング株式会社 

下 岡 健 蔵 

大阪電気株式会社 

青 木 欣 一 

株式会社木村電熔機製作所 

平 野 謙 二 

株式会社中央製作所 

長谷川 和 芳 

株式会社電元社製作所 

野 田 卓 継 

ナストーア株式会社 

西 田 順 紀 

松下産業機器株式会社 

石 塚 寿 彦 

川崎重工業株式会社 

北 野 嘉 男 

東急車輌製造株式会社 

柴 田 洋 一 

トヨタ自動車株式会社 

吉 田 英 一 

日産自動車株式会社 

生 島 勝 之 

日本車輌製造株式会社 

山 路 義 明 

マツダ株式会社 

(事務局) 

嵯 峨   敬 

社団法人日本溶接協会