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C 8993:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 火災安全等級 ··················································································································· 1 

4 試験手順························································································································· 1 

4.1 装置 ···························································································································· 1 

4.2 準備 ···························································································································· 3 

4.3 手順及び判定基準 ·········································································································· 3 

5 表示事項························································································································· 6 

6 報告書···························································································································· 7 

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(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法に基づき,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

産業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

C 8993:2020 

太陽電池(PV)モジュール用火災試験方法 

Fire test for Photovoltaic(PV) modules 

適用範囲 

この規格は,移動体及び集光形システムに用いるものを除く,最大直流システム電圧1 500 V以下の全

ての平板形太陽電池モジュール(以下,PVモジュールという。)を対象に,JIS C 61730-1及びJIS C 61730-2

が要求する基本的な火に対する性能を規定する。 

PVモジュールは,飛来物によるもらい火,外部からの火炎の伝ぱなどによって火炎にさらされる可能

性があるため,火災安全等級を表示することが必要である。 

この規格では,供試体として用いるPVモジュール(以下,供試体という。)を準備して,火炎伝ぱ試験

及び飛び火試験のための試験構造体を組み立てる必要がある。 

注記1 PVモジュールは,試験後機能しない場合がある。 

注記2 これらの試験は,基本的な要求事項を明記するもので,法規の要求事項に合致し,建物の用

途を意識したモジュールに関する要求事項を十分に満足しない場合もある。また,ここで規

定する試験を超える試験条件,又はこれとは別の追加試験を要求する場合もある。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 61730-1 太陽電池(PV)モジュールの安全適格性確認−第1部:構造に関する要求事項 

JIS C 61730-2 太陽電池(PV)モジュールの安全適格性確認−第2部:試験に関する要求事項 

JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 

火災安全等級 

火災安全等級は,火災安全等級A(最高の防火性),火災安全等級B及び火災安全等級C(基本的な耐

火性)に分類している。 

注記 特定用途の要求事項を満たすために,より高い水準の試験方法を検討してもよい。 

試験手順 

4.1 

装置 

試験に用いる装置の構成は,次による(図1参照)。 

a) 供試体を取り付ける支持台は,勾配の調整が可能である。 

b) ひさし及び軒蛇腹を模擬するために,支持台の前面に不燃性の板を取り付ける。 

c) 火炎伝ぱ試験に用いるガスバーナ 

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1) 火炎伝ぱ試験に用いるガスバーナは,内径寸法50 mm(外径寸法60.3 mm),長さ1.12 mのパイプ

からなり,供試体側のパイプに,幅12.7 mm,長さ910 mmの溝を設ける。 

2) ガスバーナに一様なガス圧力を供給するために,内径寸法25 mm(外径寸法33.4 mm)のパイプを

使用して,ガスをガスバーナの両端から供給する。 

d) 試験条件で定められた風速を作るため,ブロワ又は通風ダクトを用いる。 

なお,ブロワによる空気供給は,試験室の屋外から供給する。 

e) ブロワ又は通風ダクトによる風で,空気流を整流し渦流を減らすために,ブロワ又は通風ダクトの内

部に調節可能なフィンを設ける。 

f) 

供試体の下面への炎の回り込みを防ぐために,防炎板を供試体の背面側縁端に取り付ける。 

g) 不燃性の板を,ブロワ又はダクトの側面及び底から,b)に規定するひさし及び軒蛇腹を模擬した不燃

性の板まで伸ばして取り付ける(飛び火試験では使用しない。)。 

注記 この図の中の丸付きのアルファベット記号は,4.1のa)〜g)と合致している。 

図1−火災試験の試験装置 

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4.2 

準備 

試験の準備は,次による。 

a) 設置条件 

1) 通常試験の場合,供試体の勾配を(127 mm/300 mm)とする。ただし,据付説明書で,最大の勾配

が定められているときは,最大の勾配で試験を行うが,この場合の勾配は,(127 mm/300 mm)以下

でなければならない。 

2) 試験中に供試体の下面に空気又は火炎が回らないようにするために,モルタルなどの不燃材を塗り

込むなどして,供試体の先端部分と支持台との骨組みとの間に生じる接続部を埋める。 

b) 風速条件 

1) 供試体の上部に均等に送風するために,事前に1 m×1.3 mの合板を用いてブロワ又は通風ダクトの

送風装置を調整する。合板の勾配を(127 mm/300 mm)の勾配とし,計測点を,合板の両端からの

中間点及び合板の各端から76 mmの各位置で,合板表面に垂直に94 mm上の位置で風速を測定し,

(19±0.8)km/hとなるように調整する。 

2) 試験は,ブロワ又は通風ダクトによる試験室の空気圧の上昇を防ぐために,換気設備を設けた部屋

で行う。試験中は,部屋の全ての扉及び窓を閉じ,屋外の風及び気象条件が試験結果に影響を及ぼ

さないようにする。また,試験室の温度が10 ℃以上32 ℃未満で実施する。 

4.3 

手順及び判定基準 

4.3.1 

火炎伝ぱ試験 

4.3.1.1 

試験条件 

試験は,供試体を要求される勾配で支持台に取り付け,次に規定する近似的に三角形の形をしたガスの

火炎にさらす。ガスの火炎は,支持台の先端側の縁で約0.9 mの幅で次第に狭まり,頂上で約150 mmの

幅になる。 

なお,約0.3 m〜0.6 mの長さで追加的に広がる火炎の乱れは許容される。供試体の燃焼によって温度上

昇がない場合,火炎が火災安全等級A又は火災安全等級Bの試験では(760±28)℃,火災安全等級Cの

試験では(704±28)℃になるようにガスの供給を調整する。 

試験は,火炎が供試体の上部表面だけに影響を及ぼすように,供試体を火炎に向けて実施する。 

4.3.1.2 

試験の対象範囲 

試験の対象範囲は,全ての火災安全等級に対して横幅は1 m以上とし,供試体の先端から測定した最小

長さは,火災安全等級Aでは1.82 m,火災安全等級Bでは2.4 m,火災安全等級Cでは3.9 mとする。 

4.3.1.3 

試験時間 

ガスの火炎を加える時間は,火災安全等級A又は火災安全等級Bは10分間,火災安全等級Cは4分間

とし,観察は火炎の伝ぱ(供試体の燃え上がり)の距離が基準値を超えないことが確実になるまで続ける。 

4.3.1.4 

観察事項 

試験中及び試験終了後に,次の事項を観測する。 

− 供試体の燃焼距離 

− 燃え上がりの状況又は赤熱した燃え残りの発生状況 

− 供試体の位置ずれ 

4.3.1.5 

判定基準 

次に示すa)〜c)の現象があってはならない。 

a) 供試体のいずれかの部分が,燃焼又は赤熱状態の火種の形で,供試体から吹き飛ばされる又は供試体

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から落下する。 

b) 火災安全等級Aでは1.82 m,火災安全等級Bでは2.4 m,又は火災安全等級Cでは3.9 mを超えた火

炎の伝ぱがある。 

なお,火炎伝ぱの距離は,供試体の先端から測定する。 

c) 火炎に直接さらす部分から大きく横側への火炎の伝ぱがある。 

4.3.2 

飛び火試験 

4.3.2.1 

一般 

供試体は,図1のように取り付ける。また,ガス配管及びバーナは,空気流を乱さないように取り除く。 

4.3.2.2 

火種の寸法及び形状 

試験に用いる火種の構造は,図2に示す形状及び寸法とし,a)〜c)に規定する。また,試験前に,火種

は40 ℃〜49 ℃の恒温槽で少なくとも24時間保管する。 

a) 火災安全等級Aの火種 300 mm角で約57 mm厚の格子状とし,密度(560±50)kg/m3で,節がない

ダグラスもみ(米松)で作る。火種は,19.1 mm×19.1 mm角で長さ300 mmの木材角棒36本を用い

て,1層につき12本とする3層構造とし,各角棒間の隙間を6.4 mm取った構造とする。これらの角

棒は,隣接層に直角に配置し,止付けは,長さ38.1 mmで太さNo.16(1.4 mm)のくぎを用いてくぎ

止めとするか,又は山が5.6 mm及び足が31.8 mmで太さNo.16(1.4 mm)の鋼線製の逆U字(ステ

ープラの針状)くぎを用いて止める。一方の面では,各角棒の各端で止め付け,かつ,反対の面では

図2 a)に示すように,対角線上に止める。完成した火種の乾燥質量は,試験時に(2 000±150)gとす

る。 

b) 火災安全等級Bの火種 150 mm角で約57 mm厚の格子状とし,密度(560±50)kg/m3で,節がない

ダグラスもみ(米松)で作る。火種は,19.1 mm×19.1 mm角で長さ150 mmの木材角棒18本を用い

て,1層につき6本とする3層構造とし,各角棒間の隙間を6.4 mm取った構造とする。これらの角棒

は,隣接層に直角に配置し,止付けは,長さ38.1 mmで太さNo.16(1.4 mm)のくぎを用いてくぎ止

めとするか,又は山が5.6 mm及び足が31.8 mmで太さNo.16(1.4 mm)の鋼線製の逆U字(ステー

プラの針状)くぎを用いて止める。一方の面では,各角棒の各端で止め付け,かつ,反対の面では図

2 b)に示すように,対角線上に止める。完成した火種の乾燥質量は,試験時に(500±50)gとする。 

c) 火災安全等級Cの火種 密度(560±50)kg/m3で,節がないホワイトパインで作る。火種の寸法は,

縦38.1 mm×横38.1 mm×高さ19.8 mmとし,かつ,火種の厚さの半分まで,上から下まで3.2 mm幅

で,のこぎりを用いて一つの面ともう一つの面とが互いに直角になるように,図2 c)に示すように二

つの溝を付ける。完成した火種の乾燥質量は,試験時に(9.25±1.25)gとする。 

4.3.2.3 

火種の点火 

火種を供試体に置く前に,次に規定するとおり,火災安全等級別に,火種に点火する。火種の点火に用

いるガスバーナは,点火中に火種を炎で完全に包み込むことができるガスバーナとし,点火する炎の温度

が,ガスバーナの先端から58.7 mmのところで(888±10)℃の温度となるように調整する。 

なお,ガスバーナは,通常の通風からは遮断する。 

a) 火災安全等級Aの火種は,次の点火の手順に従って火種を回転させながら,各面を炎にさらし,合計

5分間ガスバーナの炎にさらす。 

1) 各300 mm×300 mm面(2面)を30秒間 

2) 各57 mm×300 mm面(4面)を45秒間 

3) 再度,各300 mm×300 mm面(2面)を30秒間 

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b) 火災安全等級Bの火種は,次の点火の手順に従って火種を回転させながら,各面を炎にさらし,合計

4分間ガスバーナの炎にさらす。 

1) 各150 mm×150 mm面(2面)を30秒間 

2) 各57 mm×150 mm面(4面)を30秒間 

3) 再度,各150 mm×150 mm面(2面)を30秒間 

c) 火災安全等級Cの火種は,火種を回転させながら,38.1 mm×38.1 mmの両面を炎にそれぞれ1分間

さらし,合計2分間ガスバーナの炎にさらす。 

4.3.2.4 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 火災安全等級A 火種は,供試体表面の最も弱い場所に置く。しかし,いかなる場合でも,いずれの

側からも100 mm又は供試体の上部若しくは下部から300 mm以上離れた位置に配置する。火種は,

上部及び下部層の角棒が,空気流の方向に平行となるように置く。火種は,直径0.82 mm太さの軟鉄

線で供試体から滑落しないように固定する。 

b) 火災安全等級B 火種は,供試体の表面上,最も弱い場所2か所にそれぞれ置く。火種の各側面は,

左右端部から152 mm又は供試体の上部若しくは下部から300 mm以上離れた位置に配置する。火種

は,上部及び下部層の角棒が,空気流の方向に平行となるように置く。最初の火種は,直径0.82 mm

太さの軟鉄線で供試体から滑落しないようにする。2個目の火種は,最初の火種に起因する全ての燃

焼が終了するまで,供試体へ配置してはならない。 

c) 火災安全等級C 20個の点火した火種は,供試体表面上に1分間隔又は2分間隔で置いていく。いず

れの火種も,前の火種が置かれた場所から100 mm以内に置いてはならない。 

火種ののこぎり溝の位置の固定方法は,次による。 

1) 火種は,供試体の幅を横切って引き伸ばされた直径0.82 mm太さの軟鉄線によって試験中の位置に

保持する。 

2) 火種は,供試体側ののこぎり溝が空気の流れの方向と平行となるように保持する。針金は,他のの

こぎり溝内に配置する。 

4.3.2.5 

試験時間 

火災安全等級A,火災安全等級B又は火災安全等級Cの試験は,次の状態のいずれかになるまで,継続

する。 

− 火種が燃え尽きるまで,並びに炎,赤熱及び発煙の全ての現象が,供試体の露出面及び架台の下面か

ら消えるまで。 

− 容認できない結果が生じるまで。 

しかし,火災安全等級A又は火災安全等級Bの試験の場合は,最大1.5時間を限度とする。この場合,

火種が,燃え続けることなく,また,完全に燃えきらないことは,無視する。 

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図2−火種の構造 

4.3.2.6 

観察事項 

試験中及び試験終了後に,次の事項を観測する。 

− 供試体の裏側への持続的な火炎の出現 

− 供試体の位置ずれ 

− 供試体の一部の穴あき又は落下 

4.3.2.7 

判定基準 

次に示すa)及びb)の現象があってはならない。 

a) 供試体のいずれかの部分が,燃焼又は赤熱状態の火種の形で,供試体から吹き飛ばされる又は供試体

から落下する。 

b) 供試体の下側に継続して火炎が生じる。 

表示事項 

表示事項は,次による。 

a) 次の事項に関し,PVモジュール又は据付説明書に表示する。 

− 火災安全等級 

b) 据付説明書への要求事項は,次による。 

1) PVモジュールの取付構造,設置場所,屋根又は構築物への取付方法を含めて火災安全等級を定めて

いる場合には,PVモジュールの火災安全等級の関係指標,又は通常の関係指標の詳細を据付説明

書に記載する。 

2) 屋根上設置の据付説明書には,次の事項を含めなければならない。 

2.1) PVモジュールを,屋根に確実に設置するための最低限の機械的手段。 

2.2) 据置形のPVモジュールに対しては,その用途に応じた防火性能をもった屋根の上に取り付ける必

要がある旨の指示。 

2.3) 火災安全等級を維持するために必要とする傾斜角度の指示。 

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報告書 

結果は,JIS Q 17025に従って試験報告書に記載する。結果は通常,試験報告書で報告し,これには,次

に示す,依頼者の要求した全ての情報,試験の説明に必要な全ての情報及び利用した方法を説明するのに

必要な全ての情報を含めなければならない。 

a) 標題 

b) 試験実施機関の名称,住所及び試験が行われた場所 

c) 報告書及び各ページの一意の識別情報 

d) 試験依頼者の名称及び住所(該当する場合) 

e) 試験した製品の説明及び識別 

f) 

試験した製品の記載,状態及び明確な識別 

g) 試験製品の受領日及び試験日(該当する場合) 

h) 使用した試験方法の特定 

i) 

サンプリング手順への言及(該当する場合) 

j) 

試験方法からの逸脱,試験方法への追加,試験方法からの除外,環境条件など特定の試験に関する情

報 

k) 火災安全等級,供試体の勾配及び支持台への取付状態,試験中及び試験後の供試体の燃焼特性の観測,

並びに見つかった全ての故障を含む適切な表,グラフ,スケッチ及び写真によって裏付けした測定,

検査及び導いた結果 

l) 

報告書の内容に関する責任者(1人又は複数人)の署名及び肩書き,又は同等の識別情報,及び報告

書発行日 

m) 結果は試験品だけに関連しているという旨の記載 

n) 建築基準法に準拠した試験ではない旨の記載 

o) 試験実施機関の書面による承認がない限り報告書の一部だけを複製してはならないという旨の記載