C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲及び目的
1
2
引用規格
1
3
サンプリング
2
4
表示
2
5
試験
3
6
合格基準
3
7
著しい目視上の欠陥
3
8
報告書
6
9
変更
7
10
試験手順
7
10.1
目視検査
7
10.2
最大出力の決定
8
10.3
絶縁試験
8
10.4
温度係数の測定
9
10.5
公称動作セル温度 (NOCT) の測定
11
10.6
基準状態 (STC) 及び NOCT における特性
18
10.7
低放射照度における特性
19
10.8
屋外暴露試験
19
10.9
ホットスポット耐久試験
20
10.10
紫外線前処理試験
24
10.11
温度サイクル試験
25
10.12
結露凍結試験
27
10.13
高温高湿試験
28
10.14
端子強度試験
28
10.15
湿潤漏れ電流試験
29
10.16
機械的荷重試験
30
10.17
降ひょう(雹)試験
31
10.18
バイパスダイオード温度試験
33
附属書 A(参考)IEC 61215 : 1993 から IEC 61215 : 2005 への変更点(削除)
35
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人光産業技
術振興協会 (OITDA) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,
経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS C 8990 : 2004 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本工業規格
JIS
C
8990
:2009
(IEC 61215
:2005
)
地上設置の結晶シリコン太陽電池 (PV) モジュール−
設計適格性確認及び形式認証のための要求事項
Crystalline silicon terrestrial photovoltaic (PV) modules-
Design qualification and type approval
序文
この規格は,2005 年に第 2 版として発行された IEC 61215 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成
を変更することなく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲及び目的
この規格は,JIS C 60721-2-1 に定義する一般屋外の気候で,長期運転に適した地上設置太陽電池モジュ
ールの設計適格性確認及び形式認証に対する要求事項を規定する。この規格は,結晶シリコン系モジュー
ル(以下,モジュールという。
)だけに適用する。薄膜モジュールについては,JIS C 8991 で規定している。
この規格は,集光装置付きモジュールには適用しない。
ここで実施する一連の試験の目的は,モジュールの電気的及び温度的特性を決定し,かつ,費用及び時
間の制約内で可能な限り,モジュールが一般的な屋外の気候に長期間さらされても耐えることを確認する
ことである。適格性を確認したモジュールの実際の期待寿命は,モジュールの設計,環境及び運転される
条件に影響を受ける。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61215 : 2005
,Crystalline silicon terrestrial photovoltaic (PV) modules−Design qualification and
type approval (IDT)
なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,一致していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。
)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS C 60068-1 : 1993
環境試験方法−電気・電子−通則
注記 対応国際規格:IEC 60068-1 : 1988,Environmental testing. Part 1 : General and guidance (IDT)
JIS C 60068-2-21 : 2002
環境試験方法−電気・電子−端子強度試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-21 : 1999,Environmental testing−Part 2-21 : Tests−Test U : Robustness
of terminations and integral mounting devices (MOD)
JIS C 60068-2-78 : 2004
環境試験方法−電気・電子−第 2-78 部:高温高湿(定常)試験方法
2
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-78 : 2001,Environmental testing−Part 2-78 : Tests−Test Cab : Damp
heat, steady state (IDT)
JIS C 60721-2-1
環境条件の分類 自然環境の条件−温度及び湿度
注記 対応国際規格:IEC 60721-2-1,Classification of environmental conditions−Part 2-1 : Environmental
conditions appearing in nature−Temperature and humidity (IDT)
JIS Q 17025 : 2000
試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17025 : 1999,General requirements for the competence of testing and
calibration laboratories (IDT)
IEC 60410 : 1973
,Sampling plans and procedures for inspection by attributes
IEC 60891 : 1987
,Procedures for temperature and irradiance corrections to measured I-V characteristics of
crystalline silicon photovoltaic devices,Amendment 1 (1992)
IEC 60904-1 : 1987
,Photovoltaic devices−Part 1 : Measurement of photovoltaic current-voltage characteristics
IEC 60904-2 : 1989
,Photovoltaic devices−Part 2 : Requirements for reference solar cells
IEC 60904-3 : 1989
,Photovoltaic devices−Part 3 : Measurement principles for terrestrial photovoltaic (PV)
solar devices with reference spectral irradiance data
IEC 60904-7 : 1998
,Photovoltaic devices−Part 7 : Computation of spectral mismatch error introduced in the
testing of a photovoltaic device
IEC 60904-9 : 1995
,Photovoltaic devices−Part 9 : Solar simulator performance requirements
IEC 60904-10 : 1998
,Photovoltaic devices−Part 10 : Methods of linearity measurement
IEC 61853
,Performance testing and energy rating of terrestrial photovoltaic (PV) modules
1)
注
1)
現在検討中
3
サンプリング
試験用に 8 個のモジュール(必要な場合,予備を加える。
)を,IEC 60410 に示す手順に従って,一つの
生産バッチ又は複数の生産バッチから,無作為にサンプリングする。モジュールは,関連の図面及び工程
に従って,規定の材料及び部品から製造し,かつ,製造業者の品質管理及び検査に適合しなければならな
い。モジュールは,細部まですべて完全であり,かつ,製造業者の取扱い,取付け及び接続のための指示
書(許容する最大システム電圧を含む。
)を添付しなければならない。
バイパスダイオード温度試験 (10.18) に対して,標準的な試験モジュールにバイパスダイオードが組み
込まれているためにバイパスダイオードにアクセスできない場合,特別なサンプルを準備することができ
る。バイパスダイオードは 10.18.2 に規定するように,温度センサを付けて,標準的な試験モジュール中
にある状態と同様に物理的に取り付けるのが望ましい。このサンプルは
図 1 に示す試験シーケンスのこの
試験以外の試験に合格する必要はない。
試験モジュールが新設計の試作であって,量産品でない場合,そのことを試験報告書に明記する(箇条
8
参照)
。
4
表示
各モジュールには明りょうに,かつ,容易に消えないように,次の事項を表示しなければならない。
− 製造業者の名称,組合せ文字(略号)又は商標
− 形式又は形式番号
3
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
− 製造番号
− 端子又はリード線の極性(カラーコードでもよい。
)
− モジュールに適用する最大システム電圧
製造日及び製造場所は,表示するか,又は製造番号から判別できなければならない。
5
試験
試験を開始する前に,制御部を含むすべてのモジュールは,回路を開放状態で,積算日射量 5〜5.5
kWh・m
−
2
の太陽光(自然太陽光又は擬似太陽光のいずれか)にさらさなければならない。
モジュールはグループに分けて,
図 1 の試験シーケンスに従って,規定の順番で試験する。図 1 の各試
験項目には対応するこの規格の箇条番号を示す。試験手順及び試験条件は,初期及び最終測定を含めて,
箇条 10 に規定する。
一つの試験の最終測定をシーケンス中の次の試験の初期測定として利用する場合,その測定を繰り返す
必要はない。これらの場合,初期測定を試験から省略する。
試験を実施するとき,試験実施者は,製造業者の取扱い,取付け及び接続に関する指示書を遵守しなけ
ればならない。IEC 61853 による試験が行われているか,又は計画されているモジュールタイプについて
は,10.4〜10.7 の試験は省略してもよい。
表 1 に,試験条件の概要を示す。
表 1 の試験レベルは,形式認証に必要な最低レベルとする。試験所とモジュール製造業者とが合意する
場合は,より厳しい試験レベルで実施してもよい。
6
合格基準
各試験サンプルが次の基準を満足するとき,モジュール設計は,試験に合格したとし,認証のための要
求事項を満たすと判定する。
a)
最大出力(電力)の低下は,各試験後の規定限度値を超えず,かつ,各試験シーケンス後 8 %以下で
ある。
b)
試験中すべてのサンプルが開放故障をしていない。
c)
箇条 7 で規定するような著しい目視上の欠陥がない。
d)
試験後,絶縁試験の要求事項を満足する。
e)
各シーケンスの始め及び終わり並びに高温高湿試験後,湿潤漏れ電流試験の要求事項を満足する。
f)
個々の試験ごとの要求事項を満足する。
二つ以上のモジュールが,これらの試験基準を満足しない場合,そのモジュール設計は,適格性確認に
対する要求事項を満たさなかったとみなす。一つのモジュールが試験のいずれかに不合格の場合,箇条 3
の要求事項を満たす別の二つのモジュールについて,当該試験シーケンスのすべてを始めから行わなけれ
ばならない。これらのモジュールの一つ又は両方とも不合格の場合,その設計は適格性確認に対する要求
事項に合格しなかったとみなす。モジュールが二つとも試験シーケンスに合格する場合,その設計は,適
格性確認に対する要求事項を満足したと判定する。
7
著しい目視上の欠陥
設計適格性確認及び形式認証の目的に対して,次の欠陥は著しい目視上の欠陥とみなす。
a)
表面に,破損又はき(亀)裂がある(スーパーストレート,サブストレート,フレーム及び接続箱を
4
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
含む。
)
。
b)
表面に,モジュールの据付け及び/又は動作を損なうような折れ曲がり又は不ぞろいがある(スーパ
ーストレート,サブストレート,フレーム及び接続箱を含む。
)
。
c)
セル 1 枚の 10 %を超える面積に,モジュールの電気回路に影響を与える有害な破損又はき裂がある。
d)
電気回路とモジュール端部との間に,連続する気泡又ははく(剥)離がある。
e)
モジュールの据付け及び/又は動作を損なう構造的損傷がある。
5
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
注
a)
IEC 61853 による試験が実施又は計画されている場合は,省略してよい。
b)
開架式設置として設計されていないモジュールの場合,NOCT は,製造業者が推奨するように設置されたモジ
ュールの標準基準環境における等価平均セル接合部温度によって置き換えてもよい。
c)
バイパスダイオード温度試験 (10.18) に対して,標準的な試験モジュールにバイパスダイオードが組み込まれ
ているためにバイパスダイオードにアクセスできない場合,特別なサンプルを準備することができる。バイパ
スダイオードは 10.18.2 に規定するように,温度センサを付けて,標準的な試験モジュール中にある状態と同様
に物理的に取り付けるのが望ましい。このサンプルは,試験シーケンスのこの試験以外の試験に合格する必要
はない。
図 1−試験シーケンス
1 モジュール
2 モジュール
2 モジュール
10.1
目視検査
10.2
最大出力の決定
10.3
絶縁試験
10.15
湿潤漏れ電流試験
8 モジュール
10.13
高温高湿試験
1 000 h 85 ℃
相対湿度 85 %
10.10
紫外線前処理試験
15 kWh・m
−
2
10.5
公称動作セル温度
(NOCT) の測定
a), b)
10.6
基準状態 (STC) 及び
NOCT における特性
a)
2 モジュール
10.11
温度サイクル試験
200 サイクル
−40 ℃〜+85 ℃
コ
ン
ト
ロ
ー
ル
1 モジュール
10.7
低放射照度
における特性
a)
10.8
屋外暴露試験
60 kWh・m
−
2
10.18
バイパスダイオード
温度試験
c)
10.9
ホットスポット
耐久試験
10.15
湿潤漏れ電流試験
を繰り返す
10.11
温度サイクル試験
50 サイクル
−40 ℃〜+85 ℃
10.12
結露凍結試験
10 サイクル
−40 ℃〜+85 ℃
相対湿度 85 %
1 モジュール
10.15
湿潤漏れ電流試験
10.17
降ひょう(雹)試験
1 モジュール
10.16
機械的荷重試験
1 モジュール
1 モジュール
10.14
端子強度試験
前処理 太陽光照射量 5.0〜5.5 kWh・m
−
2
10.4
温度係数の測定
a)
6
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
表 1−試験の概要
箇条
試験項目
試験条件
10.1
目視検査
10.1.2
の詳細検査項目による。
10.2
最大出力の決定
IEC 60904-1
による。
10.3
絶縁試験
(DC 1 000 V) +(2×最大システム電圧)で 1 分間耐える。面積が 0.1 m
2
未満のモジュールの場合,絶縁抵抗は,400 MΩ 以上とする。面積が
0.1 m
2
以上のモジュールの場合,
(絶縁抵抗の測定値)×(モジュール
面積)の値は,40 MΩ・m
2
以上とする。500 V 又は最大システム電圧の
いずれか大きい方の電圧で測定する。
10.4
温度係数の測定
a)
10.4
による。手引きとして IEC 60904-10 を参照。
10.5
公称動作セル温度 (NOCT) の測
定
a)
傾斜面放射照度:800 W・m
−
2
周囲温度:20 ℃
風速:1 m・s
−
1
10.6
基準状態 (STC) 及び NOCT に
おける特性
a)
セル温度:25 ℃及び NOCT
放射照度:IEC 60904-3 基準分光放射照度で 1 000 W・m
−
2
及び
800 W・m
−
2
10.7
低放射照度における特性
a)
セル温度:25 ℃
放射照度:IEC 60904-3 基準分光放射照度で 200 W・m
−
2
10.8
屋外暴露試験
積算日射量 60 kWh・m
−
2
10.9
ホットスポット耐久試験
最悪ホットスポット条件で,1 000 W・m
−
2
の放射照度に 5 時間さらす。
10.10
紫外線前処理試験 280〜320 nm の波長範囲で 5 kWh・m
−
2
の UV 積算照射量で,280〜385
nm の波長範囲では UV 積算照射量は 15 kWh・m
−
2
。
10.11
温度サイクル試験
−40 ℃から+85 ℃までのサイクルを 50 回及び 200 回。200 サイクル
中 STC ピーク出力電流を通電する。
10.12
結露凍結試験
+85 ℃,相対湿度 85 %から−40 ℃までのサイクル 10 回
10.13
高温高湿試験
+85 ℃,相対湿度 85 %で 1 000 h
10.14
端子強度試験
JIS C 60068-2-21
による。
10.15
湿潤漏れ電流試験
10.15
による。
面積が 0.1 m
2
未満のモジュールの場合,絶縁抵抗は 400 MΩ 以上とす
る。面積が 0.1 m
2
以上のモジュールの場合,
(絶縁抵抗の測定値)×(モ
ジュール面積)の値は,40 MΩ・m
2
以上とする。500 V 又は最大システ
ム電圧のいずれか大きい方の電圧で測定する。
10.16
機械的荷重試験
前面,裏面交互に 2 400 Pa の均一荷重を 1 h 加える試験を 3 サイクル。
モジュールが雪及び氷の重荷重に耐えることが必要である場合,この
試験の最後のサイクルにおいてモジュール前面に加える荷重は,2 400
Pa から 5 400 Pa に増やす。
10.17
降ひょう(雹)試験 11 か所に直径 25 mm の氷球を 23.0 m・s
−
1
の速度で当てる。
10.18
バイパスダイオード温度試験 STC 短絡電流及び 75 ℃で 1 時間。
STC 短絡電流の 1.25 倍及び 75 ℃で 1 時間。
注
a)
このモジュールタイプについて,IEC 61853 による試験が行われているか,又は計画されている場合,10.4
〜10.7 の試験は省略してもよい。
8
報告書
形式認証に続いて,適格性確認試験に関する認証報告書(測定した性能特性並びにすべての故障及び再
試験の詳細を含む。
)は,JIS Q 17025 に準拠して,試験機関が準備しなければならない。報告書はモジュ
ール詳細仕様を含まなければならない。認証書又は試験報告書には,少なくとも次の情報を含まなければ
ならない。
a)
題目
7
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
b)
試験機関の名称,住所及び試験実施場所
c)
認証書又は報告書,及び各ページに特有の識別
d)
製造業者の名称及び住所
e)
試験した製品の説明及び識別
f)
試験項目の内容及び条件
g)
試験製品の受付日及び試験日
h)
使用した試験法の識別
i)
サンプリング手順
j)
試験方法からの逸脱,試験方法への追加又は試験方法の除外,及び環境条件などの特定の試験に関連
したその他のすべての情報。
k)
測定値,検査値,及び(適切な表,グラフ,スケッチ,及び写真で裏付けられる)導出結果。
これらは,次の事項を含む。
− 温度係数(短絡電流,開放電圧及びピーク出力)
− NOCT
− NOCT,STC 及び低放射照度における出力
− 紫外線前処理に使用したランプの分光放射照度
− 全試験後の最大出力の損失
− 観測されたすべての故障
l)
試験結果の不確かさの推定値に関する説明
m)
認証書又は報告書の内容に責任をもつ人の署名及び役職,又は同等の証明,並びに発行日。
n)
関連のある場合,その結果は試験した項目だけに関係するという趣旨の声明。
o)
認証書又は報告書は,試験所の書面による許可なしに一部分を複製してはならない旨の内容。
この報告書の写しは,参照目的のために製造業者が保管しなければならない。
9
変更
モジュールの設計,材料,部品又はプロセスのいかなる変更も,形式認証を維持するには,試験項目の
幾つか又は全部を繰り返さなければならない。
10
試験手順
10.1
目視検査
10.1.1
目的
この試験は,目視によって見つかるモジュールの欠陥を見つけることを目的とする。
10.1.2
手順
1 000 lx 以上の照度下で,次の状態について注意深く検査する。
− 表面のき裂,折れ曲がり,不ぞろい又は裂け目
− 破損したセル
− き裂があるセル
− 内部接続又はジョイント不良
− セル同士の接触及びセルとフレームとの接触
− 接着不良
8
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
− セルとモジュールとのエッジ間に連続する気泡又ははく離
− プラスチック材料の表面のべとつき
− 誤った接続及び活線部分の露出
− 上記以外の性能に影響する可能性がある状態
後続の試験でモジュール特性を悪化させたり,
モジュール特性に不利な影響を及ぼすおそれがあるき裂,
気泡,被覆はく離などの状態及び位置を記録する及び/又は写真を撮る。
10.1.3
要求事項
箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥以外の目視状態は,形式認証において許容する。
10.2
最大出力の決定
10.2.1
目的
各環境試験の前後にモジュールの最大出力を決定することを目的とする。試験の繰返し性が最も重要と
なる。
10.2.2
装置
最大出力の決定には,次の装置を用いる。
a)
照射光源(自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュレータ)
b) IEC 60904-2
に適合する基準太陽電池。クラス B のソーラシミュレータを使用する場合,基準太陽電
池は,供試品と同等の分光感度特性の同サイズの基準モジュールでなければならない。
c)
供試品及び基準太陽電池を照射光に直角な面に支持する適切な架台。
d)
供試品及び基準太陽電池の温度を±1 ℃の精度及び±0.5 ℃の繰返し性で監視する手段。
e)
供試品及び基準太陽電池の電流を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
f)
供試品及び基準太陽電池の電圧を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
10.2.3
手順
放射照度及び温度の特定の条件(推奨範囲は,25〜50 ℃のセル温度及び 700〜1 100 W・m
−
2
の放射照度
である。
)で,IEC 60904-1 による自然光又は IEC 60904-9 のクラス B 以上のシミュレータを用いて,モジ
ュールの電流電圧特性を決定する。モジュールが異なる条件の範囲での運転に対して設計されている場合
には,電流電圧特性は,予想される運転条件と類似の温度及び放射照度レベルで測定してもよい。
環境試験前後の測定値の比較のための温度及び放射照度補正は,IEC 60891 による。しかし,最大出力
測定値は類似の運転条件下で行われたことを保証するために,最大限の努力を払うのが望ましい。すなわ
ち,ほぼ同じ温度及び放射照度で,特定のモジュールの最大出力すべてを測定することで補正の大きさを
最小にする。
最大出力測定の繰返し性は,±1 %より良くなければならない。
注記 試験モジュールを測定するときはいつも,コントロールモジュールを比較のために測定する。
10.3
絶縁試験
10.3.1
目的
この試験は,モジュールの通電部分とフレーム又は外界との間が十分に,かつ,適切に絶縁されている
かを決定することを目的とする。
10.3.2
装置
絶縁試験には,次の装置を用いる。
a) 10.3.4 c)
に準拠して,
(500 V 又は 1 000 V)+(モジュールの最大システム電圧の 2 倍)を印加でき
る電流制限付き直流電圧源。
9
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
b)
絶縁抵抗を測定する計測器
10.3.3
試験条件
この試験は,周囲温度(JIS C 60068-1 参照)
,かつ,相対湿度 75 %以下で行う。
10.3.4
手順
絶縁試験の手順は,次による。
a)
モジュールの出力端子を短絡し,電流制限付き直流絶縁試験器の正極端子に接続する。
b)
モジュールの露出金属部分を,試験器の負極端子に接続する。モジュールにフレームがない場合,又
はフレームの導電性が低い場合には,モジュールのエッジ回り及び裏面に導電性のはく(箔)をかぶ
せる。そのはく(箔)を試験器の負極端子に接続する。
c)
[最大システム電圧(製造業者がモジュールに表示した最大システム開放電圧)
]の 2 倍+1 000 V に
等しい電圧まで,500 V・s
−
1
以下の速さで上昇させ,この電圧に 1 分間保つ。最大システム電圧が 50 V
以下のときは,印加電圧を 500 V とする。
d)
印加電圧を 0 まで下げ,モジュールを試験器に接続したままで試験器の端子間を短絡し,モジュール
の残存電荷を放電させる。
e)
短絡回路を外し,モジュールを試験器から取り外す。
f)
b)
と同様に接続した試験器で,モジュールに 500 V 以上の直流電圧を印加し,絶縁抵抗を計測する。
500 V 又はモジュールの最大システム電圧のいずれか大きい方の電圧まで 500 V・s
−
1
以下の速さで上
昇させる。この電圧に 2 分間保つ。その後,絶縁抵抗を測定する。
g)
印加電圧を 0 まで下げ,試験器の端子間を短絡し,モジュールの残存電荷を放電させる。
h)
短絡回路を外し,試験器をモジュールから遮断する。
注記 モジュールが金属フレーム又はガラスのスーパーストレートをもたない場合,絶縁試験は,
10.3.4 b)
に従いモジュールの表面に配置した金属板又は金属はく(箔)を用いて繰り返す。
10.3.5
要求事項
絶縁試験の要求事項は,次による。
− 絶縁破壊がない,又は 10.3.4 c) において表面にトラッキングが生じない。
− 面積が 0.1 m
2
未満のモジュールの場合,絶縁抵抗は 400 MΩ 以上でなければならない。
− 面積が 0.1 m
2
以上のモジュールの場合,測定した絶縁抵抗とモジュール面積との積は,40 MΩ・m
2
以
上でなければならない。
10.4
温度係数の測定
10.4.1
目的
モジュールを測定することによって,電流の温度係数 α,電圧の温度係数
β
及び最大出力の温度係数 δ
を調べることを目的とする。決定した温度係数は,測定した放射照度で有効である。異なる放射照度での
モジュール温度係数の評価は,IEC 60904-10 を参照。
10.4.2
装置
試験条件を制御し,測定するのに次の装置を用いる。
a)
次に示す試験に使用する照射光源(自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュレータ)
b) IEC 60904-2
に適合する,校正された短絡電流対放射照度特性が既知の基準太陽電池。
c)
試験モジュールの温度を規定の範囲で変えるのに必要な装置。
d)
試験モジュール及び基準太陽電池を照射光に対して垂直な同一面に支持するための適切な架台。
e)
試験モジュール及び基準太陽電池の温度を±1 ℃の精度及び±0.5 ℃の繰返し性で監視する手段。
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
f)
試験モジュール及び基準太陽電池の電流を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
g)
試験モジュール及び基準太陽電池の電圧を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
10.4.3
手順
温度係数の測定は,10.4.3.1 又は 10.4.3.2 の手順で行ってよい。
10.4.3.1
自然光での手順
自然光での温度係数の測定手順は,次による。
a)
自然光中での測定は,次に示す場合だけに行われなければならない。
− 傾斜面放射照度は,対象範囲の上限以上とする。
− 雲,もや又は煙によって引き起こされる放射照度の短時間の変動は,基準太陽電池で測定して,傾
斜面放射照度の±2 %未満である。
− 風速は 2 m・s
−
1
未満である。
b)
基準太陽電池を,試験モジュールと同一平面で両者が±5°以内で太陽光に垂直となるように取り付
け,必要な計器に接続する。
c)
試験モジュール及び基準太陽電池の温度制御ができる場合,規定の温度に制御装置を設定する。
d)
温度制御ができない場合,周囲温度が±1 ℃以内で一様になるまで試験モジュールと基準太陽電池と
を日射及び風から遮るか,又は試験モジュールの温度が安定するまで若しくは試験モジュールが要求
試験温度以下になるまで冷却し,その後モジュールを自然に暖めるようにする。基準太陽電池も実験
前に平衡温度を±1 ℃以内に安定化させるのがよい。
e)
試験モジュールの電流電圧特性及び温度を記録し,同時に規定の温度での基準太陽電池の短絡電流及
び温度を記録する。必要な場合,覆いを除いた直後に測定する。
f)
放射照度 G
0
は,次の式によって計算する。基準太陽電池の温度 T
m
を考慮して,基準太陽電池の温度
係数 α
rc
を用いて補正するのがよい。
(
)
[
]
℃
・
25
1
m
W
000
1
m
rc
rc
SC
2
0
−
−
×
×
=
−
T
α
I
I
G
ここに,
α
rc
:
25 ℃,かつ,1 000 W・m
−
2
における相対温度係数
T
m
:
基準太陽電池の温度 (℃)
I
SC
:
基準太陽電池の短絡電流 (A)
I
rc
:
基準太陽電池の STC での校正値 (A)
g)
規定の温度を達成し,かつ,維持するために,コントローラによるか,又は試験モジュールを日光に
さらしたり若しくは影に入れたりすることによって,温度を調節する。又は,その代わりに,試験モ
ジュールを自然に暖め,その間に d) のデータ記録手順を周期的に繰り返してもよい。
h)
試験モジュール及び基準太陽電池の温度が安定化し,
かつ,
±1 ℃以内で一定であることを確認する。
また,基準太陽電池で測定する放射照度が各データセットの記録期間中±1 %以内で一定であること
を確認する。すべてのデータは,1 000 W・m
−
2
で測定するか又はその放射照度に換算しなければなら
ない。
i) 30
℃以上の対象範囲で,かつ,ほぼ同じ間隔のモジュール温度の 5 点以上で,d)〜h) のステップを
繰り返す。各試験条件で最低 3 回測定しなければならない。
なお,c)〜i) に規定する測定は,分光放射照度の変化の影響を最小化するために,同一日の 2〜3 時間以
内で迅速に実施するのがよい。できない場合は,スペクトルミスマッチ補正をすることが望ましい。
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
10.4.3.2
ソーラシミュレータによる手順
ソーラシミュレータによる温度係数の測定手順は,次による。
a) IEC 60904-1
に従って,モジュールの短絡電流を室温で,規定の放射照度で測定する。
b)
試験モジュールを試験槽内に据え付け,シミュレータの光束中に基準太陽電池を据え付ける。測定器
に接続する。
c)
試験槽を閉じ,試験モジュールが a) で求めた短絡電流を出力するように放射照度を設定する。試験
期間中,この放射照度の設定を維持するために,基準太陽電池を使わなければならない。
d)
モジュールを,対象とする温度まで加熱又は冷却する。モジュールが規定の温度に到達したら,I
SC
,
V
OC
(開放電圧)及び最大出力を測定する。30 ℃以上の対象範囲で約 5 ℃ごとにモジュール温度を変
える。そして,I
SC
,V
OC
及び最大出力の測定を繰り返す。
最大出力時の電圧及び電流の温度変化を求めるために,各温度で完全な電流電圧特性を測定しても
よい。
10.4.3.3
温度係数の計算
温度係数の計算(算出)は,次による。
a)
温度の関数として I
SC
,V
OC
及び P
max
の値をプロットし,かつ,各データのセットに対し最小二乗直線
を描く。
b)
電流,電圧及び P
max
の最小二乗直線の傾きから,モジュールの短絡電流温度係数 α,開放電圧温度係
数
β
及び最大出力 P
max
の温度係数 δ を計算する。
注記 1 試験モジュールの特性が直線性をもつとみなせるかを決定するには,IEC 60904-10 を参照。
注記 2 この手順で測定する温度係数は,測定したときの放射照度だけで正しい。パーセントで表
現する相対温度係数は,α,
β
及び δ の計算値を 25 ℃の電流,電圧及び最大出力で除して
求められる。
注記 3 モジュールの曲線因子 (FF) は,温度の関数であるため,最大出力の温度係数として α と
β
との積を用いることは適切ではない。
10.5
公称動作セル温度 (NOCT) の測定
10.5.1
目的
この測定は,モジュールの公称動作セル温度 (NOCT) を決めることを目的とする。
10.5.2
概要
NOCT は,次の標準基準環境 (SRE) で開放式架台に取り付けたモジュール内の太陽電池セルの等価平均
接合部温度として定義する。
− 傾斜角:
水平面から 45°
− 傾斜面放射照度:800 W・m
−
2
− 周囲温度: 20
℃
− 風速: 1
m・s
−
1
− 電気負荷:
なし(開放状態)
NOCT は,屋外動作時のモジュール温度に対する指針としてシステム設計者が使用することができ,様々
なモジュール設計のモジュール温度を比較するときに有用なパラメータである。しかし,ある特定の時刻
での実際の動作温度は,取付構造,放射照度,風速,周囲温度,空の温度,地面及び近隣物体からの反射
及び放射の影響を受ける。正確なモジュール温度の予測には,これらの要素も考慮しなければならない。
NOCT を決定する二つの方法を,次に示す。
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
第 1 の方法は,一次法と呼ばれ,すべてのモジュールに共通して適用できる。開放式取付用として設計
されていないモジュールの場合,一次法は,製作業者が推奨するように取り付けたモジュールについて,
SRE で等価平均太陽電池セル接合部温度を決定するために用いる。
第 2 の方法は,基準プレート法と呼ばれ,より速い方法だが,周囲温度の変化(一定の風速及び放射照
度の範囲で)に対し,測定に用いる基準プレートと同じように応答する種類のモジュールだけに適用でき
る。表面がガラスで,裏面がプラスチックの結晶シリコン系モジュールは,この範ちゅうに入る。基準プ
レートは,一次法と同じ方法で校正する。
10.5.3
一次法
10.5.3.1
原理
この方法は,SRE を含む一連の環境条件の範囲で実測したセル温度データを集めることを基礎とする。
セル温度データは,NOCT の正確,かつ,繰返し性がある内挿ができるものを用意する。
太陽電池セル接合部温度 (T
J
) は,第一義的には,周囲温度 (T
amb
),平均風速 (V) 及びモジュールの受
光面に入射する傾斜面放射照度 G (W・m
−
2
) の関数である。温度差 (T
J
−T
amb
) は,周囲温度の影響をほと
んど受けず,400 W・m
−
2
を超える領域では,放射照度に実質的に比例している。風の状態が適切な期間で,
(T
J
−T
amb
) を G に対してプロットする。その結果,予備的な NOCT 値は,(T
J
−T
amb
) の SRE 放射照度 800
W・m
−
2
における内挿値に 20 ℃を加えて決定する。最終的には 20 ℃及び 1 m・s
−
1
での値に補正するため
に,試験期間中の平均温度及び平均風速に依存する補正係数を加味する。
10.5.3.2
装置
一次法には,次の装置を用いる。
a)
規定の方法で試験モジュール及び全天日射計を支持する開放式架台(10.5.3.3 参照)
。架台は,モジュ
ールからの熱伝導を最小にするよう,また,表面及び裏面からの熱放射ができるだけお互いに影響し
ないように設計しなければならない。
開架式架台に取り付けるように設計されていないモジュールの場合,製造業者の推奨する方法で取
り付けることが望ましい。
b)
モジュールと同一平面で,試験アレイの 0.3 m 以内に設置した全天日射計。
c)
モジュールの上方約 0.7 m,東方又は西方 1.2 m のところに設置した,風向及び 0.25 m・s
−
1
まで風速を
測定できる測定器。
d)
風速計の近くで換気がよい遮光箱内に設置した,モジュールの時定数以下の時定数をもつ温度計。
e)
各試験モジュールの中心近くの二つの太陽電池セルの裏面に,はんだ若しくは熱伝導性接着剤で取り
付けたセル温度センサ,又は認証のための要求事項を満たすセル温度測定に必要な装置。
f) 5
秒以内の間隔で,次のパラメータを記録するための±1 ℃の温度測定精度をもつデータ収集システ
ム。
パラメータ:放射照度
周囲温度
セル温度
風速
風向
10.5.3.3
試験モジュールの設置
試験モジュールの設置は,次による。
a)
傾斜角 試験モジュールは,赤道面に向けた前面が,水平面(地面)に対して 45°±5°に傾けて据
13
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
え付ける。
b)
高さ 試験モジュールの底辺は,水平面又は地面から 0.6 m 以上の高さとする。
c)
構成 試験モジュールは,アレイに構成したモジュールの熱的境界条件を模擬するため,試験モジュ
ールの周囲のすべての方向に 0.6 m 伸びている平面内に据え付ける。自律形で,かつ,据付けが裏面
開放で設計されたモジュールの場合,黒いアルミニウム板又は同じ設計の他のモジュールによって残
りの平面を覆わなければならない。
d)
周囲 南中時刻の前後 4 時間,試験モジュールへの完全な放射照度を妨げる障害物があってはならな
い。モジュール周囲の地面に異常に高い反射があってはならず,地面は水平又は試験設備から全方向
に下方に傾斜していなければならない。草,その他の植物,黒いアスファルト及び土は,周囲条件と
して許容する。
10.5.3.4
手順
一次法の測定手順は,次による。
a) 10.5.3.3
に従い,試験モジュール及び装置を準備する。試験モジュールの端子が開放であることを確認
する。
b)
風が少なく日当たりがよい快晴の適切な日に,セル温度,周囲温度,放射照度,風速及び風向を,時
間の関数として記録する。
c)
次の条件で得られたデータは除く。
− 放射照度 400 W・m
−
2
未満
− 10 分間中に記録された放射照度の最大値と最小値との差が 10 %を超えて変化した後の 10 分間。
− 風速 1 m・s
−
1
±0.75 m・s
−
1
の範囲外
− 周囲温度 20 ℃±15 ℃の範囲外又は一つのデータ収集の運転中に記録した周囲温度の最大値と最
小値との差が 5 ℃より大きく変化しているもの。
− 4
m・s
−
1
を超える突風の後の 10 分間
− 風向が東又は西±20°以内のとき。
d)
放射照度 300 W・m
−
2
以上の 10 点以上の許容データ点を用いて,データ点が南中時刻の前と後との両
方のデータであることを確かめ,(T
J
−T
amb
) を放射照度の関数としてプロットする。データ点を通る
回帰直線を引く。
e)
直線より 800 W・m
−
2
における (T
J
−T
amb
) を求め,暫定の NOCT の値を得るため 20 ℃を加える。
f)
許容データ点に対して,周囲温度の平均値 T
amb
及び平均風速 V を計算し,
図 2 から適切な補正係数を
決める。
g) 20
℃及び 1 m・s
−
1
に補正するため,暫定の NOCT に補正係数を加える。この和がモジュールの NOCT
である。
h)
各試験モジュールに対して,上記と別の 2 日で全手順を繰り返し,NOCT の三つの値を求めて平均す
る。
14
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
図 2−NOCT 補正係数
10.5.4
基準プレート法
10.5.4.1
原理
この方法は,放射照度,周囲温度及び風速の同じ条件下で試験モジュールの温度と標準基準プレートの
温度とを比較するという原理に基づいている。基準プレートの SRE における定常状態の温度は,10.5.3 に
規定する一次法を用いて決定する。
試験モジュールの NOCT は,SRE に対する試験モジュールと基準プレートとの温度差を SRE に対して
補正し,この値を,SRE 中の基準プレートの平均定常温度に加えることによって得られる。測定した温度
差は,放射照度の変動,周囲温度及び風速のわずかな変化に対して鈍感であることが分かっている。
10.5.4.2
基準プレート
基準プレートは,
図 3 に示す寸法の硬いアルミニウム合金で作る。前面は光沢がない黒に,裏面は光沢
がある白に塗装する。基準プレートの温度を規定の精度で測定する手段を備える。熱電対 2 個を用いる方
法を,
図 3 に示す。一方の熱電対は,溝の合流点から 25 mm 以内の絶縁物を除いた後,溝の一つの分枝に
熱伝導性,かつ,電気絶縁性の接着剤で固める。他方の熱電対の残りは,アルミニウムのパテを用いて溝
に固める。
基準プレートは最低でも 3 枚製作し,10.5.3 の一次法で校正しなければならない。そのようにして決定
した定常状態の温度は 46 ℃から 50 ℃までの間にあり,1 ℃以内の差でなければならない。3 枚のうちの
15
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
1 枚の基準プレートは,対照標準として未使用状態で保管しなければならない。NOCT の測定をする前に,
基準プレートの熱特性の変化を検出するために,10.5.3.4 c) に規定する許容条件で基準プレートの定常温
度を対照標準プレートの定常温度と比較し,確認しなければならない。
基準プレートの測定温度が 1 ℃以上違うときは,この原因を調査し,この試験を続ける前に必要な修正
をしなければならない。
10.5.4.3
試験サイト
建物,木及び地形による風の乱れを無視できる,平らな試験サイトを選ぶ。地面及び試験面背後の物体
からの不均一な反射は,除去しなければならない。
10.5.4.4
装置
基準プレート法には,次の装置を用いる(
図 4 参照)。
a) 10.5.4.2
に規定した数の基準プレート(同時に試験されるモジュール数より 1 個多い。
)
b)
全天日射計又は基準太陽電池
c)
南中時赤道面に向けた前面が水平面に対して 45°±5°に傾けた状態で,試験モジュール,基準プレ
ート及び日射計を支持する開放式架台。各モジュールは,側面を 2 枚の基準プレートで固め,モジュ
ールの底辺は,地上約 1 m とする。架台はモジュール及びプレートからの熱伝導を最小限度にするよ
う,また,それらの前面及び裏面からの熱放射にできるだけ影響を受けないように設計しなければな
らない。
d)
図 4 に示すように,モジュールの上方約 0.7 m,東方又は西方 1.2 m のところに設置した,風向及び
0.25 m・s
−
1
までの風速を測定できる測定器。
e)
風速計の近くで換気のよい遮光箱内に設置した,モジュールの時定数以下の時定数をもつ温度計。
f)
各試験モジュールの中心近くの二つの太陽電池セルの裏面に,はんだ若しくは熱伝導性接着剤で取り
付けたセル温度センサ,又は認証のための要求事項を満たすセル温度測定に必要なほかの装置。
g) 5
秒以内の間隔で,次のパラメータを記録するための±1 ℃の温度測定精度をもつデータ収集システ
ム。
パラメータ:放射照度
周囲温度
セル温度
風速
風向
基準プレート温度
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
単位 mm
図 3−基準プレート
単位 m
図 4−基準プレート法による NOCT 測定
10.5.4.5
手順
基準プレート法の測定手順は,次による。
a)
図 4 に示すように,装置に試験モジュール及び基準プレートを取り付ける。試験モジュールの端子が
開放であることを確認する。
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b)
風が少なく日当たりがよい快晴の適切な日に,試験モジュールのセル温度,基準プレート温度,放射
照度,周囲温度,風速及び風向を,時間の関数として記録する。
c)
次の条件の期間及びその後 15 分間で得られたデータは除く。
− 放射照度 750 W・m
−
2
未満又は 850 W・m
−
2
超え。
− 一つのデータ収集運転中,放射照度が±40 W・m
−
2
を超え変化。
− 風速が,30 秒間以上,2 m・s
−
1
超え。
− 0.5
m・s
−
1
未満の風速
− 風向が東又は西±20°以内
− 基準プレート間の温度差が 1 ℃を超える差があるもの。
d)
選んだ期間の各データポイントに対し,すべての基準プレートの平均温度 T
P
を求める。
e)
選んだ期間の各データポイント及び各試験モジュールに対して,次の処理をする。
1)
平均セル温度 T
J
を算出し,次の式によって計算する。
P
J
JP
T
T
T
−
=
Δ
ΔT
JP
が 4 ℃を超えて変化する場合,基準プレート法は適用できず,10.5.3 で規定する一次法を使
わなければならない。
2)
各データポイントの ΔT
JP
の平均値を算出し,ΔT
JPm
とする。
3) SRE
に対し ΔT
JPm
を,次の式によって補正する。
( )
(
)
非補正
補正
JPm
JPm
T
R
f
T
Δ
ζ
Δ
⋅
=
ここに,
f
:
放射照度補正係数。800 を,選んだ期間の平均放射照度で除し
た値
ζ
:
周囲温度補正係数。次の表を用いて,選んだ期間の平均周囲
温度
T
amb
から選ぶ(
ζ
の値に対し線形補完してよい。
)
。
T
amb
(℃)
ζ
0 1.09
10 1.05
20 1.00
30 0.96
40 0.92
50 0.87
R
:
風補正係数。選んだ期間の平均風速から
図 5 のグラフを用い
て得る(
図 5 の 2 本の曲線のうち,より高いプレートの温度,
より高いセルの温度の曲線から求める。
)
。
4)
試験モジュールの NOCT を,次の式によって計算する。
(
)
補正
JPm
PR
NOCT
T
T
Δ
+
=
ここに,
T
PR
:
SRE における基準プレートの平均定常温度 (℃)
f)
各試験モジュールに対して,上記に加え別の 2 日で全手順を繰り返し,各試験モジュールに対して
NOCT の三つの値を求め,平均する。
18
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
図 5−風補正係数
10.6
基準状態 (STC) 及び NOCT における特性
10.6.1
目的
モジュールの電気特性が,STC(IEC 60904-3 の基準分光放射照度をもつ 1 000 W・m
−
2
,セル温度 25 ℃)
,
NOCT 及び IEC 60904-3 の基準分光放射照度をもつ 800 W・m
−
2
の放射照度において負荷とともに特性がど
のように変化するかを決めることを目的とする。
10.6.2
装置
STC 及び NOCT における特性の測定には,次の装置を用いる。
a)
照射光源(自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュレータ)
b) IEC 60904-2
に適合する基準太陽電池。クラス B のソーラシミュレータを使用する場合,基準太陽電
池は分光感度特性を合致させるために,同じセル技術で,同じサイズの基準モジュールでなければな
らない。
c)
照射ビームと直角な面に,供試品と基準太陽電池とを支持する適切な架台。
d)
供試品及び基準太陽電池の温度を±1 ℃の精度及び±0.5 ℃の繰返し性で監視する手段。
e)
供試品及び基準太陽電池の電流を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
f)
供試品及び基準太陽電池の電圧を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
g)
供試品の温度を 10.5 で測定した NOCT 温度にするために必要な装置。
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
10.6.3
手順
10.6.3.1 STC
モジュールを 25 ℃に保ち,
自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュレータで,
IEC 60904-1
に準拠して,1 000 W・m
−
2
の放射照度における電流電圧特性を測定する。
10.6.3.2 NOCT
モジュールを NOCT まで加熱し,均一温度とし,自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュ
レータで,IEC 60904-1 に準拠して,800 W・m
−
2
(適切な基準太陽電池で測定)における電流電圧特性を測
定する。
基準太陽電池と試験モジュールとの分光感度特性が合致していない場合,IEC 60904-7 に従ってスペク
トルミスマッチ補正する。
10.7
低放射照度における特性
10.7.1
目的
この試験は,モジュールの電気特性が,25 ℃及び 200 W・m
−
2
(適切な基準太陽電池で測定)の放射照
度において負荷とともにどのように特性が変化するかを,自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラ
シミュレータで IEC 60904-1 に準拠して決定することを目的とする。
10.7.2
装置
低放射照度における特性の測定には,次の装置を用いる。
a)
照射光源(自然光又は IEC 60904-9 クラス B 以上のソーラシミュレータ)
b) IEC 60904-10
に適合し,分光放射照度分布及び放射照度の均一性に影響を与えないで放射照度を 200
W・m
−
2
まで変えるのに必要な装置。
c)
IEC 60904-2
に準拠する基準太陽電池。
d)
照射ビームと直角な面に,供試品と基準太陽電池とを支持する適切な架台。
e)
供試品及び基準太陽電池の温度を±1 ℃の精度及び±0.5 ℃の繰返し性で監視する手段。
f)
供試品及び基準太陽電池の電流を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
g)
供試品及び基準太陽電池の電圧を読取値の±0.2 %の精度で測定する装置。
10.7.3
手順
25 ℃±2 ℃及び 200 W・m
−
2
の放射照度(適切な基準太陽電池で測定)での電流電圧特性を,自然光又
は IEC 60904-9 の要求事項に適合するクラス B 以上のソーラシミュレータで,IEC 60904-1 に準拠して測
定する。放射照度は中性フィルタ又は分光放射照度分布に影響しない技術を用いて,規定レベルまで下げ
なければならない(分光放射照度分布を変えないで放射照度を減らす指針に関する IEC 60904-10 を参照)
。
10.8
屋外暴露試験
10.8.1
目的
この試験はモジュールの屋外条件下での耐久性を一次的に評価し,また,試験所の試験では検出しにく
い相乗的な劣化への影響を把握することを目的とする。
注記 試験期間が短いこと及び試験条件が環境によって変わり得ることから,この試験に合格したこ
とをもってモジュール寿命を評価する場合には,注意を払う。この試験は,起こり得る問題に
対する指針又は指標としてだけ扱う。
10.8.2
装置
屋外暴露試験には,次の装置を用いる。
a)
±5 %未満の不確かさで積算日射量を測定できる装置。
20
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
b)
積算日射量計と同一平面上に,製造業者が推奨するとおりにモジュールを取り付ける手段。
c) STC
におけるモジュールが最大出力点近くで動作するような負荷。
10.8.3
手順
屋外暴露試験の手順は,次による。
a)
モジュールに抵抗負荷を接続し,屋外の積算日射量計と同一平面に製造業者が推奨するように取り付
ける。モジュールを試験する前に,製造業者が推奨するホットスポット現象からモジュールを保護す
る何らかの装置を設けなければならない。
b) JIS C 60721-2-1
で規定する一般的な屋外気候に適合する条件下で,積算日射量計で測った積算日射量
が 60 kWh・m
−
2
に達するまでモジュールをさらす。
10.8.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.8.5
要求事項
屋外暴露試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥がない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.9
ホットスポット耐久試験
10.9.1
目的
この試験は,ホットスポットによるセル温度上昇の影響,例えば,はんだの溶融又は封止の劣化に対す
るモジュールの耐久性を決定することを目的とする。この欠陥は,セルの不整合,き裂,内部接続の不良,
部分的な日陰及び汚損によって誘発され得る。
10.9.2
ホットスポットの作用
ホットスポットは,影がかかったセル又は不良のセル(又はセル群)の短絡電流がモジュールの動作電
流以下になると発生する。このような条件になると,影響を受けたセル又はセル群は逆バイアスが加わり
電力を消費し,温度上昇を引き起こす。
図 6 は,一つのセル Y が部分的に影になったセルの直列体からなる一つのモジュールにおけるホットス
ポットの効果を図示している。Y で消費される電力は,モジュール電流と Y に生じる逆電圧との積に等し
い。いかなる放射照度においても,最大出力は短絡条件,すなわち,Y に生じる逆電圧とモジュールの残
りの (S−1) 個のセルが発生する電圧とが等しいときに,消費される。これは,
図 6 において,セル Y の
逆方向 I-V 特性と (S−1) 個のセルの順方向 I-V 特性の鏡像との交点で作図されるハッチングされた四角形
で示される。
逆方向特性は,セルによって変わるので,
図 7 に示すように逆方向特性が試験制限領域をどのように交
差するかによって,セルを電圧制限形(タイプ A)又は電流制限形(タイプ B)に分類することが必要で
ある。
図 6 は,不良又は部分的に影になっているタイプ A のセルにおける最大消費条件を図示する。これは,
逆方向特性が (S−1) の特性の鏡像と最大出力動作点で交差するときに発生する。
一方,
図 8 は,タイプ B のセルにおける最大消費は,セルが完全に影になったときに起きることを示す。
しかし,
この場合,
消費される電力はモジュールの全電力のごく一部であるかもしれないことに注意する。
21
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
図 6−タイプ A セルのホットスポット効果
図 7−逆方向特性
図 8−タイプ B セルのホットスポット効果
22
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
10.9.3
セル内部接続の分類
モジュール中の太陽電池セルは,次の方法のいずれかで接続されている。
ケース S
:セル S 個の直列接続の 1 列(
図 6)。
ケース SP
:並直列接続,すなわち,S 個の直列接続セルを P 列並列に接続(
図 9)。
ケース SPS
:直並直列接続,すなわち,S 個の直列接続セルを P 列並列にしたブロックを B 個直列
接続(
図 10)。
バイパスダイオードがある場合,セルの逆電圧が制限されるので,供試回路部分が明確になる。モジュ
ールの回路構成によって,個別のホットスポット試験手順が必要となる。最大内部電力の消費は,モジュ
ールが短絡されたときに起きる。
注記 ダイオードの最大内部電力消費は,バイパスダイオードによって保護する回路要素が短絡され
るときに生じる。通常,これは全モジュールを短絡することによって生じる。
ダイオードが取り付けられていないモジュールの場合は,バイパスダイオードを取り付ける
前に製造業者の据付指示書で,モジュールの推奨最大直列数を調べる。推奨するモジュールの
最大数が 2 以上の場合,試験は,モジュールをその最大数直列にして実施するのが望ましい。
この数が大きい場合,試験モジュール以外はすべて定電流源で代用してもよい。この場合,定
電流源の電流は 5 時間の暴露中 I
MP
に設定するのが望ましい。
図 9−ケース SP:並直列接続
図 10−ケース SPS:直並直列接続
10.9.4
装置
ホットスポット耐久試験には,次の装置を用いる。
a)
照射源 1 自然光,又は放射照度 700 W・m
−
2
以上,不均一性±2 %で,時間安定性が±5 %以内の定常
光式ソーラシミュレータ。
b)
照射源 2 自然光,又は放射照度 1 000 W・m
−
2
±10 %の IEC 60904-9 クラス C 以上の定常光式ソーラ
23
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
シミュレータ。
c)
モジュール用 I-V カーブトレーサ
d)
供試セルに 5 %ずつ日陰を増加できる不透明遮へい板一式。
e)
必要な場合,適切な温度計。
10.9.5
手順
製造業者が推奨するホットスポット保護装置は,
モジュールを試験する前に取り付けなければならない。
10.9.5.1
ケース S
ケース S によるホットスポット耐久試験の手順は,次による。
a)
覆われていないモジュールを,安定した放射照度 700 W・m
−
2
以上の照射源 1 にさらす。I-V 特性を測
定し,最大出力動作電流 I
MP
を決定する。
b)
モジュールを短絡し,次のいずれかの方法でセルを選択する。
1)
安定した放射照度 700 W・m
−
2
以上の照射源 1 にさらしたモジュールについて,適切な温度検出器を
用いて最高温度セルを決定する[赤外線 (IR) カメラを推奨する。
]
。
2) a)
に規定する放射照度の下で,各セルを順番に完全に覆い,覆われたときの短絡電流の減少量が最
大となるセル又はセル群の一つを選択する。この手順において,放射照度は±5 %を超えて変化し
てはならない。
c)
a)
と同じ放射照度 (±3 %) の下で,選択したセルを完全に覆い,かつ,モジュールの短絡電流 I
SC
が
a)
で決定した最大出力動作電流より小さいことを確認する。この条件が生じないときは,一つのセル
では最大出力消費の条件は設定できない。この場合,選択したセルを完全に覆った状態とし,d) を省
略して,次に進む。
d)
モジュールの I
SC
が I
MP
に限りなく近づくまで,選択したセルの影面積を徐々に減らす。この状態で選
択したセルで最大出力が消費される。
e)
モジュールを照射源 2 にさらす。I
SC
に注目し,I
SC
を規定値に維持するために,必要な場合,覆いを
再調整して,モジュールを最大出力消費の状態に維持する。これらの条件の下でモジュール温度は
50 ℃±10 ℃であることが望ましい。
f) 5
時間の全暴露時間の間,この条件を維持する。
10.9.5.2
ケース SP
ケース SP によるホットスポット耐久試験の手順は,次による。
a)
覆われていないモジュールを,安定した放射照度 700 W・m
−
2
以上の照射源 1 にさらす。I-V 特性を測
定し,最大ホットスポット電力消費条件に対応する短絡電流 I
SC
(*) を,すべての列が同じ電流を発生
すると仮定して,次の式から決定する。
P
I
P
P
I
I
MP
SC
SC
1
(*)
+
−
×
=
ここに,
I
SC
:
覆われていないモジュールの短絡電流 (A)
I
MP
:
覆われていないモジュールの最大出力動作電流 (A)
P: モジュール中の並列数
b)
モジュールを短絡し,次のいずれかの方法でセルを選択する。
1)
安定した放射照度 700 W・m
−
2
以上の照射源 1 にさらしたモジュールについて,適切な温度検出器を
用いて,最高温度セルを決定する。
2) a)
に規定する放射照度の下で,各セルを順番に完全に覆い,覆われたときの短絡電流の減少量が最
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
大となるセルを見つける。この手順において,放射照度は±5 %を超えて変化してはならない。
c)
a)
と同じ放射照度 (±3 %) の下で,選択したセルを完全に覆い,モジュールの短絡電流 I
SC
が a) で
決定した短絡電流 I
SC
(*) より小さいことを確認する。この条件が生じないときは,一つのセルでは最
大出力消費の条件を設定できない。この場合,選択したセルを完全に覆った状態とし,d) を省略して,
次に進む。
d)
モジュールの I
SC
が I
SC
(*) に限りなく近づくまで,選択したセルの影面積を徐々に減らす。この状態
で選択したセルで最大出力が消費される。
e)
モジュールを照射源 2 にさらす。I
SC
に注目し,I
SC
を規定値に維持するために,必要な場合,覆いを
再調整して,モジュールを最大出力消費の状態に維持する。これらの条件の下でモジュール温度は
50 ℃±10 ℃であることが望ましい。
f) 5
時間の全暴露時間の間,この条件を維持する。
10.9.5.3
ケース SPS
ケース SPS によるホットスポット耐久試験の手順は,次による。
a)
モジュールを短絡し,安定した放射照度 700 W・m
−
2
以上の照射源 1 にモジュールをさらす。モジュー
ル中のセルの少なくとも 30 %を無作為に選び,各セルを順番に完全に覆い,セル温度を,熱画像装置
又はほかの適切な手段を用いて測定する。
b) a)
で測定した最高温度セルを完全に覆う。
c)
その温度を監視しながら,遮へい面積を徐々に減少させ,最高温度となる条件を決める。
d)
モジュールを照射源 2 にさらし,c) で定めた遮へい条件にモジュールを維持する。これらの条件の下
でモジュール温度は 50 ℃±10 ℃であることが望ましい。
e) 5
時間の全暴露時間の間,この条件を維持する。
10.9.6
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.9.7
要求事項
ホットスポット耐久試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。著しい目視上の欠陥がない場合,二つの
セルを追加して試験を繰り返す。その二つのセルのいずれにも損傷がない場合,そのモジュールはホ
ットスポット試験に合格とみなす。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.10
紫外線前処理試験
10.10.1
目的
紫外線劣化に敏感なモジュール材料及び接着による結合部を特定するために,温度サイクル及び結露凍
結試験前に,モジュールを紫外線照射によって前処理することを目的とする。
10.10.2
装置
紫外線前処理試験には,次の装置を用いる。
a)
紫外線照射中にモジュール温度を制御する装置。この装置はモジュール温度を 60 ℃±5 ℃に保つこ
とができなければならない。
b)
モジュール温度を±2 ℃の精度で測定し記録するための手段。温度センサはモジュールの前面又は裏
面の中央近くに取り付けなければならない。モジュールを複数個同時に試験する場合,代表サンプル
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C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
1 個の温度を監視すればよい。
c) 280
〜320 nm 及び 320〜385 nm の波長範囲内の紫外線光源によってモジュール試験平面で±15 %の不
確かさで積算照射量を測定できる計器。
d)
モジュール試験平面で±15 %の放射照度均一性をもち,280 nm 未満の波長においてほとんど放射照度
がなく,かつ,10.10.3 で規定する対象スペクトル範囲において必要な照射量を供給できる紫外線光源。
10.10.3
手順
紫外線前処理試験の手順は,次による。
a)
校正した放射計を用いてモジュール試験平面の放射照度を測定する。280〜385 nm 間の波長において
放射照度は,250 W・m
−
2
(すなわち,自然光レベルの約 5 倍)を超えてはならない。放射照度は試験
平面上で±15 %の均一性をもたなければならない。
b)
試験平面の a) で測定した位置に,紫外線に直角に回路を開放したモジュールを取り付ける。モジュ
ール温度が 60 ℃±5 ℃であることを確かめる。
c) 280
〜385 nm の波長で 15 kWh・m
−
2
,かつ,280〜320 nm の波長で 5 kWh・m
−
2
以上の積算照射量にモジ
ュールをさらす。その間モジュール温度を規定範囲に保つ。
10.10.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.10.5
要求事項
紫外線前処理試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.11
温度サイクル試験
10.11.1
目的
この試験は,温度変化の繰返しに起因する熱的不整合,疲労及びその他のストレスに対するモジュール
の耐久性を調べることを目的とする。
10.11.2
装置
温度サイクル試験には,次の装置を用いる。
a)
自動制御装置,内部の空気を循環するための手段及び試験中のモジュールへの結露を防止するための
手段をもち,一つ以上のモジュールを
図 11 の熱サイクルにさらすことが可能である環境試験槽。
b)
周囲空気の自由な循環を可能とするように,試験槽内にモジュールを設置又は支持する手段。架台又
は支持体の熱伝導性は,モジュールに熱的に影響しない程度に低くなければならない。
c)
モジュール温度を精度±1 ℃で測定及び記録するための手段。温度センサはモジュールの前面又は裏
面のほぼ中央に取り付けなければならない。複数のモジュールを同時に試験する場合,1 枚の代表モ
ジュールの温度を監視すればよい。
d)
試験中,各モジュールの STC ピーク出力電流に等しい電流を加える手段。
e)
試験中,各モジュールの内部回路の導通状態を監視するための手段。
26
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
図 11−温度サイクル試験
10.11.3
手順
温度サイクル試験の手順は,次による。
a)
室温のモジュールを,試験槽内に設置する。
b)
温度監視装置を,温度センサに接続する。モジュールの正極端子を電源の正極端子に,負極の端子を
電源の負極端子につなぐ。200 回の温度サイクル試験中,電流を STC ピーク出力電流に±2 %以内で
設定する。モジュール温度が 25 ℃を超えるときだけに電流を保持する。50 回の温度サイクル試験中,
電流は流さなくてもよい。
c)
試験槽を閉じ,モジュールの周囲の空気を 2 m・s
−
1
以上の速度で循環させ,
図 11 に示すようにモジュ
ール温度を−40 ℃±2 ℃と+85 ℃±2 ℃との間で周期的に変化させる。下限と上限との間の温度変
化速度は 100 ℃/h 以下とし,モジュール温度は,各上下限で 10 分間以上維持しなければならない。
長いサイクルが必要な熱容量をモジュールがもつ場合を除いて,1 サイクルの時間は 6 時間以下とす
る。サイクル数は
図 1 に示す値とする。
d)
試験中,モジュール温度を記録し,かつ,各モジュールの電流を監視しなければならない。
注記 並列回路をもったモジュールでは,一つのブランチ中のオープン回路は電圧の不連続を引き
起こすが,電圧は 0 にはならない。
10.11.4
最終測定
1 時間以上の回復時間の後に,10.1〜10.3 の試験を繰り返す。
10.11.5
要求事項
温度サイクル試験の要求事項は,次による。
− 試験中に電流の遮断があってはならない。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
27
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
10.12
結露凍結試験
10.12.1
目的
この試験は,高温及び高湿度の後に,温度が 0 ℃以下に低下した場合のモジュールの耐久性を調べるこ
とを目的とする。これは熱衝撃試験ではない。
10.12.2
装置
結露凍結試験には,次の装置を用いる。
a)
自動温湿度制御をもち,
一つ以上のモジュールを
図 12 の結露凍結サイクルにさらすことが可能な環境
試験槽。
b)
モジュールを試験槽中に取り付けるか又は支える手段。周囲空気の自由な循環を可能にし,取付台又
は支持台の熱伝導は非常に低く,実質的にモジュールは熱絶縁されているようにしなければならない。
c)
モジュール温度を精度±1 ℃で測定及び記録するための手段(複数のモジュールを同時に試験する場
合,1 枚の代表モジュールの温度を監視すればよい。
)
。
d)
試験中,各モジュールの内部回路の導通状態を監視するための手段。
100
/h
200
/h
0.5 h
4 h
20 h
h
85
0
40
10
85
5
図 12−結露凍結サイクル
10.12.3
手順
結露凍結試験の手順は,次による。
a)
適切な温度センサを,モジュールの前面又は裏面のほぼ中央に取り付ける。
b)
モジュールを室温で環境試験槽に設置する。
c)
温度監視装置を,温度センサに接続する。
d)
試験室を閉じ,
図 12 に示すようにモジュールに 10 サイクルを施す。温度の上限及び下限は,指定値
の±2 ℃以内,相対湿度は,室温以上のすべての温度において規定値の±5 %に保たなければならな
い。
e)
試験中,モジュール温度を記録する。
28
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
10.12.4
最終測定
2〜4 時間の回復時間の後に,10.3 の試験を繰り返す。10.1 及び 10.2 の試験を繰り返す。
10.12.5
要求事項
結露凍結試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.13
高温高湿試験
10.13.1
目的
この試験は,湿度の長期にわたる浸透に対するモジュールの耐久性を調べることを目的とする。
10.13.2
手順
高温高湿試験は,JIS C 60068-2-78 に従って次の項目について実施する。
a)
前処理 室温のモジュールを,前処理なしに試験槽に入れる。
b)
条件 次の条件を適用する。
試験温度 85 ℃±2 ℃
相対湿度 (85±5) %
試験時間 1 000 時間
10.13.3
最終測定
2〜4 時間の回復時間の後に,10.3 及び 10.15 の試験を繰り返す。10.1 及び 10.2 の試験を繰り返す。
10.13.4
要求事項
高温高湿試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁試験及び湿潤漏れ電流試験は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.14
端子強度試験
10.14.1
目的
この試験は,端子及びモジュール本体への端子の取付けの,通常の組立又は取扱作業中に加わるような
ストレスに対する耐久性を調べることを目的とする。
10.14.2
端子の種類
次の三つの種類のモジュール端子が考えられる。
− タイプ A:電線又は接続リード
− タイプ B:タグ,ねじ付きスタッド,ねじなど
− タイプ C:コネクタ
10.14.3
手順
端子強度試験の手順は,次による。
前処理:標準的な大気条件に 1 時間さらす。
10.14.3.1
タイプ A 端子
引張試験:JIS C 60068-2-21 の試験 U
a1
に規定するように,次の条件に従って行う。
− すべての端子を試験しなければならない。
− 引張力はモジュール重量を超えてはならない。
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C 8990
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曲げ強さ試験:JIS C 60068-2-21 の試験 U
b
に規定するように,次の条件に従って行う。
− すべての端子を試験しなければならない。
− JIS C 60068-2-21 に規定する方法 1 を 10 サイクル(1 サイクルは各逆方向に 1 回曲げ)
10.14.3.2
タイプ B 端子
引張試験及び曲げ強さ試験:
a)
端子が露出しているモジュールの場合,各端子はタイプ A 端子と同様に試験しなければならない。
b)
端子が保護箱に入っている場合,次の手順を適用しなければならない。
− 製造業者が推奨する太さ及び種類のケーブルを適切な長さに切って,製造業者が推奨する手順で箱
内の端子に接続する。接続線を用意されたケーブル押さえ装置を用いて押さえ,ケーブルを端子箱
のケーブルグランド孔を通して引き出す。箱のふたを元に戻す。この状態でタイプ A と同様の試験
を行う。
トルク強さ試験:JIS C 60068-2-21 の試験 U
d
に規定するように,次の条件に従って行う。
− すべての端子を試験しなければならない。
− トルクは,JIS C 60068-2-21 の
表 5(トルク及び厳しさ)の厳しさ 1 を適用する。
ナット又はねじは,永久取付用に特別に設計されていない限り,後で緩めることができることが望まし
い。
10.14.3.3
タイプ C 端子
製造業者が推奨する太さ及び種類のケーブルを適切な長さに切って,コネクタの出力端に接続し,タイ
プ A 端子の試験を行わなければならない。
10.14.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.14.5
要求事項
端子強度試験の要求事項は,次による。
− 機械的損傷があってはならない。
− STC における最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
10.15
湿潤漏れ電流試験
10.15.1
目的
この試験は,湿潤運転条件下でのモジュールの絶縁性能を評価すること,及び腐食,地絡又は災害の原
因となる湿気(雨,霧,露又は融雪)がモジュールの充電部に入らないことの検証を目的とする。
10.15.2
装置
湿潤漏れ電流試験には,次の装置を用いる。
a)
フレーム付きモジュールを溶液中に水平に配置できるのに十分な大きさの浅い水槽又は容器。容器に
は,次の要求事項を満たす水又は湿潤活性溶液を入れる。
体積抵抗率:3 500 Ω・cm 以下
表面張力 :0.03 N・m
−
1
以下
温度 :22 ℃±3 ℃
溶液の深さは,浸せきを考慮して設計されていない接続箱の入り口を除くすべての表面を覆うに十分
でなければならない。
b)
同じ溶液が入った噴霧器
30
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
c) 500
V 又はモジュールの最大定格システム電圧のいずれか大きい方の電圧を印加することができる直
流電圧源(電流制限付き)
。
d)
絶縁抵抗測定装置
10.15.3
手順
すべての接続は推奨する屋外配線と同等とし,漏れ電流がモジュールに取り付けた計測用の配線から生
じてはならない。湿潤漏れ電流試験の手順は,次による。
a)
浸せきを考慮して設計されていない接続箱の入り口を除くすべての表面を覆うのに十分な深さまで,
モジュールを規定の溶液が入れられた容器中に浸す。配線口は溶液で完全に噴霧しなければならない。
モジュールが接続用コネクタ付きの場合,コネクタを試験中浸せきすることが望ましい。
b)
短絡したモジュールの出力端子を試験装置の正極端子に接続する。適切な金属線を使って試験溶液を
試験装置の負極端子に接続する。
c) 500
V・s
−
1
以下の上昇速度で 500 V 又はモジュールの最大定格システム電圧のいずれか大きい方の電
圧まで印加電圧を上げる。この電圧を 2 分間維持し,絶縁抵抗を決定する。
d)
モジュールの残存電荷を放電させるために,印加電圧を 0 に下げ,試験装置の端子を短絡する。
10.15.4
要求事項
湿潤漏れ電流試験の要求事項は,次による。
− 面積が 0.1 m
2
未満のモジュールの場合,絶縁抵抗は 400 MΩ 以上とする。
− 面積が 0.1 m
2
以上のモジュールの場合,
(絶縁抵抗の測定値)×(モジュール面積)は 40 MΩ・m
2
以上
とする。
10.16
機械的荷重試験
10.16.1
目的
この試験は,モジュールの風,雪,静的荷重又は氷荷重に対する耐久性を調べることを目的とする。
10.16.2
装置
機械的荷重試験には,次の装置を用いる。
a)
モジュールの前面を上又は下にして取り付けることができる剛性のある試験台。試験台は荷重を加え
ている間,モジュールが自由に変形することができなければならない。
b)
試験中,モジュールの電気導通性を監視する計器。
c)
ゆっくりと一様に荷重を加えることができる,適切なおもり又は圧力。
10.16.3
手順
機械的荷重試験の手順は,次による。
a)
内部回路の導通を試験中に連続して監視できるようにモジュールをセットする。
b)
製造業者が指示する方法によって,丈夫な支持構造体にモジュールを取り付ける(様々な可能性があ
る場合,固定点間の距離が最大となる,最悪の方法を用いる。
)
。
c)
モジュールの表面に,一様な荷重を 2 400 Pa になるまで徐々に加える(この荷重は,空気圧又は全表
面を覆うおもりによって加えてもよい。
後者の場合,
モジュールは水平に設置しなければならない。
)
。
この荷重を,1 時間保持する。
d)
モジュールを丈夫な支持構造体から取り外すことなく,モジュールの裏面に同じ手順を適用する。
e)
ステップ c) 及び d) を,3 サイクル繰り返す。
2 400 Pa は,突風に対する安全係数 3 を加味した 130 km・h
−
1
の風圧(約±800 Pa)に相当する。モジュ
ールが雪及び氷の重荷重に耐えることが必要である場合,この試験の最後のサイクルにおいてモジュール
31
C 8990
:2009 (IEC 61215:2005)
表面に加える荷重は,2 400 Pa から 5 400 Pa に増やす。
10.16.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.16.5
要求事項
機械的荷重試験の要求事項は,次による。
− 試験中に断続的な開放故障が検出されてはならない。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗が,初期測定の場合と同様の要求事項を満たさなければならない。
10.17
降ひょう(雹)試験
10.17.1
目的
この試験は,モジュールがひょう(雹)の衝撃に耐え得ることを検証することを目的とする。
10.17.2
装置
降ひょう試験には,次の装置を用いる。
a)
所定の直径の氷球を作るための適切なジグ。氷球の標準直径は 25 mm とするが,特殊な環境に対して,
表 2 に示すような他の直径を規定してもよい。
b)
−10 ℃±5 ℃に制御可能な冷凍装置。
c)
氷球を−4 ℃±2 ℃で蓄えておく貯蔵庫。
d)
モジュールを規定の位置で打撃するように,規定速度 (±5 %) で氷球を発射することができる発射装
置。発射装置からモジュールまでの氷球の軌道は,試験要件を満足する限り,水平,垂直又は任意の
中間の角度であってもよい。
e)
発射された氷球の軌道に対して垂直に打撃面を配置できる,製造業者が指定する方法で,試験モジュ
ールを支持するための架台。
f)
氷球の質量を±2 %の精度で計量するためのはかり。
g)
氷球の速度を±2 %の精度で測定するための装置。速度センサは,試験モジュールの表面から 1 m 以
内に設置しなければならない。
一例として,
図 13 に装置の概要を示す。装置は,水平な空気圧式発射機,垂直のモジュール架台,及び
氷球が 2 本の光線間を通過するのに要する時間を電子的に測定する速度計からなる。
これは一例であって,
ぱちんこ式,ばね駆動試験機など他のタイプの装置が実用化されている。
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図 13−降ひょう試験装置
表 2−氷球質量及び試験速度
直径
mm
質量
g
試験速度
m・s
−
1
直径
mm
質量
g
試験速度
m・s
−
1
12.5 0.94 16.0 45
43.9 30.7
15 1.63 17.8 55 80.2
33.9
25 7.53 23.0 65 132.0
36.7
35 20.7 27.2 75 203.0
39.5
10.17.3
手順
降ひょう試験の手順は,次による。
a)
氷用の型及び冷凍装置を用いて,発射装置の事前調整用を含めて,試験のために十分な数の規定寸法
の氷球を作る。
b)
氷球の全数について,き裂,大きさ及び質量を検査する。許容する氷球は,次の基準を満足しなけれ
ばならない。
− 裸眼で見えるき裂がない。
− 直径は,
表 2 の該当する直径に対して±5 %。
− 質量は,
表 2 の該当する質量に対して±5 %。
c)
貯蔵庫に氷球を入れ,使用前に 1 時間以上保管する。
d)
氷球発射装置の氷球が接触するすべての面の温度が室温付近であることを確認する。
e)
g)
に従って模擬ターゲットに向かって数回試射し,規定位置の速度センサで測定した氷球の速度が
表
2
の該当する降ひょう試験速度の±5 %になるまで,発射装置を調整する。
f)
打撃面が氷球の軌道に垂直になるように,室温のモジュールを規定の固定台に取り付ける。
g) 1
個の氷球を貯蔵庫から取り出し,発射装置に入れる。
表 3 に規定する打撃位置を的にして発射する。
氷球を貯蔵庫から取り出してモジュールに当てるまでの時間は,60 秒を超えてはならない。
h)
打撃領域の損傷についてモジュールを点検し,目に見える打撃の影響を記録する。規定位置(的)か
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C 8990
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らの誤差は 10 mm までは許容する。
i)
モジュールに損傷がない場合,
表 3 及び図 14 に示すすべてのほかの打撃位置について,g) 及び h) を
繰り返す。
表 3−打撃位置
打撃番号
位置
1
フレームから 50 mm 以内のモジュール表面のコーナー
2
フレームから 12 mm 以内のモジュールの端部
3,4
セル端部のインターコネクタ近傍
5,6
セル間の最小のすき間
7,8
フレームから 12 mm 以内のモジュールの開口部
9,10
モジュール開口部の,打撃番号 7 及び 8 に対して最も遠い点
11
ひょうに対して特に弱いと思われる点
図 14−モジュールの打撃位置
10.17.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.17.5
要求事項
降ひょう試験の要求事項は,次による。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗が,初期測定の場合と同じ要求事項を満たさなければならない。
10.18
バイパスダイオード温度試験
10.18.1
目的
この試験は,モジュールのホットスポット作用を保護するのに使用するバイパスダイオードの熱設計の
妥当性及び比較的長期の信頼性を評価することを目的とする。
モジュールタイプによってバイパスダイオードが組み込まれているために試験中にバイパスダイオード
にアクセスできない場合,この試験のために特別なサンプルを準備することができる。このサンプルは試
験中の標準生産モジュールとできる限り類似であって,ダイオードの温度を測定するため試験中にアクセ
スできなければならない。この特別な試験サンプルはバイパスダイオード温度試験だけに使用し,試験シ
ーケンスの他の試験に使用してはならない。
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10.18.2
装置
バイパスダイオード温度試験には,次の装置を用いる。
a)
モジュールを 75 ℃±5 ℃の温度に加熱する手段。
b)
モジュール温度を±1 ℃の精度で測定して記録するための手段。
c)
モジュールに取り付けられているバイパスダイオードの温度を測定する手段。ダイオードの特性変化
又は熱移動を最小にするよう注意しなければならない。
d)
試験中モジュールの STC で測定した短絡電流の 1.25 倍に等しい電流を供給する手段及び試験中モジ
ュールを流れる電流を監視する手段。
10.18.3
手順
バイパスダイオード温度試験の手順は,次による。
a)
モジュールに組み込まれているブロッキングダイオードを電気的にショートさせる。
b)
モジュールの STC で測定した短絡電流値を,そのラベル又は使用説明シートから決定する。
c)
試験中バイパスダイオードの温度を測定する準備をする。
d)
製造業者の推奨する最小線径の電線を,モジュールの出力端子に接続する。配線区画への電線の配線
に対する製造業者の推奨事項に従い,配線区画のカバーを取り替える。
注記 1 モジュールによっては共通のバイパスダイオード回路をもっている。この場合には,すべ
ての電流が一つのバイパスダイオードに流れることを確実にするために,ジャンパー線を
取り付けることが必要な場合がある。
e)
モジュールを 75 ℃±5 ℃に加熱する。STC±2 %で測定した,モジュールの短絡電流に等しい電流を
加える。1 時間後,各バイパスダイオードの温度を測定する。ダイオード製造業者が提供する情報を
用いて,測定したケース温度及びダイオードで消費した電力からジャンクション温度を,次の式を用
いて計算する。
D
D
THjc
case
j
I
U
R
T
T
⋅
⋅
+
=
ここに,
T
j
:
ダイオードジャンクション温度 (℃)
T
case
:
測定したダイオードケース温度 (℃)
R
THjc
:
ジャンクション温度をケース温度に関係付ける製造業者の
特性値
U
D
:
ダイオード電圧 (V)
I
D
:
ダイオード電流 (A)
モジュールが,ダイオードの運転温度を下げるために,特別に設計したヒートシンクを備えている
場合,1 000 W・m
−
2
,周囲温度 43 ℃±3 ℃,及び無風の条件でヒートシンクが到達する温度で,この
試験を実施してもよい。
f)
モジュール温度を 75 ℃±5 ℃に維持しながら,STC で測定したモジュールの短絡電流の 1.25 倍の電
流を流す。1 時間電流を流し続ける。
g)
ダイオードが依然として動作することを検証する。
注記 2 ダイオードの動作はその後行うホットスポット耐久試験 (10.9) によって検証できる。
10.18.4
最終測定
10.1
〜10.3 の試験を繰り返す。
10.18.5
要求事項
バイパスダイオード温度試験の要求事項は,次による。
− 10.18.3 e) で決定したダイオードジャンクション温度は,ダイオード製造業者の最大ジャンクション
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温度定格を超えてはならない。
− 箇条 7 で規定する著しい目視上の欠陥があってはならない。
− 最大出力の低下が試験前の測定値の 5 %以下である。
− 絶縁抵抗は,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
− 試験終了後もダイオードは,ダイオードとして機能しなければならない。
附属書 A
(
参考)
IEC 61215 : 1993
から IEC 61215 : 2005 への変更点
(対応国際規格の参考を不採用とした。
)