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C 8956:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 構造設計························································································································· 2 

4.1 屋根置き形アレイの構成 ································································································· 2 

4.2 モジュール ··················································································································· 3 

4.3 アレイ用支持物 ············································································································· 4 

5 施工······························································································································· 6 

5.1 準備作業 ······················································································································ 6 

5.2 安全対策 ······················································································································ 7 

5.3 設置工事 ······················································································································ 8 

5.4 電気配線工事 ················································································································ 8 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電機

工業会(JEMA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS C 8956:2004は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 8956:2011 

住宅用太陽電池アレイ(屋根置き形)の 

構造系設計及び施工方法 

Structural design and installation for residential photovoltaic array  

(roof mount type) 

序文 

この規格は,2004年に制定したが,システム設置の安全性を増すために改正した。 

なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,出力20 kW未満の住宅屋根用太陽光発電システムに用いる太陽電池アレイ(以下,アレイ

という。)のうち,陸屋根又は勾配屋根に設置する方式の構造に関する設計及び施工方法について規定する。

この規格は結晶系アレイに適用する。 

なお,この規格では,次のアレイを除く。 

a) 集光式及び追尾式アレイ。 

b) 太陽光及び太陽熱によるハイブリッド形アレイ。 

c) 屋根ふ(葺)き材などの建材としての機能をもつアレイ。 

d) ACモジュールで構成するアレイ。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 8918 結晶系太陽電池モジュール 

JIS C 8955 太陽電池アレイ用支持物設計標準 

JIS C 8960 太陽光発電用語 

JIS C 8981 住宅用太陽光発電システム電気系安全設計標準 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 8955及びJIS C 8960によるほか,次による。 

3.1 

屋根置き形 

通常の屋根に支持物を介して太陽電池モジュール(以下,モジュールという。)を設置するアレイの方式。

ただし,屋根材としての機能はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.2 

見掛け屋根一体形 

機能面では屋根置き形と同じで,仕上がり状態でアレイ周囲の屋根面とアレイ面とを同一レベルにして,

支持物及び配線材を隠蔽するアレイの方式。 

3.3 

重量基礎 

アレイを建物の構造材に接続しないで,陸屋根に設置する場合に適用する基礎。 

構造設計 

4.1 

屋根置き形アレイの構成 

屋根置き形の一般的な基本構成の例を,次に示す。 

a) 建物主要構造材に固定する方法の構成例 モジュールの支持物(架台又は支持金具)を,建物(屋根)

の主要構造材である,たる木,もやなど(木造の場合)に,又はスラブの鉄筋(RC造などの場合)

に固定する。木造住宅の場合の構成例を図1に示す。また,見掛け屋根一体形アレイの構成例を図2

に示す。 

図1−強度が確保可能な構造材に固定する方法の構成例 

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図2−見掛け屋根一体形の構成例 

b) 重量基礎による固定方法の構成例 重量基礎は,モジュール,支持物(架台)及び基礎であり,地上

設置形アレイと同じ構成とする。重量基礎は,基礎自体の質量でアレイを固定するもので,陸屋根に

適用するが,建物の構造材と接続しないことから,既設の屋根に設置する場合に適している。ただし,

アレイの転倒及び移動などによる危害を防止するための有効な措置(転倒及び移動防止ワイヤなど)

をとる必要がある。 

重量基礎による固定方法の構成例を図3に示す。 

図3−重量基礎による固定方法の構成例 

4.2 

モジュール 

モジュールは,次による。 

a) 構造・形状 JIS C 8918の7.1(構造),7.2(接地端子)及び7.3(出力端子)による。 

b) 材料 JIS C 8918による。 

c) 外形寸法 運搬・組立などの作業性,架台・屋根への取付間隔及び他種モジュールとの互換性を考慮

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

しなければならない。 

d) 質量 運搬・組立などの作業性を考慮しなければならない。 

e) 強度又は安全性 モジュールの強度は,次の想定荷重を考慮するとともに,耐風圧を除き,JIS C 8918

の6.2(機械的性能)を満足しなければならない。 

1) 固定荷重 モジュールの質量(GM) 

2) 風圧荷重 モジュールに加わる風圧力(WM) 

3) 積雪荷重(S) モジュール面の垂直積雪荷重 

各荷重の詳細な計算方法は,JIS C 8955による。 

f) 

配線方式 設置時の配線,保守などの作業性を考慮しなければならない。 

4.3 

アレイ用支持物 

アレイ用支持物は,次による。 

a) 構造 

1) 構造一般 支持物の構造は,屋根への取付け,組立,モジュールの固定などの作業が容易に行うこ

とができなければならない。また,破損などによるモジュールの交換作業も考慮し,モジュールを

1枚ずつ取り外し,取付作業が行うことができなければならない。 

勾配屋根にモジュールを平行設置する場合には,作業性,モジュールへの風圧荷重,太陽電池温

度の上昇,屋根上の砂・泥などの雨水による流れを考慮し,屋根面との間隔を5〜10 cmとする。た

だし,荷重及び性能上問題がない場合は,この限りではない。 

2) 屋根への取付部分の構造例 

2.1) 支持金具方式 各種屋根材への対応が可能で,支持金具を取り付ける部分の屋根ふ(葺)き材の

加工が必要な方式である(図4参照)。 

単位 mm 

a) 外観  

b) 設置断面 

図4−支持金具方式の構造例 

2.2) 支持瓦方式 あらかじめ支持金具を付けた専用の瓦を使用し,通常の瓦に置き換え屋根に固定し,

架台を支持する方式である(図5参照)。 

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図5−支持瓦方式の構造例 

3) モジュールの取付部分の構造例 

3.1) モジュール表面で固定する構造 モジュール裏面に作業空間がなく,モジュール裏側からの固定

作業が困難な場合に適用する構造である(図6参照)。 

図6−モジュール表面で固定する構造例 

3.2) モジュール裏面で固定する構造 モジュール裏面に作業空間があり,モジュールフレームの孔を

利用して,ボルト締めによって架台に固定する構造である。 

b) 質量 運搬・組立などの作業性を考慮する。勾配屋根においては,作業員一人で容易に取り扱えなけ

ればならない。陸屋根においては,作業員二人で取り扱えるものでもよい。ただし,クレーンなどの

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

重機を使用する場合は,この限りではない。 

c) 強度 アレイ用支持物の強度は,次の想定荷重を考慮し決定しなければならない。 

1) 固定荷重(G) モジュールの質量(GM)と支持物の質量(GK)との総和による荷重。 

2) 風圧荷重(W) モジュールに加わる風圧力(WM)と支持物に加わる風圧力(WK)との総和(ベ

クトル和)。 

3) 積雪荷重(S) モジュール面の垂直積雪荷重。 

4) 地震荷重(K) 支持物に加わる水平地震力。 

各荷重の詳細な計算方法は,JIS C 8955による。 

d) 材料及び防食 支持物として使用する材料及びその表面処理は,JIS C 8955の箇条8(材料及びその

許容応力度)及び箇条10(防食)による。 

施工 

5.1 

準備作業 

施工の準備作業は,次による。 

a) 事前調査(現地調査) 太陽光発電システムを設置する場合の事前調査の内容を表1に示す。 

表1−事前調査の内容 

事前調査項目 

調査内容の概要 

1. 設置者との打合せ 

標準太陽電池アレイ出力,設置場所,予算,時期及びその他の特殊条件 

2. 建物の調査 

建物の形状及び工法,立地条件(日照条件,方位など),取付部位(屋根な
ど)の構造並びに予想される荷重に対する強度 

3. 電気設備の調査 

受電契約内容,分電盤の位置,機器の設置場所(パワーコンディショナ,
中継端子箱など),配線経路及び接地方式 

4. 作業環境の調査 

搬入経路,作業スペース,資材保管スペース,周囲の障害物の有無など 

b) 太陽電池アレイの設置場所 太陽電池アレイを屋根に設置するための条件として,次に示す事項を満

足しなければならない。 

1) 屋根に要求される耐久性,防水性及び防火性を満足しなければならない。 

2) 屋根は,アレイを設置した場合に予想できる荷重(固定荷重,風圧荷重,地震荷重など)に耐える

強度がなければならない。 

3) 戸建ての勾配屋根の場合には,アレイは,軒先,けらば及び棟には,設置しないことが望ましい。

ただし,1)及び2)に示すとおり構造強度上の問題がない場合は,この限りではない。 

c) その他の準備 その他に次のような準備が必要である。 

1) 施工方法の選択 事前調査で得られた結果に基づいて,最適な施工方法を選択する。表2に施工方

法の例及び選択の基準を示す。 

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表2−屋根置き形アレイの施工方法例及び選択の基準 

施工方法 

選択の基準 

支持金具方式 

各種屋根材への対応が可能で,支持金具を取り付ける部分の屋根ふ(葺)き材の加
工が必要である。 

緊結固定線方式 

屋根ふきの加工は不要であるが,緊結固定線の定期的な点検が必要である。 

見掛け屋根一体形 

モジュールを取り付ける部分の屋根構造材及び屋根ふき材(鋼板,瓦棒など)の加
工が必要である。 

重量基礎方式 

アンカなどによるアレイの固定が困難な陸屋根に適用可能であるが,屋根面に加わ
る(風圧荷重を含む。)アレイの荷重が,屋根面の強度を超えないことが必要である。 

2) 屋根ふ(葺)き材の保護(留意事項) 

2.1) 屋根面への接触部には荷重を分散させ,屋根材を破損しないようにする。 

2.2) 架台の屋根材への接触部には,緩衝材を敷く。 

なお,緩衝材には,太陽光,風雨などに対して著しい劣化を伴わず,かつ,屋根ふき材などの

品質・強度を低下させないものを使用する。 

2.3) 和瓦の上を歩く場合には,瓦が破損しないように強度の大きい谷の部分に足をかける。 

2.4) スレート屋根など屋根面に凹凸がない場合,雨水の流れを妨げないように,屋根面との間に隙間

を設けるなどの構造とする。 

2.5) スレート板(住宅屋根用化粧スレート)の割れ防止のために,養生材(角材,厚板など)を用い

て平面で荷重を受ける必要がある。 

2.6) 金属板ぶきの場合,溝板及び心木がない中空瓦棒に荷重をかけてはならない。 

2.7) 陸屋根の基礎工事の場合,防水層を破損しないようにする。 

5.2 

安全対策 

安全対策は,次による。 

a) 関連法規制 システムの設置施工に当たっては,労働安全衛生法及びその関連省令に基づいて安全な

作業を行う。 

b) 服装 作業者は自身の安全確保及び二次災害防止のために,作業に適した服装で作業を行う。 

1) ヘルメット(安全帽)を着用する。 

2) 作業場所には安全帯固定用の設備(補助ロープなど)を設置し,安全帯(命綱)を着用する。 

3) 地下足袋などの滑りにくい作業靴を使用する。 

4) 腰袋を着用する(工具及び工事部材の落下防止に使用する。)。 

c) 感電防止 太陽電池は日射があると電圧を発生するため,施工,特に電気配線に当たっては,次に示

すような感電防止対策を施す。 

1) 配線作業の前にモジュールの表面を遮光シートで覆う。ただし,5)の方式による場合は,この限り

でない。 

2) 低圧絶縁手袋を着用する。 

3) 絶縁処理された工具を使用する。 

4) 降雨時の作業は行わない。 

5) 充電部が露出していない防水コネクタによる配線方式又は感電防止に関して同等の性能をもつ配線

方式とする。 

d) その他 モジュールの上での作業及び歩行は行わない。やむを得ず行う場合は,モジュールに損傷を

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与えないように養生を行う。 

5.3 

設置工事 

設置工事は,次による。 

a) モジュールの取付手順 表3に標準的な作業手順を示す。 

表3−標準的なモジュールの取付作業手順 

工事手順 

具体的な内容 

1. 開こん(梱) 

− モジュール,支持金具・架台,附属品などを確保する。 

2. 機材・部材の搬入 

− モジュールの設置位置及び方向を確認する。 
− 据付けに便利な作業場所に機材・部品を搬入する。 

3. 屋根上への支持金具・架

台の取付け 

− 屋根ふ(葺)き材の養生を行う。 

支持金具を取り付ける部分の屋根ふき材及び下地加工 

− 支持金具,支持架台の取付け 

防水処理を施した支持金具の上に架台を設置する。特に積雪が多い地方で

は,すが漏りによる雨漏りの危険性が考えられるので,十分に留意する。 

4. モジュールの屋根上への

引上げ 

− 荷揚げリフトなどを利用する。 
− モジュールのユニット化が必要な場合は,その作業は地上で行う。 

5. モジュールの架台への取

付け 

− モジュールの配列及び取付位置を確認し,ビス・固定金具などによって取り

付ける。 

b) アレイの設置 アレイの設置に必要な要件は,次による。 

1) 支持金具,架台,支持金具と架台との接合部及び屋根下地と支持金具との取付部に用いる部材は,

屋外での長時間の使用に耐え得る材料を用いて構成しなければならない。また,取付部の構造はJIS 

C 8955に規定する固定荷重,風圧荷重,積雪荷重及び地震荷重による外力に対して安全性を確保で

きる強度をもっていなければならない。耐食及び摩耗についても同様とする。 

2) 野地板,屋根ふき材などの屋根構成部材と支持金具との結合部には防水処理を施し,住宅屋根に必

要な防水性能を確保しなければならない。また,1)に加えて各々の建物及び地域の気象条件に適応

した構造及び設置方法の検討を要する。 

3) アレイの施工,メンテナンスなどの作業を行いやすくするため施工及び点検のスペースを確保する。 

4) モジュールの温度上昇を抑えるために,太陽電池と屋根との間に通風用の空間を設ける場合には,

開口部における屋根材の山の部分からモジュール裏面までの間隔は5 cm以上とすることが望まし

い。 

5) 支持金具は,強度が確保できる構造体に固定する。 

6) 美観及び安全性から,架台,支持金具などの露出部を極力少なくする。 

7) モジュールをボルト,ナットなどで固定する場合は,上面側から締付け可能でなければならない。 

8) 塩害については,設置する場所の状況に応じた材料・部材を用いる。 

9) 積雪地域では,雪の滑落による危険がない場合には,アレイの傾斜角度を変えて積雪を自重で滑落

させたり,架台の高さを高くしたりしてアレイが積雪で埋没しないようにする。 

10) 緊結固定線方式では,屋根の傾斜角度が小さい(約15度以下)と負圧(アレイを屋根面から離す方

向)の風圧荷重が大きくなるので対応を要する。 

5.4 

電気配線工事 

電気配線工事は,JIS C 8981の7.(電気配線工事)による。