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日本工業規格

JIS

 C

8940

-1995

アモルファス太陽電池セル・モジュール

屋外出力測定方法

Outdoor measuring method of output power

for amorphous solar cells and modules

1.

適用範囲  この規格は,JIS C 8931 と JIS C 8932 に規定する二次基準アモルファス太陽電池セル及び

二次基準アモルファス太陽電池サブモジュール(以下,二次基準セル・サブモジュールという。

)を使用し

て自然太陽光の下で,平面・非集光形の電力発電を目的とする積層形を除く地上用アモルファス太陽電池

セル,地上用アモルファス太陽電池サブモジュール及び地上用アモルファス太陽電池モジュール(以下,

太陽電池セル・モジュールという。

)の出力特性を測定する方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 1102

  指示電気計器

JIS C 8913

  結晶系太陽電池セル出力測定方法

JIS C 8919

  結晶系太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法

JIS C 8931

  二次基準アモルファス太陽電池セル

JIS C 8932

  二次基準アモルファス太陽電池サブモジュール

JIS C 8934

  アモルファス太陽電池セル出力測定方法

JIS C 8935

  アモルファス太陽電池モジュール出力測定方法

JIS C 8937

  アモルファス太陽電池出力電圧・出力電流の温度係数測定方法

JIS C 8939

  アモルファス太陽電池モジュール

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8113

  照明用語

JIS Z 8120

  光学用語

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 8919JIS C 8931JIS C 8932JIS C 8934JIS 

C 8935JIS C 8937JIS C 8939JIS Z 8103JIS Z 8113

及び JIS Z 8120 の規定による。

3.

測定の状態

3.1

標準状態  太陽電池セル・モジュールの測定は,次の条件で行う(基準状態への換算を行う。)。

(1)

セル・モジュール  温度 10〜70℃

(2)

放射照度  800W/m

2

以上

(3)

採光条件  直達日射,水平面全天日射,傾斜面全天日射のいずれの光も使用できるが,直達日射の入

射角度は 10°以内であること。


2

C 8940-1995

また,測定中の放射照度の変動は 1%以内とし,地表面,周囲の建物などから直達日射の直接反射

がないこと。

3.2

基準状態  基準状態は,次による。

(1)

モジュール温度  25℃

(2)

分光分布  AM1.5 全天日射基準太陽光(

1

)

(

1

)  JIS C 8931

を参照。

(3)   

放射照度  1 000W/m

2

4.

測定装置  測定に用いる機器は,次の条件を満足するものとする。

(1)

計測器は,JIS C 1102 に規定の 0.5 級,又はこれと同等以上のものとする。

なお,抵抗器の許容差は,0.2%以内とする。

(2)

電圧計は,測定中のいかなる場合も,電圧計に流入する電流が,短絡電流 I

sc

の 0.1%を超えないよう

な入力インピーダンスが高いものとする。

(3)

温度を測定する計測器の確度は,±1℃とする。

(4)

二次基準セル・サブモジュールは,JIS C 8931 及び JIS C 8932 の規定に従って校正されたものを用い

る。

なお,測定光源でのスペクトルミスマッチによる測定誤差が±2%以下であることが確認されたとき

には,異なった太陽電池群の二次基準セル・サブモジュールを用いてもよい。ただし,屋外測定に用

いる二次基準セル・サブモジュールは,周囲の温度及び環境変化の影響を受けにくく,かつ,保管し

やすいパッケージ内に封入され,次の条件を満たすものとする。

その他の条件は,JIS C 8931 及び JIS C 8932 の規定による。

(a)

パッケージのフロントカバーと二次基準セル・サブモジュールの間は,安定で透明の充てん材で埋

め,充てん材の屈折率はフロントカバーの屈折率と類似(10%以内)しているものを用いる。さら

に,二次基準セル・サブモジュールの感度波長領域で,入射光の 95%以上が二次基準セル・サブモ

ジュールに吸収されるようにする。

(b)

二次基準セル・サブモジュールは,温度を一定に保持できる構造が望ましいが,温度を±1℃の精度

で測定できる構造であればよい。ただし,JIS C 8937 の規定によって,1 000W/m

2

の放射照度で温

度係数を測定しておくこととする。

(5)

バイアス用電源は,被測定太陽電池セル・モジュールの可変負荷として用いることができるもので,

図 の I-特性曲線上の A 点(電圧が負の値を示す点)と B 点(電流が負の値を示す点)との間で電

圧をステップ状又は連続的に掃引できるものとする。

備考  被測定太陽電池セル・モジュールにかかる逆バイアス電圧によって,被測定太陽電池セル・モ

ジュールの特性劣化又は破壊を起こす場合があるので,被測定太陽電池セル・モジュールの種

類ごとに逆バイアス電圧の最大値を制御できるものとする。ただし,逆バイアス電圧について

は,太陽電池モジュール製造業者の指定する値とする。


3

C 8940-1995

図 1  I-特性曲線

(

2

)  A

点の電圧値は,6.2に規定する補正をした

後でも,負であるように設定しなければなら
ない。

(

3

)  B

点の電流値は,6.2 に規定する補正をした

後でも,負であるように設定しなければなら
ない。

5.

測定

5.1

測定項目  次の項目について,被測定太陽電池セル・モジュールの特性値を測定する方法を規定す

る。

(1)

短絡電流  I

sc

(mA 又は A)

(2)

開放電圧  V

oc

(mA 又は A)

(3)

最大出力  P

m

(mW 又は W)

(4)

最大出力動作電圧  V

pm

(mV 又は V)

(5)

最大出力動作電流  I

pm

(mA 又は A)

(6)

曲線因子  FF

(7)

太陽電池セル・モジュール変換効率 

η

 (%)

(8)

電圧規定電流  I

v

(mA 又は A)

(9)

電流規定電圧  V

i

(mV 又は V)

5.2

測定方法  測定方法は,次による。

(1)  I-V

特性曲線の測定は,4 端子法を用いて行う。このとき,電流測定端子接続部での電圧降下が測定電

圧に含まれないようにする。

(2)  I-V

特性曲線の測定は,

図 の回路を使用し,次の(a)又は(b)のいずれかの方法による。この場合,I-V

特性曲線の短絡電流 I

sc

図 の C 点)から開放電圧 V

oc

図 の D 点)までの間で 30 点以上を測定す

る。


4

C 8940-1995

図 2  I-特性曲線の測定

(a)

電圧・電流の測定端子を X-Y レコーダに接続し,バイアス電圧を連続的に変化させながら I-特性

曲線を描かせる方法。

(b)

バイアス電源をステップ状に変化させ,電圧,電流測定出力を記録し,測定値を基に I-特性曲線

を描く方法。バイアス電圧がステップ状に変化する場合は,電圧,電流のサンプリング遅延時間は

被測定太陽電池セル・モジュールの時定数の 4 倍以上とする。

備考  接続配線及び電流測定器の内部抵抗によって短絡電流とならない場合は,これらの抵抗に

よる電圧降下によってわずかに電圧値がゼロにならないが,この電圧値が開放電圧の 3%

以内であれば I-特性曲線を外挿して,縦軸との交点を短絡電流としてもよい。

また,バイパスダイオード及び逆流防止ダイオードを取り外すことのできない場合は,

短絡電流及び開放電圧を外挿して求める。

(3)

ガラス基板の被測定セルは,発電部以外に照射された光の回り込みによる測定誤差を最小限にするた

め,被測定セルの周辺部の非発電部は,黒色板によって照射光をできる限り遮へいして測定を行う。

5.3

測定手順  測定手順は,次による。

(1)

二次基準セル・サブモジュールと被測定太陽電池セル・モジュールに,地表面,周囲の建物などから

直達日射の直接反射がないことを確認する。

(2)

二次基準セル・サブモジュールを使用して,放射照度が 800W/m

2

以上であることを確認する。

(3)

二次基準セル・サブモジュールと被測定太陽電池セル・モジュールの面は,±5°以内で同一平面に設

定する。

(4)

二次基準セル・サブモジュールと被測定太陽電池セル・モジュールの面は,法線方向を直達日射に対

し±10°以内に設定する。

(5)

二次基準セルの出力電流値及び温度を測定し,5.4 によって放射照度を決定する。

(6)

被測定太陽電池セル・モジュールの I-特性曲線及び温度を測定する。

(7)

測定中の放射照度の変動が±1%以内であること,及び二次基準セル・サブモジュール及び被測定太陽

電池セル・モジュールの温度の変動が±1℃以内であることを確認する。

5.4

放射照度の計算  放射照度 は,次の式(1)によって算出する。

(

)

1

2

1

25

000

1

T

I

I

E

ref

ref

ref

×

=

α

 (1)

ここに,

I

ref1

標準状態(測定状態)での二次基準セル・サブモジュール


5

C 8940-1995

の短絡電流 (mA)

I

ref2

基準状態での二次基準セル・サブモジュールの短絡電流 
(mA)

T

1

標準状態(測定状態)での二次基準セル・サブモジュール
の温度  (℃)

α

ref

放射照度 1 000W/m

2

での二次基準セル・サブモジュールの

短絡電流の温度係数 (mA/℃)

6.

計算及び測定データの補正

6.1

測定データの補正

 

5.

で測定したデータは,

6.2

に示す補正式によって基準状態への換算を行う。た

だし,

(1)

及び

(2)

を満足する場合は,補正を行わなくてもよい。

(1)

被測定太陽電池セル・モジュール温度が,25±2℃の範囲にあるとき。

(2)

放射照度が,1 000±10W/m

2

の範囲にあるとき。

6.2

補正式

  基準状態での放射照度,被測定太陽電池セル・モジュールの温度,電圧値及び電流値をそ

れぞれ E

2

T

2

V

2

及び I

2

とし,二つの異なった照度で測定した放射照度,被測定太陽電池セル・モジュール

の温度,電圧値及び電流値を E

1

T

1

V

1

及び I

1

並びに E

3

T

3

V

3

及び I

3

とするとき,次の式

(2)

及び式

(3)

を用

いて補正を行う。すなわち,測定した I

1

-V

1

及び I

3

-V

3

特性曲線から直線補間の方法によって,基準状態の

電圧値及び電流値を求める。ただし,放射照度 E

1

は 800W/m

2

以上とし,E

3

は 600W/m

2

以上で,放射照度

の差  (E

2

E

1

)

と  (E

1

E

3

)

が 2 けたの有効値をもつような照度を選択する(代表例:E

1

=900W/m

2

,  E

3

750W/m

2

(

) (

)

1

2

3

1

3

1

1

2

1

2

T

T

I

I

E

E

E

E

I

I

+

+

=

α

 (2)

(

)

1

1

1

2

1

2

oc

V

V

T

T

V

V

+

=

β

 (3)

ここに,

I

3

V

3

V

1

のときの I

3

-V

3

特性曲線上の電流値(

図 3

参照) (A)

V

oc1

I

1

-V

1

特性曲線上の開放電圧(

図 3

参照) (V)

α: 放射照度 1 000W/m

2

での被測定太陽電池セル・モジュール温

度が 1℃変動したときの短絡電流 I

sc

の変動値 (A/℃)

  測定は,

JIS C 8937

の規定による。

β: 放射照度 1 000W/m

2

での被測定太陽電池セル・モジュール温

度が 1℃変動したときの開放電圧 V

oc

の変動値 (V/℃)

  測定は,

JIS C 8937

の規定による。

この補正係数は,一群の太陽電池セル・モジュールを代表する係数である。ただし,受渡当事者間の協

定によって,補正項の一部を省略することができる。ただし,式

(2)

及び式

(3)

は,温度 T

3

が温度 T

1

±2℃の

範囲であることを前提としている。この範囲を超えるときは,I

3

V

3

の代わりに次の式

(4)

及び式

(5)

6.3

求められる放射照度 E

3

での温度係数

α, βを用いて,温度補正を行った後の I

3

', V

3

'

を用いる。

I

3

'

I

3

α (T

1

T

3

)  (4)

(

)

3

1

3

3

3

3

'

T

T

V

V

V

V

oc

+

=

β

 (5)

ここに,  V

oc3

I

3

-V

3

特性曲線上の開放電圧(

図 参照) (V)


6

C 8940-1995

図 3  電流値直線補間法の説明図

6.3

補正係数の算出方法  被測定太陽電池セル・モジュールの出力電流・電圧の放射照度 1 000W/m

2

の温度係数

α

β

の測定は,JIS C 8937 の規定によって行い,各種放射照度 での温度係数

α

,

β

は,次の式(6)

及び式(7)によって算出する。

α

 (E)

α

 (1 000)

×

000

1

E

 (6)

β

 (E)

β

 (1 000)

  一定 (7)

6.4

各パラメータの算出方法  短絡電流 I

sc

,開放電圧 V

oc

,最大出力 P

m

,最大出力動作電圧 V

pm

,最大出

力動作電流 I

pm

,曲線因子 FF,太陽電池セル・モジュール変換効率

η

,電圧規定電流 Iv 及び電流規定電圧

V

i

を JIS C 8913 の 6.4(各パラメータの算出方法)の規定によって算出する。


7

C 8940-1995

アモルファス太陽電池作業会  構成表

氏名

所属

(主査)

下  川  隆  一

工業技術院電子技術総合研究所

猪  狩  真  一

財団法人日本品質保証機構

長  峰  文  昭

財団法人日本品質保証機構

能  勢  順  多

財団法人機械電子検査協定協会

石  原      隆

三菱電機株式会社

大  西  三千年

三洋電機株式会社

栗谷川      悟

昭和シェル石油株式会社

小  林  広  武

財団法人電力中央研究所

高  倉  秀  行

富山県立大学

高  橋  昌  英

株式会社四国総合研究所

川  崎  憲  介

株式会社四国総合研究所

藤  間  健  一

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

杉  上  孝  二

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

森      信  昭

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

佐  野  則  雄

新エネルギー・産業技術総合開発機構

中  島  光  雄

新エネルギー・産業技術総合開発機構

大  湯  孝  明

新エネルギー・産業技術総合開発機構

野  元  克  彦

シャープ株式会社

伊  藤      学

シャープ株式会社

岡  本  浩  二

シャープ株式会社

中  田  行  彦

シャープ株式会社

濱      敏  夫

株式会社富士電機総合研究所

濱  川  圭  弘

大阪大学

古  市  正  敏

工業技術院標準部

倉  重  有  幸

工業技術院標準部

栗  原  史  郎

工業技術院標準部

水  上  誠志郎

鐘淵化学工業株式会社

泉  名  政  信

鐘淵化学工業株式会社

太和田  善  久

鐘淵化学工業株式会社

蓑  輪  義  弘

社団法人日本電機工業会

今  坂  善  夫

社団法人日本電機工業会

清  水  英  範

社団法人日本電機工業会

三  宅  行  美

英弘精機株式会社

室  園  幹  夫

松下電池株式会社

吉  川  重  夫

日本放送協会

渡  辺  博  之

京セラ株式会社

白  澤  勝  彦

京セラ株式会社

和  田  隆  博

松下電器産業株式会社

坂  東      健

東京電力株式会社

松  田      弘

関西電力株式会社

堀  口  友四郎

ウシオ電機株式会社

(事務局)

増  田  岳  夫

財団法人光産業技術振興協会

朝  倉      武

財団法人光産業技術振興協会

八木沼  洋  子

財団法人光産業技術振興協会

五十里  紘  一

財団法人光産業技術振興協会

湯  村  周  三

財団法人光産業技術振興協会