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日本工業規格

JIS

 C

8938-

1995

アモルファス太陽電池モジュールの

環境試験方法及び耐久性試験方法

Environmental and endurance test methods for

amorphous solar cell modules

1.

適用範囲  この規格は,地上に設置する光発電システムに用いる非集光形の地上用アモルファス太陽

電池モジュール(以下,モジュールという。

)の使用中,貯蔵中及び輸送中に受ける各種環境状態での耐久

性を評価するための環境試験方法,耐久性試験方法などについて規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS A 4111

  住宅用太陽熱利用温水器

JIS B 7753

  サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機

JIS C 0021

  環境試験方法−電気・電子−高温(耐熱性)試験方法

JIS C 0022

  環境試験方法(電気・電子)高温高湿(定常)試験方法

JIS C 0024

  環境試験方法(電気・電子)塩水噴霧(サイクル)試験方法

JIS C 0920

  電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級

JIS C 8933

  アモルファス太陽電池測定用ソーラシミュレータ

JIS C 8939

  アモルファス太陽電池モジュール

JIS D 0205

  自動車部品の耐候性試験方法

JIS G 4305

  ステンレス鋼棒

JIS R 3212

  自動車用安全ガラス試験方法

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 68-2-2

  Basic environmental testing procedures. Part 2 : Tests. Tests B : Dry heat (1974)

IEC 68-2-21

  Basic environmental testing procedures. Part 2 : Tests. Test U : Robustness of

terminations and integral mounting devices

IEC 68-2-52

  Basic environmental testing procedures. Part 2 : Tests. Test Kb : Salt mist, cyclic (sodium

chloride solution)

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 8939 の規定によるほか,次による。

(1)

供試品  試験に用いられるモジュール。

(2)

標準状態  すべての試験及び測定を行うために許容される試験場所の状態。

(3)

ブラックパネル  入射光の大部分を吸収させることを目的として,つや消し黒色塗料を塗った金属板。

備考  温度計などを取り付け,入射光によるモジュールの温度上昇を模擬的に把握する目的で用いる。

(4)

ミニモジュール  実用に供しているモジュールの構造を模し,かつ,試験が行えるように小形化した


2

C 8938-1995

モジュール。

なお,性能は,実用に供しているモジュールと相関があるもの。

(5)

ホットスポット  モジュールに入射する太陽光が局部的に遮られたり,モジュールを構成する太陽電

池セルの一部に欠陥や特性劣化が発生した場合に局部的に温度が上昇する部分。

3.

試験

3.1

標準状態  標準状態は,温度 15〜35℃,相対湿度 45〜75%,気圧 86〜106kPa とする。

3.2

試験の種類  試験の種類は,環境試験,耐久性試験及びその他の試験とし,これを次の個別試験に

細分し,試験名の記号は,次のとおりとする。

(1)

環境試験

温度サイクル試験 A-1

温湿度サイクル試験 A-2

端子強度試験 A-3

塩水噴霧試験 A-4

光照射試験 A-5

ホットスポット試験 A-6

耐風圧試験 A-7

降ひょう(雹)試験 A-8

防水試験 A-9

ねじり試験 A-10

(2)

耐久性試験

耐熱性(高温保存)試験 B-1

耐湿性試験 B-2

(3)

その他の試験

シーケンス試験 D-1

3.3

試験方法  3.2 に示す試験の方法は,附属書 111 による。ただし,ホットスポット試験 A-6 及びシ

ーケンス試験 D-1 の試験方法は,受渡当事者間の協定によることとし,これを除く。

なお,ホットスポット試験 A-6 及びシーケンス試験 D-1 は,

参考 1に示す。

また,測定用ソーラシミュレータは,試験前後のモジュールの測定条件をできるだけ同一にするため,

同じものを用い,試験前後の測定時の照射強度及びスペクトルを一致させることが望ましい。

なお,測定用ソーラシミュレータは,JIS C 8933 に規定する等級 B 以上のものを用いる。


3

C 8938-1995

附属書 1  温度サイクル試験 A-1

1.

目的  この試験は,モジュールが急速な温度変化の繰返しを受ける場合の適性を調べることを目的と

する。

2.

装置  この試験に使用する試験槽は,モジュールを規定の温度に維持し,高温から低温に,又はその

逆に連続的に温度を変化させることができ,その変化速度を調節できるもので,供試品全体がほぼ均一に

加熱又は冷却できる構造のものとする。

3.

準備及び取付け  供試品の取付けは,モジュールの端子を開放状態に保ち,防食のため塩化ビニル製

などの絶縁テープで被覆し,試験槽内の通風を妨げないような位置に取り付ける。ただし,供試品として

は,被試験モジュールと同等の性質をもつミニモジュールを用いてもよい。

4.

試験手順  試験の手順は,次による。

(1)

供試品を試験に先立ち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

(2)

供試品を槽内に入れ,

附属書 図 に示すように,高温側 90±2℃及び低温側−40±3℃に 10 分間以

上槽内温度を維持し,高温から低温に,又は低温から高温に,最大毎時 87℃の割合で温度を変化させ

る。これを 1 サイクルとし,6 時間以内で行い,特に規定がない限り,連続して 200 サイクルを実施

する。

(3)

最終サイクルの終了後,標準状態に 4〜16 時間放置した後,(1)で規定した電気的性能を測定し,また,

目視によって外観を調べる。

(4)

試験の実施中,供試品の任意の箇所に温度センサを接触してモジュール温度を連続的に監視する。

附属書 図 1  温度サイクル試験の条件

5.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

4.(1)参照]


4

C 8938-1995

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

4.(3)参照]


5

C 8938-1995

附属書 2  温湿度サイクル試験 A-2

1.

目的  この試験は,モジュールが高い相対湿度での温度変化を受ける状態で使用及び貯蔵する場合の

劣化を短時間で調べることを目的とする。

2.

装置  この試験に使用する試験槽は,次の条件を満足するものとする。

(1)

槽内の温度及び相対湿度を,

附属書 図 に示す状態に調整することができること。

(2)

試験槽の内壁及び天井に凝縮した水が,供試品又は供試品の付近に落下しないこと。

3.

準備及び取付け  供試品を,受光面が鉛直に,かつ,試験槽内の空気の流れを著しく妨げないように

設置する。

また,モジュールの端子は,開放状態に保ち,防食のため塩化ビニル製の絶縁テープなどで被覆してお

く。ただし,供試品としては,被試験モジュールと同等の性質をもつミニモジュールを用いてもよい。

4.

試験手順  試験の手順は,次による

(1)

供試品の試験に先立ち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

(2)

試験は,

附属書 図 の操作を 1 サイクルとして,これを 6 時間以内で行い,低温温度は−20℃又は

−40℃とし,連続して 10 サイクル行う。

(3)

最終サイクルの終了後,標準状態に 4〜16 時間放置した後,JIS C 8939 の 6.1 に規定の電気的性能を

測定し,また,目視によって外観を調べる。

附属書 図 1  湿温度サイクル試験の条件


6

C 8938-1995

(

1

)

低温側での温度条件を−20±3℃としたとき,高温側は,温度85±2℃,相対湿度 (85±5) %
の条件での時間を2.5時間以上とする。

(

2

)

低温側での温度条件を−40±3℃としたとき,高温側は,温度 85±2℃,相対湿度 (85±

5) %

の条件での時間を 10 分間以上とする。

5.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

4.(1)参照]

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

4.(3)参照]

(3)

低温の試験温度[4.(2)参照]


7

C 8938-1995

附属書 3  端子強度試験 A-3

1.

目的  この試験は,モジュールの端子部分がモジュールの取付け,配線又は使用中に加えられる外力

に対して十分な強度があるかどうかを調べることを目的とする。

2.

装置  装置は,試験の際,試験の結果に影響を及ぼすような,きずやひずみなどを供試品に与えない

ものとする。

3.

試験

3.1

初期測定  JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)及び 6.2(機械的性能)に規定の電気的性能及び機械的

性能を測定し,また,目視によって,外観を調べる。

3.2

試験方法 A(リード線方式の場合に適用)

3.2.1

引張強さ  供試品の本体を固定し,端子の引出し軸方向に附属書 表 に規定の引張力を徐々に規

定値まで加え(衝撃を与えないように)

,そのままの状態で 10±1 秒間保持する。

附属書 表 1  引張力

公称断面積(

1

)

mm

2

公称線径

mm

(断面が円形の場合)

引張力(

2

)(

3

)

N

 0.05

以下

 0.25

以下

1

0.05

を超え 0.1 以下 0.25 を超え 0.35 以下

2.5

0.1

を超え 0.2 以下 0.35 を超え 0.5 以下

5

0.2

を超え 0.5 以下 0.5 を超え 0.8 以下

10

0.5

を超え 1.2 以下 0.8 を超え 1.25 以下

20

1.2

を超えるもの 1.25 を超えるもの 40

(

1

)

より線の場合は,素線の導線の公称断面積の合計とす
る。

(

2

)

絶縁線の場合,引張力を加えるところは,絶縁被覆を取
り除く。

(

3

)

より線の場合,引張力を加えるところは,機械的に一体

とする(はんだ付け又は結び目を作る)

3.2.2

曲げ強さ(曲げやすい端子にだけ適用)  線端子の正規の引出し軸が垂直になるように供試品を保

持し,端子の先端に

附属書 表 に規定の曲げ力を加えられる質量のおもりをつり下げ,モジュール本体

を 2 秒間以上の時間をかけて約 90 度傾けた後,元の位置へ戻し 2〜3 秒間おく。

引き続き反対方向に曲げ,

力を加え 2 秒間以上の時間をかけて約 90 度傾けるこの操作を 2 回と数え,

各端子につきセル面で 5 回行う。

同様にセル面と約 90 度の方向で 5 回行う。

備考  板端子では,表面の広い方向に曲げる。


8

C 8938-1995

附属書 表 2  曲げ力

断面係数(

4

)

mm

3

公称線径

mm

(断面が円形の場合)

曲げ力

N

 0.0015

以下  0.25 以下

0.5

0.001 5

を超え 0.004 2 以下 0.25 を超え 0.35 以下

1.25

0.004 2

を超え 0.012 以下 0.35 を超え 0.5  以下

2.5

0.012

を超え 0.05  以下 0.5  を超え 0.8  以下

5

0.05

を超え 0.19  以下 0.8  を超え 1.25 以下

10

0.19

を超えるもの 1.25 を超えるもの 20

(

4

)

円形断面の場合の断面係数は,次の式によって算出す

る。

32

d

Z

3

π

ここに,

d

:  リード線径 (mm)

Z

:  断面係数 (mm

3

)

板状端子の場合の断面係数は,次の式によって算出する。

6

ba

Z

3

ここに,

a

:  曲げ軸に垂直な板の厚さ (mm)

b

:  く(矩)形断面の他辺の寸法 (mm)

3.2.3

最終測定

 

JIS C 8939

6.1

及び

6.2

に規定の電気的性能及び機械的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

3.3

試験方法 B(ねじ止め方式の場合に適用)

3.3.1

引張強さ及び曲げ

強さ  引張強さ及び曲げ強さは,次による。

(1)

端子が露出している場合は,

3.2.1

及び

3.2.2

による。

(2)

保護箱に端子が収納されている場合は,次の方法による。

モジュール製造業者が推奨する形式及び寸法のケーブルを,保護箱内の端子に接続する。ケーブル

はパッキング付きの穴から引き出し,留め金で押さえ,注意して保護箱のふたをする。その後,

3.2.1

及び

3.2.2

の試験を行う。

3.3.2

ねじり強度(すべてのねじ端子に適用)

  供試品本体を固定し,ねじ端子に通常の方法で取り付け

たナットに

附属書 表 3

に規定するトルクを 10±1 秒間加える。

この試験中,ねじに対して通常のゆとりがある穴があいている座金又は金属板を,ねじの頭部と止め付

ける面との間に入れておく。

附属書 表 3  トルク

ねじの公称径  mm

2.6 3 3.5 4  5  6

トルク  N・m 0.2

0.25

0.4

0.6 1

1.25

3.3.3

最終測定

 

JIS C 8939

6.1

及び

6.2

に規定の電気的性能及び機械的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

4.

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。


9

C 8938-1995

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

3.1

参照)

(2)

引張強さの試験条件(必要がある場合)

3.2.1

及び

3.3.1

参照)

(3)

曲げ強さの試験条件(

3.2.2

参照)

(4)

ねじり強度の試験条件(

3.3.2

参照)

(5)

最終測定の項目(必要がある場合)

3.3.3

参照)


10

C 8938-1995

附属書 4  塩水噴霧試験 A-4

1.

目的

  この試験は,塩害を受けるおそれがある地域で用いられるモジュールの構成材料及びパッケー

ジの塩霧に対する耐久性を調べることを目的とする。

2.

装置

2.1

試験槽

  試験槽は,次の条件を満足することとする。

(1)

試験槽及び附属品は,塩霧の腐食力に影響を与えないような材料で作られていること。

(2)

供試品と接触する部分は,電解浸食を起こさない材料で作られていること。

また,供試品を支持する棚があること。

(3)

噴霧が直接供試品にかかったり,溶液の滴が供試品に落ちないこと。

(4)

供試品から落ちた塩水の滴が,塩水タンクに戻り,再び用いられないこと。

2.2

噴霧装置

  噴霧装置は,微細な濃い霧を均一に発生できる構造とし,塩水に反応しない材料で作る。

また,噴霧量は少なくとも 2 個の清浄な噴霧採取容器をノズルに最も近い所とノズルから最も遠い所に

置き,それぞれ水平採取面積 80cm

2

で平均して,1 時間当たり 1.0〜2.0ml の塩水が採取できる量とする。

採取量には供試品や他のものからの塩水の滴が混入しないようにしなければならない。

2.3

供給空気

  塩水を噴霧する圧搾空気は,油及びほこりを含まず,空気圧は,使用する噴霧装置が微

細な濃い霧を発生するのに適切な値とする。

2.4

塩水

  塩水は,次の条件を満足することとする。

(1)

試験に使用する塩は,良質の塩化ナトリウムとし,乾燥状態で不純物は全体の重量比 0.3%未満で,よ

う化ナトリウムは質量比 0.1%未満のものとする。

(2)

塩水は,蒸留水又は脱塩水に塩を溶解して作り,塩水の濃度は, (5±1) %質量比とする。

(3)

塩水の pH 値は,水温 20±2℃で,6.5〜7.2 とする。

(4)

 pH

値の調節は,試薬特級相当の塩酸又はかせいソーダを用いる。

pH

の測定は,飽和塩化カリウム橋がある電極を用いて電気的に求めるが,同じ結果が得られるなら

ば,その他の方法を用いてもよい。

(5)

塩水は,噴霧前に汚濁物が含まれていないこと。

2.5

恒湿槽

  恒湿槽は,温度 40±2℃,相対湿度 (93±5) %を制御できるものとする。

3.

準備

  供試品は,異常腐食を防止するため,あらかじめ,より線の端子部封止など実使用条件と同様

な端子処理又は保護を行っておく。ただし,供試品としては,被試験モジュールと同等の性質をもつミニ

モジュールを用いてもよい。

4.

試験手順

  試験の手順は,次による。

(1)

供試品を試験に先立ち,

JIS C 8939

6.1

(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

(2)

供試品を

JIS C 0024

9.5

(供試品の取付け)の規定に従って塩水噴霧室中に取り付け,出力端子を

開放状態にして,温度 15〜35℃の塩水を 2 時間噴霧する。


11

C 8938-1995

(3)

次に,供試品を恒湿槽に移し,温度 40±2℃,相対湿度 (93±5) %の条件で 7 日間試験する。ただし,

シーケンス試験の中でこの試験を用いるときは,試験時間は 20〜22 時間とする。

(4)

(2)

及び

(3)

を合計 4 回繰り返す。

(5)

塩の付着物を常温の流水で 5 分間洗った後,蒸留水又は脱イオン水ですすぎ,柔らかい刷毛を用いて

水滴を取り除き,55±2℃の条件で 1 時間乾燥させた後,標準状態で 1 時間以上 2 時間以内放置する。

(6)

JIS C 8939

6.1

に規定の電気的性能を測定し,また,目視によって外観を調べる。

5.

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

4.(1)

参照]

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

4.(6)

参照]


12

C 8938-1995

附属書 5  光照射試験 A-5

1.

目的

  この試験は,モジュールが太陽光に露光される場合の耐光性を短時間で評価することを目的と

する。

2.

装置

  この試験に用いる装置は,

JIS B 7753

に規定するものとする。

3.

準備

  準備は,次による。

(1)

試験装置に収納できない大きさのモジュールについては,被試験モジュールと同等の性質をもつミニ

モジュールを試料とする。モジュールの端子は開放状態とし,防食のため塩化ビニル製の絶縁テープ

で被覆しておくこと。

(2)

この試験に供するモジュールは,あらかじめ C 級以上のソーラシミュレータを用い,放射照度 1

000W/m

2

以上,モジュール温度 47±3℃及び積算日射量 200kWh/m

2

以上の条件で光照射処理を行うこ

と。

なお,シングル接合太陽電池で,モジュールの光安定化挙動を推定できる場合には,前記光照射処

理後の性能の推定値と同じになるまで,モジュールの短絡電流の 2〜4 倍の電流を室温で,順方向に注

入することで,前記光照射処理に代えることができる。

4.

試験条件

  試験条件は,

附属書 表 1

による。

5.

試験

  供試品を,試験に先立ち

JIS C 8939

6.1

(電気的性能)に規定する電気的性能を測定し,ま

た,目視によって外観を調べ,

2.

の装置を用いて

附属書 表 1

の試験条件によって 500 時間照射した後,

標準状態に 1 時間以上放置し,

JIS C 8939

6.1

に規定する電気的性能を測定し,また,目視によって外

観を調べる。

なお,上記

JIS B 7753

に規定する装置を用いることができない場合には,

附属書 表 1

の試験条件と同

等の条件で試験することができるキセノンランプ,メタルハライドランプなどを使用してもよい。

6.

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の項目を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

5.

参照)

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

5.

参照)


13

C 8938-1995

附属書 表 1  試験条件

試験条件の項目

サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機

装置の構造

JIS B 7753

参考付図 参照。

アークランプの形状

開放式

灯数 1

カーボン電極

上部

銅被覆サンシャインカーボン  約

φ

35

×350

φ

23

×305

mm

下部

銅被覆サンシャインカーボン  約

φ

35

×350

φ

13

×305

連続放電可能時間  h 60 以上 20 以上

放電電圧  V

範囲 48〜52

中心値 50±1

放電電流  A

範囲 58〜62

中心値 60±1.2

ガラスフィルタ

形状

パネル形

分光透過率  % 250nm

1

以下

(使用前) 302nm  68 以上

   375

〜700nm

90

以上

使 用 限 度 時 間 

h

2 000

分光分布

JIS D 0205

付図 による。

試料面放射照度  W/m

2

(波長範囲 300〜700nm)

255

±25.5

試験放射エネルギー  kj/m

2

(波長範囲 300〜700nm)

受渡当事者間の協定による。

ブラックパネル

調節温度  ℃ 63±3, 83±3

温度計

寸法

JIS B 7753

付図 による。

仕様

1

×150×70mm のステンレス鋼板(JIS G 4305 の SUS304)に温度計(1℃目盛,

感温部直径 3.5mm)の感温部を密着して取り付け,耐光性黒色エナメルを施し

たものとする。ブラックパネル温度計は,試験に使用する測定用のものと,別
に保管しておく校正用のものとを準備しておき,校正に際しては,光源に向け
て並置し,それぞれの指示温度を読み取ったとき,測定用の指示温度は,校正

用の指示温度に対して±2℃とする。

相対湿度  %

50

±5

試料回転枠

アーク中心から試

料面までの距離

mm

177

〜482

直径  mm 960±6

操作

試料スプレー回路を停止する。

回転速度  rpm

約 1

アークランプ・試料回転枠と試料

スプレーとの関係

JIS B 7753

参考付図 による。

運転条件

連続照射

試験槽内の条件

(1)

槽内温度調節の際,槽内温度と大差のある温度の外気が直接槽内に入らな
いようにした空気温度調節装置を設けること。

(2)

密閉循環送風形には,放電の際発生する過剰な熱とオゾンなどの有害なガ
スの影響を避けるための装置を附属する。

(3)

試料に水滴がかからない構造でなければならない。

供試品の取付方法

(1)

供試品は,それぞれが接触しないように取り付ける。

なお,汚染性のある供試品と同時に試験してはならない。

(2)

供試品は,カーボン交換ごとに上下の位置を取り替える。


14

C 8938-1995

附属書 6  耐風圧試験 A-7

1.

目的

  この試験は,モジュールの,風,雪及び氷による荷重に対する機械的耐久性を調べることを目

的とする。

2.

装置

  装置は,

附属書 図 1

に示すように圧力箱,送風機,圧力調節機などからなり,取付位置から

の移動量を測定する装置をもち,供試品に垂直に等分布荷重を加えることができるものとする。さらに,

モジュールの電気回路の瞬断測定のための測定器を接続する。

(1)

圧力箱

  使用圧力に耐えられる構造で,供試品取付枠を取り付けることができる開口部をもつもの。

(2)

送風機

  定められた範囲の,空気圧力に迅速に変化できるもの。

(3)

圧力調節機

  供給空気圧を調整できるもの。

(4)

脈動圧発生装置

 

附属書 図 2

に規定する脈動圧を発生できるもの。

(5)

圧力測定器

  圧力箱の内圧を測定できるもの。

(6)

瞬断測定器

  モジュールの電気回路の瞬断を測定できるもの。

附属書 図 1  試験装置の一例

附属書 図 2  加圧線図


15

C 8938-1995

3.

試験手順

3.1

初期測定

 

JIS C 8939

6.1

(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,また,目視によって外観

を調べる。

3.2

供試品の取付け

  供試品の取付けは,水平及び垂直を正しく,かつ,ねじれや曲がりがないように

実使用状態と同じ方法で固定する。取付枠と圧力箱は,できるだけ気密にして空気の漏れがないようにす

る。

また,リード線の取出しをしておく。

3.3

試験環境

  受渡当事者間で協定がない限り,試験は標準状態で行う。

3.4

たわみ測定機の取付け

  モジュール面の中央部のたわみが測定できるように,たわみ測定器を取り

付ける。

3.5

試験

  試験は,次の

(1)

(9)

までの手順で行い,試験中,モジュールの電気回路の瞬断の状態を記録

する。

(1)

予備加圧

  試験に先立ち,圧力箱に約 490.5Pa の圧力を 3 秒間以上 1 回加える。その後,圧力を大気

圧に戻す。

なお,昇圧速度は,1 秒間当たり約 98.1Pa とする。

(2)

計測器のゼロ点調整

  測定器をゼロ点に合わせる。

(3)

変形試験

  加圧は,

附属書 図 2

の加圧線図に従って行う。このとき加圧圧力  (

P

1

)

は,供試品の性

能表示圧力(耐風圧の等級 80〜217)とする。

また,測定加圧段階は,加圧圧力  (

P

1

)

を 4 等分した値ごととする。昇圧速度は,予備加圧と同じ

とし,各圧力段階の保持時間は 10 秒間以上とし,測定点の面外変位を測定する。

(4)

残留変形の確認

  圧力を大気圧に戻してから残留変形の有無を調べる。

(5)

繰返し試験

  試験圧力  (

P

2

)

は,

附属書 図 2

の加圧線図に示すとおり,性能表示圧力  (

P

1

)

の 40%を

中心とする正弦波加圧とし,振幅を

P

1

の±20%,周期 3 秒間とする動脈圧を 10 回以上加え,加圧中

の試験体の変形を調べる。

(6)

残留変形の確認

  圧力を大気圧に戻してから残留変形を調べる。

(7)

安全性試験

  耐風圧の性能表示圧力  (

P

3

)

にできるだけ速く昇圧させて 3 秒間以上保持する。

なお,昇圧速度は,1 秒間当たり約 490.5Pa とする。

(8)

残留変形の確認

  圧力を大気圧に戻してから残留変形を調べる。

(9)

測定器の取外し

  圧力がゼロ点に戻ったのを確認し取り外す。

3.6

最終測定

 

JIS C 8939

6.1

に規定の電気的性能を測定し,また,目視によって外観を調べる。

4.

試験結果

  試験の結果は,次の事項について記録する。

(1)

変形試験を行ったときの面外変位,面外たわみ,変位率及びたわみを数値で記録し,これらの直線性

の確認のため,各測定,各圧力段階ごとの挙動をグラフで表示する。

また,残留変形の有無を記録する。

(2)

繰返し試験を行ったときの,試験開始から終了までの残留変形の有無を記録する。

(3)

安全性試験を行ったときの,試験開始から終了までの外観の変化の状態を記録する。

(4)

モジュールの電気回路の瞬断の状態を記録する。


16

C 8938-1995

5.

簡易試験方法

  モジュールの耐風圧試験として

2.

4.

による方法が実施できない場合には,

JIS A 4111

に規定の乾燥砂による静荷重試験を行ってもよい。このとき,供試品のカバーガラスの面が上になるよう

水平に保ち,乾燥砂を圧力が均一に約 1 422N/m

2

になるように適切な方法で載せ,供試品の破損の有無を

調べる。

6.

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を想定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

3.1

参照)

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

3.6

参照)


17

C 8938-1995

附属書 7  降ひょう(雹)試験 A-8

1.

目的

  この試験は,モジュールのひょうによる衝撃に対する機械的強度を調べることを目的とする。

2.

装置

  この試験に使用する装置は,次の条件を満たすものとする。

(1)

氷球発射装置

(

1

)

は,規定直径の氷球を規定の終速度で発射できること。

(

1

)

氷球を発射するための銃で,その発射機構や方向には空気圧式,ばね式,水平発射式,垂直発

射式などの種類がある。

(2)

氷球の終速度

(

2

)

を規定値にたもつための調整装置及び終速度測定装置を具備していること。

(

2

)

供試品に衝突する直前の速度。

(3)

氷球製造装置は,蒸留水を用いて,直径 12.5mm,15mm,25mm,35mm,45mm,55mm,65mm 及び

75mm

の氷球を作製できること。

(4)

終速度調整装置は,10〜40m/s の範囲を連続的に調整できるもの。

3.

準備

  準備は,次による。

(1)

次の条件を満足する氷球を,必要量準備する。

(a)

成形後,−8±2℃の冷凍庫内で 8 時間以上保存されたもの。

(b)

4.(4)

に規定する直径±3mm のもの。

(2)

氷球の終速度が,

4.(4)

に規定する終速度±5%になるように氷球発射装置を調整する。

4.

試験方法

  試験の方法は,次による。

(1)

初期測定

  供試品を試験に先立ち,

JIS C 8939

6.1

(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,ま

た,目視によって外観を調べる。

(2)

供試品の取付け

  供試品の取付けは,規定がない限り,実使用状態と同等な方法とし,供試品の表面

と氷球の飛行方向とが垂直になるように設置する。

(3)

測定器の取付け

  試験中の瞬断検出のための測定器を接続する。

(4)

氷球の直径及び終速度

  直径 25mm,終速度 23m/s を用いるただし,供試品の耐降ひょうの等級に従

い氷球の直径及び終速度を規定する場合は,

附属書 表 1

から選択する。

(5)

衝撃の目標位置及び氷球発射順序

 

附属書 表 2

に規定の目標位置へ試験順序に従って氷球を発射し,

合計 10 か所について試験を行う。ただし,設定目標位置とのずれは,10mm 以下であること。

(6)

外観検査

  氷球を発射するたびに,衝撃位置付近の外観を調べる。

(7)

最終測定

  目視によって外観を調べ,また,

JIS C 8939

6.1

に規定する電気的性能を測定する。


18

C 8938-1995

附属書 表 1  氷球の終速度

直径  mm

終速度  m/s

12.5 16.0

15 17.8

25 23.0

35 27.2

45 30.7

55 33.9

65 36.7

75 39.5

附属書 表 2  氷球の目標位置と試験順序

試験順序

目標位置

1

保護ガラスの隅

2

フレーム間際のガラス部分

3

,  4

セルのエッジで電極接続部付近

5

,  6

セルとセル間で最も間隔の狭い部分

7

,  8

モジュール取付部に近いガラス部分

9

,  10

試験順序の 7, 8 の位置から最も離れた部分

5.

簡易試験方法

  モジュールの強度試験で,

2.

4.

の方法が適用できない場合には,

JIS R 3212

に規定の

方法を適用してもよい。ただし,この場合,次によって試験し,供試品の破損の有無を調べる。

(1)

供試品は,カバーガラス面を上にして,水平に固定する。

(2)

質量 227±2g,直径約 38mm の表面が滑らかな鋼球を 1m の高さから力を加えずに,モジュールのカ

バーガラス面の中心点に落下させる(

参考図 1

参照)

(3)

鋼球の落下点は,供試品のカバーガラス面の中心点から 25mm 以内とする。

(4)

  1

枚の供試品に対する衝撃は 1 回限りとし,試験時の温度は標準状態とする。

参考図 1

6.

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を想定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

4.(1)

参照]

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

4.(7)

参照]


19

C 8938-1995

附属書 8  防水試験 A-9

1.

目的

  この試験は,モジュールが屋外で降雨にさらされる場合の適性を調べることを目的とする。

2.

準備

  供試品を正規の取付状態に設置し,端子は開放状態とする。ただし,端子箱などが配線ケーブ

ルを取り付けた状態で密閉となる構造のものは模擬配線を行い,実使用状態を模擬する。

3.

防水の保護等級,種類及び試験

  防水の種類は,

JIS C 0920

に規定の保護等級 4 の防まつ形,又は保

護等級 3 の防雨形とし,それぞれの試験を次の区分に従って適用する。

(区分)

屋根などに一体となって設置され,下方から雨滴にさらされるおそれがないもの………  (組立形態 B)保護等級 3

その他のもの  ……………………………………………………………………………  (組立形態 A)保護等級 4

4.

測定

  試験の前後に枠又は接地端子と出力端子間の絶縁抵抗を測定する。


20

C 8938-1995

附属書 9  ねじり試験 A-10

1.

目的

  この試験は,モジュールが支持体に取り付けられる際の機械的耐久性を調べることを目的とす

る。

2.

試験手順

  供試品を試験に先立ち,目視によって外観を調べ,また,

JIS C 8939

6.1

(電気的性能)

に規定の電気的性能を測定した後,剛体枠に固定し,その四隅のうち,

附属書 図 1

に示すように,一隅

を取り外して変位量

h

だけこじ上げる(又は押し下げる)

。これを四隅全部について行う。

変位量

h

は,次の式によって算出する。

2

2

W

L

02

.

0

h

ここに,

h

:  変形角 1.2゜に対する変位量 (m)

L

:  モジュール長さ (m)

W

:  モジュール幅 (m)

附属書 図 1  ねじり試験の長さの関係

3.

測定  試験中,モジュール内の電気的導通及び出力端子の一つと,モジュール枠との間の絶縁抵抗を

連続測定する。

試験終了後,目視によって外観を調べ,また,JIS C 8939 の 6.1 に規定する電気的性能を測定する。

4.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

2.参照)

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

3.参照)


21

C 8938-1995

附属書 10  耐熱性(高温保存)試験 B-1

1.

目的  この試験は,高温の状態で使用及び貯蔵されるモジュールの適性を調べることを目的とする。

2.

装置  この試験に用いる装置は,JIS C 0021 の 3.(試験装置)の規定によるただし,温度は 85±2℃

とする。

3.

試験手順  試験に先立ち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,また,目視

によって外観を調べた後,JIS C 0021 の 7.(試験)の規定に従い,次の条件で試験を行う。ただし,供試

品としては被試験モジュールと同等の性質をもつミニモジュールを用いてもよい。

温度:85±2℃

試験時間:1 000±12 時間

試験槽内のモジュールの出力端子は,開放状態に保ち,防食のため塩化ビニル製の絶縁テープで被覆し

ておく。

試験後,清浄な布などでモジュール表面を清掃した後,室温に 24 時間以上放置し,JIS C 8939 の 6.1 

規定の電気的性能を測定し,また,目視によって外観を調べる。

4.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

3.参照)

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

3.参照)


22

C 8938-1995

附属書 11  耐湿性試験 B-2

1.

目的  この試験は,高温高湿の状態で使用及び貯蔵される太陽電池モジュールの適性を評価すること

を目的とする。

2.

装置  この試験に用いる装置は,JIS C 0022 の 2.(試験槽)の規定による。ただし,温度は 85±2℃,

相対湿度は (85±5) %とする。

3.

試験方法  試験条件は,温度 85±2℃,相対湿度 (85±5) %,試験時間 1 000±12 時間(約 42 日)と

する。

4.

準備  供試品は,異常腐食を防止するため,より線の端子封止部などを,実使用条件と同様な端子処

理又は保護をしておく。ただし,供試品としては,被試験モジュールと同等の性質をもつミニモジュール

を用いてもよい。

5.

試験手順  供試品を,試験に先立ち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定の電気的性能を測定し,

また,目視によって外観を調べた後,2.に規定の装置によって,JIS C 0022 の 4.3 の規定に従って試験する。

ただし,期間は 1 000±12 時間(42 日間)とする試験後水滴などが付着した場合,清浄な布などで十分取

り除いた後,標準状態で 24 時間放置し,JIS C 8939 の 6.1 に規定する電気的性能を測定し,また,目視に

よって外観を調べる。

6.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

初期測定の項目(必要がある場合)

5.参照)

(2)

最終測定の項目(必要がある場合)

5.参照)

関連規格

JIS A 1515

  建具の耐風圧試験方法

JIS C 0028

  環境試験方法(電気・電子)温湿度組合せ(サイクル)試験方法

JIS C 0051

  環境試験方法−電気・電子−端子強度試験方法

JIS C 8934

  アモルファス太陽電池セル出力測定方法

JIS C 8935

  アモルファス太陽電池モジュール出力測定方法

JIS D 0204

  自動車部品の高温及び低温試験方法

JIS H 8685

  アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の光堅ろう度促進試験方

JIS L 0842

  カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法

JIS R 3206

  強化ガラス

JIS Z 8101

  品質管理用語

JIS Z 9117

  保安用反射シート及びテープ


23

C 8938-1995

IEC68-2-30

  Basic environmental testing procedures. Part 2 : Tests. Test Db and guidance : Damp heat,

cyclic (12

+12-hour cycle)

JRC Spec. No.502C

  Qualification test procedure for PV Modules T.14 Hail Resistance Test

SERI TE. AR. D4 

SERI. TR-241-1567 TEAR. M6

  Hail Test−Photovoltaic Modules


24

C 8938-1995

参考 1  ホットスポット試験(第 1A-6

  この参考は,本体及び附属書の規定に関連する事項を補足するもので,規定の一部ではない。

  この試験については技術情報が少ないので,一部の製造業者及び海外の研究機関での実施内容を,参考

として記述する。

1.

目的  この試験は,モジュールに太陽電池セル性能のばらつき,クラック又は局部的な影(外部構造

物の影やモジュール表面への不透明物体の付着など)によって短絡電流のミスマッチなどが発生した場合,

そのセルが電気的負荷として作用し,異常に発熱(ホットスポット熱という。

)するが,そのホットスポッ

ト熱によって生じるストレスに対するモジュールの耐久性を判定することを目的とする。

2.

装置  この試験に使用する装置は,次の条件を満足するものとする。

(1)

光源は,JIS C 8933 に規定する等級 B の定常光ソーラシミュレータで,試験するモジュールに対して

AM

1.5

の光を放射照度 1 000W/m

2

で,均一,かつ,安定に照射できるもの。

(2)

モジュールが置かれている槽又は空間は,光源から,3.(2)に規定した光量が照射されている期間中,

モジュール温度を 25±5℃に維持できるもの。

(3)

太陽電池セル温度検出装置は,個々のセル温度又はその代用温度を非接触で最高 300℃まで測定でき

るもの。

3.

準備  準備は,次による。

(1)

  M

個の太陽電池セルから構成されるモジュールの出力端子を短絡し,所定の位置にモジュールを固定

する。

(2)

ソーラシミュレータによって,モジュールに放射照度 1 000W/m

2

の光を照射する。

(3)

モジュールの周囲温度は 25±5℃とし,周囲の空気の風速は 2m/s 以下とする。

(4)

モジュールの構造及び材質を考慮して,NOCT が比較的高くなると考えられるセルを N

0

 (N

0

M)  個選

び,太陽電池セル温度が安定している状態で,N

0

個の各セルの温度を太陽電池セル温度検出装置で測

定し,記録する。

(5)

次に,上記 N

0

個の 1 個の太陽電池セルについて,太陽電池セル面積の

8

1

を熱容量が無視できる黒色不

透明板で遮へいし,熱的に安定した状態で太陽電池セル温度を測定・記録する。

(6)

さらに,順次遮へい面積を

8

2

8

3

……,

8

8

と増加させ,それぞれの状態で太陽電池セル温度を測定し

記録する。

ここで,このデータは,

参考 図 のように図示する。

(7)

  (5)

(6)の手順を,抽出した N

0

個のセルすべてに実施する。さらに,各セルの最高温度を比較し,その

温度の高い方から順に,N (NN

0

)

個のサンプルを選択する。


25

C 8938-1995

参考 図 1  太陽電池セル温度と遮へいの割合の関係

4.

試験手順  試験の手順は,次による。

(1)

供試品を試験に先だち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定する電気的性能を測定し,また,目視

によって外観を調べる。

(2)

モジュールの出力端子を短絡する。

(3)

  N

個のサンプルの太陽電池セルの 1 個について,

3.

の測定結果に基づきセル温度が最高となるように,

そのセルを遮へいする。

(4)

ソーラシミュレータによって,モジュール全体に 1 000W/m

2

の光を,1 時間オン及び 0.5 時間オフのサ

イクルで,合計 100 サイクル照射する。

(5)

  (4)

のサイクルの間,必要に応じてセル温度の測定及び外観の異常の有無を調べ,記録する。

(6)

最終サイクルの終了後,標準状態に 1 時間以上放置した後,JIS C 8939 の 6.1 に規定する電気的性能

を測定し,また,目視によって外観を調べる。


26

C 8938-1995

参考 2  ホットスポット試験(第 2A-6

  この参考は,本体及び附属書の規定に関連する事項を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

目的  参考 に同じ。

2.

用語の定義  用語の定義は,次による。

(1)

直列接続  モジュール内での各セルが電気的に直列に接続されているもの(参考 図 参照)。

(2)

並直列接続  モジュール内での各セルが電気的に 個直列接続されている列が,列並列接続されて

いるもの。

参考 図 参照)。

(3)

直並直列接続  モジュール内での各セルが電気的に 個直列接続されている列が,列並列接続され

ているものを一つのブロックとし,ブロックが 個直列接続されているもの(

参考 図 参照)。


27

C 8938-1995

参考 図 1  直列接続の例

参考 図 3  直並直列接続の例

 

参考 図 2  並直列接続の例

3.

装置  この試験に使用する装置は,次の条件を満足するものとする。

(1)

光源 1  放射温度が 700W/m

2

以上であり,照度不均一度が±2%で,供試品に対して AM1.5 の光を照射

できる定常光ソーラシミュレータ又は自然太陽光。

(2)

光源 2  JIS C 8933 に規定する等級 C の定常光ソーラシミュレータで,供試品に対して AM1.5 の光を

放射照度 1 000W/m

2

で,均一,かつ,安全に照射できるもの。

(3)

太陽電池セル温度検出装置  個々の太陽電池セル温度又はその代用温度を,非接触で最高 300℃まで

測定できるもの。

(4)

  I-V

カーブトレーサ

(5)

太陽電池セル遮へい板  被試験太陽電池セルの遮へい面積を,5%ずつ変化できるもの。


28

C 8938-1995

4.

準備  次のいずれかの方法で,被試験後セルを供試品の中から選択する。

(1)

温度検出方法

(a)

モジュールの両端子を短絡する。

(b)

自然太陽光又は光源 1 で供試品を照射し,適切な太陽電池セル温度検出装置で最高温度に達した太

陽電池セルを選び,被試験太陽電池セルとする。

(2)

短絡電流方法

(a)

モジュールの両端子に,電流計を接続する。

(b)

自然太陽光又は光源 1 で供試品を照射し,モジュール内の各セルを交互に遮へいしながら短絡電流

を測定する。短絡電流の変化が最大になる太陽電池セルを,被試験太陽電池セルとする。この測定

中での放射温度の変化は,±5%とする。

5.

試験手順  試験の手順は,次による。

(1)

供試品を試験に先立ち,JIS C 8939 の 6.1(電気的性能)に規定する電気的性能を測定し,また,目視

によって外観を調べる。

(2)

供試品内の被試験太陽電池セルを完全遮へいした後,その短絡電流が初期測定での最大出力動作電流

[直列接続の場合は I

pm

JIS C 8939 の 6.1 参照)

,並直列接続の場合は,I

sc

(1)参照)]より小さい

ことを確認する。もし,この条件が満足されないときには,(3)の項目を省略する。

p

I

p

I

p

I

I

pm

sc

sc

+

=

)

(

 (1)

ここに,

I

sc

:  遮へいしないときのモジュール短絡電流 (A)

I

pm

:  遮へいしないときのモジュール最大出力動作電流 (A)

p

:  モジュール中並列接続されているセルの数

(3)

被試験後セルの遮へい面積を 5%ずつ減少しながら,その短絡電流が直列接続のものは I

pm

,並直列接

続のものは I

sc

に最も近いときの遮へい状態を試験状態とする。

(4)

次に供試品の出力端子を短絡する。

(5)

光源 2 によって,供試品に放射照度 1 000W/m

2

の光を照射する。

(6)

  1

時間の照射後,照射を止める。

(7)

 30

分間そのまま放置する。

(8)

  (5)

(7)のサイクルを合計 5 回繰り返す。

(9)

最終サイクルの終了後,標準状態に 1 時間以上放置した後,JIS C 8939 の 6.1 に規定する電気的性能

を測定し,また,目視によって外観を調べる。


29

C 8938-1995

参考 3  シーケンス試験 D-1

この参考は,本体及び附属書の規定に関連する事項を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

目的  この試験は,モジュールが使用中に受ける各種環境の影響の総合的判定及び環境相互の影響に

よる劣化への耐性を測定することを目的とする。

備考  この試験は,ホットスポット試験が参考なので,参考とした。

2.

試験  供試品を参考 表 又は参考 表 の順序によって,試験を行う。各試験の前後に行う電気的

特性測定及び判定条件は,各々の試験に規定の項目とし,判定は,それぞれの規定による。ただし,各々

の試験で行う測定は,各試験の測定結果の最終測定値を,次の初期測定値としてもよい。

なお,光照射試験のあと実施される加熱処理を伴う試験で,光劣化の熱回復効果によって上記加熱処理

を伴う試験による性能低下がスクリーニングされるのを避けるため,光照射試験の後 85℃,200 時間の熱

処理を行うこととする。

参考 表 

1

ねじり試験 A-10

2

防水試験 A-9

3

光照射試験 A-5

4

温度サイクル試験 A-1:ただし,高温低温の保持時間 10 分間,過渡時間 1 時間 20 分,合計 3h/サイク

ルを 50 回とする。

5

降ひょう(雹)試験 A-8

6

耐風圧試験 A-7

7

温湿度サイクル試験 A-2

8

塩水噴霧試験 A-4

耐熱性(高温保存)試験 B-1:ただし,試験時間は 240 時間とする。 

10

耐湿性試験 B-2:ただし,試験時間は 240 時間とする。

11

端子強度試験 A-3

12

ホットスポット試験 A-6


30

C 8938-1995

参考 表 


31

C 8938-1995

アモルファス太陽電池作業会  構成表

氏名

所属

(主査)

下  川  隆  一

工業技術院電子技術総合研究所

猪  狩  真  一

財団法人日本品質保証機構

長  峰  文  昭

財団法人日本品質保証機構

能  勢  順  多

財団法人機械電子検査協定協会

石  原      隆

三菱電機株式会社

大  西  三千年

三洋電機株式会社

栗谷川      悟

昭和シェル石油株式会社

小  林  広  武

財団法人電力中央研究所

高  倉  秀  行

富山県立大学

高  橋  昌  英

株式会社四国総合研究所

川  崎  憲  介

株式会社四国総合研究所

藤  間  健  一

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

杉  上  孝  二

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

森      信  昭

工業技術院ニューサンシャイン計画推進本部

佐  野  則  雄

新エネルギー・産業技術総合開発機構

中  島  光  雄

新エネルギー・産業技術総合開発機構

大  湯  孝  明

新エネルギー・産業技術総合開発機構

野  元  克  彦

シャープ株式会社

伊  藤      学

シャープ株式会社

岡  本  浩  二

シャープ株式会社

中  田  行  彦

シャープ株式会社

濱      敏  夫

株式会社富士電機総合研究所

濱  川  圭  弘

大阪大学

古  市  正  敏

工業技術院標準部

倉  重  有  幸

工業技術院標準部

栗  原  史  郎

工業技術院標準部

水  上  誠志郎

鐘淵化学工業株式会社

泉  名  政  信

鐘淵化学工業株式会社

太和田  善  久

鐘淵化学工業株式会社

蓑  輪  義  弘

社団法人日本電機工業会

今  坂  善  夫

社団法人日本電機工業会

清  水  英  範

社団法人日本電機工業会

三  宅  行  美

英弘精機株式会社

室  園  幹  夫

松下電池株式会社

吉  川  重  夫

日本放送協会

渡  辺  博  之

京セラ株式会社

白  澤  勝  彦

京セラ株式会社

和  田  隆  博

松下電器産業株式会社

坂  東      健

東京電力株式会社

松  田      弘

関西電力株式会社

堀  口  友四郎

ウシオ電機株式会社

(事務局)

増  田  岳  夫

財団法人光産業技術振興協会

朝  倉      武

財団法人光産業技術振興協会

八木沼  洋  子

財団法人光産業技術振興協会

五十里  紘  一

財団法人光産業技術振興協会

湯  村  周  三

財団法人光産業技術振興協会