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C 8904-2

:2011

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  選別

5

4.1

  一般的要求事項

5

4.1A

  二次基準太陽電池セルの選別方法

6

4.1B

  二次基準要素セルの選別方法

6

4.2

  二次基準太陽電池モジュールに対する要求事項

6

5

  温度測定

7

6

  電気接続

7

7

  校正

7

8

  データシート

7

9

  表示

8

10

  基準太陽電池デバイスのパッケージ

8

10.1

  太陽光下で用いる場合の推奨構造

8

10.2

  ソーラシミュレータ下で用いる場合の推奨構造

8

10.3

  単一セル用のパッケージ

9

11

  基準太陽電池の取扱い方法

9

12

  一次基準太陽電池で二次基準太陽電池を校正する方法

9

12.1

  太陽光法

10

12.2

  ソーラシミュレータ法

10

12.3

  校正手順

10

12.4

  一次基準太陽電池と二次基準太陽電池との相対分光感度特性が合致しない場合の校正方法

11

13

  二次基準太陽電池デバイスでワーキング基準太陽電池デバイスを校正する方法

11

附属書 JA(参考)ソーラシミュレータ法の測定値の不確かさ

15

附属書 JB(参考)安定な太陽電池と光学フィルタとの組合せによる擬似基準太陽電池セルの設計指針 ·

28

附属書 JC(参考)JIS と対応国際規格との対比表

31


C 8904-2

:2011

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)から,

工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経

済産業大臣が制定した日本工業規格である。

これによって,JIS C 8911:2005,JIS C 8921:2008,JIS C 8931:2005,JIS C 8932:2005 及び JIS C 8941:2009

は廃止され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 8904

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 8904-2

  第 2 部:基準太陽電池デバイスに対する要求事項

JIS C 8904-3

  第 3 部:基準太陽光の分光放射照度分布による太陽電池測定原則

JIS C 8904-7

  第 7 部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法


日本工業規格

JIS

 C

8904-2

:2011

太陽電池デバイス−

第 2 部:基準太陽電池デバイスに対する要求事項

Photovoltaic devices-Part 2: Requirements for reference solar devices

序文

この規格は,2007 年に第 2 版として発行された IEC 60904-2 を基に,より正確な規格とするために,技

術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

また,

附属書 JA 及び附属書 JB は,対応国際規格にはない事項である。変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JC に示す。

1

適用範囲

この規格は,基準太陽電池の分類,選別,パッケージ,表示,校正及び取扱いに関する要求事項につい

て規定する。基準太陽電池とは,太陽光又はソーラシミュレータの下で,セル,モジュール及びアレイの

電気的性能を決定するために用いる基準太陽電池デバイスである。基準太陽電池デバイスには,集光用の

基準太陽電池デバイスは含めない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60904-2:2007

,Photovoltaic devices−Part 2: Requirements for reference solar devices(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1102-1

  直動式指示電気計器−第 1 部:定義及び共通する要求事項

JIS C 1102-2

  直動式指示電気計器    第 2 部:電流計及び電圧計に対する要求事項

JIS C 1602

  熱電対

JIS C 8904-7

  太陽電池デバイス−第 7 部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法

注記  対応国際規格:IEC 60904-7,Photovoltaic devices−Part 7: Computation of the spectral mismatch

correction for measurements of photovoltaic devices(IDT)

JIS C 8910

  一次基準太陽電池セル

JIS C 8912

  結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60904-9 , Photovoltaic devices − Part 9: Solar simulator performance


2

C 8904-2

:2011

requirements(MOD)

JIS C 8915

  結晶系太陽電池分光感度特性測定方法

注記  対応国際規格:IEC 60904-8,Photovoltaic devices−Part 8: Measurement of spectral response of a

photovoltaic (PV) device(MOD)

JIS C 8920

  開放電圧による結晶系太陽電池の等価セル温度測定方法

注記  対応国際規格:IEC 60904-5,Photovoltaic devices−Part 5: Determination of the equivalent cell

temperature (ECT) of photovoltaic (PV) devices by the open-circuit voltage method(MOD)

JIS C 8933

  アモルファス太陽電池測定用ソーラシミュレータ

JIS C 8936

  アモルファス太陽電池分光感度特性測定方法

JIS C 8942

  多接合太陽電池測定用ソーラシミュレータ

JIS C 8960

  太陽光発電用語

JIS C 8990

  地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のた

めの要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61215,Crystalline silicon terrestrial photovoltaic (PV) modules−Design

qualification and type approval(IDT)

JIS C 8991

  地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認試験及び形式認証のための

要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61646,Thin-film terrestrial photovoltaic (PV) modules−Design qualification

and type approval(IDT)

IEC 60891:1987

,Procedures for temperature and irradiance corrections to measured I-V characteristics of

crystalline silicon photovoltaic devices 及び Amendment 1 (1992)

IEC 60904-1

,Photovoltaic devices−Part 1: Measurement of photovoltaic current-voltage characteristics

IEC 60904-4

,Photovoltaic devices−Part 4: Reference solar devices−Procedures for establishing calibration

traceability

IEC 60904-8

,Photovoltaic devices−Part 8: Measurement of spectral response of a photovoltaic (PV) device

IEC 60904-10

,Photovoltaic devices−Part 10: Methods of linearity measurement

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 8960 によるほか,次による。

3.1

基準太陽電池デバイス

特別に校正した太陽電池デバイスで,

太陽光又はソーラシミュレータの放射照度を測定するためのもの,

又はこれと同等の相対分光感度特性,光学特性,寸法及び電気回路をもつ太陽電池デバイスの性能を測定

する場合に,ソーラシミュレータの放射照度を設定するためのもの。

基準太陽電池デバイスは,次に示す校正のトレーサビリティ体系の中に位置付け,区別する。

3.1.1

一次基準太陽電池(primary reference device)

SI 単位にトレーサブルな放射計,標準検出器又は標準光源に基づいて校正した基準太陽電池。

3.1.2

二次基準太陽電池(secondary reference device)


3

C 8904-2

:2011

一次基準太陽電池を基準として,太陽光又はソーラシミュレータで校正した基準太陽電池。

3.1.3

ワーキング基準太陽電池(working reference device)

二次基準太陽電池を基準として,太陽光又はソーラシミュレータで校正した基準太陽電池。

3.2

基準太陽電池デバイスの種類(construction of reference devices)

基準太陽電池デバイスには,3.2.1 及び 3.2.2 の種類がある。それぞれの使用目的に応じて,次に規定す

る構造,光学特性及び電気回路に対する要求事項を満たさなければならない。

注記 1  基準太陽電池には,擬似基準太陽電池を含む。擬似基準太陽電池は,分光感度特性に変化が

生じない安定な太陽電池が得られない場合,又は放射照度に対する出力電流のリニアリティ

をもつ安定な太陽電池が得られない場合,安定な基準太陽電池(例えば,結晶シリコン太陽

電池)に,特性変化がない適切な光学フィルタを装着して擬似的に相対分光感度特性を合致

させたものである。ただし,光学フィルタには,干渉フィルタを用いない。光学フィルタを

装着する場合,多重反射を防止する構造とすることが望ましい。

なお,擬似基準太陽電池には,アモルファス太陽電池用,CIS 系太陽電池用,色素増感太

陽電池用などがあり,更に多接合太陽電池用がある。

注記 2  太陽電池デバイスは,この細分箇条で規定する基準太陽電池デバイスの種類,及び JIS C 8960

に規定する基準太陽電池セル,基準太陽電池サブモジュール,基準太陽電池モジュール及び

擬似基準アモルファス太陽電池セルの総称である。また,基準太陽電池デバイスには,多接

合太陽電池の各層ごとの相対分光感度特性を代表するための基準要素セル,及び擬似基準要

素セルを含む。

なお,安定な太陽電池と光学フィルタとの組合せによる擬似基準太陽電池セルの設計指針

を,

附属書 JB に示す。

3.2.1

基準太陽電池セル(reference cell)

校正値を仲介するために用いる基準太陽電池デバイス。

実用的な観点から,基準太陽電池セルは,取付方法,構造,光学特性及び電気回路の再現性を確保する

ためにパッケージに取り付ける。パッケージの推奨構造の例を,

図 1∼図 に,プラグの推奨構造の例を,

図 に示す。

推奨する使用目的は,一次基準太陽電池セル及び二次基準太陽電池セルである。

3.2.1.0A

一次基準要素セル

多接合太陽電池の各層ごとの相対分光感度特性を代表するための基準太陽電池セルであり,JIS C 8942

に規定する等級 MS 若しくは等級 MA,又は JIS C 8912 若しくは JIS C 8933 に規定する等級 A のソーラシ

ミュレータを用いて,JIS C 8910 に規定する一次基準太陽電池用セルの校正方法によって校正したもの。

3.2.1.0B

二次基準要素セル

多接合太陽電池の各層ごとの相対分光感度特性を代表するための基準太陽電池セルであり,JIS C 8942

に規定する等級 MS 若しくは等級 MA,又は JIS C 8912 若しくは JIS C 8933 に規定する等級 A のソーラシ

ミュレータと一次基準要素セルとを用いて校正したもの。


4

C 8904-2

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3.2.1.0C

基準要素セル電流比

二次基準要素セルの絶対分光感度特性及び基準太陽光によって算出した短絡電流と,測定光源の照射ス

ペクトルでの二次基準要素セルの電流との比を,各層ごとに求め,それらの比をとった値。

注記  二接合型太陽電池の各要素セルを模擬した 2 個の基準要素セルの場合の基準要素セル電流比

は,次の式で示す。

=

bstd

bm

tstd

tm

I

I

I

I

RR

ここに,

RR: 基準要素セル電流比

I

tm

上部発電層に対応する二次基準要素セルの測定光源の放射下
における短絡電流

I

tstd

上部発電層に対応する二次基準要素セルの絶対分光感度特性
と基準太陽光から計算する短絡電流

I

bm

下部発電層に対応する二次基準要素セルの測定光源の放射下
における短絡電流

I

bstd

下部発電層に対応する二次基準要素セルの絶対分光感度特性
と基準太陽光から計算する短絡電流

3.2.1.1

カバー付きで封止なしの基準太陽電池セル(reference cell with protective cover without encapsulant)

基準太陽電池セルに保護カバーを付けたもの。

特に,太陽光又はソーラシミュレータの直達光で校正したものは,一次基準太陽電池セル,二次基準太

陽電池セル及びワーキング基準太陽電池セルとして用いることを推奨する。

注記  この用語は,この規格で用いられていないが,対応国際規格に記載があるので,ここに残した。

3.2.1.2

封止した基準太陽電池セル(encapsulated reference cell)

基準太陽電池セルで,短期間の屋外暴露に耐えるように保護容器の中に封止したもの。

太陽光で校正したものは,一次基準太陽電池セル,二次基準太陽電池セル及びワーキング基準太陽電池

セルとして用いることを推奨する。封止が JIS C 8990 又は JIS C 8991 に規定する試験レベルで,長期間屋

外暴露に耐えることが実証される場合,

太陽電池アレイの長期評価のモニタデバイスとして用いてもよい。

3.2.2

多数のセルからなる基準太陽電池(二次基準太陽電池モジュール)

被測定太陽電池モジュールと同等の光学特性及び機械的特性,並びに入射光の幾何学的な分布に対する

応答が同等の基準太陽電池。

太陽光及びソーラシミュレータの拡散光は,モジュールの封止及びバックシートに当たると,不規則な

反射光となり,特定のセルに対する照度に影響を及ぼす。したがって,モジュールのサブアセンブリ,及

び多数のセルを封止したモジュールを測定するために用いる二次基準太陽電池モジュールは,被測定太陽

電池(モジュール,モジュールのサブアセンブリ及びアレイ)の近傍の光学的パラメータ,及び前面カバ

ーの反射を模擬した構造を推奨する。

推奨する使用目的は,モジュールのサブアセンブリ及びアレイの測定である。

二次基準太陽電池モジュール又は基準太陽電池セルを用いて,測定用ソーラシミュレータの照度調整を

行い,被測定太陽電池モジュールを測定した場合,測定値には,これらに基づく不確かさが加わる。測定


5

C 8904-2

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値の不確かさの性質,求め方及び事例を,

附属書 JA に示す。

3.2.2.1

小形二次基準太陽電池モジュール(reference cell in a multi-cell package)

被測定太陽電池モジュールより小さく,かつ,入射光の幾何学的な分布に対する応答が同じ二次基準太

陽電池モジュール。

図 に示す点線は,二次基準太陽電池モジュールの最小構造を示す。

測定用ソーラシミュレータの照度調整時に,二次基準太陽電池モジュールを移動して被測定太陽電池モ

ジュールの全面を測定し,その平均値を校正値(1 000 W・m

2

のときの値)に調整する。

注記  対応国際規格の 3.2.2.1 では,図 に示す点線を“多数のセルからなるパッケージの中の基準太

陽電池セル(Reference cell in a multi-cell package)

”の最小構造としているが,この規格では,

これを小形二次基準太陽電池モジュールに含める。

3.2.2.2

同一寸法二次基準太陽電池モジュール(reference module consisting of a series and/or parallel connection of

solar cells)

ソーラシミュレータの照度の場所むら,モジュール内の内部反射及び温度分布による誤差を最小にする

ために,被測定太陽電池モジュールと同一寸法,並びに光学特性,機械的特性及び電気回路が同等で,か

つ,入射光の幾何学的な分布に対する応答が同じ二次基準太陽電池モジュール。

3.3

ビルトイン並列抵抗(built-in shunt resistors)

二次基準太陽電池モジュールの出力端を短絡する抵抗器。

実用的な観点から,二次基準太陽電池モジュールの出力端を精密抵抗器で短絡してもよい。精密抵抗器

の抵抗値は,短絡条件に近付けるために,次の式(1)によって算出した値とする。また,精密抵抗器の長期

安定性は,

二次基準太陽電池モジュールに対する長期安定性に関する要求事項を満たさなければならない。

なお,精密抵抗器の温度係数は,短絡電流の温度係数に含めなければならない。

SC

OC

cal

03

.

0

I

V

R

×

 (1)

ここに,  R

cal

精密抵抗器の抵抗値(Ω)

V

OC

基準状態(STC)での基準太陽電池の開放電圧(V)

I

SC

基準状態(STC)での基準太陽電池の短絡電流(A)

注記 1  精密抵抗器は,基準太陽電池の電流電圧特性(以下,I-V 特性という。)を IEC 60904-1 の規

定によって定期的に測定し,その安定性を確認するために,取外しできる 4 端子構造とする

ことが望ましい。

注記 2  この用語は,この規格で用いられていないが,対応国際規格に記載があるので,ここに残し

た。

4

選別

4.1

一般的要求事項

基準太陽電池デバイスは,次の要求を満たさなければならない。

a)

光学特性が安定である(箇条 10 参照)

b)

基準太陽電池デバイスの出力は,IEC 60904-10 で規定する照度に対して直線性を確認している。


6

C 8904-2

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c)

基準太陽電池デバイスの測定光源に対する入射角特性は,被測定太陽電池と同等とする。

4.1A

二次基準太陽電池セルの選別方法

二次基準太陽電池セルは,同一基板材料を用い,同一構成で製作した一群の太陽電池セルから,次のい

ずれかの方法によって選別する。

擬似基準太陽電池セルの場合には,b)に示す方法によって行う。

a)

二光源方法(分光感度特性の測定を要しない選別方法)

1)

あらかじめ開放電圧,短絡電流,曲線因子,外観などがセル群の平均値から極端に異なるものを取

り除く。

2)

セル群から 20 枚程度を無作為に抜き取る。

3)

分光放射照度が異なる二つの安定な光源を用いて,短絡電流 I

SC1

(A)及び I

SC2

(A)を測定する。

この場合の放射照度は,いずれも 800 W・m

2

以上で,できるだけその値に近い放射照度とする。

4)

二つの光源下での短絡電流の比 R[式(2)参照]を 枚(約 20 枚)のセルについて測定し,これらの

比の平均値 [式(3)参照]を求める。

SC1

SC2

I

I

R

=

 (2)

n

R

R

n

i

i

=

=

1

 (3)

5)  R

の値の分布が平均値 を中心に±3 %である場合,が に近い数個のセルを選び,二次基準太

陽電池セルとする。

二次基準太陽電池セルのうち,に最も近い 2 個を一次基準太陽電池セルとする。

6)  R

の値の分布が平均値 を中心に±3 %を超える場合には,製作した一群の太陽電池をあらかじめ

幾つかの群に類別した上で,改めてそれぞれの群の標準的な太陽電池セルを選び,それぞれの群の

二次基準太陽電池セルとする。

それぞれの群の二次基準太陽電池セルのうち, に近いものを一次基準太陽電池セルとする。

b)

スペクトルミスマッチ誤差の計算による方法(分光感度特性の測定を要する選別方法)  ソーラシミュ

レータを用いて太陽電池セルの出力特定を測定する場合,JIS C 8904-7 の規定によって算出したスペ

クトルミスマッチ誤差が±2 %以内となる標準的な太陽電池セルを,二次基準太陽電池セルとする。

4.1B

二次基準要素セルの選別方法

二次基準要素セルは,あらかじめ開放電圧,短絡電流,曲線因子,外観などがセル群の平均値から極端

に異なるものを取り除いた後,無作為に抜き取った複数枚の要素セル群(又は擬似基準要素セル群)から,

次の手順(この手順を,

“基準要素セル電流比による方法”という。

)によって選別する。

測定光源下における基準要素セル電流比が 1.0 で,かつ,JIS C 8904-7 の規定によって算出したスペクト

ルミスマッチ誤差が±1 %以内となる要素セル(又は擬似基準要素セル)を複数個選別し,二次基準要素

セルとする。

4.2

二次基準太陽電池モジュールに対する要求事項

二次基準太陽電池モジュールは,次の要求を満たさなければならない。

a)

バイパスダイオードを付けない。

b)

二次基準太陽電池モジュールを構成するセルの短絡電流及び曲線因子のばらつきの許容値は,

(最大値

−最小値)/(最大値+最小値)が 2 %,又は平均値に対して±2 %とする。


7

C 8904-2

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なお,最大値,最小値及び平均値は,選別対象のセル群から求めた値,又はあらかじめ設定した値

でもよい。

5

温度測定

基準太陽電池セル及び二次基準太陽電池モジュールの等価セル温度は,JIS C 8920 の 6.(測定手順)に

よって測定した値,又は裏面中心部を温度センサで測定した値とする。温度測定の不確かさは,全ての基

準太陽電池に対して±1  ℃以下とする。

6

電気接続

基準太陽電池セルへの電気接続は,4 端子接続(ケルビンプローブ)とする。セルの接続バー及びワイ

ヤの電圧降下による測定誤差が生じないように注意する。

二次基準太陽電池モジュールに対する電気接続は,IEC 60904-1 の箇条 の要求を満たさなければなら

ない。

7

校正

基準太陽電池デバイスは,基準状態(STC)で校正する。

二次基準太陽電池デバイスの校正方法は,箇条 12 による。

基準太陽電池デバイスの相対分光感度特性は,IEC 60904-8 の規定によって測定する。二次基準太陽電

池モジュールの相対分光感度特性が測定できない場合は,同等の相対分光感度特性をもつ封止した太陽電

池セルの測定結果から推定する。

基準太陽電池デバイスの温度係数は,IEC 60891 の規定によって測定する。

8

データシート

基準太陽電池デバイスの校正ごとに,次の事項をデータシートに記載する。

−  識別番号

−  基準太陽電池の種類(一次基準太陽電池セル,二次基準太陽電池セル,ワーキング基準太陽電池セル)

−  セル製造業者名

−  セル材料の種類

−  パッケージの種類

−  セルの種類及び寸法

−  電気回路図

−  校正機関

−  校正場所及び校正日

−  校正方法(参照した規格)

−  分光放射計又は標準電球の特性(適用した場合)

−  校正に用いた一次基準太陽電池セルの識別(適用した場合)

−  校正に用いたソーラシミュレータの等級及び放射照度の場所むら(適用した場合)

−  温度センサの種類及び等級(適用した場合)

−  相対分光感度特性(波長ごとの相対感度値)

−  短絡電流の温度係数


8

C 8904-2

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−  校正時のソーラシミュレータの放射照度,並びにその条件での短絡電流(I

SC

,開放電圧(V

OC

,最

大出力(P

max

,最大出力動作電圧(V

pmax

,最大出力動作電流(I

pmax

,及び曲線因子(FF

−  基準状態(STC)での短絡電流の校正値(A)

−  基準条件(基準スペクトル,温度,エアマスなど)

−  不確かさの推定値

−  シャント抵抗の抵抗値及び温度係数(適用した場合)

−  測定時のスペクトルミスマッチ補正係数,及びマッチングしない基準太陽電池の使用による不確かさ

二次基準太陽電池モジュールの場合には,次の事項を記載する。

−  製造業者名

−  モデル名

−  シリアル番号

−  セルの種類

−  モジュールの構造及び寸法

−  電気回路図

9

表示

基準太陽電池デバイスのパッケージには,そのデータシートと一対一に対応した製造業者名,及び識別

番号又はシリアル番号を,容易に消せない方法で明瞭に表示する。

10

基準太陽電池デバイスのパッケージ

10.1

太陽光下で用いる場合の推奨構造

太陽光の測定に用いる基準太陽電池デバイスは,入射光の幾何学的な分布に対し,被測定太陽電池(太

陽電池セル,

太陽電池セルのサブアセンブリ及びモジュール)

と同等の応答特性をもたなければならない。

太陽光の散乱光は,

封止及びバックシートで反射するので,

モジュール測定に用いる基準太陽電池セルは,

モジュール内の光学特性を模擬するように,多数のセルで構成することを推奨する。

この場合,フレーム,封止方法,形状及び寸法,並びに基準太陽電池セルと周辺のセルとの距離は,被

測定太陽電池モジュールと同等とする。二次基準太陽電池モジュールの許容できる最小構造を,

図 に示

す。

10.2

ソーラシミュレータ下で用いる場合の推奨構造

ソーラシミュレータ下で用いる場合の基準太陽電池デバイスのパッケージには,次のことを推奨する。

a)

ある種の光学系のソーラシミュレータでは,光源と被測定太陽電池面との間の多重反射があるので,

試料面上の被測定太陽電池の有無によって,その照度が変化しないことが望ましいが,変化してもよ

い。

b)

このようなソーラシミュレータを用いる場合,被測定太陽電池測定時の照度を正確に測定するために

は,基準太陽電池セルは,被測定太陽電池と同じ方法でパッケージし,多重反射による照度変動分を

同等にする。

多重反射による誤差が最小になるように設計したソーラシミュレータで測定する場合,基準太陽電池デ

バイスは,単独でパッケージしてもよい。

上記のほかに,太陽光下で使用する基準太陽電池デバイスに対する要求条件に従ってもよい。


9

C 8904-2

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10.3

単一セル用のパッケージ

単一セル用のパッケージには,次のことを推奨する。

a)

視野角は,160 度以上が望ましい。

b)

セルの視野内にある全ての容器面は,無反射で,セルの感度帯域で吸収率は 95 %以上とする。

c)

セルを支持台に接着する接着剤は,電気的及び光学的に劣化しないことが望ましい。その物理的特性

は,意図した使用期間にわたって安定であることが望ましい。

d)

保護用の窓を用いることを推奨する。封止する場合,窓とセルとの間は,安定で透明な封止材で満た

すことが望ましい。内部反射による誤差を最小にするために,封止材の反射率は,10 %以下が望まし

い。封止材の透過性,均一性及び接着性は,紫外線放射及び動作温度の影響を受けないことが望まし

い。

e)

被測定太陽電池の相対分光感度特性と一致させるためのフィルタを保護用の窓にしてもよい。この場

合,d)の要求事項も満たさなければならない。

単一セル用パッケージの推奨構造(WPVS 形)の例を,

図 に示す。次に,その他の適切な推奨構

造を示す。

単一セル用パッケージの推奨構造(JIS 形)の例を,

図 に,また,プラグの推奨構造(JIS 形)の

例を,

図 に示す。

注記  World Photovoltaic Scale(WPVS)形の推奨構造については,次の文献を参照するとよい。

C.R. Osterwald, S. Anevsky, K. Bücher, A.K. Barua, P. Chaudhuri, J. Dubard, K. Emery, B. Hansen, D.

King, J. Metzdorf, F. Nagamine, R. Shimokawa, Y.X. Wang, T. Witchen, W. Zaaiman, A. Zastrow and

J. Zhang, “The World Photovoltaic Scale: An International Reference Cell Calibration Program,”

Progress in Photovoltaics Research and Applications, vol.7, pp.287-297, 1999

f)

太陽電池セルの温度を一定に保持できる構造が望ましい。セルには,セルの温度を測定するための温

度センサを付けることが望ましい。温度センサは,光を遮らない場所に熱的に良好な状態でセルに接

触させ,温度測定器の確度は±0.5  ℃が望ましい。

なお,温度センサに熱電対を用いる場合は,JIS C 1602 に規定する種類 T のクラス 1 を用いる。

11

基準太陽電池の取扱い方法

基準太陽電池は,1 年に一度以上,再校正することが望ましい。

基準太陽電池の窓材は,清浄かつきずがつかないように取り扱う。

基準太陽電池は,破損,汚染及び劣化がないように取り扱う。

機能が損なわれるような不適合が生じた基準太陽電池を,用いてはならない。

基準太陽電池の短絡電流値が,初期の校正値から 5 %以上変化した場合は,基準太陽電池として用いて

はならない。

12

一次基準太陽電池で二次基準太陽電池を校正する方法

SI 単位にトレーサブルな一次基準太陽電池を用いて,太陽光又はソーラシミュレータで,二次基準太陽

電池を校正する方法を規定する。測定光源下における一次基準太陽電池と二次基準太陽電池とのスペクト

ルミスマッチ誤差は,JIS C 8904-7 の規定によって求める。スペクトルミスマッチ誤差が±1 %以内の場合

は,補正しなくてもよい。誤差が±1 %を超える場合,12.4 を適用する。

この手順は,次に示す制約条件の下で,IEC 60904-1 の規定によって,太陽光及びソーラシミュレータ


10

C 8904-2

:2011

による校正に適用する。

注記  一次基準要素セルで二次基準要素セルを校正する方法は,一次基準太陽電池を一次基準要素セ

ルで置き換え,かつ,二次基準太陽電池を二次基準要素セルで置き換える。

12.1

太陽光法

太陽光下での二次基準太陽電池の校正は,次の条件で行う。

a)

散乱日射量が全天日射量の 30 %を超えない快晴日。

b)

雲の塊がない。

c)

一次基準太陽電池セルで測定した全天放射照度が,800 W・m

2

以上。

d)

エアマス(Air Mass)は,1 より大きく 2 より小さい。

e)

太陽光の照射が十分に安定で,測定中,一次基準太陽電池セルの短絡電流の変動が  ±0.5 %未満。

注記  IEC 60904-4 では,校正に必要なデータを取得する分光放射計は,太陽光線と垂直(±0.5°

以内の範囲)となるように設置することを規定している。

12.2

ソーラシミュレータ法

ソーラシミュレータは,JIS C 8942 に規定する等級 MS 若しくは等級 MA,又は JIS C 8912 若しくは JIS 

C 8933

に規定する等級 A とし,かつ,校正する二次基準太陽電池の面内での放射照度の場所むらが,±1 %

未満のものとする。基準太陽電池モジュールの場合で,放射照度の場所むらが±1 %以上のとき,不確か

さの解析において,個々のセルの短絡電流の違いを考慮しなければならない。また,一次基準太陽電池は,

JIS C 8910

の規定によって選別し,校正したものを使用する。ソーラシミュレータの放射照度の平均値を,

一次基準太陽電池セルで 980 W・m

2

∼1 020 W・m

2

に調整する。

12.3

校正手順

校正手順は,次による。

a)

校正前に,IEC 60891JIS C 8990 又は JIS C 8991,及び JIS C 8915 又は JIS C 8936 の規定に基づい

て,二次基準太陽電池の短絡電流の温度係数及び相対分光感度特性を測定する。

b)

一次基準太陽電池及び二次基準太陽電池は,±1°の同一平面上に近接して取り付け,電流測定器及び

温度測定器に接続する。二次基準太陽電池は,光源に対して表面が±5°で正対するように取り付ける。

c)

一次基準太陽電池及び二次基準太陽電池の温度を 25  ℃±1  ℃に制御する。これが満たされない場合,

IEC 60891

の規定によって,短絡電流を 25  ℃での値に補正する。

d)

一次基準太陽電池及び二次基準太陽電池の短絡電流及び温度を,同時に測定する。分光放射照度を決

定する。屋外測定の場合,分光放射照度は,短絡電流を測定している間に測定する。電圧計及び電流

計は,JIS C 1102-1 及び JIS C 1102-2 に規定する階級指数 0.5 以上の許容差で,電圧計の内部抵抗は

20 kΩ/V 以上とし,アナログ計器の場合,最大目盛は,測定値の 3 倍以内とする。また,標準抵抗器

は,抵抗値 0.1 Ω 以下,精度±0.1 %とし,温度計は,精度±1  ℃とする。

なお,短絡電流を I-V 特性から推定する場合は,

図 の回路を用いる。電子抵抗負荷をステップ状

に変化させる場合,電圧・電流のサンプリング遅延時間は,二次基準太陽電池の時定数を考慮して設

定する。

e)

上記の出力(25  ℃に補正した値で,スペクトルミスマッチ誤差が要求を満たす条件)変動が,±0.5 %

未満であることが 5 回以上続くまで,d)の測定を繰り返す。

f)

太陽光法の場合,3 日間以上,1 日 2 回は,b)∼e)の測定を行う。

g)  e)

のデータから式(4)によって校正値を求める。


11

C 8904-2

:2011

c25

SC,

m25

SC,

ccal

SC,

mcal

SC,

I

I

I

I

×

=

 (4)

ここに,  I

SC,mcal

二次基準太陽電池の短絡電流の校正値

I

SC,ccal

一次基準太陽電池の短絡電流の校正値

I

SC,m25

25  ℃における二次基準太陽電池モジュールの短絡電流の
測定値

I

SC,c25

25  ℃における一次基準太陽電池セルの短絡電流の測定値

12.4

一次基準太陽電池と二次基準太陽電池との相対分光感度特性が合致しない場合の校正方法

この校正方法は,スペクトルミスマッチ誤差が±1 %を超える場合に適用する。

校正方法は,測定中の太陽光又はソーラシミュレータの分光放射照度を測定した後,一次基準太陽電池

と二次基準太陽電池とのスペクトルミスマッチ誤差を,JIS C 8904-7 の規定によって算出した値で補正す

る。

校正手順は,12.112.3 と同様であるが,12.3 を次のように変更する。

a)  12.3 b)

では,分光放射照度計の測定面は,一次基準太陽電池及び二次基準太陽電池と同一平面上に近

接して取り付ける。

b)  12.3 d)

では,一次基準太陽電池及び二次基準太陽電池の短絡電流,温度及び光源の相対分光放射照度

を同時に測定する。

c)

12.3 g)

では,二次基準太陽電池の短絡電流を,JIS C 8904-7 の規定によって算出したスペクトルミス

マッチ誤差で補正する。

計算に用いる短絡電流及び分光放射照度は,

同時に測定したデータを用いる。

光源の分光放射照度の測定波長範囲は,JIS C 8904-7 に規定する波長積分範囲と一致させる。

以上の方法で求めた短絡電流の値は,二次基準太陽電池の 25  ℃での I

SC,m25

である。

校正値は,式(4)によって算出する。

13

二次基準太陽電池デバイスでワーキング基準太陽電池デバイスを校正する方法

二次基準太陽電池デバイスとワーキング基準太陽電池デバイスとが同一材料かつ同一構造の場合,スペ

クトルミスマッチ誤差は無視できるので,箇条 12 の校正手順を適用する。

図 1−二次基準太陽電池モジュールの最小構造


12

C 8904-2

:2011

単位  mm

 
 
 
 
 
 
 
 

品番

名称

材質

注記

1

ケース本体 1

52S 黒アルマイト

2

カバー 1

52S

黒アルマイト

3

コバール板

1

コバール t1×□60

4

充塡材

1

5

ガラス窓

1

石英ガラス t2×□50

6

熱電対

1

7

コネクタ

1

多ピンコネクタ

8

コバール板取付けねじ 4

プラスチック M2.6×6

9

熱電対圧着子

1

10

圧着ばね

1

11

圧着ばね圧調整ねじ

1

M3×3

12

リード線取付けねじ

2

M3×6

13

コネクタ取付けねじ

2

M2.6×6

14

裏ぶた 1

52S

黒アルマイト

15

裏ぶた取付けねじ

2

M2.6×6

16

カバー取付けねじ

4

M2.6×10

温度調整プレート

図 2−単一セル用パッケージの推奨構造の一例(WPVS 形)


13

C 8904-2

:2011

単位  mm

品番

名称

品番

名称

1

ケース本体 12

ケーブル押さえ

2

ガラス押さえ 13

ホロセットねじ

3 O リング 14

接続端子板

4

ガラス窓 15

ポッティング

5

コバール板 16

端子

6

プラグコネクタ 17

十字穴付きなべ小ねじ

7

袋ナット 18

キャノンプラグ

8 O リング 19

十字穴付きなべ小ねじ

9

ホース接続口 20

十字穴付き皿小ねじ

10

熱電対 21

十字穴付き皿小ねじ

11

キャブタイヤケーブル

注記  寸法は参考値。

図 3−単一セル用パッケージの推奨構造の一例(JIS 形)


14

C 8904-2

:2011

単位  mm

図 4−プラグの推奨構造の一例(JIS 形)

図 5I-V 特性測定回路の一例


15

C 8904-2

:2011

附属書 JA

参考)

ソーラシミュレータ法の測定値の不確かさ

太陽電池モジュール(以下,モジュールという。

)を太陽光で測定すると,基準状態(STC)では,測定

値は,一義的に決まる。測定値の不確かさは,測定システム(トレーサビリティ体系における不確かさの

連鎖を含む。

)に依存する。

モジュールをソーラシミュレータ法で測定すると,測定用ソーラシミュレータの照度の設定方法,照度

の場所むら,並びにモジュールを構成するセル特性のばらつき,配置方法及びセルの接続方法によって,

測定値が異なり一義的に決まらない。したがって,測定値の不確かさは,測定システムの不確かさに,こ

れらの不確かさが加わる。

測定用ソーラシミュレータの照度の設定方法には,基準太陽電池セルを用いる方法(以下,基準太陽電

池セル法という。

)及び二次基準太陽電池モジュールを用いる方法(以下,二次基準太陽電池モジュール法

という。

)がある。

この附属書では,ソーラシミュレータ法の測定値の不確かさについて,次の順序で記述する。

JA.1

セル接続方式による不確かさ

JA.2

基準太陽電池セル法の測定値の不確かさ

JA.3

二次基準太陽電池モジュール法

JA.4

二次基準太陽電池モジュールのセルの配置方法による不確かさ

JA.5

小さな二次基準太陽電池モジュールの場合の不確かさ

JA.6

モンテカルロシミュレーションの手順

JA.7

測定値の不確かさの例

JA.1

セル接続方式による不確かさ

JA.1.1

全てのセルが並列接続の場合

太陽光で,かつ,基準状態(STC)では,測定値は一義的に決まる。

ソーラシミュレータ法では,モジュール電流の測定値は,並列接続であるため,セル特性のばらつき及

び照度の場所むらの影響を受けないが,その他の測定パラメータは両者の影響を受ける。モジュール電流

は,ソーラシミュレータの平均照度が太陽光の照度と同じ値であり,かつ,スペクトルミスマッチ誤差が

ない場合,又は補正した場合,不確かさの範囲内で太陽光での測定値と同じ値になる。

JA.1.2

全てのセルが直列接続の場合

モジュールを構成するセルが全て直列接続の場合,モジュールの出力は,出力電流を制限しているセル

(以下,制限セルという。

)によって決まる。

太陽光では,照度の場所むらがないので,制限セルは,I

SC

が最小のセルとなる。したがって,モジュー

ルの出力電流は,このセルによって決まる。

ソーラシミュレータ法では,制限セルは,セルを置いた場所の照度での I

SC

の中で,最小の I

SC

となるセ

ルである。したがって,モジュールの出力は,セル特性のばらつき及び照度の場所むらの影響を受け,こ

れらが変わればモジュールの出力も変わる。このことは,二次基準太陽電池モジュールの校正値について

も同様である。その結果,ソーラシミュレータ法の測定値又は校正値の不確かさは,制限セルの不確かさ


16

C 8904-2

:2011

が加わるので,太陽光で測定した場合より大きい。

JA.1.3

並列接続と直列接続とが混在する場合

測定値は,並列接続と直列接続との中間の性質をもつ。並列接続の割合が増加するに従い,セル特性の

ばらつきと照度のばらつきとの組合せが平均化されることによって,直列接続だけの場合よりも測定値の

不確かさが小さくなる。不確かさが最小になるのは,全てのセルが並列接続の場合である。

JA.2

基準太陽電池セル法の測定値の不確かさ

基準太陽電池セル法は,測定用ソーラシミュレータの平均照度を基準照度に設定する方法である

1)

。基

準太陽電池セルと被測定太陽電池モジュールとの光学的な特性が異なる場合,誤差が生じるので注意が必

要である(3.2.2 及び 10.2 参照)

1)

  測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらの最低点を,基準照度に設定する方法もある。こ

の場合,モジュールの I

SC

の測定値は,制限セルが,照度の場所むらの最低点にあるときだけ,

太陽光での測定値と同じ値となる。ただし,このような組合せの出現確率は小さい。これ以外

の組合せでは,全て高めの評価になる。したがって,この照度設定値は推奨できない。

基準太陽電池セル法の測定値の不確かさの概念図を,

図 JA.1 に示す。

被測定太陽電池モジュールの I

SC

が,制限セルの I

SC

に近似した場合の上限値及び下限値の概念図を,

JA.2

に示す。

測定値は,制限セルの性質(セル特性と照度の場所むらとの組合せの中で最小の I

SC

となるセル)から,

下限値に近い側が選ばれ,上限値の出現確率は少ない。また,測定値は,太陽光で測定した値よりも低め

になる(以下,低めの評価という。

)ことが多い。しかし,制限セルにばらつきがあるので,太陽光で測定

した値よりも高めの値に測定される(以下,高めの評価という。

)こともあるが,その確率は,極めて小さ

い。

なお,モジュールの I

SC

は,セルが直列に接続されている場合,制限セルに逆電圧がかかるので,制限

セルの逆方向特性の影響を受ける。また,モジュールの最大出力(P

max

)は,モジュール電流が I

Pmax

のと

きの各セルの出力(P)の和であり,最大出力となる動作点は,制限セルだけではなく,各セルの特性に

も依存する。

測定値のばらつき,特に,高めの評価と低めの評価の出現確率は,セル特性及び照度の場所むらの分布

が決まれば,モンテカルロシミュレーション

2)

によって推定できる。モンテカルロシミュレーションの手

順を JA.6 に示す。

測定値が I

SC

の場合のモンテカルロシミュレーションの結果の例を,

表 JA.1 に示す。測定値は,低めの

評価の割合が多いことを示している。

2)

  モンテカルロシミュレーションによる方法を用いるのは,次の理由による。

モジュールの I

SC

は,I

SC

及び照度の平均値を 1 とし,制限セルの I

SC

が(1+a)

,かつ,その

照度が(1+b)の場合,

(1+a+b+ab)で近似される。正確には,モジュールの I

SC

は,制限セ

ルの I

SC

に加えて,制限セルの逆方向特性にも依存する。ただし,ここでは,モジュールの I

SC

を制限セルの I

SC

で近似する。さらに,a 及び b が 1 より非常に小さい場合,モジュールの I

SC

を(1+a+b)で近似する。

セルの I

SC

のばらつき及び照度の場所むらが正規分布の場合,それらを組み合わせた場合のセ

ルの I

SC

は,上述の近似式を用いれば,正規分布の和の分布であるから,これも正規分布である。

この正規分布から 個抜き取った場合の下限値の性質は,下限値の極値分布として知られてい


17

C 8904-2

:2011

る。したがって,個のセルを直列に接続している場合の制限セルの出力は,下限値の極値分

布に従う。ただし,セルの I

SC

のばらつき及び照度の場所むらは,正規分布ではない。セルの I

SC

のばらつき及び照度の場所むらは,左右が切れた正規分布又はく(矩)形分布である。そこで,

I

SC

の正確な分布は,モンテカルロシミュレーションなどの統計的な手法で推定する。

縦方向:照度の場所むら及びセル特性のばらつき 
横線:基準照度のレベル及びそのレベルに置かれるセル

図 JA.1−基準太陽電池セル法で,測定用ソーラシミュレータの平均照度を

基準照度に設定した場合の測定値(I

SC

の不確かさの概念図

縦方向:照度の場所むら及びセル特性のばらつき 
横線:基準照度のレベル及びそのレベルに置かれるセル

図 JA.2−基準太陽電池セル法で,測定用ソーラシミュレータの平均照度を

基準照度に設定した場合の測定値(I

SC

の上限値及び下限値の概念図

照度の場所むらの範囲を超えるセルは,
制限セルにならない。

自然光での測定値。I

SC

が最小のセルで決まる。

基準照度

〔自然光〕

(b)被測定太陽電池モジュールの

セル特性のばらつき(±5 %)

測定値が下限値(−3 %)

になる組合せ

(a)測定用ソーラシミュレータの

照度の場所むら(±3 %)

測定値が上限値(+3 %)になる組合せ。 
この場合,この組合せが必ず制限セルである。

照度の場所むらの範囲を超えるセルは,
制限セルにならない。

(a)測定用ソーラシミュレータの

 照度の場所むら

自然光での測定値。I

SC

が最小のセルで決まる。

基準照度

〔自然光〕

(b)被測定太陽電池モジュールの

 セル特性のばらつき

ソーラシミュレータでの測定値は, 
この組合せの中の制限セルで決まる。


18

C 8904-2

:2011

表 JA.1−基準太陽電池セル法で,測定用ソーラシミュレータの平均照度を

基準照度に調整した場合の測定値(I

SC

の不確かさの例

単位  %

測定値

照度の場所むら

平均値の±3 %

の場合

照度の場所むら

平均値の±2 %

の場合

平均値

−1.47

−0.82

上限値 1.44

1.76

下限値

−3.00

−2.00

標準偏差 0.79

0.63

+3 %を超える 0.00

0.00

+2 %∼+3 %

0.00

0.00

+1 %∼+2 %

0.16

0.20

±1 %

27.75

57.77

−1 %∼−2 %

43.98

42.03

−2 %∼−3 %

28.11 0.00

分布

−3 %を超える 0.00

0.00

シミュレーションの条件

1.  測定用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±3 %以内,及び

平均値の±2 %以内に改善した場合

2.  被測定太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±5 %以内 
3.  被測定太陽電池モジュールは,36 セル直列の場合 
4.  モンテカルロシミュレーション,試行回数:1 万回 
5.  測定値は,制限セルの I

SC

で近似

注記 1  表中の値は,基準太陽光での測定値からのずれ分を%で示す。ただし,

標準偏差は,ずれ分のばらつきである。

注記 2  網掛けは,頻度の多い部分を示す。 
注記 3  “分布”の区間は,左の数字よりも大きく,右の数字以下である。

JA.3

二次基準太陽電池モジュール法

JA.3.1

二次基準太陽電池モジュールの校正値の不確かさ

二次基準太陽電池モジュールの校正値の不確かさは,次の不確かさの合成である。

a)

一次基準太陽電池セルの不確かさ

b)

一次基準太陽電池セル校正値の二次基準太陽電池モジュール校正時における再現性

c)

二次基準太陽電池モジュール校正値の再現性

d)

二次基準太陽電池モジュール校正値の不確かさ(制限セルのばらつき)

ここで,a)は,一次基準太陽電池セルの校正証明書に示した値,b)及び c)は,特定の一次基準太陽電池

セル,校正用ソーラシミュレータ及び二次基準太陽電池モジュールに対する測定のランダムネスである。

d)

は,モンテカルロシミュレーションで求める。モンテカルロシミュレーションでは,二次基準太陽電池

モジュールのセル配置の違い,校正用ソーラシミュレータの照度の場所むらの違い,及びその時間変動が

シミュレーションできる。モンテカルロシミュレーションの手順を,JA.6 に示す。

校正値の不確かさの例を,

表 JA.2 に示す。

校正値のばらつきの概念図を,

図 JA.3 に示す。

校正値の上限値及び下限値の概念図を,

図 JA.4 に示す。

注記  二次基準太陽電池モジュールの校正値は,基準照度で値付けした値を示している。ただし,照


19

C 8904-2

:2011

度と校正値及び測定値とは,次のような関係にある。例えば,制限セルが,校正時点も,測定

時点も,セル特性の最低のもので,かつ,照度の場所むらの最も照度の低い領域にある場合,

校正値は,校正用ソーラシミュレータの照度の場所むらの最低点を示す。したがって,測定用

ソーラシミュレータの最低照度の点を,校正用ソーラシミュレータの最低照度に調整すること

になる。同様に,被測定モジュールの制限セルが,セル特性の最低のもので,かつ,照度の場

所むらの最も照度の低い領域にある場合,測定値は,校正用ソーラシミュレータの最低照度の

点で測定した値になる。校正用ソーラシミュレータの照度の場所むらが±1 %の場合,I

SC

の測

定値は,太陽光を用いた測定値より 1 %低い値である。このような極端な組合せの発生確率は

小さいが,制限セルの性質からこれに近い値をとることが多い。

以上のことから,

表 JA.2 の校正値の平均値が示す照度は,重要なパラメータではない。標準

偏差が校正値の不確かさを示すものであり,重要である。この値が測定用ソーラシミュレータ

の不確かさ及び測定値の不確かさに寄与する。

表 JA.2−校正値の不確かさの例

単位  %

平均値

−2.26

上限値

−1.22

下限値

−3.00

標準偏差 0.30

シミュレーションの条件

1.  校正用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±1 %以内 
2.  二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±2 %以内 
3. 36 セル直列接続 
4.  シミュレーション回数:1 万回

注記  表中の値は,基準照度でセル特性が平均値のときの出力からのずれ分を%

で示す。ただし,標準偏差は,ずれ分のばらつきである。

縦方向:照度の場所むら及びセル特性のばらつき 
横線:基準照度のレベル及びそのレベルに置かれるセル

図 JA.3−二次基準太陽電池モジュールの校正値のばらつきの概念図

校正用ソーラシミュレータの
照度の場所むら

二次基準太陽電池モジュールのセル特性の
ばらつき

校正値は,この組合せの中の制限セル
で決まる。

基準照度

照度の場所むらの範囲を超える 
セルは,制限セルにならない。


20

C 8904-2

:2011

縦方向:照度の場所むら及びセル特性のばらつき

横線:基準照度のレベル及びそのレベルに置かれるセル

図 JA.4−二次基準太陽電池モジュールの校正値の上限値及び下限値の概念図

JA.3.2

測定用ソーラシミュレータの照度調整,設定照度の極値及び照度のばらつき

測定用ソーラシミュレータの照度の設定値は,校正値のばらつき,二次基準太陽電池モジュールのセル

特性のばらつき,及び測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらに依存する。

照度調整の概念図を,

図 JA.5 に示す。

測定用ソーラシミュレータの照度の調整は,二次基準太陽電池モジュールの出力を校正値に調整するこ

とである。この調整量を求めるために,次のように考える。平均照度が基準照度にある場合の出力(以下,

調整中の出力という。

)を想定し,この場合の出力を校正値に合わせるための量を調整量とし,調整量は,

校正値と調整中の出力の差分とによって求める。調整量の極値は,調整中の出力の極値(上限値と下限値)

3)

と校正値の極値(上限値と下限値)との差分(4 通りの組合せ)の中の極値(上限値と下限値)である。

3)

  調整中の出力の上限値及び下限値の概念図は,図 JA.4 で,校正用ソーラシミュレータを二次基

準太陽電池モジュールに置き換え,二次基準太陽電池モジュールを測定用ソーラシミュレータ

に置き換える。

二次基準太陽電池モジュールの校正値,並びに測定用ソーラシミュレータの調整中の出力及び調整量の

極値を,

表 JA.3 に示す。調整量の極値は,校正時点と調整時点との極値を組み合わせる場合であり,その

出現確率は極めて小さい。実際の調整量は,制限セルの性質から,下限値同士の組合せに近い値の出現確

率が大きい。下限値同士を組み合わせると,調整量は+2 %となる。これは,測定用ソーラシミュレータ

の平均照度を+2 %強めることである。この場合,照度の場所むらの最低点は,基準照度の−1 %(−3 %

+2 %=−1 %)となる。すなわち,測定用ソーラシミュレータの照度の最低点(−3 %)を,校正用ソー

ラシミュレータの最低点(−1 %)に調整したことになる。

調整量のばらつきの例を,

表 JA.4 に示す。

JA.3.3

測定値の不確かさ

被測定モジュールの測定値の不確かさは,次の不確かさの合成である。

a)

一次基準太陽電池セルの不確かさ

b)

一次基準太陽電池セル校正値の二次基準太陽電池モジュール校正時における再現性

c)

二次基準太陽電池モジュール校正値の再現性

d)

二次基準太陽電池モジュール校正値の不確かさ(制限セルのばらつき)

校正用ソーラシミュレー
タの照度の場所むら。平
均値の±1 %以内。

基準照度

照度の場所むらの範囲を超えるセル
は,制限セルにならない。

校正値の上限値(−1 %)。この場合,こ
の組合せが必ず制限セルである。

校正値の下限値(−3 %)

二次基準太陽電池モジュールのセル特
性のばらつき。平均値の±2 %以内。


21

C 8904-2

:2011

e)

測定用ソーラシミュレータの照度設定の不確かさ(制限セルのばらつき)

f)

測定時点の制限セルの不確かさ(制限セルのばらつき)

g)

測定値の再現性

ここで,g)は,特定の測定用ソーラシミュレータ及び被測定モジュールに対する測定のランダムネスで

ある。e)及び f)は,モンテカルロシミュレーションで求める。二次基準太陽電池モジュールの違い,測定

用ソーラシミュレータの違い及び照度の場所むらの時間変動は,モンテカルロシミュレーションに含まれ

る。

測定値の不確かさは,モンテカルロシミュレーションで調べることができる。モンテカルロシミュレー

ションの手順を,JA.6 に示す。

縦方向:照度の場所むら及びセル特性のばらつき

横線:基準照度のレベル及びそのレベルに置かれるセル

図 JA.5−測定用ソーラシミュレータの照度調整の概念図

表 JA.3−二次基準太陽電池モジュールの校正値,測定用ソーラシミュレータの

調整中の出力及び調整量の極値

単位  %

極値の種類

校正値の極値

調整中の極値

調整量の極値

上限値

−1

−1

+4

下限値

−3

−5

−2

シミュレーションの条件

1.  校正用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±1 %以内 
2.  二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±2 %以内 
3.  測定用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±5 %以内

注記 1  表中の値は,基準照度でセル特性が平均値のときの出力からのずれ分を%で示す。 
注記 2  調整量の極値は,調整中の極値を校正値の極値に調整する量であり,(校正値の極値)

(調整中の極値)の 4 種類の組合せの中の最大値及び最小値である。

注記 3  測定用ソーラシミュレータの平均照度の極値は,調整量の極値の上限値及び下限値で

ある。

(b)測定用ソーラシミュレータの照度の場所むら

基準照度

(a)の範囲を超える照度の場所にあるセルは, 
制限セルにならない。

(a)二次基準太陽電池モジュ
ールのセル特性のばらつき

調整中の出力は,この組合せの中の制限セル
で決まる。この値を校正値に調整する。


22

C 8904-2

:2011

表 JA.4−測定用ソーラシミュレータの調整量のばらつきの例

単位  %

平均値 1.46

上限値 3.26

下限値

−0.80

標準偏差 0.57

シミュレーションの条件

1.  校正用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±1 %以内 
2.  二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±2 %以内 
3.  測定用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±3 %以内 
4.  被測定用モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±5 %以内 
5.  二次基準太陽電池モジュール:36 セル直列接続

注記  表中の値は,基準照度でセル特性が平均値のときの出力からのずれ分を%で示す。 

ただし,標準偏差は,ずれ分のばらつきである。

JA.4

二次基準太陽電池モジュールのセルの配置方法による不確かさ

二次基準太陽電池モジュールのセルの配置方法には,次に示すようなセルの特性と校正用ソーラシミュ

レータの照度の場所むらとの相関を負相関,正相関又はランダムに配置する方法がある。

a)

負相関に配置する場合  制限セルの出力は,照度の場所むらとセル特性のばらつきとの上限値及び下

限値を組み合わせたときの最小値になる。

表 JA.2 に示したシミュレーションの条件の場合,校正値は,

基準照度の−1 %(照度+1 %とセル−2 %との組合せ)

,調整中の出力は,基準照度の−1 %(セル+2 %

と照度−3 %との組合せ)となる。したがって,調整量は 0 となるので,測定用ソーラシミュレータ

の平均照度は,基準照度に設定される。測定値は,並列接続と同様であり,低めの評価が多めになる。

上限値又は下限値にばらつきがあるので,並列接続の場合よりばらつきが大きくなる。

b)

正相関に配置する場合  制限セルの出力は,照度の場所むら及びセル特性のばらつきの最低値の組合

せになる。

表 JA.2 に示したシミュレーションの条件の場合,校正値は,基準照度の−3 %(照度−1 %

とセル−2 %との組合せ)

,調整中の出力は,基準照度の−5 %(セル−2 %と照度−3 %との組合せ)

となる。したがって,調整量は,+2 %となり,測定用ソーラシミュレータの平均照度は,基準照度

より 2 %高い値になる。測定値は,負相関の場合より,高めの評価となる割合が増加する。

c)

ランダムに配置する場合  制限セルは,正相関と負相関との中間となる。すなわち,校正値及び調整

量も正相関,負相関の中間となる。その結果,測定値も,正相関と負相関の中間になる。モンテカル

ロシミュレーションの結果の一例を,

表 JA.5 に示す。この結果によれば,表 JA.2 に示したシミュレ

ーションの条件の場合で,かつ,36 セル直列の場合,ランダムに配置すると,高めの評価及び低めの

評価がほぼ同じ割合になる。その結果,ランダムに配置することが望ましい。

JA.5

小さな二次基準太陽電池モジュールの場合の不確かさ

被測定太陽電池モジュールよりも小さな二次基準太陽電池モジュールを用いる場合,校正値の極値及び

調整中の極値は,その大きさに依存し,同一寸法二次基準太陽電池モジュールの場合より幾分ばらつきが

小さくなる。その極値は,二次基準太陽電池モジュールが一つのセルの場合であり,基準太陽電池セル法

の結果と同じである。


23

C 8904-2

:2011

JA.6

モンテカルロシミュレーションの手順

測定値がモジュールの I

SC

の場合のばらつき及び出現確率分布は,モンテカルロシミュレーションで求

めることができる。

モンテカルロシミュレーションの手順は,次のとおりとする。

a)

校正用ソーラシミュレータの照度の場所むらを 個発生

4)

させる。

b)

二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつきを 個発生

4)

させる。

c)

a)

と b)との組合せによって下限値 E

ref

を求める。これが校正値

5)

である。

d)

測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらを 個発生

4)

させる。

e)

b)

と d)との組合せによって下限値 E

sample

を求める

5)

f)

測定用ソーラシミュレータの平均照度を,調整量 E

adjust

だけ調整し,校正値に合わせる。調整量 E

adjust

は,次の式によって算出する。

E

adjust

E

ref

E

sample

ここに,

E

adjust

調整量(%)

E

ref

c)

で求めた下限値(校正値)

(%)

E

sample

e)

で求めた下限値(%)

g)

被測定太陽電池モジュールのセル特性のばらつきを 個発生

4)

させる。

h)  d)

と g)との組合せによって下限値 E

min

を求める

5)

。測定値 E

measure

は,この下限値 E

min

に調整量 E

adjust

を加えた値である。

これは,d)の値に調整量 E

adjust

を加えてから,下限値 E

min

を求めたことと同じである。

i)

自然光での測定値[g)の下限値]とシミュレータでの測定値 E

measure

との差 E

Δ

を求める。

j)

上記の a)∼i)を 1 万回繰り返し,差分 E

Δ

の出現頻度の分布を求める。

4)

  平均値 0,標準偏差 σ=1 %の正規乱数を多数発生させ,±σ に入った乱数の中から,個の

平均値を 0 に移動させ,個のデータが全て±σ 以内である組合せを作る。その他の分布に

ついても同様の方法で作成する。

5)

  発生した乱数をそのまま組み合わせるとランダム配置である。大小に並び替えてから組み合

わせて並び替えの方向を変えることで,正相関の配置又は負相関の配置とする。

ここで,校正値 E

ref

を求める場合は,上記の手順 e)までを実施する。測定用ソーラシミュレータの不確

かさ(調整量のばらつき)を求める場合は,手順 f)までを実施する。測定用ソーラシミュレータの平均照

度を基準照度に合わせる場合は,手順 a)で校正用ソーラシミュレータの場所むらを 0 とする。

なお,モジュールの最大出力(P

max

)の不確かさをシミュレーションするためには,モジュールの I-V

特性が必要である。モジュールの I-V 特性は,個々のセルの I-V 特性から合成する。個々のセルの I-V 特

性は,そのときの照度の場所むらから求める。これを実験で求める方法は,平均照度一定の下で,照度の

場所むらを変更する方法などが考えられる。

JA.7

測定値の不確かさの例

測定値をモジュールの I

SC

とした場合のモンテカルロシミュレーションの結果を示す。ここでは,それ

ぞれのばらつきが,

表 JA.5 に示したシミュレーションの条件で,モジュールの I

SC

を,制限セルの I

SC

近似する。

モンテカルロシミュレーションの結果は,校正用ソーラシミュレータの照度の場所むら,二次基準太陽

電池モジュールのセル特性のばらつき,及び測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらに対する不確か


24

C 8904-2

:2011

さを示す。

実際のばらつきが

表 JA.5 に示したシミュレーションの条件よりも小さい場合,測定値のばらつきは少な

くなる。

被測定太陽電池モジュールのセル特性のばらつきは,実際のデータを利用してもよい。

被測定太陽電池モジュールのセル特性のばらつきが未知の場合,測定用ソーラシミュレータの照度の場

所むらの範囲を超えたセルは,制限セルにはならないので,セル特性のばらつきには照度の場所むらの値

を用いる。

直列セルの数が増加する場合,

制限セルのばらつきが少なくなるので,

測定値の不確かさは小さくなる。

例えば,セルの数が無限の場合,校正値,調整中の出力及び測定値は,全て下限値で決まる。この場合,

それぞれのばらつきが

表 JA.5 に示したシミュレーションの条件の場合,測定値は,太陽光の測定値より 1 %

低くなる。

表 JA.5 は,二次基準太陽電池モジュールと被測定太陽電池モジュールとが同一の大きさで,構成セルの

数が 36 個の場合の例である。

この結果は,ランダム配置にすると,高めの評価と低めの評価との割合がほぼ均衡している。ランダム

配置が推奨できる証拠である。

表 JA.6 は,次のように改善した場合の比較である。

a)

改善 A:二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつきを,

平均値の±2 %以内から平均値の±1 %

以内に改善した場合を示す。

b)

改善 B:測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらを,平均値の±3 %以内から平均値の±2 %以内

に改善した場合を示す。

c)

改善 C:a)及び b)の両者を,同時に実施した場合を示す。

これらの結果を比較すると,改善 B(測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらを±3 %から±2 %に

改善した場合)の効果が著しいことが分かる。

表 JA.7 は,測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらが,平均値の±5 %以内の場合(JIS C 8912 

等級 B の場合)のモンテカルロシミュレーションの結果である。

測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらが±5 %では,ばらつきが大きくなり,推奨できないこと

を示している。

表 JA.8 は,小さな二次基準太陽電池モジュールを用いた例である。小さな二次基準太陽電池モジュール

を用いることで,同一寸法二次基準太陽電池モジュールに対して,低めの評価の割合が増加する。これは,

移動測定の平均操作で平均照度が基準照度に近付くからである。一方,高めの評価も僅かに増加する。こ

れは,移動させて測定することで,その都度制限セルが異なるからである。


25

C 8904-2

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表 JA.5−モンテカルロシミュレーションの結果の一例

単位  %

範囲

正相関

負相関

ランダム

平均照度が基準照度の場合

平均値 0.34

−1.38 0.00

−1.47

上限値

3.34 1.82 4.14

1.44

下限値

−1.00

−3.25

−2.86

−3.00

標準偏差

0.80 0.81 0.93

0.79

+3 %を超える

0.08 0.00 0.09

0.00

+2 %∼+3 %

2.44 0.00 2.04

0.00

+1 %∼+2 %

18.72 0.34 12.39 0.16

±1 %

78.76

30.92

71.91

27.75

−1 %∼−2 %

0.00

43.98

12.60

43.98

−2 %∼−3 %

0.00

24.53 0.97

28.11

分布

−3 %を超える

0.00 0.23 0.00

0.00

シミュレーションの条件

1.  校正用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±1 %以内 
2.  二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±2 %以内 
3.  測定用ソーラシミュレータの照度の場所むら:平均値の±3 %以内 
4.  被測定太陽電池モジュールのセル特性のばらつき:平均値の±5 %以内 
5. 36 セル直列の場合

注記 1  表中の値は,基準太陽光での測定値からのずれ分を%で示す。ただし,標準偏差は,ずれ分の

ばらつきである。

注記 2  網掛けは,頻度の多い部分を示す。 
注記 3  区間は,左の数字よりも大きく,右の数字以下である。


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C 8904-2

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表 JA.6−モンテカルロシミュレーションの結果の一例(改善)

単位  %

範囲

改善前

セル±2 %

SS±3 %

改善 A

セル±1 %

改善 B

SS±2 %

改善 C

セル±1 %

SS±2 %

平均値 0.00

−1.47

−0.12

−0.83

上限値

4.14 1.49 2.81 1.60

下限値

−2.86

−3.00

−2.41

−2.00

標準偏差

0.93 0.79 0.75 0.62

+3 %を超える

0.09 0.07 0.00 0.00

+2 %∼+3

%

2.04 1.91 0.38 0.31

+1 %∼+2 %

12.39

14.78

7.14

7.14

±1 %

71.91

76.06

81.44

85.79

−1 %∼−2 %

12.60

7.12

10.75

6.75

−2 %∼−3

%

0.97 0.06 0.29 0.01

分布

−3 %を超える

0.00 0.00 0.00 0.00

(改善 A) シミュレーションの条件:

表 JA.4 で二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき

を平均値の±2 %以内から平均値の±1 %以内に改善した場合

(改善 B) シミュレーションの条件:

表 JA.4 で測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらを平均

値の±3 %以内から平均値の±2 %以内に改善した場合

(改善 C) シミュレーションの条件:

表 JA.4 で二次基準太陽電池モジュールのセル特性のばらつき

を平均値の±2 %以内から平均値の±1 %以内に改善し,かつ,測定用ソーラシミュレー

タの照度の場所むらを平均値の±3 %以内から平均値の±2 %以内に改善した場合

注記 1  表中の値は,基準太陽光での測定値からのずれ分を%で示す。ただし,標準偏差は,ずれ分の

ばらつきである。

注記 2  網掛けは,頻度の多い部分を示す。 
注記 3  区間は,左の数字よりも大きく,右の数字以下である。

表 JA.7−モンテカルロシミュレーションの結果の一例(JIS C 8912 の等級 の場合)

単位  %

範囲

ランダム配置

平均照度が基準照度の場合

平均値 0.21

−2.89

上限値 4.62

1.09

下限値

−3.64

−4.99

標準偏差 1.17

1.06

+3 %を超える 1.13

0.00

+2 %∼+3 %

6.35 0.00

+1 %∼+2 %

17.23 0.02

±1 %

61.51

4.45

−1 %∼−2 %

11.50

16.19

−2 %∼−3 %

2.16

31.63

分布

−3 %を超える 0.12

47.71

シミュレーションの条件:

表 JA.4 で測定用ソーラシミュレータの照度の場所むらを平均値の±5 %以

                        内とした場合 
注記 1  表中の値は,基準太陽光での測定値からのずれ分を%で示す。ただし,標準偏差は,ずれ分の

ばらつきである。

注記 2  網掛けは,頻度の多い部分を示す。 
注記 3  区間は,左の数字よりも大きく,右の数字以下である。


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C 8904-2

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表 JA.8−モンテカルロシミュレーションの結果の一例

小さな二次基準太陽電池モジュールを用いた場合)

単位  %

範囲

小さな

二次基準太陽電池

モジュール

同一寸法

二次基準太陽電池

モジュール

平均照度が基準照度

の場合

平均値

−0.50 0.00

−1.47

上限値

3.36 4.14 1.44

下限値

−5.30

−2.86

−3.00

標準偏差

1.26 0.93 0.79

+3 %を超える

0.12 0.09 0.00

+2 %∼+ %

2.02 2.04 0.00

+1 %∼+2 %

9.75

12.39 0.16

±1 %

53.47

71.91

27.75

−1 %∼−2 %

23.13

12.60

43.98

−2 %∼−3 %

9.04 0.97 28.11

分布

−3 %を超える

2.47 0.00 0.00

同一寸法二次基準太陽電池モジュール(36 セル直列)と,小さな二次基準太陽電池モジュール(6

セル直列)を用いた場合の比較(照度の場所むら及びセル特性のばらつきは,

表 JA.4 の条件でランダ

ム配置) 
注記 1  表中の値は,基準太陽光での測定値からのずれ分を%で示す。ただし,標準偏差は,ずれ分の

ばらつきである。

注記 2  網掛けは,頻度の多い部分を示す。 
注記 3  区間は,左の数字よりも大きく,右の数字以下である。 
注記 4  小さな二次基準太陽電池モジュールでは,同一寸法モジュールの場合より低めの評価が増加

し,かつ,ばらつきも増える。


28

C 8904-2

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附属書 JB

参考)

安定な太陽電池と光学フィルタとの組合せによる

擬似基準太陽電池セルの設計指針

JB.1

分光感度の近似に必要なフィルタの分光透過率の計算

必要とするフィルタの分光透過率 τ(λ)は,式(JB.1)から求める。

( ) ( )( )

λ

λ

λ

τ

S

S

Comp

=

 (JB.1)

ここに,

τ

(

λ

): 分光透過率

S

(

λ

): 太陽電池の分光感度

S

(

λ

)

Comp

: 理想的な擬似基準太陽電池セルの分光感度

JB.2

組合せフィルタの選定

式(JB.1)で求めた分光透過率 τ(λ)を実現するフィルタの組合せを探すには,全てのフィルタ[できれば,

厚さが 2 通り(任意のものと,その半分位のものがあれば理想的)

]の分光透過率データをそろえておき,

1 枚から 5 枚まで(選別に当たって,フィルタの枚数よりもフィルタの厚さの方が重要となる。)の全ての

組合せを作り,それぞれある波長又は最大透過率で正規化した上で(例えば,任意の波長の透過率又は透

過率最大の波長の透過率を基準とする。

,各波長(例えば,10 nm ごとの波長)の透過率 τ(λ)からの偏差の

絶対値の和が最小になる組合せが,最適な組合せである。経験的な方法では,各種フィルタの分光透過率

曲線を合成し,

短波長側及び長波長側の傾斜の様子を調べた後,

更に細かい調整を行うことが必要になる。

注記  色ガラスフィルタ及びアセテートベースフィルタの種類及び特性を,表 JB.1 に示す。

JB.3

フィルタの厚さと分光透過率との関係

フィルタは,平行平面板とし,その屈折率を n

λ

とする。分光透過率は,入射角によって大きく変化する

が,ここでは,垂直入射の場合だけを考える。

JB.3.1

分光透過率,及び界面における分光反射率について

フィルタの分光透過率は,界面(例えば,空気層とフィルタとの境界面)での分光反射率とフィルタ内

部の分光透過率とによって決まる。光が界面に垂直に入射した場合の分光反射率 r

λ

を,式(JB.2)に示す。

(

)

(

)

2

2

1

1

+

=

λ

λ

λ

n

n

r

 (JB.2)

ここに,

r

λ

界面に垂直に入射した場合の分光反射率

n

λ

フィルタの屈折率

フィルタ内部の分光透過率を とした場合,フィルタの分光透過率は,(1−r

λ

)

2

 で求められる。

例えば,n

λ

=1.5 とすると r

λ

=0.04 となり,界面反射によって 4 %の損失がある。フィルタ内部の分光透

過率が 100 %の場合,フィルタの分光透過率は約 92 %となる。

JB.3.2

フィルタの(分光)透過率,及び内部(分光)透過率について

フィルタの厚さを変えた場合の透過率は,内部分光透過率の値によって変化する。このため,フィルタ

製造業者のカタログには,内部分光透過率曲線を記載したもの,分光透過率曲線と内部分光透過率曲線と

を併記したもの,又は分光透過率曲線だけを記載したものがある。さらに,分光透過率のスケールには,0


29

C 8904-2

:2011

∼100 %の通常スケールのもの,又は低い透過率を対数若しくはそれに類似のスケールにしたものがある。

後者は,フィルタの厚さを薄くした場合の分光透過率を求める場合に有効である。

通常,カタログに記載している分光透過率曲線は,特に断りのない場合,界面での損失を含めた値であ

る。

JB.3.3

内部透過率の計算

内部透過率は,ランバートの法則が成立するとして計算する。すなわち,フィルタに入射した放射束 I

0

と,フィルタを通過して出ていく放射束 I

1

との関係を,式(JB.3)で表す。

α

ε

1

0

1

t

I

I

=

 (JB.3)

I

0

フィルタに入射した放射束

I

1

フィルタを通過して出ていく放射束

t

1

フィルタの厚さ

ここに,

α: 減衰係数

フィルタの厚さが t

2

の場合には,同様にして式(JB.4)で表す。

α

ε

2

0

2

t

I

I

=

 (JB.4)

それぞれのフィルタの内部透過率 τ

i1

及び τ

i2

は,それぞれ式(JB.5)及び式(JB.6)で表す。

α

ε

τ

1

0

1

1

t

i

I

I

=

=

 (JB.5)

α

ε

τ

2

0

2

2

t

i

I

I

=

=

 (JB.6)

τ

i1

フィルタの厚さが t

1

の場合の内部透過率

ここに,

τ

i2

フィルタの厚さが t

2

の場合の内部透過率

したがって,t

1

及び τ

i1

が既知の場合,任意の τ

i2

を満足する t

2

は,式(JB.7)によって求められる。

なお,式(JB.7)は,式(JB.5)及び式(JB.6)の両辺の対数をとり,二つの式の比によって求める。

1

2

1

2

ln

ln

i

i

t

t

τ

τ

×

=

 (JB.7)

また,t

1

及び τ

i1

が既知の場合,任意の厚さが t

2

の内部透過率 τ

i2

を求めるには,式(JB.7)から導いた式(JB.8)

を用いる。

( )

1

2

1

2

t

t

i

i

τ

τ

=

 (JB.8)

JB.4

ガラスフィルタ取扱い上の注意事項

ガラスフィルタ取扱い上の注意事項は,次による。

a)

耐水・耐湿特性  赤外域をカットするために用いるフィルタは,湿気に弱いので注意する。デシケー

タなどに入れて保管するとよい。湿度の高い所では,コーティングするか,又はガラス若しくは石英

のセルの中に封じて用いる。

b)

分光透過率の温度特性  ガラスフィルタは,湿度によって分光透過率が変化するので注意する。特に,

遮断フィルタは,湿度に対して敏感であり,さらに,温度が高くなるにつれて透過波長が長波長側へ

ずれる傾向がある。

c)

蛍光特性  フィルタによっては,蛍光を発するものがある。使用目的によっては,大きな測定誤差を

生じるので,注意する。

d)

ソーラリゼーション  太陽光又は紫外放射によって生じるフィルタの分光透過率の変化(ソーラリゼ


30

C 8904-2

:2011

ーション)を評価し,安定性を確認する必要がある。ソーラリゼーションの測定方法は,例えば,参

考文献[1]を参照する。

表 JB.1−色ガラスフィルタ及びアセテートベースフィルタの種類及び特性

名称(分類)

基本材料

材質

波長特性・用途

代表的形名

遮断フィルタ 
( シ ャ ー プ カ ッ ト
フィルタ)

色ガラス 
アセテート

短波長側を遮断。長波長側は,通常,近赤外域まで透過。迷
光防止及び検出,回折格子の高次光カットなどに使用。

UV-22(G) 
L-39(G) 
Y-44(G) 
O-56(G) 
R-65(G) 
SC-50(A)

アンバーフィルタ

色ガラス 700∼760 nm にピークがあり短波長,長波長側に向かい緩や

かに透過率が低下,V(λ)受光器用に使用。

A-71(G) 
A-75(G)

色 温 度 変 換 フ ィ ル

色ガラス 
アセテート

a)

可視域長波長側から短波長へ透過率が低下。

b) 400

∼500 nm にピークがあり,

長波長側の透過率が低下,

光源の色温度変換,補正用。

LBA-2(G,A)
LBA-8(G,A)

帯域フィルタ(バン
ドパスフィルタ)

色ガラス 
アセテート

可視域の青・緑波長域を選択的に透過。半値波長幅は 50∼
200 nm,赤外域は透過することが多い。波長選択用。

V-42(G) 
B-390(G) 
G-56(G) 
G-530(G) 
BPB-42(A) 
BPN-55(A)

紫外透過フィルタ

色ガラス

紫外域を透過して,可視域をカットする帯域フィルタ。赤外

域にも透過帯をもつことが多い。紫外放射選択用。

UV-D335(G)
U-360(G)

赤外透過フィルタ

色ガラス

赤外域 0.8∼3 μm を透過するフィルタ。可視域及び紫外域は
ほぼ遮断する。近赤外放射選択用。

IR-D70(G) 
IR-80(G)

防熱フィルタ(熱線
吸収フィルタ)

色ガラス

可視域だけを透過して,紫外・赤外域を遮断するフィルタ。
赤外域への遮断は比較的緩やかである。赤外放射遮断用。

IRA-05(G) 
HA-50(G)

ニ ュ ー ト ラ ル フ ィ
ルタ(中性灰色フィ

ルタ)

合成石英 
アセテート

可視域でほぼ平たん(坦)な波長特性をもつ。紫外域は遮断,
赤外域には吸収帯がある。減光用に使用。

ND-70(G) 
ND-10(G) 
ND-0.2(A) 
ND-1.0(G)

注記 1  代表的形名は,参考文献[2],[3],[4]及び[5]による。 
注記 2  (G):ガラス基板  (A):アセテート基板

参考文献

[1]  日本光学硝子工業会規格  JOGIS 04 光学ガラスのソーラリゼーションの測定方法 
[2]  旭テクノグラス  色ガラスフィルタ形名

[3] HOYA  色ガラスフィルタ形名

[4] SCHOTT  色ガラスフィルタ形名 
[5]  東芝  色ガラスフィルタ形名


31

C

 8904-

2


201

1

31

C

 8904-

2


201

1

附属書 JC

参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS C 8904-2:2011

  太陽電池デバイス−第 2 部:基準太陽電池デバイスに対する

要求事項

IEC 60904-2:2007

  Photovoltaic devices−Part 2: Requirements for reference solar

devices

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

箇条番号 
及び題名

内容

(II) 
国際

規格
番号

箇条
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

3  用語及び
定義

3.1  基準太陽電池デバイ

 3.1

トレーサビリティ

変更

記述内容に則して変更。

IEC

に改正を提案する。

 3.2

基準太陽電池デバイ

スの種類

 3.2

追加

JIS

では,JIS 用語を追加。また,

注記 1 及び注記 2 で,基準太陽電池
の種類を明確にした。

実用的な観点から,JIS の注記が
必要である。

IEC

に改正を提案する。

 3.2.1

基準太陽電池セル

3.2.1

図 1

追加

JIS

では,推奨構造として,図 2 か

ら図 4 までを追加。

IEC

に改正を提案する。

 3.2.1.0A

一次基準要素セル 
3.2.1.0B 
二次基準要素セル 
3.2.1.0C 
基準要素セル電流比

追加

JIS

では,3.2 で基準太陽電池とし

て,これを含めることとしたので,
定義を追加。

IEC

に改正を提案する。

 3.2.2

多 数 のセ ル から な

る基準太陽電池(二次基
準太陽電池モジュール)

 3.2.2

多数のセルからなる基準
太陽電池

変更/ 
追加

JIS

では,次の事項を追加した。

二次基準太陽電池モジュールとい
う名称

不確かさの説明(附属書 JA)

実用的かつ技術的な観点から,

JIS

の規定が正確である。

IEC

に改正を提案する。

 3.2.2.1

小 形 二 次 基 準 太

陽電池モジュール

 3.2.2

.1

多数のセルからなるパッ

ケージの中の基準太陽電
池セル

変更

JIS

では,小形二次基準太陽電池モ

ジュールの名称を導入し,IEC 規格
の多数のセルからなるパッケージ
の中の基準太陽電池セルをこの名

称に含める。

IEC

に改正を提案する。


32

C

 8904-

2


201

1

32

C

 8904-

2


201

1

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

箇条番号

及び題名

内容

(II) 
国際
規格

番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

4  選別

4.1 a)

4.1 a)

変更

IEC

規格の記述ミス。文中の箇条 9

は,箇条 10 である。

IEC

に改正を提案する。

 4.1

c)

追加

JIS

では,入射角特性を規定。

IEC

に改正を提案する。

 4.1A

二 次 基 準 太 陽 電 池

セルの選別方法 
4.1B  二 次基 準要 素セ ル
の選別方法

追加

JIS

では,二次基準太陽電池セル及

び要素セルの選別方法を規定。

IEC

に改正を提案する。

 4.2

二次基準太陽電池モ

ジュールに対する要求事

項の b)

 4.2

b)

変更

JIS

では,許容差(±)の解釈を明

確に規定。

IEC

に改正を提案する。

5  温度測定

測定方法と不確かさ  5 測定方法と不確かさ

変更

JIS

では,温度センサによる温度測

定方法を追加した。また,不確かさ
が,IEC 規格では,±2  ℃であるが,

JIS

では±1  ℃とした。

実 用 的 か つ 技 術 的 な 観 点 か ら

JIS

の規定がよい。IEC に改正を

提案する。

6  電気接続

6

 変更

IEC

規格の記述ミス。文中の箇条 4

は,IEC 60904-1 の箇条 3 である。

IEC

に改正を提案する。

7  校正

  7

変更

IEC

の記述ミス,文中の箇条 13 は,

箇条 12 である。

IEC

に改正を提案する。

追加

JIS

では,パラメータの測定値を追

加。

実用的な観点から,JIS の規定が

よい。

IEC

に改正を提案する。

8  データシ
ート

データシート記載事項の

一部

8

パッケージなしの接続方

削除

JIS

では,パッケージなしを認めて

いないので,削除。

我が国では,セルの破損防止及び
測定の再現性確保のためにパッ
ケージなしを認めていない。

10.2 b)

10.2.2 パッケージがないものを

認めている。

変更

JIS

では,パッケージなしを認めて

いないので,その部分を削除。

我が国では,セルの破損防止及び
測定の再現性確保のためにパッ
ケージなしを認めていない。

10  基 準 太
陽電池デバ
イスのパッ

ケージ

10.3 e)及び 10.3 f)

追加

JIS

では,構造を詳細に規定。

IEC

に改正を提案する。


33

C

 8904-

2


201

1

33

C

 8904-

2


201

1

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

箇条番号

及び題名

内容

(II) 
国際
規格

番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇条 12 の注記

12

追加

要素セルの場合を追加。

IEC

に改正を提案する。

12.1 の注記

12.1

追加

分光放射計の配置を追加。

IEC

に改正を提案する。

追加

一次基準太陽電池の規定を追加。

IEC

に改正を提案する。

照度の場所むらが 1 %を
超える場合は,セル特性
のばらつきを考慮して,

不確かさを示す。

削除

我が国のソーラシミュレータは,
1 %以下であることから,この規定
を削除。

日本国内の事情に合わせた。

12  一 次 基
準太陽電池
で二次基準
太陽電池を

校正する方

12.2  ソ ー ラ シ ミ ュ レ ー
タ法

12.2

追加

JIS

では,設定照度を数値で明記。

実用的な観点から,JIS の規定が

正確である。

IEC

に改正を提案する。

 12.3

c)

基準電池の温度及び温度
の場所むら

 12.3.3 基準電池の温度の規定だ

変更

IEC

規格では,25  ℃±2  ℃である

が,JIS では,25  ℃±1  ℃とした。

IEC

に改正を提案する。

 12.3

d)

測定条件及び測定回路図
を規定

 12.3.4 測定条件及び測定回路図

の規定なし

追加

我が国では,ソーラシミュレータ法
が主体であるので I-V 特性の測定
条件及び測定回路図として,図 5 を

追加。

IEC

に改正を提案する。

 12.3

g)

校正値の求め方

 12.3.7

12.3.8

校正値の求め方

変更

JIS

では,式で規定。

技術的差異なし。

 12.4

一 次 基 準 太 陽 電 池

と二次基準太陽電池との

相対分光感度特性が合致
しない場合の校正方法

追加

JIS

では,ミスマッチ誤差が 1 %を

超える場合の校正方法を規定。

IEC

に改正を提案する。

図 2

単一セル用パッケージの

推奨構造の一例(WPVS
形)

図 2

単一セル用パッケージ

変更

現在推奨されている構造を示した。 IEC に改正を提案する。

図 3

単一セル用パッケージの
推奨構造の一例(JIS 形)

追加

我が国独自の推奨構造である。

我が国独自の構造である。

IEC

規格の改正は必要ない。

図 4

プラグの推奨構造の一例

(JIS 形)

追加

我が国独自の推奨構造である。

我が国独自の構造である。

IEC

規格の改正は必要ない。


34

C

 8904-

2


201

1

34

C

 8904-

2


201

1

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

箇条番号

及び題名

内容

(II) 
国際
規格

番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

附属書 JA

(参考)

ソーラシミュレータ法の

測定値の不確かさ

追加

将来,不確かさの表示が必要にな

る。

IEC

に改正を提案する。

附属書 JB

(参考)

安定な太陽電池と光学フ

ィルタとの組合せによる
擬似基準太陽電池セルの
設計指針

追加

我が国の製品名を記述してある。

IEC

規格の改正は必要ない。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60904-2:2007,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  削除 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

−  追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。