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C 8826

:2011

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

2

4

  構成・範囲 

3

5

  試験の種類 

4

6

  試験状態

6

7

  試験回路

6

8

  試験装置

6

9

  試験方法

7

9.1

  絶縁抵抗試験 

8

9.2

  耐電圧試験(絶縁耐力試験)

9

9.3

  雷インパルス耐電圧試験 

9

9.4

  漏えい電流試験

9

9.5

  保護機能試験 

9

9.6

  定常特性試験 

12

9.7

  過渡応答特性試験

15

9.8

  外部事故試験 

16

9.9

  環境適合試験 

17

9.10

  耐周囲環境試験

17


C 8826

:2011

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本電機

工業会(JEMA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 8826:2008 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 C

8826

:2011

小形燃料電池システムにおける

系統連系形パワーコンディショナの試験方法

Testing methods of power conditioner

for grid interconnected small fuel cell power systems

序文 

この規格は,2008 年に制定され,今回,規格の対象に固体酸化物形燃料電池を加えるために改正した。

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。

適用範囲 

この規格は,次の a)g)に該当する定置用の小形固体高分子形燃料電池システム及び小形固体酸化物形

燃料電池システム(以下, 燃料電池システム

という。

)における,系統連系形パワーコンディショナの

試験方法について規定する。

a)

燃料電池の種類  固体高分子形燃料電池及び固体酸化物形燃料電池

b)

出力  定格送電出力 10 kW 未満

c)

交流出力電圧  220 V 以下

d)

運転形態  系統連系運転又は自立運転

e)

原燃料  気体燃料(都市ガス,液化石油ガスなど),液体燃料(灯油など)又は水素

f)

運転圧力  燃料ガスが通る部分の最高使用圧力が 0.1 MPa 未満。ただし,液体燃料が通る部分は 1.0

MPa 未満

g)

システム形態  パッケージに収納した定置用の発電専用システム又はコージェネレーションシステム

注記  蓄電装置と組み合わせるパワーコンディショナは,蓄電装置を外して試験する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1102

(規格群)  直動式指示電気計器

JIS C 8800

  燃料電池発電用語

JIS C 8823

  小形固体高分子形燃料電池システムの安全性及び性能試験方法

JIS C 8824

  小形固体高分子形燃料電池システムの環境試験方法

JIS C 8825

  小形固体高分子形燃料電池システムの電磁両立性(EMC)試験及び測定技術

JIS C 8827

  小形固体高分子形燃料電池システムにおけるパワーコンディショナの単独運転検出機能

の試験方法

JIS C 8841-1

  小形固体酸化物形燃料電池システム−第 1 部:通則


2

C 8826

:2011

JIS C 8841-2

  小形固体酸化物形燃料電池システム−第 2 部:安全基準及び安全性試験方法

JIS C 8841-3

  小形固体酸化物形燃料電池システム−第 3 部:性能試験方法及び環境試験方法

JIS C 60068-1

  環境試験方法−電気・電子−通則

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による他,JIS C 8800 による。

3.1 

燃料電池システム 

化学エネルギーを電気エネルギー(直流又は交流)及び熱エネルギーに電気化学的に変換するシステム。

通常,発電ユニット及び貯湯ユニットで構成する。

3.2 

発電ユニット 

セルスタック又はモジュール,パワーコンディショナ,燃料改質装置,空気供給装置,水処理装置,排

熱回収装置,制御装置などで構成するユニット。

3.3 

貯湯ユニット 

発電ユニットから回収した熱を温水として貯蔵し,必要に応じて外部に供給するユニット。貯湯槽,補

助熱源機などからなる。補助熱源機は,気体燃料,液体燃料,電気などによる加熱機能をもつ。

3.4 

モジュール 

所要出力を得るために一つ又は複数のセルスタック,燃料・空気・排ガス・電力の接続部,収納容器な

どで構成したセルスタック群。モジュールに,オフガス燃焼器,改質器などを含むこともある。

3.5 

セルスタック 

単セルの積層体。附属品も含み,モジュールの基本構成単位である。

3.6 

パワーコンディショナ 

直流発電設備の出力を必要な電力に変換して供給する機能をもち,制御監視装置,直流変換装置,系統

連系変換装置,及び附属装置の一部又は全てを含む装置。

3.7 

パッケージ 

発電ユニットを構成する主要装置であるセルスタック又はモジュール,燃料改質装置,パワーコンディ

ショナ,制御装置,補機類などを収納する容器。パワーコンディショナなどを収納した容器が,発電ユニ

ットのパッケージから独立していることもある。

3.8 

保管停止状態

発電ユニット内の機器の保護及び/又は制御装置への通電のために,外部からエネルギー供給を行って

いるが,発電ユニットは停止している状態。

3.9 

燃料電池模擬電源装置 


3

C 8826

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セルスタックの出力特性(V−I 特性)を模擬できる直流電源装置。

3.10 

単独運転検出機能 

通常の過電圧継電器,不足電圧継電器,周波数上昇継電器又は周波数低下継電器では検出できないよう

な単独運転状態においても,単独運転を検出する機能。検出原理から,受動的方式及び能動的方式がある。

3.11 

系統連系 

発電設備を商用電力系統に接続した状態。

注記  発電設備を商用電力系統に接続することを並列,商用電力系統から切り離すことを解列,遮断

装置又は遮断器を用いて系統から解列することができる箇所を解列箇所という。

3.12 

逆充電 

電力系統が,事故などによって系統電源と切り離した状態において,その切り離した系統に連系してい

る 1 台又は複数台の発電設備が運転を継続し,発電設備からの逆潮流はないが,電圧を印加している状態。

構成・範囲 

この規格の範囲である燃料電池システムの基本構成を,

図 に示す。


4

C 8826

:2011

燃料電池システム

燃料電池発電設備

不活性ガス設備

a

)

燃料貯蔵設備

a

)

発電ユニット

セルスタック又はモジュール

パワーコンディショナ

燃料改質装置

空気供給装置

水処理装置

排熱回収装置

a

)

制御装置

操作パネル

蓄電装置

a

)

貯湯ユニット

a

)

貯湯槽

補助熱源機など

装置などの設置場所は,一つのパッケージ内に限定しない。 
原燃料が水素の場合は,燃料改質装置は用いない。

発電専用システムの場合は,貯湯ユニット及び排熱回収装置は設置しない。

a)

  必要に応じて設置する機器又はユニット。

図 1−燃料電池システムの基本構成

試験の種類 

燃料電池システムにおける系統連系形パワーコンディショナに適用する試験項目は,

表 による。これ

以外の試験を実施する場合には,受渡当事者間の協定による。


5

C 8826

:2011

表 1−燃料電池システムにおける系統連系形パワーコンディショナの試験項目

No.

試験項目

1

絶縁抵抗試験

2

耐電圧試験(絶縁耐力試験)

3

雷インパルス耐電圧試験

4

漏えい電流試験

a)  入力不足電圧保護機能試験 
b)  入力過電流保護機能試験 
c)  出力過電流保護機能試験 
d)  出力過電圧及び不足電圧保護機能試験 
e)  入力側地絡保護機能試験(直流地絡試験) 
f)  出力側地絡保護機能試験 
g)  過温度上昇保護機能試験 
h)  周波数上昇及び低下保護機能試験 
i)  直流分流出保護機能試験 
j)  不平衡過電圧保護機能試験 
k)  系統電圧上昇抑制機能試験 
l)  逆充電防止機能試験 
m)  逆電力防止機能試験 
n)  単独運転検出機能試験

5

保護機能試験

o)  復電後の一定時間投入阻止機能試験 
a)  効率試験 
b)  過負荷耐量試験 
c)  起動試験 
d)  温度上昇試験 
e)  直流入力電流リプル試験

a)

f)  待機損失試験(保管停止状態損失試験) 
g)  停止試験 
h)  交流出力力率試験 
i)  電圧及び周波数追従範囲試験 
j)  交流出力電流ひずみ試験 
k)  系統電圧ひずみ試験 
l)  系統不平衡試験 
m)  自立運転機能試験

6

定常特性試験

n)  ソフトスタート試験 
a)  系統電圧急変試験 
b)  系統位相急変試験 
c)  負荷遮断試験(停電試験)

7

過渡応答特性試験

d)  系統電圧不平衡急変試験 
a)  入力側短絡試験 
b)  出力側短絡試験

8

外部事故試験

c)  系統電圧瞬時停電試験・瞬時電圧低下試験 
a)  騒音試験

9

環境適合試験

b)  高周波雑音試験[伝導妨害(エミッション)] 
a)  温湿度サイクル試験

10

耐周囲環境試験

b)  ノイズ耐量試験

a)

  蓄電装置がないものは実施しない。


6

C 8826

:2011

試験状態 

試験状態は,特に指定がない限り,JIS C 60068-1 の 5.3[測定及び試験のための標準大気条件(標準状

態)

]による。ただし,燃料電池システムを運転して試験する場合の燃料電池システムの試験状態は,JIS C 

8823

の箇条 5(試験に関する条件)又は JIS C 8841-1 の箇条 14(試験に関する条件)による。

試験回路 

試験回路は,

図 による。図 は,単相 2 線式交流出力の場合の標準試験回路を示したもので,単相 3

線式及び三相 3 線式の場合は,これに準じる。他の試験回路を適用する場合は,受渡当事者間の協定によ

る。

V

1

:直流電圧計

V

2

:交流電圧計

Z

LN

:線路インピーダンス

A

1

:直流電流計

A

2

:交流電流計

単相 2 線式 100

V のとき 0.40

Ω+0.37 mH

W

1

:直流電力計

W

e

:有効電力計

200

V のとき 0.38

Ω+0.45 mH

W

r

:無効電力計

単相 3 線式

中性線 0.21

Ω+0.14 mH

DCPT

:直流分圧器 DCCT

:直流分流器

200

V ライン 0.19

Ω+0.23 mH

ACPT

:交流分圧器 ACCT

:交流分流器

三相 3 線式

0.19

Ω+0.23 mH

R

DSC

,R

ASC

  :短絡抵抗

R

ACL

  :負荷装置

R

DCG

,R

ACG

  :地絡抵抗

図 2−燃料電池システム用系統連系形パワーコンディショナの試験回路(単相 線式交流出力) 

試験装置 

試験装置は,次による。

a)

測定器  アナログ計器及び/又はデジタル計器とする。アナログ計器(直動式指示電気計器)の精度

等級は,JIS C 1102 規格群に規定する階級指数 0.5 以下とする。ただし,波形記録装置の階級指数は,

1 以下とする。必要な場合,他の測定器(オシロスコープなど)を適宜併用する。デジタル計器の場

合の確度は,0.5 %以下とする。ただし,波形記録装置の確度は 1 %以下とする。

b)

直流電源  直流電源は,次による。

1)

燃料電池模擬電源装置  所定の燃料電池システムの出力特性を模擬するもので,セルスタックの出

力特性(V−I 特性)を出力でき,かつ,少なくともパワーコンディショナの過入力耐量に相当する

出力電力を供給できる電源装置とする。

なお,箇条 のうちの, 直流入力電流リプル試験 を除き,一般用可変直流電源を用いてもよい。


7

C 8826

:2011

直流入力電流リプル試験

において,燃料電池模擬電源装置以外の装置を用いる場合には,受渡

当事者間の協定による。また,蓄電装置を接続するパワーコンディショナの試験では,パワーコン

ディショナの入力電圧が 2)に示す定電圧電源装置の出力電圧によって定まる場合には,燃料電池模

擬電源装置を省略できる。

2)

定電圧電源装置  所定の蓄電装置出力特性を模擬するもので,蓄電装置を接続するパワーコンディ

ショナの試験において適用する。少なくともパワーコンディショナの過入力耐量に相当する出力電

力を供給でき,かつ,指定する範囲で出力電圧を変化することができる定電圧電源装置とする。こ

れ以外の装置を用いる場合には,受渡当事者間の協定による。

c)

交流電源  系統電源を模擬するもので,パワーコンディショナの出力電力値及び出力力率によらず設

定した電圧及び周波数を維持でき,電圧及び周波数が可変,かつ,指定する電圧ひずみを発生できな

ければならない。これ以外の装置を用いる場合には,受渡当事者間の協定による。

d)

負荷装置  線形負荷とする。最大で燃料電池システムのパワーコンディショナの過負荷耐量に相当す

る電力を消費でき,かつ,所定の範囲で力率を変化できなければならない。単相 3 線式及び三相負荷

の場合には,所定の範囲で負荷不平衡を発生できなければならない。これ以外の負荷装置を用いる場

合は,受渡当事者間の協定による。

試験方法 

試験方法は,次による。これ以外の方法を実施する場合には,受渡当事者間の協定による。また,試験

は,発電ユニット又は燃料電池システム全体で行うことを基本とする。ただし,発電時の交流側に接続し

ている補機(AC 補機)の種類によっては,パワーコンディショナ単体又はセルスタックの代わりに直流

電源を用いて試験を行ってもよい。具体例は,

表 による。

表 2−試験方法の具体例

AC 補機に関する

条件

No.

試験項目

A

a)

B

b)

C

c)

注記

1

絶縁抵抗試験

×

×

×

2

耐電圧試験(絶縁耐力試験)

×

×

×

3

雷インパルス耐電圧試験

×

×

×

4

漏えい電流試験

×

×

×

a)  入力不足電圧保護機能試験

b)  入力過電流保護機能試験

c)  出力過電流保護機能試験

d)  出力過電圧及び不足電圧保護機能試験

代表点について燃料電池
システムでも試験を行う。

e)  入力側地絡保護機能試験(直流地絡試験)

f)  出力側地絡保護機能試験

g)  過温度上昇保護機能試験

h)  周波数上昇及び低下保護機能試験

代表点について燃料電池

システムでも試験を行う。

i)  直流分流出保護機能試験

j)  不平衡過電圧保護機能試験

k)  系統電圧上昇抑制機能試験

5

保護機能
試験

l)  逆充電防止機能試験


8

C 8826

:2011

表 2−試験方法の具体例(続き) 

AC 補機に関する

条件

No.

試験項目

A

a)

B

b)

C

c)

注記

m)  逆電力防止機能試験

n)  単独運転検出機能試験

代表点について燃料電池
システムでも試験を行う。

5

保護機能
試験

(続き)

o)  復電後の一定時間投入阻止機能試験

a)  効率試験

×

×

×

b)  過負荷耐量試験

c)  起動試験

×

×

×

d)  温度上昇試験

×

×

×

e)  直流入力電流リプル試験

×

×

×

f)  待機損失試験(保管停止状態損失試験)

×

×

×

g)  停止試験

×

×

×

h)  交流出力力率試験

i)  電圧及び周波数追従範囲試験

j)  交流出力電流ひずみ試験

k)  系統電圧ひずみ試験

l)  系統不平衡試験

m)  自立運転機能試験

×

×

×

6

定常特性

試験

n)  ソフトスタート試験

a)  系統電圧急変試験

b)  系統位相急変試験

c)  負荷遮断試験(停電試験)

×

×

×

7

過渡応答

特性試験

d)  系統電圧不平衡急変試験

a)  入力側短絡試験

b)  出力側短絡試験

8

外部事故
試験

c)  系統電圧瞬時停電試験・瞬時電圧低下試験

×

×

×

a)  騒音試験

×

×

×

9

環境適合

試験

b)  高周波雑音試験[伝導妨害(エミッション)]

×

×

×

a)  温湿度サイクル試験

10

耐周囲環
境試験

b)  ノイズ耐量試験

×

×

×

表中の記号は,次による。

○:パワーコンディショナ単体・直流電源で試験可能 
△:条件によってパワーコンディショナ単体・直流電源で試験可能

×:燃料電池システム全体での試験が必要 
※:小形固体高分子形燃料電池システムの場合,パワーコンディショナ単体及び発電ユニットでは JIS C 8823

の箇条 26(温湿度サイクル試験)によって試験を行う。小形固体酸化物形燃料電池システムの場合,パ

ワーコンディショナ単体では JIS C 8841-2 の 10.14.1(パワーコンディショナ単体で行う温湿度サイクル
試験)

,発電ユニットでは JIS C 8841-2 の 10.14.2(発電ユニットで行う温湿度サイクル試験)による。

a)

  発電時の AC 補機がない場合。

b)

  発電時の AC 補機がヒータなどの R 負荷だけの場合(高調波などに影響がないことが明らかな場合)。

c)

  発電時の AC 補機がブロワ,ポンプ,換気ファン,AC/DC 電源など R 負荷以外を含む場合。

9.1 

絶縁抵抗試験 

燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の 20.1(絶縁抵抗試験)

,又は JIS C 8841-2 の 10.9(絶縁

抵抗試験)による。


9

C 8826

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9.2 

耐電圧試験(絶縁耐力試験) 

燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の 20.2(絶縁耐力試験)

,又は JIS C 8841-2 の 10.10(絶

縁耐力試験)による。

9.3 

雷インパルス耐電圧試験 

燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 24(雷インパルス耐電圧試験)

,又は JIS C 8841-2

の 10.12(雷インパルス耐電圧試験)による。

9.4 

漏えい電流試験 

燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 25(漏えい電流試験)

,又は JIS C 8841-2 の 10.13

(漏えい電流試験)による。

9.5 

保護機能試験 

保護機能試験は,次による。

a)

入力不足電圧保護機能試験  入力不足電圧保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナのスイッチングを停止又は運転し,かつ,試験対象とする保護装置が機能す

る状態で実施する。

2)

入力電圧を下限保護レベルの 105 %から緩やかに下降して,パワーコンディショナが停止するレベ

ルを測定する。

3)

入力電圧を定格電圧から下限保護レベルの 95 %にステップ関数状に下降して,動作時間を測定す 

る。

b)

入力過電流保護機能試験  入力過電流保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で

実施する。

2)

入力電流変成器の主回路側端子に電流を加え,パワーコンディショナが停止するレベルを測定する。

3)

入力電流変成器の主回路側端子に保護レベルの電流をステップ関数状に加え,動作時間を測定する。

c)

出力過電流保護機能試験  出力過電流保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で

実施する。

2)

出力電流変成器の主回路側端子に電流を加え,パワーコンディショナが停止するレベルを測定する。

3)

出力電流変成器の主回路側端子に保護レベルの電流をステップ関数状に加え,動作時間を測定する。

d)

出力過電圧及び不足電圧保護機能試験  出力過電圧及び不足電圧保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で

実施する。

2)

出力電圧を上限保護レベルの 95 %から緩やかに上昇して,パワーコンディショナが停止するレベル

を測定する。

3)

出力電圧を定格電圧から上限保護レベルの 105 %にステップ関数状に上昇して,パワーコンディシ

ョナが停止する動作時間を測定する。

4)

出力電圧を下限保護レベルの 105 %から緩やかに下降して,パワーコンディショナが停止するレベ

ルを測定する。

5)

出力電圧を定格電圧から下限保護レベルの 95 %にステップ関数状に下降して,パワーコンディショ

ナが停止する動作時間を測定する。出力電圧を上記の条件に設定できない場合には,パワーコンデ

ィショナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で,出力電圧異


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C 8826

:2011

常検出端子に外部から上記の条件に相当する模擬入力を印加して実施する。

e)

入力側地絡保護機能試験(直流地絡試験)  燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 23

(直流地絡試験)

,又は JIS C 8841-2 の 10.11(直流地絡試験)による。

f)

出力側地絡保護機能試験  出力側地絡保護機能試験は,次による。

1)

出力側回路に発生した地絡故障に対する保護機能特性について試験する。

2)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転し

た状態で実施する。

3)

図 の試験回路のうち,スイッチ SW

ACG

を閉路して地絡状態を発生し,パワーコンディショナの遮

断又は停止時間を測定する。

g)

過温度上昇保護機能試験  過温度上昇保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナ内部の異常な温度上昇を防止する保護機能特性について試験する。

2)

パワーコンディショナの過温度上昇保護機能の検出端子に模擬入力を加え,パワーコンディショナ

が停止するレベルを測定する。

h)

周波数上昇及び低下保護機能試験  周波数上昇及び低下保護機能試験は,次による。

1)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で

実施する。

2)

周波数を上限保護レベルの−0.5 Hz から緩やかに上昇して,パワーコンディショナが停止するレベ

ルを測定する。

3)

周波数を定格周波数から上限保護レベルの 105 %にステップ関数状に上昇して,パワーコンディシ

ョナが停止する動作時間を測定する。

4)

周波数を下限保護レベルの+0.5 Hz から緩やかに下降して,パワーコンディショナが停止するレベ

ルを測定する。

5)

周波数を定格周波数から下限保護レベルの 95 %にステップ関数状に下降して,パワーコンディショ

ナが停止する動作時間を測定する。周波数を上記の条件に設定できない場合には,パワーコンディ

ショナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で,周波数異常検

出端子に外部から上記の条件に相当する模擬入力を印加して実施する。

i)

直流分流出保護機能試験  直流分流出保護機能試験は,次による。

1)

負荷又は系統への直流分流出を防止する保護機能特性について試験する。

2)

パワーコンディショナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で,

直流流出検出回路に直流電流を印加し実施する。

3)

直流電流を保護レベルの−10 %からステップ関数状に増加させ,

保護装置の遮断レベルを測定する。

4)

直流流出検出回路に保護レベルの直流電流を印加し,保護装置の遮断する動作時間を測定する。

j)

不平衡過電圧保護機能試験  不平衡過電圧保護機能試験は,次による。

1)

単相 3 線式の電気方式をもつパワーコンディショナにおいて,出力側の中性線と各 200 V ラインと

の間における過電圧の発生を防止する保護機能特性について試験する。

2)

単相 3 線式に適用する。パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定

格出力で運転した状態で実施する。

3)

出力線間電圧の一方を保護レベルの 95 %から緩やかに上昇して,パワーコンディショナが停止する

レベルを測定する。

4)

出力線間電圧の一方を保護レベルの 105 %にステップ関数状に上昇して,パワーコンディショナが


11

C 8826

:2011

停止する動作時間を測定する。出力電圧を上記の条件に設定できない場合には,パワーコンディシ

ョナのスイッチングを停止し,かつ,試験対象とする保護装置が機能する状態で,出力電圧異常検

出端子に外部から上記の条件に相当する模擬入力を印加して実施する。

k)

系統電圧上昇抑制機能試験  系統電圧上昇抑制機能試験は,次による。

1)

系統電圧上昇抑制機能をもつ機器に適用する。

2)

指定した範囲内において出力電圧の上昇を抑制する機能の特性について試験する。

3)

図 の試験回路のうち,SW

LN

を開放し,線路インピーダンスを

図 の値に設定する。

4)

交流電源装置の電圧をパワーコンディショナの出力電圧上昇抑制レベルに設定し,定格周波数で運

転する。

5) SW

LD

を投入し,負荷装置を燃料電池システムの定格出力を消費するように設定する。

6)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力で運転する。

7)

指定の範囲内において交流電源装置の電圧を緩やかに上昇して,パワーコンディショナの出力電圧

を測定する。

l)

逆充電防止機能試験  逆充電防止機能試験は,次による。

1)

逆充電防止機能をもつ機器に適用する。

2)

逆潮流なしの燃料電池システムにおける逆充電状態を防止する保護機能特性について試験する。

3)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で

実施する。

4)

図 の試験回路のうち,SW

LD

を投入し,負荷装置 R

ACL

を燃料電池システムの定格出力の 120 %を

消費するように設定する。負荷装置 R

ACL

の力率は 1.0 とする。

5)

R

ACL

を減少させ,不足電力機能によってパワーコンディショナが停止するレベル及び時間を測定す

る。

m)

逆電力防止機能試験  逆電力防止機能試験は,次による。

1)

逆電力継電器の機能をもつ機器に適用する。

2)

逆潮流なしの燃料電池システムにおける逆潮流状態を防止する保護機能特性について試験する。

3)

自動的にパワーコンディショナ出力抑制機能をもつ機器は,この機能を無効にする。パワーコンデ

ィショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で実施する。

4)

図 の試験回路のうち,SW

LD

を投入し,負荷装置 R

ACL

を燃料電池システムの定格出力を消費する

ように設定する。負荷装置 R

ACL

の力率は 1.0 とする。

5)

R

ACL

を減少させ,逆電力継電器機能によってパワーコンディショナが停止するレベル及び時間を測

定する。

n)

単独運転検出機能試験  単独運転検出機能試験は,次による。

1)

単独運転検出機能をもつ機器に適用する。

2)

停電時の単独運転を検出する保護機能特性について試験する。

3)

小形固体高分子形燃料電池システムの場合は,JIS C 8827 による。

4)

小形固体酸化物形燃料電池システムの場合は,次による。

4.1)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態

で実施する。

4.2)

図 の試験回路のうち,スイッチ SW

LD

を投入する。

4.3)

交流電源装置からの有効電力潮流及び無効電力潮流が規定値になるように負荷装置 R

ACL

を設定す


12

C 8826

:2011

る。

4.4)

スイッチ SW

CB

を開放し,パワーコンディショナの停止時間を測定する。

o)

復電後の一定時間投入阻止機能試験  復電後の一定時間投入阻止機能試験は,次による。

1) 

停電後の再並列に対する保護機能特性について試験する。

2) 

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で

実施する。

3) 

図 の試験回路のうち,スイッチ SW

CB

を開放し停電させて,パワーコンディショナを一定時間停

止させる。

4)

スイッチ SW

CB

を投入し,復電した後の一定時間中におけるパワーコンディショナの出力電圧及び

出力電流を測定する。

9.6 

定常特性試験 

定常特性試験は,次による。

a)

効率試験  パワーコンディショナ単体の定格交流電圧,定格周波数及び交流出力電力 100 %における

効率を測定する。必要に応じ,交流出力電力 75 %,50 %及び燃料電池システムの最低出力についても

測定する(具体的には,太陽光の JIS C 8961 の試験方法の内容を参照する。

b)

過負荷耐量試験  パワーコンディショナ単体の過負荷運転時における運転特性,温度特性及び過負荷

運転後の運転特性について試験する。

c)

起動試験  燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 12(起動試験),又は JIS C 8841-3

の 9.2(起動試験)による。

d)

温度上昇試験  燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 11(温度上昇試験),又は JIS C 

8841-2

の 10.5(温度上昇試験)による。

e)

直流入力電流リプル試験  直流入力電流リプル試験は,次による。

1)

蓄電装置がある燃料電池システムに適用する。

2)

直流電源に蓄電装置を用いる場合においては,蓄電装置業者から指定がある場合に実施する試験で,

定常運転時における直流電流リプル特性について試験する。

3)

パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転し

た状態で,パワーコンディショナの直流入力電流を測定し,式(1)に従い,電流リプル率 RF

1

を算出

する。

100

2

d

min

max

1

×

A

A

A

RF

 (1)

ここに,

RF

1

電流リプル率(%)

A

max

リプルを含んだ直流電流の最大値(A)

A

min

リプルを含んだ直流電流の最小値(A)

A

d

リプルを含んだ直流電流の平均値(A)

f)

待機損失試験(保管停止状態損失試験)  燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 12(起

動試験)

,又は JIS C 8841-3 の 9.2(起動試験)による。

g)

停止試験  燃料電池システムの種類に応じて,JIS C 8823 の箇条 18(停止試験),又は JIS C 8841-3

の 9.6(停止試験)による。

h)

交流出力力率試験  交流出力力率試験は,次による。

1)

燃料電池システムを定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転する。


13

C 8826

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2)

燃料電池システムの交流出力電力(有効電力 及び無効電力 Q)を測定し,式(2)〜(4)に従い,出力

力率 PF を算出する。

2

2

Q

P

P

PF

 (2)

AC

AC

I

V

P

PF

×

(単相の場合)

 (3)

AC

AC

3

I

V

P

PF

×

×

(三相の場合)  (4)

ここに,

PF

燃料電池システム出力力率

P

燃料電池システム出力電力(有効電力)

(W)

Q

燃料電池システム出力電力(無効電力)

(var)

V

AC

燃料電池システム出力電圧(実効値)

(V)

I

AC

燃料電池システム出力電流(実効値)

(A)

i)

電圧及び周波数追従範囲試験

  電圧及び周波数追従範囲試験は,次による。

1)

  指定した範囲内での系統電圧及び周波数の変化に対する追従特性について試験する。

2)

  交流電源を,定格電圧及び定格周波数で運転する。パワーコンディショナ出力が燃料電池システム

の定格出力となるように設定する。

3)

  系統電圧を定格値+10 %〜−15 %の範囲で変化させ,上限・下限における交流出力電力,交流出力

電流,出力電流ひずみ率及び力率を測定する。

4)

  周波数を定格値±1 %の範囲で変化させ,上限・下限における交流出力電力,交流出力電流,出力電

流ひずみ率及び力率を測定する。

j)

交流出力電流ひずみ試験 

交流出力電流ひずみ試験は,次による。

1)

  定常運転時における出力電流ひずみ特性について試験する。

2)

図 2

の試験回路のうち,SW

LN

を開放し,線路インピーダンスを

図 2

の値に設定し,パワーコンディ

ショナを燃料電池システムの定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転する。

3)

  燃料電池システムの出力電流に含まれる高調波電流成分 i

ACn

を測定し,式(5)に従い,総合電流ひず

み率 DF を算出する。

100

AC1

2

ACn

×

I

i

DF

 (5)

ここに,

DF

燃料電池システムの出力電流の総合電流ひずみ率(%)

i

ACn

燃料電池システムの出力電流の 次高調波電流成分実効
値(A)

n

高調波次数。2〜40 の整数とする。

I

AC1

燃料電池システム又はパワーコンディショナ出力電流
の基本波電流実効値(A)

k)

系統電圧ひずみ試験

  系統電圧ひずみ試験は,次による。

1)

  指定した範囲内で,系統電圧にひずみが生じている場合の運転特性について試験する。

2)

図 2

の試験回路のうち,SW

LN

を開放し,線路インピーダンスを

図 2

の値に設定する。交流電源は,

定格電圧及び定格周波数で運転する。電圧の総合ひずみ率が 5 %となるように電圧ひずみが重畳で

きるように設定する(

  3 次 3 %,5 次 3 %,7 次 2 %)

。パワーコンディショナ出力が燃料電池シ

ステムの定格出力となるように設定する。ただし,パワーコンディショナの出力電圧が出力過電圧


14

C 8826

:2011

保護機能の上限保護レベルを超える場合には,上限保護レベル未満となるように交流電源の出力電

圧値を調整する。

3)

  パワーコンディショナを,燃料電池システムの定格出力で運転する。

4)

  系統電圧に 5 %の電圧ひずみを重畳した状態で,交流出力電力,力率及び交流出力電流を測定する。

l)

系統不平衡試験

  系統不平衡試験は,次による。

1)

  指定した範囲内で,系統線間電圧に不平衡が生じている場合における運転特性について試験する。

2)

  単相 3 線式及び三相に適用する。

図 2

の試験回路のうち,SW

LN

を開放し,線路インピーダンスを

2

の値に設定する。交流電源は,定格電圧及び定格周波数で運転する。線間電圧の不平衡が 100 V

系では 107 V・95 V,200 V 系では 222 V・182 V となるように調整する。パワーコンディショナ出

力が燃料電池システムの定格出力となるように設定する。

3)

  パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力で運転する。

4)

  不平衡を発生させた状態で,交流出力電力,力率,交流出力電流及び出力電流ひずみ率を測定する。

m)

自立運転機能試験

  自立運転機能試験は,次による。

1) 

系統連系形パワーコンディショナの専用端子又は専用コンセントによる自立運転機能をもつものに

適用する。

2) 

自立運転特性,系統停電時の分離維持機能及び復電時の系統連系運転移行機能について試験する。

3) 

自立切換試験

  自立切換試験は,次による。

3.1)

  交流電源は,定格出力電圧及び定格周波数で運転する。

3.2)

  パワーコンディショナ出力が燃料電池システムの定格出力となるように設定する。

3.3)

  パワーコンディショナを,燃料電池システムの定格出力で運転する。

3.4)

  パワーコンディショナを系統連系運転から自立運転に切り換える。パワーコンディショナの出力

電流波形及び自立運転専用出力端子の電圧波形を記録し,開閉器又は解列用遮断器の開放状況及

び運転状況を観察する。

3.5)

図 2

の試験回路のうち,スイッチ SW

CB

を開放し系統停電状態にする。パワーコンディショナの出

力電圧波形,出力電流波形及び自立運転専用出力端子の電圧波形を記録し,運転状況を観察する。

3.6)

  スイッチ SW

CB

を閉路し系統を復電させた後,自立運転から系統連系運転に切り換える。パワーコ

ンディショナの出力電圧波形,出力電流波形及び自立運転専用出力端子の電圧波形を記録し,運

転状況を観察する。

3.7)

  解列用遮断器の接点を溶着させた状態で

3.4)

を実施する。

4)

定常特性試験 

定常特性試験は,次による。

4.1)

  燃料電池システムを自立運転に切り換える。

4.2)

  自立出力を無負荷とする。

4.3)

  無負荷時の出力電圧の実効値,ひずみ率及び周波数を測定する。

4.4)

  自立出力に定格負荷(線形)を接続する。

4.5)

  定格負荷時の出力電圧の実効値,ひずみ率及び周波数を測定する。

5)

負荷短絡試験 

負荷短絡試験は,次による。

5.1)

  燃料電池システムを自立運転に切り換え,無負荷とする。

5.2)

  自立出力を短絡し,出力短絡電流及びその継続時間を測定する。

6)

負荷急変試験 

負荷急変試験は,次による。

6.1)

  燃料電池システムを自立運転に切り換え,無負荷とする。


15

C 8826

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6.2)

  定格負荷を投入する。安定運転に達した後に負荷を遮断し,出力電圧の変化を測定する。

6.3)

  過負荷 105 %及び力率 100 %を投入し,出力電圧の変化及び突入電流を測定する。

7)

ソフトスタート機能試験 

ソフトスタート機能試験は,次による。

7.1)

  燃料電池システムを自立運転に切り換え,無負荷とする。

7.2)

  自立運転開始時の出力電圧を測定する。

n)

ソフトスタート試験

  ソフトスタート試験は,次による。

1)

  起動時における出力電圧及び出力電流の安定性について試験する。

2)

  パワーコンディショナを燃料電池システムの定格電圧,定格周波数及び定格出力で運転した状態で

実施する。

3)

  外部からのスイッチによって,パワーコンディショナを停止し再度起動させる。

4)

  起動時の出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,交流出力電力の安定性を観察する。振動が生じ

た場合,その継続時間を測定する。

9.7 

過渡応答特性試験 

過渡応答特性試験は,次による。

a)

系統電圧急変試験 

系統電圧急変試験は,次による。

1)

  指定した範囲内で,系統電圧が急変した場合における運転動作特性について試験する。

2)

  交流電源を,定格電圧及び定格周波数で運転する。パワーコンディショナ出力が燃料電池システム

の定格出力となるように設定する。

3)

  パワーコンディショナを,燃料電池システムの定格出力で運転する。

4)

  系統電圧を,パワーコンディショナの定格電圧値から 105 %にステップ関数状に変化させて 10 秒間

維持した後,更に,定格電圧値にステップ関数状に変化させて戻す。

5)

  系統電圧を定格値で運転する。

6)

  系統電圧をパワーコンディショナの定格電圧値から 95 %にステップ関数状に変化させて 10 秒間維

持した後,更に定格電圧値にステップ関数状に変化させて戻す。

7)

  出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,交流出力電力の安定性を観察する。振動が生じた場合,

その継続時間を測定する。

b)

系統位相急変試験

  系統位相急変試験は,次による。

1)

  指定した範囲内で,系統電圧位相が急変した場合における運転動作特性について試験する。

2)

  交流電源を,定格電圧及び定格周波数で運転する。パワーコンディショナ出力が燃料電池システム

の定格出力となるように設定する。

3)

  定常運転状態におけるパワーコンディショナの出力電圧の位相を基準とし,0°とする。

4)

  系統電圧の位相を 0°から+10°にステップ関数状に変化させて 10 秒間維持した後,0°にステッ

プ関数状に変化させて戻す。

5)

  系統電圧の位相を 0°で運転する。

6)

  系統電圧の位相を 0°から−10°にステップ関数状に変化させて 10 秒間維持した後,0°にステッ

プ関数状に変化させて戻す。

7)

  出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,交流出力電力の安定性を観察する。振動が生じた場合,

その継続時間及び交流出力電流を測定する。

8)

  上記の位相変化値+10°及び−10°を,それぞれ+120°及び−120°に変更し,

3)

7)

と同様の方

法で試験する。出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,運転状況を観察する。


16

C 8826

:2011

c)

負荷遮断試験(停電試験) 

燃料電池システムの種類に応じて,

JIS C 8823

の箇条

21

(停電試験)

又は

JIS C 8841-2

10.7

(停電試験)による。

d)

系統電圧不平衡急変試験

  系統電圧不平衡急変試験は,次による。

1)

  指定した範囲内で,系統電圧が急変した場合における運転動作特性について試験する。

2)

  単相 3 線式及び三相 3 線式に適用する。

図 2

の試験回路のうち,SW

LN

を開放し,線路インピーダン

スを

図 2

の値に設定する。パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力電圧,定格出力周

波数及び定格出力で運転した状態にする。単相 3 線式の場合は U−N 相及び V−N 相について,次

を実施する。また,三相 3 線式の場合は U−V 相,V−W 相及び W−U 相のうち二相について,次

を実施する。三相 3 線式については,三通りの組合せを実施する。

3)

  一方の出力電圧を定格電圧から 105 %に,他方の出力電圧を定格電圧から 95 %にそれぞれステップ

関数状,かつ,同時に急変させる。

4)

3)

を実施し,一定時間経過後に各相の電圧をそれぞれ定格電圧にステップ関数状,かつ,同時に急

変させる。

5)

  一方の出力電圧を定格電圧から 95 %に,他方の出力電圧を定格電圧から 105 %にそれぞれステップ

関数状,かつ,同時に急変させる。

6)

5)

を実施し,一定時間経過後に各相の電圧をそれぞれ定格電圧にステップ関数状,かつ,同時に急

変させる。

7)

  急変時の出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,交流出力電力の安定性を観察する。振動が生じ

た場合,その継続時間を測定する。

9.8 

外部事故試験 

外部事故試験は,次による。

a)

入力側短絡試験

  入力側短絡試験は,次による。

1)

  パワーコンディショナの入力側回路に短絡故障が発生した場合における運転動作特性について試験

する。

2)

  蓄電装置を接続する燃料電池システムのパワーコンディショナの場合では,直流定電圧電源として

3)

に示す電流値を発生できるもの(

  蓄電装置)を用いる。また,蓄電装置をもたない燃料電池

システムの系統連系形パワーコンディショナの場合には,直流電源として燃料電池模擬電源装置又

3)

に示す電流値を発生でき,かつ,短絡電流を検知し,事故発生後 0.1 秒以内に開放するように

設定可能なものを用いる。これ以外の装置を用いる場合には,受渡当事者間の協定による。

3)

  パワーコンディショナを定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転する。

図 2

の試験回路

のうち,短絡抵抗 R

DSC

を定格電流の 10 倍以上に相当する負荷と等価な値に設定する。

4)

  スイッチ SW

DSC

を閉路して短絡状態を発生させ,パワーコンディショナ入力側の短絡電流,遮断又

は停止時間を測定する。

b)

出力側短絡試験 

出力側短絡試験は,次による。

1)

  出力側回路に短絡故障が発生した場合における運転動作特性について試験する。

2)

  パワーコンディショナを燃料電池システムの定格出力電圧,定格出力周波数及び定格出力で運転す

る。また,交流電源は短絡電流を検知し,事故発生後 0.1 秒以内に開放するように設定する。

図 2

の試験回路のうち,短絡抵抗 R

ASC

を定格電流の 10 倍以上に相当する負荷と等価な値に設定する。

3)

  スイッチ SW

ASC

を閉路して短絡状態を発生させ,パワーコンディショナの出力電流及び遮断又は停

止時間を測定する。


17

C 8826

:2011

c)

系統電圧瞬時停電試験

瞬時電圧低下試験

  系統電圧瞬時停電試験・瞬時電圧低下試験は,次による。

1)

  系統電圧に瞬時停電及び瞬時低下が発生した場合における運転動作特性について試験する。

2)

  交流電源は,定格電圧及び定格周波数で運転する。パワーコンディショナ出力が燃料電池システム

の定格出力となるように設定する。

3)

  パワーコンディショナを,燃料電池システムの定格出力で運転する。

4)

  交流電源側に,0.3 秒の瞬時停電(定格値の 0 %)を発生させる。

5)

  瞬時停電の位相投入角を 0°,45°及び 90°とし,各位相投入角の試験を 2 回実施する。これらに

おけるパワーコンディショナの運転状況を観察する。

6)

  交流電源側に 0.3 秒の瞬時電圧低下(定格値の 70 %)を発生させる。

7)

  瞬時電圧低下の位相投入角を 0°,45°及び 90°とし,各位相投入角の試験を 2 回実施する。これ

らにおいて出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,運転状況を観察する。

9.9 

環境適合試験 

環境適合試験は,次による。

a)

騒音試験 

燃料電池システムの種類に応じて,

JIS C 8824

の箇条

6

(騒音試験)

,又は

JIS C 8841-3

10.1

(騒音試験)による。

b)

高周波雑音試験[伝導妨害(エミッション)]

 

JIS C 8825

7.3

[伝導妨害(エミッション)

]による。

9.10 

耐周囲環境試験 

耐周囲環境試験は,次による。

a)

温湿度サイクル試験

  燃料電池システムの種類に応じて,

JIS C 8823

の箇条

26

(温湿度サイクル試験)

又は

JIS C 8841-2

10.14

(温湿度サイクル試験)による。

b)

ノイズ耐量試験 

ノイズ耐量試験は,次による。

1)

  外来ノイズに対する運転動作特性について試験する。

2)

  燃料電池システムを定格出力で運転する。

3)

  燃料電池システムの各出力端子と対地との間に

表 3

に規定するいずれかの波形の繰返し減衰振動雑

音電圧を,2 秒間継続して印加する。

4)

  燃料電池システムの出力電圧波形及び出力電流波形を記録し,運転状況を観察する。

表 3

ノイズ耐量試験波形

波形 1

波形 2

第 1 波波高値 2.5〜3 kV

5 kV     kV

振動周波数

1〜1.5 MHz

1 MHz±0.1 MHz

1/2 減衰時間 6

μs 以上

3〜6 サイクル(振動周波数基準)

繰返し頻度 50 回以上/s 6〜10 回/商用周波の 1 周期(非同期)

試験回路出力インピーダンス 150

Ω 200

Ω±20 Ω

参考文献

JIS C 8961

  太陽光発電用パワーコンディショナの効率測定方法

  0
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