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C 8715-2

:2012

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義 

1

4

  パラメータの測定許容差  

4

5

  安全性要求事項 

4

5.1

  製品安全性(単電池及び電池システムの安全性)  

4

5.2

  機能安全性(電池システムの安全性)  

5

6

  形式試験  

6

6.1

  一般事項  

6

6.2

  試験項目  

6

7

  製品安全性試験(単電池及び電池システムの安全性)  

7

7.1

  試験環境及び試験の前処理  

7

7.2

  外部短絡試験  

7

7.3

  衝突試験  

7

7.4

  落下試験  

8

7.5

  加熱試験  

10

7.6

  過充電試験  

10

7.7

  強制放電試験  

10

7.8

  耐熱暴走試験  

11

8

  機能安全性試験(電池システムの安全性)  

11

8.1

  試験環境及び試験の前処理  

11

8.2

  過充電電圧制御試験  

11

8.3

  過大充電電流制御試験  

12

8.4

  充電時過熱制御試験  

12

9

  安全に関する情報 

12

10

  こん(梱)包  

13

附属書 A(規定)安全に利用するための単電池又は電池システムの使用範囲の決定手順  

14

附属書 B(規定)耐内部短絡試験の手順  

17

附属書 C(参考)円筒形電池及び角形電池の分解方法の例  

21

附属書 D(参考)単電池及び電池システムの設計・使用に関する安全性について考慮すべき事項  

22

附属書 E(参考)安全水準の目標の設定及びリスク軽減  

24


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電池工業会(BAJ)及び一般財

団法人日本規格協会(JSA)から団体規格(SBA S 1101:2011)を基に作成した工業標準原案を具して日本

工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 8715

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 8715-1

  第 1 部:性能要求事項(予定)

JIS C 8715-2

  第 2 部:安全性要求事項


日本工業規格

JIS

 C

8715-2

:2012

産業用リチウム二次電池の単電池及び

電池システム−第 2 部:安全性要求事項

Secondary lithium cells and batteries for use in industrial applications-

Part 2:Tests and requirements of safety

適用範囲 

この規格は,産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム(以下,それぞれ単電池,電池システ

ムという。

)の安全性要求事項について規定する。

リチウム二次電池の用途には,大別して据置用途,移動体用途及び携帯機器用途がある。この規格は産

業用としての据置用途及び移動体用途のリチウム二次電池に適用する。主な用途の具体例を,次に示す。

a)

据置用途  テレコム,無停電電源装置(UPS),非常用電源装置,電力貯蔵装置,これらに類似した用

途など。

b)

移動体用途  フォークリフト,ゴルフカート,無人搬送車(AGV),鉄道,船舶など。ただし,路上

走行車は除く。

なお,特定用途向け電池の JIS 又は IEC 規格が存在する場合,その特定用途向け電池規格を優先する。

例えば,移動体用途のうち,路上走行車用単電池については,IEC 62660 の規格群などがある。

注記  携帯機器用途の電池の安全性は,JIS C 8712 などに規定されている。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 6253-3

  加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第 3 部:デュロメータ硬さ

JIS Z 8051

  安全側面−規格への導入指針

IEC 60050-482

International Electrotechnical Vocabulary – Part 482: Primary and secondary cells and batteries

IEC 62660 (all parts)

,Secondary lithium-ion cells for the propulsion of electric road vehicles

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほか,IEC 60050-482 及び JIS Z 8051 による。

3.1

安全性

受入れ不可能なリスクがないこと。

3.2

リスク

危害の発生する確率と危害の程度との組合せ。


2

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3.3

危害

人体の受ける物理的障害若しくは健康障害,又は財産若しくは環境が受ける害。

3.4

危険源

危害を引き起こす潜在的根源。

3.5

通常使用

仕様書,取扱説明書又は供給元が提供する情報に基づく条件下での製品の使用。

3.6

予見可能な誤使用

供給元の意図しない目的又は条件下で,供給元で予想できる製品の誤った使用。

3.7

リチウム二次単電池

リチウムの酸化・還元で電気的エネルギーを供給する充電式の電池。この電池は,電池容器,端子配置及

び電子制御装置を備えていないため,すぐに使用できる状態にはない。

注記  この規格では,単電池と略すことがある。

3.8

モジュール

直列及び/又は並列接続した単電池群。ヒューズ,PTC(positive temperature coefficient)素子など

の保護装置,及び監視回路をもっていてもよい。

3.9

電池パック

一つ以上の単電池又はモジュールを組み込んだユニット。端子構造をもち,保護装置又は保護回路を含

み,かつ,単電池の電圧を元に電池システムに制御情報(信号)の出力機能をもつ。

3.10

電池システム

一つ以上の単電池,モジュール又は電池パックを組み込んだシステム。単電池が使用範囲内となるよう

に監視し制御するバッテリーマネジメントユニット(BMU)をもつ。また,電池システムは,冷却装置及

び/又は加温装置をもつ場合もある。電池システムは,組電池ともいう。

3.11

バッテリーマネジメントユニット,BMU

単電池が使用範囲内となるように,単電池及び電池システムを監視し制御するもの。BMU の機能は,

電池システムを使用する機器・装置側に割り当てることができる(

図 参照)。その場合,電池システム

は,機器・装置側にある BMU の機能を含むものとする。この BMU を,バッテリーマネジメントシステ

ム(BMS)という場合もある。

 
 
 


3

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a) 

電池パック内に BMU 機能をもつ場合 b) 

BMU

機能をもつ機器・装置と電池パックとの組合せ

c) BMU

機能をもつ機器・装置とモジュールとの組合せ

d) BMU

機能をもつ機器・装置と単電池との組合せ 

図 1BMU 機能の割当ての例

3.12

漏液

単電池からの目に見える電解液の漏出。

3.13

弁作動

単電池,モジュール,電池パック又は電池システムからの過剰な内部圧力を低下させ,開裂又は破裂を

防止するためのガス排出弁が作動すること。

3.14

開裂

内部又は外部の要因によって,単電池の容器又はモジュール,電池パック若しくは電池システムの外装

が破れ,内容物が露出又は流出する現象。

3.15

破裂

単電池の容器又はモジュール,電池パック若しくは電池システムの外装が猛烈な勢いで破れ,単電池の

電池システムを使用する機器・装置

電池システム

BMU

単電池

電池システムを使用する機器・装置

電池システム

BMU

モジュール

単電池

電池システムを使用する機器・装置

電池システム

BMU

電池パック

単電池

モジュール

電池システムを使用する機器・装置

電池システム

BMU

電池パック

単電池

モジュール

制御情報出力機能


4

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容器又はモジュール,電池パック若しくは電池システムの外装の内容物が強制的に放出される現象。ただ

し,内容物のうち,液体,気体及び煙は,除く。

3.16

発火

単電池,モジュール,電池パック又は電池システムから炎が放出される現象。

3.17

熱暴走

単電池において,発熱が更なる発熱を招くという正のフィードバックによって,温度の制御ができなく

なる現象,又はそのような状態。

3.18

定格容量,C

5

特定の条件下で定められ,製造業者が指定する二次電池の容量の値。

3.19

上限充電電圧

安全性の見地から,単電池製造業者が指定する単電池に対する充電時の上限電圧。

3.20

最大充電電流

安全性の見地から,単電池製造業者が指定する単電池に対する充電時の上限電流。

4

  パラメータの測定許容差 

規定又は実測するパラメータに対する試験装置の制御値又は測定値の許容差は,次による。

a)

電圧:±0.5 %

b)

電流:±1 %

c)

温度:±2  ℃

d)

時間:±0.1 %

e)

質量:±1 %

f)

寸法:±1 %

これらの許容差は,測定器具,使用する測定技術及び試験の手順における全ての誤差の発生源によって

生じる総合的な精度である。 

安全性要求事項 

5.1 

製品安全性(単電池及び電池システムの安全性) 

5.1.1 

耐外部短絡特性 

単電池の正極端子と負極端子とが短絡した場合,安全でなければならない。すなわち,耐外部短絡特性

試験として,7.2 の試験を実施したとき,単電池に発火又は破裂があってはならない。

5.1.2 

耐衝突特性 

単電池の外部からの衝撃などに対して,安全でなければならない。すなわち,耐衝突特性試験として,

7.3

の試験を実施したとき,単電池の表面温度が 170  ℃を超えてはならない。また,試験後 6 時間以内に

発火又は破裂があってはならない。


5

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5.1.3 

耐落下特性 

単電池又は電池システムを規定する高さから落とした場合,安全でなければならない。すなわち,耐落

下特性試験として,7.4 の試験を実施したとき,単電池又は電池システムに,発火又は破裂があってはな

らない。

5.1.4 

耐加熱特性 

単電池を異常高温の環境に置いた場合,安全でなければならない。すなわち,耐加熱特性試験として,

7.5

の試験を実施したとき,単電池に,発火又は破裂があってはならない。

5.1.5 

耐過充電特性 

充電電圧の制御に関して,

互いに独立した二重の保護機能をもたない電池システムで使用する単電池は,

単電池製造業者が指定する充電電圧以上の電圧で充電した場合,安全でなければならない。すなわち,耐

過充電特性試験として,7.6 の試験を実施したとき,単電池に,発火又は破裂があってはならない。

5.1.6 

耐強制放電特性 

複数の単電池を用い,単電池を誤って逆接続した状態で電池システムが充電され,逆接続された単電池

が強制放電した場合,安全でなければならない。また,複数の単電池を直列接続し,単電池間で残容量の

差が生じた状態で電池システムが放電し,かつ,単電池も強制放電した場合においても,安全でなければ

ならない。すなわち,耐強制放電特性試験として,7.7 の試験を実施したとき,単電池に,発火又は破裂

があってはならない。

5.1.7 

耐熱暴走特性 

単電池が内部短絡又は発火した場合,電池システムは安全でなければならない。すなわち,単電池又は

電池システムは,5.1.7.1 又は 5.1.7.2 のいずれかの要求事項に適合しなければならない。

5.1.7.1 

耐内部短絡特性 

単電池が内部短絡した場合,単電池は安全でなければならない。すなわち,耐内部短絡特性試験として,

7.8.2

の試験を実施したとき,単電池に発火があってはならない。

5.1.7.2 

耐類焼特性 

電池システムを構成する一つの単電池が熱暴走した場合,電池システムは安全でなければならない。す

なわち,耐類焼特性試験として,7.8.3 の試験を実施したとき,電池システムの外装に,発火又は破裂があ

ってはならない。ただし,この試験のために,意図的に熱暴走させた単電池からの発火は除く。

なお,電池システムの外装が不明確な場合は,防火上支障のない範囲を,電池システムの製造業者が事

前に明確に定義しておく。

5.2 

機能安全性(電池システムの安全性) 

5.2.1 

一般事項 

BMU は,安全水準の目標に適合するように設計しなければならない(附属書 E 参照)。単電池の動作領

域の主な要素は,電圧,電流及び温度である(

図 A.1 参照)。それらは,附属書 E を参考にして,単電池

及び電池システムの用途に応じた適切な設計及び評価をしなければならない。特に,安全性確保に重要な

充電制御に関しては,5.2.2∼5.2.4 の特性を満足しなければならない。

5.2.2 

過充電電圧制御特性 

BMU は,単電池にかかる充電電圧を単電池当たりの上限充電電圧以下に制御しなければならない。

BMU は,電池システムがさらなる重大な結果に至ることを防止するために,主開閉器を自動的に開くな

どして,過充電電流を遮断しなければならない。すなわち,過充電電圧制御特性試験として,8.2 の試験

を実施したとき,BMU によって単電池の過大電圧を検出し,単電池当たりの上限充電電圧以下で充電を


6

C 8715-2

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停止させ,電池システムに,発火又は破裂があってはならない。

5.2.3 

過大充電電流制御特性 

BMU は,入力電流を単電池当たりの最大充電電流以下に制御しなければならない。BMU は,電池シス

テムがさらなる重大な結果に至ることを防止するために,主開閉器を自動的に開くなどして,過大充電電

流を制御しなければならない。すなわち,過大充電電流制御特性試験として,8.3 の試験を実施したとき,
BMU によって過大入力電流を検出し,その後,単電池当たりの最大充電電流以下に制御し,電池システ

ムに,発火又は破裂があってはならない。

なお,単電池の使用範囲の温度内にて,単電池製造業者が指定する単電池当たりの最大充電電流以上の

電流が流れない場合は,この規定は適用しない。

5.2.4 

充電時過熱制御特性 

BMU は,単電池の使用範囲の温度外で充電させないよう制御しなければならない。BMU は,電池シス

テムがさらなる重大な結果に至ることを防止するために,主開閉器を自動的に開くなどして,充電電流を

遮断しなければならない。すなわち,充電時過熱制御特性試験として,8.4 の試験を実施したとき,BMU

によって使用範囲外の温度を検出し,単電池の使用範囲の温度外で充電させないよう制御し,電池システ

ムに,発火又は破裂があってはならない。

形式試験 

6.1 

一般事項 

附属書 に規定する使用範囲を超えて使用した場合,単電池又は電池システムに起因する何らかのリス

クが生じることがある。そのためリスクに対して,単電池製造業者及び電池システム製造業者は,安全に

配慮した試験計画を策定しなければならない。また,形式試験を実施する場合,試験設備は,過圧及び火

災に耐える構造とし,防火システム及び試験中に発生したガスを除去・捕集するための換気システムを備

えなければならない。

さらに,生じる可能性がある高電圧のリスクも考慮しなければならない。

警告  この規格の全ての試験で採用している手順は,適切な注意を怠った場合,危害を及ぼすおそれ

がある。試験は,適切な資格及び経験をもつ専門家だけが適切な保護措置を装備した上で実施

することを前提としている。単電池又は電池システムの容器は,試験で 75  ℃を超える場合も

あるため,安全性に配慮し,試験中の事故を防がなければならない。

6.2 

試験項目 

試験項目は,

表 による。試験は,単電池製造業者が指定する保存環境で保管されている製造後 6 か月

以内の単電池又は電池システムで行う。試験の周囲温度は,特に指定がない場合,25±5  ℃とする。

注記  この製造後 6 か月以内の規定は,試験の再現性を高めるために制限したものであり,6 か月を

過ぎると電池の安全性が低下することを意味するものではない。同様に,試験の周囲温度は形

式試験のためであり,これらの条件で使うことを意味するものではない。


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表 1−試験項目及び実施の有無

試験項目

試験実施の有無

単電池の場合

a)

電池システムの場合

b)

大分類

試験名称

製 品 安 全 性 試 験
( 単 電 池 及 び 電
池 シ ス テ ム の 安
全性)

外部短絡試験

衝突試験

c)

落下試験

加熱試験

過充電試験

d)

強制放電試験

耐熱暴走試験

(右記のいずれかを選択)

耐内部短絡試験

耐類焼試験

機 能 安 全 性 試 験
( 電 池 シ ス テ ム
の安全性)

過充電電圧制御試験

過大充電電流制御試験

過熱制御試験

“○”は試験を適用することを示し,

“−”は試験を適用しないことを示す。

a)

  接続部分に PTC 素子又はヒューズのような保護素子をもつ,複数の単電池を並列接続したモジュールは,単

電池とみなすことができ,単電池として試験を実施してもよい。ただし,複数の単電池を並列接続したモジ
ュールで保護回路,リレーなどをもつものは単電池とみなさず,単電池として試験を実施してはならない。

b)

  電池システムを輸送目的などでモジュール,電池パックなどに分割できる場合は,電池システムの代わりに

それらを分割して試験してもよい。また,モジュール,電池パックなどに,電池システムで付加する機能を
もつものはそれらを加えてもよい。ただし,製造業者は,モジュール,電池パックなどで試験した旨を明確
にする。

c)

  円筒形電池では 1 方向,角形電池の場合は 2 方向で試験を行う。

d)

  充電電圧の制御に関して,互いに独立した二重の保護機能をもたない電池システムで使用する単電池に適用。

製品安全性試験(単電池及び電池システムの安全性) 

7.1 

試験環境及び試験の前処理 

特に規定がない場合,単電池又は電池システムを周囲温度 25±5  ℃で,単電池製造業者が指定する方法

で充電する。

なお,上記の方法によって充電した単電池及び電池システムにおいて,0.2

I

t

 A で指定の放電終止電圧ま

で放電してときに定格容量以上であることを,あらかじめ確認しておく。ただし,電池システムの場合で
0.2

I

t

 A が流せない場合は定格電流で放電してもよい。

注記 

I

t

 A は,次の式によって求めることができる(IEC 61434 参照)。

= 

1

5

t

C

I

ここに,

I

t

1 時間率の電流値(A)

C

5

定格容量(Ah)

1: 1 時間(h)

7.2 

外部短絡試験 

外部短絡試験は,正極端子及び負極端子を総計

30

±

10 mΩ

の外部抵抗に接続して,単電池を短絡させ

る。

6

時間,又は単電池の表面温度と周囲温度との差がその最大値の

20 %

以下になるまでの時間のいずれ

か短い方の時間放置し,異常の有無を確認する。

7.3 

衝突試験 

衝突試験は,前処理における充電を定格容量の

50 %

まで行った単電池を,平たん(坦)な面に置く。


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単電池

1

個の場合,単電池を横切るように,直径

15.8 mm

の丸棒を単電池の中央に配置する(

図 2

照)

。円筒形又は角形単電池に,単電池の中央に配置した丸棒から単電池の縦軸方向に対して,直角に衝撃

を加える。

角形単電池については,その縦軸の周りに

90

度回転して同様の試験を実施し,単電池の長側面及び短

側面の双方が加圧力を受けるようにする。一つの試験対象は,

1

方向だけに加圧力を受けるようにする。

したがって,個々の試験では,別々の側面を試験対象として使用する。

並列に接続した単電池で構成するモジュールの場合,単電池を横切るように,直径

15.8 mm

の丸棒を単

電池の中央に配置する。

高さ

61

±

2.5 cm

から質量

9.1 kg

のおもりをその棒の上へ落下させて,衝撃を加える(

図 2

参照)

a) 

円筒形単電池の場合 b) 

角形単電池の方向 の場合 c) 

角形単電池の方向 の場合 

d) 

並列に接続された複数の円筒形
単電池の場合の例 

e) 

並列に接続された複数の角形単
電池の方向 の場合の例 

f) 

並列に接続された複数の角形単
電池の方向 の場合の例 

図 2

衝突試験における丸棒の位置

7.4 

落下試験 

7.4.1 

一般事項 

設置時の安全性を確保するために,単電池又は電池システムに対して落下試験を行う。試験方法及び試

験条件は,

表 2

に規定するように試験対象の質量によって異なる。

おもり 
9.1 kg 

縦軸

丸棒

おもり 
9.1 kg 

円筒形単電池

丸棒

縦軸

おもり
9.1 kg 

角形単電池

丸棒

縦軸

おもり 
9.1 kg 

角形単電池

丸棒

縦軸

おもり
9.1 kg

縦軸

丸棒

縦軸

おもり 
9.1 kg 

丸棒


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C 8715-2

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表 2

落下試験方法及び試験条件

試験対象の質量

kg

試験方法

落下高さ

cm

7 未満

全体 100

7 以上 20 未満

全体

a)

 10

 20 以上 50 未満

角部及び辺部

a)

 10

 50 以上 100 未満

角部及び辺部

a)

 5

100 以上

角部及び辺部

a)

 2.5

a)

 7

kg 以上の質量の試験対象については,製造業者が指定

する底面を下にして試験を行う。

7.4.2 

全体落下試験 

質量が

20 kg

未満の試験対象に対して,全体落下試験を実施する。

単電池又は電池システムを,

表 2

に規定する高さからコンクリートの床へ任意の向きに

3

回落下させる。

ただし,質量が

7 kg

以上のものについては,製造業者が指定する底面を下にして落下させる。試験後,試

験対象を

1

時間以上放置し,異常の有無を確認する。

7.4.3 

角部及び辺部落下試験 

質量が

20 kg

以上の試験対象に対して,角部及び辺部落下試験を実施する。

単電池及び電池システムを,

表 2

に規定する高さからコンクリートの床に

2

回落下させる。試験は,

3 a)

に示す落下箇所が最初に床面に着くよう,試験対象を

図 3 b)

及び

図 3 c)

のように配置して行う。角部及

び辺部のそれぞれ

2

回の落下試験は,

同一の角部落下箇所及び同一の最短辺部落下箇所に対して実施する。

いずれの試験もそれぞれ

1

か所だけ実施すればよい。

角部及び辺部落下試験における試験対象の底面は,水平な床面と平行に配置する。試験後,試験対象を

1

時間以上放置し,異常の有無を確認する。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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a)

  落下箇所 

b)

  角部落下試験の配置図(上面図) c)  最短辺部落下試験の配置図(側面図) 

a)

  小さな試験対象については,リリース装置を使わず手持ちの保持状態からの落下試験でもよい。

リリース装置を用いる場合は,リリース時に試験対象が回転又は斜行することを避けなければならない。

図 3

角部及び辺部落下試験における配置

7.5 

加熱試験 

加熱試験は,単電池を室温で安定させた後,周囲温度を

5

±

2

℃/分の昇温速度で

85

±

5

℃の温度まで

上昇させる。その後,単電池をこの温度で

3

時間保持し,異常の有無を確認する。

7.6 

過充電試験 

過充電試験は,試験する単電池を,

0.2

I

t

 A

の定電流で,単電池製造業者が指定する放電終止電圧まで放

電する。その後,放電した単電池を,単電池の最大充電電流値で定電流充電する。上限充電電圧の

120 %

に単電池の電圧が到達した時点で,定電流充電を停止する。定電流充電を停止後,単電池の表面温度を継

続して測定する。

試験は,単電池の表面温度が

30

分間で

10

℃以内の温度変化にとどまるまで,又は周囲温度にほぼ一致

するまで測定を継続し,異常の有無を確認する。

7.7 

強制放電試験 

強制放電試験は,放電終止電圧まで放電した

1

個の単電池を対象に,

1

I

t

 A

7.1

参照)の電流で,

90

間強制放電を行う。ただし,次に示す放電電圧に到達した場合は,その放電電圧を維持し,異常の有無を

確認する。

なお,最大放電電流が

1

I

t

  A

に満たない場合は,その電流で次の式によって求めた時間,強制放電を行

い,異常の有無を確認する。

90

1

m

t

×

=

I

I

t

ここに,

t

時間(分)

I

m

単電池の最大放電電流(A)

1/2

1/2

1/2

1/2

角部落下箇所

三角柱支点

落下高さ

試験対象(上面)

試験対象 
(側面)

最短辺部落下箇所

落下高さ

リリース装置

a)

角部落下箇所

最短辺部落下箇所

上面

側面


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a)

  放電電圧の制御に関して,互いに独立した二重の保護機能をもつ電池システムの場合,及び単電池で

使用する場合

放電電圧=−(単電池の上限充電電圧)

b)

  放電電圧の制御に関して,互いに独立した二重の保護機能をもたない電池システムの場合

放電電圧=−[単電池の上限充電電圧×(n−1)

ここに,は,電池システムにおいて直列接続する単電池の数を示す。

7.8 

耐熱暴走試験 

7.8.1 

一般事項 

単電池が内部短絡又は熱暴走した場合に,電池システムが発火しないことを確認するため,

7.8.2

に規定

する単電池の耐内部短絡試験,又は

7.8.3

に規定する電池システムの耐類焼試験のいずれか一方を実施す

る。

7.8.2 

耐内部短絡試験 

耐内部短絡試験は,

附属書 B

による。

7.8.3 

耐類焼試験 

耐類焼試験は,電池システム内のいずれか一つの単電池を,加熱

1)

などの方法で熱暴走させる。熱暴走

させる方法は,受渡当事者間で取り決める。

単電池の表面温度を測定し,急激に温度が上昇した時点を熱暴走とみなし,加熱などを停止し,

1

時間

放置し,異常の有無を確認する。

単電池の熱暴走の方法は,報告書等に記載する。

1)

  単電池を加熱する方法として,抵抗加熱器,熱伝導ヒーターの使用などがある。

機能安全性試験(電池システムの安全性) 

8.1

  試験環境及び試験の前処理 

試験は,特に規定がない場合,周囲温度

25

±

5

℃で,電池システムが

BMU

によって制御されている

状態の下で実施する。冷却システムがある場合は,そのシステムを動作させてもよい。

電池システムの充電に先立ち,周囲温度

25

±

5

℃,

0.2

I

t

  A

の定電流又は電池システムの定格電流で,

単電池製造業者又は電池システム製造業者が指定する放電終止電圧まで放電する。

8.2 

過充電電圧制御試験 

特に規定がない場合,

8.1

の規定に従って放電した電池システムに,単電池製造業者又は電池システム製

造業者が指定する充電器の最大電流で,単電池に対して単電池当たりの上限充電電圧の

110 %

に相当する

充電電圧が印加されるように設定し,

BMU

が充電を停止させるまで充電する[

図 4 a)

参照]

。ただし,電

池システム全体に,単電池に対して単電池当たりの上限充電電圧の

110 %

に相当する充電電圧が印加され

るように設定するのが難しい場合は,別の充電電源装置を準備するなどして,一部の単電池だけに単電池

当たりの上限充電電圧の

110 %

に相当する充電電圧が印加されるように設定してもよい[

図 4 b

)参照]。た

だし,単電池当たりに流れる電流が,単電池製造業者が指定する単電池当たりの最大充電電流を超えない

ように配慮する。

BMU

が動作し,充電を停止させたら,別の充電電源装置も充電停止させる。また,抵

抗を組み込むなどして,一部の単電池の電圧を下げ,別の一部の単電池だけに単電池当たりの上限充電電

圧の

110 %

に相当する充電電圧が印加されるように設定してもよい。

電圧及び電流のデータの取得並びに単電池の状態観察は,

BMU

が充電を停止してから

1

時間を経過す

るまで実施し,異常の有無を確認する。


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a) 

電池システム全体に単電池当たり上限充電電圧の
110 %

に相当する充電電圧を設定できる場合 

b) 

電池システム全体に単電池当たり上限充電電圧の
110 %

に相当する充電電圧を設定できない場合 

図 4

過充電電圧制御試験の回路構成例

8.3 

過大充電電流制御試験 

特に規定がない場合,

8.1

で放電した電池システムの充電電流を,単電池に対して単電池製造業者が指定

する単電池当たり最大充電電流の

120 %

が流れるように設定して充電する。電圧及び電流のデータの取得

並びに単電池の状態観察は,電流が停止してから

1

時間を経過するまで実施し,異常の有無を確認する。

8.4 

充電時過熱制御試験 

特に規定がない場合,

8.1

で放電した電池システムを,単電池製造業者又は電池システム製造業者が指定

する電流値で,定格容量の

50 %

まで充電する。

電池システム内の単電池の表面温度を,単電池製造業者が指定する使用範囲の上限温度(

図 A.1

T

5

に対して,

5

℃上昇させる。単電池製造業者が指定する充電電流値で,

BMU

が充電を停止させるまで充

電する。

電圧及び電流のデータの取得並びに電池の状態観察は,電流が停止してから

1

時間を経過するまで実施

し,異常の有無を確認する。

安全に関する情報 

単電池及び電池システムの使用,特に単電池製造業者の指定に従わない使用は,危険源を生み出し,危

害を及ぼすおそれがあるため,次の情報を提供する。

a)

  単電池製造業者及び電池システム製造業者は,単電池及び電池システムを内蔵する機器・装置の製造

業者に又は使用者に直接販売する場合は,故障又は誤使用で使用者に及ぼす危害を最低限度に抑える

ようにする。

充電器 

単電池当たり上限充電電圧の 110 %

に相当する充電電圧を設定

 BMU

電圧測定

電圧測定

単電池

単電池

充電器 

機器の仕様に基づいた

電圧を印加

充電電源装置 

単電池当たり上限充電電圧の

110 %に相当する充電電圧を設定

電圧測定

電圧測定

単電池

単電池

 BMU


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C 8715-2

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b)

  単電池製造業者及び電池システム製造業者は,単電池及び電池システムを内蔵する機器の使用に関わ

る危険源について,使用者に知らせるため,機器・装置の製造業者の取扱説明書に記載できるように

する。

c)

  電池システム製造業者は,リサイクル時の安全を考慮した情報を提供することが望ましい。

また,単電池及び電池システムの設計・使用に関する安全性について考慮すべき事項は,

附属書 D

に記

載する。

10 

こん(梱)包 

単電池及び電池システムの輸送時におけるこん包は,短絡,機械的損傷及び湿気の浸入による影響を考

慮しなければならない。こん包材料及びこん包の方法は,意図しない電気的接触,端子の腐食及び環境汚

染物質の浸入による影響を考慮しなければならない。

注記

  輸送時のこん包に関しては,UN Model Regulations(3480,3481)などがある。


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附属書 A

(規定)

安全に利用するための単電池又は電池システムの使用範囲の決定手順

この附属書は,単電池製造業者及び電池システム製造業者が,単電池又は電池システムの使用範囲を決

定する手順について規定する。

A.1 

単電池又は電池システムの使用範囲 

単電池又は電池システムを安全に利用するために,単電池製造業者は,要求事項に適合するように上限

充電電圧及び上限充電温度を設定しなければならない。この上限充電電圧及び上限充電温度を適用できる

温度範囲を標準温度範囲という。また,充電電圧を低下させるなどの安全対策を施した場合,この標準温

度範囲よりも高い又は低い温度域でも単電池を安全に使用することができる。この安全に使用できる範囲

を使用範囲という。

なお,単電池の容量が,既に安全性が実証されている単電池に対して+

20 %

を超えず,同一の極板材料,

厚さ,セパレータなどを使用している場合は,同じ形式として扱い,同じ使用範囲を設定してもよい。

単電池の基本的な使用範囲例を,

図 A.1

に示す。標準温度範囲より外側の温度範囲においては,標準温

度範囲で示した上限充電電圧よりも低い充電電圧を設定し,

図 A.1

のように階段状にしてもよいし,徐々

に低くなるように設定してもよい。ただし,この使用範囲は,安全性を確保するためのものであり,寿命

などの性能を維持するための通常の充電電圧及び充電温度とは異なる。

図 A.1

リチウム二次電池の基本的な使用範囲例

T

5

充電電

充電電

最大充電電流

使用範囲(電圧)

上限充電電圧

T

1

T

2

:低温度域

T

2

T

3

:標準温度範囲

T

3

T

5

:高温度域

単電池温度(表面)

T

1

T

2

T

3

T

4

使用範囲(電流)


15

C 8715-2

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A.2 

充電電圧に対する考え方 

A.2.1 

一般事項 

充電電圧は,充電の化学反応を推進するために印加するものであるが,充電電圧を単電池製造業者の指

定値以上に設定すると反応が進みすぎたり,副反応が生じたりするため,熱的に不安定な状態(熱暴走に

至りやすい状態)となる。このため,いかなる場合においても,単電池製造業者が指定する充電電圧を上

回らないようにすることが,極めて重要である。

A.2.2 

安全性の解釈及び要求 

上限充電電圧よりも高い電圧に充電した単電池は,正極活物質から抜け出たリチウムイオンの量が過剰

であり,正極活物質の結晶構造は崩壊しやすくなっている。

このような状態で内部短絡が発生すると,単電池製造業者が指定する条件で充電した場合よりも,熱暴

走が容易に発生する可能性がある。したがって,単電池は,単電池製造業者が指定する上限充電電圧より

高い電圧で充電してはならない。また,このような状態の原因となる充電器の充電制御機能に関わる故障

を想定し,箇条

8

に規定する

BMU

のような保護装置も備えなければならない。

A.2.3 

上限充電電圧で充電した単電池の安全性の要求 

単電池に,上限充電電圧を設定しなければならない。単電池製造業者は,上限充電電圧が適切であるこ

とを示す,次のような資料を保管しなければならない。

a)

  正極材料の結晶構造安定性を証明する試験結果

b)

  上限充電電圧で充電した単電池の負極活物質へのリチウムイオンの受入れ性

2)

を証明する試験結果

c)

  上限充電電圧で充電した単電池を標準温度範囲の上限(

図 A.1

の T

3

)で,

7.2

7.8

の試験を実施し,

5.1.1

5.1.7

のそれぞれの要求事項に適合することを確認した試験結果

2)

  リチウムイオンの受入れ性とは,リチウムイオンが負極活物質に保持される能力を示す特性

をいう。

A.3 

温度及び電流に対する考え方 

A.3.1 

一般事項 

充電反応は,化学反応であり,温度の影響を大きく受ける。同じ上限充電電圧及び充電電流であっても,

化学反応の起こりやすさ及び充電生成物の状態は,温度によって大きく異なる。そのため,安全性の観点

から副反応が発生しやすく厳しい条件と考えられる高温度域(

A.3.3

参照)及び低温度域(

A.3.4

参照)に

おいては,上限充電電圧及び/又は最大充電電流を低く設定するのが望ましい。

A.3.2 

標準温度範囲 

一般にリチウムイオン電池の単電池の場合は,標準温度範囲は

10

℃∼

45

℃である。ただし,この範囲

は,単電池に使う材料又は単電池の形状若しくは構造によって変えてもよい。

A.3.3 

高温度域 

高温度域は,標準温度範囲よりも高温側の温度域である。高温度域では,標準温度範囲で指定した上限

充電電圧よりも低い充電電圧を指定してもよい。

単電池は,標準温度範囲よりも高い温度で充電を行うと,結晶構造が不安定となり,単電池の安全性が

低下していく。また,高温度域では,熱暴走が発生する時点と発生しない時点との温度差は,小さくなる。

したがって,高温度域における充電条件は,電解液,その他の要素などの耐熱性に基づき,特別に指定

しなければならない。

充電中に,単電池の表面温度が高温度域の上限温度を上回っているときは,いかなる充電電流において


16

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も充電してはならない。

A.3.4 

低温度域 

低温度域は,標準温度範囲よりも低温側の温度域である。低温度域では,標準温度範囲で指定した上限

充電電圧及び/又は最大充電電流よりも低い値を指定してもよい。

単電池を低温度域で充電する場合,物質移動速度が減少し,負極中へのリチウムイオンの受入れが遅く

なる。その結果,金属リチウムが負極表面上に析出する。熱的には,不安定な状態となり,発熱及び熱暴

走を引き起こしやすくなる。また,低温度域では,リチウムイオンの受入れ性の温度依存性の変化が,非

常に大きくなるため,十分なマージンを設定することが望ましい。特に,多数の単電池で構成する電池シ

ステムの場合,それぞれの単電池の温度の違いによるリチウムイオンの受入れ性に違いが生じ,安全性が

低下する。

したがって,低温度域における充電条件は,負極の受入れ性などの設計要因に基づき,特別に指定しな

ければならない。

充電中に,単電池の表面温度が低温度域の下限温度を下回っているときは,いかなる充電電流において

も充電してはならない。


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附属書 B

(規定)

耐内部短絡試験の手順

この附属書は,

単電池製造業者及び電池システム製造業者が耐内部短絡試験を実施する手順を規定する。

なお,耐内部短絡試験は,単電池そのままで試験できない構造のものは,一部単電池製造業者の指定す

る方法・手順に変更して行ってもよい。

B.1 

試験を行うための充電手順 

試験に使用する単電池は,特に規定がない場合,

7.1

に従って充電する。

B.2 

ニッケル小片の配置手順 

B.2.1 

一般事項 

ニッケル小片の配置作業は,周囲温度

25

±

5

℃,露点−

25

℃以下の環境で行う。

B.2.2 

充電済み電池の分解 

B.1

の手順で充電した単電池を,ニッパ又はラジオペンチを用い,封口部から素早く分解して電極体を

取り出す。充電した単電池の電極体を電池きょう(筐)体から取り出すことが,著しく困難な構造である

場合は,製造業者の手によってあらかじめニッケル小片を電池作製時又は放電状態の単電池に挿入し,そ

の後に充電してもよい。ただし,活物質層との対向部分に電極基材露出部が存在する場合は,当該部分で

の試験も実施する。

注記

  円筒形電池及び角形電池の分解方法の例を,

附属書 C

に記載する。ただし,電極体が積層形の

場合は,角形単電池の分解方法を参考にする。

B.2.3 

ニッケル小片の形状及び材質 

内部短絡を引き起こすために用いるニッケル小片の形状を,

図 B.1

に示す。その形状は,高さ

0.2 mm

0.1 mm

,一辺

1 mm

L

字形(角は約

90

°)とし,材質は,純度

99 %

以上のニッケルとする。

単位  mm

図 B.1

ニッケル小片の形状

B.2.4 

ニッケル小片の配置 

ニッケル小片の電極体への配置は,次による。

a)

円筒形電池

  円筒形電池のニッケル小片の配置は,次による。

1)

正極活物質部−負極活物質部間

1.1)

  最外周に正極アルミニウム芯体(以下,アルミはくという。)がある場合は,絶縁性のはさみを用

いて,活物質部とアルミはくとの境界部で,アルミはくをカットする。

1.2)

  ニッケル小片の向きは角が巻込み方向とし,ニッケル小片を,カット部から巻込み方向に 20 mm


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隔て,かつ,電極体幅の中央に,正極活物質部とセパレータとで挟むように配置する[

図 B.2 a)

参照]

1.3) 

  セパレータ上に,ニッケル小片の位置のマーキングを行う。

2)

正極アルミはく部−負極活物質部間

最外周に露出したアルミはくと負極活物質部とが対向して

いる面が存在する場合に実施する。

2.1)

  最外周に露出したアルミはく及び負極活物質部の対向面が存在する場合は,絶縁性のはさみを用

いて,活物質部とアルミはくとの境界部で,露出したアルミはくを 10 mm 残してカットする。

2.2)

  ニッケル小片の向きは角が巻込み方向とし,ニッケル小片の位置は,正極活物質部の端より 1 mm

隔て,

かつ,

電極体幅の中央に,

アルミはくとセパレータとで挟むように配置する

図 B.2 b

)参照]。

2.3)

  セパレータ上にニッケル小片の位置のマーキングを行う。

単位  mm

a)

  正極活物質部−負極活物質部間 b)  正極アルミはく部−負極活物質部間 

図 B.2

円筒形電池のニッケル小片の配置場所

b)

角形電池

  角形電池では,作業中の不意な短絡を防ぐため,最初に,ニッケル小片部分に接するセパ

レータと負極との間に絶縁フィルムを挟む。その後,次によって,ニッケル小片の配置を行う。角形

電池のニッケル小片の配置場所を,

図 B.3

に示す。

1)

正極活物質部−負極活物質部間

1.1)

  最外周の正極活物質部とセパレータとの間,又は負極活物質部とセパレータとの間に,ニッケル

小片を配置する。電池外装がアルミニウム缶の場合は,正極活物質とセパレータとの間に,ニッ

ケル小片を配置する。

なお,電極体が積層形の場合は,最外側の正極活物質部とセパレータとの間,又は負極活物質

部とセパレータとの間に,ニッケル小片を配置する。

1.2)

  ニッケル小片の向きは,角が巻込み方向とし,ニッケル小片の位置は,へん(扁)平巻回の平面

部の中心(対角線の交点)とする[

図 B.3 a)

参照]

なお,電極体が積層形の場合は,ニッケル小片の角を正極集電側とし,ニッケル小片の位置は,

電極板の中心(対角線の交点)とする。

2)

正極アルミはく部−負極活物質部間

  最外周に露出したアルミはくと負極活物質部とが対向して

いる面が存在する場合に実施する。

2.1)

  最外周に露出したアルミはくと負極活物質部との対向面が存在する場合は,露出したアルミはく

とセパレータとの間に,ニッケル小片を配置する。

2.2)

  ニッケル小片の向きは,角が巻込み方向とし,ニッケル小片の位置は,へん平巻回の平面部の中


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心(幅方向の中心部)で露出したアルミはくと負極活物質部との間とする[

図 B.3 b

)参照]。

a)

  正極活物質部−負極活物質部間 b)  正極アルミはく部−負極活物質部間 

図 B.3−角形電池のニッケル小片の配置場所

B.2.5 

巻戻し 

ニッケル小片の配置後,解体前の配置関係に戻すために,次の電極体の巻戻しを行う。

a)

円筒形電池

1)

  作業中の不意な短絡を防ぐため,ニッケル小片部分に接するセパレータと負極との間に,絶縁フィ

ルムを挟む。

2)

  巻き解いた電極を全て巻き直し,テープで固定する。積層形の場合も,電極体を再積層させ,テー

プで固定する。

3)

  最外周上のセパレータに,ニッケル小片の挿入位置をマーキングする。

b)

角形電池

1)

  巻き解いた電極を全て巻き直し,テープで固定する。

2)

  セパレータ上に,ニッケル小片の挿入位置をマーキングする。

3)

  マーキングした箇所に,テープ基材厚さ 25 μm,テープ幅 10 mm 相当のポリイミドテープを 2 枚重

ねて貼る。

B.2.6 

電極体の封入 

電解液の乾燥を防ぐため,電極体を電解液蒸気の透過性のない柔軟な袋(例えば,チャック付きポリエ

チレン製袋など)に入れて,開口部を閉じ,さらに,密閉式のアルミニウムラミネートパックに入れる。

B.2.1

B.2.5

の作業は,

30

分以内に行う。

B.3 

加圧の手順 

B.3.1 

一般事項 

予備恒温槽において,電極体の温度を試験温度に安定させた後,加圧装置を内部に設置した試験用恒温

槽の中で加圧する。

B.3.2 

予備恒温槽における温度調整 

試験温度に設定した予備恒温槽に,密閉式のアルミニウムラミネートパックに入れた電極体を投入し,

45

±

15

分間放置する。

B.3.3 

測定用端子の取付け及び加圧装置の設置 

電極体への測定用端子の取付け及び加圧装置の設置は,次による。


20

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a)

  密閉式のアルミニウムラミネートパックから電極体を取り出し,試験温度に設定した試験用恒温槽内

で,電圧測定用端子及び熱電対の端子を取り付ける。マーキングの位置に加圧ジグの中央が当たるよ

うに,電極体を加圧装置に設置する。電圧測定用端子及び熱電対の端子の取付け,並びに加圧装置の

設置作業は,電解液の蒸発を防ぐため,手早く実施する。

b)

  短絡防止の絶縁フィルムを引き抜き,試験用恒温槽を閉じる。

B.3.4 

内部短絡 

a)

  電極体の温度が 25±5  ℃になったことを確認し,試験を開始する。

b)

図 B.4

に示す加圧ジグ(円筒形用の場合は,幅 10 mm×10 mm のステンレス角柱に厚さ 2 mm のニト

リルゴムを追加した加圧ジグ,また角形用の場合は更に先端の大きさ:5 mm×5 mm,厚さ 2 mm のア

クリル板を追加した加圧ジグ)を用い,電極体のニッケル小片挿入部を中心に接触させ,0.1 ミリメー

トル/秒の速度で加圧ジグを下降させる。

単位  mm

a)

  円筒形電池の場合 b)  角形電池の場合 

図 B.4

加圧ジグの形状

B.3.5 

加圧停止 

単電池電極体の電圧を,測定間隔

100

ポイント/秒以上で測定する。初期電圧から

50 mV

以上の降下

を検出するまで加圧する。この時点で,電極体が短絡したとみなす。短絡とみなした時点で,加圧ジグの

下降を停止し,

30

秒後に加圧を開放する。ただし,±

0.5 %

より高い電圧計測精度が確保でき,かつ,短

絡痕が確認できる場合,

50 mV

未満の電圧降下で短絡が発生とみなして加圧ジグの降下を停止してよい。

また,短絡とみなせる電圧降下が検出できない場合,加圧力の上限は,円筒形の場合は

800 N

,角形の場

合は

400 N

とし,上限に達した時点で,加圧ジグの下降を停止する。

B.4 

判定の手順 

短絡が確認された場合,加圧力値を記録し,発火のないことを確認する。また,短絡が確認できない場

合,加圧力が上限に達した時点で,加圧ジグの下降を停止し,発火のないことを確認する。


21

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附属書 C

(参考)

円筒形電池及び角形電池の分解方法の例

C.1 

一般事項 

安全のため,分解は必ず露点−

25

℃以下の環境下で実施する。

C.2 

円筒形電池の分解方法の例 

円筒形電池の分解方法の例を,次に示す。

a)

  ポリイミドテープを貼って絶縁したニッパを用いて,封口板周囲の電池外装缶かしめ部を徐々に切り

開く。

b)

  外装缶かしめ部を全周開いた後,封口板を電池外装缶から引き出し,封口板及び正極リード部の溶接

部の近傍で,絶縁性のはさみを用いて,リード板を切断する。

c)

  ニッパを用いて,電池外装缶の上部に切り目を入れた後,ラジオペンチを用いて,電池外装缶をらせ

ん状に切り開く。短絡防止のため,ラジオペンチの周囲に絶縁材を貼る。

d)

  電極体の全てが露出するまでケースを切り開いた後,電池外装缶及び負極リードの接続部の近傍で,

絶縁性のはさみを用いて切断する。

e)

  電極体を最外周(アルミはく部を含む。)から,正負極活物質が見える部分まで巻き解く。

C.3 

角形電池の分解方法の例 

角形電池の分解方法の例を,次に示す。

a)

  ポリイミドテープを貼って絶縁したニッパを用いて,封口板周囲の電池外装缶の溶接部を徐々に切り

開く。

b)

  電池外装缶の溶接部を半周開いた後,封口板を開け,封口板,並びに正極及び負極リード部の溶接部

の近傍で,絶縁性のはさみを用いてリード板を切断する。

c)

  上記の絶縁したニッパを用いて,封口板を完全に電池外装缶から切り離し,電池外装缶の上部から電

池外装缶をらせん状に切り開く。

d)

  電極体の半分以上が露出するまで電池外装缶を切り開いた後,電池外装缶から電極体を取り出す。

e)

  電極体表面の絶縁テープを引き

がし,電極体を最外周(アルミはく部を含む。

)から,正負極活物質

が見える部分まで巻き解く。


22

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附属書 D

(参考)

単電池及び電池システムの設計・使用に関する安全性について

考慮すべき事項

D.1 

一般事項 

単電池又は電池システムの安全性は,次の

a)

及び

b)

の使用条件に適用する。

a) 

通常使用

b)

  予見可能な誤使用

単電池及び電池システムは,上記の使用において,安全が保たれるように設計し,製造しなければなら

ない。

通常使用の場合,単電池及び電池システムは安全であるだけでなく,あらゆる状況で継続して使用でき

なければならない。

予見可能な誤使用の後に機能が失われても,単電池又は電池システムに,

c)

g)

の潜在的リスクが発生

してはならない。

c)

  発火

d)

  破裂

e)

  短絡を引き起こす電解液の漏液

f)

  継続的な可燃性ガスを噴出するような弁作動

g)

  内容物が露出するような単電池の容器又はモジュール,電池パック若しくは電池システムの外装の開

D.2 

絶縁及び配線 

電池システムの場合,内部配線及びその絶縁は,予想される最大電圧,最大電流及び最高温度に関する

要求事項に十分耐えなければならない。配線には,各々の接続器の間に適切な間隙と沿面距離とを保つも

のを用いる。内部接続の機械的設計は,誤使用を十分考慮したものでなければならない。

D.3 

内部圧力低下機能 

単電池は,内部圧力を低下させる機能をもたなければならない。また,単電池の破裂又は発火を起こす

おそれのある内部圧力になる前に,過剰な内部圧力が低下するように設計する。外側容器の内部に単電池

を支持材で固定している場合,支持材の種類及び支持の方法は,圧力低下機能に影響するような過熱を引

き起こさず,また,圧力低下を妨げないものを用いる。

D.4 

温度,電圧又は電流の管理 

電池システムは,異常な温度上昇が発生しないように設計する。電池システムは,単電池製造業者が指

定する温度,電圧値及び電流値以内となるように設計する。そのため,単電池製造業者は,指定する温度,

電圧値及び電流値に関する仕様書並びに充電方法の説明書を,電池システム製造業者に提示しなければな

らない。


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D.5 

電池パック及び/又は電池システムの端子接続部 

端子は,電池パック又は電池システムの外部表面に極性[プラス(+)及びマイナス(−)

]を明示する。

ただし,接続する機器のコネクタが極性の逆接続を防ぐ構造の場合,外部表面に極性を明示する必要はな

い。

端子接続部は,予想される最大電流を確実に流すことができる寸法及び形状でなければならない。

外部接続端子の接触表面は,十分な機械的強度及び耐腐食性を備えた導電材料によって構成しなければ

ならない。

端子接続部は,金属工具などによる短絡の危険性を最小限にするように工夫する。

D.6 

電池システム設計 

電池システム設計は,次による。

a)

  電池システムは,独立した制御機能及び保護機能をもたなければならない。

b)

  電池システムは,単電池の製造業者が指定する,電圧,電流及び温度に関して安全性が確保される限

界値を基に,適切に設計・製造しなければならない。

c)

  電池システムは,直列接続した各単電池の全て又は複数の単電池を並列接続したモジュールの全ての

電圧を測定し,いかなる単電池の電圧も,単電池の製造業者が指定する充電電圧の上限を超えないよ

うに設計する。

d)

  直列に接続した単電池の一部を,選択して放電するように設計した電池システムの場合は,不均等放

電によって単電池の転極が起こらないように,別の保護回路を設ける。


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附属書 E

(参考)

安全水準の目標の設定及びリスク軽減

単電池製造業者及び電池システム製造業者は,

FTA

Fault Tree Analysis

FMEA

Failure mode and

effects analysis

,SIL

Safety Integrity Level

などを用いて,製造,組立設置,使用及び廃棄までのプロ

セス上の危険源の分析並びにリスク評価を行い,そのリスクを軽減しなければならない。

  危険源の分析,リスク評価及びリスク軽減の手順を,次に示す。

a)

危険源の抽出

  危険源として,想定される要素を抽出する。

注記

  危険源には,次のようなものがある。

過放電後の充電,EMC,感電,浸水,外部短絡,内部短絡,過充電,過熱,落下,圧壊,

漏液,排出ガスへの引火,火災,地震,津波など。

b)

リスク評価

  危険源から発生する影響の大きさ,発生確率などから,リスクを評価する。

c)

安全水準の目標の設定及びリスク軽減活動の実施

  安全水準の目標を設定し,リスク軽減活動を実施

する。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

参考文献 

JIS C 8712

  密閉形小形二次電池の安全性

IEC 61434

,Secondary cells and batteries containing alkaline or other non-acid electrolytes−Guide to

designation of current in alkaline secondary cell and battery standards

IEC 61508 

(all parts),Functional safety of electrical/electronic/programmable electronic safety-related systems