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C 7031-1993

1 

目次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  使用図記号

1

3.

  測定用電源及び計器

1

3.1

  測定用電源

1

3.2

  計器

1

4.

  基準測定条件

2

4.1

  温度及び湿度

2

4.2

  測定周波数

2

4.3

  信号振幅

2

4.4

  理想電圧源及び理想電流源

2

4.5

  パルス条件

2

4.6

  開路及び閉路

2

5.

  測定上の注意事項

2

5.1

  最大定格の遵守

2

5.2

  着脱時の注意

2

5.3

  静電破壊に対する注意

2

5.4

  温度安定(熱的平衡)条件

3

5.5

  パルス測定

3

5.6

  測定回路

3

6.

  測定方法

3

6.1

  順電流測定

3

6.2

  順電圧測定

3

6.3

  逆電流測定

4

6.4

  端子間静電容量測定

5

6.5

  順回復時間測定

5

6.6

  逆回復時間測定

7

6.7

  蓄積電荷測定

8

6.8

  検波電圧能率測定

9

6.9

  検波電力能率測定

9

6.10

  整流電流測定

10

6.11

  雑音電流測定

11

6.12

  中間周波インピーダンス測定

11

6.13

  総合雑音指数測定

13

6.14

  出力雑音比測定

16

6.15

  変換損失測定

17


C 7031-1993

目次

2 

ページ

6.16

  順直列抵抗測定

19

6.17

  逆直列抵抗測定

20

6.18

  Q 測定

21

6.19

  遮断周波数測定

23

6.20

  直列インダクタンス測定

23

6.21

  熱抵抗測定

24

附属書  降伏電圧測定

27

参考  パルス電力試験

28


日本工業規格

JIS

 C

7031

-1993

小信号用半導体ダイオード測定方法

Measuring methods for small signal diodes

1.

適用範囲  この規格は,電子装置に使用する検波,スイッチング,混合などに用いる小信号用半導体

ダイオード(以下,ダイオードという。

)の電気的測定方法について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 0301

  電気用図記号

JIS C 1102

  指示電気計器

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC747-3 (1985)

  Semiconductor devices, Discrete devices

Part 3 : Signal (including switching) and regulator diodes

2.

使用図記号  この規格の測定回路図に用いる図記号は,JIS C 0301 の規定によるほか,表 による。

表 1

図記号

名称

図記号

名称

二 現 象 オ シ ロ
スコープ

電流プローブ

3.

測定用電源及び計器

3.1

測定用電源  直流電源はリプル含有率 3%以下,交流電源は高調波含有率 5%以下のものを使用する。

ただし,商用周波数の場合は 10%以下のものを使用する。交流特性測定では,直流電源のリプル含有率と

交流電源の高調波含有率及び交流の流れる直流電源回路の交流インピーダンスは,測定に影響を与えない

小さいものを使用する。

また,交流電圧・交流電流の値は,規定がない限り実効値で表す。

3.2

計器  直流及び交流の電圧計,電流計などは,規定がない限り JIS C 1102 に規定の 0.5 級とし,平

等目盛の計器では最大目盛が測定値の 10 倍以内のものを,

ゼロ付近で目盛の縮小する計器では最大目盛が

測定値の 4 倍以内のものを使用する。ただし,測定値とは,規格に最大値のあるものは最大値,最小値だ

けが規定してあるものは最小値をいう。

なお,次の場合には 0.5 級でなくともよい。

(1) 0.5

級と同等又はそれ以下の許容差をもった計器である場合。

(2)

測定結果に重大な影響を与えない場合。

また,パルスを検出する計器は,規定のパルス条件に十分追従できるものを用いることとする。計器の


2

内部インピーダンス及び雑音は,測定系への影響が十分無視できるものでなければならない。

4.

基準測定条件

4.1

温度及び湿度  温度及び湿度は,次による。

(1)

基準温度  基準温度は,25℃とする。

(2)

基準湿度  基準湿度は,相対湿度 45%とする。

(3)

測定温度  測定温度は,供試ダイオードへ直接送風しない状態の周囲温度とし,25±3℃とする。

(4)

測定湿度  測定湿度は,相対湿度 75%以下とする。

4.2

測定周波数  低周波パラメータの測定周波数は,270±30Hz 又は 1 000±50Hz とする。ただし,相

関性を示すことができる場合は,他の周波数を使用してもよい。

4.3

信号振幅  交流パラメータの測定では,規定がない限り小(振幅)信号を用いることとする。

備考  小(振幅)信号とは,その信号の振幅を

2

1

に減少しても,測定値に計器の許容差以上の変動を生

じさせない信号をいう。

4.4

理想電圧源及び理想電流源  理想電圧源及び理想電流源は,次による。

(1)

理想電圧源  ここで使用する理想電圧源は,その負荷インピーダンスを

2

1

に減少しても,測定値に計

器の許容差以上の変動を生じさせないものとする。ただし,実際の測定で供試ダイオードを破壊する

おそれがある場合は,電流制限機能付電圧源を用いるか,又は電圧源と直列に保護抵抗器を入れる。

(2)

理想電流源  ここで使用する理想電流源は,その負荷インピーダンスを 2 倍に増加しても,測定値に

計器の許容差以上の変動を生じさせないものとする。ただし,実際の測定で供試ダイオードを破壊す

るおそれがある場合は,電圧制限機能付電流源を用いる。

4.5

パルス条件  パルス幅及びデューティファクタは,規定がない限り,それらをそれぞれ 2 倍しても,

測定値に計器の許容差以上の変動を生じさせないよう選定する。

4.6

開路及び閉路  開路及び閉路は,次による。

(1)

開路  開路は,その終端インピーダンスを

2

1

に減少しても,測定値に計器の許容差以上の変動を生じ

させない回路とする。

(2)

閉路  閉路は,その終端インピーダンスを 2 倍に増加しても,測定値に計器の許容差以上の変動を生

じさせない回路とする。

5.

測定上の注意事項

5.1

最大定格の遵守  規定がない限り,供試ダイオードは過渡状態を含めいかなるときにも,最大定格

を超えることがあってはならない。ただし,最大定格を超えた範囲の測定については

附属書に示す。

5.2

着脱時の注意  供試ダイオードは,回路の動作中に着脱してはならない。

5.3

静電破壊に対する注意  静電気による破壊の危険性のあるダイオードでは,次の注意事項を守らな

ければならない。

(1)

輸送,保存及び放置の際は,静電気導電材料,帯電防止処理材料などを用い,静電気の帯電を防止す

る。

(2)

測定は,静電気の発生しない場所で行う。相対湿度は,50%程度が望ましい。

また,静電気の発生を防ぐためには,測定者,工具及び測定機器類の電位と被測定ダイオードを取

り扱う場所を同電位にすることが望ましい。


3

5.4

温度安定(熱的平衡)条件  供試ダイオードの発熱によって,測定値が時間の経過とともに変化す

る場合は,温度安定に達してから測定するか,あらかじめ測定時間を決めておく。

参考  測定時間を 2 倍にしても,測定値が予定された誤差以上の変化を生じないならば,温度安定に

達していると考えられる。

5.5

パルス測定  供試ダイオードの発熱による測定誤差を避けるためには,パルスによる測定が望まし

い。

5.6

測定回路  この規格で図示した測定回路は,測定に用いる回路の一例を示している。したがって,

同様の結果が得られる限り代替回路が使用できる。

なお,測定回路図で示してある式は,測定回路に必要な条件である。

6.

測定方法

6.1

順電流測定  順電流測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの順電流を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 1  順電流測定回路

(3)

手順  供試ダイオードの電極端子間に規定の順電圧  (V

F

)

を印加し,そのときの順電流  (I

F

)

を測定す

る。

この測定は,電圧計及び電流計を使用する方法又は,1kHz 以下の交流電源を用いてオシロスコープ

上に電流波形・電圧波形を描かす方法によってもよい。

供試ダイオードで相当程度の電力消費があるときは,それに伴う接合温度上昇が測定値に大きな影

響を与える。その場合には,次のいずれかの方法による。

(a)

直流を用い,温度が安定した熱平衡に達した後測定する。又は規定の電圧を印加後定められた時間

後に測定を行う。

(b)

パルスを用いるか又は接合温度上昇が無視できるような短い時間で測定を行う。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

順電圧

(b)

電圧印加後の測定までの時間(必要な場合)

(c)

パルス幅及びデューティサイクル(パルスを用いる場合)

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.2

順電圧測定  順電圧測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの順電圧を測定することを目的とする。


4

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 2  順電圧測定回路

(3)

手順  供試ダイオードに規定の順電流  (I

F

)

を流し,そのときの順電圧  (V

F

)

を測定する。

この測定は,電圧計及び電流計を使用する方法又は 1kHz 以下の交流電源を用いてオシロスコープ

上に電流波形・電圧波形を描かす方法によってもよい。

供試ダイオードで相当程度の電力消費があるときは,それに伴う接合温度上昇が測定値に大きな影

響を与える。この場合には,次のいずれかの方法による。

(a)

直流を用い,温度が安定した熱平衡に達した後測定を行う。ただし,温度安定に達しない場合は,

規定電圧印加後又は規定の電流を流し始めた後,定められた時刻において測定を行う。

(b)

パルスを用いるか又は接合温度上昇が無視できるような短い時間で測定を行う。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

順電流

(b)

順電流印加後の測定までの時間(必要な場合)

(c)

パルス幅及びデューティサイクル(パルスを用いる場合)

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.3

逆電流測定  逆電流測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの逆電流を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 3  逆電流測定回路

(3)

手順  供試ダイオードの電極端子間に印加する逆電圧を徐々に増加して規定の値とし,そのときの逆

電流  (I

R

)

を測定する。ただし,印加する逆電圧は,降伏電圧の最大規格値を超えないこと。

この測定は,電圧計及び電流計を使用する方法又は 1kHz 以下の交流電源を用いてオシロスコープ

上に電流波形・電圧波形を描かす方法によってもよい。

供試ダイオードで相当程度の電力消費があるときは,それに伴う接合温度上昇が測定値に大きな影

響を与える。その場合には,次のいずれかの方法による。

(a)

直流を用い,温度が安定した熱平衡に達した後測定する。又は,規定の電圧印加後,定められた時

間後に測定を行う。


5

(b)

パルスを用いるか又は接合温度上昇が無視できるような短い時間で測定を行う。

備考1.  電流計による電圧降下分が測定電圧条件に比べて無視できない場合は,電圧計の読みを電圧

降下分だけ補正する。

2.

規定の逆電圧が最大直流逆電圧より高く,最大ピーク逆電圧より低い場合は,上記(b)の方法

だけを用いる。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

逆電圧(ただし,最大定格を超えてはならない。

(b)

電圧印加後の測定までの時間(必要な場合)

(c)

パルス幅及びデューティサイクル(パルスを用いる場合)

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.4

端子間静電容量測定  端子間静電容量測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの端子間静電容量を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 4  端子間静電容量測定回路

(3)

手順  供試ダイオードに規定の電圧を印加した後,電圧計を切り離し,キャパシタンスブリッジで供

試ダイオード両端の静電容量を測定する。この静電容量値から供試ダイオードを取り除いたときの静

電容量値を差し引いた値が端子間静電容量  (C

tot

)

である。

備考1.  キャパシタンスブリッジには,測定精度を落すことなくダイオードをバイアスする回路を附

属させる。測定信号電圧はバイアス電圧に比べ十分小信号とする。

2.

測定静電容量値が小さく,マウント条件が精度に影響するような場合には,その条件を規定

しなければならない。

3.

端子ケース間静電容量  (C

c

)

が別に求まっているならば,接合静電容量  (C

j

)

は,C

j

C

tot

C

c

として求められる。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定電圧

(b)

測定周波数(通常 1MHz)

(c)

マウント条件(必要な場合)

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.5

順回復時間測定  順回復時間測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの順回復時間を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。


6

図 5  順回復時間測定回路

(3)

手順  供試ダイオードの順電流が規定値  (I

FM

)

となるようにパルス電圧  (V

g

)

を設定する。印加パル

ス電圧及び供試ダイオードの端子間電圧をオシロスコープ O で観測する(

図 6)。

順回復時間  (t

frv

)

は,印加電圧がその定常値  (V

g

)

の 10%になるときから,ダイオードの端子間電圧

がピーク値  (V

FSM

)

から減少して規定値  (V

f

)

になるときまでの時間である。

図 6  パルス波形

備考1.  印加パルスの条件:

立ち上がり時間

10

frv

gr

t

t

パルス幅

t

gp

≧10t

frv

繰返し周波数

gp

p

t

f

10

1

2.

オシロスコープ条件:

立ち上がり時間

4

frv

dr

t

t

入力抵抗値

FM

FM

I

V

R

100

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。


7

(a)

順電流

(b)

順電圧(通常 1.1V

FM

(c)

パルスの幅及び繰返し周波数

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.6

逆回復時間測定  逆回復時間測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの逆回復時間を測定することを自的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 7  逆回復時間測定回路

(3)

手順  オシロスコープ O で観測しながら供試ダイオードにまず規定の順電流  (I

F

)

を流し,次にピー

ク逆電流  (I

RM

)

が規定値となるようにパルス発生器 G を調整する。

逆回復時間  (t

rr

)

は,ダイオードの電流がゼロとなるときから電流がピーク値  (I

RM

)

から減じて規定

値[逆回復電流  (i

rr

)

]になるときまでの時間である(

図 8)。

図 8  電流波形

備考1.  印加パルスの条件:

立ち上がり時間

10

rr

gr

t

t

パルス幅

10

1

1

C

R

t

gp

繰返し周波数

rr

p

t

f

10

1


8

2.

オシロスコープの条件:

立ち上がり時間

4

rr

dr

t

t

入力抵抗値

R

R

2

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

順電流

(b)

ピーク逆電流

(c)

逆回復電流

(d)

立ち上がり時間パルスの幅及び繰返し周波数

(e)

周囲温度又は基準点温度

6.7

蓄積電荷測定  蓄積電荷測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの蓄積電荷を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 に示す。

図 9  蓄積電荷測定回路

備考  ダイオード D

1

は供試ダイオードよりも十分小さい蓄積電荷をもち,また,順方向電圧が低いこ

と。

(3)

手順  供試ダイオードを接続し,規定の順電流  (I

F

)

が流れるように定電圧源を調整する。パルス発生

器 G の出力を規定のパルス幅  (t

gp

)

及び繰返し周波数  (f

p

)

に調整する。

まず,順電流を流さない状態で規定のパルスを印加し,そのときの電流  (I

1

)

を電流計 A で読み取

る。次に,順電流  (I

F

)

及びパルスを共に印加し,そのときの電流  (I

2

)

を電流計 A で読み取る。その

ときの蓄積電荷  (Q

S

)

を,次の式によって算出する。

p

S

f

I

I

Q

1

2

=

備考1.  印加パルスの条件:

立ち上がり時間

10

rr

gr

t

t

パルス幅

10

1

1

C

R

t

gp

繰返し周波数

1

1

10

1

C

R

f

p

2.

ダイオード D

2

は,ターンオン時間が短く,大電流での直列抵抗が小さく,逆漏れ電流が少な


9

いものであること。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

順電流

(b)

パルスの振幅,幅及び繰返し周波数

(c)

周囲温度又は基準点温度

6.8

検波電圧能率測定  検波電圧能率測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの検波電圧能率を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  供試ダイオードにバイアス電流を流さない場合及び流す場合の測定回路の一例を,図 10

及び

図 11 にそれぞれ示す。

図 10  検波電圧能率測定回路(バイアス電流を流さない場合)

図 11  検波電圧能率測定回路(バイアス電流を流す場合)

(3)

手順  規定のバイアス条件とし,規定の周波数及び振幅  (v

1

)

をもった交流信号を入力して直流出力電

圧  (V

0

)

を測定する。または,順方向バイアス電圧を印加して,規定のバイアス電流を流し,交流信

号の有無による出力電流  (I

L

)

及び  (I'

L

)

を測定する。その変化分

I

L

I

L

I'

L

を求める。そのときの検

波電圧能率  (

η

v

)

を,次の式によって算出する。

100

2

(%)

1

0

×

×

=

v

V

v

η

100

2

(%)

1

×

×

=

v

R

I

L

L

v

η

ここに,  v

1

:  実効値

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

負荷回路の回路定数  (R

L

C

L

)

(b)

バイアス電流

(c)

信号源の周波数及び電圧

(d)

周囲温度又は基準点温度

6.9

検波電力能率測定  検波電力能率測定は,次による。


10

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの検波電力能率を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 12 に示す。

図 12  検波電力能率測定回路

(3)

手順  供試ダイオードに規定の順方向電圧を印加してバイアス電流を流し,次に規定の周波数及び振

幅をもった交流信号の有無による出力電流  (I

L

)

及び  (I'

L

)

を測定する。その変化分

I

L

I

L

I'

L

を求め

る。そのときの検波電力能率  (

η

p

)

を,次の式によって算出する。

100

)

(

4

(%)

2

2

×

=

g

g

L

L

p

v

R

R

I

η

ここに,  v

g

:  実効値

備考1.  変成器は低損失のものを用い,その損失は R

g

に含めて計算する。

2.

変成器の巻線比は,R

g

と R

L

のインピーダンス整合がとれるように決める。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

負荷回路の回路定数  (R

L

C

L

)

(b)

バイアス電流

(c)

信号源の周波数及び電圧

(d)

信号発生器のインピーダンス  (R

g

)

(e)

周囲温度又は基準点温度

6.10

整流電流測定  整流電流測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの整流電流を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 13 に示す。

図 13  整流電流測定回路

備考  負荷抵抗器 R

L

は,自己バイアス効果を低減するためにできるだけ小さくする(通常 100

Ω以下)。

(3)

手順  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定の順バイアス電流を通電し,かつ,規定の周波


11

数及び電力の高周波信号を入力して,負荷抵抗 R

L

を流れる整流電流  (I

0

)

を電流計又は高インピーダ

ンス電圧計で測定する。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

バイアス条件

(b)

測定周波数

(c)

入力電力

(d)

負荷抵抗値

(e)

周囲温度又は基準点温度

6.11

雑音電流測定  雑音電流測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの雑音電流を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  雑音電流を測定する測定回路の一例を,図 14 に示す。

図 14  雑音電流測定回路

(3)

手順  供試ダイオードに規定のバイアス電圧を印加する。ダイオードの雑音電流によって,負荷抵抗

器に生じる電圧降下を規定の周波数帯域及び利得をもつ低雑音増幅器で増幅し,規定の通過周波数帯

域をもつ帯域通過フィルタを通した後自乗電圧計で雑音電圧  (

)

(

2

n

V

)

を測定する。そのとき,増幅器,

負荷抵抗器及び直流電源が発生する雑音を無視できるとすれば,雑音電流  (

)

(

2

n

I

)

を,次の式によっ

て算出できる。

R

A

V

I

V

n

n

)

(

)

(

2

2

=

ここに,

A

V

フィルタも含めた増幅器の電圧増幅度

備考1.

増幅器などの発生する雑音が無視できない場合には,供試ダイオードを適切な抵抗で置き換

えて得られる雑音で補正する。

2.

雑音電流は,通常

1Hz

の帯域幅に換算する。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

バイアス条件

(b)

負荷抵抗値

(c)

低雑音増幅器の周波数帯域及び利得

(d)

帯域通過フィルタの通過周波数帯域(通常

1 000

±

100Hz

(e)

周囲温度又は基準点温度

6.12

中間周波インピーダンス測定  中間周波インピーダンス測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの中間周波数インピーダンスを測定することを


12

目的とする。

(2)

測定回路  インピーダンス・ブリッジ方法及び置換方法の測定回路の一例を,図 15 及び図 16 に示す。

図 15  中間周波インピーダンス測定回路(インピーダンス・ブリッジ方法)

図 16  中間周波インピーダンス測定回路(置換方法)

(3)

手順

(a)

インピーダンス・ブリッジ方法  供試ダイオードを測定マウントに装着し,バイアス電流を規定値

とする。

規定の周波数及び電力の高周波信号を入力し,規定の中間周波数に調整されたインピーダンス・

ブリッジで中間周波インピーダンス

  (Z

if

)

を測定する。

備考

中間周波信号レベルは,それがインピーダンス・ブリッジに供給されたときにダイオードの整

流電流

  (I

0

)

の増加が

1%

以下であるように設定しなればならない。

(b)

置換方法  供試ダイオードをマウントに装着し,バイアス電流を規定値とする。

規定の周波数及び電力の高周波信号を入力し,スイッチ

S

を供試ダイオード側として低周波信号


13

を加え,ダイオード両端の電圧

  (v

od

)

を交流電圧計で読み取る。次に,スイッチ

S

を参照抵抗器

R

3

側として電圧

  (v

or

)

を交流電圧計で読み取る。そのときの中間周波インピーダンス

  (Z

if

)

を,次の式

によって算出する。

3

R

v

v

Z

or

od

if

×

=

備考

低周波信号レベルは,十分小信号とみなせる範囲に設定しなければならない。

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定方法

(b)

バイアス条件

(c)

高周波信号の周波数及び電力又はダイオード整流電流(インピーダンス・ブリッジ方法の場合)

(d)

中間周波信号の周波数

(e)

中間周波信号の電力及び低周波信号の周波数(置換方法の場合)

(f)

負荷抵抗値

(g)

周囲温度又は基準点温度

6.13

総合雑音指数測定  総合雑音指数測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの総合雑音指数を測定することを目的とする。

備考

雑音指数

  (F)

は,次のように定義される。

BG

kT

N

N

S

N

S

F

0

out

out

out

in

in

=

=

ここに,

S

in

有能入力信号電力

 (W)

N

in

有能入力雑音電力

 (W)

S

out

有能出力信号電力

 (W)

N

out

有能出力雑音電力

 (W)

k

ボルツマン定数

 (1.38

×

10

23

J/K)

T

0

周囲温度(通常

298K

B

回路網の実効周波数帯域幅

 (Hz)

G

回路網の有能電力利得

標準雑音源を回路網の入力端子に接続し,標準雑音源を

OFF

及び

ON

の状態にした場合の出力雑音電力

をそれぞれ

N

1

及び

N

2

とすると,

N

1

F

kT

0

BG

N

2

F

kT

0

BG

N'G

ここに,

N'

雑音源からの有能入力雑音電力

N'

kTBkT

0

B

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

1

0

0

T

T

B

kT

T

雑音源の実効雑音温度

これらの式を整理して

F

を求めると,


14

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

1

1

1

1

2

0

1

2

0

N

N

T

T

N

N

B

kT

N

F

0

T

T

は既知であるから,

1

2

N

N

が求まれば

F

を決定することができる。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 17 に示す。

図 17  総合雑音指数測定回路

備考1.  帯域通過フィルタは,局部発振器で発生する雑音を最小にするために局部発振周波数で高い をもつものと

する。

2.

結合回路は,ダイオードの出力インピーダンスを中間周波増幅器の帯域内にわたってその入力インピーダン
スと整合させるものである。

(3)

手順

(a)

二倍出力方法  供試ダイオードをマウントに装着し,規定の周波数及び電力の局部発振入力を加え

る。精密可変減衰器の減衰量を最大として,標準雑音源からの雑音入力が無視できるようにする。

中間周波増幅器の利得を調整し,そのときの電力計の指示値を適切な値

  (N

1

)

に設定する。

次に,精密可変減衰器の減衰量を減じ,電力計の読み

  (N

2

)

を前の値の

2

倍にし,精密可変減衰

器の減衰量

  (a

rf

)

を読む。このときの雑音源からの雑音出力が回路網内で発生する雑音に等しいこ

とになる。すなわち,

N

2

2N

1

であるから,総合雑音指数

  (F)

を,次の式によって算出できる。

N

2

2N

1

2F

kT

0

BG

rf

a

G

N

BG

kT

F

+

=

0

よって,


15

rf

rf

a

T

T

a

B

kT

N

F

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

=

1

0

0

ここに,

a

rf

高周波減衰量

÷÷ø

ö

ççè

æ

0

T

T

は既知であるから,

F

を求めることができる。

なお,雑音入力が信号とイメージの両方に対して有能ならば,次の式となる。

rf

a

T

T

r

F

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

1

)

1

(

0

ここに,

信号周波数における利

る利得

イメージ周波数におけ

=

r

dB

表示では次の式となる。

rf

a

T

T

r

F

log

10

1

log

10

)

1

log(

10

)

dB

(

0

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

(b)

中間周波減衰方法  中間周波減衰器を中間周波増幅器と電力計の間に挿入する。

供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定の周波数及び電力の局部発振入力を加える。精密

可変減衰器の減衰量を最大として,中間周波増幅器の利得を調整し,その時の電力計の指示値を適

切な値

  (N

1

)

とする。なお,この時中間周波可変減衰器の減衰量をゼロとする。次に精密可変減衰

器の減衰量をゼロとし,中間周波可変減衰器の減衰量を増して,電力計の読みを前の値とし,中間

周波可変減衰器の減衰量

  (a

if

)

を読む。

N

2

N

1

a

if

であるから,総合雑音指数

  (F)

を,次の式によっ

て算出する。

)

1

(

1

0

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

if

a

T

T

F

ここで

÷÷ø

ö

ççè

æ

0

T

T

は既知であるから

F

を求めることができる。

雑音入力が信号とイメージの両方に対して有能ならば,

)

1

(

1

)

1

(

0

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

if

a

T

T

r

F

dB

表示では次式となる。

(

)

1

log

10

1

log

10

)

1

log(

10

)

dB

(

0

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

if

a

T

T

r

F

(c)

出力電力方法  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定の周波数及び電力の局部発振入力を

加える。任意の雑音入力レベルでの出力雑音比

1

2

N

N

を電力計で読み取る。雑音指数は,次の式による。

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

1

1

1

2

0

N

N

T

T

F

なお,雑音入力が信号とイメージの両方に対して有能ならば,

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

1

1

)

1

(

1

2

0

N

N

T

T

r

F


16

dB

表示では次の式となる。

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

1

log

10

1

log

10

)

1

log(

10

)

dB

(

1

2

0

N

N

T

T

r

F

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定方法[(3)(a)(b)及び(c)から選択する。

(b)

バイアス条件

(c)

局部発振周波数及び入力電力

(d)

中間周波数

(e)

雑音源の過剰雑音比

(f)

中間周波増幅器の雑音指数及び電力利得

(g)

負荷抵抗値

(h)

周囲温度又は基準点温度

6.14

出力雑音比測定  出力雑音比測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの出力雑音比を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  測定回路の一例を,図 18 に示す。

図 18  出力雑音比測定回路

備考1.

帯域通過フィルタは,高周波発生器で発生する雑音を最小にするためにその周波数で高い

Q

をもつものとする。

2.

結合回路は,ダイオードの出力インピーダンスを中間周波増幅器の帯域内にわたってその入

力インピーダンスと整合させたものであって,電力消費は避けなければならない。

3.

中間周波増幅器の雑音指数は,供試ダイオードの雑音出力より低くなければならない。

4.

比較標準抵抗

R

は,供試ダイオードの中間周波インピーダンスにほぼ等しく,物理的及び電

気的にダイオードと等価な位置にマウントしなければならない。

(3)

手順  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定の周波数及び電力の高周波信号を入力してそ

のときのダイオードからの雑音出力を電力計で測定する。

次に,同一条件でダイオードの位置に比較標準抵抗器を装着してこの雑音を測定する。


17

出力雑音比

  (N

r

)

を,次の式によって算出する。

1

1

2

1

2

0

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

N

N

kT

eIR

N

r

ここに,

e

電荷

 (1.60

×

10

19

C)

k

ボルツマン定数

 (1.38

×

10

23

J/K)

I

雑音源である雑音ダイオードの平均電流

 (A)

T

0

周囲温度(通常

298K

R

比較標準抵抗値(≒中間周波インピーダンス)

  (

)

N

2

供試ダイオード入力に対する雑音出力

N

1

比較標準抵抗入力に対する雑音出力

もし,

N

2

2N

1

であれば,

1

2

0

+

=

kT

eIR

N

r

≒±

20IR

1

N

r

の測定は測定回路条件が厳しいため,総合雑音指数

  (F)

,変換損失

  (L

c

)

及び中間周波増幅器の雑

音指数

  (F

if

)

から,次の式によって算出する方がより正確な場合が多い。

1

+

=

if

c

r

F

L

F

N

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

バイアス条件

(b)

測定周波数及び入力電力

(c)

中間周波数

(d)

比較標準抵抗値

(e)

負荷抵抗値

(f)

周囲温度又は基準点温度

6.15

変換損失測定  変換損失測定は,次による。

(1)

目的  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの変換損失を測定することを目的とする。

(2)

測定回路  直流増分方法,振幅変調方法及びヘテロダイン方法の測定回路の一例を,図 19,図 20 

図 21 に示す。

図 19  変換損失測定回路(直流増分方法)


18

図 20  変換損失測定回路(振幅変調方法)

図 21  変換損失測定回路(ヘテロダイン方法) 

(3)

手順

(a)

直流増分方法  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定の周波数及び電力

(P)

の高周波信号

を入力する。そのときの整流電流

  (I

0

)

を完全に相殺するように,電圧源を調整して直流電流を供給

する。

次に,高周波信号の入力信号を微小量

  (

P)

増加して整流電流の変化

  (

I

0

)

を測定する。そのと

きの変換損失

  (L

c

)

を,次の式によって算出する。

2

2

0

0

1

1

4

2

1

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

if

L

if

L

L

C

Z

R

Z

R

P

I

R

P

L

もし,R

L

Z

if

ならば,次の式となる。

2

0

0

2

1

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

P

I

R

P

L

L

C

ここに,

P: 高周波電力の増分 (W)


19

I

0

整流電流の

に対応する増分 (A)

P

0

平均電力  (P

P/2) (W)

Z

if

中間周波インピーダンス  (

Ω)

備考  R

L

/2

Z

if

<2R

L

であれば,簡略式による L

c

の誤差は 0.5dB 以下である。

(b)

振幅変調方法

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,低周波で振幅変調された高周波信号を入

力する。供試ダイオードによる検波出力を負荷抵抗器の両端の電圧  (V)  として測定する。そのとき

の変換損失  (L

c

)

を,次の式によって算出する。

2

2

2

1

1

4

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

=

if

L

if

L

L

c

Z

R

Z

R

V

PR

m

L

もし,R

L

Z

if

ならば,次の式となる。

2

2

V

PR

m

Lc

L

=

ここに,

m

:  変調度 (%)

P

:  入力電力 (W)

R

L

:  負荷抵抗  (

Ω)

V

:  負荷両端の変調電圧実効値 (V)

備考1.  R

L

/2

Z

if

<2R

L

であれば,簡略式による L

c

の誤差は0.5dB 以下である。

2.

この方法は,直流増分方法で変換損失値を決定したダイオードを標準とした比
較法として使用できる。その場合,mPR

L

の正確な測定を必要としない。

(c)

ヘテロダイン方法

  供試ダイオードでミキサ回路を構成し,規定の周波数及び電力の信号波及び局

部発振波を入力する。

変換損失  (L

c

)

は,有能信号入力電力に対する有能中間周波出力電力の比として求められる。

(d)

総合雑音指数方法

  総合雑音指数  (F),中間周波雑音指数  (F

if

)

及び出力雑音比  (N

r

)

が求まってい

るならば,変換損失  (L

c

)

を,次の式によって算出できる。

1

+

=

r

if

c

N

F

F

L

(4)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定方法

(b)

バイアス条件

(c)

測定周波数及び入力電力

(d)

負荷抵抗値

(e)

入力電力の増分(直流増分方法の場合)

(f)

振幅変調度(振幅変調方法の場合,10%以下が望ましい。

(g)

局部発振波の周波数及び入力電力

(h)

周囲温度又は基準点温度

6.16

順直列抵抗測定

  順直列抵抗測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの順直列抵抗を測定することを目的とする。

(2)

測定回路

  測定回路の一例を,

図 22

に示す。


20

図 22  順直列抵抗測定回路

備考

測定マウントは可変リアクタンス構造をもつものであること。

(3)

手順

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定値に順バイアスして規定の周波数の信号につい

て透過損失を測定する。

測定マウントの可変リアクタンス構造を調整し,透過損失を最小とする。そのときの順直列抵抗値

(r

fs

)

を,次の式によって算出する。

)

1

(

2

0

=

T

Z

r

fs

ここに,

Z

0

:  伝送線路の特性インピーダンス  (

Ω)

T

t

i

P

P

の最小値

ここに,

P

i

入力電力 (W)

 

P

t

透過電力 (W)

(4)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

順バイアス条件

(b)

測定周波数,入力電力

(c)

周囲温度又は基準点温度

6.17

逆直列抵抗測定

  逆直列抵抗測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの逆直列抵抗を測定することを目的とする。

(2)

測定回路

  測定回路の一例を,

図 23

に示す。

図 23  逆直列抵抗測定回路

(3)

手順

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定値に逆バイアスして高周波信号について透過損

失を測定する。

信号周波数を変えるか又は測定マウントに可変リアクタンス構造を設け,これを調整して,透過損

失を最大とする。そのときの逆直列抵抗値  (r

rs

)

を,次の式によって算出する。

)

1

(

2

0

=

T

Z

r

rs

ここに,

Z

0

:  伝送線路の特性インピーダンス  (

Ω)


21

T

t

i

P

P

の最大値

ここに,

P

i

入力電力 (W)

P

t

透過電力 (W)

(4)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

逆バイアス条件

(b)

測定周波数,入力電力

(c)

周囲温度又は基準点温度

6.18

Q

測定

  測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの を測定することを目的とする。

(2)

測定回路

  透過電力方法及びインピーダンス変換方法(ハリソン方法)の測定回路の一例を,

図 24

及び

図 25

に示す。

図 24  測定回路(透過電力方法) 

図 25  測定回路[インピーダンス変換方法(ハリソン方法)] 

(3)

手順

(a)

透過電力方法

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,規定値に逆バイアス(ゼロバイアスを含

む。

)して高周波信号について透過損失を測定する。

信号周波数を変化させ,透過損失が最大(透過電力最小)となる周波数[直列共振周波数  (f

s

)

を求める。

次に,直列共振周波数の両側で透過損失が共振時の

2

1

となる周波数  (f

1

,  f

2

)

を求める。そのとき,

Q

を次の式によって算出する。

|

|

2

1

f

f

f

Q

s

=

又は,接合部静電容量  (C

j

)

6.4

参照)及び逆直列抵抗値  (r

rs

)

6.17

参照)が測定されている

場合,を次の式によって算出する。

rs

j

r

fC

Q

π

2

1

=

ここに,

f

:  r

rs

の測定周波数


22

(b)

インピーダンス変換方法(ハリソン方法)

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,ゼロバイア

ス状態で無損失変成器(例えば,E-H チューナ)を調整してダイオードを線路に整合させる[

(定在

波測定器で無損失変成器側をみた電圧定在波比 V.S.W.R.≒1)

次に,バイアス電圧を規定の逆バイアス値から明らかに順電流の流れる順バイアス値までの範囲

で適宜数点変化させ,その各点での正規化インピーダンスを定在波測定器で測定してスミスチャー

ト上に記録する。

以上の測定点を

図 26

に示すように,

1

0

=

Z

R

の円上に重なるようにスミスチャート上で移相回転す

る。そのとき,規定の逆バイアスでの供試ダイオードの は,短絡点(順電流を流したときの測定

点)を基準にした正規化リアクタンスの差  (

X)  に等しいとして求める。

図 26  スミスチャート

(4)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定方法

(b)

バイアス条件

(c)

測定周波数(インピーダンス変換方法の場合)

(d)

周囲温度又は基準点温度


23

6.19

遮断周波数測定

  遮断周波数測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの遮断周波数を測定することを目的とする。

(2)

手順

6.18

による 値と,直列共振周波数(透過電力方法の場合)又は測定周波数との積として規定

のバイアスでの供試ダイオードの遮断周波数  (f

c

)

を求める。

(3)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

バイアス条件

(b)

周囲温度又は基準点温度

6.20

直列インダクタンス測定

  直列インダクタンス測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの直列インダクタンスを測定することを目的と

する。

(2)

測定回路

  定在波方法及び透過電力方法による測定回路の一例を,

図 27

及び

図 28

に示す。

図 27  直列インダクタンス測定回路(定在波方法)

図 28  直列インダクタンス測定回路(透過電力方法)

(3)

手順

(a)

定在波方法

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,明らかに順電流が流れるように順バイアス

して電圧定在波が最小となる定在波測定器(スロッテッドライン)上の位置 l

m

を測定する。次に,

供試ダイオードと同一外形の金属ブロックを測定マウントに入れ換え,l

m

に最も近い電圧定在波最

小の位置 l

s

を求める。この位置は,l

m

よりやや信号源側にくる。このときのダイオードのリアクタ

ンス  (X)  を,次の式によって算出する。

λ

π

|

)

(

2

|

0

s

m

l

l

tan

Z

X

=

ここに,

Z

0

線路の特性インピーダンス  (

Ω)

λ: 測定周波数での線路上の波長 (m)

l

m

供試ダイオード装着時の定在波測定器上で電圧定在波最小
の位置 (m)

l

s

ダミー金属ブロック装着時の定在波測定器上で電圧定在波
最小の位置 (m)

このときの試験周波数を とすると,直列リアクタンス  (L

s

)

は,X=2

πfL

s

から次の式によって算

出できる。


24

f

X

L

s

π

2

=

備考

測定周波数は,順バイアスされた供試ダイオードの端子間インピーダンスに比べて端子ケース

間静電容量の影響が無視できるような値に選ぶ。

(b)

透過電力方法

  供試ダイオードを測定マウントに装着し,逆バイアス又はゼロバイアスにする。信

号周波数を変化させ,透過損失が最大となる周波数[直列共振周波数  (f

s

)

]を測定する。別に同一

バイアス条件での接合部静電容量  (C

j

)

6.4

参照)を求めておき,直列リアクタンス  (L

s

)

を,次の

式によって算出する。

j

s

C

f

L

2

)

2

(

1

π

=

(4)

個別規格に規定する事項

  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定方法

(b)

測定周波数

(c)

周囲温度又は基準点温度

6.21

熱抵抗測定

  熱抵抗測定は,次による。

(1)

目的

  この測定方法は,規定条件で,供試ダイオードの熱抵抗を測定することを目的とする。

(2)

測定回路

  測定回路の一例を,

図 29

に示す。

図 29  熱抵抗測定回路

(3)

手順

  スイッチ (S) を開放し,規定の測定電流  (I

M

)

を流し,そのときの順電圧  (V

F1

)

をオシロスコ

ープ O で観測する。次に,スイッチ (S) を短絡し,規定時間  (t

p

)

だけ接合加熱電流  (I

H

)

を流した後,

直ちにスイッチを開放する。この間の順電流  (I

F

)

及び順電圧  (V

F

)

の動きを二現象オシロスコープ O

で観測すると

図 30

のようになる。すなわち,一定時間加熱電流  (I

H

)

を流したところで急速にスイッ

チ (S) を開放すると,測定電流  (I

M

)

に対する順電圧は瞬時的に加熱前の値  (V

F1

)

よりも低い値  (V

F2

)

を示し,その後接合温度の冷却に伴って加熱前の値に戻る。このとき,接合からある点 X までの熱抵

抗  (R

th (jx)

)

を,次の式によって算出する。

)

(

/

)

(

H

M

F

H

F

T

jx

x

j

th

I

I

V

I

b

V

P

T

R

ここに,

T

jx

X

点を基点とした接合温度

P

r

加熱前後の接合部での消費電力差

V

F

|V

F1

V

F2

|

b

順電圧の温度係数


25

図 30  パルス波形

備考1.  測定電流 I

M

は,接合加熱電流 I

H

に比べ十分小さく,接合温度上昇への寄与が無視できる程度

とする。

2.

順電圧の温度係数  (b)  は,次のようにしてあらかじめ求めておく。

規定の測定電流  (I

M

)

を流し,

供試ダイオードの周囲温度を恒温槽などで十分定常状態とし

てその温度での順電圧  (V

F

)

を測定する。以下,周囲温度を変えて順電圧の変化(温度特性)

を調べる。

3.

熱抵抗  [R

th (jx)

]

は,加熱時間  (t

p

)

に応じて

図 31 のような変化を示す。すなわち,点 X の熱

抵抗は t

p

によって決まるので,目的に応じて t

p

の値を選ばなければならない。例えば,半導

体チップ自身の熱抵抗を知るには t

p

をチップの熱時定数以下としなければならないし,接

合・ケース間の熱抵抗  [R

th (jc)

]

ならばケースの熱時定数を考慮しなければならない。

また,接合・周囲雰囲気間熱抵抗  [R

th (ja)

]

を求めるには,熱的に飽和するに十分な加熱時

間を選ぶ必要がある。


26

図 31  熱抵抗の加熱時間変化(両対数目盛の場合)

(4)

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(a)

測定電流

(b)

接合加熱電流

(c)

加熱時間

(d)

取付方法

(e)

周囲温度又は基準点温度


27

附属書  降伏電圧測定

1.

適用範囲  この附属書は,最大定格を超える可能性がある降伏電圧の測定について規定する。

備考  この測定で,最大定格を超える電圧を印加した場合は,供試ダイオードの電気的特性の劣化又

は破壊を生じる危険性がある。

2.

目的  この測定は,規定条件で,供試ダイオードの降伏電圧を測定することを目的とする。

3.

試験回路  試験回路の一例を,附属書図 に示す。

附属書図 1  降伏電圧測定回路

4.

手順  供試ダイオードに逆電圧を低い値から徐々に増加していき,逆電流〔降伏電流  [I

  (

BR)

]

〕が規定

値に達したときの逆電圧〔降伏電圧  [V

 (

BR)

]

〕を測定する。

この試験は,電圧及び電流計を使用する方法又は 1kHz 以下の交流電源を用いてオシロスコープ上に電

流波形・電圧波形を描かす方法による。

供試ダイオードで相当程度の電力消費があるときは,それに伴う接合温度上昇が測定値に大きな影響を

与える。その場合には,次のいずれかの方法による。

(1)

直流を用い,温度安定(熱平衡)に達した後測定する。又は規定の電流を流して後定められた時間後

に測定を行う。

(2)

パルスを用いるか又は接合温度上昇が無視できるような短い時間で測定を行う。

備考  電流計は電流を測定する端子間を実質的に短絡するものか,又は電圧計の読みを電流計の電圧

降下分だけ補正しなければならない。

5.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

逆電流(降伏電流)

(2)

電流通電後の測定までの時間(必要な場合)

(3)

パルス幅及びデューティサイクル(パルスを用いる場合)

(4)

周囲温度又は基準点温度


28

参考  パルス電力試験

序文  この参考は,パルス電力試験について記述するものであり,これはあくまでも参考であって,規定

の一部ではない。

1.

目的  この試験は,規定条件で,供試ダイオードの高周波パルスエネルギー又は単一パルスエネルギ

ーに対する耐性を判定するものである。

備考  この試験では供試ダイオードの電気的特性の劣化又は破壊を生じる危険性がある。

2.

試験回路  試験回路の一例を,参考図 に示す。

参考図 1  パルス電力試験回路

3.

手順  供試ダイオードは,次のいずれかの方法で試験した後,規定の条件で特性変動の有無を確認す

る。

(1)

繰返しパルスによる方法  規定の幅(供試ダイオードの熱時定数より短い)及びデューティサイクル

をもつパルスを規定数供試ダイオードに印加する。パルス極性は,最も厳しい効果を与える方向とす

る。

(2)

単一パルスによる方法  規定の幅(供試ダイオードの熱時定数よりは短い)及びエネルギーをもつ単

一パルスを供試ダイオードに印加する。パルス極性は,最も厳しい効果を与える方向とする。

(3)

正弦波又は高周波パルスによる方法  供試ダイオードを規定の測定マウントに装着し,規定の条件で

C.W.

又は R.F.パルスを規定時間印加する。

4.

個別規格に規定する事項  個別規格には,次の事項を規定する。

(1)

試験方法[3.(1)(2)又は 3.(3)から選択]

(2)

パルス条件(幅,デューティサイクル又は周波数)

(3)

パルス電圧又はエネルギー

(4)

パルス極性

(5)

特性項目及び判定基準

(6)

周囲温度又は基準点温度


29

個別半導体専門委員会構成表

氏名

所属

(委員会長)

林          豊

電子技術総合研究所電子デバイス部

松  田  純  夫

宇宙開発事業団機器・部品開発部

杉  本  俊  二

防衛庁装備局

吉  田  裕  道

東京都立工業技術センター

鳴  神  長  昭

財団法人日本電子部品信頼性センター

岩  本  英  雄

三菱電機株式会社東京半導体技術部

吉  川  直  幹

沖電気工業株式会社電子デバイス事業本部

杉  本      隆

株式会社東芝半導体システム技術センター

中  込  義  之

株式会社日立製作所半導体設計開発センター

佐  藤  喜久蔵

三洋電機株式会社半導体事業本部

斎  藤  忠  義

日本電気株式会社半導体応用技術本部

東  迎  良  育

社団法人日本電子機械工業会

水  沢      武

日本電信電話株式会社 LSI 研究所

芦  田  秀  夫

富士通株式会社通信事業推進本部

柴  田  明  一

ソニー株式会社法務・渉外グループ

秋  山  重  信

松下電器産業株式会社半導体研究センター

兼  島  敏  一

シャープ株式会社情報システム事業本部

池  田      浩

横河電機株式会社開発推進標準部

川  城  三  治

株式会社ゼクセルソフト・サービス事業室

三  宅  信  弘

通商産業省機械情報産業局

稲  葉  裕  俊

工業技術院標準部

(専門委員)

関  川  敏  弘

電子技術総合研究所電子デバイス部

(関係者)

岡  部  健  明

株式会社日立製作所半導体設計開発センター

立  川      明

社団法人日本電子機械工業会技術部

(事務局)

角  田  悦  啓

工業技術院標準部電気規格課

宗  像  保  男

工業技術院標準部電気規格課