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C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

(1) 

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  概要 

1

4

  理論 

2

4.1

  代替法  

3

4.2

  モードパワー分布  

3

4.3

  制約  

4

5

  装置 

5

5.1

  概要  

5

5.2

  供試品  

5

5.3

  供試品位置決め装置  

6

5.4

  光学系  

6

5.5

  カメラ  

6

5.6

  ビデオデジタイザ  

6

5.7

  校正  

6

6

  手順 

7

6.1

  供試品の取付及び調整  

7

6.2

  最適化  

7

6.3

  データ取得  

7

7

  計算 

8

7.1

  背景レベルの除去  

8

7.2

  強度分布の重心位置  

8

7.3

  強度分布の微分  

8

7.4

  MTF の計算  

9

8

  試験報告書  

10

附属書 A(参考)コアパラメータに対する MTF 及び MPD の感度  

11


C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 61300

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

C

61300-1

  第 1 部:通則

JIS

C

61300-2-1

  第 2-1 部:正弦波振動試験

JIS

C

61300-2-2

  第 2-2 部:繰返しかん合試験

JIS

C

61300-2-9

  第 2-9 部:衝撃試験

JIS

C

61300-2-12

  第 2-12 部:落下衝撃試験

JIS

C

61300-2-14

  第 2-14 部:光パワー損傷のしきい値試験

JIS

C

61300-2-15

  第 2-15 部:結合部ねじり試験

JIS

C

61300-2-17

  第 2-17 部:低温試験

JIS

C

61300-2-18

  第 2-18 部:高温試験

JIS

C

61300-2-19

  第 2-19 部:高温高湿試験(定常状態)

JIS

C

61300-2-21

  第 2-21 部:混合温湿度サイクル試験

JIS

C

61300-2-22

  第 2-22 部:温度サイクル試験

JIS

C

61300-2-45

  第 2-45 部:浸水試験

JIS

C

61300-2-46

  第 2-46 部:湿熱サイクル試験

JIS

C

61300-2-47

  第 2-47 部:熱衝撃試験

JIS

C

61300-2-48

  第 2-48 部:温湿度サイクル試験

JIS

C

61300-3-2

  第 3-2 部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性

JIS

C

61300-3-3

  第 3-3 部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法

JIS

C

61300-3-4

  第 3-4 部:損失測定

JIS

C

61300-3-6

  第 3-6 部:反射減衰量測定

JIS

C

61300-3-7

  第 3-7 部:シングルモード光部品の光損失及び反射減衰量の波長依存性測定

JIS

C

61300-3-15

  第 3-15 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の頂点偏心量測定

JIS

C

61300-3-16

  第 3-16 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径測定

JIS

C

61300-3-20

  第 3-20 部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定

JIS

C

61300-3-24

  第 3-24 部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタのキー位置精度測定

JIS

C

61300-3-26

  第 3-26 部:光ファイバとフェルール軸との角度ずれの測定

JIS

C

61300-3-27

  第 3-27 部:多心光ファイバコネクタプラグの穴位置測定

JIS

C

61300-3-28

  第 3-28 部:過渡損失測定


C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

(3) 

JIS

C

61300-3-30

  第 3-30 部:多心光ファイバコネクタ用フェルールの研磨角度及び光ファイバ位置

測定

JIS

C

61300-3-31

  第 3-31 部:光ファイバ光源の結合パワー比測定

JIS

C

61300-3-34

  第 3-34 部:ランダム接続時の挿入損失

JIS

C

61300-3-36

  第 3-36 部:光ファイバコネクタフェルールの内径及び外径の測定

JIS

C

61300-3-43

  第 3-43 部:光ファイバ光源のモードトランスファファンクション測定


   

日本工業規格

JIS

 C

61300-3-43

:2012

(IEC 61300-3-43

:2009

)

光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−

基本試験及び測定手順−

第 3-43 部:光ファイバ光源の

モードトランスファファンクション測定

Fiber optic interconnecting devices and passive components-

Basic test and measurement procedures-

Part 3-43: Examinations and measurements-

Mode transfer function measurement for fiber optic sources

序文 

この規格は,2009 年に第 1 版として発行された IEC 61300-3-43 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,マルチモード光受動部品の光損失及び/又は反射減衰量の測定における励振条件を明確化

するときに用いるモードトランスファファンクション(MTF)を測定する方法を規定する。MTF は使用波

長で測定する。

注記 1  関連する試験及び測定方法の通則は,JIS C 61300-1 に規定する。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61300-3-43:2009

,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and

measurement procedures−Part 3-43: Examinations and measurements−Mode transfer function

measurement for fibre optic sources(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

(この規格では,引用規格はないため,削除した。

概要 

マルチモード光ファイバの励振モード分布は,光源が異なると大きく変化する。同一の光受動部品を測

定した場合であっても,励振モード分布が異なると,光損失の測定結果が著しく変化する。MTF はマルチ


2

C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

モード光ファイバ中のモードの励振効率の分布状態を表すもので,MTF 測定方法は,測定する光受動部品

における光ファイバ伝搬中の光の励振モードごとの光強度分布条件の情報を与える。MTF 測定方法は,光

ファイバの近視野強度分布の測定に基づく[1]

1)

,[2]。

1)

  角括弧内の数字は,参照する参考文献の番号を示す。

理論 

光ファイバのべき乗屈折率分布 n(r)は,式(1)及び式(2)による。

5

.

0

1

2

1

)

(

α

a

r

Δ

n

r

n

  (1)

ここに,

a: 光ファイバのコア半径

r/a: 規格化した径方向位置。式(1)は r/a≦1 で成り立つ。

α: 分布因子(α=2 は放物線形分布)

Δ: 比屈折率差

2

1

2

2

2

1

2n

n

n

Δ

  (2)

ここに,

n

1

光ファイバ中心の屈折率

n

2

クラッドの屈折率

光ファイバの近視野強度分布 I(r)は,式(3)によって,光ファイバのモード伝達関数 MTF(δ)の積分で表さ

れる(定数項は無視する。

×

Δ

a

r

Δ

d

MTF

r

I

α

δ

δ )

(

)

( =

  (3)

ここに,

δ: 規格化伝搬定数

2)

2)

δ は,I(r)及び MTF(δ)の両者の関係を示すために用いた“規格化伝搬定数”であり,式(5)により

主モード番号 と関係付けられる。

両辺を微分すると,MTF は式(4)となる。ただし,定数は無視する。

α

δ

α

δ





×

a

r

Δ

r

dr

r

dI

MTF

1

1

)

(

)

(

  (4)

通常,MTF は,主モード番号 を最大主モード番号 で除した値の関数としてプロットする[式(5)参

照]

2

)

2

(

2

)

2

(

α

α

α

δ

a

r

Δ

M

m

  (5)

通常,m

/

を正規化モード番号又は相対モード番号という。

最大主モード番号 は,式

(6)

による。

Δ

a

n

M

λ

α

α

π

2

2

1

  (6)

正規化した MTF の代表的な例を,

図 に示す。この例では,正規化モード番号が 0 から 0.6 までの範囲

で正規化 MTF は 1.0 に近い値をとり,0.6 を超える領域では,正規化 MTF は次第に減少する。


3

C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

図 1−正規化 MTF の例 

4.1 

代替法 

式(4)の分布因子 α が未知の場合に用いることができる MTF 算出のための代替式を,次に示す。

全モード励振した(すなわち,全てのモード番号において,MTF=1)光ファイバの近視野強度分布 I

o

(r)

は,おおよそ屈折率分布の二乗 n(r)

2

と同じ形であることが知られている[3]。さらに,式(4)の r

α

1

の項は

n(r)

2

の微分と等しい(定数は無視する。

。したがって,正規化モード番号の値を算出するために,式(4)

で α=2 とすると,式(7)が得られる。

なお,一般的なマルチモード光ファイバは,α=2 で設計されている。

2

/

)

(

1

)

(

)

(

o

×

a

r

Δ

dr

r

dI

dr

r

dI

MTF

δ

δ

  (7)

したがって,MTF は,測定結果として得た強度分布の導関数と,同一の光ファイバを全モード励振条件

で測定した場合の強度分布の導関数との比率に等しい。

4.2 

モードパワー分布 

グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバにおいて,

特定のモードグループの個別モード数は,

主モード番号と比例している。全てのモードが等しく励振している場合には,このように高次モードグル

ープはより多くのモードを含んで伝搬する。これをモードパワー分布(MPD)といい,式(8)で定義する。

MPD(m)=MTF(mm  (8)

ここに,

m: 主モード番号

モードグループ内のこの関係によって,MPD からモードグループの相対パワーを効率的に計算すること

ができる。

正規化 MPD の一例を,

図 に示す。ここで,ピークパワーレベルは,正規化モード番号 0.65 近傍で生

じている。


4

C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

図 2−正規化 MPD の例 

4.3 

制約 

この規格に規定する MTF 測定方法は,次の条件を満たす場合に有効である。

−  モードグループ内のモードは同じパワーで伝搬する。

−  伝搬モード間では位相はランダムである。

光源の線幅 Δλ が十分に広ければ,両方の条件を同時に満たすことが分かっている[4]。いわゆる“モー

ド連続体近似”といい,式(10)及び式(11)による。

N

k

a

Δ

×

×

Δ

0

2

λ

λ

  (10)

ここに,

λ: 光源波長

Δλ: 光源の線幅

Δ: 比屈折率差

k

0

2π/λ

N: 群屈折率

λ

λ

d

dn

n

N

1

1

×

  (11)

一般的に,コアの直径が 50  μm の光ファイバで,開口数が 0.21 の場合,波長が 850 nm においては Δλ

が 0.5 nm より大きく,波長が 1 300 nm においては Δλ が 1.0 nm より大きいことが条件である。

光源の線幅が,この基準を満たさない場合には,伝搬モード間の干渉が発生し,近視野像にスペックル

パターンが現れる可能性がある。このような光源を使用した場合でも,供試品の光ファイバを穏やかに揺

するか,又は激しく振動させて,スペックルパターンを時間平均することによって,この測定方法を適用

することができる。この場合,近視野像が軸対称でなければならない。光ファイバを軸を中心に 45°間隔

で回転して,MTF を 3 回測定し,その全てにおいて軸対称であることが確認できればよい[5]。

MPD のピークは,0.8 未満の正規化モード番号において生じる。


5

C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

測定して得た近視野強度分布 I(r)は,全モード励振した光ファイバに対する式(1)のべき乗屈折率分布と

比較して,コアとクラッドとの境界線の方向にずれる場合がある。この場合,4.1 による MTF 算出のため

の代替法を用いることが望ましい。

装置 

5.1 

概要 

装置は基本的に,供試品の光ファイバの端部の近視野像を,光学系を用いてカメラの撮像面上に投影す

るビデオ顕微鏡である。ビデオデジタイザは,カメラの像を量子化し,分析及びデータ表示のためにコン

ピュータに転送する。

代表的な測定装置の構成の概略図を,

図 に示す。

図 3−測定装置の概略図 

5.2 

供試品 

供試品は,光源に取り付けた状態のマルチモード光ファイバのパッチコードである。パッチコード終端

でのモード分布は,光源の励振状態とパッチコードとの組合せによって決まる。したがって,結果として

得られる MTF は,光源又はパッチコードの個別の特性だけではなく,曲げ半径のようにパッチコードを配

置している条件を含んだ組合せの条件で決まる。

コンデンサレンズ

LED 光源

ビームスプリッタ

光ファイバ保持部及び

XYZ 微動ステージ

ND フィルタ

カメラ

コンピュータ

結像レンズ


6

C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

5.3 

供試品位置決め装置 

位置決め装置は,

供試品の光パッチコードの終端位置を測定器の光軸上で移動可能とし,

カメラに対し,

像の最適な焦点となる軸に位置決めすることができるものでなければならない。例えば,XYZ 微動ステー

ジを用いることができる。可能な場合には,適切な光コネクタ用のレセプタクルを光軸上に配置すること

が望ましい。例えば,FC 形(F01 形:JIS C 5970

,ST 形,SC 形(F04 形:JIS C 5973)などの幾つかの

光コネクタ形に適用できる標準の 2.5 mm フェルールのレセプタクルである。この場合,パッチコードの

XY 位置は明確に決まるため,焦点を合わせる調整だけが必要である。

注記  対応国際規格では,適切な光コネクタ用のレセプタクルとして ST 形も例示されているが,我

が国では使用されていない。

5.4 

光学系 

光学系は,光ファイバ端の像をカメラに投影する拡大光学系である。最良の測定分解能を得るために,

光学倍率は,光ファイバのコアの像がカメラの撮影範囲のうち適切な比率を占めるように選ぶのがよい。

一般的に,カメラの撮像エリアの垂直方向の範囲の 20 %から 50 %までの間がよい。

結像レンズ光学系の開口数は,供試品の光ファイバの開口数より大きくする。

図 に示すように,ビームスプリッタ,LED 光源などを結像レンズとカメラとの間に配置し,反射によ

って光ファイバの端面を照らす落射照明手段を備えてもよい。また,カメラへの光量を調整するための ND

フィルタを備えてもよい。

5.5 

カメラ 

感度の直線性及び面感度の均一性が保証された品質の高いカメラを使用する。カメラの画素寸法(Picsize

とする。

)は,拡大した近視野像に対して十分に小さく,すなわち,式(12)に示すように,測定系の回折限

界の二分の一未満でなければならない。

NA

Mag

Picsize

2

61

.

0

λ

   (12)

ここに,

Mag: 光学倍率

NA: 光ファイバの開口数

例えば,Mag=20,NA=0.21,λ=850 nm の場合,Picsize は 24  μm 未満である。しかし,カメラの画素

寸法は,これより十分に小さいことが望ましい。この例の場合,カメラ側の 1 画素の寸法に対応する光フ

ァイバ上の寸法は,Picsize を Mag で除して 1.2 μm となる。

5.6 

ビデオデジタイザ 

ビデオデジタイザはカメラと接続し,量子化した光ファイバ端の像をコンピュータへ提供する。代表的

なビデオデジタイザは 8 ビット階調の像を提供するが,ダイナミックレンジの向上のために,より多くの

階調(例えば,12 ビット階調)を用いてもよい。

5.7 

校正 

校正係数の単位は,μm/pixel である。7.4 での μm 単位のデータから画素空間への変換に用いる。

光学測定システムは,顕微鏡用の目盛板(レチクル)

,クラッド直径の判明している光ファイバなど,寸

法が既知の加工物を測定することによって校正することができる。校正のための加工物を装置の測定対象

平面に配置し,カメラの焦点を調整する。レチクルの場合は,照明は透過光及び反射光のいずれであって

もよい。光ファイバの場合は,反射光を使わなければならない。

図 に示すように LED 光源及びビームス

プリッタを配置することによって,反射光を用いることができる。


7

C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

注記 1  照明用光源の波長は,色収差による,系の倍率性能への影響を最小にするために,供試品の

光源の公称波長から 30 nm 以内の波長であることが望ましい。

校正の加工物の寸法を n

pix

として画素数単位で測定する。加工物の寸法が μm 単位で n

cal

であれば,校正

係数 Calfactor は式(13)による。

pix

cal

n

n

Calfactor

   (13)

5.5

で Picsize の規定に用いる光学倍率 Mag は,校正係数を用いて式(14)によって計算する。

Calfactor

Picsize

Mag

  (14)

カメラの画素形状が非正方形の場合は,校正係数は,後述の MTF 測定に用いるカメラの特定の軸に沿っ

て決定しなければならない(箇条 参照)

注記 2  カメラの画素形状が非正方形の場合の校正係数に関する規定は,対応国際規格では,注記に

記載があるが,要求事項であるため,この規格では注記から本文に移した。

手順 

6.1 

供試品の取付及び調整 

測定する光ファイバを,光学系の測定対象平面にある供試品位置決め装置に取り付け,光ファイバ端面

を照明するための光源のスイッチを入れる。

カメラで焦点が合った近視野像を得るために,必要に応じて,光ファイバ端の位置を光軸に沿って調整

し,光ファイバに焦点を合わせる。端面照明用光源のスイッチを切り,供試品の光源のスイッチを入れる。

必要に応じて,供試品の光源が安定するまで待つ。

6.2 

最適化 

ビデオデジタイザのアナログ・デジタル変換器(ADC)の性能を十分効果的に活用するためには,一般

的に,像による信号強度が ADC の測定可能最大値の約 90 %になるように調整する。これは,次の手段の

いずれか一つ又はその組合せを用いることによって実現できる。

−  光源の強度を調整する。

−  カメラの手前に ND フィルタを挿入する。

−  カメラの利得及び/又はカメラの電気的シャッターを調節する。

6.3 

データ取得 

量子化した光ファイバ端面の像を,コンピュータに転送し,分析する。通常,像を ADC 出力値の二次

元配列に変換する。複数の像又はフレームを連続的に取得し,それらの ADC 出力値を画素ごとに平均化

することによって,信号対雑音比を改善することができる。通常,フレーム数は 10 から 20 までであるが,

コヒーレント光源を使用して,振動を与えてスペックルパターンを消している場合には,数百フレームと

することが一般的である。

4.1

による代替法を適用する場合には,光パッチコードから供試品の光源を取り外し,代わりに全モード

励振用の光源を接続して,同様にして光ファイバ端面の像を測定する。


8

C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

計算 

7.1 

背景レベルの除去 

式(4)の微分を計算するときに,雑音を除くためには,カメラの背景レベル(又はノイズレベル)が均一

であることが重要である。背景レベルの均一性は,光源をオフにして像データを取得し,この値を光ファ

イバの像から画素ごとに差し引くことによって改善できる。

7.2 

強度分布の重心位置 

光ファイバの中心を透過した強度分布を抽出できるように,近視野像の重心を求める。このためには,

垂直重心だけを求めればよい。一般的な方法は次のとおりである。

a)

像のピーク強度の位置座標を見つける。

b)

取得した像データから背景を差し引き,ピーク強度の位置を中心とする画素データの二次元配列 I

core

を抽出する。I

core

の第 1 の添え字は,列番号(y 座標)であり,第 2 の添え字は行番号(x 座標)であ

る。暗い画素は,次の計算過程で雑音の原因になるだけのため,可能な限り除くことが望ましい。た

だし,I

core

はコア全体の像を含むものでなければならない。

c)

I

core

を各々の列に沿って強度を合計し,合計の一次元配列の Sumrow(i)を求める[式(15)参照]

。この操

作を二次元データの y 軸への圧縮と呼ぶ。

cols

j

j

i

I

i

Sumrow

1

core

)

,

(

)

(

   (15)

d)

この一次元配列の要素の合計を計算し,一つのスカラー値を求める[式(16)参照]

。これを Sumofsums

とする。

rows

i

i

Sumrow

Sumofsums

1

)

(

  (16)

e)

この一次元配列の各要素とその要素の列番号との積をそれぞれ計算した後にその合計を計算し,一つ

のスカラー値を求める[式(17)参照]

。これを Sumproduct とする。

i

i

Sumrow

Sumproduct

rows

i

×

1

)

(

   (17)

f)

画素を単位とする重心 Centroid は,Sumproduct を Sumofsums で除して求める[式(18)参照]

Sumofsums

Sumproduct

Centroid

  (18)

g)

重心に最も近い列に沿った強度分布 I(i)を抽出し,分析する。

なお,式(12)の条件を満たすカメラを用いた場合,近似による誤差は無視できる。

7.3 

強度分布の微分 

次 に,式 (4) によって 近視野 強度分布 を微分す る。任 意の適切 な数値計 算手法 を適用で きるが ,

Savitzky-Golay 平滑化フィルタを用いるのが望ましい[6]。このフィルタは,データセットの中でスライド

する多項式と効果的に一致し,適合係数から微分を計算する。そのような多項式の一例は,二次式である。

多項式が一致するデータポイントの数,すなわち,適合窓が,必須パラメータである。通常,適合窓を広

くとると,データはより平滑化され,ローパスフィルタに類似した効果が得られる。微分した結果におけ

る雑音レベルと,平滑化によって失われるデータの詳細との間には,トレードオフの関係がある。

7.2

で抽出した強度分布は,光ファイバのコアよりも十分広い。しかし,MTF は光ファイバの中心から

コアの端の間だけで定義するものであるから,終点を決める必要がある。次の手順によって,微分データ

から光ファイバの中心位置を決める。


9

C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

a)

微分データセット I

diff

(i)の最大値に対応する位置と最小値に対応する位置とから,平均の画素位置(X

c

を算出することによって,光ファイバのおおよその中心を決める。

b)

この位置での対称関数 Sym(k)の値を,式(19)によって算出する。

×

×

sym

c

sym

c

1

diff

1

diff

)

(

)

(

)

(

n

X

k

i

k

n

X

i

i

k

i

I

i

k

i

I

k

Sym

   (19)

ここに,

n

sym

対称計算のための窓幅。通常,コア半径を画素数で表し
たものと同程度とする。

k: X

c

n

sym

から X

c

n

sym

までの範囲の整数値。

c)

Sym(k)の最小値の最も近くの画素を求める。これが,光ファイバの中心に対応する。

図 に,強度分布の一例について,対称関数の計算結果を示す。対称関数の値が最小となるピクセル番

号を Zeropos として示す。対称性は,Zeropos において最大となる。

図 4−対称関数計算によって求めた光ファイバの中心位置 

次に,MTF を計算するために,算出した光ファイバの中心で微分データセットを左右二つに分けて,対

応する画素ごとに平均をとる。

確認のために,MTF は微分データセットの左右半分の双方で独立して計算してもよい。求めた二つの曲

線を比較することは,4.3 による軸対称性の条件の確認にも有効である。2 本の曲線の違いは,例えば,光

ファイバ端面部がきずついたか,ごみが付着した可能性を示す。

7.4 

MTF

の計算 

最後に,画素空間において,式(4)を主モード番号の関数として書き直した式(20)によって,微分 dI(r)/dr

を r

α

1

で除す。

2

2

1

1

)

(

)

(

α

α





×

a

r

M

m

r

dr

r

dI

m

MTF

  (20)

 


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C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

MTF は,正規化して正規化モード番号の関数としてプロットできる。正規化モード番号は,式(21)[式

(5)と同じ。]によって算出する。

2

2

α

a

r

M

m

   (21)

ここで,式(21)の光ファイバのコア半径 を,これに相当する画素数 Pixrad に置き換える[式(22)参照]

Calfactor

a

Pixrad

   (22)

ここに,

Calfactor: 光学系の校正係数(μm/pixel)(5.7 参照)。

注記  光ファイバのコア径が不明の場合,コア径は IEC 60793-1-20 に規定する手順によって決定して

もよい。

代替法(4.1 参照)を用いた場合,6.3 で得たリファレンス像は,7.17.3 の規定に従い同一の手順で処

理する。

MTF は画素空間において,式(7)を主モード番号の関数として書き直した式(23)によって計算する。

2

/

)

(

1

)

(

)

(

o

×

a

r

M

m

dr

r

dI

dr

r

dI

m

MTF

   (23)

MTF は,正規化して正規化モード番号の関数としてプロットする。正規化モード番号は,式(24)によっ

て算出する。

2

a

r

M

m

   (24)

ここで,式(24)の光ファイバのコア半径 を,式(22)の定義によって,これに相当する画素数 Pixrad 

置き換える。

注記  表示する場合に,0.05 未満の正規化モード番号のためのデータポイントは,正規化において無

視でき,この領域において 1 以上の値はプロットしなくてよい。さらに,負の値はプロットか

ら省く。

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。

−  試験測定の名称及び日付

−  試験測定方法の根拠となる規格(この規格)

−  供試品である光源及び光パッチコードを一意に識別する記号及び供試品の説明

−  試験測定波長

−  強度分布の微分に用いた適合窓(μm)

−  平均化に用いたフレーム数

−  正規化モードトランスファファンクション(MTF

−  正規化モードパワー分布(MPD

必要な場合,次の事項も含める。

−  近視野像(ビットマップ)


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C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

附属書 A

(参考)

コアパラメータに対する MTF 及び MPD の感度

式(4)によるモード分布の測定は,光ファイバの既知のコア径及び屈折率の分布因子の情報に依存する。

図 A.1 に,式(4)へ異なるコア直径を代入して求めた MTF 及び MPD の結果の例を示す。

図 A.1MTF 及び MPD 感度のコア直径依存性の例 

図 A.2 に,式(4)へ異なる分布因子 α を代入して求めた MTF 及び MPD の結果の例を示す。


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C 61300-3-43

:2012(IEC 61300-3-43:2009)

   

図 A.2MTF 及び MPD 感度の分布因子依存性の例 

 
 


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C 61300-3-43

:2012 (IEC 61300-3-43:2009)

参考文献

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patterns and its application to differential mode attenuation measurement, Appl. Opt., vol. 18, no. 13, pp.

2207-2213, 1979.

[2]  LEMINGER OG. and GRAU GK., Near-field intensity and modal power distribution in multimode

graded-index fibres, Electron. Lett., vol. 16, no. 17, pp. 678-679, 1980.

[3]  GLOGE D. and MARCATILI EAJ., Multimode theory of graded-core fibers, Bell Syst. Tech. J., vol. 52, no. 9,

pp. 1563-1579, 1973.

[4]  MICKELSON AR. and ERIKSRUD M., Mode-continuum approximation in optical fibers, Opt. Lett., vol. 7, no.

11, pp. 572-574, 1982.

[5]  RITTICH D., Practicability of determining the modal power distribution by measured near and far-fields, IEEE

J. Lightwave Technol., vol. 3, no. 3, pp. 625-661, 1985.

[6]  PRESS WH. et al., Numerical Recipes in C: The Art of Scientific Computing, Cambridge University Press,

ch.14.8.

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  F01 形単心光ファイバコネクタ

JIS C 5973

  F04 形光ファイバコネクタ

JIS C 61300-1

,光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第 1 部:通則

JIS C 61300-3-4

,光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第 3-4 部:損失測定

IEC 60793-1-20

,Optical fibres−Part 1-20: Measurement methods and test procedures−Fibre geometry