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C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  記号及び略語  

2

4

  背景:PMD 特性  

3

5

  測定方法  

5

5.1

  PMD 測定方法  

5

5.2

  基準測定方法  

7

6

  装置 

7

6.1

  光源及び偏光器  

8

6.2

  光入力部品  

8

6.3

  クラッドモードストリッパ  

8

6.4

  高次モード・フィルタ  

8

6.5

  出力接続  

8

6.6

  光出力部品  

8

6.7

  光検出器  

9

6.8

  コンピュータ  

9

6.9

  ASE の影響を弱める手段  

9

7

  サンプリング及び被測定対象  

9

8

  手順 

9

9

  計算又は結果の解釈  

9

10

  書類  

9

10.1

  各測定に必要な情報  

9

10.2

  利用可能な情報  

10

11

  仕様情報  

10

附属書 A(規定)固定アナライザ法  

11

附属書 B(規定)ストークスパラメータ解析法  

17

附属書 C(規定)干渉法  

22

附属書 D(規定)戻り光を用いたストークスパラメータ解析法  

31

附属書 E(規定)変調位相シフト法  

33

附属書 F(規定)偏波位相シフト法  

41

附属書 G(参考)方法 による PMD の決定  

47

参考文献  

50


C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 61280

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 61280-1-3

  中心波長及びスペクトル幅測定

JIS C 61280-2-1

  受信感度及びオーバロード測定

JIS C 61280-2-2

  光アイパターン,光波形及び消光比測定

JIS C 61280-2-3

  第 2-3 部:ジッタ及びワンダ測定

JIS C 61280-2-8

  Q 値測定を用いた低ビット誤り率の決定法

JIS C 61280-2-9

  高密度波長分割多重システムの光信号対雑音比測定

JIS C 61280-2-10

  第 2-10 部:レーザ送信器の時間分解チャープ及びアルファファクタ測定

JIS C 61280-2-11

  光信号品質評価のための強度ヒストグラム評価を用いた平均化 Q 値測定

JIS C 61280-4-4

  第 4-4 部:ケーブル設備及びリンク−既設リンクの偏波モード分散測定


日本工業規格

JIS

 C

61280-4-4

:2015

(IEC 61280-4-4

:2006

)

光ファイバ通信サブシステム試験方法−

第 4-4 部:ケーブル設備及びリンク−

既設リンクの偏波モード分散測定

Fiber optic communication subsystem test procedures-

Part 4-4: Cable plants and links-

Polarization mode dispersion measurement for installed links

序文 

この規格は,2006 年に第 1 版として発行された IEC 61280-4-4 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,既設のシングルモード光ファイバからなるリンクの偏波モード分散(PMD)を測定する均

一な方法について規定する。既設リンクとは送信機と受信機との間の光の経路,又はその一部を指す。こ

れらの測定方法は,対象となるリンクが高ビットレートの伝送用途に適しているかどうかを判断するため

に,又は伝送に関する様々な部品の相関関係を洞察するために用いることができる。この規格の原理は,

製造時の測定に焦点が置かれた光ファイバ及び光ファイバケーブルの試験方法 JIS C 6842(参考文献参照)

に沿ったものである。この規格は,製造時の測定の代わりに,既設されていてもよい長距離のリンクのた

めの測定方法及び測定用件に焦点を当てている。この場合のリンクには,増幅器,高密度波長分割多重用

部品,合波器などのその他の光部品が含まれていてもよい。

PMD は統計的なパラメータである。測定の再現性は,個々の方法に依存するが,リンクの PMD の度合

いによっても制限を受ける。Gisin は,この測定再現性の理論限界を,無限の測定波長域及び理想的な測定

条件を仮定することによって導き出した[3]

1)

注記 1  製造時の光ファイバ及び光ファイバケーブルの試験方法については,JIS C 6842 に記載して

いる。

注記 2  光増幅器の試験方法については,JIS C 6122-11-1 及び IEC 61290-11-2 に記載している。

注記 3  受動部品の試験方法については,JIS C 61300-3-32 に記載している。

注記 4  分散補償器又は光増幅器のような部品を含むリンクでの PMD の計算のガイドラインについ

ては,IEC/TR 61282-3 に記載している。

1)

  角括弧内の数字は,参照する参考文献の番号を示す。

方法 D を除くこの規格の全ての方法で,

光増幅器を含むリンクの利得帯域における PMD を測定できる。

増幅器を含むリンクを試験するとき,増幅された自然放出光(ASE)雑音は,測定波長付近で無偏光状態


2

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

のスペクトルエネルギーを生成する。一般的に,ASE は測定精度を落とす。方法 A,B,C,E 及び F につ

いては,この結果は受信端で光学又は電気的フィルタを用いることで緩和できる。ただし,光学フィルタ

は,信号スペクトル部の ASE を取り除くことができない。広帯域光源のスペクトルをフィルタのスペクト

ル幅によって十分に減らせない場合,精度はより低い偏光度(DOP)によって制限される。より低い DOP

で有用なデータとするには,より長くデータを取り込む必要がある。そうしなければ,結果は多くの雑音

成分を含み,解釈を誤ることとなる。

いずれの方法も,偏波依存損失(PDL)が 10 dB 以上あるリンクの偏波モード分散を測ることはできな

い。PDL の値が 1 dB 未満のリンクは,合理的な精度で測定できる。1 dB を超える PDL があると測定精度

が落ちる場合がある。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61280-4-4:2006

,Fibre optic communication subsystem test procedures−Part 4-4: Cable plants and

links−Polarization mode dispersion measurement for installed links(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

IEC 60793-1-44

,Optical fibres−Part 1-44: Measurement methods and test procedures−Cut-off wavelength

記号及び略語 

この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。

真空中の光速(299 792 458 m/s)

(velocity of light in vacuum)

結合長

(coupling length)

リンク長

(length of the link)

t

c

光源のコヒーレンス時間(方法 C)

[optical source coherence time (method C)]

δλ

波長間隔(ステップ幅)

[wavelength increment (step size)]

δν

光周波数間隔(ステップ幅)

[optical frequency increment (step size)]

Δλ

光源スペクトル幅又は線幅

(記載のない場合,半値全幅)

[optical source spectral width or linewidth (FWHM

unless noted otherwise)]

Δθ

ポアンカレ球上の回転角度

(rotation angle on Poincaré sphere)

δτ

異種偏波成分の差動到達時間

( differential arrival times of different polarization

components)

δτ

min

測定可能な最小 δτ

(minimum δτ value that can be measured)

Δτ

群遅延時間差の値

(differential group delay value)

τ>

群 遅 延 時 間 差 の 波 長 域 で の 平 均 ,

PMD

AVG

(average DGD over a wavelength range or PMD

AVG

value)

τ

2

>

1/2

群遅延時間差の波長域での二乗平均

平方根(RMS)

PMD

RMS

測定可能な最大 δτ 

(root mean-square (RMS) of DGD over a wavelength

range or PMD

RMS

 value)

Δτ

max

(maximum Δτ value that can be measured)


3

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

Δω

方法 B における角周波数変動

(angular frequency variation in method B)

λ 

PMD 測定に用いられる試験波長

(test wavelength used to measure PMD)

λ

0

光源の中心波長

(central wavelength of the light source)

光周波数

(optical light frequency)

σ

R

 

フーリエ変換データの

二次モーメントの平方根

(square root of second moment of Fourier transform

data)

σ

0

二乗自己相関包絡線の

二乗平均平方根(RMS)幅

(RMS width of the squared autocorrelation envelope)

σ

x

 

二乗相互相関包絡線の

二乗平均平方根(RMS)幅

(RMS width of the squared cross-correlation envelope)

σ

ε

インターフェログラムの RMS 幅

(RMS width of interferogram)

ω 

光角周波数

(angular optical frequency)

ASE

増幅された自然放出光

(amplified spontaneous emission)

DGD

群遅延時間差

(differential group delay)

DOP

偏光度

(degree of polarization)

DUT

被試験物

(device under test)

FA

固定アナライザ法

(fixed analyzer)

FET

電界効果トランジスタ

(field effect transistor)

FWHM

半値全幅

(full-width half-maximum)

GINTY

一般的な干渉法

(general interferometric analysis)

I/O

入出力

(input-output)

JME

ジョーンズ行列固有値解析法

(Jones matrix eigenanalysis)

LED

発光ダイオード

(light emitting diode)

MPS

変調位相シフト

(modulation phase shift)

PDL

偏波依存損失

(polarization dependent loss)

PIN (diode)  pin(ダイオード)

[positive insulated negative (diode)]

PMD

偏波モード分散

(polarization mode dispersion)

PPS

偏波位相シフト

(polarization phase shift)

PSA

ポアンカレ球解析法

(Poincaré sphere analysis)

PSP

主 SOP

(principal SOP)

RBW

分解能帯域幅

(resolution bandwidth)

RMS

二乗平均平方根

(root mean-square)

SOP

偏波状態

(state of polarization)

SPE

ストークスパラメータ解析法

(Stokes parameter evaluation)

TINTY

慣例的な干渉法

(traditional interferometric analysis)

背景:PMD 特性 

PMD は時間領域での光パルスの広がりを引き起こす。この分散は通信システムの性能を低下させる。こ

の影響は,信号の異なる偏波成分ごとの位相差並びに群速度及び対応する到達時間 δτ に関係する。十分に

狭帯域の光源では,この効果は,その波長で対となる直交偏波の主偏波状態(PSP)の群遅延時間差(DGD)


4

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

の値 Δτ に相当する。広帯域伝送の場合には,この遅延は分離し時間領域で広がりをもつ出力パルスとな

る。この場合,パルス広がりは DGD 値の二乗平均に関係する。

DGD は光ファイバ長に沿った複屈折の詳細な特性に依存するため,長距離の光ファイバ間では時間領域

及び波長領域でランダムに変化する。また,光ファイバの時間に依存する温度及び機械的な変動にも敏感

である。このため,長い光ファイバでの PMD を評価する方法としては,期待値<Δτ>又は DGD の波長域で

の平均値を用いることが有用である。原理上,対象とする光ファイバにおいて,期待値<Δτ>は,δτ 又は Δτ

のようなパラメータとは異なり,時間又は光源によって大きな変化をしない。さらに,<Δτ>は伝送特性の

有効な指標である。

PMD は二つの偏波モードが異なる群速度をもつ(一方は速い群速度及び短い到達時間をもち,他方は遅

い群速度及び長い到達時間をもち,それらの到達時間の差が DGD である)ことを示す一般的な意味と,

期待値<Δτ>を表す特別な意味との二つがある。後者は,この規格の目的にそった厳密な PMD の定義を示

す。この DGD 値 Δτ 又はパルス幅 δτ は,波長,周波数,時間又は温度で平均化でき,<Δτ>

λ

,<Δτ>

ν

,<Δτ>

t

又は<Δτ>

T

のように表される。<Δτ>取得に関して,ほとんどの目的において,このような様々な条件を区

別する必要はない。<Δτ>を用いて式(1a)のように PMD

AVG

を定義する。

τ

Δ

=

AVG

PMD

  (1a)

式(1a)の表現はしばしば DGD 値の線形平均と呼ばれる。光ファイバケーブル及び多くのその他の部品を

規定する目的で報告される。もう一つの量として DGD 値の RMS も,特に方法 C に基づくような,ある種

の測定器において報告される。この量を,式(1b)のように定義する。

2

/

1

2

RMS

τ

Δ

=

PMD

   (1b)

多くのリンクにおいて,DGD 値はマクスウェル分布に近い形でランダムに分布する。マクスウェル分布

と完全に一致するとの仮定のもとでは,

DGD の線形平均値<Δ

τ

>及び RMS 値<Δ

τ

2

>

1/2

の二つの量の関係は,

式(1c)で与えられる。

2

/

1

2

2

/

1

3

8

τ

τ

Δ

π

=

Δ

  (1c)

注記

 DGD

の値の分布がマクスウェル分布の場合に,式

(1c)

を適用する。残りのリンクに比べて相対

的に高い複屈折の要素がある場合には,この仮定は妥当ではない可能性がある。

ITU-T

に整合

したリンクに規定される

DGD

の最大値を決めるため,リンク所有者が許容可能な確率限界に

基づき

3

3.7

の乗数(IEC/TR 61282-3 参照)が

PMD

AVG

に掛けられる。乗数はマクスウェルの

仮定に基づき,分布の非常に長い裾を反映している。リンクが高い複屈折要素を含んでいる場

合,

PMD

AVG

及び

PMD

RMS

の計量は両方とも実際の

DGD

の分布の実際の裾に対して増加し(小

さな乗数が使用可能なことを示唆している。

,ただし,

DGD

分布が

3

自由度をもつ非心カイ二

乗分布の平方根に基づく分布に近づくため,式

(1c)

は成り立たないことがある。このような場

合,

PMD

RMS

は一般に式

(1c)

によって示される

PMD

AVG

に対して大きくなる。この条件は,方法

C

のような時間領域の測定において干渉しま(縞)の包絡線が“フラットトップ”となること,

及び,方法

B

のような周波数領域の測定において双峰性の

DGD

分布となることによって示さ

れる。

(1c)

の期待値演算子は全波長にわたる長期の期待値を表す。実際には,ある時点及び条件での有限な

波長範囲が抽出され,ある種のデータ平均が計算される。時間,波長及び条件に関するエルゴード性を仮

定する場合このように見積られた平均の期待値は長期の期待値に等しい。この仮定が妥当でない場合,抽


5

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

出される波長に強く依存して変化する結果となる。エルゴード性

2)

の条件によっては,測定再現性は波長

域や

PMD

の水準によって変化する可能性がある

[3]

2)

エルゴード性:あらゆるシーケンス又は相当量のサンプルが,等しく全体の代表値となるプロ

セス,又は,類するもの。

測定方法 

5.1 PMD

測定方法 

PMD

の測定には六つの基本的な測定方法がある。各方法の詳細については附属書に記載する。各方法に

ついて記載順に次に列挙する。幾つかの試験法については,測定結果の解析に複数の手段がある。

方法

A

  固定アナライザ法(

FA

フーリエ変換法(

FT

方法

B

  ストークスパラメータ解析法(

SPE

ジョーンズ行列固有値解析法(

JME

ポアンカレ球解析法(

PSA

方法

C

  干渉法(

INTY

慣例的な干渉法(

TINTY

一般的な干渉法(

GINTY

方法

D

  戻り光を用いたストークスパラメータ解析法

ジョーンズ行列固有値解析法(

JME

ポアンカレ球解析法(

PSA

方法

E

  変調位相シフト法

全掃引法

ミューラー分析法

方法

F

  偏波位相シフト法(

PPS

各方法には,例えば,次のようなメリット及びデメリットがある。

架空ケーブルで見られるように,リンクが振動すると,個々の

DGD

値を計算するためのデータを測定

中に,光ファイバの特性が変化してしまう。このような場合,方法

A

B

D

E

及び

F

では,測定に乱れ

が生じることがある。この効果を低減するため,幾つかの商用フィールド試験システムでは高速測定が行

われている。方法

C

は,広帯域光源及び干渉計を用いて,時間領域で測定した干渉波形の相互相関の包絡

線から

PMD

を求めるため,光ファイバが振動する場合でも使用できる。

方法

B

E

及び

F

は,測定の時に,光源と受信装置との間に,通信リンク及び調整が必要である。すな

わち,別の通信チャネルが必要である。リンク自体をこのチャネルのために使用してもよい。方法

D

を用

いる場合,試験中のリンクの片端に全ての測定器を配置できる。ただし,適切な反射特性を得るには,遠

端に注意が必要である。場合によって,遠端に反射終端器を取り付ける必要がある。方法

A

及び

C

を用い

る場合,光源及び受信装置をリンクの両端に配置する。だだし,測定の間に光源及び受信装置の設定を調

整する必要はない。

全ての方法の中で,方法

E

は最も狭い帯域における

DGD

を測定できるが,リンクの

DGD

値が約

0.5 ps

以上である必要がある。方法

B

D

及び

F

の場合は,近接する

2

波長で得られた出力データを数値微分す

るため,方法

E

よりも帯域を広くする必要がある。ただし,方法

B

D

及び

F

は,最も小さい

DGD

を測


6

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

定できる。方法

C

は,個々の

DGD

値を測定せず,光源スペクトル波長全体における

DGD

RMS

PMD

RMS

を測定する。

方法

E

でミューラー行列を用いて測定する場合,方法

F

は方法

E

と同様である。ただし,方法

F

は,方

B

及び方法

D

と同様に,一つの

DGD

値を得るために近接する

2

波長での測定が必要である。

いずれの方法も,一つ以上の既知で明瞭に偏波状態が制御された光源を必要とする。スペクトル領域(例

えば,

1 300 nm

帯,

1 550 nm

帯など)の特性を示す

PMD

値を得るために,いずれの方法もスペクトル領

域全体に光を注入する必要がある。

これらの方法には次の点で違いがある。

光源のスペクトル特性

検知部の帯域

実際に測定される物理的特性

解析方法

方法

A

は,実施形態にもよるが,広帯域光源又は波長可変光源からの

SOP

入力を一つだけ必要とする。

固定の検光子を用いて,波長の関数であるストークスベクトルの

1

要素の相対パワー変化を追跡する。フ

ーリエ変換をこのデータに適用すると,結果は仮想的な半干渉波形となり,方法

C

TINTY

)と同様な手

順で評価される。

方法

B

は波長帯域にわたって狭帯域光を変化させ,偏光の変化を測定することによって

PMD

AVG

を測定

する。各波長について,例えば,

(ポアンカレ球上で順に直交関係にある)

0

°,

45

°及び

90

°の直線偏光

状態といった既知の異なる三つの

SOP

を用いて,リンク中を伝送した出力ストークスベクトルを測定する。

光角周波数(波長)

ω

及び入力

SOP

の変化に伴うストークスベクトルの変化量から,式

(2)

及び式

(3)

定義に基づく関係を用いて波長の関数の

DGD

を求める。

( )

( ) ( )

ω

ω

ω

ω

s

s

×

=

d

d

  (2)

( )

( )

ω

ω

τ

=

Δ

  (3)

ここに,

s : 光角周波数 ω における出力ストークスベクトル

PSP ベクトル,又は光角周波数 ω における偏波分散ベクトル
(PDV)

Δ

τ: 光角周波数 ω における DGD 値

JME は,出力ストークスベクトルをジョーンズ行列に変換することによって行われる[2]。隣接する波長

における適切な行列の組を求め,計算した固有値計算に偏角式を適用することによって,基底周波数の

DGD 値を得る。

PSA は,隣接波長において循環複屈折と関連のある出力ストークスベクトルを推察するために,規格化

されたストークスベクトルを行列計算し,アークサインの公式用いて基底周波数の DGD を得る。

JME と PSA とは,いずれもある波長域での DGD の平均値からその領域における PMD を計算する。JME

と PSA とは数学的には等価である。狭帯域光源を使う場合には,コヒーレント干渉効果を引き起こし得る

光学反射を最小にするなどの通常の配慮がなされるのが望ましい。

さらに,

(掃引システムとは対極の)スタート・ストップ測定系では狭帯域光源のステップ間隔は,期待

される DGD スペクトル(DGD 変化は波長の関数)を考慮して慎重に選択するのがよい。ステップ間隔の


7

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

選択についての詳細は B.2 に記載している。狭帯域光源の線幅はナイキスト基準に一致して選択するステ

ップ間隔に調整することが望ましい。

方法 C は,一つ以上の既知の偏光状態に偏光させた広帯域光源を用いる測定方法である。出力光の干渉

パターンによって,電磁界分布の相互相関が決定する。TINTY の場合は,干渉波形の相互相関の包絡線の

RMS 幅を計算することによって,干渉パターンを評価する。また,GINTY の場合は,干渉波形の相互相

関及び自己相関の両方の包絡線の二乗した RMS 幅を計算することによって,干渉パターンを評価する。

これらの RMS 幅によって,光源スペクトル(光源帯域)に対応した波長範囲における PMD 値を得る。増

幅器を含むリンクでは光源帯域が制限されるため,方法 C の測定精度は低下する。方法 C では,PMD

RMS

値だけを測定する。

方法 D は,原理的には方法 B と同じであるが,リンクの終端で反射されて光源側に戻ってくる出力スト

ークスベクトルを測定することによって DGD 値を得る。反射を考慮して変形した式によって,要求する

帯域における PMD 値を計算する。この方法では反射が必要なため,光アイソレータ(光増幅器内でしば

しば見られる)を含むリンクには適していない。また,狭帯域光源が用いられる場合においても,誤った

DGD として現れるコヒーレント干渉効果及びファブリペロー形エタロン効果を避けるために注意が必要

である。これらの効果は,遅延として記録される。反射光強度を強めるために装置終端に反射器が用いら

れる場合を除いて,方法 D は 40 km 程度の距離に制限される。

方法 E は,変調された狭帯域光源を用いて,二つ以上の入力偏光状態間の位相差を測定する。全掃引法

では,特定の位相シフトを得るために,一対の直交する入力偏光状態を入射する必要がある。この対の偏

光軸をポアンカレ球全体にわたって変化させて,位相シフト差の最大値を得る。得られた最大の位相シフ

ト差を用いて,光源スペクトルの中心波長における DGD 値を求める。ミューラーセット法[1]では,波長

(光源スペクトル)ごとに,ミューラーセットを表す四つの偏光状態を入射する必要がある。これらの偏

光状態に対応した位相シフトを解析することによって,その波長における DGD 値が得られる。ある波長

範囲内の複数の波長に対して測定が行われる場合は,DGD 値の平均値がその波長範囲の PMD 期待値とな

る。

方法 F は,方法 E と同様に,直交する直線偏光状態のような既知の偏光状態間の位相差を測定する。た

だし,必要な直交入力偏光状態が二つだけである点で方法 E とは異なる。このため,方法 F は一つの DGD

値を計算するために 2 波長での測定が必要となる。

全ての方法に共通の情報は,箇条 1∼箇条 に規定する。六つの方法各々に付随する要求事項は

附属書

A

附属書 にそれぞれ記載する。

5.2 

基準測定方法 

各方法には,それぞれ独自に最適な適用先があるため,基準測定方法はない。

装置 

次に示す装置は全ての測定方法に共通である。

附属書 A∼附属書 は,六つの方法各々について,配置

図,設備に必要な条件などを含んでいる。

装置の中で,送信に関わる全ての要素は測定する MD に何らかの影響を及ぼす。PMD 測定における同

一スペクトル範囲内で,

最も低い最大 DGD 値と PDL を得るためにこれらの要素を選ばなくてはならない。

短尺(2 m)で低い PMD をもつ光ファイバを用いた測定によって,これらの要素の全面的な寄与の評価が

必要となる。これらの要素の PMD 寄与が顕著な場合,測定するリンク PMD 値の二乗から測定システムの

PMD 値の二乗を差し引いて平方根を取ることによって最終値を求めることもできる。


8

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

6.1 

光源及び偏光器 

光源のスペクトル特性の詳細条件は,

附属書 A∼附属書 を参照する。光源は要求する波長で放射し,

光強度は測定を行う間十分安定したものでなければならない。要求する PMD が測定できる波長範囲に対

応していることが望ましい。

全ての方法について,光源は被測定光ファイバに挿入される前に,一つ以上の既知の SOP で偏光されて

いる必要がある。偏光子,波長板を用いた偏光調整器,液晶遅延プレート,機械式の複屈折の光ファイバ

ループ又は電気光学結晶素子を,試験光ファイバの入力端の光源の SOP の固定及び被測定光ファイバの出

力端のアナライザの偏光軸の固定に用いてもよい。偏光調整機能の性能は三つの直線偏光の既知 SOP にお

ける出力を測定することによって評価することができる。出力が互いに 3 dB 以内にある場合,調整機能は

適切である。

方法 A,B,D[狭帯域波長可変光源(TLS)を用いて行う場合]

,E 及び F については,全ての測定条

件のもとで,測定される全 DGD 値について,光ファイバから得られる光の偏光が保たれるように,光源

の実効スペクトル幅 Δλ[ガウス形スペクトル,半値全幅(FWHM)

]は,十分に狭い必要がある。90 %又

はそれ以上の DOP が望ましく,25 %以下で行う場合には精度が下がる。DOP とスペクトル幅 Δλ,中心波

長 λ

0

及び DGD 値 Δτ との関係は,式(4)のとおりである。

( )







Δ

Δ

π

×

=

2

2
0

2

ln

4

1

exp

100

λ

λ

τ

c

DOP

(%)  (4)

6.2 

光入力部品 

リンクに光を送り出すために接続用試験コードを用いる。その他の光入力部品もこの試験コードに接続

する。接続は測定中に安定している必要がある。

方法 D については,測定システム試験コード及び反射制御へのリンクのインタフェース上に特別の必要

条件がある(

附属書 参照)。

6.3 

クラッドモードストリッパ 

リンクの光ファイバからクラッドモードを除去する装置を用いる。ほとんどの状況下では,光ファイバ・

コーティングはクラッドモードを除去する役割をする。

6.4 

高次モード・フィルタ 

リンクの遮断波長(IEC 60793-1-44)以上の個別に規定する波長域における高次伝達モードを除去する

手段を用いる。例えば,光ファイバを曲げ半径=30 mm で 1 周巻けば,一般に十分である。

6.5 

出力接続 

リンクを光出力部品に接続するために接続用光ファイバピッグテールを用いてもよい。この接続は測定

中に安定していなければならない。

方法 D については,リンクの遠端(光源に対して)から反射される光は,反射を最大限にする特別の終

端処理を必要とする。この方法については,接続の出力は入力接続と同一である。

6.6 

光出力部品 

適切な附属書(

附属書 A∼附属書 のいずれか)を参照する。

幾つかのリンク測定では,アナライザの検出器に適した光強度を保つために,光増幅器と可変減衰器と

を組み合わせて試験系に用いる。この場合,出力調整装置は,一般的に検出器直前に設置する。

方法 D については,光出力部品は光入力部品と同じ場所に設置する。


9

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

6.7 

光検出器 

信号検知については,光検出器は,測定を行う上で直面する強度幅,波長帯域及び測定回数にわたって

線形で安定しているものを用いる。典型的なシステムは,チョッパー/ロックインアンプ,光強度測定器,

光スペクトラムアナライザ,干渉計又はポラリメータによる同期検波を含むこともある。光源の全スペク

トル域を用いるために,光検知装置は,光源によって生み出される波長を含む波長域をもつものとする。

更なる詳細については,適切な附属書(

附属書 A∼附属書 のいずれか)を参照する。

6.8 

コンピュータ 

装置制御,強度測定及び最終結果を得るためのデータ処理などを作業を行うためにコンピュータを用い

る。

6.9 ASE

の影響を弱める手段 

ASE は受信光の無偏光化をもたらす。実装及び方法によって,次の選択肢を使用してもよい。

−  検知回路内の電気フィルタと組み合わせた信号光変調

−  光ファイバ・リンクの出力端に置かれ信号光波長に固定された可変光フィルタ

サンプリング及び被測定対象 

被測定対象は,長尺のシングルモード光ファイバのリンクである。方法 C を除いて,リンクは,振動又

は温度変化が測定期間内で最小となるときに測定することが望ましい。リンクが光増幅器を含む場合,光

増幅器を使用しながら測定することが望ましい。

手順 

手順は,次による。

a)

必要なコネクタを接続し,リンクの終端を準備する。

注記  方法 D においては,入力終端からの反射を最小化するために,斜め研磨の光ファイバ終端が

必要である。

b)

光入出力部品の終端処理を行う。

注記  方法 D については,光入出力部品は同一である。これらが付いているリンクの終端は入力終

端と呼ばれる。入力端への適切な反射を確保するために,リンクの出力端には,特別な配慮

が必要となる場合がある。

c)

コンピュータを用いて,六つの測定方法に関する

附属書 A∼附属書 のいずれかに記された掃引及び

測定を完了する。

d)

測定報告書を完成する。

計算又は結果の解釈 

附属書 A∼附属書 は,測定データを DGD 値又は PMD 値に変換するための計算を提供する。IEC/TR 

61282-3

は,光ファイバ及び成分値の統計に基づいたリンク PMD の計算についての情報を提供する。

10 

書類 

10.1 

各測定に必要な情報 

各測定に必要な情報は次による。

−  リンク


10

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

−  識別情報

−  詳細説明(例えば,光増幅器,その他のコンポーネントの有無)

−  距離(km)

−  光ファイバ及びケーブルの種類

−  試験日

−  試験結果

−  PMD

AVG

又は PMD

RMS

としての PMD 値

−  試験系光源のスペクトル及び線幅

−  方法 B,D,E 及び F の場合,波長及び/又は周波数の関数としての DGD 値

−  方法 C の場合,干渉波形

−  方法 A の場合,波長又は周波数の関数としての強度及びフーリエ変換

−  測定を行う波長又は周波数範囲

10.2 

利用可能な情報 

次の情報は,用いる装置の製造番号,モデル番号,シリアル番号及び関連するモジュール詳細を記録す

ることによって,通常,追跡可能である。

−  試験系

−  測定方法

−  計算手引き(分析)

−  設備の記載

−  光源の詳細特性

−  アナライザの詳細特性

−  使用した場合,その他附属品

−  校正

−  最新の校正期日

−  校正方法

−  不確かさの分析

−  方法 B,D 及び E:抽出波長数

−  方法 C:干渉しま(縞)の検出技術の種類

11 

仕様情報 

仕様情報は次による。

−  波長帯

−  この規格に記載する手順との差異


11

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 A

(規定)

固定アナライザ法

この附属書は,固定アナライザ法(FA)に特有の要求事項について規定する。

A.1 

装置 

図 A.1 は測定系のブロック図の一例である。

光源

モノクロメータ

偏光子

被測定ファイバ

偏波アナライザ

検出器

コンピュータ

チョッパー

ロックイン

アンプ

a)

  ランプとモノクロメータとを組み合わせた狭帯域光源を用いた測定系 

広帯域光源

光スペクトラム
アナライザ

偏光器

検光子

スプライス

スプライス

被試験ファイバ

b)

  広帯域光源を用いた測定系 

図 A.1−固定アナライザ法のブロック図 

A.1.1 

光源 

全ての測定系において受光部の種類に応じて 2 種類の光源を使用できる。

図 A.1 a)  に示すように,広帯

域光源とモノクロメータとの組合せのような狭帯域光源を偏波アナライザとともに用いることができる。

図 A.1 b)  に示すように,広帯域光源の場合は,光スペクトラムアナライザ,又はフーリエ変換スペクトラ

ムアナライザである干渉計のような狭帯域フィルタアナライザを検光子の前に置いて,共に用いることが

できる。広帯域光源を用いる場合,透過フィルタの幅は,計算の目的に合ったスペクトル幅とする。

広帯域光源,狭帯域光源のいずれの場合も,スペクトル幅は,要求される偏光度(5.1 参照)を満たすよ

うに十分に小さくなければならない。また,逆に,不必要なコヒーレント干渉効果及びスプリアス雑音を

回避するために,決定した測定間隔に対して小さすぎないようにしなければならない。いずれの光源の場

合も波長範囲は,決められた波長範囲において十分正確な PMD を測定するために十分に広くしなければ

ならない(A.3 参照)

光スペクトルに関する全ての特性を適切に決定するためには,光源のスペクトル幅は式(A.1)を満たして


12

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

いなければならない。

(

)

1

max

0

8

/

Δ

<

Δ

τ

λ

λ

ν

  (A.1)

ここに,

vc/λ: 光周波数

Δ

λ: スペクトル幅

Δ

τ

max

予測される最大の DGD 値

波長 1 550 nm 近傍では,式(A.1)は,Δλ(nm)は Δτ(ps)の逆数より小さいという条件に緩和される。

A.1.2 

検光子 

検光子の角度方向の設定は重要ではないが,測定中は固定されていなければならない。

モード結合を無視できるとき及び PMD の値が小さいときは,

図 A.2 に示した振幅強度を最大にするた

めに検光子を調整することが有効である。これは光ファイバのスプライス又は光コネクタの部分を回転す

ることでも可能である。

注記  検光子はポラリメータに置き換えることも可能である。

A.2 

測定方法 

A.2.1 

波長範囲及び測定間隔 

光路に検光子を入れた場合,

及び入れない場合について,

ある波長範囲内で決められた波長ステップで,

波長(又は光周波数)の関数として光パワーを測定する。波長範囲は測定結果の精度に影響を与える(A.3

参照)

。波長測定間隔は,式(A.1)において Δλ を測定間隔に置き換えて式(A.1)を満足するように決定しなけ

ればならない。

フーリエ変換法を用いる場合は,測定間隔は理想的には光周波数上で均一,かつ,ステップ数は 2 の累

乗でなければならない。モノクロメータの光周波数ステップ δν は,測定する DGD の最大値に対応する振

動周波数の二分の一よりも小さくなければならない。強くモード結合した光ファイバの場合は,二次モー

メントの外側に多くのパワーが存在するため,ナイキスト条件によって,周波数ステップは予想される

DGD の最大値に対応する RMS 幅(二次モーメントの平方根)周波数の三分の一よりも小さくなければな

らない。すなわち,式(A.2)を満足しなければならない。

max

6

1

τ

ν

Δ

>

δ

  (A.2)

注記 1

フーリエ変換において大半のエネルギーが

Δτ

max

近傍に存在することが明らかな場合,測定間

隔を小さくして測定を繰り返すことが望ましい。

注記 2

一般的に光源のスペクトル幅は最小の測定波長間隔以下である。例えば,

Δτ

max

0.67 ps

場合,

1 550 nm

におけるモノクロメータのスペクトル幅は

2 nm

δν

249 GHz

)が一般的で

ある。

A.2.2 

掃引実行 

検光子を光路に入れて掃引を実行する。受光パワーを

P

A

(λ)

として記録する。

検光子を光路から取り除いて掃引を繰り返す。トータル受光パワーを

P

tot

(λ)

として記録する。

パワー比

R(λ)

を式

(A.3)

によって計算する。

( )

( )

( )

λ

λ

λ

tot

A

P

P

R

=

   (A.3)

図 A.2 はリンクシステムにおいてランダムにモード結合した場合の結果を示した例である。


13

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 A.2−固定アナライザ法でのパワー比 R(λ)の例 

代替測定方法として

2

回目の掃引のとき,

検光子を置いたまま

90

°偏波面を回転させ

P

B

(λ)

を記録する。

パワー比計算は式

(A.4)

によって計算する。

( )

( )

( )

( )

λ

λ

λ

λ

B

A

A

P

P

P

R

+

=

  (A.4)

注記 1

差分 P

B

P

A

を合計で割ったコサインフーリエ変換は相互相関関数である。

注記 2

受光素子としてポラリメータを用いる場合は,正規化されたストークスパラメータを波長ご

とに測定する。三つのスペクトル関数(ベクトル成分ごとに一つ)は受光パワーに対して独

立で,同じ方法で解析する直交検光子間の三つの独立した差分関数に相当する。

A.3 

計算−フーリエ変換 

PMD

の計算には,通常,光周波数 ν の領域で表現されるパワー比 R

(

λ

)

のフーリエ解析を用いる。フーリ

エ変換はこの光周波数領域のデータを時間領域へ変換する。フーリエ変換は,光が到達する時間 δτ の分布

に関する直接的な情報を与える。このデータを後述するように処理して,被試験光ファイバの

PMD

期待

τ

>

を計算する。この方法は一般的にランダムなモード結合をもつリンクに適用できる。この方法はモ

ード結合が無視できる場合にも適用できる。

A.3.1 

データ前処理及びフーリエ変換 

この方法を用いるためには,フーリエ変換は通常光周波数において等間隔での処理を必要とする。等間

隔とすることによって,

λ の値にて R

(

λ

)

のデータを光周波数領域において等間隔で収集することができる,

又は,

(例えば,三次のスプライン関数を用いて)等しい波長(λ)間隔で取得したデータをフィットさせ

て補間するか,若しくは,より高等なスペクトル推定技術を使用して求めてもよい。いずれの場合におい

0

0,1

0,2

0,3

0,4

0,5

0,6

0,7

0,8

0,9

1 300

1 350

1 400

1 450

1 500

1 550

1 600

1 650

1 700

波長 λ (nm)

パワ

ー比

λ

IEC   003/06

R


14

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

ても,用いる各波長における比率 R

(

λ

)

を式

(A.3)

又は式

(A.4)

を用いて適切に計算する。

R

(

λ

)

に対してゼロ点付加,データ補間及び直流成分除去を行ってもよい。フーリエ変換の前の事前調整

手段として,データに窓関数を与えてもよい。フーリエ変換を行うことで,δτ の各値に対して強度データ

分布 P

(

δτ

)

を求めることができる。

A.3.2 

変換データフィット 

R

(

λ

)

の直流成分は部分的には検光子の挿入損失という可能性があるため,注意深く除去しない場合,δτ

がゼロにおけるフーリエ変換のデータは意味がない。直流レベルが除去できない場合,通常,

2

点のデー

タまではその後の計算において無視する(使用しない)

。計算に含める δτ がゼロよりも大きい“最初の有

効データ点”が j

0

になるように,変数 を定義することができる。

その後の計算からの測定雑音を除去するために,P

(

δτ

)

をしきい値 T

1

と比較する。しきい値 T

1

は一般的

に受信系の

RMS

雑音レベルの

200 %

に設定する。この時点で,光ファイバのランダムモード結合が無視で

きるかどうかを決定しておく必要がある。

P

(

δτ

)

の有効データの最初の 点が全て T

1

未満である場合は,P

(

δτ

)

がモード結合を無視できる光ファイ

バの離散的なスパイク状の特性であることを示している。フーリエ解析前にゼロ点付加をしない場合,X

の値は

3

となる。この場合,の値は式

(A.5)

で決定できる。

L

N

X

3

=

  (A.5)

ここに,

N: 測定データ点数

L: ゼロ点付加後の配列の全長

モード結合が無視できる光ファイバにおいては式

(A.6)

を用いて

PMD

を計算する。ランダムモード結合

する光ファイバにおいては

PMD

は式

(A.7a)

及び式

(A.7b)

を用いて計算する。

A.3.2.1 

モード結合が無視できる光ファイバにおける PMD 計算 

校正に用いる光ファイバなどの,モード結合が無視できる光ファイバ(例えば,高複屈折光ファイバ)

又は複屈折コンポーネントにおいては,R

(

λ

)

はチャープした正弦波になる(

図 A.2A)。

図 A.2A−ランダムにモード結合を無視できる場合 


15

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

注記

対応国際規格には

図 A.2A の記載がないが,誤りであるため追記した。

相対的なパルス到着時間 δτ に相当する位置に離散的スパイクをもつ P

(

δτ

)

出力をフーリエ変換によって

求める。この重心が

PMD

期待値

τ

>

である。

スパイクの重心の

PMD

期待値

τ

>

を定義するために,式

(A.6)

において,前もって定義する第

2

のしき

い値 T

2

を超えるデータ点を計算に用いる。

T

2

は一般的に受信系の雑音レベルの

RMS

200 %

に設定する。

( )

[

]

( )

=

=

=

Δ

M

e

e

M

e

e

e

δ

P

δ

δ

P

0

0

τ

τ

τ

τ

  (A.6)

ここに,

M'

1

スパイクの中で

T

2

を超える

P

のデータ点の数

(A.6)

において,

τ>

は通常ピコ秒で表記する。一つもスパイクが検出されない(すなわち

M'

1

0

場合,

PMD

はゼロである。スパイクの

RMS

幅,スパイクのピーク値などのその他のパラメータも必要に

応じて記録する。

被試験デバイスが一つ以上の複屈折要素をもっている場合,二つ以上のスパイクが発生する。

n

本の連

結した光ファイバ・デバイスについては,最大

2

(n-1)

個のスパイクが得られる。

A.3.2.2 

ランダムなモード結合のある光ファイバの PMD 計算 

ランダムなモード結合のある場合は,

R

(λ)

図 A.2 のような複雑な波形となる。正確な特性は光ファイ

バ/ケーブル内の結合過程の実際の統計に基づく。そして,フーリエ変換されたデータは

P

(δτ)

の分布にな

る。この分布は,光ファイバ内の光パルス到達時間

δτ

の確率分布の自己相関を示す(

図 A.3 参照)。

T

1

を超える

P

の最初のポイントとして

j

0

から数え始め,

X

個以上の

T

1

以下となるデータ点が続く点

までとする。この点は,ランダムモード結合をもつ光ファイバにおける分布

P

(δτ)

の最後の重要な点(すな

わち“終わり”

)を表している。その点は実質的に測定雑音の影響を受けない。この点の

δτ

値を

δτ

last

と表

し,

δτ

last

での

j

の値を

M"

と表す。

光ファイバの

PMD

RMS

である

τ

2

>

1/2

を,この分布の二次モーメントの平方根

σ

R

として定義し,式

(A.7a)

によって計算する。

2

1

0

0

2

2

/

1

2

]

)

(

[

)

(

=

=

Δ

=

=

''

''

M

j

j

M

j

j

j

R

δ

P

δ

δ

P

τ

τ

τ

σ

τ

]

[

  (A.7a)

ここで,

DGD

がマクスウェル分布に従うと仮定する場合,式

(A.7b)

DGD

RMS

で定義される

PMD<Δτ

2

>

1/2

と,

DGD

の平均によって定義される

PMD<τ>

との関係を与える。

2

/

1

2

2

/

1

3

8

τ

τ

Δ

π

=

Δ

  (A.7b)

A.3.2.3 

混合結合する光ファイバシステムにおける PMD 計算 

モード結合を無視できる光ファイバ/コンポーネント及びランダムなモード結合の光ファイバの両方が

連結してリンクを形成する場合もある。この場合,重心決定[式

(A.6)

]及び二次モーメント計算[式

(A.7)

の両方が必要となる。

なお,

P

(δτ)

内のスパイクは,計算した

δτ

last

に関係なく決定されることに注意する。


16

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 A.3−フーリエ解析による PMD 

A.3.3 

スペクトル領域 

ランダム結合のある光ファイバにおいて,十分な精度とともにスペクトルのアンサンブルを形成するた

めには十分なスペクトル領域を使用しなければならない。可能な限り広範囲のスペクトル領域(例えば,

200 nm

以上)を用いることによって,統計的な不確かさを最小にできる。測定の前に,要求する精度,す

なわちスペクトル領域を規定しなければならない。

さらに,非常に低い

δτ

値は

R

(λ)

において非常に長い周期に相当し,可能な場合,

λ

1

から

λ

2

までのスペク

トル領域は二つ以上の完全な“周期”に及ぶことが望ましい。このスペクトル領域は

δτ

の最小値

δτ

min

定義する。この最小値は,式

(A.8)

のように受光パワー

P

(δτ)

において得ることができる。

0

1

2

2

1

min

)

(

2

c

τ

δ

λ

λ

λ

λ

=

  (A.8)

ここで,A.2 に記載した受光パワー

P

において一般的にゼロ又はゼロ付近の二つのデータポイントを無

視することに対応して,係数

2

を導入している。例えば,波長

λ

1

1 270 nm

及び波長

λ

2

1 700 nm

におい

て,

δτ

min

0.033 ps

となる。

図 A.2A のように,パワー比

R

(λ)

のランダムモード結合が無視できる高

PMD

光ファイバの場合は,試験

する波長における

PMD

の変化を許容するために,上記のスペクトル平均化への要求条件を緩和して,ス

ペクトル領域を狭く[例えば,

(λ

2

λ

1

)

は約

30 nm

]設定してもよい。

0

0.005

0.01

0.015

0.02

0.025

0.03

0.035

0.04

0,045

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0.45

0.5

相対パルス到達時間   ps

確率

 (

a

.u

.)

FFT

強度

ガウシアン
近似

閾値 = 0.001 5

X

2

= 22.61

,ガウス分布

PMD = 0.167 ps

(二次モーメント)

PMD

係数 = 0.033 4 ps/km

1/2

j = 0

j = M'' = 9

しきい値 = 0.001 5


17

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 B

(規定)

ストークスパラメータ解析法

この附属書は,ストークスパラメータ解析法に特有の要求事項について規定する。

B.1 

装置 

図 B.1 に,通常

JME

とともに用いる方法

B

の実現可能なブロック図を示す。

図 B.1−狭帯域(波長可変レーザ)光源を用いた方法 のブロック図 

図 B.2 に,通常,

PSA

とともに用いる方法

B

の他の実現可能なブロック図を示す。

図 B.2−広帯域(ASE)光源を用いた方法 のブロック図 

B.1.1 

光源 

全ての場合において,ポラリメータの種類によって,

2

種類の光源を使用できる。

図 B.1 に示す波長可

変レーザのような狭帯域の光源は,偏波アナライザとともに使用できる。光増幅器を用いたリンクでは,

波長可変

レーザ

偏波コントローラ

45°

90°

ポラリメータ

被試験ファイバ

IEC   005/06

ストークス

ベクトル

マイケルソン

干渉計

HeNeLaser

リンク

ASE 

Source

主偏波状態生成機

アナライザ

ヘリウム 
ネオンレーザ

Analysis

解析 

ASE 
光源

ポラリメータ

IEC   006/06


18

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

光増幅器による

ASE

の悪影響を避けるため,狭帯域光源の偏光度は,該当する波長範囲にわたり,ある制

限値以上となるように保たれなければならない。また,

図 B.2 に示す高出力の広帯域光源は,光スペクト

ラムアナライザ又は干渉計のような狭帯域透過ポラリメータとともに用いる。この干渉計は,ポラリメー

タの前又は被測定リンクの前若しくは後に設置するフーリエ変換スペクトラムアナライザとして用いる。

また,広帯域光源を用いる場合,透過フィルタの幅は,計算の目的に合ったスペクトル幅とする。光増幅

器を含むリンクは,リンクの

ASE

が高く評価対象となる全波長範囲でスペクトルが平たんである場合を除

き,広帯域光源は狭帯域光源と同等の偏光度が不要となるように十分な波長数を常に含む必要がある。

いずれの場合も,必要とされる偏光度(5.1 参照)を保つように十分に小さくする。不要なコヒーレント

干渉効果及びその他のスプリアスノイズを避けるため,スペクトル幅は選択したステップ幅に比べ極端に

小さくならないようにしなければならない。いずれの場合も,波長範囲は,十分な精度で有効な

PMD

定ができるように十分に広くしなければならない(B.3 参照)

偏波コントローラは三つ以上の,既知で,かつ,異なる偏波状態の範囲で可変でなければならない。異

なる

SOP

は,通常,直線偏光で

0

°,

45

°及び

90

°[各測定波長に対しては式

(E.4)

参照]である。

B.1.2 

ポラリメータ 

選択した各入力偏波状態及び波長に対して,出力ストークスベクトルを測定するため,ポラリメータを

用いる。

B.2 

手順 

リンクの出力は,ポラリメータを含むアナライザに接続する。要求する波長領域に適切な範囲で,望ま

しい精度(B.3 参照)の波長間隔

δλ

で波長を掃引する。狭帯域光源に関しては,推定

DGD

の最大値

Δτ

max

測定領域の中心波長

λ

0

,真空での光速

c

299 792 458 m/s

)として,波長間隔

δλ

は式

(B.1)

で求める。

max

2
0

2

τ

λ

λ

Δ

c

δ

  (B.1)

例えば,DGD の最大値と波長間隔の幅との積は,波長 1 550 nm で Δ

τ

max

が 4 ps·nm 以下,波長 1 300 nm

で Δ

τ

max

が 2.8 ps·nm 以下となるように保たれなければならない。これによって,一つの波長条件から次の

波長条件まで,出力偏波状態はポアンカレ球の基本状態軸に対して 180°以内でしか回転しない。Δ

τ

max

概算ができない場合,一連のサンプル測定をその波長範囲にわたり行う。各測定には,スペクトル幅及び

光源の最小可変波長間隔に適合した近接する波長の組を用いる。この方法で測定される DGD の最大値に

安全係数 3 を乗じた値を式(B.1)の Δ

τ

max

に代入することで,実測定で使われる

δλ

の値が求められる。測定

に用いる波長間隔が大きすぎる懸念がある場合,少ない波長間隔で測定を繰り返してもよい。波長に対す

る DGD の曲線の形及び DGD の平均値が基本的に変化しない場合,初期の波長間隔は適切である。

広帯域光源に関しては,アナライザの分解能帯域幅は式(B.2)の関係を満たさなければならない。

max

2
0

5

 
τ

λ

λ

Δ

c

RBW 

  (B.2)

各波長でデータ測定を行う。各波長について,用いる偏波状態[式(E.4)参照]に応じて入力偏波状態を

回転し,対応する出力ストークスベクトル,

Hˆ

V

ˆ 及び

Q

ˆ を記録する。出力ストークスベクトルは,単位

長さ当たりに規格化する。B.3.1 に規定する JME の計算に当たっては,計算を終える前に,規格化ストー

クスベクトルを,式(E.4)(0<

θ

<π の範囲を仮定)を用い規格化ジョーンズベクトルに変換しなければな

らない。B.3.2 に規定する PSA に関しては,規格化出力ストークスベクトルは規格化ジョーンズベクトル

に変換せずに用いる。


19

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

B.3 

計算 

これらの計算手法は,一つの光角周波数

ω

におけるベクトルと次の

ω

+Δ

ω

におけるベクトルとの差分

の評価を必要とする(光角周波数は

ω

=2π

c

/

λ

で与えられる)

JME 及び PSA とも,波長に応じた一連の DGD 値を計算する。図 E.4 にその例を示す。また,DGD 値は

図 E.5 のようにヒストグラム形式で表示してもよい。

これらの DGD 値の波長域での平均は PMD 期待値となる。

注記 JME 及び PSA の計算は,一次の PMD 期待値の推定で,PDL を無視できる条件下では,数学的

に等価である。

B.3.1 

ジョーンズ行列固有値解析法(JME 

JME に関して,応答ジョーンズ行列はストークスパラメータから各波長に対し計算される。各波長間隔

に関し,高い光周波数のジョーンズ行列

T

(

ω

+Δ

ω

)と低い光周波数の逆ジョーンズ行列

1

(

ω

)との積を計

算する。特定の波長間隔に対する DGD 値 Δ

τ

は,式(B.3)に示す偏角式から求められる。

ω

ρ

ρ

τ

Δ





=

Δ

2

1

Arg

  (B.3)

ここに,

ρ

1

及び

ρ

2

T

(ω

Δω)

1

(ω)

の複素固有値

Arg

偏角関数。すなわち,

Arg(ηe

)

θ

η

は,複素絶対値

(実数)

T

(ω

Δω)

及び

T

(ω)

は,B.3.1.1 の測定及び計算から導かれる。

データ解析の目的上は,各

DGD

Δτ

は低い周波数側での

DGD

値である。波長範囲にわたる一連の波

長間隔から得られた一連の

DGD

値が,一つのリンクの

PMD

測定結果である。

B.3.1.1 

ジョーンズ行列固有値解析法(JMEDGD 計算 

R. C. Jones

は,未知の線形かつ時間不変な光リンクの前方伝達ジョーンズ行列を実験的に決定するため

の明確なアルゴリズムを示した

[2]

。線形性の制限によって,新たな光周波数を生み出す光リンクは考慮し

ない。時間不変の制限は,リンクで発生する偏波変換に対してだけ適用され,絶対的な光学位相遅延は含

まない。このため,

DGD

測定装置が位相遅延変化による影響を受けない場合,光ファイバ内で位相遅延が

測定中に変化したとしても,この手法は光ファイバ網の特性評価に用いることができる。

ジョーンズ行列の測定は,リンクに対する直線偏光のような,三つの既知で,かつ,異なる偏波状態を

用いる必要がある。次に説明するプロセスでは,ジョーンズによって説明され,また,

図 E.3 にも図示さ

れているとおり,

0

°,

45

°及び

90

°で生じる直線偏光状態を用いる。その他の入力偏波状態を考慮して

も,この計算は一般化できる。

いかなるジョーンズベクトル

V

も,強度,絶対位相,及びポアンカレ球上の偏波状態を定める単位ベク

トルによって完全に規定できる。リンクのジョーンズ行列を測定するために,

x

軸(

0

°)に平行な直線偏

光状態の励振光場がはじめに生成され,その応答単位ジョーンズベクトル hˆ が,リンクの出力において測

定され計算される。同様に,y 軸(90°)に平行,かつ正方向の x 軸及び y 軸間(45°)の二等分線に平

行な直線偏光状態の励振光場は,各々,応答単位ジョーンズベクトル vˆ 及び qˆ となる。

三つの励振場の強度に依存しない三つの複素比率は, hˆ , vˆ 及び qˆ の x 成分及び y 成分から式(B.4)のよ

うになる。

y

x

h

h

k

=

1

y

x

k

ν

ν

=

2

y

x

q

q

k

=

3

  (B.4)


20

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

そして,

4 番目の比率 k

4

=(k

3

k

2

)/(k

1

k

3

)が求まる。複素定数 β の範囲内で,伝達ジョーンズ行列は式(B.5)

で表される。





=

1

 

4

2

4

1

k

k

k

k

T

  (B.5)

B.3.1.2 

群遅延時間差(DGD)測定 

主偏波状態の定義によって,一般的なリンクは二つの入力主偏波状態

( )

ω

xˆ

に関連付けられる。入力偏波

状態が一定で光角周波数

ω

が少ししか変化しない場合,

( )

ω

xˆ

は出力側で単位ベクトルが

ω

に一次近似的

には依存しない二つの主偏波状態となる。一般伝達ジョーンズ行列

T(ω)

に関し,出力主偏波状態は強度

σ(ω)

及び絶対位相

φ

(ω)

を用いて,単位ベクトル

( )

ω

ˆ

との積を式

(B.6)

のように表すことができる。単位ベク

トルは,出力主偏波の偏波状態を規定する。

( ) ( ) ( )

( )

ω

σ

ω

ω

ω

ω

φ

y

e

ω

T

y

i

ˆ

)

(

=

ˆ

=

)

(

  (B.6)

σ(ω)

及び

φ

(ω)

は,

ω

に応じて変化する場合があるが

( )

ω

yˆ

は,出力主偏波状態の定義によって,一次近似

では周波数に依存しない。

ω

での微分を示すプライムを使うことで,式

(B.6)

の微分

y

は式

(B.7)

のようにな

る。

y

e

y

i

x

T

y

i

+





+

ˆ

=

ˆ

=

φ

σ

φ

σ

σ

  (B.7)

絶対位相の一次微分

φ

'

は,ネットワークにわたる群遅延

τ

g

である。ネットワークが不完全に偏光してい

る場合,その伝達ジョーンズ行列

T

は正則で,その入力は出力を用いて

y

T

x

1

ˆ

=

と表される。

ˆ

を明示的

0

に設定することによって,式

(B.8)

に示す固有値方程式を得る。

0

ˆ

g

1

=

+

=

y

I

i

'

y

T'T

'

y

e

i

τ

σ

σ

σ

φ

  (B.8)

ここに,

  I

単位行列。対角の値が

1

で,それ以外の値が

0

である正方行列

伝達ジョーンズ行列の積の固有値の虚部は,主偏波状態に関連する群遅延である。

PMD

を導く

DGD

Δτ

は,二つの固有値の虚部の差である。出力主偏波状態自体は,

T'T 

1

の固有ベクトルである。この固有

値は

PDL

を含むネットワークではユニタリ行列とならない場合もあるが,この場合,出力主偏波状態は必

ずしも直交している必要はない。

絶対位相の測定を含む

T'

及び

T

の測定によって,二つの群遅延及び

Δτ

を直接計算できるが,実際には,

上記のとおりジョーンズ行列測定方法によって二つの制限がある。直接

T'

を測定しない代わりに,有限の

Δω

に関し,

T'

[T(ω

Δω)

T(ω)]/Δω

と近似しなければならない。周波数間隔

Δω

が十分に小さく各出力

主偏波状態が

ω

ω

Δω

とでほぼ同じ減衰量となる場合,

σ'Δω/σ

0

となり,式

(B.8)

は式

(B.9)

に書き換

えることができる。

(

) ( )

(

)

[

]

0

1

1

=

Δ

+

Δ

+

y

I

i

T

T

g

ω

τ

ω

ω

ω

  (B.9)

二番目の制限要因は,二つの群遅延が個別に決まることを避けるため,

T(ω

Δω)

1

(ω)

並びにその関連

する固有値

ρ

1

及び

ρ

2

は,複素定数の範囲でしか決まらないことである。被測定リンクの減衰量が偏波に依

存しない場合,

T(ω

Δω)

1

(ω)

の固有値は,

βρ

1

及び

βρ

2

となる。ここで,

β

は複素定数であり,

ρ

k

ρ

k

=exp(iτ

g,k

Δω)

と表される。ゆえに,

DGD

Δτ

は式

(B.10)

となる。

Δτ = |τ

g,1

 – τ

g,2

| = |Arg(ρ

1

 /ρ

2

) / Δω|  (B.10)

ここに,

ρ

1

及び

ρ

2

T(ω

Δω)

1

 (ω)

の固有値

Arg

偏角関数,すなわち

Arg (αe

)

θ


21

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

PDL

が存在する場合であっても,固有値は式

(B.11)

のように近似できる。

ρ

k

 = 1 + 

g,k

Δω

 exp(

g,k

Δω)  (B.11)

実際には,

Δτ

の測定時に

PDL

が与える影響は,十分に小さい光角周波数間隔

Δω

を用いることで低減で

きる。多値性をもつ偏角関数の曖昧さを避けるため,全ての場合で

ΔτΔω

π

という条件を満たさなければ

ならない。

B.3.2 

ポアンカレ球解析法(PSADGD 計算 

[4]

に示された解析は,

JME

の偏角関数の代替手法で,それはアークサイン関数に基づくものである。

測定される規格化ストークスベクトル,

Hˆ

Vˆ

及び

Qˆ

から,

hˆ

vˆ

及び

qˆ

は,式

(B.12)

のように計算さ

れる。

H

h

ˆ

ˆ

= ,

H

Q

H

Q

H

q

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

×

×

×

=

q

V

q

V

q

v

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

×

×

×

=

  (B.12)

この計算処理によって,この解析法では入力偏波状態に依存しなくなり,結果として,その入力偏波状

態を知る必要がなくなる。

そのストークスベクトルから, hˆ , vˆ 及び qˆ は,各波長での

q

h

c

ˆ

ˆ

ˆ

×

=

及び

v

q

c

ˆ

ˆ

ˆ

×

=

というベクトル積を構

成する。各波長間隔に関し,有限差分を計算する。

)

(

ˆ

)

(

ˆ

ˆ

ω

ω

ω

h

h

h

Δ

+

=

Δ

)

(

)

(

ˆ

ω

ω

ω

q

q

q

Δ

+

=

Δ

)

(

)

(

ˆ

ω

ω

ω

v

v

v

Δ

+

=

Δ

)

(

)

(

ω

ω

ω

c

c

c

Δ

+

=

Δ

)

(

ˆ

)

(

ˆ

ˆ

ω

ω

ω

c

c

c

Δ

+

=

Δ

  (B.13)

式(B.14)によって,特定波長の増分に対する DGD 値

τ

Δ が求まる。

(

)

(

)





Δ

+

Δ

+

Δ

+



Δ

+

Δ

+

Δ

Δ

=

Δ

2

2

2

2

2

2

ˆ

2

1

2

1

arcsin

ˆ

ˆ

ˆ

2

1

2

1

arcsin

1

c

v

q

c

q

h

ω

τ

  (B.14)

注記

h

h

h

ˆ

ˆ

ˆ

2

Δ

×

Δ

=

Δ

各 DGD 値は,相当する波長間隔の中点における DGD 値を表す。


22

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 C 
(規定)

干渉法

この附属書は,干渉法(INTY)を用いた PMD 測定方法(方法 C)の詳細な要求事項について規定する。

この方法では通常,PMD

RMS

[DGD の RMS,式(1b)参照]を測定し,DGD 分布がマクスウェル分布に完全

に一致するという仮定の下で,式(1c)を用いて PMD

AVG

(DGD の線形平均)に変換する。

方法 C には,次の 2 種類の測定方法がある。

−  基本的な測定系を用いる,慣例的な干渉法(TINTY)[9-11]

− TINTY を一部変更した測定系を用いる,一般的な干渉法(GINTY)[12]

図 C.1 が,方法 C(INTY)の一般的な測定系の試験構成である。この測定系を変更した図 C.2,図 C.3

の測定系を用いることもある。

干渉計

被測定リンク

S(

ν

)

検光子

フーリエ変換

遅延 (

τ)

相互相関

S

o

(

ν

)

広帯域

光源

偏光子

自己相関

フリンジ

包絡

 E

)

SOP

偏波状態

S(

ν

) =       {1 + [

ŝ(

ν

)

⋅ ŝ

a

 ]}

S

o

(

ν

)

1
2

S

s

(

ν

)

ŝ

o

ŝ(

ν

)

J(

ν

)

ŝ

a

P(

τ)

S

o

(

ν

)

ペクト

 S

(

ν

)

図 C.1INTY(方法 C)の一般的な測定系 

図 C.1 及びこの附属書で用いるパラメータを,次のように定める。

ν

光周波数(λνc

τ

干渉計の二つの光路間の往復遅延時間差

S

s

(ν)

被測定リンク入力における光スペクトル

S

o

(ν)

被測定リンク出力(検光子入力)における光スペクトル

S(ν)

検光子出力(干渉計入力)における光スペクトル

0

ˆ

被測定リンク入力における入力 SOP(単位ストークスベクトル)

)

(

ˆ

ν

s

被測定リンク出力における出力 SOP

a

ˆ

検光子透過軸


23

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

x(ν)

)

(

ˆ

ˆ

a

ν

s

s

)

(

ˆ

ν

s

の検光子透過軸に対する射影成分。

このパラメータ x(ν)が PMD の情報を含んでいる。

)

(

τ

P

遅延時間 τ の関数とした,干渉計の出力光パワー

)

(

~

τ

P

P(τ)の τ に依存した成分(交流成分)

P

0

P(τ)の一定部分(直流部分)

E(τ)

干渉しま(縞)の包絡線

E

x

(τ)

相互相関包絡線

E

0

(τ)

自己相関包絡線

干渉計の出力光パワーP(τ)は,交流成分と直流成分との和に等しい。両成分は τ=0 で等しいので,交流

成分を計算することができる。理想的な干渉計では交流成分は偶関数であり,その右半分が検光子から出

力される光スペクトル S(ν)のコサインフーリエ変換に等しい。理想的でない干渉計では,測定の詳細によ

って何らかの補正を行ってもよい。

TINTY では,干渉波形の包絡線 E(τ)が交流成分の絶対値となる。GINTY における相互相関及び自己相関

の包絡線を得るための付加的な計算は,C.2.1.3 に記載する。これらの計算には,互いに直交する二つの

SOP に検光子をそれぞれ設定して測定した,二つの干渉波形を用いる。

C.1 

慣例的な干渉法(TINTY 

C.1.1 

装置 

図 C.2 は,方法 C のうち TINTY を用いたリンク測定のブロック図である。

図 C.2TINTYTINTY 方法 C)の概略図 

C.1.1.1 

光源 

測定する波長帯で発光する,偏光した広帯域光源を用いる。例えば,LED,スーパーフローレッセント

光源(superfluorescent source)などを偏光子とともに用いればよい。中心波長 λ

0

は,1 310 nm 帯,1 550 nm

帯又はその他の測定波長帯内にあるものとする。スペクトル形状はほぼガウス形である必要があり,出力

光の自己相関関数に影響を与えるリップルがあってはならない。式(C.1)で定めるコヒーレンス時間 t

c

を計

算するため,光源線幅(LED の分野ではスペクトル幅とも呼ばれる)Δλ は,既知でなければならない。

c

t

2
0

c

λ

λ

Δ

=

  (C.1)

ここに,

λ

0

光源の中心波長

Δλ: 光源の線幅

コントローラ

被測定リンク

コネクタ

偏光子

ミラー

可動ミラー

フリンジ包絡線

検出

光源

C

/


24

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

c: 真空中の光速

C.1.1.2 

ビームスプリッタ 

ビームスプリッタは,

偏光した入射光を干渉計の各光路を伝搬する二つの成分に分岐するために用いる。

これは,光ファイバカプラ又はコーナーキューブビームスプリッタでもよい。

C.1.1.3 

干渉計 

空間形又は光ファイバ形のいずれかのマイケルソン干渉計を被測定リンクの検出端に設置する。干渉計

の自己相関ピーク応答を除去するためには,例えば,四分の一波長板を用いることができる。ただし,LED

の帯域の全波長において四分の一波長と等しく,自己相関ピークを効果的かつ完全に除去できるような四

分の一波長板を見つけることは極めて難しい。

C.1.2 

手順 

C.1.2.1 

校正 

既知の PMD をもつ高複屈折光ファイバを測定することで,装置の校正を行う。代わりに,既知の PMD

をもった高複屈折光ファイバの接続物を測定してもよい。

C.1.2.2 

定常操作 

被測定リンクの片端を光源の偏光出力に接続し,他端を干渉計の入力に接続する。これは,標準的な光

ファイバコネクタ,スプライス又はファイバ調芯系を用いて行うことができる。ファイバ調芯系を用いる

場合には,接続部の反射を避けるために屈折率整合オイルを用いる。

光源の出力光パワーを,用いる検出系特有の基準値となるように調整する。十分なコントラストの干渉

しま(縞)を得るため,干渉計の両光路の光パワーがほぼ等しくなるように設定する。

まず初めに,干渉計アームの一方のミラーを動かして二つのアームの光路長差を変更しながら,光強度

を記録する。一つの入力 SOP に対して得られた干渉しま(縞)パターンから,C.1.3 に記載する方法で PMD

の遅延を計算する。ランダムな偏波モード結合がある場合の干渉しま(縞)パターンの典型例を,

図 C.3

に示す。干渉しま(縞)パターンは,理想的なランダムモード結合を表わすスムーズなガウス形スペクト

ルである必要がある。

モード結合が不十分な場合,又は,PMD が低い場合は,異なる入力 SOP に対して繰り返し測定をする

か,又は,全ての入力 SOP に対する平均を得るために,測定中に偏光状態を変調することが望ましい。


25

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 C.3TINTY(方法 C)によって得られる典型的なデータ 

C.1.3 

計算 

次の計算は,リンクのモード結合が強い場合,又はランダムな場合に適している。中央部分のピークを

無視して,干渉波形の広がりを評価する。

検出信号(干渉波形)の相互相関関数の二次モーメントの平方根(RMS 幅)から,PMD

RMS

値を式(C.2)

によって決定する。

ε

PMD

σ



=

4

3

RMS

   (C.2)

ここに,

σ

ε

相互相関包絡線の

RMS

測定した干渉しま(縞)の包絡線から計算するアルゴリズムの詳細は,G.1 に記載する。

幾つかの仮定に基づくと,理論上

[9-11]

,式

(C.2)

は式

(C.3)

で式

(1b)

と関係付けることができる。

2

2

4

3

ε

σ

τ

=

Δ

  (C.3)

(C.3)

に用いた仮定は,次のとおりである。

理想的なランダムモード結合

注記 1

理想的なランダムモード結合とは,

L/h → ∞

であり,かつ,複屈折率軸が均一に分布している

ことを意味する。ここで,

L

はリンクの長さ,

h

は偏波結合長である。長さ

h

の複屈折率部

分が

N

個つながっているリンクの場合は,軸が均一に分布し,

N → ∞

であることに相当する

注記 2

モード結合がない場合,又は無視できる場合の解析も可能である。

リップルのない,純粋なガウス形スペクトルをもつ光源

 PMD

>>

σ

0

ここで,

σ

0

は自己相関包絡線の

RMS

幅である。

エルゴード性

注記 3

光源がガウス形スペクトルをもつ場合,測定結果は

DGD

値の加重平均となる。この加重は

PMD

遅延   ps

0

500

1 000

1 500

2 000

2 500

3 000

3 500

t

j

 

min

t

j

left

t

j

right

t

j

 

max

–5 –4

–3  –2

–1

0

1

2

3,01

4,01

5,01

強度

IEC   009/06


26

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

GINTY

では規定しているが,

TINTY

では規定がない。この理由から,方法

C

のうち

TINTY

では,同じ波長範囲及び時間に対して,方形加重を用いた方法とは異なる結果になると予想

される。エルゴード性の仮定によって,予想できる値の関係性が有効になるが,実際には,

その他の方法の異なる測定では波長範囲もまた異なるため,測定結果もまた異なることを意

味している。

C.2 

一般的な干渉法(GINTY 

GINTY

は,

TINTY

において式

(C.3)

で必要だった仮定のうち,幾つかを次のように取り除くことができ

る。

理想的なランダムモード結合の仮定を必要としない。

ガウス形光源の仮定を必要としない。

 PMD

が自己相関関数の

RMS

幅に比べて大きいという仮定を必要としない。

C.2.1 

装置 

図 C.2 に示した測定系に加えて,図 C.4 には方法

C

GINTY

)を用いたリンク測定のブロック図を示す。

広帯域

光源

偏光子

被測定リンク

SOP

スクランブラ

偏波ビーム
スプリッタ

干渉計

偏波 
ダイバーシティ
検出器

フリンジ: P  (

τ

)

P  (

τ

)

検光子

x y

図 C.4−方法 CGINTY)の概略図 

図 C.4 の測定系を用いて

GINTY

(方法

C

)を行い,二つの干渉波形

P

x

及び

P

y

を得る。これら二つの干

渉波形は,

図 C.1 の測定系において,検光子を直交する二つの方向に配置を変えて測定した場合に対応す

る。偏波スクランブラによって,入力

SOP

及び二つの検光子の実効的な透過軸をランダムに変更する。

C.4

の“干渉しま(縞)

”が,理想的な干渉波形の交流成分に相当し,

図 C.1 においては,ある一つの入力

SOP

及び検光子透過軸の組合せに対して得られたものである。これら二つの干渉しま(縞)の和及び差を

二乗することで,自己相関関数及び相互相関関数の二乗包絡線を得る。

C.2.1.1 

光源 

測定する波長帯で発光する,

LED

,スーパーフローレッセント光源などの広帯域光源を用いる。中心波

長は,

1 310 nm

帯,

1 550 nm

帯又はその他の測定波長帯内にあるものとする。これ以外に,光源スペクト

ルに対する特別な要求事項はない。


27

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

C.2.1.2 

偏光子,スクランブラ 

偏光状態のスクランブルは,物理的には被測定リンクの入出力端それぞれに一つずつ可変偏光子を挿入

することで行い,

1

回の干渉計掃引に対して異なる入力偏光状態及び検光子軸を設定する。複数の入出力

偏光状態を選択することで,一つの入出力偏光状態で測定する場合よりも,更に詳細な干渉波形包絡線及

び平均二乗包絡線を得ることができる。単一偏光状態での測定は,スクランブラを必要としない選択肢の

一つではあるが,複数の偏光状態を用いることによって,

PMD

測定精度を方法

B

と同程度にまで改善す

ることができる。また,複数のアナライザ設定を用いることもある(C.2.1.3 参照)

。概念的には,スクラ

ンブルの手順は次による。

入力偏光子及びその後に続くスクランブラは,ポアンカレ球上の任意の点に軸が設定された等価な偏

光子単体として働き,入力偏光状態を決定する。

スクランブラ及びその後に続く検光子は,ポアンカレ球上の任意の点に軸が設定された等価なアナラ

イザとして働き,出力偏光状態を決定する。

一組の入力偏光状態と検光子軸との組合せは,一つの入出力偏光状態として認識される。その目的は,

均一に分布した入出力偏光状態において平均化した二乗平均包絡線を得ることにある。この目的を達成す

るためには,実際には次に示す幾つかの方法が可能である。

C.2.1.2.1 9-

偏光状態のミューラーセット 

九つの特定の入出力偏光状態においてそれぞれ観測された二乗包絡線の合計は,均一にスクランブルさ

れた二乗平均包絡線と厳密に等しい。これら九つの入出力偏光状態とは,直角三面体を形成する三つの入

力偏光状態,及びそれぞれの偏光状態に対してまた直角三面体を形成する三つの検光子軸のことである。

C.2.1.2.2 

ランダムスクランブル 

掃引ごとのスクランブル:それぞれの掃引において,スクランブラを自動又は手動にて設定する。

連続スクランブル:二乗包絡線を合計する場合,掃引中にスクランブルが実行される。自動スクラン

ブラは,ポアンカレ球を網羅するよう,時間に応じて連続的に設定される。

高速・単一掃引スクランブル:スクランブラが十分に速い場合は,一度の掃引で十分にスクランブル

された二乗包絡線を観測することができる。しかし,そのためには干渉波形の交流部分と直流部分と

の間のクロストークを避けるための特別な対策が必要である。

C.2.1.3 

偏波ビームスプリッタ 

偏波ビームスプリッタ(

PBS

)は,同じ入出力

SOP

の組合せに対して直交する(ポアンカレ球の反対側

にある)出力

SOP

から干渉波形を得るために用いる。これら二つの干渉波形から,自己相関及び相互相関

を別々の関数として計算することができる。

PBS

は,検出系とともに偏波ダイバーシティ検出系を構成す

る。直交する出力

SOP

からこれらの干渉波形を得るには,

PBS

以外の手段を用いることもできる。

互いに直交する二つの検光子軸(ポアンカレ球の反対側)において観測される二つの干渉しま(縞)パ

ターンを用いて,自己相関及び相互相関の包絡線を次のように計算することができる。

単一の入出力

SOP

に対する自己相関包絡線

)

(

~

)

(

~

)

(

y

x

0

τ

τ

τ

P

P

E

+

=

  (C.4a)

単一の入出力

SOP

に対する相互相関包絡線

)

(

~

)

(

~

)

(

y

x

x

τ

τ

τ

P

P

E

=

  (C.4b)


28

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

C.2.1.4 

干渉計 

空間形又は光ファイバ形のいずれかのマイケルソン干渉計を被測定リンクの検出端に設置する。

C.2.2 

手順 

C.2.2.1 

校正 

C.1.2.1

にしたがって,装置を校正する。

C.2.2.2 

定常操作 

図 C.2 の測定系を用いる場合は,リンクの片端を偏光源の偏光出力に接続し,他端を干渉計の入力に接

続する。

図 C.4 の測定系を用いる場合は,リンクの片端をスクランブラと偏光子との組合せの出力に接続

し,他端をスクランブラと干渉計との組合せの入力に接続する。

光源の光出力パワーを,用いる検出系特有の基準値となるように調整する。十分なコントラストの干渉

しま(縞)を得るため,干渉計の両光路の光パワーがほぼ等しくなるように設定する。

まず初めに,干渉計アームのミラーを動かし,光強度を記録する。一組の入出力

SOP

に対して得られた

干渉しま(縞)パターン,又は,スクランブルによる

N

組の入出力

SOP

に対して各々得られた干渉しま(縞)

パターンから,C.2.3 に記載する方法で

PMD

の遅延を計算する。代表的なリンクにおいて,ランダム及び

混合偏波モード結合がある場合に測定される平均二乗相互相関包絡線の例を,

図 C.5 及び図 C.6 にそれぞ

れ示す。

図 C.5 は,ランダムモード結合の場合を示しており,

L/h

100

PMD

4.94 ps

σ

A

50 fs

PMD/σ

A

100

である。

注記

図 C.5 のスムージングは,図を見やすくための目安である。解析には,平滑化処理も曲線回

帰も用いない。

–16

–12

–8

–4

0

4

8

12

16

–20

20

遅延   ps

二乗平均包

図 C.5GINTY(方法 C)で得られる典型的なランダムモード結合データ 

図 C.6 は,混合モード結合の場合を示しており,ほぼ平たんな包絡線をもつ。

L/h

の定義は重要な意

味をもたなくなる。被測定リンクは,

L/h

10

のランダムモード結合部分と,

DGD

PMD

Random

/4

PMD

9.97 ps

σ

A

50 fs

のモード結合を無視できる部分とから構成される。

注記

図 C.6 のスムージングは,図を見やすくための目安である。解析には,平滑化処理も曲線回

帰も用いない。


29

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 C.6GINTY(方法 C)で得られる典型的な混合モード結合データ 

C.2.3 

計算 

リンクのいかなるモード結合に対しても,次の計算を適用することができる。

相互相関及び自己相関の干渉波形の二乗包絡線に基づいて

PMD

を決定する。

まず最初に,

N

組の入出力

SOP

の組合せ(番号

i

)に対して,それぞれ干渉波形を測定し,式

(C.4)

によ

って包絡線

E

0i

(τ)

及び

E

xi

(τ)

を求める。次に,二乗包絡線

)

(

2

0

τ

i

E

及び

)

(

2

τ

xi

E

を求め,式

(C.5)

によって二乗平

均包絡線を計算する。

( )

( )

=

i

i

E

N

E

τ

τ

2

0

2

0

1

( )

( )

=

i

xi

x

E

N

E

τ

τ

2

2

1

   (C.5)

そして,得られた二つの二乗平均包絡線の

RMS

σ

0

及び

σ

x

をそれぞれ計算する。この計算アルゴリズ

ムは G.2 に記載する。これら

RMS

幅の理想的な定義は式

(C.6a)

及び

(C.6b)

のとおりである。

=

τ

τ

E

E

τ

τ

τ

τ

τ

σ

d

)

(

d

)

(

2

0

2

0

2

2

0

  (C.6a)

=

τ

x

τ

x

E

E

τ

τ

τ

τ

τ

σ

d

)

)(

d

)

(

2

2

2

2

x

  (C.6b)

(C.6a)

及び式

(C.6b)

の期待値演算子は,入出力

SOP

の均一でランダムな抽出に関するものである。

(C.7)

から

PMD

RMS

を計算することができる。

(

)

2

/

1

2

0

2

RMS

2

3





=

σ

σ

x

PMD

  (C.7)

(C.7)

は,式

(C.8)

を用いて式

(1b)

と関係付けることができる

[12]

( ) ( )

( )

(

)

2

0

2

2

0

2

0

2

2

3

d

d

σ

σ

ν

ν

ν

ν

ν

τ

=

Δ

x

S

S

   (C.8)

(C.6a)

及び式

(C.6b)

RMS

幅の理想的な定義を用いると,式

(C.8)

は,いかなる測定時の

DGD

曲線,又

0

6

2

18

24

30

0,4

0,8

1,2

1,6

36

42

遅延   ps

乗平均包

–6

–12

–18

–24

–30

–36

–42

IEC   012/06


30

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

はいかなる光源スペクトル特性に対しても厳密に正しい。式

(C.8)

の左辺は,スペクトル上で(二乗するこ

とによって)加重のかかった

RMS

計算となる。

エルゴード性を仮定すると,式

(C.9)

の関係を得ることができる。

( ) ( )

( )

Δ

=

Δ

ν

ν

ν

ν

ν

τ

τ

d

d

2

0

2

0

2

2

S

S

  (C.9)


31

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 D 
(規定)

戻り光を用いたストークスパラメータ解析法

この附属書は,戻り光を用いたストークスパラメータ解析法による

PMD

測定(方法

D

)のときに必要

となる詳細な要求事項について記載する。この方法によって,光増幅器を含まない最大

40 km

のリンクに

対して有効な結果を得ることができる。

D.1 

装置 

図 D.1 に装置の配置を示す。

外部共振器

レーザ

偏波

コントローラ

方向性 
結合器

斜め研磨 
コネクタ

被測定 
ファイバ

接続選択

偏波アナライザ

制御信号

A

1

2

3

C 013/06

図 D.1−方法 による配置 

装置の多くのものは方法

B

で用いるものと同じである。異なる要素について次に記載する。

D.1.1 

方向性結合器 

方向性結合器は,光源からリンクへ入射する光と,リンクの遠端で反射されて偏波アナライザに入力す

る光とを結合する。この結合器は低

PMD

0.1 ps

,低

PDL

0.1 dB

,かつ,低反射ロス(

50 dB

以上)で

なければならない。また,結合器は測定時に安定させることが望ましい。

D.1.2 

斜め研磨コネクタ 

このコネクタは,偏波アナライザでの混合信号を避けるため,反射ロス(

50 dB

以上)でなければなら

ない。方向性結合器と角度付きコネクタとの間のパッチコードは,測定時に安定させることが望ましい。

D.1.3 

遠端終端 

リンクの遠端は,出力偏光状態を検出するポラリメータに対して十分な光を反射しなければならない。

光ファイバの軸に対して垂直で滑らかな端面切断が必要となる場合もある。

D.2 

手順 

方法

D

の手順は,リンクの入力部が測定器の入出力に相当する点を除き,方法

B

と同じである。ただし,

リンクの入力部の角度付きコネクタ,及びリンクの出力部の反射端は,特別に準備する必要がある。


32

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

D.3 

計算及び結果の解釈 

所与の波長での

DGD

の計算は,方法

B

と同様である。方法

B

との相違点は,これらの

DGD

の平均値

がリンクの

PMD

とはならない点である。

τ

B

>

は,後方反射

DGD

測定の平均として定義する。測定した

波長領域でのリンクの

PMD

ps

)は,式

(D.1)

となる。

B

PMD

τ

Δ

π

=

2

  (D.1)


33

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 E

(規定)

変調位相シフト法

この附属書は,変調位相シフト法に特有の要求事項について記載する。

E.1 

装置 

主に次の二つの方法を用いる。

入力偏光状態を全掃引する方法

入力偏光状態のミューラーセットに関連する出力偏光状態の測定に基づく方法

全掃引法は,単純に一つの偏波コントローラ,又は偏波コントローラを偏波変調器と併せて用いること

で,実現できる。

図 E.1 に,単純な制御構成を,位相の基準となる経路を制御するための代替の接続と併

せて示す。

図 E.2 に,偏波変調の場合の構成を示す。図 E.1 の中の装置でミューラーセット法を行うこと

ができる。

図 E.1−基本装置 

E.1.1 

光源 

各特定波長の

DGD

の測定には,複数のレーザダイオード,波長可変光源,又は単色光分光器若しくは

別のフィルタによってフィルタされた発光ダイオードを用いる。スタートストップ方式の波長試験システ

ムにおいて,試験装置の選定における主要な問題は,評価対象のスペクトルによって必要とされる測定ス

テップ幅をまず決定し,そして,そのステップ幅に基づくナイキスト制限から光源の線幅を選定すること

である。

E.1.1.1 

レーザダイオード 

中心波長及び変調された出力位相を含むレーザ光源のスペクトルは,バイアス電流,変調周波数,及び

光源

(

狭帯域)

偏波

コントローラ

被測定
リンク

光検出器

位相測定回路

高周波発振器

変調信号

コンピュータ

基準信号

強度変調器

= 0,01 GHz -10 GHz

IEC   014/06 

光信号
変調信号

制御信号及び出力信号


34

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

ダイオードの温度について,測定中,安定していなくてはならない。

温度制御及び出力安定制御(例えば,

PIN

ダイオードによる帰還制御)された単一縦モード発振レーザ

ダイオードは,シングルモード光ファイバとともに用いるのに適している。

E.1.1.2 

フィルタリングされた発光ダイオード 

一つ以上の発光ダイオードを用いる。中心波長及び変調された出力位相を含む発光ダイオードのスペク

トルは,バイアス電流,変調周波数,及び発光ダイオードの温度について,測定中安定していなくてはな

らない。

FWHM

線幅が

1 nm

5 nm

に範囲に入るように発光ダイオードの光スペクトルをフィルタする。モノク

ロメータは,フィルタリング又は波長選択のために用いる。

E.1.1.3 

波長可変レーザ 

一つ以上の波長可変レーザを用いる。中心波長及び使用各波長における各レーザの変調位相を含むレー

ザスペクトルは,バイアス電流,変調周波数,及びダイオード温度について,測定中安定していなくては

ならない。通常,温度制御を内蔵した外部共振器レーザユニットを用いる。

E.1.2 

変調 

単一の主フーリエ成分を含む波形を作るため,光源の強度変調を行う。変調周波数は適切な測定精度を

保つため十分に高く,また十分に安定していなくてはならない。

変調は,レーザダイオード又は発光ダイオードへの直接(内部)電流注入によって行う。その他の(外

部の)変調手段も使用できる。例えば,光をリンクに入れる前に変調するために,レーザの後に電気光学

変調器デバイスを配置する(

図 E.1 参照)。変調器は,適切な測定精度を保つように十分に安定していなく

てはならない。

正弦波,台形又は,く形波変調を用いることができる。

0.01 ppm

の周波数安定性があれば,通常,十分

である。

位相シフトの測定時に

n

ラジアン(

n

は整数)の多義性を避けることが重要である。これは,大きな

PMD

係数をもつ場合には変調器周波数を減らすなどによって実現できる。

例えば,

変調周波数を

の差動位相シフトに相当する周波数よりも低い周波数を用いなければならない。

この限界周波数は式

(E.1)

で見積もることができる。

max

3

max

10

DGD

f

=

GHz

    (E.1)

ここに,

DGD

max

予測される最大の典型的な

DGD

値(

ps

実際,典型的な

DGD

値が

100 ps

未満の場合,

f

max

10 GHz

より大きくなり,

f

max

が,次に示すデバイ

スの帯域制限に因る通常の使用範囲(

10 MHz

10 GHz

)の最大値を一般的に超えてしまう。

周波数

f

での変調は,光源の中心波長から±

f

離れた側波帯を生み出し,非常に狭帯域のリンクでは,こ

れは制限となる。正確な位相測定を行うため,変調側帯波及び光源の線幅を含む全占有帯域はリンクの帯

域以下でなければならない。周波数

f

は,デバイス帯域による制限の中で,位相検波回路に都合のよい領

域が通常用いられる。

f

は,通常

10 MHz

10 GHz

の範囲である。

DGD

min

は,

DGD

測定値の

RMS

再現性によって決定し,さらに,用いる最小変調周波数

f

min

を決定する。

f

min

は,位相検出器の位相分解能

δ

φを用いて

(E.2)

式で計算される。

min

3

min

π

2

10

DGD

δ

f

×

×

=

φ

GHz

   (E.2)

ここに,

DGD

min

DGD

再現性の

RMS

値(

ps


35

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

δ

φ: 位相検出器の位相分解能の

RMS

E.1.3 

偏波制御 

被測定リンクへの入力偏光状態は,偏波コントローラを用いて制御する。偏光状態は,コンピュータか

ら制御信号によって制御する。コンピュータは,直交する偏光状態のように,適切,既知,かつ独立な偏

光状態を用いることで,偏光状態間の遅延時間差を測定できる。

偏波コントローラは,被測定リンクの入力部において,複数の偏光状態をもつ偏光を作り出すために用

いる。光源の出力光が無偏光状態の場合,偏波コントローラは入力部に偏光子を含まなければならない。

この偏光状態は,偏光子の後に置かれる可変複屈折素子によって制御する。偏波コントローラの例として

は,液晶遅延板,機械的に動作する複屈折光ファイバループ,電気光学結晶部品がある。

E.1.4 

入出力部の光学部品 

測定中,

各光源の物理的及び光学的な経路長が一定となるように,

光源出力とリンク入力部とを接続し,

またリンク出力と検出システムの入力部とを接続する(これは,偏光状態間の位相差が各経路長の違いに

よって変化しないようにするためである)

。接続部品としては,複数チャネルのシングルモード光スイッチ

又は着脱可能な光コネクタが適切であるが,最も一般的には,融着が用いられる。これらのデバイスは,

測定する波長範囲において,固有の最大

DGD

PDL

及び群遅延が十分に小さくなるよう,選ばなければ

ならない。

注記

校正用光ファイバ測定では,リンクの代わりに,校正用光ファイバを用いる。

偏波コントローラ以降の光経路にある全ての光ファイバコード,

ピグテール,

及びその他の光学部品は,

測定波長域において,固有最大

DGD

PDL

及び群遅延が最小となるようにしなければならない。これら

の要素は,リンクの

DGD

を決める際の不確かさとなる場合がある。

偏光状態の選択は,一般的にコンピュータ制御によって行う。測定結果が光ファイバコードによる遅延

の熱的なドリフトに影響されないようにするため,その偏光状態における位相差の測定は十分に速く行わ

なければならない。

送信時の偏光状態を掃引することによって,

DGD

値を最大位相差によって決定する。位相検出回路及び

コンピュータから構成されるシステムは,幾つかの方法で実現できる。二つの例を次に記載する。

1

の例は,

図 E.1 に記載のとおり,位相測定回路及びコンピュータによって,最初の偏光状態で位相

を記録する。そして,偏波コントローラは,別の偏光状態に設定し,この偏光状態で位相を記録する。選

択された波長における

DGD

は,

2

回の位相読出値の最大の差分によって求めることができる。

2

の例を

図 E.2 に示す。偏波切換器偏波コントローラへの入力部における光の偏光状態を変調するた

めに用いる。偏波切換装置は,回転複屈折素子及び変調器(電気光学形又は光弾性形)で構成される。さ

らに,

その他の素子を用いてもよい。

位相測定回路からの真の位相差出力をロックイン検出できるように,

偏波は,例えば数十

Hz

の周波数

F

で直交する二つの完全に独立な偏光状態の間で交互に入れ替える(E.1.5

参照)

。この“偏波変調”は,熱的なドリフトの効果を取り除くことができる。位相検出器は,二つの偏光

状態間の位相差に比例した振幅をもち,偏光状態変調に同期した

AC

信号を生成する。この後,信号は,

位相差を示す

DC

信号を得るため,ロックインアンプによって復調される。選定波長における

DGD

は,

出力偏光状態をポアンカレ球上にわたって掃引した際の最大位相差から決定する。


36

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 E.2−偏波変調用の装置配置 

E.1.5 

光検出器及び位相測定回路 

位相測定回路と併せて,測定波長範囲で敏感な光検出器を用いる。増幅器を検出システム感度を上げる

ために用いてもよい。一般的なシステムでは,

PIN

フォトダイオード,

FET

増幅器,及び,位相検波器又

はベクトル電圧計を含む。

可変光減衰器,光ファイバ増幅器などの光学部品は,受光パワーを制御するために用いる。これらのデ

バイスは光検出器の直前に配置する。これらのデバイスは測定波長範囲にわたり,固有最大

DGD

PDL

及び群遅延が最も小さくなるように注意して選ぶ必要がある。

光検出器,増幅器,位相検出を含むシステムは,変調信号の主フーリエ成分にだけ反応しなければなら

ない。また,検出光パワーの範囲にわたって信号位相シフトが一定でなければならない。

位相測定回路及びコンピュータは,各偏光状態で生成される位相を記録するとともに,二つの偏光状態

間の位相差を出力する。

E.1.6 

基準信号 

位相測定回路に変調信号と同様の基本フーリエ成分をもつ基準信号を与え,それに対する信号光源の位

相差信号を測定する。基準信号は,変調信号に同期していなければならない。

なお,基準信号は,変調信号から生成してもよい。

基準信号の例を次に示す。

校正中のように信号光源と光検出器とが同じ場所にある場合,信号生成器と位相測定回路の基準信号

入力部との間に,電気的な結合を用いる。

試験標本の前に挿入された,光検出器とともに用いる光スプリッタを,同じ場所に設置した装置に用

いる。光検出器の出力は増幅され,この信号は位相測定回路への基準信号として用いられる。

光源

(

例 レーザ)

偏波コントローラ

被測定
リンク

光検出器

位相測定回路

高周波発振器

= 0.01 GHz -10 GHz

変調信号

ロックイン

アンプ

基準信号

変調器

偏波切換器

コンピュータ

低周波発振器

= 1 Hz - 1 000 Hz

IEC   015/06

基準信号

光信号
変調信号

制御信号及び出力信号

F=1 Hz∼1 000 Hz


37

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

入力部の変調器は,電気変調器が位相測定回路と同じ場所に配置されているような別のチャネルによ

って出力端から制御してもよい。

E.2 

手順 

E.2.1 

変調周波数 

予想される

DGD

max

及び

DGD

min

の値(E.1 参照)を考慮して変調周波数を設定する。

E.2.2 

波長掃引及び DGD の測定 

次に示す手法について,特定の波長における

DGD

値を得る方法がある。光源を要求する波長域で掃引

し,各波長について次の手順で

DGD

値を測定する。

波長掃引の完了後,リンクの

PMD

期待値は

DGD

値の平均として計算する。

E.2.2.1 

全掃引手順 

直交する入力

SOP

のいずれの組合せについても,与えられた波長について,位相シフト差がある。この

測定の前提としては,その波長における

DGD

値は,あらゆる組合せの直交する入力

SOP

の最大位相シフ

トから導かれるものとする。この最大値が生じる組合せの

SOP

PSP

として知られている。

一般に,リンクの

PSP

の方向と,テスト装置のアナライザにおける偏波軸との関係は,最初は未知であ

る。また,リンクの

PSP

は時間及び波長によって変化する。これらの軸を見つけることに伴う不確定さの

ほかにも,不確定さの主な要因としては装置に含まれるファイバコードにある。

SP

自体が,上記のように

任意である場合には,

PSP

の間の正確な

DGD

値を決定するには幾つかの方法がある。

SOP

探索法におい

て,不確実性の要因として,入力

SOP

を真の

PSP

に調整する際のエラーがある。例えば,

5

度の調整エラ

ーは

0.4 %

DGD

値の不確定性を引き起こす場合がある。確実に偏波探索調整エラーを抑制するようにす

る。

望ましい実施の例としては次のような例を挙げることができる。

偏波コントローラを“探索及び測定”モードで各試験波長に対し用いる。測定速度を最適化するため

に,様々な探索アルゴリズムが適用できる。与えられた波長において,着目した

SOP

を掃引するため

に偏波コントローラを用い,各々の

SOP

の位相シフトを記録する。様々な

SOP

を含んだ条件下で測

定を行うことで,記録された位相シフトの最大値及び最小値が,リンクの

PSP

に入力された光に相当

する。現在の波長の

DGD

値は最大位相シフトと最小位相シフトとの差に比例する(計算については

E.3

を参照)

。この差は,差分位相シフトと呼ばれる。リンク自体への総入力

SOP

が二つの

PSP

又は

基本軸に調整されたかのように,主複屈折は

SOP

に作用する。最大及び最小の位相が検知されると,

この波長の真の

DGD

値は,この二つの

SOP

間の遅延差である。

偏波変調の場合には(

図 E.2),“探索及び測定”法が適用できる。すなわち,偏波コントローラが掃

引されると,差分位相シフトは直接検知される。この方法は,E.3 の関係によって

DGD

値に比例関係

にある最大差分位相シフトを見つける探索作業を単純化する。

測定波長における最大差分位相シフトは式

(E.3)

のように表すことができる。

( )

( )

( )

λ

φ

λ

φ

λ

φ

i

i

Δ

Δ

=

Δ

max

max

  (E.3)

ここに,

i

様々な入力

SOP

を表す指数

Δ

φ,

Δ

φ

入力

SOP

の位相シフト

E.2.2.2 

ミューラーセット解析 

入力

SOP

のミューラーセットは,最も簡単には

図 E.3 にあるようなポアンカレ球によって表す。


38

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 E.3−ミューラー状態及びポアンカレ球 

注記

対応国際規格では,ポアンカレ球上にミューラー行列の基準となる四つの偏光状態を

A

B

C

及び

D

として示しているが,

(E.4)

におけるジョーンズベクトルのパラメータも記載している。

このパラメータを,ポアンカレ球の球座標と誤解する可能性があるため,

図 E.3 

4

点のパラ

メータの記載を削除した。

直交する

SOP

はポアンカレ球上では,

180

°離れている。

図 E.3 に描かれているように三つの

SOP

は球

の大円上にあり,相互に

90

°離れている。

“北極点”に関して右手の法則を用いて,大円上の任意の点,

A

からはじめると,

B

C

90

°を加えたところに位置する。位置

D

はその他の点に直行しており,右手の

法則を用いた上方を向いている。式

(E.4)

は規格化入力ストークスベクトル,

s

0

を表し,ストークスベクト

ルは,

“赤道”の大円上にあるミューラーセットの例を規定するのに用いられる。パラメータ

θ

は関連した

規格化ジョーンズベクトル

j

0

の線形方位である。パラメータ

μはベクトルの

x

成分と

y

成分との位相差で

ある。

=

μ

θ

μ

θ

θ

sin

2

sin

cos

2

sin

2

cos

0

s

(

)

(

)





=

2

/

exp

sin

2

/

exp

cos

0

μ

θ

μ

θ

i

i

j

   (E.4)

表 E.1 にミューラーセットの例を示す。


39

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

表 E.1−ミューラーセットの例 

位置

θ 

μ

 

説明

A 0

0

0°の直線偏光(水平)

B

π/4 0

45°直線偏光(45°)

C

π/2 0

90°直線偏光(垂直)

D

π/4

π/2

円偏光(球状)

各々の波長について,偏波コントローラを位置

A

B

C

及び

D

の順に回転する。各々の位置について,

位相シフト(ラジアン)を測定して,それぞれ

Δ

φ

A

(λ)

Δ

φ

B

(λ)

Δ

φ

C

(λ)

及び

Δ

φ

D

(λ)

と定める。これらの測定

値を用いた計算法は E.3 に記載している。

E.2.3 

校正 

定期的に(例えば,日ごと,週ごと)

,測定装置を特定の場所にセットして,位相校正用光ファイバ,す

なわち長さ

2 m

の低

PMD

シングルモード光ファイバを装置に挿入し,参照信号を確認する。必要な各々

の試験波長について,測定手順を繰り返す。平均差分位相が無視できることが分かった場合,光ファイバ

コード及び光ファイバピッグテールの寄与もまた無視できる。

E.3 

計算 

E.3.1 DGD

計算 

いずれの

DGD

計算手法も波長に対する一連の

DGD

値を与えることができる。

図 E.4 にこのような関数

の例を示す。他にも,

DGD

値は

図 E.5 のようにヒストグラム形式で表してもよい。

図 E.4DGD の波長依存性 

0

50

100

150

200

250

300

350

1 520

1 540

1 560

1 580

1 600

1 620

波長   nm

DGD   p

s

IEC   017/06 


40

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 E.5−ヒストグラム形式で表した DGD 

E.3.1.1 

全掃引法を用いた DGD 計算 

最大位相差分

Δ

φ

Max

(λ)

rad

E.2.2.1 参照)及び変調周波数

f

GHz

)から,各波長

λ

nm

)における

DGD

値(

ps

)を次のように計算する。

( )

( )

f

DGD

λ

φ

λ

Max

3

2

10

Δ

π

=

   (E.5)

E.3.1.2 

ミューラーセット法を用いた DGD 計算 

E.2.2.2

によって,二つの

PSP

の平均位相

φ

RF

(λ)

を式

(E.6)

のように計算する。

( )

( )

( )

2

C

A

RF

λ

φ

λ

φ

λ

φ

Δ

+

Δ

=

  (E.6)

測定される位相を平均位相で次のように調整する。

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

φ

RF

D

D

RF,

RF

B

B

RF,

RF

A

A

RF,

Δ

=

Δ

=

Δ

=

   (E.7)

位相差

δ

RF

(λ)

を次のように計算する。

( )

( )

[

]

( )

[

]

( )

[

]

+

+

=

λ

φ

λ

φ

λ

φ

λ

δ

D

RF,

2

B

RF,

2

A

RF,

2

RF

tan

tan

tan

arctan

2

   (E.8)

δ

RF

(

λ)

radian

)及び変調周波数

f

GHz

)を用いて,

DGD

値(

ps

)は次のように計算する。

( )

( )

f

DGD

π

=

2

10

RF

3

λ

δ

λ

  (E.9)

E.3.2 PMD

計算 

ある波長域における

PMD

期待値(

ps

)はその波長域での

DGD

値の平均である。

0

20

40

60

80

100 120 140 160 180 200 220

240 260 280 300

DGD   ps

周波数

IEC   018/06 


41

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 F

(規定)

偏波位相シフト法

この附属書は,偏波位相シフト法に特有の要求事項について記載する(

[5]

[6]

[7]

及び

[8]

参照)

F.1 

装置 

図 F.1 に,偏波位相シフト法のブロック図を示す。

波長可変

レーザ

S

P

RF

信号源

偏波

分岐器

光強度 
変調器

受光器

変調

振幅及び位相

比較器

偏波

コントローラ

DUT

振幅及び位相比較用参照信号

振幅及び位相

比較器

図 F.1−方法 のブロック図 

F.1.1 

光源 

光源として波長可変レーザを用いる。レーザの波長可変範囲は,必要とする

PMD

測定に十分な範囲で

なければならない。一般的に,完全に自己完結形の温度制御及び電流制御された外部共振器レーザを用い

る。

F.1.2 

変調 

F.1.2.1 RF

信号源 

RF

信号源は光強度変調器用の変調信号を供給する。変調信号の一部を振幅及び位相比較器へ参照信号と

して送る。

RF

信号源は,一般的に

50 MHz

3 GHz

の周波数範囲で正弦変調信号を供給する必要があるた

め,広帯域特性を必要とする。変調周波数を選択する場合には,変調サイドバンドの不要な干渉及び

DGD

測定分解能を考慮しなくてはいけない。

サイドバンドは光信号の両側に,変調周波数に相当する周波数差

f

で発生する。このことは光スペクト

ル拡散を表す。効果的な波長分解能

Δ

λ

nm

)はサイドバンドによって制限され,一般的に式

(F.1)

で与えら

れる。

c

f

×

×

=

Δ

2

2

λ

λ

  (F.1)

ここに,

λ

波長(

nm

f

変調周波数(

GHz

c

真空中の光速(

m/s


42

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

さらに,

DGD

測定分解能

Δ

DGD

ps

)も変調周波数

f

で制限され,一般的に式

(F.2)

で与えられる。

f

DGD

×

×

Δ

=

Δ

360

10

3

φ

  (F.2)

ここに,

Δ

φ: 位相比較器の位相分解能(

degree

f

変調周波数(

GHz

RF

信号源の周波数安定性を含む全位相精度は,十分な測定精度を確保するために±

0.3

°以下でなけれ

ばならない。

F.1.2.2 

光強度変調器 

光強度変調器は

RF

信号源から変調信号を受けて,波長可変レーザの出力光の強度を変調する。一般的

LiNbO

3

変調器を用いる。

F.1.3 

偏波制御 

DUT

に特有の

SOP

の偏波を供給するために偏波コントローラを用いる。偏波コントローラは,偏光子,

四分の一波長板,及び二分の一波長板の三つのコンポーネントから構成される。二つの位相差板の一式を

回転することで任意の

SOP

を発生することができる。偏波コントローラは,期待する測定精度を提供する

ために,優れた特性を必要とする。角度調整分解能として±

0.1

°が要求される。偏光消光比として,一般

的に期待している波長範囲において

30 dB

以上が要求される。

注記

一般的に四分の一波長板及び二分の一波長板の波長特性が平たんではないことが,この方法の

一つの制約となっている。

F.1.4 

出力用光部品 

DUT

からの出力を,受光器の前に偏波分岐器に結合する。偏波分岐器は

DUT

からの出力を二つの偏光

された波,すなわち,

P

偏光及び

S

偏光に分離する。偏波分岐器はカルサイトプリズムのような非等方結

晶で構成され,一般的に高い偏光消光比並びに非常に低い

DGD

,群遅延及び偏波依存損失特性をもってい

る。これらの特性が可能となる波長範囲は一般的に非常に広い。

F.1.5 

受光器 

受光器は

DUT

からの変調光信号を電気信号に変換する。一般的に,線形性のよい

PIN

フォトダイオー

ドを用いる。

PIN

フォトダイオードは,

RF

信号源の変調周波数に応用するために,十分なバンドパス特性

をもたなければならない。さらに,高い信号対雑音比を確保するために,広帯域の増幅器を受光器の後段

に用いることが望ましい。

F.1.6 

振幅及び位相比較器 

振幅及び位相比較器は,

RF

信号源からの参照変調信号を用いてそれぞれの偏光成分の信号を比較するこ

とによって,振幅及び位相を測定する。群遅延

τ

ps

)は位相を用いて式

(F.3)

によって計算される。

f

τ

×

×

=

360

10

3

φ

  (F.3)

ここに,

φ: 位相(°)

f

変調周波数(

GHz

F.1.7 

参照信号 

RF

信号源から出力された変調信号の一部である参照信号は,振幅及び位相比較器へ供給される。参照信

号は変調信号と同期していなければならない。


43

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

F.2 

手順 

F.2.1 

変調周波数 

測定結果に求められる波長分解能

Δ

λ

及び

DGD

測定分解能

Δ

DGD

に基づいて変調周波数を選択する。

詳細な情報については F.1.2.1 を参照する。

F.2.2 

波長間隔 

DGD

の計算では,波長間隔における波長差

δλ

を用いるため,

DGD

値を求めるには二つの波長が必要で

ある。この波長の間隔

δλ

を波長間隔(ステップ幅)と呼ぶ。この

δλ

の決定の手順について説明する。波

長可変レーザの波長を

δλ

δλ

(

λ

δλ)

λ

に変更した場合には,

DUT

からの出力の

SOP

の偏光角度変化が

45

°より小さくする。この

δλ

は通常次のように表す。

max

3

2

4

10

τ

λ

λ

Δ

×

×

c

δ

  (F.4)

ここに,

λ

測定範囲の波長(

nm

c

真空中の光速(

m/s

Δ

τ

max

DUT

の予想される最大の

DGD

値(

ps

例えば,最大

DGD

Δ

τ

max

と波長間隔

λ

との積は

1 550 nm

において

2 ps·nm

より小さい。

F.2.3 

波長掃引及び DGD 測定 

要求される波長範囲において波長ごとの測定を実行するために,波長可変レーザ光源を用い,各波長に

おいて

DGD

値を計算する。さらに,測定波長範囲において先に得られた

DGD

値に基づいて平均の

DGD

値を計算した後に,

DUT

PMD

期待値を計算することができる。

この方法は,一対の直交した偏波(

0

°及び

90

°の直線偏光)を用いる。

0

°及び

90

°の直線偏波を

DUT

に入射して,出力を偏光分岐器によって二つの偏波に分岐する。

その後,特定の測定波長において各偏波(

P

偏光及び

S

偏光)の振幅及び群遅延を測定する。始めに,

0

°

直線偏光において

P

偏光及び

S

偏光の振幅(それぞれ,|

T

11

2

mea

及び|

T

21

2

mea

)及び群遅延(それぞれ,

d

φ

11

/d

ω

mea

及び

d

φ

21

/d

ω

mea

)を測定する。次に,

90

°直線偏光において

P

偏光及び

S

偏光の振幅(それぞれ,

T

12

2

mea

及び|

T

22

2

mea

)及び群遅延(それぞれ,

d

φ

12

/d

ω

mea

及び

d

φ

22

/d

ω

mea

)を測定する。

F.2.4 

校正 

DUT

測定の前に,長さ

1 m

以下の低

PMD

のシングルモード光ファイバにおいて校正を行う。最初に,

偏光分岐器の

P

偏光に一致する

0

°直線偏光を発生するために四分の一波長板及び二分の一波長板の調整

を行う。次に,偏光分岐器の

S

偏光に一致する

90

°直線偏光を発生する。

その後,

0

°及び

90

°の直線偏波を交互に入射している間に,特定の測定波長において,偏光分岐器に

よって分岐した二つの偏波(

P

偏光及び

S

偏光)に対して振幅及び群遅延特性を測定する。始めに,

0

°直

線偏波に対して

P

偏光及び

S

偏光の振幅(それぞれ,|

T

11

2

cal

及び|

T

21

2

cal

)及び群遅延(それぞれ,

d

φ

11

/d

ω

cal

及び

d

φ

21

/d

ω

cal

)を測定する。次に,

90

°直線偏波に対して

P

偏波及び

S

偏波の振幅(それぞれ,

T

12

2

cal

及び|

T

22

2

cal

)及び群遅延(それぞれ,

d

φ

12

/d

ω

cal

及び

d

φ

22

/d

ω

cal

)を測定する。F.3.1 に記載の式

を用いて測定値から

DGD

値を計算する。

F.3 

計算 

F.3.1 DGD

決定理論 

この計算方法を用いることによって,連続する

DGD

と波長との関係を得ることができる。

図 F.2 は実際

のリンクを模擬した特性例である。


44

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

図 F.2−ランダムにモード結合した被測定リンクの DGD と波長との関係 

(F.5)

のパラメータは F.2.3 及び F.2.4 における測定値を用いて計算する。

2

21

2

11

2

21

2

11

0

2

21

2

11

2

21

2

11

1

12

21

22

11

1

12

21

22

11

1

f

i

1

cos2

cos

2

1

d

d

d

d

d

d

d

d

4

1

d

d

d

d

d

d

d

d

4

1

π

2

T

T

T

T

Θ

T

T

T

T

Θ

Φ

Φ

Φ

Φ

γ

Φ

Φ

Φ

Φ

δ

c

Θ

Θ

α

+

=



+

=

+

=

+

=

Δ

=

Δ

Δ

=

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

β

λ

λ

λ

ω

  (F.5)

ここに,

λ

i

及び λ

f

波長間隔 δλ での最短波長及び最長波長

ΔΘ: λ

i

における Θ と λ

f

における Θ との差分

Δτ

max

DUT の予想される最大の DGD 値(ps)

cal

2

11

mea

2

2

T

T

T

kl

kl

=

cal

11

mea

d

d

d

d

d

d

ω

ω

ω

Φ

Φ

Φ

kl

kl

=

  kl=11 and 12

cal

2

22

mea

2

2

T

T

T

mn

mn

=

cal

22

mea

d

d

d

d

d

d

ω

ω

ω

Φ

Φ

Φ

mn

mn

=

  mn=21 and 22

各波長における DGD 値を α

1

β

1

γ

1

及び Θ

0

を用い,式(F.6)によって計算する。

0

1

1

2

1

2

1

2

1

2

cos

2

2

)

(

Θ

DGD

γ

β

γ

β

α

λ

+

+

+

=

  (F.6)

F.3.2 DGD

の決定 

この測定方法に関する DGD の計算ついて述べる。光伝達関数行列は式(F.7)のように表せる。

1 550

1 570

1 590

1 610

0,4

0,8

1,6

DG

D

   p

s

  1,2

波長   nm

IEC   020/06 


45

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

(

)

j

j

Θ

j

j

Θ

j

j

Θ

j

j

Θ

T

T

T

T

T

×





+

+

+

+

=

=

exp

)

exp(

cos

)

exp(

sin

)

exp(

sin

)

exp(

cos

       

)

exp(

)

exp(

)

exp(

)

exp(

)

(

22

22

21

21

12

12

11

11

ψ

φ

ψ

φ

ψ

φ

ψ

φ

ω

  (F.7)

ここに,

  λ

i

及び

λ

f

波長間隔

δλ

での最短波長及び最長波長

ΔΘ

λ

i

における

Θ

λ

f

における

Θ

との差分

Δτ

max

DUT

の予想される最大の

DGD

値(

ps

Θ

は偏光角度,

φは

T

11

T

21

との位相差,

ψ

T

11

T

12

との位相差,

Φ

は偏波無依存位相シフトである。

出力偏光ベクトル,

E

out

(ω)

T(ω)

を用いて式

(F.8)

で表せる。

)

(

)

(

)

(

in

out

ω

ω

ω

E

T

E

=

  (F.8)

ここに,

E

in

(ω)

光入力信号のフーリエ変換

E

out

(ω)

は光中心周波数

ω

0

におけるテイラー展開によって式

(F.9)

で表せる。

2

2

out

2

out

0

out

out

0

0

d

d

!

2

1

d

d

)

(

)

(

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

δ

E

δ

E

E

E

=

=

+

+

=

  (F.9)

ここに,

δω

ω

ω

0

伝達関数微分演算子と呼ばれる一次

PMD

演算子

D(ω)

は式

(F.10)

で表せる。

1

)

(

d

)

(

d

)

(

=

ω

ω

ω

ω

T

T

D

  (F.10)

したがって,式

(F.10)

を式

(F.9)

に代入することで式

(F.11)

を得る。

)

(

d

d

2

1

exp

 

       

)

(

d

d

2

1

2

1

1

)

(

0

out

2

0

out

2

2

2

out

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

ω

E

δ

D

δ

D

E

δ

D

δ

D

δ

D

E

+

+

+

+

=

   (F.11)

ここで,高次の項は無視できる。D(ω)は一次の PMD 演算子であり,dD(ω)/dω は二次の PMD 演算子で

ある。それらは互いに可換ではない。

D(ω)を単一演算子 を用いて対角化することによって,式(F.12)を得る。

)

(

)

exp(

0

0

)

exp(

     

       

)

(

)

exp(

)

(

0

out

1

0

out

1

1

out

1

ω

ω

ω

ω

ω

ω

E

X

δ

δ

E

XX

X

E

X

+





=

=

   (F.12)

ここに,

/

D(ω)の固有値

Γ

及び Γ

: それぞれ,最大群遅延及び最小群遅延。すなわち,D(ω)

の固有値の虚数部の間の差,Γ

Γ

が DGD

式(F.7)で記載した四つの独立したパラメータ Θ

φ,ψ 及び Φ は,テイラー展開を用いて式(F.13)で表せ

る。

2

2

1

0

2

2

1

0

2

2

1

0

2

2

1

0

2

1

2

1

2

1

2

1

ω

β

ω

β

ω

γ

ω

γ

ψ

ψ

ω

β

ω

β

φ

φ

ω

α

ω

α

δ

δ

Φ

Φ

δ

δ

δ

δ

δ

δ

Θ

Θ

+

+

=

+

+

=

+

+

=

+

+

=

  (F.13)


46

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

ここに,

δω: ωω

0

Θ

0

φ

0

ψ

0

及び Φ

0

ωω

0

における Θ

φ,ψ 及び Φ の値

α

1

β

1

γ

1

及び β

1

Θ

φ,ψ 及び Φ のテイラー展開の一次係数

α

2

β

2

γ

2

及び β

2

Θ

φ,ψ 及び Φ のテイラー展開の二次係数

一次の PMD 演算子 D(ω)は式(F.13)を用いて式(F.14)で表せる。

+

+

+

+





=

+

Θ

Θ

j

Θ

j

Θ

j

j

D

j

j

2

cos

e

)

2

sin

(

e

)

2

sin

(

2

cos

1

0

0

1

)

(

1

1

2

1

1

2

1

1

1

1

1

γ

β

γ

α

γ

α

γ

β

β

ω

φ

φ

 (F.14)

したがって,D(ω)の固有値は式(F.15)となる。

Θ

j

j

2

cos

2

1

1

2

1

2

1

2

1

1

γ

β

γ

β

α

β

+

+

+

±

=

±

   (F.15)

ここに,

β

1

偏波無依存群遅延

DGD 値 Δτ は,式(F.16)のように二つの固有値の虚数部の間の差で表せる。

Θ

Γ

Γ

2

cos

2

2

1

1

2

1

2

1

2

1

γ

β

γ

β

α

τ

+

+

+

=

=

Δ

+

   (F.16)

F.3.3 PMD

計算 

測定波長範囲内の PMD 期待値は,測定波長範囲全体における DGD 平均値(PMD

AVG

)によって得られ

る。


47

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

附属書 G 
(参考)

方法 C による PMD の決定

この附属書は,方法 C を用いて測定される干渉データの RMS 幅を決定するアルゴリズムを提供する。

このような干渉の例を

附属書 に示す。このアルゴリズムの主な目的はノイズの影響を除去することにあ

る。

G.1 

慣例的解析 

次のアルゴリズムは,

附属書 に示されている仮定を前提として,方法 C のうち TINTY にだけ適用可

能である。

I

~

j

は位置 t

j

(ps)を j=1 から まで増加したときの干渉波形の測定強度とする。

手順 1:零強度

0

~

及びノイズ振幅 Na の計算 

定義:N

s

round(5N/100)は の約 5 %となる整数である。

(

)

s

1

0

2

~

~

~

s

s

N

I

I

I

N

j

j

N

j

=

+

=

  (G.1)

(

)

s

1

2

2

2

2

~

~

s

s

N

I

I

X

N

j

j

N

j

=

+

=

   (G.2)

(

)

2

0

2

~

I

X

Na

=

  (G.3)

手順 2:シフト強度 I

j

の定義

0

~

~

I

I

I

j

j

=

(

)

Na

I

I

j

4

~

~

0

>

の場合   (G.4)

0

=

j

I

(

)

Na

I

I

j

4

~

~

0

の場合

   (G.5)

  手順 3:干渉波形の中心 の計算 

=

=

=

s

s

1

1

N

j

j

N

j

j

j

I

I

t

C

   (G.6)

  手順 4:自己相関ピークの除去 

定義:

j

l

– t

j

 >

t

c

となる最大指標

j  (G.7)

j

r

t

j

 –

t

c

となる最小指標

j   (G.8)

ここに,

t

c

光源のコヒーレンス時間

注記

相互相関の干渉波形については,式

(G.9)

を適用している。

j

r

 =

j

l

 + 1  (G.9)


48

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

  手順 5:干渉波形の二次モーメント の計算 

+

=

Σ

Σ

Σ

Σ

=

=

=

=

j

N

j

j

j

j

N

j

j

j

j

j

j

j

j

j

I

I

C

t

I

I

C

t

S

r

r

l

l

2

1

2

1

)

(

)

(

2

1

  (G.10)

手順 6:干渉波形の切捨て

j

min

を – t

j

 >2となる最大指標 に設定   (G.11)

j

max

を t

j

 – C >2となる最小指標 に設定  (G.12)

手順 7:干渉波形の二次モーメントの平方根

ε

σ の計算





+

=

Σ

Σ

Σ

Σ

=

=

=

=

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

j

ε

I

I

C

t

I

I

C

t

max

r

max

r

l

l

min

2

1

2

)

(

)

(

2

1

σ

  (G.13)

手順 8:ガウス関数

(

)

2

2

2

exp

ε

C

t

σ

の σ

ε

の計算 

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)





+

=

t

C

t

t

C

t

C

t

t

C

t

t

C

t

C

t

j

j

j

j

j

j

j

j

t

t

ε

t

t

ε

t

t

ε

t

t

ε

d

2

exp

d

2

exp

d

2

exp

d

2

exp

2

1

max

max

r

1

min

1

min

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

r

σ

σ

σ

σ

σ

ε

  (G.14)

ε

σ

は式

(G.14)

から反復計算される。

G.2 

一般的解析 

次のアルゴリズムは,方法

C

のうち

GINTY

を用いて,合成二乗相互相関又は自己相関包絡線について,

信頼性の高い

RMS

幅を与える。

これは反復アルゴリズムである。ある反復において,全データ列は二つの組に分けられ,信号を含む中

心部の組

M

,及びノイズを含むテール部の組

T

からなる。反復結果のたびに,これらの組は再度定義され

る。計算された

RMS

幅が変化しなくなるか,組の定義が変化しなくなるところで,収束した結果を得る。

一度の反復について,各々の組のデータ点数を,

N

M

及び

N

T

とする。

位置

t

j

ps

)を

j

1

から

N

まで増加させるときに,測定される包絡線の強度を I

~

j

とする。

T

の初期定義は,全データ列の最初及び最後の

5 %

とする。

  手順 1:零強度

0

~

の計算 

=

T

j

T

j

N

I

I

/

~

~

0

  (G.15)

  手順 2:シフトされた強度 I

j

の定義 

0

~

~

I

I

I

j

j

=

 all N  (G.16)


49

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

  手順 3:干渉波形の中心 の計算 

=

M

j

j

M

j

j

j

I

I

t

C

  (G.17)

  手順 4:二乗包絡線の RMS 幅 σ の計算 

(

)

=

M

j

j

M

j

j

j

I

I

C

t

2

2

σ

  (G.18)

  手順 5:組の再定義

を C

4

σt

j

C

4

σ を満たす点の組とする。

を残りのデータ点の組とする。

  手順 6:結果が収束するまで手順 1∼手順 の繰返し 


50

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

参考文献

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JIS C 6122-11-1

  光増幅器−測定方法−第

11-1

部:偏波モード分散パラメータ−ジョーンズマトリクス固

有値解析(

JME

)法

注記

対応国際規格:

IEC 61290-11-1

Optical amplifiers

Test methods

Part 11-1: Polarization mode

dispersion parameter

Jones matrix eigenanalysis (JME)

JIS C 6842

  光ファイバ偏波モード分散試験方法

注記

対 応 国 際 規 格 :

IEC 60793-1-48

Optical fibres

Part 1-48: Measurement methods and test

procedures

Polarization mode dispersion

JIS C 61300-3-32

  光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第

3-32

部:光受動

部品の偏波モード分散測定

注記

対応国際規格:

IEC 61300-3-32

Fibre optic interconnecting devices and passive components

Basic


51

C 61280-4-4

:2015 (IEC 61280-4-4:2006)

test and measurement procedures

Part 3-32: Examinations and measurements

Polarization mode

dispersion measurement for passive optical components

IEC/TR 61282-3

Fibre optic communication system design guides

Part 3: Calculation of link polarization mode

dispersion

IEC 61290-11-2

Optical amplifiers

Test methods

Part 11-2: Polarization mode dispersion parameter

Poincaré

sphere analysis method (PSA)